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ワンボードマイコンを使用した学生実験

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Academic year: 2021

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(1)

NDC 549.92

ワンボードマイコンを使用した学生実験

一1[II]. AD変換器のシミュレーション一

息 田 .正* 岸 本 俊 祐**

(昭和54年4月25日受理)

An Applicatjon of Microcomputer to Experiments for Students 一皿.Simulations of Analog・to−Digital Converters一

Tadashi OKADA and Shunsuke KisHiMoTo

(Received April 25, i979)

 A microcomputer is applied to the experiment for  the students of electric engineering.

 The purpose of this experiment is to make the students learn the microcomputer and its operation by means of simulation of analog−to−digital converters.

 By using one hardware system, two types of oonverters based on the different principles, successive approximation type and tracking type, are simulated.

1.ま え が き

 最初のマイクロコンピュータ(マイコン)が,1971年に現 われてから,その著しい応用分野の拡大には目を見張らさ れるものがある。工学系(特に電気系)の学生にとって,マ イコンに関する基本的な知識をもつことは,もはや不可欠 になりっつある。このような状況をふまえて,我々はこれ らの学生に,体験を通してマイコンの基本的な知見を与え るため,マイコンを応用した学生実験を開発してきた1)。

 まず,本校応用物理実験で,既存の装置や方法では実現 が困難な新しい実験テーマを作り,実用化した2)3)。これ らのテーマは,学生にマイコンの有用性を理解させること を第1目的にしている。今回は,マイコンの基礎技術修得 を目的としだ電気工学用の実験 AD変換器のシミュレー

ション について述べる。

 マイコンを使用する上で,外界のアナログ量とマイコン を結ぶAD変換器, DA変換器は重要な位置を占める4)。

そこで,AD変換器の原理を理解しながら,マイコンの基 本動作を実験することにする。このため,簡単なモニタプ

ログラムがROMに入っているワンボードマイコン(NEC:

TK−80)5)を使い,これとDA変換器コンパレータを組 み合わせる。マイコンを制御部として,同一ハードウェア で,ソフトウェアの変更により逐次比較形と追従比較形の 異なる方式のAD変換器をシミュレーションしている。

 このことを通して,マイコンの基礎技術を修得できる実 験となったので報告する。

*電気工学科

**応用物理

2.AD変換器と実験の目的

 マイコンを実際に応用する場合,周辺回路が最も問題と なる。特に,外界のアナログ量をAD変換してマイコンに 伝えること,逆にマイコンのディジタル量をDA変換して 外界に伝えることが必要となる。このため,各種のインタ フェースLSIやAD・DA変換ICが実用化されている4)。

しかし,マイコンを知らない学生に対した基礎的な実験で は,これらのICを直接採用する前に,できるだけ簡単な 要素を組み合わせてシミュレーションを行なわせ,原理の 理解に重点を置いた方が望ましいと考えられる。

 そこで,Fig・1の逐次比較形AD変接器を取り上げ,コ ンパレータとDA変換器はICを使い,制御部をマイコン に受け持たせることにする。マイコンは,逐次近似レジス

一25一

(2)

津山高専紀要第17号(1979)

タとして働くが,ソフトウェアの変更でアップダウンレジ   として,8ビットのDA変換器につなぐ。このDA変換器 スタとすれば,容易に追従比較形AD変換器を実現するこ  は,基準電圧外付け,フルスケール2mAの電流出力とな ともできる。      っている10)。基準電圧は,変換の最小桁が10mVなので,

      温度係数等の問題はほとんどなく,3端

柵燈噌一 T難論霞諺1門門

      スケール調整を行なうが,ここでは,簡       単のため2.55Vとする。また,電流出力       DA Converter

      は,演算増幅器により電圧出力に変換す       る。

   晦1盤鑛邪思欝apP「ox mat on (o「t「ack ng)  ・ン.・eレー・は,位相礫・ンデ・サ

      外乳の演算増幅器を,コンデンサなしで  こうして,マイコンの基礎技術を理解させながら,AD

変換器の原理を理解させることができる。また,マイクロ プロセッサを応用する場合,どこまでをハードウェアに受 け持たせ,どこまでをソフトウェアとするかということは 重要があるが6),そのことを教えるための例を与えること ができる。

 実験の開発・指導に当って,マイコンのコンピュータ的 側面からコンピュータ理解の一助とするという行き方もあ る7)。しかし,我々は,マイコンも個別ICの延長上にあ る,自由度の大きい回路素子という面に重要な意味がある と考え6)8)9),ここでもその思想で開発しているQ

3.ハードウェア

ハー hウェアの構成を,Fig.2に示す。

11瞳111置薩8曹雪llI−1

使用し,高速化をはかっている。さらに,ダイ」t 一ドと抵 抗でレベル変換をして,PPIのポートCの1ビット目につ

なぐ。

4.ソフトウェア

 シフトウェアは,すべて実験時に学生に作らせることも できるが,ここでは目的がそこにないのと,時間的な制約 であらかじめ作っておき実験時に与える。Table 1.に全プ ログラムの一例を示す。

 できるだけサブルーチン化し,短い部分部分を理解しな がら全体を作るようにしている。また,8080Aの命令をで きるだけ使うようにし,実際,割り込みと論理演算に関す る種類の命令以外は使用している。

 逐次比較形AD変換器のシミュレーションでは, Bレジ 一一一一一一一一}一一 ムK−80『『.一一。

1        3一TERMINAL REGULATOR DISPLAY UNIτ

c田皿

 KEYaOARD

11塵I18

5V o U

15V

Vref D圓A

ROM

i0,75KB》

RA図

i0.5KB)

   DA

bONVER丁ER

@PORT1/o

@PPI

i8BITX3.j

8董III

OP.AMP,

CPU 8080A ANALOGUE@INPUT

一圃lICROCOMPUTER 噌一一一一一」

1

COMPARA丁OR

Fig.2 Schematic diagram of simulation of analog−to−digital converter

 マイコンは,メモリの書き込み・読み出しや,特定番地 からの実行ができるモニタプログラムを備えたものが必要 である。ここでは,広く普及していて実績のある日本電気 のTK−80(80E)5)を一部改造して使用した*。

 マイコンの入出力ポート(PPI)のポートBを出力ポート

*本実験で使わない機能を取り去った。

スタに結果を入れることとし,コンパレータのH/Lレベ ルに従って,nビット目に1を加えるかそのままかを選ん でいる。また,追従比較形では,特定の1バイトを結果を 入れておく専用メモリ領域とし,ここにコンパレータの H/Lレベルに従ってプラス1またはマイナス1する。

.初期化のサブルーチンでは,PPIのセットを行ない,

一26一

(3)

ワンボードマイコンを使用した学生実験 岡田・岸本

Table 1 All program list Address Machine Code Label Mnemonic Operand

:SUCCESSIVE APPROXIMATION ROUTIN:

2 8 4 5

2288O  CE

8   Fひ噂⊥ 232288888D230F60D77EFODC9FF21D3C94348CD704DlCC0345789CFO1258BOOOOOOO︵UO−占11111

2 8

821E

  IF   20   21

:INCREMENT SUB:784C QQ179

    ORG

S一一ST: CALL S−CON: SUB

    MOV     MVI     MOV

BIT: ADD CALLcc

MOVRRC

MOVJNC LXICALL JMP

ilNCRE: MOV     ADD     MOV     RET

1NIT8200

A

B,A A,80 C,AB

O&IINCRE

A,C

BITC,A D,DIG6

D&DS−CON

BAAC旦

82 25   28   2B  2C   2F   32   33   34   37   3A

823D  3E   3F   40

: TRACKING ROUTIN :

22  22   32288  88   8885E CD  92849 53  F62DlEDD461D3C27CC341CC

:DECREMENT SUB:D33C 85FO9

    ORG T−ST: CALL T−CON:LXI     MOV     CALL     CALL     INR     MOV     LXI     CALL     JMP DECRE: RC     DCR     DCR     RET

1NIT8225 H,DF A,M O&IDECRE

MB,M D,DIG2

T−COND&D

MM

82 45   47   49  4C   4D   50   53   55   56  57   5A   sB

:INITIALIZE SUB:

0  400  80−BO OO49FO OOO

8 2 5 5

E31911E5D2993D23303C3CFC INIT: MVI A91      タ    OUT  FB

    LXI  H,0000     DAD

    LXI  SP,DIG8+1     LXI   B,0000     MVI  A,04     PUSH  B     DCR  A     JNZ  *一2     SPHL     RET

Address Machine Code Label Mnemonic Operand 82 5C

  sE   60   61 82 62   63   65   68   69   6A  6C   6D   6E  6F   71   74   75   76   79

UB N S

 9A 1

 FF

0DDIC U3BF9T

O&1: OUT Fg     IN FA     RAR     RET

:DECIMAL & DISPLAY SUB:

2 8

4A67

0 8

8 2

AAO7

8 2 8 7

86D5A62136D3FD970CFlClF10C14CC D&D: MOV A,B

    MVI  B,64     CALL DECI     PUSH  PSW      LDAX D     ADI  80     STAX D     POP  PSW     INX   D     MVI  B,OA     CALL DECI     INX   D     MOV  C A

      コ

    CALL DISP     RET

2   

2

QQ   QQ

C   77   QO㏄EOC2DODgDO90DO8CCACDE123677778888

82 87   88   89  8C   8E   8F   90   91   92   93   94  98   9C

DECI: MV1 D,eO     SUB B     INR C     JNC *一2     DCR C     ADD B     CALL DISP     RET

F742

の コ

S

2

E5916FgE219C6FDF7026071FC567 90O66 406DF 8 BD57

DISP:

SEGD:

PUSHMOV

LXIMVI

MOVDAD MOVSTAX POPRET DBDB DB

PSW

A,C B,SEGD H,OO

BL,A A,MD PSW

5C, 06, 5B, 4F

66,6P,7D,27

7F, 6F

Jtl]iDTRESS TABEL:

DIGI一一8:EQU 83F8−83FF

DF: EQU 829E

Note:All numbers are expressed in hexadecimal.

DMAにより読み出され衰示される内容をクリアしてい る。この時,スタックポインタに関する命令を使いたかっ たので,PUSH命令で一度に2バイトずつクリアしてい

る。

 8ビッ1・2進数の10進数化は,簡単のため2.55Vをフル スケールとしたので,100,10をそれぞれ引けるだけ引け ば,それぞれの回数が結果となる。続いて,最上位の桁の

ドットポイントを点蔦させている。

 表示のサブルーチンでは,セグメントデータを備えてお き,TK−80のモニタフ。ログラムに立ち入ることなく処理 している。このため,TK−80のモニタプログラムは,プ

ログラムの書き込み,修正のためだけに使っている。

全プログラムは,約150バイトで学生がキrを押して入 力してもさほど負担にならない量となった。

5.実験手順と結果

 学生が実験を行なう場合の手順は,次のようになる。

 指導者より,マイコンに関する概説,8080Aの概要, T K−80の取り扱いについての説明を受ける。続いて,逐次 比較形AD変換器の原理を学ぶ。

 逐次比較形のシミュレーション部分のプログラム(アド レスまで振り付けた完全なもの)と流れ図をもらい,命令

一27一

(4)

津山高専紀要第17号(197g)

の意味,実行の流れや操作の方法等を学び,実行させてみ

る。

 各サブルーチンプログラム(ニーモニックコードのみか らなるもの)をもらい,流れ図を作り,マシンコードを調 べ,アドレスの振り付けを行なう。

 逐次比較形のシミュレーションプログラム全体を完成さ せ,実行させる。

 追従比較形AD変換器の原理を学び,この部分のプログ ラム(ニーモニックコードのみからなり,一部未定の部分 があるもの)をもらう。適当な命令を補充し,追従比較形 のプログラムを完成させ,実行させる。

 逐次比較形と追従比較形を,同時に実行させてみる。

 このように,ブロックごとに理解しながら,段階的に進 んでいけるようになっている。これらを,約5時間の実験 時間で行なう。

 Fig.3に,プログラムが完成し,乾電池の電圧を測って いるところを示す。ディジタルテスタの表示値が詳しい値 であり,マイコンの表示用LEDの右側に逐次比較形によ る,左側に追従比較による値が,それぞれ表示されてい

る。

Fig.3 Operating result

6.む  す  び

 マイコン応用上重要な,AD変換器をシミュレーション することにより,マイコンの動作を理解させると共に,A

D変換器の原理も知らせることができる実験テーマを開発 し,電気工学実験(4年次)へ導入した。

 このテーマでは,逐次比較形と追従比較形との,異なる 方式のAD変換器を,ソフトウェアの変更で実現している ので,特にマイコンにおけるハードウェアとソフトウェア の機能分担についての理解が得られ,有効な実験となっ

た。

 マイコンに関する学生の理解度には,かなりの差が見ら れたが,マイコンに興味の薄かった学生も,一応の基礎技 術は修得できるものと思われた。

 しかし,重要な概念である 割り込み については触れ ていないので,今後この概念の修得できる実験を開発した

い。

 マイコンを応用した実験の開発・指導に当っては,マイ コンを自由度の非常に大きい回路素子という考え方で扱っ ているが,今後もこの方向での応用も進むものと思う。さ らに,8080A以外のマイクロプロセッサを取り入れること を含め,技術動向の推移を積極的に受け止め,学生実験に 生かしたい。

最:後に,何かと御援助願っている本校近藤只雄教授に深 く感謝致します。

1)岡田・岸本,信学技報,ET 78−8(1978−9),21.

2)岸本・岡田,津山高専紀要,16(1978),1・

3)岸本・岡田,津山高専紀要,17(1979),1.

4)田丸計測と制御,17−5(昭53−5),41.

5)日本電気,μCOM−80トレーニング・キットTK−80E/

  80ユーザーズ・マニアル,(1978−2).

6)三浦・石川,システムと制御,22−2(1978),61.

7)阿草,インターフェース,3−3(1977−6),112.

8)大川,マイクロコンピュータプログラムの作り方,

  (1976),157,産報出版.

9)松本,私だけのマイコン設計&製作,(昭52),5,C   Q出版.

lo) MOTOROLA, Semiconductor Data Library/Linear

  I/C S Vol. 6, (1976) , 5−54.

一28一

Table 1 All program list Address Machine Code Label Mnemonic Operand

参照

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