人形モ デル による日本 人と韓 国 人の
服 装 イメー ジの 比 較
一 日韓の 大学生 の場合一
内 田 直 子
1. 緒言
人 間は服 装 を 見た時、服 装か ら発 信 される情 報 よ り何 らか のイメ ージを抱い て い る。し か し、
日本 と韓 国の 女性の 間に は、同じ服装で もイメ ージの 抱き方が異な るこ と が認め られ、先 行 研 究に おい て報 告 した (内 田 等 2002)。 本 報 告ではその結 果 をふ ま え なが ら、両 国の男性間で も
同じこと がい え るのか を含め て、服装イメ ージ に対する 両国間の比較 、お よび 同国で の男 女 間
の比 較の視 点か ら検 討 した。な お、本 報 告は先 行 研 究の続 編であるこ とか ら、服装試料は先行 研 究と同じく女 性 服 装 を用い て行っ た。
日韓の服 装イメージ調 査に関 する研究は、日韓の高 齢 女性と女 子 学 生の服装色の色彩比較 (庄 山2000)や、日韓 女 子 学生の 民 族 服に対 する意 識の比 較 研 究 (金、中川 1998)な どにい くつ か見られる が、 日韓間お よびそ の男 女間で の イメージ格差を言 及し た もの は ほ と ん ど ない。 ま た、本 研 究の異 国の服 装 イメージ評 価は、世 界の衣 生 活 文 化におけ る異 文 化 研 究と し て捉 える
こ と が可 能であ り、異 文 化 なるもの を 受け 入れる時の 一つ の 格 差 指標に な る と考え る。
2.実験方 法 (1 )実験試 料
実 際の人 間の 着装で は、顔か ら所属民 族 が判別 されて しまう可能性があるため、着用者の民 族 的な影響が出ない ように、中立的な雰囲気 を持つ 人 形に着装させ た。こ こ で使 用 した人 形は、
身長26セ ンチ、20代の女性の 雰囲気のするもの で、 タ カ ラ の リ カ ちゃん シ リーズ の一つ と し
て市販されているもの を用い た。
服装試料は Fig.1に示す女性服装とし た。 その 種類と し て、 まず自 国 や他国へ の文 化、イメー
ジ が顕 著に反 映 す ると考 え られる民 族 衣 装 を 挙 げ、日韓 比 較のために両国の代表的 な民族衣装
の 「着物」「韓服 (チマ ・チ ョ ゴ リ)」と、日韓に とっ て の異国の服装と して 「中国服 (チャ イ ナ ド レ ス)」と した。そ し て、他に 日常 的 な 服装と し て 「紺ス ーツ 」と色 を違え た 「ピン クス ー
1
ツ」、さら に両国の若 者の多くが着用する 「ジーン ズ
」の計6種 類 とした。
提示 試料と し て、人 形にこれらの服 装を着用させ た もの をス ライ ド写真と し て 6枚作成し た。
(2)被験者
両 国 と も、大 学の環 境 心 理 系の 関 連 講 義に出 席した学 生で、韓 国では、男 女とも建築 学 科に 在籍する大学生、男子54名、女子67名で あ る。 日本で は、男子は建築学科に在籍する117名 、 女子は建築学科16名と非建築学科の 103名の計119名である。 こ の時、女子の建築学科と非建築 学 科の学 生 との間での評 価の差 は 無かっ た ため、一括 し て女 子被 験 者 とした。
(3)評 価 方 法
両 国とも、(1)で作 成し たス ラ イ ド写真 を投影 し、 各 服装ごと に そ の イメージをSD 法玉5形容 語 対 7段 階 尺 度で評 価 し て も らっ た。韓 国では、韓 国 語に翻 訳した調 査シー トを用い、事 前に すべ て実験の流れを通訳の 方に説 明し、当日も韓国語の 通訳 をお願い し た。実 験は2000年9月
に実施し た。 目本で は、同じ形式の 日本語の調 査シートを用い 、2001年11〜12月に実 施した。
3. 結 果 と考 察
3.1 日韓男女の全体的な 服装の イ メージの捉え方
服 装6種 類につ い て 、各 形 容 語ご とに、日 本 女 性、日本 男 性、韓 国 女 性、韓 国 男 性の 4グ ル ープの SD 平均 評 定値の間で 分散分析を行っ た。 そ の結果、 被験者間の有意 差は、 Table 1に 示 す よ うに、被 験 者のグル ープ間で、どの服 種 も形 容 語の 9割 前 後イメ ージの捉え方が異な
っ
てい た・ そこで・6鯑 の服黝 二旧 本娚 女
堅鯛 の男嫺 旧 醐 雕 間・ 購 の女
性間で平 均 評 価の差の検 定 を行っ た。その各 両 者 間で の イメージ評 価の t検 定 結 果 を ま と めた もの が Table 2(a)〜(d)で あ る。
Table 2(a)に示す日本の男女 間で は、紺ス ーツ 、着物 、ピン クス ーツ に は、両 者 間の イメ ー
ジ格 差が少ないが、ジーンズ、韓服、中国服に は半数 以 上、両者間でイメージの違いが み られ、
全体と し て、服装 6種類に、15形容語で、全 部で90の 評価の うち、37項目に イメ ージの差があ
ることにな る。
し か し、Table 2(b)に示す韓国の男女 間で は、ジーン ズ が他の服よ り著しくイメージの格差
があ るが、その他は、ほ と んど2、3の違いで あ り、男女の問で の イメ ージ差は、前述の 日本
の男 女 間ほどない こ と が伺え る。 全体と し て 全90の 評価の う ち、 日本の 男女間の約半分の20項
目 に イメ ージ の差があるだ けで あ
っ た。
Table 2 (c)に示す日本と韓国の男性 間で は、どの服装もイメージのほ と んど半数以上の違い
が見られ、全体と し て53項目に イメージの差 が あ
っ た。
そし て 、 Table 2(d)に示 す 日本と韓 国の女 性 間で も、男 性 同 様どの 服 装 も多くの項目に イメー
ジの 違い が見られ、全体と しては51項目の イメ ージ に差が み られた。
着 物
*アイ ボ リーの地 に
小 花の柄
亅幽
韓 服
*ビ ビッ ド系ピン ク の チマ と青の チ ョ ゴリ
壕露 中国服
* ビ ビ ッ ド系ピンク の地
e ◎
略
】】
紺ス ーツ
*白のコ サージュ 付 き
〜
’s
彜 膨
ピンクスーツ ジーンズ
*ビ ビッ ド系ピン ク で *白の セーターと
紺スーッと 同 じ型 ブルージーンズ
Fig 1 6種類の 服装試 料
一 3 一
Table l 服 装 別 日本 韓 国男 女 間 (日女/ 目男 韓女 / 韓 男 )の分 散 分 析 結 果
123456 形 容語対 \服装
紺S.inkS.着 物 韓 服 中 剛 Jeans 1 個 性 的 な . 平 凡な * * * * * * * * ** * * ** *
2 安っ ぽい 「
高 級 な * * * * * * * * * * * * * ** *
3 活動 的 な 1 お と な しい *** ** * ** *
4 や ぼっ たい : 洗練さ れ た * * * * * * *** * * * * * * 5 女 性 的 な 男 性 約 な ** * * * * ** * * * ** *
6 重々しい , 軽 快な * * * * * * ** * * * *
7 フオ ーマ ルな : カ ジュ ァルな * * * * * * * * * * ** * * ** *
8 地味な 派手な * * * * * * * * * ** * * * ** * 9 調和のとれた 1 アン バラン スな * * * ** * * *
10 日常的な : 非日常 的な * * * * * * * * * *
11 子 供っぽい : 大 人っ ぽい * * * * * * *** *** * **
12 保 守的な : 進歩的な * * * * * * * * * * * **
13 素 朴 な : 華やか な * * * ** * * * * * * * * * * * * *
14 都 会 的 な : 非都 会 的 な * * * * * * * * * * * * 15 下 品 な . 上品 な * * * * * * * * * * *
各服装の有意な差の項目数 1311131514 工3
* * * P く0.001
* * P<0.Ol
* P<O.05
以 上の結果か ら、 被験者間の イ メージの差 が最も少ない の は、韓国の男 女 間で あ り、次 が 日 本の男 女 間であっ た。ま た 日韓の女性、日韓の男性で は項目の半数 以 上に違いが あ る こ と か ら、 男 女 間の性 差より異国 間での 差の ほ う が大き く、服装イメ ージ の 評価と は、国民性や その文化、
習 慣の 要 因が全 体に か なり影 響し て いるの で は ない か と考え られる。
3.2日韓 男 女 別 服 装 イメージの比 較 次に、服 装 別に イメージ
評価をま と め たもの がFig.2(a)〜(f)で あ る。その評 価の 特徴的な点 を考 察 すると、Fig.2(a)よ り一般 的な服 装と し ての紺ス ーツ は、両 国 男女とも、“や や” 「洗練 された」、“
や や”
「重々 しい 」と ほ ぼ一致 し た イメ ージで あ る
。 しか し、(8)「地味一派手」と
(13)「素朴な一華やかな」で は、日本は 「地 喇 、「素 朴 」に反 応 し て い るが、韓 国は “ ど ち ら
で も ない ”
と、韓 国 男 女 側と 日本 男女側に顕著に分かれてい る。 こ の よ う な両国の 差が、イ メ ージの民 族 間の格差に繋がっ てい る と思 わ れる。
同じス ーツ で も、Fig.2(b)よ り色 を 変え た ピン ク ス ーツで は、両国男女とも、“
か なりt’
(5)
「女性 的」と イメ ージ し、他に (12)「進歩的」、(14)「都 会 的 」、 (15) 「下 品 」 とい うイメー
Table 2 日本韓国男 女間の服装 別 形容 語別 t検 定結 果
(a) 日本の男 女 比 較
1234 1 さ 1 6 形 容 語 対\服 装
紺s.旧kS.着 物 韓 服 「1:減 職jr“諏・
1 個 性 的 な 平 凡 な な** 曠
2 安ワぽい 高 級 な ホ‡
3 活 動 的 な お と な しい 零宰 .
4 や ぼったい 洗 練 さ れ た 3專
5 女 性 的 な 男 性 的 な ・1
6 重々しい 軽 快 な 宇串ネ ホ拿 蓼
7 フオーマル な カ ジュアル な 零宰 芋半寧寧宰等零宰写零享窶
8 地味な 派 手 な 掌ホ
9 調 和のとれた アン バラ ン スな 那 ホ*潔 亭零
10H 常 的 な 非H常 的 な 牢 * *
ユ上 子 供ワぽい 大 人っぽい 串 * * **宰
12 保守的な 進歩的な * *
1ヨ 素朴な 華やかな 岑* ** ホ**
u 都会的 な 非祁会 的 な 寧* 牢半* 牢半寧 *半 牢
15 下 品 な .ヒ品 な *雰 ** **
各服装の有 意な差の項 日数 434999
合 計 項 目 数〔90項 目中の割 告 ) s7147 %冫
(c)日韓の男性比較
12 ヨ ・且 5 5
形 容語対\服 装
紺s.mkS ,着 物 韓 服中 国服 leans
1 個 性 的 な 平 凡 な * * * *‡ 寧 * 宰*
2 安っぽい 高 級 な *ホ 窄串串*串ホ 宗ホホ
3 插 動 的 な お と な しい 隷 *串帛
4 や ぽったい 洗 練 さ れ た 寧*字 ***
巨 女 性 的 な 男 性 的 な 串 ** 彫癰朮 出虚 出噛
6 重々しい 軽 快 な 彫 穿摩彫 *
7 フォーマルな カ シ.らアルな ホ ホホ ホ
茜 地 味 な 派丁な 字率串掌*庫 ネ寧申ネ寧零
9 調和のとれ た アン バ ラン スな *曝 承 * 承水 ● 且o 日常 的 な 非H常 的 な 寧宇 字 半宰半
ll 子 供っぽい 大 入っぽい ‡ホ宋ホ****宋紫*
1: 保守的 な 進歩 的な *串 ** 岑 寧* 串 岑寧*
13 素 朴 な 華 や か な *** * 尊* *序* * 寧亭 *寧率 寧*
14 都 会的な 非都会的 な “痍*
15 下 品 な 上 品 な *ホ凛ホ串 *串
各服 装の有意 な差の項目数 B7911 ε 1D 合 計 項 目 数 的0項 目 中の割 合, 5:口 59 % }
(b) 韓 国の男 女 比 較
12545 6
形 容 謡対\ 服 装
紺s.mkS ,著 物 韓 服 中 国 服Jeans
1 個性的 な 平凡 な ‡*字
E 安っぽい 高級 な ホホ * 1 **
3 活 動 的 な お と な しい
4 や ぽったい 漉 繰 され た ‡ 写宰 ¥宰 宰 串*半
5 女 性 陶 な 男 性 的 な
6 重々しい 軽 快 な 串3
ア フオーマル な カ ジュア ル な 事
δ 地 味 な 派 手 な ホ
9 調 和のと れ た アンバラ ン スな
10 日 常 的 な 非 日常 的 な *
ll 子 供っぽい 大 人っぽい ホ *
12 保 守的な 進歩 的な * 串
13 素朴 な 華や かな **准
14 都 会 的 な 非都会 的 な 零牢寧
15 下 品 な 上 品 な *
各服装の有意 な 差の項目数 窓 22329 舎引項目数 (脚項目中の割 創 2012z%)
(d)日韓の女 性比較
且 2 ヨ 45 5
形容語対\服装
紺s.mKS .着 物 韓 服 中 国 服Je旦11s
1 個 性 的 な 平 凡 な 孝本 雰奉*
2 安っぽい 高翻 な *ホ*串虐**虐* * ホ*串
ヨ 活 動 的 な お と な しい * 冷寧 *寧申
4 や ぼったい 洗 練 さ れ た *雰* *艦* *艦串*艦*
5 女性的な 男性的な 8牢 *冷 宰水 掌
6 重々しい 軽快な “輿 寧 ¥審*
7 フよ一マルな カ シュアルな ネ半* 償* *群* 牢 ネ*
8 地味な 派 手な *寧半*署零 塞半累串累半零*
9 調 和のと れ た ア ン バラ ン スな 艦*
且り 口常 的 な 非 日 需 的 な ***
llr 供っぽい 大 人っぽい *** 痕** *
12 保守的 な 進歩 的な **審 零串零 写零 串 13 紊朴 な 華やか な 帛ホ* *半霊 艦串寐 艦累 熟 艦累器 癌 14 都 会 的 な 非 都 会 的 な *ホ* ホ*古ホ*寒 ホホ*
15 ド品 な ト品 な 寧* 掌*皐 ■*辱
各 脹 装の有 意 な 差の項 目数 9710lD95
合計項 目数 〔90 項 目中の割會) 51 〔57 %♪
* ** P<0.00ユ
* * P〈0,01
* P〈0.05
ジ が共 通し てい る。 逆に大き く異な る と こ ろ は、日本は男女と も、“
かな り”
(8)「派手」、
(13)「華や か」に反応 し、これは、前述の紺ス ーツ の 時 と 正 反 対の イメージを抱いてい るこ
と がわかる。し か し、韓 国は男女とも紺スーツと同様にこ の形容語に は、“どちら で もない”
に近 く、 (8) 「派 手一地味」などの イメ ージが ない 結果と なっ てい る。
民 族 衣装につ い て 、Fig.2(c )よ り着物は、全 体 的に 日韓 男 女とも “
かな り”
(4) 「お と なし
い 」、“や や” 「調和の とれた」を始め と し て、全 体の イメージ の傾向は似てい る。ただし (2)
「高級な」、(4) 「洗 練された」、(15)「上品な」の イメ ージ は、日本 男 性が一番 評 価が高 く、
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