ト ラ ン ジ ス タ と 可 飽 和 議 心 に よ る ブリッジ形三相インバータの位相特性
長 尾 道 彦 * ・ 原 田 耕 介 * *
P h a s e C h a r a c t e r i s t i c s o f B r i d g e Type T h r e e ‑ p h a s e I n v e r t e r w i t h T r a n s i s t o r s a n d S a t u r a b l e C o r e s
by
M i c h i h i k o NAGAO
(Electrical Engineering)
K o o s u k e HARADA
(Electronics, Kyushu University)
The intent of this paper is to investigate phase distortion produced by unbalances of circuit parameters in the bridge type threephase inverter. The inverter discussed here has the diode‑bridge with a common resistance and the ring connection of the core windings to improve the phase distortion and stability of the three‑phase oscillation. In order to analize phase characteristics of the output voltages, semicon‑
ductor devices are modeled by switching function, and nonlinear equation for determing operating periods created by the switching‑mode operation of the semicon‑
ductor devices are obtained. The nonlinear equations are solved numerically by applying the Newton algorithm. The results show the effect of the ring cennection circuit and the relations between phase characteristics and unbalances of circuit parameters.
1. はじめに
複数個のスイッチングトランジスタと可飽和磁心を 用いることによって,ブリッジ方式の三相インパータ が簡単に構成できることについては既に報告した(1)
との回路は直流電源より直接三相交流電力を得る乙と ができ,直流電源電圧をかえることによって発振周波 数を大幅に制御できる. しかも発振周波数と出力電圧 の比が常に一定である等の特徴を有する.また回路が 昭和56年10月1日受理
*電気工学科
料九州大学工学部福岡市東区箱崎
ブリッジ構成となっているため磁心の小形化が可能で あり,磁心の主巻線と直列に挿入した抵抗によって,
電源電圧一定時においても発振周波数を制御するとと が可能である(2),(3) この直列抵抗による電源電圧の分 割方式では,インバータユニット聞の回路素子の不ぞ ろいが各磁心にかかる電圧に違いをもたらし,出力電 圧聞の位相角を1200からずらす原因となる.との問題 を解決するため電源電圧をダイオードブリッジを通し
ED
Rs is
eDIl iCDl
bD1 es1
@ ↑。
・
qB1■B1
@ →
ェeB1NB1
icl
sr 1 es2
@ ↑.
iB2RB2 →■
ェeB2凶B2
ic2
sr 2 es3
@ 1.
.qB 3■B3
@ →
撃・a3HB3
ic3 sr3
D1 D2 Nsl c3
@ RIi1
1・1.
碁IS2
q2
● ●
繭 ●NI NF1
1ρ2 N2 NF2
奄Q
Ns3
q3 iD
qD ↑・D
1c1 賢c2 D5
@ SC1
o
q盛1■Bl
@ 1 → f↑eBl
mB1
iと1
sri rC2
. 7q五2■B2 →
Ele据2
mB2
iと2
@ lsr2
NF 3
@ , 1
@ エC3
@ σ ∫
qB 3■B3
@ →
@ 「
mB3
璽sr3 eD2↑ CD2
SC3 ●↑eB3
iCD2 工Nl a
工N2 b 工N3 C
l
Fig.1 Bridge type self−oscillating three−phase inverter.
て抵抗とコンデンサで分割し,さらにリング結合回路 を用いて三組のインバータユニットを結合する方式が
ある.ω.
本稿では,この方式によるブリッジ形インバータ回 路に対して回路素子のバラツキと位相角の不平衡(以 下,位相歪という)との関係を求め,回路素子のバラ ツキが位相特性におよぼす影響を明らかにし,リング 結合回路の位相歪への効果を明確にする.
2.回路構成
第1図がブリッジ方式の発振形三相インバータの回 路である.図に示すように直流電源電圧EDはダイ オードブリッジを通して抵抗RDおよびコンデンサ CD1, CD2によって分割されるため, RDを変えるこ とにより磁心SC。(n;1,2,3)にかかる電圧が変 化し,電源電圧EDは一定のままで発振周波数を制 御することができる.抵抗Rnは磁心SCnのいずれ かが飽和した時にコンデンサ.CD1あるいはCD2か ら流れる放電々流のピーク値を抑制するためのもので ある.巻線NSnおよび抵抗Rsよりなる回路は各イ ンバータユニットINnをリング結合することにより 回路素子のバラツキによって生じる位相歪を補正する ものである.このリング結合回路は三相発振の安定性 に寄与する.巻線NFnは電流正帰還用でインバータ に負荷が接続された場合の起動特性を改善するための ものである.
第1図の回路は第2図に示すように2つの動作モー ドが存在する.図にはコンデンサ電圧eD1, eD2,巻
線N1の誘起電圧e1,巻線N2を流れる電流i2およ び動作状態を示している.第2図(a)に示すモード1 では1周期Tに12の動作状態が生じ,基本的には状 態1,3,....と状態2,4,...の2つに分られる.
なお図には簡単のため状態7〜12を示していない.状 態1ではトランジスタT,1,Tζ2, T,3が導通状態で あり,ベース電流iB1, iB3はコンデンサCD1と電源
EDより供給される.巻線Ns1とNs3の誘起電圧 es1とes3との和がリング結合回路を通して巻線N2 に生じ,この電圧e2がコンデンサ電圧eD2より大き いためダイオードD6は非導通状態となる.このため トランジスタTf2のベース電流i壱2はコンデンサ CD1より供給される.この間コンデンサCD2は電源 EDよりT,1, R1,RDおよびT,3, R3,RDを通 して充電される.一方,コンデンサCD1の電荷は放
eDl r 「 r
eD〆 、」 」 ) 0
eD1 ヘ ヘ へ eD24 げ 》7 }
0
ユ6 工6
e10
奄Q0
T
e10
奄Q 0
T
PERIODT1T2T3 T4 T5T6 PER工OD T2 T4T6 T8匙 T
STA窪}E 1 2 3 4 5 6 STATE 2 4 6 8 10 12 (a) (b)
Fig.2Waveforms and operating modes,(a)
mode l and(b)mode 2.
電しこれによる誘起電圧e2がCD2の電:圧eD2と等 しくなる時点T1で状態1が終り,状態2が始まる.
状態2ではT,1,T。3のベース電流iB1, iB3は状態 1と同様にコンデンサCD1および電源EDより供給 され,T 2のベース電流i免は電源EDより抵抗RD を通して供給される.状態2は磁心SC1が飽和しト ランジスタTr1がT∫1へ転回した時点TI+T2で 終了する.以下同様な動作状態を繰返しモード1が生 じる.モード1の状態1,3,...が生じている期間 T1,T3,,..は回路パラメータに左右される.例え ば,結合抵抗Rsを大きくすると期間T1,T3,...
は減少し,遂には零となる.この時,回路の動作は第 2図(b)に示したモード2へ移行する.
5.素子のモデル化と基礎方程式
位相特性を明らかにするにはまず各動作状態に対し 回路方程式を求める必要があるが,ここでは簡単のた めダイオードおよびトランジスタをスイッチング関数 を用いてモデル化し,状態1〜12において成立する式 を後述のように一括して表示する.スイッチング関数 の値を素子が導通の場合を0,しゃ断の場合を1とす れば,各動作状態によりスイッチング関数の値は第1 表のようになる.なお状態7〜12におけるスイッチン グ関数はそれぞれ状態1〜6の否定であり,ダイオー ドのスイッチング関数SDn, S6nはトランジスタの コレクタ・エミッタ間のスイッチング関数SCn, S6n とそれぞれ同一値をとるため表には示していない.こ れより各動作状態における式は第1表に示すスイッチ ング関数の値を代入することにより求めることができ
る.
(1) ダイオードのモデル化 第3図(a)に示す2 つのダイオードの組を(b)図に示すように,順方向電 圧降下EDSとスイッチにより表わし,電圧,電流の 向きを図のようにとるとスイッチの端子電圧eDS,
e6sおよびダイオード電流iD, i6は次式で表わされ
Table l Values of switching function in operating states.
D
D「
・■D i
。D。 暫
eDC
諺へ%
:::難
(a) (b)
Fig.3 Diode mode1.
・,葺
・・ェ i
ic 駈
。、・ ェ
。、ゼ ic曹
丁が
ED
(a)
Fig.4 Transistor mode1.
る.
eDsコSDeDD, e6s二=S6eDD iD=SDi, i6=一Sf)茸
(b)
(1)
(2)
この時,端子間電圧eD, e6は次式で与えられる.
ll=二濫二惣二糠} (3)
(2) トランジスタのモデル化 第4図(a)に示す 一組のトランジスタを(b)図に示すようにコレクタ・
エミッタ間の飽和電圧をEcs,ベース・エミッタ間の 順方向電圧降下をEBSとし,スイッチ素子を用いて 表わす.図示のように電圧,電流の向きをとると以下 の式が成立する.
STATE
Sc1(Sc1ノ)
Sc2(Sc2!)
Sc3(Sc3 )
SB1(SB1ノ)
SB2(SB2ノ)
SB3(SB3!)
1 2 3
0(1)
1(1)
0(1)
0(1)
1(0)
0(1)
0(1)
1(0)
0(1)
0(1)
1(0)
0(1)
1(1)
1(0)
1(0)
0(1)
1(0)
1(0)
4
0(1)
1(0)
1(0)
0(1)
1(0)
1(0)
5
0(1)
0(1)
1(1)
0(1)
0(1)
1(0)
6 0(1)
0(1)
1(0)
0(1)
0(1)
1(0)
ecs−sc ecc, e6s=s6 ecc ic=Sci, i6;一Sci
l二1=:黙坐警}
これよりコレクタ・エミッタ間電圧eCE, e6Eは
1一十=:農輩欝}、
となり,ベース・エミッタ間電圧eBE,ε船は
0:Conducting state,1:Nonconducting state
ll二=ll瀦E諭
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
となる.
なお,電圧,電流あるいはスイッチング関数がイン バータユニットIN。のいずれかに属することを明示 する場合には,例えばeCE。と添字にてこれを表わす.
(3) 磁心のモデル化 磁心SCnの磁化特性は飽 和磁束ψS。,幅FMnの起磁力を持つ角形特性とす る.磁心の巻線間の結合は密結合とし,漂遊容量は無 視する.第1図に示す巻線の記号Nn, NBnおよび Nsnは巻回数も表わし, N。≡No,NBn≡≡NB,Nsn
≡Nsとする.
(4) その他の仮定 上下トランジスタ間の転流時 間を無視し,ベース電流はトランジスタを完全に導通 状態に保つだけの十分な電流が供給されるとする.こ の時,定常状態ではインバータ動作が負荷に左右され ないため無負荷に対し解析を行う,
第1図の回路に示すように電圧・電流1の向きをとり 上記仮定の(3),(4)を考慮すると以下の式が成立する.
eD1=ecEn十en十Rn in十eDn eDC=RD iD
ED;eD1十RD iD十eD2
eBn=(NBn/Nn)en=RBn iBn十eBEn e直n=一(NBn/Nn)en=R壱n i壱n十e6En es1十es2十es3・=Rs is
eSn=(Ns。/N。)en
icD1=CD1(deD1/dt), icD2=CD2(deD2/dt)
iCD1十iD1十1D2十1D3=1D
コノ ノ コノ コ
1CD2十1D1十1D2十1D3=1DC 磁心SCnに関して
FMn=Nn in−NBn iBn十NBni壱n−Nsn is n;1,2,3.
(2)〜⑲式より巻線Nnに流れる電流inは
(9)
㈹
(11)
(12)
(13)
ω
⑮
(16)
α7)
(18)
α9)
in={(1−SDn)eD1−SD2eD2−en十(2Scn−1)
×(Ecs十EDS)} (2ω となるが,状態1,3,...ではinのうちいずれかが 零になる.この場合も一括して表示するためスイッチ ング関数Sn=SCn+S6nを用いれば(11}〜㈱,
ら
( 1 1琉一トK)・・+意誤。・m
一無{(・一S・・)・D・一S・・ep・}+撫
を得る.ただし,
端≒爵+(NBNo)2(藷+{鵠)・
意一(NsNo)2意 ECD=ECS十EDS
⑳式か
⑳
1四)
an=Sn(2SCn−1)
+舟(S合n SBnRBn R倉n)噸一往。讐
SCn=SDn, s6n=s6n
⑳式より誘起電圧enはコンデンサ電圧eD=〔eD1,
eD2〕tの関数として次式で与えられる.
e=CeD十d ECD ただし,
e = e1
e2
e3
,c=
Cll C12 C21 C22 C31 C32
,d=
C13 C23 C33
侮・一〔RT1鵡R。。+{爵1(舞一器)
+端(bnj bljRn R1)}意〕μ1㌻銘
bn1=SI1(1−Scn), bn2=Sn Scn, bn3=an 1
RTIRT2RT34=
+( 1 1 1RTIRT2+RT2RT3+RT3RT1)意
(器)
⑳
一方,コンデンサ電圧eDに対してはq1),α6)〜㈹,
⑳,團式から
eD=一AeD十BE
の関係を得る.ただし,S6n(1−SCn)=0,
S6n(2SCn−1)=S6nSCnを考慮している.
A一
k1/CDIR111/CDIR121/CD2R21 1/CD2R22〕・
B一
k1/CDIRD 1/CDIRu11/CD2RD 1/CD2R。2〕・E一〔畠〕
3 _
1/R11=1/RD十ΣSn(1−Cn1)/Rn n=1
3 _
1/R12=1/RD一ΣScnCn2/Rn n冨1
ヨ
1/R21=1/RD十ΣS6ncn1/Rn n冨1
ヨ
1/R22=1/RD十ΣS6n(sc盃十cn2)/Rn n;1
3 _
1/Ru1= ΣScn(Cn3十1)/Rn n=1
ヨ
1/Ru2=ΣS6n(scn−cn3)/Rn n;1
㈱
(26)
Aの遷移行列をφ(t)とすれば四式からeDは次式 で与えられる.
eD=φ(t)eD(0)+A−1{1一φ(t)}BE ②7>
4,発生期間の求解法
本章では位相特性を得るために必要なモード1での 各動作状態が生じている期間Ti(i=1〜12)を求める ための関係式を導き,ニュートン法でこれを解くため に必要なヤコビアンを求める.動作モード2でのTi はモード1の結果において奇数時のTiを零にすれば
よい.
まずコンデンサ電圧eDの初期値eD(0)iを求める.
添字iは各動作状態における値を示す,以下も同様な 記法を用いる.eD(0)iは初;期値と最終値との関係
lll:;に識1レ、_(T←1)}鵬)
および⑳式より次式で与えられる.なお,簡単のため FMn=ECD≡0とする.
12
eD(0)1=〔1一φ(T12, T1)〕一1Σφ(T12, Tm+1)
mコ1 ×A愚1(1一φ(Tm))bmED/RD
eD(0)j=φ(Tj_1, T1)eD(0)1
ただし,
+j̀φ(T、.1,Tm。1)A計(・一φ(Tm))
ロニユ
×bmED/RD
φ(Tj−1, Tm+1)=
b=〔1/CD1,1/CD2〕
i=≧2,m⊇≧0
φ(Tj−1)φ(Tj−2)...
×φ(Tm+2)φ(Tm+1)
φ(T」一1)
I
t
(j>m一←2)
(j=m+2)
(jくm+2)
四
6ω
(31)
第2章で説明したように,本回路はリング結合回路 を有しているため,コンデンサCD1の電圧eD1ある いはCD2の電圧eD2がインバータユニットINnの いずれか一つの巻線Nnに誘起する電圧enより小さ くなる.この結果,奇数の動作状態が生じる.従って 奇数状態iが生じている期間Tiはコンデンサ電圧 と誘起電圧が等しくなる時点で終了する.このことよ り次の条件式が成り立つ.
i誰i三il雛ll蘇}劒
偶数の期間Tiは磁心SCnのうちいずれかが飽和す ることによって決まる.従って磁心SC1に対し
紳。)・血一2噛
(謝
削卜α)・欲一一2恥軸
が成り立つ.同様に磁心SC2, SC3に対し次式が成
立する.
紅i勉(・)・d・一2N・ψ$・
瀞・噌∫卜伽
ロー2Noψs2
鈴α)・磯∫きω・砒
一2NoψS3
無①・砒一一2噛
(鋤
⑳〜図式より各期間Tiおよび初;期値eD(0)1を解 析的に求めることは困難なため,ニュートン法を用い て数値計算によりTi,eD(0)1を求める.
即ち条件式(32〜図式の右辺を左辺に移行し,それら
をfiとすればk番目の値T整からk+1番目の値
T}+1は(35)式で与えられ,fiがifil〈εを満足する まで繰返し計算を行い期間Tiを求める.
T・・LT・一 i∂f∂T)一1f(T・)
ただし,T=〔T1,T2,...T12〕t
f(T)=〔f1(T), f2(T), ..., f12(T)〕t そこでまずfiを求める.(23)および圃式から fiコaileD1(Ti)十ai2eD2(Ti) (i=奇数)
鵬}
(謝
ただし,a11コC21,a12=1+C22,a31=1−C11,a32=一C12 a51=C31, a52=1十C32, a71=1−C21, a72=一C22 ag1=C11, ag2=1十C12, a11,1=1一・C31,
a11,2=一C32 を得る.鮒,図式において Ti
軸(T・)一轣B%(・)・d・ ⑳
とすればiが偶数時におけるfiは次式で表わされる.
6
f2=Σψ1(Tm)一2Noψsl mコ1
12
f4=Σψ1(Tm)十2Noψsl m=7
10
f6=Σψ2(Tm)一2Noψs2 m=5
4 12
f8=Σψ2(Tm)十Σψ2(Tm)十2Noψs2
享n=1 m=11 2 12
flo=Σψ3(Tm)十Σψ3(Tm)一2Noψs3
m=1 m;9 8
f12=Σψ3(Tm)十2Noψs3 m=3
劔式におけるψn(Ti)は㈱,伽,
えられる.
(謝
㈱式より次式で与
ψ(Ti)=Ci A−1{一A−1(1一φ(Ti))
×(一AeD(0)i十h孟ED/RD)
÷bi ED/RD・Ti} (3窃 ただし,ψ(Ti)・=〔ψ1(Ti),ψ2(Ti),ψ3(Ti)〕ち 次に圃式中のヤコビァン∂f/∂Tを(36),㈱式より求 める.㈹式より、
∂fi ∂eD1(Ti)
∂eD2(Ti)
∂Tj+a 2∂Tj 孤=ai1
となる.上式における∂eD(Ti)/∂Tjは伽式から次式 で与えられる.
∂eD(Ti)
∂Tj
φ(T・){一A・eD(・)・
+h・{婚噌響}(i−j)
∂eD(0)i φ(Ti)
∂Tj (i≒j)
㈹
なお⑳式はiが偶数,奇数にかかわらず成立する.i が偶数時の∂fi/∂Tjは∂ψ(Ti)/∂Tjが分れば求めら れる.G9)式から㈹式の結果を考慮すれば∂ψ(Ti)/∂Tj は次式で与えられる.
∂ψ(Ti)
∂Tj 亭
C・A−1i∂eD(0 ∂Tj) 一∂e鍔 )
+h・{吾) (i−j)
C・A−1i∂eD(0 ∂Tj)i一∂響 ))(i≒j)
(41)
㈹,ω式における∂eD(0)i/∂T」は次の繰返し計算 によって求める.まず状態1における∂bD(0)1/∂Tj を求める.これは(29),60}式から
∂e・̲)1一(1一φ(T・・T1))一1φ(T1。T、)
×(一A・・D(・)・+b・{吾)
で与えられ,(40)式から∂eD(T1)/∂Tjが求まる.
に⑳式の関係から次式が成立し,
∂eD(0)i ∂eD(Ti_1)
∂Tl 一 ∂Tj
∂eD(0)2/∂Tjが求まる.
ての∂eD(0)i/∂Tjが求められる.
}圃
さら
(娼}
以下この繰返しによって全
以上の結果を用いて適当な初期値麟から各動作 状態が生じる期間Tiが求められる.
5.位相特性
本章ではインバータユニットIN1の抵抗R1,磁心 SC1の飽和磁束ψs1あるいはコンデンサCD1の値 が変化した時の三相出力の位相特性を前章の式を用い 数値計算によって求め,位相角の回路パラメータに対
する依存性について検討する.数値計算に用いた回路 定数を以下に示す.No=500T, NB=250T, NS・=
80T,ψsn=2.75×10−4wb, ED=150V, Rn≡Ro=
20ρ,R競=R乱=509, RD=5009.位相歪を次式で 定義する。このうちdθ4は120。からの歪,dθ8は240。
からの歪を表わしている.
ωΣT圭一30i J=1
>〈 100 (%) (441
dθi=
180
〈5.1>抵抗R1を変えた場合抵抗歪dRに対する 位相歪の関係を第5図に示す.図はリング結合抵抗 Rsをパラメータとし,(a)図は抵抗Ro=209,(b)
図はRo=109時の特性で抵抗歪は次式によっている.
ただし,Ro=・R2=R3である.
dR=(R1−Ro)×100/Ro(%) (45》
図は抵抗R1を増加した時の特性で,減少した場合 も同様である.Rs=19,49の特性はモード1,
Rs=13.69,。Qの特性はモード2の場合のものであ る.抵抗R1のみを変えた場合にはdθ2=dθ8,dθ4
=dθ10であるため正・負対称の出力波形が得られ,
R1が増加するとモード1では期間T3+T4および Tg+Tloの幅が広がる.モード2では期間T2,T6 が広がりT4は狭くなる.
位相歪dθ4は結合抵抗Rsが大きい程小さく, dθ8 はその逆であり,抵抗Roが小さい程dθ4, dθ8は小 さくなる.コンデンサCD1, CD2が小さい場合もRo と同様な結果を得る.図から抵抗R1のバラツキに対 しリング結合回路が有効であることが分る.
<5,2> コンデンサCD1を変えた場合 コンデンサ 歪dCDに対する位相歪の特性を第6図に示す. dCD は抵抗歪dRと同様な式より求めている.コンデン サCD1を増やした場合にはdθ4=dθ8=0でdθ2
=dθ6−dθ10であるから正の部分が負の部分より短
s
喜 2
1
0
§
3−1
℃
一2 Rs=。。
Ddθ4・・
2
4 S
喜113.6
−dθ4
25
dR(%)
50
Rs=1Ω
oo 13.6 4
0
§・
♂・陶1
℃
一2 一dθ S
Rs=◎0
工3.6 4 1論
一dθ4
25 50 dR(%)
Rs嵩1Ω
OD 4 13.6
(a) RO冒20Ω, CD諄40μF (b) RO=10Ω・ CD菖40μF
Fig.5 Phase distortorion obtained by varying the resistance R1.
い正負非対称の波形となる.
位相歪dθ2は結合抵抗Rsが小さいと大きくなり,
抵抗R1の場合と逆の結果である.これはRsが小さ いとリング結合回路を通してコンデンサの電荷が早く 放電し,磁心にかかる電圧が小さくなるためである.
従って抵抗Roが小さいと位相歪は大きくなる.
市販の電解コンデンサの許容偏差は一10%〜+50%
ないし+75%程度であるたあ,結合抵抗Rsを13.69 とし回路をモード2で動作させれば位相歪は±0.5%
以内におさえることができる.
このコンデンサのバラツキによる位相歪はコンデン サと並列に高抵抗(数十K9)を接続し,この抵抗を 調節することによって歪を是正することができる.
〈5.3>飽和磁束ψS1を変えた場合 この場合の特 性を第7図に示す.飽和磁歪dψsも抵抗歪dRと同 様な式より求めている。ψs1が変化した時の特性は抵 抗R1が変化した場合の傾向と同様であるが,抵抗の
2 4 Rs=1Ω (馨N
Rs=20Ω
13.6 毛 CD=40pF
1 oo
dCD(弘)
25 50
一50 一25 oo
13.6 de2=dθ6=dθ10
сニ4=dθ8=0 一1 4
Rs=1Ω
Fig.6 Phase distortion obtained by varying the capacitance CD1.
§ Φ℃
Rs認1Ω 4 13,6◎o 4 oo 14
一dθ4
dθ8 dθ4
13.6 2 Rs=13.6Ω
一10
20 10 20
dθ4 dψs(弘)
一2 dθ8
4 1 一de4
掾 一4
◎o13.6 1 S dθ2・=dθ8, dθ4=dθ10, dθ6=O Ro冨20Ω, CD=40μF
Fig.7 Phase distortion obta五ned by varying the saturation Fluxψs1.
場合と比べ歪の割合は大きい.これは本回路は磁束の 飽和による発振現象を利用して三相出力を得ており,
飽和磁束の変化は直接特性に影響を与えるためである.
図において第1,第3象限は位相歪dθ4を示し,第2 第4象現は位相歪dθ8を示している.
図から結合抵抗Rs=19時にψS1の偏差を±2.5
%以内におさえれば位相歪は1%内になるが,これを 0.5%以内にするには磁心の選定が必要となる.
6.むすび
ダイオードブリッジを通してのコンデンサと抵抗に よる電源電圧の分割およびリング結合を有する三相イ ンバータ回路において各素子の値のバラツキによる位 相特性について検討した結果次のことが明らかとなっ
た.
(1) 電流制限用抵抗Rnおよび飽和磁束ψSnのバ ラツキによって位相角は120。からずれ正負対称な発振 波形となる.コンデンサCDのバラツキによって位 相角は120。であるが正負非対称な波形となる.
(2)抵抗Rnおよび飽和磁束ψSnのバラツキはコ ンデンサCD1, CD2およびRn自身が小さい程,位 相歪に対しリング結合が有効に作用する.
(3)電源分割用コンデンサCD1, CD2のバラツキ に対する位相歪はリング結合は有効に作用しない.
以上の結果から抵抗Rn,結合抵抗Rsおよびコン デンサはできるだけ小さく設定し,Rnおよび飽和磁 束ψSnのバラツキを小さくおさえ,コンデンサのバ ラツキに対しては,それと並列に高抵抗を接続しその 抵抗によって位相歪を補正する方法がよいと考えられ ●る.
実際に回路を構成する場合には,全ての回路素子に バラツキがあり複合的な位相歪が生じる,この場合の 位相歪とその補正法および三相発振の安定性と回路定 数との関係等について検討する必要がある.
文 献
1)K.Harada&M. Nagao;Proceeding of lst INTELEC, p.335(1978)
2) K,Harada, et a1.;Proceeding of 2nd Inter.
Conf. on Electrical Variable−Speed Drives, IEE,
No.179,46(1978)
3)長尾・原田;電学論50−C22 p.161(昭56−7)
4)K.Harada&M. Nagao;Proceeding of 3rd INTELEC, p.144(1981)