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「CVQCV リ」型のオノマトペ

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(1)

長崎大学留学生 セ ンター紀要

10

2002

53

「 CVQCV リ」型のオ ノマ トペ

守山 恵子

キーワー ド :オ ノマ トペ、擬態語、擬音語

1

.は じめに

擬音語、擬態語 として、 よ く知 られて いるのは、 「 パ ンパ ン

「 シ トシ ト」

な どという、

2

音の語基 を重ねた畳語である。 しか し、擬音語、擬態語 は この 型の語以外 にも、 い くつ もの型の語がある。擬音語、擬態語 を総称 し、 また、

それだけでな く、言語音 とある状況 を関連づけて使われて いる語がオ ノマ トペ だが、ある特定の語がオノマ トペか否かは、 どんな基準で判断できるのだろうか。

このことを考えるために、オノマ トペの定義の例 を以下にあげる。

『日本国語大辞典』 ( 第二版) には、 「 オ ノマ トペ」 と 「 オ ノマ トペ ア」 が 見出し語 として取 り上げ られていて、以下のように説明されている。

「 オノマ トペ 【 名】

(

フ ラ ン ス

onomatopee)

擬声語および擬態語。擬音語。オ ノマ トペア。 *川端康成の文章

(1952)

( 臼井吉見) 「このオ ノマ トぺが またひっき りな しに出て くる

」」

「 オノマ トペア 【 名】 ( 英

OnomatoIXだia)

《オノマ トピーア》 「 オノマ トぺ

に同 じ。 *常識修辞学 (

1909)

( 五十嵐力)二 ・四四 「 英語 にてはオノマ トピーア

(onomatopoeia)

といひ」」

『 広辞苑』 ( 第

5

版) には、 「 オ ノマ トペア」 が見出 し語 として取 り上げ ら れていて、 「 擬音語 に同 じ」 とな って いる。 「 擬音語」 の項 を見 ると、 「 実際 の音 をまねて言葉 とした語」 と説明されて いる。その項 には 「 擬声語。 オ ノマ トペア.オ ノマ トペ。」 とも書かれて いるo 「 擬声語」は 「 ( 彰擬音語 に同 じ。

② 人 ・動物 の声 をまねた語。 〜‑擬態語」 とある。 「 擬態語」 は 「 視覚 ・触覚 な ど聴覚以外の感覚 印象 をことばで表現 した語。‑擬音語 ・擬声語」 と説明 さ れている。

オ ノマ トペは擬態語、擬音語、それ に加 えて擬声語、擬情語 にも分類 され る ことがあるが、 これ らの語だけをさすのではな く、実際の音を言語音でまねた り、

ある感覚や状況 を特定の言語話者が言語音 に対 して共通 にもっている感覚 を利

(2)

54 「CVQC

Vリ」型のオノマ トペ

用 して表現 した ものをすべて含んで いる。特 に諸語のオ ノマ トぺ研究の場合は、

言語 によっては擬態語、擬音語 という言語範晴がハ ッキ リしない言語 も多いので、

擬態語、擬音語 に限定す る ことがで きない。 しか し、 日本語の場合は、擬態語、

擬音語な どとそれ以外の一般語桑の区別が比較的はっき りしている と考 え られ る1 )。 このことは、擬態語、擬音語の辞典がいくつ も編 まれていることか らもわ かる。 また、国語教育の中で、擬態語、擬音語が取 り上げ られることがあること、

ある音 を聞いて、 どのよ うに擬音語で表現す るか というクイズが簡単 に成立す る こと、その場限 りの新 たな擬態語や擬音語 を生み出す ことが誰で もできるこ とな どか らも、 日本語母語話者 には漠然 とではあって も、擬態語や擬音語 に対 する共通認識があると考 え られ る。 日本語 のオ ノマ トぺ研究では、擬態語、擬 音語 を総称す る語 としてオ ノマ トペが使われ る ことが一般的であるので、本稿 でも、擬態語、擬音語の総称 をオ ノマ トぺ とす る。

日本語オノマ トペの形態は40ほどに整理できるが

2)

、そのうち、 「 バタバタ

や 「 とリヒリ」 といった

2

音の語基 を持つ畳語、つま り、

CVCV‑CVCV」

型 の数がもっとも多い。

2

音の語基を持つ畳語がすべて 「 オ ノマ トペ」か というと、

例えば、 「 たびたび

「 ついつい

「 よくよく

「 粛々 ( しゅくしゅく)

「 皆々 (うつ うつ)」 な どがオ ノマ トペではない ことか らもわかるように、そ うでは ない

3)

0

2

音の語基を持つ畳語 に次いで、数が多いのが本稿で取 り上げる 「 さっぱ り」

「 あっさり」などのような

2

拍 目が促音、

4

拍 目が 「り」の

4

指の

CVQCV

リ」

型のオ ノマ トペである。 この型のオ ノマ トペについて、 田守 ら (

1999)

は以下 のよ うに述べている。 「 ‑‑・ 語基の存在が認め られず、 同 じ音韻形態 を持つ語 であ りなが ら、一方が他方 よ りオ ノマ トペ的で あると感 じられ るという主観的 な印象だけで両者を区別するのは理 に叶っていないので、本書では

CVQCVri

と いう音韻形態を持つものは、便宜上、すべてオノマ トぺとして考察の対象とする」

(p.24)

本稿では、 この

CVQCV

型のオ ノマ トぺの特徴 を考察 し、 これ ら をすべてオ ノマ トぺ と考 えることができるか どうか、オ ノマ トぺだ と判断 され \ にくいとすると、それはなぜかについて、考察する。

2. 「CVQC

Vリ」型のオノマ トペ

2‑1

「 CVQC Vリ」型の語

「 CVQC Vリ

型の語は実際どのくらいあるのだろうか。 『 広辞苑』 ( 第

5

版)

(3)

長崎 大 学 留 学 生 セ ン ター紀 要 第10200255

お よび

3

冊 の擬 音 語擬態語 辞 典 に、 見 出 し語 と して あ るいは 同義語 や 派 生語 と して収 録 されて い る言 吾を表

1

に示す。 これ ら、

3

冊 の擬 音語 擬 態語辞 典 はつ ぎ の とお りで ある。

1:

『 擬音語擬態語使 い方辞典』第

2

版 阿刀 田稔子 ・星野和子

1995

創拓社

2:

『 擬音語 ・擬態語辞典』 天沼寧編

1974

東京堂 出版

3:

『 擬音語 ・擬態語辞典』 浅野鶴子編

1978

角川書店

1 CVQCV

リ」 型 と対応す る語 の辞典収録状況

CVQCV

辞 典 /広 辞 苑 促 音 無 し 広 辞 苑辞 典 /

畳 語

辞 典 /広 辞 苑

うっちゃり

さつこリ

しゃっくり しよっきり じよっぼ り つ つぼ り

てっちり

でつちり

とったリ

とつとり

ぽ っか り

はつとリ

ひ っきり ひ っつ り ひっぼ り ぶ つきり ぶ つしやり へ つび り

ぽ っくり ぽくぽく

もつきり

や っぱ り

よったリ

うっそり

きつきり

こつきり

ざつぶ り しっぽ り

(4)

56 「 C V Q C Vリ」型 のオ ノマ トペ

Lやつぶ り 広

たつしり 広

ちつくり 広

ちよっぼ り 広

つつくり 広

つつぼ り 広

てっきり 広

でつくり 広

とつけり 広

ぬつぺ り 広 ぬつぼ り 広

ねつこり 広

のっとり 広

はったり 広

ほっこり 広

ほったり 広

ほっちり 広

ぼってり 広

まったリ 広

ゆ つす り 広

のつしり 症 のしの し 広

ぱっくり 1 ぱくり 広

ぴった り 1 ぴたぴた 1

ひょっくり 2/

ほっしり 伝 ほしほし 症

ほっそり 2/

ほっとり 広 ほとほと 広

がっか り 1,2/広 ずっぷ り 1.3/

のったり 広 のたり 2/

ぽっか り 広 ぽか ぽか 1.2

あっさり 1,2.3/

うつす り I.2/広 うすうす 広

おっとり 1.2,3/広 か っきり 1.2,3/広 がっしり .2.3/広 がっぷ り 1.2.3/広 がっぽ り 1.2,3/広 きっか り 1.2.3/広 きっぱり 1.2.3/広 くっきり 1.2.3/広 さっぱ り 1.2.3/広 しっかり ,2.3/広 しっぽり 1.2,3/広 すっきり 1.2,3/広 そっくり 1.2,3/広 ちょっぴ り 1,2.3/広 でっぷ り 1.2,3/広 とっぷ り 1.2.3/広 どっぷ り 1.2.3/

(5)

長崎 大学留 学生 セ ンター紀要

102002

の っぺ り 1.2.3/ ふ っくり 1.2.3/ み っちり 1.2,3/ む っつり 1,2,3/ ゆ っくり 1,2.3/

わ つきり わきわさ 1,2/

きつしリ 2/ きしきし 1.2/

げっそり .2,3/ げそリ

こっちリ こちこち 1.2.3/

す っか り ず かず か 1.2.3/

す っくり すくすく 1,2.3/

ず つけり ず けず け 1.2,3/

す つベ り す べすべ 1.2.3/

ちよつくり ちょくちょく 1.2.3/

ちよっこリ ちょこちょこ 1.2.3/

てつか り てかてか 1,2,3/

でっか リ でかでか 1.2,3/

ぬ つくり ぬ くぬ く I,2.3/

ぬ つけり ぬ けぬ け 1.2.3/

ひ っしり ひしひし 1.2.3/

ひ ったり ひたひた 1.2.3/

ふ っさリ ふ さふ さ 1.2,3/

は つか り ほか ほか 1.2.3/

ぽ っちゃり I ぼちやり ー ぽちゃぽちゃ 1,2/

もっさり 1.2,3/ もさもさ

ゆ ったり 1.2.3/ ゆ たゆ た

ごつてリ 1/ ごてごて 1,2.3/

たっぷ り 1.2.3/rLたぷ ー/

ぽっきり 1.3 ぽきり 1.3 ぽきぽき 1.3

ぽ っくり 一.2,3/ ぽくぽく 2/

ぼ っとり ぽとり 1 ぽ とぽと 1,2,3/

ぎっちり 1.2.3/ ぎちぎち 1.2/

ぐっす り 1.2.3/ ぐすぐす 1.3/

ごつくリ ごくり 1.2/ ごくごく 1.2/

ね つちリ 1.2,3/ ねちね ち 1,3/

は っきり 1.2.3/ はきはき 1.2/

ひつくり ひくり 2/ ひくひく 1.2,3/

ぷ つくり 1,2,3 ぶ くぶ く 1.2.3/

ふ っつ り 1.2.3/ ふ っ リ ふ つふ つ 1/ ぽ っこリ 2 ぽこり 1.2.3 ぼこぼこ 1.2,3 ぽ った り ぽたり 1.2 ぽた ぽた 1.2.3/

ぽ っちり 1,3/ ぽちぽち 1.2.3/IL

ぼ ってり 1.2.3/ ぼてぼて 1,3/

み っしり 3/ み しり 1 み しみ し 1.2,3/

うっとり 1,2.3/ うとうと 1.2.3/

こってり .2.3/ こてこて 1.2.3/

じっくり 1.2.3/ じくじく 1,2.3/

しっとり 1.2.3/ しとしと 1,2.3/

じっとり 1,2,3/ じとじと 1.2.3/

しゃっきり I.2.3/ しゃきしゃき 1.2.3/

57

(6)

「 C V QC Vリ」型 の オ ノマ トペ

すっぽ り 1.2.3/広 す ぼ り 3 す ぱす ぱ 1.3/広 ちゃっか り 1.2.3/広 ちゃかちゃか I.2,3/

とっくり 1.2.3/広 とくとく 1.2.3/

ね っとり 1.2.3/広 ね とね と 1.2.3/広 びっしょり 1.2.3/広 びしょび しょ 1..2.3/

ひっそ り 1.2.3/広 ひそひ そ 1.2.3/

む っくり 1,2,3/広 む くむ く 1.2.3/

む っちり 1,2.3/広 むちむ ち 1.2,3/

め っきり 1.2.3/広 め きめ き 1,2,3/伝

うっか り 1,2.3/広 うか り 広 うかうか 1.2.3/広 ぎっしり 1,2,3/広 ぎしり 広 ぎしぎ し 1,2.3/広 きっちり 1.2.3/広 きちリ 広 きちきち 1.2,3/広 ぐっしょり 1,2,3/広 ぐLより 1 ぐしょぐしょ 1.2.3/広 こっそり 1,2.3/広 こそリ 広 こそこそ 1.2,3/広 しっくり 1.2.3/広 しくリ 広 しくしく 1.2.3/広 すっか り 1.2.3/広 すか り 広 す かす か 1.2.3/広 ちょっきり 1.2.3/症 ちょきり 広 ちょきちょき 1.2.3/広 にった り 広 にたり 1.2.3/広 にたにた 1.2.3/広 びっくり 広 びくり 1,2,3/症 ぴくぴく 1.2.3/広 びっしり 1.2.3/広 ぴしリ 2 ぴしぴ し 1.2.3/広 べっとり 一.2,3/伝 ベ とり 1 べ とべ と 1.2.3/広 ぽっつ り 広 ぼつ り 1.2.3/広 ぽつぽ つ 1.2.3/広 がつた り 2/広 がたり 1.2.3/伝 がたがた 1.2.3/広 こっくり 1,2.3/広 こくり 1.2.3/広 こくこく 1/広 ごっそ り 1,2.3/広 ごそり 1/広 ごそごそ 1.2.3/広 どっしり 1.2.3/広 どしり 1/広 どしどし 1.2.3/広 ぴっちり 1,2.3/伝 ぴちリ 1/広 ぴちぴち 1,2.3/広 ぽっちゃり 1,2.3/広 ぽちやり 1.3 ぽちゃぽちゃ 1.2.3/広 がっくり 1.2,3/広 が くり 1,2,3 がくが く 1.2.3/症 が っちり 1,2,3/広 がちり 1.2/広 がちがち 1.2.3/広 ぎっくり 1.3/広 ぎくり 1.2.3/広 ざくざく 1.2.3/広 さっくり 1.2.3/広 さくり 1.2/広 さくさく 1.2.3/広 にょっきり 一.2,3/広 によきリ 1.2.3 にょきにょき 1.2.3/広 ばっさり 1,2.3/広 ばさり 1.2,3 ぱさぱさ 1.2.3/FZ; ばっちり 1,2.3/広 ぱちり 1/広 ばちばち 1/広 ぱっちり I.2.3/広 ぱちり 1.2.3 ぱちぱち 1.2.3/広 ぴった り 1,2.3/広 ぴたり 1,2,3/広 ぴたぴた 1.2.3 ひょっこり 1,2.3/広 ひよこり 1.2′ 広 ひょこひょこ 1.2.3/広 ぷ っつ り 1.2.3/症 ぷ つ り 1.2.3/広 ぷ つぷ つ 1.2,3 か っち り 1,2.3/広 かちり 1.2.3/広 かちかち 1.2.3/広 ぐった り 1,2.3/症 ぐたり 1,2,3/広 ぐたぐた 1.2.3/広 ざっくり 1.2,3/広 ざくり 1.2.3/広 ざくざく 1.2.3/広 ず っしり 1,2.3/広 ず しり 1.2.3/広 ず しず し 1.2.3/広 すっぱ り 一.2.3/広 す ぼ り 1.2.3/広 す ぱす ぱ 1,2.3/広 どっか り 1.2.3/広 どか り 1.2.3/広 どか どか 1.2.3/広 どっきり 1.2,3/広 どきり 1,2,3/広 どきどき 1.2,3/広 どっさり 1.2,3/TL どさり 1.2.3/広 どさどさ 1.2.3/広 にっこり 1.2,3/広 にこり 1.2.3/にこにこ 1.2.3/広 の っそ り 1.2,3/広 の そり 1.2.3/広 の その そ 1.2.3/広 ぱっくり 1,2.3/広 ぱくり 1,2,3/広 ぱくぱ く 1.2.3/

(7)

長崎 大学留 学 生 セ ン ター紀 要

第1

02002

ぱ った り 1,2.3/ ぱた り 1,2.3/ ぱたぱた 1,2.3/ ぱ った り 1.2.3/ ぱた り 1,2.3/ ぱた ぱ た 1.2.3/ ぶ っつ り 1,2.3/ ぶ つ U 1.2.3/ ぶ つぶ つ 1.2.3/ べ った り 1,2.3/ べ た り 1.2,3/ べ たべ た 1.2,3/ ぺ った り 1,2.3/ べ た り 1,2.3/ ぺ たぺ た 1.2..3/ ぽ っか り 1.2.3/ ぽ か り 1.2.3/ ぽかぽ か 1.2.3/ ぽ っきり 1.2,3/ ぽ きり I.2.3/ ぽ きぽ き 1.2,3/

59

この うち 『 広辞苑』 に収録 されて いるのは

178

語で 『 広辞苑』 にのみ収録 されて いる語 は

75

語である。 これ らの うち、明 らか にオ ノマ トペではな いの はほとんどが名詞で、表

1

の上か ら順に 「うっちゃり

「さっこリ ( 裂織)

「し ゃっく り

「しょっき り ( 初 っ切 り)

「じょっぼ り ( 情 っ張 り)

「 つ つぼ り ( 突 っ張 り)

「 て っち り ( ふ ぐち り)

「 で っち リ ( 出 っ尻)

「とった リ ( 捕 った リ)

「とっと り ( 鳥取)

「 ぽ っか り ( ばか り)

「 はっとり ( 服 那)

「 ひ っき り ( 引 っ切 り)

「 ひ っつ り ( 引 っ釣 り)

「 ひ っぼ り ( 引 っ 張 り)

「 ぶ っき り ( 打 っ切 り)

「 ぶ っ しや り ( 仏舎利)

「 へ つび り ( 庇 っ放 り)

「 ぽ っく り ( 木履)

「もっき り ( 盛 り切 り)

「 や っぱ り

「 よ

った り ( 四人 よた り) 」 の

22

語である。それで は、それ以外はすべてオ ノマ トペだ ろうか。

上記 の 22語以外 の 52語 はなぜ 『 広辞苑』 にのみ収録 されて いて、擬態語 擬音語辞典 に収録 されて いないのだろ うか。擬態語擬音語辞典は、基本的 に、

編集 された時点で使われて いるものを収録するという立場であ り4 '、 『 広辞苑』

にのみ収録 されて いる これ らの語 の多 くは、 「 きっさ り

「 つ つぼ り」な どの よ うに、現在 はあま り使われて いない ものが多 い。 しか し、 「 て っき り

「 に った り

「 のっ しり

「 のった り

「 び っ くり

「 まった り」 な どは どうだ ろ うか。擬態語擬音語辞典 に収録 されなか った理由は何だろうか。

3

冊の辞典では、

オノマ トペという判断が下されていないが、 これ らの語 も 「 オ ノマ トペではない」

と言 い切 る ことはできな いので、本稿では、明 らか にオ ノマ トペではない と考 え られ る上記の

22

語 を除いた

163

言 吾を対象に して、考察 を進める。

2‑ 2 CVQCV

リ」型のオ ノマ トペの特徴

cvQCV

リ」型の語 には、擬音語はほとん ど見 られない。擬音語は、具体的

な音 を表現 して いるので、擬音語か否かの判断は比較的簡単であるが、擬態語

が表現するものは、擬音語が表現するものに比べて具体性 に欠ける。 この ことは、

(8)

60 CVQCV

」型のオ ノマ トペ

この型の語がオ ノマ トペか否か を判 断 しに くくさせ て いる理 由の一つだ と考 え られ る。

「 C V( 謙 二 Vリ」 型の語は、副詞 として、あるいは、 「 〜する ( 〜して、〜 した) 」 の形で、 「 す る動詞」 として使われ る ことがほ とん どで あ り、名詞 として使わ れる ことはあま りない。

副詞 として使われる場合 には、 「 ゆっくり歩 く

「 ゆっ くりと歩 く

のよ うに、

「と」 を伴わず に使われ る場合 と、伴 って使われ る場合 がある。 オ ノマ トぺの 型の中には、必ず 「 と」 を伴 う、 「 CVQ」 型 ( 例 :さっ (と) ) 「 CVCV リ 」 型 ( 例 :どき り)な どの型 もあるが、 この 「 CVQC Vリ」型は、 「 と」 を伴 う場 合も伴わない場合もある。 「 ゆっくり歩 く」 と 「 ゆっくりと歩 く」を比べると、 「 と」

を伴 う方が、 どのよ うな歩 き方 か をはっき りと述べて いる とも考 え られ るが、

使用状況 を調べてみる

5)

と、 「 と」 の使用 の有無は、あま り意識 されていないと 思われ る。

「 す っき りす る」 「 はっき りして いる」 な どのよ うに、 「 す る動詞」 として 使われ る場合 は、 「 す っき りとす る」 「 はっき りとして いる」 と 「と」 を伴 っ て使われ ることも多 く、 どち らもよ く使われ る。

名詞 として 「 あっさ りが好 きだ」 「 授業 中の こっ くりが癖 になって しまった」

な どと使われ ることもある。

「 CVQC Vリ 」 型の語、た とえば 「 どっき り」 の 「 CVCV」 つま り 「 どき」 を 語基 と考 えると、多 くは対応す る 「 CVCV ‑ CVCV」 型の語 (「 どきどき」) と

「 cvcv リ」 型 の語 (「どき り」) の両方、 また は一方 が ある

6)

. 「 cvcv

‑ CVCV」 型の語か 「 CVC Vリ」型の語 の どち らか一方がある場合 は、 ほ とん ど が 「 CVCV ‑ CVCV」 型の語だけであ り、 「 CVCV リ」型の語だけがあるのは、

わず か に 「 ぱ っ くり

「 のった り

「 げ っそ り」 の 3 語 にす ぎな い。対応す る

「 CVCV ‑ CVCV」 型の語 も 「 CVCV リ 」 型の語 もないものは 49 語ある。対応 す る語 の 『 広辞苑』お よび

3

冊 の擬態語擬音語辞典 にお ける収録状況 も、表 1 に示 した。

「 CI VI QC2 V2 リ」 の 「 C1 」 と 「 C2 」 が同 じことは少な いが、 同 じものに 「 カ ッキ リ 」 「 キ ッカ リ 」 「 ク ッキ リ 」 「 コ ツキ リ 」 「 コ ック リ」 が ある。一方、

母音 「 Vl 」 と 「 V2 」 には同 じものが少ないという傾向は見 られない。

対応す る

2音 の語基 を重ね た

「 CVCV ‑ CVCV」 型 の畳語 のオ ノマ トペ と

「 CVQCV リ」型 のオ ノマ トペの どち らか らどち らが派生 したか という点 につい

(9)

長崎大学留 学生 セ ンター紀要

10

2002

61

ては、畳語の形が先にあ り、その語基 に 「リ」がついたかたちを経て、 あるいは、

その過程 を経ず に、

CVQCV

型のオ ノマ トペが派生 した と考 えるのが 自然 だ ろう。それ には、次 の

4

つの理 由が考 え られ るのではな いだ ろ うか。一つは、

もともと、 日本語 の音韻体 系の中には、促音は存在 しなか った ということ。二 つ 目は、促音 を加 える ことで意味が強調 され、 また、語尾 に 「リ」 を加 える こ とで完 了、終了な どの意味が加わ ること。 ( この ことについては、 田守(

1999)p.

27

な どに指摘がある)三つ 目は、例えば、 「 サ ッパ リ」 に対応する 「 サバサバ」

はないが、 「 サバサバ」があるということ。語基 「 サバ」 に促音 と語尾の 「リ」

を加えて

CVQCV

リ 」 型にすると、 「 サ ッバ リ」 となるが、促音は基本的に ( 外 来語は除いて) 「 力行音

「 サ行

書」

「 夕行

書」

「 パ行書」 の前に起 こり、 「 バ 行書」 の前では起 こらな いので、 「 バ行書」 が 「 パ行書」 に変化 したのだ と考 え られ る。 この ことの例 として、 「 サ ッパ リ/サバサバ」 の他 に次 の ものを上 げ ることができる。

「 ザ ップ リ/ザ ブザブ」

「 シ ッポ リ/ シボシボ」

「 ズ ップ リ/ズブズブ」

「 デ ップ リ/デ ブデブ

また、四つ 目の理由として、

CVQCV

リ」型の語の初出を 『日本国語大辞典』

( 第

2

版)で調べた結果、 ほ とん どが室町以降で あ り、対応す る

2

音 の語基 を 重ねた畳語がある ものにつ いては、畳語 の初 出の方が早 い ことが多か った とい

うことがある。

2‑3

対応す る語が ある

CVQCV

リ」型のオ ノマ トペ と対応す る語がな い

「 CVQC Vリ」型のオ ノマ トペの比較

「 CVQC Vリ」型のオ ノマ トぺを分類す るときに、 いろいろな分類の基準が考 え られ るが、対応す る、促音がない

CVCV

リ」 型の語 と

2

音 の語基 を重ね た

CVCV‑CVCV」

型の語の有無 を基準 にす ると、以下のよ うに分類す ることが できる。

①対応する語があるもの。

② どち らかだけがあるもの。

③ どち らもないもの。

さ らに、以下の

2

点 を分類の基準 に加えることが考え られ る。

(10)

62 CVQCV

リ」型 の オ ノマ トペ

④対応す るオ ノマ トペがあって も、意味が大き く違 うもの。

⑤清濁の違 いな どのように音が多少違 うものがあるもの。

こ の よ う に 、 分 類 して み た 結 果 、 対 応 す る 「CVCV リ」 型 の 語 と

「 cvcv‑ CVCV」型の語 の有無が、オ ノマ トペだ と判断 され るか否かに関わ っ ているのではないか と考 え、比較す ることにした。

これ らの うち、 『 広辞苑』 にも

2

冊以上の辞書 にも収録 されて いるが、対応 す る 「 CVCVリ」型の語 と 「 CVCV‑ CVCV」 型の語 の どち らもないオ ノマ トペ は以下 の

25

語である。 これ らを Ⅰグループの語 とす る。

25

語 の うち 「 が っ か り

「 ず っぷ り

が擬態語 ・擬音語辞典

3

冊 の うちの

1

冊の辞書 に収録 されて いなかった。

Ⅰグループ

あっさり おっとり がっか り かっきり がっしり がっぷ り がっぽり きっかり きっぱり くっきり さっぱり しっかり しっぽり すっきり ずっぷ り そっくり ちょっぴり でっぷ り とっぷ り どっぷ り のっぺり

次 に、対応す る 「 CVCVリ」型の語 と 「 CVCV‑ CVCV」 型の語両方 ともが 3 冊 の擬態語 ・擬音語辞典 と 『 広辞苑』 の うちの複数 の ものに収録 されて いて、

当該 オ ノマ トペが同 じく複数 の もの に収録 されて いる語 を選び出 した。 これ ら のオ ノマ トペ の うち、対応す る 「 CVCVリ」型 の語 と 「 CVCV‑ CVCV」型の語 の意 味が、 当該オ ノマ トペ と大 き く違 う場合 は除 くと以下 の

28

語 にな った。

これ らをⅡグループの語 とする。 Ⅱグループ

こっくり どっしり ぽっちゃり がつくり がっちり がつたリ ぎっくり さっくり にょっきり ばっさり ぱっちり ひょっこり ぷっつり かっちり ぐったり ざっくり ずっしり すっぱり どっかり どっきり どつさリ にっこり のっそり ぱっくり ぱったり ぶっつり べったり ぽっきり

これ ら、 Ⅰグループ とⅡグループのオ ノマ トペは、対応す る語 のあるな しで、

「 cvQCVリ」型の語の中では対極 に位置 し、 この二つのグループを比較す る こ

とによって、 「 CVQCVリ」型の語 をすべてオ ノマ トペだ とす る ことに対 して感

(11)

長崎大学留 学生 セ ンター紀要 第10200263

じる違和感や オ ノマ トペだ という判断が難 しい語 とあま り難 しくない語 の違 い が明 らか にな るのではないか、対応す るオ ノマ トペがない語 の方がオ ノマ トペ ではないと判断されやすいのではないか と考えた。

そ こで、合計

51

語 をランダム に並べ、 日本語母語話者

42

名 に、 オ ノマ ト ペだ と思 うか否か をたずねた7

) 0

( 資料 1)

例文 を挙げてオ ノマ トペだ と思 うか否か をたずねない と、二つ以上 の意味 を 持つオ ノマ トペの判断に困るという考え もある。例えば、 「 ば った り 」 は、 「 思 いがけず 出会 ったよ うす

「 突然倒れ るよ うす

「 急 に途絶 えるよ うす」 に使 われ、意味 によってオ ノマ トペではな いと判断 された り、 オ ノマ トぺだ と判断 され る場合がある ことが考 え られ る。 た しか に、 オ ノマ トペか否か を文脈で判 断せ ざるを得ない場合 はあるが、 この質問紙 では、 あえてひ とつひ とつの語 の みの印象をたずねた。本稿では、

「CVQC

Vリ」型 という語 のパター ンに注 目し てお り、語のみを見て、直観的に判断を して もらお うと考えたか らである。

ひ とつひ とつの語 について、〇、△、 ×で判断 して もらった。それぞれの語 についての結果 をグラフにした ものを資料

2

に示す。

まず、 Ⅰグループ

25

語 の うち、 オ ノマ トペで はない と判断 した人の数がオ ノマ トペだ と判断 した人の数 を上回って いるのは、

18

語で ある。特 に 「 そ っ くり」は

42

人中

41

人が、オノマ トペではないと判断 した。 また、 「 とっぷ り」

はオ ノマ トペだ と判断 した人の数 とオ ノマ トペではな いと判 断 した人の数が同 数であった。 この同数であった 1 語 については、オ ノマ トペか否かの判断をせず、

よ く分か らない とした人の数 も

10

人でかな り多か った。 オ ノマ トぺだ と判断 した人の数の方が多か ったのは、 「 が っぽ り

「 がっぷ り

「くっき り

「 が っしり

「 どっぷ り

「 の̲ つぺ り」 の

6

語である.

これ ら

6

語 の 中 に は、 『広 辞 苑 』 や 擬 態 語 擬 音 語 辞 典 に は、 対 応 す る

「CVCV

リ」型の語 と

「CVCV‑CVCV」

型の語が収録 されていないがオ ノマ ト ペ として成立す る可能性が あるものが ある。

18

語 を、オ ノマ トペではない と した人が多かった語か ら同数の 「とっぷ り

まで並べてみ る と、判断が分かれ ている語ほど、対応す るオ ノマ トペが成立す る可能性 を持 っていると考 え られる。

清音 と濁音、半濁音 と濁音が変われば、 「 さっぱ り/ さば さば

「 ず っぷ り/

ずぶず ぶ」 な どのよ うに、 同 じよ うな意味で、実 際 に使われて いるオ ノマ トペ があるものもある。

オ ノマ トペではな いとした人の方が多かった語 は次 の通 りである。 (( )

(12)

64 CVQCV

リ」型 のオ ノマ トペ

の数字はオノマ トペだ とした人の人数 とオノマ トペではないとした人の人数)

そっくり

(0/ 41)

しっか り

(1/ 37)

かっき り

(3/ 34)

きっか り

(5/ 34)

がっか り

(5/ 33)

みっち り

(6/ 29)

ゆっくり

(10/ 29)

むっつ り

(10/ 28)

:*そ くり、*そ くそ く :*しか り、*しか しか :*かき り、*かきかき :*きか り、*きかきか :*がか り、*がかがか :*みち り、*みちみち

:*ゆ くり、*ゆ くゆく :*むつ り、*むつむつ

ちょっぴ り

(ll/ 27)

:*ちょび り、*ちょぴち ょぴ あっさ り

(13/ 26)

きっぱ り

(14/ 24)

しっぽ り

(8/ 23)

おっとり

(12/ 22)

すっき り

(15/ 21)

さっぱ り

(12/ 20)

ずっぷ り

(15/ 19)

でっぷ り

(16/ 18)

ふっくり

(16/ 18)

:*あさ り、*あさあさ :*きぼ り、*きば きば :*しぼ り、*しば しば

:*お とり、*お とお と :*す き り、*す きすき :*さぼ り、*さば さば :*ずぶ り、*ずぶずぶ :*でぶ り、*でぶでぶ :*ふ くり、*ふ くふ く

オノマ トぺだ とした人の方が多かった語は次の通 りである。 ( 人数) とっぷ り

くっき り のっぺ り がっぷ り がっ ぽ り がっしり どっぷ り

(16/ 16) (19/ 17) (20/ 18) (21/ 15) (23/ 16) (23/ 14) (26/ 9)

:*とぶ り、*とぷ とぷ :*くき り、*くきくき :*のぺ り、*のぺのぺ :*がぶ り、*がぶがぶ :*がぼ り、*がぼがぼ :*が しり、*が Lが し :*どぶ り、*どぶ どぶ

オ ノマ トペだ とした人の方が多か った語 をみると、 3拍 目が半濁音のものが 多 く、 この ことが、オ ノマ トペだ という判断 に影響 を与えている可能性 も考 え

られる。

Ⅱグループの

26

語 については、オ ノマ トぺだ と判断 した人の方がオ ノマ ト

(13)

長崎大学留学生 セ ンター紀要

10

2002

年 65 ペではないと判断 した人の数よ り多かったのは、

21

語であった。オ ノマ トペ ではないと判断 した人の数の方が多かったのは

4

語、同数だったのは

1

語だった。

特 に、 「 ば っさ り」 は、オ ノマ トペではないとした人は一人 もお らず、よ くわ か らないとした人が

3

人いた以外は、

39

人がオ ノマ トペだ と判断 した。

オ ノマ トペだ とした人の方が多かった語は次の通 りである。 (( ) の数字 はオノマ トペだ とした人の人数 とオノマ トペではないとした人の人数)

ば っさり

(39/ 0)

ざっくり

(36/ 3)

ぱ っち り

(32/ 6)

どっしり

(32/ 7)

べった り

(31/ 6)

ぱ っくり

(31/ 7)

ず っしり

(31/ 9)

さっくり

(29/ 14)

どっさり

(28/ 9)

ぐった り

(26/ 7)

のっそ り

(26/ 9)

どっか り

(26/ ll)

こっくり

(26/ 14)

ひ ょっこり

(25/ 14)

にょっき り

(24/ 13)

ぽ っちゃり

(24/ 14)

ぶっつ り

(22/ 14)

にっこり

(21/ 16)

がっち り

(19/ 15)

すっぱ り

(19/ 17)

ぷ っつ り

(18/ 14)

オノマ トペではないとした人の方が多かった語は次の通 りである。 ( 人数) ぱ った り

(15/ 21)

どっき り

(15/ 20)

かっち り

(13/ 20)

ぎっくり

(18/ 19)

(14)

66

「 C V Q C Vリ」型 のオ ノマ トペ

がっくり

(16/ 16)

オ ノマ トぺではないと判断 した人の数の方が多かった、 あるいは同数だった、

これ ら

5

語の間に共通す る ことは兄 いだせな いが、 「 ぎっ くり腰」 「どっき り カメラ」な どの複合名詞 に使われ る語がある。 Ⅰグループの中にも、 「 あっさ り味」 「 さっぱ り味」 「 そ っ くり親子」な どに使われ る語があ り、 これ らも、

オノマ トペではないと判断 した人の数の方が多かった語である。

Ⅰグループ とⅡグループの語 を比べ ると、対応す る語 のある Ⅱグループの語 の方がオノマ トペだ と判断されることが多かった。

これ らのことか ら、 「 CVQC Vリ

型の語がオノマ トペだ と判断されるときに、

対 応 す る 、 促 音 が な い 「 CVC V リ」 型 の 語 と 2 音 の 語 基 を 重 ね た

「 CVCV‑ CVCV」 型の語の存在が影響 していることが裏付けられたと思 う。 また、

前述のとお り、 「 CVQC Vリ」型の語は、オ ノマ トペ研究では、すべて 「 オノマ トペ」 として扱われる ことがあるが、そ うす ることは、一般のオ ノマ トペ感覚 と大 き くずれているともいえる。 また、

2

音 の語基 を取 り出 しにくい、対応す る語がない語 については、二拍 目に促音 を、四拍 目に 「リ」 を加 えることによ って付加 されるそれ らの語に共通のニュアンスが感 じられ にくいように思われる。

2‑4

日本語教育の中で 「 CVQC Vリ」型の語をどのよ うに扱 うか。

日本語教育 の中でのオ ノマ トペの扱 い方 については、稿 を改めたいと考 えて いるが、一言で言 うと、 日本語話者が持つ言語音感覚が学習者 に理解 され る必 要があると思われる。言語音感覚の理解、定着 につなが らない提示の仕方な らば、

一般語嚢 として、ひとつひ とつの語 を導入 しなればな らない。 「 CVQC Vリ」型 の語 には 日本語母語話者 にとって も、オ ノマ トペ と意識 され にくい語があ り、

特 に、対応す る 「 CVC Vリ」型の語 と 「 CVCV‑ CVCV」 型の語がない語 につい ては、一般語嚢 としての導入の方が適当だ と考え られるものが多い。

3.

おわ Uに

ある語がオ ノマ トペか否かをどのよ うな基準で判断すれば いいのかを考 える ために、 「 CVQC Vリ」型の語 を取 り上げた。 この型の語 については、対応する 語の有無が基準の一つ となると考え られる。

日本語母語話者は、漠然 とではあれ、共通 の擬態語擬音語意識 を持 っている

と考え られるが、その判断には、かな りの違いがあることもわかった。

(15)

長崎大学留学生 セ ンター紀要

1

0号

2002

年 67

筆者 は、 これ まで、特 に江戸時代前後 の 口述筆記 の漢方 医学書 の中で使われ ているオ ノマ トぺの実態 を明 らかにす る試みを続 けている

8)

が、そのなかで、オ ノマ トペか否かの判断 に迷 うことがある。医学書 の中で使われているオ ノマ ト ペは擬音語 よ りも擬態語で ある ことが多 く、本稿で も触れ たよ うに、擬音語で あるという判断は、文脈か らすることが許 されて も、擬態言 吾であるという判断は、

簡単 には認 め られな い ことも多 い。それで も、やむ をえず、 これ まで も、文脈 か ら、擬態語だ と判断 した ことがある。 オ ノマ トぺはその場で生まれ る場合 も あ り、 また、そ の場限 りの場合 もある。特 に擬態語 の場合、定着度が高 くなれ ば なるほ ど、一般語柔 との境があいまいにな るのではないだろ うか。 新 しく生 まれ る ときには、 日本語話者が共通 に持つ、 オ ノマ トペの形態特徴や、音韻特 徴がはっき りと表れて いなければ、共通理解 を生 まず、 コミュニケー シ ョンの 役 に立 たないが、頻繁 に使われ、定着度が高いオ ノマ トペは、それ らの特徴が 意識 され る ことな く、そ の語が持つ意 味だけが理解 され るよ うになって、オ ノ マ トペ意識が薄れ るのだろ う。今後、 さ らに時 を経 る と、一般語嚢 と判断 され

る語が増えるのか もしれない。

1

)ス コウラップ (

1993)

は、 「日本語の場合、最 も簡単なアプローチ としては、

伝統的 に擬 声語や擬態語 と呼ばれて いる語 を考 えれば よい。 ‑‑‑どの語が オ ノマ トペであるか という問題は英語の場合 もっと不明瞭である

(p

. 48) と述べている。 また、 田守 (

1999)

は 日本語 の場合、 ‑ どの語がオ ノマ ト ペであるか とい うことについては一般的な合意がある。 しか し、擬声語 ・ 擬音語 ・擬態語 とい う伝統的な概念が、 日本語 にお いて、 オ ノマ トペ とい

う言語範晴 と実際 に対応す るか どうかは改 めて問わなければ な らない し、

もし対応す るのであれば、 どのよ うな特徴 が このよ うな範晴 を決定す るの か も問 う必要がある

(p.6)

と述べている。

2)

オ ノマ トペの型 につ いては、 田守

(1993)

、泉 (

1976)

、大坪 (

1982)

の分類 を参考 に、守山 (

1996)

で使用 した分類 に準 じた。

3)

この ことについては、 田守

(1999)

p.29‑31

で考察 している。

4)

『 擬音語擬態語使 い方辞典』 には 「日常生活 の中で ご く自然 に使われて い

る語 を

738

語選び、見出 し語 として掲げ ました」 とあ り、 『 擬音語 ・擬態語

辞典』 ( 天沼) には 「 現代 の社会で、一般 に広 く用 い られている と思われ

(16)

68

「 C V Q C Vリ」型 のオ ノマ トペ

る擬音語 ・擬態語 を採 り上げ るよ うに努めた‑」 とあ り、 『 擬音語 ・擬態 語辞典』 ( 浅野)には 「 本書に採録 した擬音語 ( 擬声語) ・擬態語 ( 擬情語) は現代共通語 として現代人が 日常生活 の中で ごく自然に使用 しているもの を採 り上げた」 とある。

5)

筆者は

『NHK

きょうの健康』テキス トで使われているオ ノマ トぺ調査 を続 けてお り、その中で使われている 「 CVQC Vリ」型の語について検討 した。

6)

「 どっき り

に対する 「 どきん」のように対応する

CVCVN」がある語 も

あるが、本稿では、

CVCVN」は取 り上げない。

7)

アンケー ト作成時のミスで Ⅱグループの 「 がった り」 と 「 ぽ っき り 」 がア ンケー トには入っていない。

8) 参考文献 に挙げた もののほかに、 「 『 東郭医談』細野本 と大塚本の比較‑

オ ノマ トペを中心 に

‑ 」

(

1999)

『 万乗 口訣』 に用 い られているオ ノマ トペー カナ ・漢字併用のオ ノマ トぺを中心 に

」(200

1) を 『 国語 と教育』

に発表 している。

参考文献

泉邦 寿

(1976)

「 擬声語擬態語の特質

『日本語の語嚢 と表現』 ( 鈴木孝夫編) 大修館書店

大坪併治 (

1982)

「 象徴語の歴史

『 講座 日本語学 ( 四)語貴史』明治書院 田守育啓 (

1993)

「日本語オノマ トぺの音韻形態

『 オ ノマ トピア 擬音 ・擬

態語の楽園』 ( 寛寿雄、田守育啓編)勤草書房

田守育啓、 ロー レンス ・スコウラップ (

1999)

『 オ ノマ トぺ一形態 と意味‑』

くろしお出版

守山恵子

(1996)

体の状態 をあ らわす擬態語」 について‑ 『 蕉窓雑話』 の 場合

‑ 」

『 国語 と教育』長崎大学国語国文学会

( 留学生セ ンター講師)

(17)

長崎 大 学留 学生 セ ン ター紀 要 第10

200269

資料 1 :オ ノマ トペア ンケ‑ ト

オ ノマ トペ ( 擬音語、擬態語) として、 よ く知 られているのは、 「ド ン ドン 」 「 シ トシ ト」 な どの よ うな、 く り返 しのあ る ものです。 それ では、次 に上げ るよ うな ものはオ ノマ トペで しょうか。

次 の語 がオ ノマ トペ ( 擬音語、擬態語) だ と思 った ら○ を、違 うと 思 った ら×を、よ くわか らなか った ら△ をつけて くだ さい。

深 く考 えてか ら判断す るのではな く、最初の印象でつけて くだ さい。

年齢 :10 代

・20

・30

・40

・50

・60

・70

・80

代 性別 男 ・ 女

○ . × .△

1

か っ き り

2

ば っ さ り

3

ど っ さ り

4

さ っぱ り

5

ぱ っ ち り

6

しっ か り

7

き っ か り

8

ふ っ く り

9

お っ と り

10

ぐっ た り

ll

ざ っ く り

12

べ っ た り

13

す っ き り

14

が っぽ り

15

ど っ き り

16

ぱ っ く り

17

の っそ り

18

そ っ く り

19

が っぷ り

20

ひ ょ っ こ り

21

が っ か り

22

で っぷ り

23

こっ く り

24

ど っ し り

25

さ っ く り

26

む っ つ り

27

が っ ち り

28

み っ ち り

29

と っ ぷ り

30

す っぱ り

31

くっ き り

32

ど っ ぷ り

(18)

70 「CVQCV

リ」 型 の オ ノマ トペ

33

ぷ っ つ り

34

が っ く り

35

し っ ぽ り

36

ぽ っ ち ゃ り

37

ぎ っ く り

38

の っ ぺ り

39

に っ こ り

40

ず っ し り

41

ぶ っ つ り

42

ず っ ぷ り

43

ぱ っ た り

44

ち ょ っ ぴ り

45

ど っ か り

46

か っ ち り

47

っ し り

48

ゆ っ く り

49

あ っ さ り

50

に ょ っ き り

51

き っ ぱ り

何か、コメン トがあった ら書いて ください。

(19)

長崎 入学留 学生 セ ン ター紀 要

第10

2002年

資料 2 :アンケー ト結果

人数 Ⅰ. . 1 7. . J L , ‑プ l BO ■△ oxl

4⊃

35 30 2 5 2 1 0 5

≡ : . ; / 4 1

1 0 5 0

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参照

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