請願・陳情からみた住民運動 81 都市研究報告70,1976
請願・陳情からみた住民運動
一 一 訪 問 面 接 調 査 の 報 告 一 一
井 宏 隆
目 次
I 問題意識………・・...・H・−−…………−・……・・・・・・・81 N マンシヨン建設を巡る請願
II 請願・陳情の一般的傾向………・・...・H・・・82 一一請願署名者と非署名者の比較一一一一…...・H・・・・91 III 区立幼稚園の園庭削減問題 v 本報告の要約………...・H・−−…...・H・.....・H・−−−……95
一一在園児父母会の請願運動から一一…...・H・・83
I問 題 意 識
都市の人間関係をテーマにして,実験室的実験,現場 実験,面接調査などを試みてきた。それらの研究は未だ 十分な成果をあげるにいたらないが,一応これまでの結 果を要約しておきたい。まず,都市の人間関係をミ不特 定多数の人々の間接的相互依存状態ミと定義した。こう
した状況での対人行動をみるために,駅のホームで間違 った行先を教えられているのを立聞きした一般人(20〜
30才の女性)の行動を取上げた。結果として見知らない 人(実験者)への親切心(helpingbehavior)の出現頻 度は立聞きした直後では10%,電車を待っているのに気 付いたときには30%程度となった。この数値をどう評価 するかは別にして,次にN人ゲーム事態を設定した。 6 人一組で参加した被験者は2つの選択肢のいずれかを選
」ぶことを求められた。片方の選択肢は自分にとり常に高 い点数をもたらすが,この選択をする人が多くなれば点 数は相対的に低くなる仕組であった。実験操作はゲーム に関する情報について行なわれ,個人に有利な反応と全 体にとって好ましい反応の出現頻度を従属変数とした。
実験結果からは,ゲームに関する情報を多くすることは 却って個人に有利な反応を増大させた(三井1976〕。
ところで,都市化の一面は人間や物の移動・流動であ るが,それに伴う流入者の多様な価値観は先住者の既得 権益を脅かし住民間の対立をもたらすことにもなる。前 回に報告した区立小学校への幼稚園併設問題は,併設を 求める側の意見を行政が代弁していた事情もあり,調停 役がいないために対立が泥沼化した例であった。この;也 域への訪問面接調査からは,併設問題への関わり方は伺
人利益一一ここでは我が子の年令ーーによっており,当 然ながら併設促進派には就学前の子供をもっ家庭,反対 派には小学校在学の子供をもっ家庭が多かった。
i二記の知見は率直な所常識的なものであり, 目新しい 結果とは言いにくし、。こうした不満は経験科学に由来す る一面でもあるが,これまでに都市問題への視点が確立 していなかったことにもよる。例えば,都市の人間関係 にしてもその原型を家庭,企業叉は雑踏のなかに求める かによって全く異なる様相を呈してしまう。しかもこれ らの原型はそれぞれ独自の社会観(人間観)を背景とし ており,相互に独立と考えられてきた。その結果とし て,どの原型に基づいて理論モデルをたてょうが決して 人間関係を説明するのに十分なものとはなりえなし、。
本稿ではこうした人間観に固執することで生じる混乱 を避けるために,対人関係を機能的に捉えて,当事者が 利害関係の安定を求める過程とみなした。
この立場から住民運動を考えた場合,それが住民間土 の対立であれば相互の住民組識を個人にみたてて,個人 利益の調整を巡って対立したケースとして扱うことがで き,実験との対応が可能となる。
一方の相手が行政側(区役所,市役所等)であれば,
利益(resource)の配分・再調整の原理を巡って公共の利 益(commoninterest)と個人利益(individualinterest) が異なる側面で衝突しているケースと考えて同様な扱い が可能である。
以下の報告では実験室的実験よりもむしろ現実の問題 を取上げることとし,請願・陳情書に添付された署名者 に訪問面接を実施した。手続的には前回の辻,三井 (19 75)に準じている。
82 都 市 研 究 報 告 第67〜70号
I l
請 願 ・ 陳 情 書 の 一 般 的 傾 向
請願・陳情は住民から行政へ注文をつける手段として は「議員・有力者を通じての働きかけJとともに多用さ れており,しかも公的な制度として一定の書式にかなう かぎり受付ざるをえない仕組となっている。
そこでこの請願・陳情内容を年代的に眺めることとし 住民の動向の把握を試みた。本調査では資料が整備され ていることから豊島区を取上げ,区議会年報を材料にし Tこ。
表1 過去 5年間における請願・陳情の動向
( )内は陳情数
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一⑨務務⑮境
総 環 画 氏 企 財 区
厚 生I22(3) 30 27(2) 27(2) 36(4) 文 教I22(1) i 2的li 21(2) I 16(2) I 26(4) 建 設I34帥 I31(8) I 29(5) ! 32(9) I 39帥 悪島副都I21(1) I 20(3) I附 l別 訪 1 10(1) 公害対策| i ! 7 I 14(2) I 18(4) I 12(2)
I I I I I ぽ)
合 計 ! 109(17) i附 1120帥 I136ト14附
⑧は昭和48年度までは総務 (⑤は昭和48年度までは区民
⑤は委員会付託なしの請願・陳情各1を除いた数である 表1では付託委員会別に諸国買・陳情の数を示したが,
請願と陳情の比率は13〜18%であった。ところで,請願
.陳情書が処理される過程は区議会事務局での受埋に始 まり,区議会各党の幹事会による付託委員会の決定,本 会議での決定,委員会審E議,本会議での採否の決議,理 事者への送付,署名代支者への連絡というように進めら れる。
表2では請願・陳情の採択率を示した。請願の方が多 少とも採択率が高いが,これは請願書の受理にあたり議
表2 請願・陳情別にみた採択率
| 帥 吋 吋 昭 和 吋 吋 昭 和4咋 請 願I68. 8.961 58. 7%1 59. U61 64. 7%1 55. 7.96 陳 情I70.6矧 42.1%1 43. 7列56.問 25.5,96
全体|川 56.7,?oT 57. 3,9~1 …一
表3 取下げ,継続審査として処理された比率
| 昭 吋 昭 吋 町 年
l
昭 相8年|昭和49年取下げ| 7. U61 5. 5%1 11. 0%1 9. 4%1 9. 6,96 継 続 審1 I I I I
査 I23. o%1 22.矧 31.悩 I25. 7竹37.5%
員の連署を必要としていることが,審議に影響を与えた と思われる。採択に至らない請願・陳情の内訳は不採 択,取下げ,審議末了,継続審査として処理されてい る。参考までに,取下げと継続審査の比率を表3に示し た。
次に請願・陳情の内容を検討するために,一応下記の 分類カテゴリーを用いた。 「規制・公害(高層ビノレ,マ ンション反対,場外馬券売場設置反対,交通・騒音・反 動, l:場・ヒーノレの移転など〕」「交通(信号機,ガードレー ノレ,道路舗装・拡幅,新幹線誘致・地下化など〕」, 「開 発 coo地利用に関する件,池袋西口総合開発など〕」
「教育(校舎・施設・備品・給食,幼稚園,社会教育施 設など〕」「児童福祉(保育所,児童館,身心障害児問題 など〕」「社会福祉(老人福祉,保険医療,国民年金,家 庭福祉員など〉」「生活環境(ゴミ収集, 防火,区民施 設,集会場,下水道など〉」「公園,体育施設等」 「その 他(日中, 日韓問題,ガス料金値上げ,正月の郵便物,
日雇労働者の賃金問題,行政区域の変更など〕」の9つで ある。
但し,集計にあたり同一内容にかかわる請願・陳情は 一つにまとめた。
表41こ示したように,年度別にカテゴリー内での多少 の変動はみられるにしても顕著な傾向は現われてこなか った。強いて言えば, 「開発」に関する件数が減少し
表4 カテゴリー別にみた請願・陳情の件数
1~! 1~空 1~空 1~空 I~空
13 : 16
規 制 ・ 公 害 21 21 交 通 12 11 5 10 9 開 発 9 I 8 6 2
。
教 育 21 I 26 19 15 22 児 童 福 祉 15 17 8 8 18 社 会 福 祉 12 16 15 13 22 生 活 環 境 3 i 22 9 3 9 公闘・体育施設| 12 I 4 3 9 11 そ の 他 I17 I 23 I 13 22 19
請願・陳情からみた住民運動 83 て, 「規制・公害Jの件数が漸増したことである。
これを請願・陳情の代表者の住所別にみたのが表5で ある。一貫して件数の多いのが東池袋,池袋本町,北大 塚,上池袋,南長崎等であった。その内容は東池袋の場 合46年度が環境(5)と規制・公害(4), 47年度が開発何), 49 年度は公園・体育施設(6)と規制・公害(5)が多かった。雑 司ヶ谷の場合は社会福祉のカテゴリーが高く(昭和46年 3 ,47年3,49年5),北大塚ではその他が多くなってい た(昭和46年7'47年4,48年5,49年8。 しかしなが〕
ら地域的特徴は明らかではなかった。
1酬4~~門ヤャ利一!?
巣 鴨 北 大 塚 南 大 塚 上 池 袋 東 池 袋 池 袋 本 町 池 袋 西 池 袋 雑 司 ヶ 谷 高
南 長 崎 長
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崎 町 松 町
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7
⑧但し,上記の町名は代表者全員の住所を含んでいない 点で,おおよその傾向を示したものである。
l
lI 区 立 幼 稚 国 の 園 庭 削 減 問 題
一一在園児父母会の請願運動から一一 この幼稚園は昭和48年4月23日に開園され, 2階3階 が児童館と使用されている。区がここに幼稚園を建てる にあたり商店街の一部に反対があり,運動場へ約2問ほ ど入った所まで商店街を建てさせる条件で承知してもら ったとの経緯があったようである。
。
白
そこで運動場の一部を削って商店街建設の測量が始ま ったとき,当時の在園児父母会が発起人となって建設反 対の署名活動が行なわれた。請願書は48年7月12日に署 名薄(署名人数1,134名,署名枚数53枚,署名所帯617) を添付して提出し,同日受理された。
請願の趣旨は,①圏庭に陽が当らなくなり育ち盛りの 園児の健康上好ましくない。②園庭が狭くなって十分運 動ができない。③やっと育ちかけた植物や草花の場所が なくなり,子供達の気持のうるおいをなくす。④飲食店 などが設立された場合には衛生上,風紀上などに問題点 がある。⑤2' 3階が児童館であるために子供の出入り が多いうえ,現在でも道巾が狭くしかも交通量が激しい ため,商店が建てば今後一層交通量が多くなり危険を伴
うと予想される,となっていた。
この請願書は受理されたときには紹介議員が9人であ ったが(白民党自由クラブl,自民党民主クラブ8), 7月24日には民主クラブ8名が抹消申出をしている。
区議会ではこの問題を文教委員会に付託することに し 48年度は継続審査として処理された。
1年後に49年度在園児父母会が再び①浪u量のための杭 が打たれたままであること,②前年度に提出した請願書 が継続審査中,との理由で、請願書を提出する運びとなっ た。請願書の趣旨には,④園庭が半分取られて道路に面 した空聞がなくなり,裏は崖で避難道路も狭いため妨災 上危険である,⑨区の将来構想の上からも基本計画に逆 らうもので・あり,区民の為にもこのような区有財産の処 分は許されない,との2点が追加された。
請願書は5人の父母代表を発起人として昭和49年6月 21日署名薄(署名人数1,899人, 署名枚数82枚, 署名世 帯928)を添付して提出された。 6月28日に受理された ときには紹介議員は10人であり,党派も自民党民主クラ ブI,自由クラブ3,共産党ιし 公 明 党1,無所属1に 及んでいた。
本件の経緯は上述した所で、あるが,まず運動の一般的 特徴をみるために昭和48年, 49年度の署名者の実態を把 握することにした。
両年度に提出された請願は問題を幼稚園在園児の父兄 に限らず,区民に広く訴えることを運動の主眼としたた め署名者の住所は区の全域に及ぶことになった。そこで 住所の単位を管内の出張所として要約したのが表6であ 4
4
る。
表6からも明らかなように,署名者は第3出張所管内 に集まっており(48年度は70%, 49年度は50%), 詳述 すると48年度は全署名者の45%, 49年度は38%1こ及ぶ署 名者を出した池袋0丁目に偏在していた。
そこで以下の調査ではこの地域を取上げて,両年度の 努名者の在住年数と署名の有無に関係すると思われる個 人利益一幼稚園に該当する子供をもつことーを住民票か
84 都 市 研 究 報 告 第67〜70号
表6 請 願 署 名 者 の 地 域 分 布
区 内 の 出 張 所
1 I 2 I 3 I 4 I 5 I 6 I 7 I 8 I 9 I 10 I 11 I 12
昭和48年7月署名者N=533I 25 26 2 I 10 I 26 I 14 I 16 12 6 昭和49年6月署名者N=945I 59 23 I 19 I 51 8 I 36 I 100 I 50 I 44 I 12
|鳩人数 1 転出 l 不明 l 該当者 l 在住年 ~1 幼稚園間帯選
1 -~~~fl ~-~~I ~ ¥ i ;:;::~:;-1 ~ : : : :
昭和48年7月署名者 昭和49年6月署名者
但し,⑧在住年数は該当者についての平均, ( )内は標準偏差。
⑮昭和48年 7月署名者ーでは42.4‑44.3に該当する年令 昭和49年6月署名者では43.4‑45.3に該当する年令
()は上記の年令以下の子供をもっ世帯数
図t
児童公園建設要求運動にみち れた署名行動( N~893)
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" " す主 Ji ... h ふ 必£ぷ査察♂hさ~~r
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Nul‑Nn200まで 01;1兜主公園予定地 児童公園建設要求運動にみら れた署名行動(N=893)
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Nn 1‑No500まで 01;1児童公園予定地
らチェックした。 50年 8月末の閲覧であり請 願当初から2年を経過 していたため人数の移 動がみられた(表7参 照〉。
表7から小学校就学 2年前を幼稚園該当年 令としたとき,この世 帯比率は20%程度であ り,それ以下の年令の 子供をもっ世帯を含め ると40%近くになっ た。ところで,両年度 の請願書に署名してい るのは39世帯にすぎず そのなかで幼稚園児以 下の年令の子供をもっ 世帯は20であった。こ れより両請願書の代表 者 が 異 る こ と か ら も 48, 49年度の署名集団 を区別Lて考えた方が
よいと思われる。
次に試みたのは,署 名薄での記載順序を手 掛りとして人間関係を 浮彫にすることであっ た。この試みの背景に
図3
児童公ltJ建設要,k運動にみら れた署名行動(Nニ893)
百x
は先の調査で児童遊園 の設置を求めた請願運 動において(図1,2, 3), 署名を集める際に或る 程度の組織性が感じら れたからである。
つまり,署名薄に記 載されているA, B,
C, Dの人物の関係を 面接調査から明らかに できれば,これは地域 社会の人間関係を反映 しているだろうと考え たわけで、ある。
N01‑No893まてe
。は児童公団f定地 材料とした署名薄は
昭和48年度のなかで偶 然、通し番号がふつであり,後から対応づけが可能となっ た部分である。その内訳は表8に示されている。
訪問地域は相互に入り交じっているが一応の地域特徴 を調査員の感想から引用しておく。リストA, Fの地践 は戦前から残っている所らしく地番が旧式で該当者を探 すのに苦労した。リストのB地域は低所得者風のアパー トが多く,転居が多く非協力的であった。リストC, D の地域はアパートが多く,商店も多忙のため拒否が多か った。リスト Eは商店が多く商店会という形での連体意 識の強さがうかがわれた。
訪問面接調査は2固にわけで実施され,質問項目に多 少の変動があった。これは第一回調査の結果をみて,項 目を手直ししたためである。第1回調査は表8の署名薄
請願・情情からみた住民運動 85
署 名 薄 | 署 名 者 同 署 名 世 帯
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回 答 数I!!問転時
否|不 在[不 明 | そ の 富A 47 27 28
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⑧26人の内9人は第2回調査 ⑥その他には途方,調査不能(病気,老令〉,死亡を含む。
表9 回 答 者 の フ ェ イ ス ・ シ ー ト 回 答 者
世 主 そ 帯 の 主 婦 他
⑧ 在住年数 建 物 子供の年令
' 一一一一1 家⑥ I 有回 ー ア 商 i就 小 両 そ 1 怯 | 船
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I I 数 I 効数
建 ← 土 店 ! 前 校 方_̲fl量一L一一一一一L
. N=74 I
21 9 16 29 14・35(1・56)173/166(43. 9%) I N=ll6 I
21 19 21 55 14・18(1・84)1116/281(41.2%) I I N=73
第1回調査N= 75 ! 16 51 8 j19・02(14・20)1 38 21 16 I I N=115 I
第2回調査N=ll6I 30 66 20 122・位(12・69)1 41 21 54
⑧⑮( )内は標準偏差
A, B, C について行われた(但し, Cの一部は第2回 調査に含まれた〕。第2回調査は表8のD,E,F,Gにつ いて行なわれた。各調査の回収率は43.9%, 41. 2%であ
り,全体としては42.7%(191/447)となった(表9。) ところで各質問への回答者人数は,未記入,無回答,
回答者が不適当(従業員のとき)などの理由で必らずし も一定とはならなかった。
まずQ 5の請願・陳情に関する回答からみていくこと にする(表11, 12, 13。)
「請願・陳情がまわってきた場合どうなさいますか」
との質問には, 「内容によって態度を決定する」 (77. 2
%)との差し樟りのない回答がほとんどであった。この 点について第2因調査のとき「その内容とは何か」と尋 ねることにした。 34人の回答からは「具体的な事柄(公 闘・幼稚園・遊び場等〕」を挙げたのが8人, 「自分に有 利なこと」と答えたのが8人, 「趣旨による,ケース・
バイ・ケース」が7人, 「公共性,地域社会への貢献」
が6人であった。しかしながら,実情は頼まれれば署名 してしまうのがほとんどと言える。
請願・陳情への署名後は結果についてほとんど連絡を うけていないが(第1回調査では80%,第2回調査では 68%,〕 好意的に解釈すれば署名が利害関係者にとどま らず,大勢の人達の理解・協力・支援を得ょうとしたた め事後的な連絡が不備となったのかもしれなし、。
ところで,請願・陳情の有効性に関しては第1凪 第 2回調査とも50%近くが「非常に有効」 「やや有効」と 答えており, 「役にたたなし、Jとする者は「無答Jを含 めても20%未満であった。
Q6 「家族だけでは解決しにくい地域の問題などにぶ つかったとき,どなたと御梧談しますか」との第1回調 査の質問には,ほとんど具体的な回答はえられなかっ た。これは質問が漠然とした内容であったためかもしれ ないが,参考までに36人の回答を分類すると「|務り近所 の人」を挙げたのが11人, 「町会長(婦人会長)」が8 人, 「家族・身内」が5人, 「区議・区役所Jが5人,
「その他(知人,勤務先等〉」が7人であった。
上記の質問が多少とも「家族」に関する問題として受 取られた様子なので, Q9では「この地域内では解決で
86 都 市 研 究 報 告 第67〜70号 きそうにもない問題がおこったとき,どなたと相談しま
すかJと尋ねた。但し,回答がでにくい場合には具体例 として第1回調査では「高速道路」,第2向調査では
表10 第2回調査に用いた調?で表
Q 1. あなたのご家族はここに何年住んでいらっしゃい ますか。
Q 2.あなたのご家族の構成はどのようになっています 台、。
s Q 1 子供さんは何年生と何年生ですか(小学校,幼 稚園の区別をきく)
Q 3.現在,回覧板(広報)はどこのお宅から回ってど こへ回していますか。
Q 4.住民運動という言葉を聞いたとき,あなたは何を 連想しますか。
Q 5. ところで,お宅に請願書や陳情書がまわってきた 場合どうなさいますか。
s Q 1.署名された請願書や陳情書は議会で、審議されま すが,その審議結果について署名代表者から連絡を
うけたことがありますか。
s Q 2.請願書や陳情書はどの程度問題解決に有効と思 し、ますか。
Q 6.あなたは次の方をご存知ですか(本人の前後4人 づっの計8人についてきく)
*第1回調査では本人の署名した用紙の最初と最後の 人,及び前後の3人の計5人についてきいた。
Q 7.地域内で解決できそうにない問題がおこった場 合,どのような手段に訴えますか
*第1回調査では「あなたの家族だけでは解決しにく い地域の問題などにぶつかったとき,とψなたとご相 談しますか」とした
Q 8.あなたの子供さんが通っている小学校に公立幼稚 闘を併設することになり校庭を削ることになりまし たら,あなたはどうなさいますか。
キ第1回調査では「例えば,北区で小学校の校庭を削 って公立幼稚園を併設する動きがあり,小学校PT Aを中心とした反対運動がおこっていますがあなた はどのようにお考えですかJとした。
Q 9.あなたの町内のRIJ会長さんは誰ですか。ゲ第1回 調査ではなし)
QlO.あなたがご存知の区議会議員さんの名前をおしえ ていただけませんか。ゲ第1回調査ではなし)
「高層ヒーノレの建設Jを挙げることにした。回答の選択肢 としては「区議」 「K役所」 「町会長」 「有力者」 「そ の他Jを用意した。
]<14からみると, 「区議J「区役所」 「町会長」 「そ の他(隣り近所,都議,都庁等〕jが多く,「区役所」
(26. 9%)を挙げた比率が意外に高かった。この点につ いて他の調査結果と比較すると,鎌倉市調査(奥田1975) では「地域社会の問題解決の主体」として「市役所」
〔33%〕,住民運動(12%〕,市議(9%),市長(8 %,〕 警察(7%〕,町内会・自治会(5%〕等が挙げられてい る。一方,府中市調査(奥田1975)からは「市役所」
(25. 9%). 白治会・町内会(23.8%),議員・有力者(6.7
%)が多い方であった。
第2回調査では町会長と区議会議員の名前を尋ねた。
町会長の場合116名中88人(75%〕,区議では116名中84 人(72%)が名前を挙げることができた。そこで区議と 町会長の名前の既知の程度を指標して相談相手をみたの が表15である。区議と町会長の両方を知っている場合に は相談相手の偏よりはみられなかった。しかし傾向とし ては,町会長だけの場合には町会長が,いずれも知らな い場合には区役所が多くなった。
ところで自治体の職員の側では(府中市管理職試験受 験者〉,問題解決の手段として(実践ルート〕市役所(43.6
%),議員・有力者(36.7%)自治会・町内会(11,4%) を考えており,彼等からみた望ましい方法(規範ルート〕
には市役所(52.4%),自治会・町内会(28.2%〕,議員
・有力者(11.2%)を挙げていた(奥田1975。)このこ とは役人気質としては,議員などを通さずに,本人が頭 を下げて頼みに来ることを好むのかもしれなし、。
本調査では前回の調査結果と対応させるために「区立 小学校への幼稚園併設問題」を取上げた。
第1回調査では間接的に「北区で小学校の校庭を削っ て公立幼稚園を併設する動きがあり,小学校P.T.Aを 中心とした反対運動がおこっていますがあなたはどのよ うに考えますか」と尋ねた。表16に示されているよう に, 「その他」に分類される回答が多くなった。その内 訳は「敷地があれば,校庭の広さによるJ8人,「相手の 意見を聞いて,地域情勢」 6人,「事情による,理由によ
1 その都度判多数に従う 1 内容による 1~~ ことにベそ の 他
元 : : : : ・ l~~~t !~~: T '~" ·-1~~~~ I~
A 計 N=189 I …·~~~卜46(77.2%〕|…
第l回調査 N=75 第2回調査 N=ll4 合 計 … |
第1回調査 N=75 第2回調査N=ll3
請願・陳情からみた住民運動 87
に あ る | た ま に あ る | ほ と ん ど な し | 無 答 | 7
16
23(12. 2%〕
6 12
18( 9.5%)
60 78
138(73. 0%)
2 8
10( 5.3~め
表13 請 願 ・ 陳 情 の 有 効 性 非常に有効 やや有効
10 28 18 40
ド ち ら と い 川 21 36
役 一 な し [ 無 答 6
17
10 2
メE込,
計 ト1881
…
m 68(36. 2%) 57(30.3~め 23(12.2%) 12( 6.4%〕表14A 地域内の問題解決の手段(多肢選択)
21 7 8
27 13 32 ::::;
NN~~=] : : I :
二一一一 I~~丙~-1---:~;.~ム「2~( ~~~1 羽(18.4%)
但し,「その他Jには近所の人との相談・話し合い,署名運動,都議,都庁,場合によって異なる等が含まれている
(区和所|町会長|有力者!その他
表15 区議と町会長を指標としたときの相談相手
| 明 区 役 所 | 吋 有 力 者 | 叫 区議と町会長を既知 16 18 14 9 18
区議のみ既知 4 4 3 2 3 町会長のみ既知 2 6 7 5 区議と町会長を未知 1 6 2 3 合 計 卜31 34 I 2G I 13 I 29 但し,相談相手として3人以上あげている場合には上 位2人でカットした。