• 検索結果がありません。

大腿吸着式四辺形ソケットの内圧の変化

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "大腿吸着式四辺形ソケットの内圧の変化"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

大腿吸着式四辺形ソケットの内圧の変化

中野 裕之1} 細田 鶴崎 俊哉1) 大島 田原 弘幸1) 池田

多穂2) 井口  茂1)

吉英1) 千住 秀明n 定倫1) 穐山富太郎1)

要 旨  義足歩行時の大腿吸着式ソケットの内圧変化を明らかにした.

 1.坐骨結節レベルの最大圧力値は,長内転筋チャネル部,ハムストリングスチャ ネル部,内壁中央部の内壁が高かった.

 2.坐骨結節部下5cmレベルではソケット外側の大殿筋チャネル部,大転子部に加

圧されてくる.

 3.接踵期に後壁から加重され踏み切り期に前壁へと内圧が移行する.

 4.坐骨結節部は歩行周期を通じてその圧力は他の部位に比べ大きなものではなか

った.

       長大医短紀要3:99−102,1989

Key words:大腿吸着式四辺形ソケット,内圧変化,歩行周期,チャネル

はじめに

 大腿吸着式四辺形ソケットは,①体重の支 持,②義足の懸垂,③力の伝達,④外部情報 の受容と伝達などに優れている利点を持ち,

現在多く用いられている.大腿義足における 体重支持は,主として坐骨部とソケット内面 全体で行われ,特に後者における支持性が上 に述べた長所を生み出していると考えられる.

よい装着感を生むためには単位面積当りの圧 力を減少させ体重の分散をしていかなければ ならない.また,力の効率的伝達にはソケッ

トと断端の間に常に安定した結合状態を保た なければならない.さらに地面状の外部情報 は断端表面に対するソケットからの圧力変化 として伝達されているといわれている.

 今回われわれは大腿吸着式四辺形ソケット の役割を知るとともに義足歩行を内圧の変化 から各壁の働きにっいて検討を加えた.

対象と方法

 対象:大腿切断者5例で切断後3年以上を 経過したもので大腿吸着式義足を常用してい るものとした.義足は常用の大腿吸着式ソケ ット,単軸膝継手,F.J足部を使用し,自由 歩行をさせた.

 装置:半導体ロードセルの圧力センサー

(豊田工機社)を用いた内圧測定器に歩行周 期を同調させマイクロコンピューターで処理

した.

 測定部位:①長内転筋チャネル部,②大腿 直筋部,③大転子部,④大殿筋チャネル部,

1 長崎大学医療技術短期大学部理学療法学科  2 東京医科歯科大学理学療法部

一99一

(2)

中野裕之他

⑤坐骨結節部,⑥ハムストリングスチャネル 部,⑦内壁中央部を坐骨レベルとそれより下

5cmごととした. (図1)

後壁にあたる大殿筋チャネル部,坐骨結節部,

側壁の大転子部の最大圧力値は前者に比べ大 きなものではなかった.

1 7 6

5

2

4

3

2.坐骨結節下5cmレベルでの最大圧力値  (図3)

 この高位ではソケット外側に力が働き.外 側への支持力が高められている.これは後壁 外側にあたる大殿筋チャネル部,側壁の大転 子部の最大圧力値が高いことから理解できる.

一方,坐骨結節レベルでソケット内圧が最も 高かった内壁の圧力は減少した.坐骨結節部 はここでも他に比べ最大圧力値は小さいもの であった.

1長内転筋チャネル部 2大腿直筋チャネル部

3大転子部

4 大腿筋チャネル部

結 果

5坐骨結節部

6 ハムストリングスチャネル部    9々㎡

7内壁中央部

図1 測定部位

1.坐骨結節レベルでの最大圧力値(図2)

 坐骨結節レベルでは,長内転筋チャネル部,

ハムストリングスチャネル部,内壁中央部の 三部分に最も加重されており,ソケット内壁 が体重支持面として働いていることがわかる.

50

!軸噛、軸一噸

,     、

   、   、    、

、    一一一一一一 ヤー一

長チ大チ大大チ坐ハリチ内 内ヤ腿ぎ転 ヤ骨ムンヤ壁

 不  不    腿ネ 結   ネ 中 転ル 直ル 子  ル 節 スグル 央 筋部 筋部  部  筋部  部 トス部 部

図3 坐骨結節下5cmレベルでの最大圧力値

9/CI㎡

50

、、

、、

 、

.6 喝『

!』臼、、、、、

長チ 大チ  大  大チ  坐 ハリチ 内 内ヤ 腿ヤ 転  ヤ

 不  不    腿ネ 転ル 直ル  子   ル 筋部 筋部  部  筋部

骨 ムンヤ壁 結   ネ 中 節 スグル央 部 トス部部 図2 坐骨結節レベルでの最大圧力値

3.歩行周期におけるソケット内圧の変化

 ,(図4)

 歩行周期からソケット内の圧力変化をみた.

内壁は長内転筋チャネル部,前壁は大腿直筋 チャネル部,側壁は大転子部,後壁は大殿筋 チャネル部と坐骨結節部どした.

 接踵期から足平期にかけて大殿筋部に第一 峰がみられる.この時期の制動力が後壁に働 いていることを意味している.大殿筋部では その後,抜重効果が現れ第二峰の出現は著名で はなく遊脚期に移行してしまう.他の部位で も第一峰がみられたが第二峰に比べ低い値を 一100一

(3)

大腿吸着式四辺形ソケットの内圧の変化

9らm2

50

■o=坐骨

▲□:坐骨5cm

 △:坐骨10cm 長内転筋チャネル部

f一一鞍攣劉三

HSFF HO ▲〜  義1

 TO     Iis

50

大腿筋部

A

25

■一一

『一一一輔コD

一 暫 一  一   F 一一一一妻ff一一一二 解:=:2τ

一  一

HS FF HO TO HS

50

大腿直筋チャネル部

 ロー該 一一_一△一

一一一一一A−−一

50

25

HS FF HO TO HS

坐骨結節部

HS FF HOTO HS

50

25

大転子部

!!

HS FF HOTO   HS

図4 歩行周期におけるソケットの内圧変化

示している.立脚中期はどの部位も抜重して きているにもかかわらず,大転子部でこの時 期から第二峰への加重がみられた.踵離期か ら離尖期の踏み切り時期に長内転筋チャネル 部,大腿直筋チャネル部に加重され,内壁,

側壁で歩行の推進力である駆動力の圧力が加 わってくる.坐骨結節部は第一峰,谷,第二 峰を有し正常歩行の床力波形に類似した圧力

変化をしめしたが,歩行周期を通じてその圧 力は大きなものではなかった.

まとめと考察

 大腿吸着式四辺形ソケットは坐骨受けをつ くり,これに坐骨結節部を乗せ体重支持をし ていると考えられているが,今回の結果から 坐骨結節部より内壁部の加重が大きいことが 一101一

(4)

中野裕之他 わかった.ISNYソケットが内壁に炭素繊維

を用いることや四辺形ソケットの内壁の亀裂 の多いことあらもあきらかである.また,大 腿切断患者の歩行時の会陰部の疹痛も内壁加 重に起因していると考えられる.このように 荷重の一部分への集中による体重支持の方法 としてCAT/CAMなどソケット全体への分散 が注目されてきている.

 坐骨結節部の役割についてRadocliffeは接 踵期の膝の安定1)に,竹内らは踏み切り期の膝 の安定に作用すると述べている2)が,坐骨結節 部の加重は少なくむしろ後壁全体の圧力が接 踵期に前壁全体の圧力が踏み切り期での体重 支持に働くとともに膝の安定に関与している と考えられる31また,立脚中期から踏み切り 期で外壁に加重され左右の安定に作用してい ると考えられた.これらのことから正常歩行 の床反力と同様にソケット内において床反力 作用点の移動がなされていることがわかった.

また,ソケットの内圧の変化は,歩行周期で の筋収縮にも影響されていると思われた.

文献

1.C.W.Radcliffe:A baiomechanical ba−

 sis f or the 〔iesign of prosthetic knee,

 Joumal ofthe society biomechanisums,

 vol.4。PP68−88少1980.

2.竹内孝仁,奥村信二,林 承弘,細田多  種,岡安正夫,中野裕之,石原政文,小  野晋:小型ホースプレートによる大腿  義足の坐骨部支持量の計測,第2回日本  義肢装具研究会誌,p3.1980.

3.中野裕之,細田多穂,岡安正夫,野本彰,

 原 和彦,竹内孝仁,磯部 饒,大腿吸  着式ソケットの内圧に関する一考察,理  学療法学11,pp47,1984.

      (1989年12月28日受理)

一102一

参照

関連したドキュメント

断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

 当社は取締役会において、取締役の個人別の報酬等の内容にかかる決定方針を決めておりま

12―1 法第 12 条において準用する定率法第 20 条の 3 及び令第 37 条において 準用する定率法施行令第 61 条の 2 の規定の適用については、定率法基本通達 20 の 3―1、20 の 3―2

②防災協定の締結促進 ■課題

【その他の意見】 ・安心して使用できる。

Hoekstra, Hyams and Becker (1997) はこの現象を Number 素性の未指定の結果と 捉えている。彼らの分析によると (12a) のように時制辞などの T

・ 各吸着材の吸着量は,吸着塔のメリーゴーランド運用を考慮すると,最大吸着量の 概ね