計測自動制御学会中国支部津山地区計測制御研究会講演論文集(2012年2月4日)
実践的シーケンス制御実験装置の導入
〜モジュール開発と性能評価〜
○西川弘太郎* 牧野俊昭** 大原守**
*
津山工業高等専門学校**
徳山工業高等専門学校Introduction of a Practical Sequence Control Experiment System
〜 Module Development and Performance Evaluation 〜
○Kotaro NISHIKAWA
*
,Toshiaki MAKINO **
and Mamoru OHARA **
* Tsuyama National College of Technology ** Tokuyama National College of Technology
1. はじめに
津山高専電子制御工学実験Ⅱにおいて,シーケンス制 御の実験をおこなっている.平成22 年度,旧型のステ ッププログラム方式のPLC から現在主流のラダー方式 のPLC へ変更し,実験装置を更新した1).結果的に好評 であったが制御対象については限定された実験しかで きないものであり,学生からは「より実践的な実験がし たい」との意見もあった.そこで,職業能力開発促進セ ンター(ポリテクセンター)などに納入実績のある,
FA
実習システムの検討・導入をおこなった.今回は,開発 したモジュールと性能評価について報告する.2. FA実習システムについて
生産現場では,生産性向上や工数削減のため生産ライ ンの新設・改良がめまぐるしくおこなわれている.技術 者は,そのような状況に即座に対応し所望のシーケンス 制御を構築することが要求される.本実験装置は,各モ ジュールを工場の生産ラインのように自由に組み合わ せることで多様な実験が可能であり,技術者に必要な応 用力を身につけることができる.このことから,本実験 装置の導入を決定した.
FA実習システムの代表的なモジ
ュールをFig.1に示す.そのほかのモジュールとして,ロ ボットアーム,エアシリンダ,モータ,回転テーブルが ある.実験では,これらのモジュールをラダーシーケン スで制御する.しかし,本実験装置は個々のモジュール が高価であるため,追加購入が困難である.そこで,実 践的な生産ライン実験を想定し,独自に新モータモジュールの開発をおこなった.
Fig.1 Belt conveyor 3. 開発したモジュール
開発した新モータモジュールは,制御性から減速機付
DCモータを採用した.外観写真をFig.2に示す.本モジ
ュールは,ベルトコンベアなどで使用し回転・停止を繰 り返すことから,ブレーキ機能を付加した.なお,寸法 関係は純正ACモータをもとに設計しており,純正モー タと同様にベルトコンベアなどのモジュールに接続が 可能である.新モータモジュールの電気回路図をFig.3 に示す.リレーを2 個使用しDC モータを正転・逆転す ることができる.また,DC モータ停止時の逆起電力対 策として,回路内にフライバックダイオードを設けてい る.Fig.2 New motor module
Fig.3 Electric circuit
4. 新モータモジュールの性能評価
モータモジュールは,回転・停止を繰り返すため,モ ータのブレーキ性能が重要になる.新モータモジュール のブレーキ性能を純正モジュールと比較するために性 能評価実験をおこなった.実験は,モータをベルトコン ベアに接続しワーク停止後のオーバーラン量を計測し た.始動信号,停止信号とともにポテンショメータでモ ータの回転を検出し,ディジタルオシロスコープで計測 した.
Fig.4 New motor module no brake
Fig.5 Genuine module no brake
Fig.6 New motor module with brake
Fig.7 Genuine module with brake
ブレーキなしの実験結果をFig.4〜5に示す.新モータ モジュールは純正モジュールと同様にワークのオーバ ーランが発生した.新モータモジュールが29.1mm,純正 モジュールが20.6mm のオーバーランとなった.これら のオーバーラン量では,ロボットアームでワークを吸着 することは不可能である.
次にブレーキ有の実験結果をFig.6〜7に示す.新モー タモジュールは,オーバーランすることなくワークが停 止し純正モジュールと同等のブレーキ性能を有する結 果となった.この場合は,正しい位置に停止するので,
ロボットアームでワークを吸着することができる.さら に,新モータモジュールは,純正モジュールと比較して モータの立ち上がり速度が約1.2倍であった.したがって,
新モータモジュールはモノを送るベルトコンベア用に 最適と判断した.始動信号からモータが立ち上がるまで の遅れ時間については,モジュールの違いやブレーキの 有無による差異は見られず約10msとなった.
これらのことから,開発した新モータモジュールは純 正モジュール以上の性能を有する.ちなみにコスト面で は,新モータモジュールは純正モジュールの約1/10であ る.
5. おわりに
今回は,
FA実習システムの導入と新モータモジュール
の開発をおこなった.これにより,
FA実習システムの拡
張性が向上し,より実践的なシーケンス制御実験が可能 になった.今後は,新たなモジュールの性能評価を含め た開発を進めていき,学生実験に適用する予定である.参考文献
1)西川弘太郎:若手技術者育成型シーケンス制御教育システム の開発,津山工業高等専門学校紀要,第52号,105/109,(2010)