環境損害の救済に関するEC委員会のグリーン・ペー パーについて
その他のタイトル Ein Grunbuch der EG‑Kommission uber die Sanierung von Umweltschaden
著者 今西 康人
雑誌名 關西大學法學論集
巻 45
号 2‑3
ページ 331‑369
発行年 1995‑08‑27
URL http://hdl.handle.net/10112/00024603
今
西 康 人
環境損害の救済に関する
E
C
委員会のグリーン・ペーパーについて
一 は じ め に ニグリーン・ペーパーの概要
1序について
2民事責任のメカニズムを利用した現境損害の救済について
3共同損失補償制度を通じての環境損害の救済
4 E C
の行動についての考えられる方向
三 検 討
そうとする
E
Cの取組みの発端となったのは︑
J¥
一九九三年五月十四日︑
E
C委員会︵現在の欧州委員会︶は閣僚理事会︑欧州議会及び経済社会評議会に対し
(1 )
てある提案を行った︒これが﹁環境損害の救済に関するグリーン・ペーパー﹂︵以下︑﹁本提案﹂と表記する︶である︒
環境汚染に対して
E
Cが講じようとする環境保護の手段は様々である︒そうした中で︱つの手段として民事責任を課
一九八六年スイスのバーゼルのサンド社の化学プラント爆発を原因と
して流れ出した薬品によるライン川の大規模な汚染である︒この汚染が契機となって︑
E
C委員会は環境汚染に対す
( 2)
る初めての民事責任指令案として一九八九年九月﹁廃棄物による損害に対する民事責任指令案﹂を提案した︒この提
案はその第三条において廃棄物によって生じた損害及ぴ環境侵害につき廃棄物の生成者
(T he pr od uc er
o f
w
as te )
に
( 3)
無過失責任︵厳格責任︶を課すものである︒その後︑同指令案は一九九一年六月二八日に修正指令案が提出されたが︑
棚上げ状態となっている︒こうした状況の下︑
E
C委員会が無過失の民事責任を内容とする第二の提案として提出し
たのが本提案である︒本提案の内容は確定したものではなく︑環境損害の浄化につき民事責任制度を活用することを
( 4)
提案し︑それに基づき包括的な議論が行われることを目的とする︒
ところで︑廃棄物に関する前記指令案が特定汚染源を原因とする環境汚染だけを対象としたのと異なり︑本提案は
汚染源を限定せず環境汚染全般を対象とする点で︑包括的な民事責任を構想しており︑その内容は非常に興味深い︒
同時に︑環境汚染に対する浄化に関して民事責任システムがどの程度有用であり︑またその限界がどこにあるのかと
いう問題を考察する上で︑本提案の内容は参考に値しよう︒
環境
損害
の救
済に
関す
る
EC
委員
会の
グリ
ーン
・ペ
ーパ
ーに
つい
て
は じ め に
︵三
三三
︶
ー.序について︻P.4︼ 境損害の救済﹂︑第四が﹁
4 0
︼は本提案の頁を示す︶︒ ズムを利用した環境損害の救済﹂︑第三が﹁
3 0
グ リ ー ン
・ ペ ー パ ー の 概 要
かの
EC
加盟諸国でも見られる︒例えば︑ 2 第四五巻第ニ・三合併号
序﹂︑第二が﹁
2
0 ︵三
三四
︶
環境汚染に対する無過失責任︑とりわけ環境浄化を主たる内容とする民事責任を立法化する動きは︑既に幾つ
( 5 ) ( 6 )
一九
九
0年の英国の﹁環境保護法﹂と同年のドイツの﹁環境責任法﹂がそ
うである︒こうした状況の下︑加盟諸国の既存の国内立法に対して本提案がどのようなスタンスに立つのか︑すなわ
ち︑この問題についても域内統一を図るのか︑それとも加盟諸国の既存の法制度を究極的には尊重するのか︑その内
容が興味深い︒加えて︑本提案及び加盟諸国の立法との関係で忘れてならないのは︑米国のいわゆる﹁スーパーファ
( 7)
ンド法﹂の存在である︒
一九
八
0年に制定されたこの連邦法は︑有害廃棄物による汚染の浄化費用につき廃棄物の生
成者︑運送業者︑廃棄場の所有者・経営者に厳格責任を課すものであって︑後述するようにこの法律が本提案に与え
た影響も大きい︒本提案がこの法律の内容をどのように取り込もうとしたのかをみることも重要である︒
まず本提案の目次を紹介する︒全体は四つに分かれ︑第一が﹁
1.
容を見てみよう︵以下︑本文中の︻ 関法
゜
民事責任のメカニ共同損失補償制度
( jo i n tc om pe ns at io n s ys te ms )
を通じての環
E
Cの行動についての考えられる方向﹂という順序になっている︒以下︑その内
まず︑損なわれた環境の浄化の点でみれば︑諸活動が原因となって発生する損害︵例えば︑産業施設からの放射及
八
化する方法である︒ による土壌汚染など︶い環境損害につきその救済の可能性を検討することである︑とする︻
P .
J¥.
ぴ自動車による大気汚染︑森の死︑町や農村からの排水による地表水及び地下水の汚染︑過去に沈殿した有害廃棄物
の方が損害が広範囲にわたるため︑救済のための措置の必要度では単発的事故に劣るものでは
ない︑とする︒その上で︑本提案において検討される二つの課題を挙げる︒第一の課題は︑環境回復の費用のために
( 8)
責任を配分するための手段としての民事責任の有用性を検討すること︑第二の課題は︑民事責任の原則を適用しえな
5︼︒なお︑第一の課題に関連して︑民事
責任と汚染者負担の原則︑域内統一の必要性に言及する︒まず︑環境損害に関する民事責任の
E
Cの制度は︑人は自
ら引き起こした損害を回復しなければならないという民法の基本的かつ一般的原則に基づく︒この法原則は︑単一条
約成立以来
E
Cの環境政策の基礎を形成する二つの原則︵汚染者負担の原則と予防の原則︶と密接に関係する︒民事
責任は発生した損害の賠償を汚染を発生させた者に支払わせるための︱つの手段であるがゆえに︑汚染者負担の原則
と結びつく︒また予防の原則は︑自らが引起こした損害コストを責任法上負担すべきことを認識し得る潜在的汚染者
にとっては︑そのような損害を防止するための強いインセンテイプとして働く︒次に︑環境損害についての民事責任
が加盟国間で異なる場合︑ある加盟国の産業は損害賠償を支払うことを要求されるのに対し︑他の加盟国の産業は責
任のコストを回避することができる︒その結果︑競争上︑後者の産業は利益を受けることとなる︒したがって︑環境
損害について
E
C内で単一の制度を設けることは︑輸送のような部門と同様︑特定の外部的コストを
E
C内部で内在
2.民事責任のメカニズムを利用した環境損害の救済について︻
P .
環境
損害
の救
済に
関す
る
EC
委員
会の
グリ
ーン
・ペ
ーパ
ーに
つい
て
6︼
︵三
三五
︶
ストを請求する手段とならない︒ 第四五巻第ニ・三合併号
環境損害に対する救済手段として民事責任システムを利用するに際しては︑幾つか
検討すべき問題点が存在する︒これら問題点が﹁
2.
ー諸問題﹂において取り上げられている︒具体的には︑以下
に述べるように︑①過失責任及び厳格責任の機能・長所とその限界︑②責任の分配
(C ha nn el li ng Li ab il it y)
︑③複数
の責任負担者が存在する場合の責任負担者相互間の関係︑④民事責任の限界事例︵長期汚染︑行政規制を遵守した放
射・排出及び過去からの損害︶⑤責任額の制限の是非︑⑥環境損害の意義︑⑦因果関係の立証︑⑧原告適格︵訴権
を有する被害者はだれか︶⑨環境損害の救済内容︑⑩保険化の問題が列挙されている︒
①過失責任及び厳格責任の機能•長所とその限界民事責任には過失責任及び厳格責任という二つのアプローチ
がある︒過失責任については︑環境規制との間に以下の三つの点で強い相互作用が存在する︑と指摘する︒すなわち︑
第一に︑環境に関する制定法上の基準と一定手続は︑当事者の行動が当該状況の下で責任を発生させ︑又は過失ある
ものか否かを決定する手掛かりを提供し︑右法律を遵守しないことは︑過失の証拠となりうる︒第二に︑規制と許容
基準を遵守することは︑当事者の行動の相当性
(r ea so na bl en es s)
を表す︒第三に︑環境保護に関する法律が制定さ
れた場合︑これに基づき責任の成立を可能性を導く新たな義務が生じる︒
ところで︑行政によって過失責任が積極的に利用される場合︑違法行為により発生する環境損害を修復するための
コストをこれによって請求することができることとなる︒同時に︑環境に関する法律が遵守されることを担保する点
で過失責任は重要な役割を果たすこととなる︒ただ︑過失を証明することができない場合︑過失責任は右のようなコ
他方︑厳格責任又は無過失責任は︑過失を確定する必要がないが故に責任の成立を証明する負担が軽減される︒し m ]
救済に際しての諸問題
関法
八四
六 ︶
かし
︑︻
P .
は︑損害が発生することを防止すべく諸手段を講じるための誘因となる︒
八五
7︼被害者は︑ある特定の者の行為によって損害が発生したことは証明しなければならない︒厳格責任
ただ︑厳格責任を導入するに際しては以下のような問題点が指摘されている︒すなわち︑潜在的な責任負担者は︑
損害が発生した場合に支払うべきことが期待されるコストの額を知る必要がある︒法的な確定性に対するこの必要性
は︑新しい技術又は予見不可能な発展をも考慮に入れるべく柔軟な定義を必要とする厳格責任の理論と衝突し︑幾つ
かの障害が生じる︒第一に︑既存の汚染物質による環境に対する長期間にわたる影響については︑論理的・科学的な
証拠はしばしば利用できない︒第二に︑責任︑損害︑特に環境というような概念は︑曖昧であり︑その解釈は︑法シ
制度は関係する部門にとりあまりにも不経済なものとみなされるかもしれない︒他方︑この制度の適用範囲を狭め過
ぎるなら︑本来厳格責任が適用されるべきあらゆる諸活動をカバーすることができず︑そのため損害を回復するコス
以上より︑問題となるのは︑ 一定の場合には産業界における投資を圧迫し︑この責任
いかなる諸活動及びいかなるプロセスが厳格責任制度に従うべきか否かを決定するこ
とである︑と指摘し︑右決定を行うに際して考慮されるべき六つのファクターを列挙している︒すなわち︑m特定の
活動によって発生する危険の諸類型︑り当該活動により損害が発生する可能性及びそのような損害の範囲の可能性︑
団厳格責任が適切なリスク・マネイジメントと損害の防止手段を提供するという動機︑3発生するかもしれない損害
に関する回復の可能性及び回復に要するコスト︑困厳格責任が経済部門に及ぽす潜在的財政的負担︑切保険の必要性
と利用可能性︑
であ
る︒
環境
損害
の救
済に
関す
る E
C委
員会
のグ
リー
ン・
ペー
パー
につ
いて
トを不適切にしか配分できないという危険が生じる︒ ステムにより変わる︒一方で厳格責任を広く認めるならば︑
︵三
三七
︶
も有利であるならば︑裁判所ショッピング する に責任を配分することが必要である︑と述べている︒ 第四五巻第ニ・三合併号
②責任の分配
(C ha nn el li ng
)︑すなわち特定の者に民事責任を課すことは︑
③複数の責任負担者が存在する場合の責任負担者相互閥の関係︻
P .
集合又は複合汚染
(a gg re ga te po ll ut io n)
に高額の取引コストを伴う損害賠償メカニズムにする︒ 8︼
︵三
三八
︶ 誰が民事責任を負担すべきかを決定することは︑困難である︒ただ︑責任を分配すること
コストの内面化
(i nt er na li za ti on )
に関する効率的かつ
公平な︱つの方法である︑と指摘する︒その上で︑厳格責任が有する予防的機能を促進しよう場合︑最も効率的なリ
スク・マネイジメントを実現するためには︑専門的技術︑財源及び機能的なコントロール︑以上︱︱︱つを有する当事者
につき民事責任を負担する場合︑損害に関する責任をどのように配分するかの問題が発生する︑と指摘し︑具体的な
責任配分法として共同
( jo i n t)
責任及び連帯
( jo i
, an tnd'several)
責任に言及する︒すなわち︑共同責任では︑責任
負担者は自己の特定の活動が現実に損害の原因となった限りにおいて当該損害についてのみ賠償金を支払う︒ただ︑
の場合︑右の点につき正確な判断をすることは不可能である︒他方︑連帯
責任では︑責任負担者各々が全損害につき責任を負う︒このことは幾つかの問題を生じさせる︒例えば︑最も大きな
損害を発生させた責任負担者の代わりに︑最も賠償資力のある責任負担者を被害者が訴求するならば︑不公平が発生
︵ディープ・ポケット効果︶︒そのため︑責任負担者が複数の国の者に及び︑かつ︑ある国の法律が被害者に最
( f o r u m
︑s
ho pp in g)
を生じさせることとなる︒共同責任︑連帯責任の他︑
責任負担者が互いに損害賠償のコストの配分方法を合意する場合︑訴訟は複雑化する︒このことは︑民事責任を非常
以上より︑解決のための︱つの方法は︑潜在的責任負担者が訴求される場合につきこれを規律する法律を制定する 関法
二人以上の者が損害の全部又は一部
八六
こと︑又は責任を分配することによって︑予め配分してしまうことである︑と述べている︒
④民事責任の限界事例︵長期汚染︑行政規制を遵守した放射・排出及び過去からの損害︶
担者を特定できない場合︵長期汚染︶︑過失を認めるのが困難な場合︵行政規制を遵守した放射・排出︶及び民事責
任になじまない場合︵過去からの損害︶には機能することが困難である︑と指摘する︒
慢性︵長期︶汚染まず︑酸性雨を発生させた大気への排出物の事例のように時と場所を越えて広がる多数の
操業者の諸活動又は汚染行為の集合結果︵複合効果︶として環境損害が発生する場合︑どの行為者の行為が特定
の損害を発生させたかを決定することができない︒時には︑
八七
いかなる者の行為も責任を発生させる損害発生行為
にならないこともある︒例えば︑河川へ各自が汚染物質を排出する行為が公認されていた場合︑各排出行為は個
別的には特定の損害の原因とならないが︑それらがすべて複合した結果︑河川に損害を発生させることがある︒
︻P.9︼以上の場合には︑例えば︑3で後述するように共同損失補償制度のような制度によって回復コストに
ついての責任を分配する選択方法を探求することが必要になってくる︑と指摘する︒
環境上の許認可の目的は︑汚染物質の総量規制を行政が行うことを可能にす
ることにある︒そのためには損害を発生させうる汚染物質のレベルを決定することを必要とし︑さらに総排出量
を右レベル以下に制限することを条件にして許可を行うことを必要とする︒しかし︑汚染物質の当面又は長期に
わたるすべての影響及び損害を防止するために要する安全の限界を予見し︑それを具体的に評価することはしば
しば困難である︒結局︑排出行為が公認されているにもかかわらず環境に対する損害が発生するという事態が起
こり得る︑と指摘する︒
環境
損害
の救
済に
関す
るE
C委
員会
のグ
リー
ン・
ペー
パー
につ
いて
伺行政規制を遵守した放射・排出
(i)
︵三
三九
︶ 過失責任は︑責任負
第四五巻第ニ・三合併号
︵三
四0
)
他方︑操業者が許可基準を超え︑又は許可の時に予見しえなかった他の活動を行う場合︑操業者は生じた損害
につき責任を負うべきである︒逆に︑操業者が行政による評価のため重要な情報を十分公開し︑許可基準に従う
場合︑損害が発生しても責任は行政︑究極的には納税者が負担することには理由がある︒このように考えること
は︑操業者が責任を回避するため完全な情報公開をし許可基準を遵守することの誘因となるとともに︑行政が責
任ある決定を行い︑許可に際し正確かつ明確な規制基準を設定することの誘因となる︑という︒
酸性雨が森林を枯らせる例にみられるように︑有害物質の長期間にわたる保管︵沈殿︶はE
C内における最も重大なタイプの環境損害を発生させる︒そのため︑早急な浄化又は他の救済活動を必要とする︒
しかし︑民事責任はそのような損害を回復するコストを補償する方法とはならないかもしれない︑と指摘する︒
なぜなら︑右損害は責任負担者をなんら特定できないほど遠い過去からのものであったり︑また︑当事者を特定
することができても損害が発生した時点では責任を立証できなかったり︑あるいは当事者を特定でき︑責任を負
担させることはできるにしても︑その者に賠償資力がないかもしれないからである︒
⑤責任額の制限の是非厳格責任が制限されるべきか否かにつき論争がある︒責任負担者が必要な防止措置をす
べて講じ︑かつ︑予見し得る事故による損害のコストにつき付保している限り︑予見し得ない︑又は防止し得ない損
害が発生した場合には︑その者をビジネスから追放すべきではない︑という意見もある︒結局︑望ましいのは︑回復
のコストを補償し︑将来の損害を防止することであり︑特定の者を破産させることではない︑という︒︻
P .
かし︑他方︑厳格責任の責任総額を制限することは損害防止への誘因としての意義を損ない︑その制限額を超えるコ
ストの回復負担を納税者に転嫁し汚染者負担の原則を損なう︒したがって︑責任制限を行うとしても︑厳格責任の損
皿 過 去 か ら の 損 害
関法
\
\ 9/
ノ
︼1 0 し
Dの﹁事故を原因とした汚染被害に関する損失補償の勧告草案︹C
︵九
一︶
⑥環境損害の意義
ば環境損害に関する一般的概念と衝突するが︑しかし︑法的確実性︵安定性︶
五 一 ︱
‑
八九
害防止機能を弱めないよう高額の制限額を設定しなければならないであろう︑と指摘し︑解決法の一っとしてOEC
一九九一年八月OECD
︺﹂
を紹
介する︒右草案では︑責任制限総額を超えるコストにつき潜在的な汚染者が拠出する損失補償基金によってこれをカ
環境損害の定義につき以下のようにいう︒まず︑定義自体は救済行為の類型とその範囲︑
従って民事責任によってカバーされるコストを決定するプロセスを明らかにする点で重要である︒法的定義はしばし
のためには定義が必要である︒ただ︑
第一に︑環境損害の対象となる環境の意義︑第二に︑環境に対してどの程度の影響があったならそれをもって損害と
評価するのか︑第三に︑誰がこの問題を解決する権限を有するのかに関する論争は︑未だ解決していない︒
第一の点︑すなわち環境の定義については︑動植物及び他の自然に生起するものだけがその相互関係と同様︑環境
に含まれるとの意見もある一方で︑人の文化的遺産にとって重要であるなら︑人間の起源の対象も含まれるとの意見
も存在する︑とし︑後者のように広義に把える例として︑﹁環境損害の民事責任に関する欧州会議の条約草案﹂に言
及する︒右草案は︑大気︑水︑土壌︑動物群︑植物群︑これら同一要素間の相互作用のような非生物及び生物の両方
の自然物質︑さらに文化的遺産の一部を形成する財産︑特徴のある地形・景色も環境に含まれる︑とする︒
第二の点につき︑廃棄物による損害の民事責任の関する
E
Cの修正指令は︑環境を損なう環境被害とは環境の自然
的︑科学的又は生物学的な重大な悪化
(d et er io ra ti on )
を意味する︑と述べている︒しかし︑環境に対するそれ以下
の影響についてはどうか︒すべての人間活動は排出を生じるが︑このような排出がどの程度で汚染と見なされるのか
環境
損害
の救
済に
関す
る
EC
委員
会の
グリ
ーン
・ペ
ーパ
ーに
つい
て
バーすることが提案されているのである︒
︵三
四一
︶
ょ ︑
~'
第四五巻第ニ・三合併号
⑦因果関係の立証環境損害の事例では︑︻
P .
⑧原告適格︵訴権を有するのは被害者はだれか︶
民事責任の伝統的目的は︑損害につき責任を負担する当 は明らかでない︒また︑いかなる点で汚染が現実に損害の原因となるかも明らかでない︑と問題の難しさを指摘する︒
1 1 ︼慢性︵長期的︶汚染で議論したように︑もし損害が複数の
異なる当事者の活動の結果であるとき︑被害者が因果関係を立証することは不可能でありうる︒それゆえ︑長期間経
過するまで損害が明らかにならない特別な事例では︑立証が困難となる︒また︑環境を汚染にさらすことと損害との
間の因果関係の存否を判断する際に考慮される科学水準も︑非常に不確実である︒損害発生につき成り立ち得る他の
解釈をもって加害者が被害者の行う因果関係についての証明を覆すことも可能である︒
る当事者のみに与えられる︒所有者の存在しない財産につき損害が発生しても︑訴権を有する被害者を特定すること
はできない︒環境のために訴権を有する法人又は自然人が存在しないならば︑環境損害を回復するコストは民事責任
によって回復することはできない︒加盟国の間ではこの点につき幾つかの異なるアプローチが存在する︒
⑨環境損害の救済︵どのような救済が求められるか︶
事者に対し発生した損失のコストを支払わせることによって︑損害を被った被害者に補償を与えることにある︒損失
一般に損害が発生した財産の経済的価値の下落又は損害回復に要した現実の費用の点から算定される︒この点︑
環境はそれ自体経済的価値を有するのでなく他の点でつまり種が喪失されないことや絵画のような美しい景色が失わ
れないという点で大きな価値を有するだけであるので︑環境損害は経済的損失という視点からは直接に賠償の対象と
することはできない︒しかし︑環境保護のため努力することの目的は︑社会が決定する一定のレベルの質の下で環境
を維持することにある︒環境が損なわれこの質が基準値を下まわる場合︑回復は唯一の環境上健全な救済である︒し 関法
民事責任では︑訴権は通常損害の回復につき法的利益を有す 九〇
︵三
四二
︶
九
たがって︑民事責任を法的救済として効率的に機能させるためには︑以下に述べるように適切な内容の法的義務を創
設すると共に環境損害に対する適切な経済的評価が必要である︑という︒すなわち︑環境のさまざまな要素を健全な
状態で維持する義務が存在するならば︑環境の要素に損害が発生したときには︑右義務は常に環境を健全な状態に回
復させることをも内容とする︒このような義務は損害を発生させた者に対して回復費用を請求する権利をもたらす︒
責任負担者が支払義務を負う賠償額は環境回復のための現実のコストの視点から算定される︒
⑩保険化の問題
避的に保険の問題を伴う︒︻
P .
保険は経済的損失のリスクをコントロールする︱つの手段であるため︑民事責任の議論は不可
1 2 ー企業による適切なリスク・マネイジメントの手段として保険が利用されるなら︑
経済活動における事故防止及び他の環境保護規制を促進させることとなり︑保険は抑止的効果がある︒しかし︑以下
のような問題が存在する︑と指摘する︒すなわち︑発生が予想される損害の類型とその蓋然性につき保険会社がこれ
を確定することができないならば︑或いは予想を超える損失によってプールされた金銭が費消されてしまうならば︑
保険会社は保険による填補を躊躇する︒民事責任制度の確立︑責任制限額の不存在︑さらに漸次的汚染のような特殊
なリスクの填補︑これらの事情は︑保険会社が複雑なリスクの保険可能性を決定することを困難にし︑場合によって
はどの範囲で保険による填補を行うかを決定することを困難にさせる︒そのため︑保険会社は保険料を値上げするか︑
或いは環境責任保険の市場からすべて撤退するかもしれない︒しかし︑現在︑汚染と関係する損害につき保険による
填補の可能性が既に模索されている︑と指摘し︑各国の現状を紹介する︒まず︑第一に︑保険による填補の範囲を制
限するという方法があげられる︒すなわち︑保険会社が填補から特別なリスクを除外し︑填補の最大量を低くするこ
とによってその潜在的損失を契約上制限するケース︑また︑保険会社が各々の損失につき相当の控除を行うケースが
環境
損害
の救
済に
関す
る EC
委員
会の
グリ
ーン
・ペ
ーパ
ーに
つい
て
︵三
四三
︶
第四五巻第ニ・三合併号
ありうる︒例えば︑
︵三
四四
︶
フランス︑イタリア︑オランダなどでは︑地下のタンクから有害物質が漸次漏洩する例のように
漸次的に発生する損害につき保険による填補を排除し︑事故による損失に対する填補を﹁突然の﹂出来事によって発
生する損害に制限する例がみられる︒第二に︑特別な危険を発生させる特定の産業又は活動に対して︑財政上の担保
の提供を要求するによって潜在的責任をカバーしようという動きがある︒例えば︑ドイツの環境責任法は特定の施設
に対して責任をカバーする担保の提供を要求する︒また︑廃棄物から生じた損害の民事責任につき提案された
EC
指
令は︑生成者及びその処理者
(e li mi na to r)
の責任につき保険又は財政上の担保を要求する︒
さらに︑強制保険化の問題につき以下のように言及する︒第一に︑強制保険の場合︑企業は必要な保険料を市場か
ら調達することができる︒しかし︑調達が難しい場合もある︒また︑調達が可能であっても︑環境損害を回復するコ
ストが保険金額を超えるときには︑責任負担者は超過部分を支払わなければならない︒第二に︑︻
P .
1 3 ︼強制保険
では︑保険会社は︑産業界のメンバーに求められる填補がグッド・リスクかバット・リスクかどうかを判断して保険
による填補を行うか否かを決定することができる︒その結果︑保険会社は産業業界のいわばライセンサーとなりうる︒
ある保険会社は︑環境責任填補を行うか否かを判断する際に︑会社のリスク・マネイジメントの質と損失防止措置の
質を評価する︒環境保護の観点から考えるなら︑保険業界によるリスク評価は有益である︒しかし︑保険による填補
を付与することができないバット・リスクの問題は残る︒第一︱一に︑リスクの性質に従い強制保険が利用可能であると
しても︑そのためには填補の条件及び想定される民事責任のシステムが確立されていることが前提となる︒もし個々
の保険会社が保険による適切な填補を行いえないか︑又はその保険料が余りに高額であるときには︑国による干渉が
必要であるかもしれない︒将来的には︑会社間の不当な取扱いを回避し︑或いは会社規模に応じて異なる義務を課す 関法
九
ところで︑加盟国の環境損害についての民事責任は︑ 害を填補するために右概念を採用しようとする︒ ことを回避する︑といった干渉が考えられる︒第四に︑強制保険については︑な国の経験を考慮することも必要である︒これらの国は既に汚染損害をカバーするため保険プールを設立している︒また保険につき特別な規定を含むドイツの環境責任法から学ぶべき教訓もある︒第五に︑事業者に対して保険によるカバーを要求することは可能であるが︑多くの産業界のメンバーは強制保険に反対する︒なぜなら︑かれらは保険会社からの高額の保険料の要求の虜になってしまうからである︒多くの会社特に環境損害につき責任保険が必要とされる小規模及び中規模の企業は既に保険市場から離れつつある︒
2 本提案は︑以上切で列挙された諸問題を検討する場合︑加盟諸国が環境損害に関する民事責任をどのように評価し︑
また国際的レベルでどのような提案・傾向が存在するのかを探ることが重要である︑とし︑加盟国の国内状況と国際
的な動向を紹介する︒
①加盟各国の傾向の概観︻
P .
九
フランス︑イタリア︑オランダのよう
環境損害についての責任概念は︑比較的新しい概念であり︑加盟国はこれ
まで特別なルールを発展させる必要性を感じていなかった︒というのも︑環境に損害を発生させる多くの事例は責任
の伝統的類型に該当しうるからである︒ただ︑特別諸立法は環境概念に基づいており︑環境に対する特定の性質の損
1 4
︼ 環境責任に関する法の一般的傾向
一般的に損害を発生させた者の過失に基づくものとされてい
る︒環境損害についての特別の民事責任立法がない場合において︑現実に損害が発生するときには︑裁判所は︑違法
行為を行った者の過失についての完全な証明を必ずしも要求しない傾向にあり︑また損害の発生︑損害と違法行為と
環境損害の救済に関する
EC
委員会のグリーン・ペーパーについて
︵三
四五
︶
第四五巻第ニ・三合併号
過失との間の因果関係につき被害者の証明責任を軽減する方法を模索している︒ただ︑このことは︑加盟国の裁判官
による解釈という限定内で行われ︑また加盟国によってかなり差異がある︒
( 9)
他方︑別の傾向すなわち厳格責任制度の発展もある︒危険な特定の活動によって生じた損害につき︑無過失責任を
導入する幾つかの立法がある︒例えば︑航空運送中又は鉄道運送中生じた損害についての責任︵ほとんどの加盟国︶︑
炭化水素のパイプラインによって生じた損害についての責任︵デンマーク︶︑
いての責任︵イタリア︑ポルトガル︶︑危険物の取扱いによって生じた損害についての責任︵オランダ︶︑原子カエネ
ルギーによって生じた損害についての責任︵いくつかの加盟国︶︑バイオ・テクノロジーによって生じた損害につい
ての責任︵ドイツ︶につき立法化されている︒最近では厳格責任を採用しない環境損害立法は存在しない︒
これら立法には共通の特徴がある︒第一に︑何が環境損害を構成するのかという問題はほとんど取り扱われていな
い︒むしろ︑法の一般原則に言及し︑死亡︑身体損害又は財産損害についての填補を定めるだけである︒第二に︑通
常︑証明責任又は因果関係に関する原則を含んでいない︒加盟国が立法及び解釈理論によって発展させてきた法の一
般原則が適用される︒但し︑ドイツの一九九0年の環境責任法による解決には留意すべきである︒︻
S .
律は︑環境への影響
(M od if ic at io n)
によって生じた死亡︑身体損害又は財産損害をもって環境損害と定義する︒同
法三条一項は︑ここにいう環境への影響を土壌︑大気︑水︑振動︑騒音︑圧迫︑放射線︑ガス︑蒸気︑気温の変化︑
他の類似現象への影響と定義する︒このような環境への影響は︑本提案に添付した国内立法に関する添付書類でリス
トアップした施設
( in s t al l a ti o n )
によって生じる︒責任の分配は︑当該施設の保有者に対して行われる︒したがって︑
因果関係の証明責任を軽減する規定が設けられている︒この法律は︑当該施設が損害を発生させるのに適したもので 関法
1 5 ︼
︒こ
の法
一般的な危険活動から生じた損害につ
九四
︵三
四六
︶
②国際的レベルで採用された解決法︻
S. 15
︼
九五
一九四一年三月︱一日の有名な
Tr ai l
国境を越えた汚染から生ずる損害を救済する必要性は︑環境損 その他︑伝統的な民事責任ルールを逸脱する環境立法も存在する︒例えば︑
棄物の用地につき汚染を発生させた者に対して浄化費用を出費させる権限を政府に付与する制度を設けることを定め
る︒類似の制度は︑オランダの一九八三年の臨時土壌浄化法にも存在する︒
ただ︑環境に危険を及ぽす特定の諸活動に対して厳格責任制度を設けるのが最近の立法的傾向であるとしても︑民
事責任につき加盟各国に存在する一般的な立法枠組みは︑環境損害の救済のメカニズムにつき同一のアプローチをほ
とんど採っていない︒このような方向では︑厳格責任に従わせるに相応しい分野の選択が異なるため加盟各国間に存
在する差異は解消されない︒厳格責任によってカバーされる諸領域︵廃棄物︑水源︑環境に危険を及ぼす工業施設︶
は各国によって異なる︒このような不均衡は同一条件での環境損害の救済を明らかに妨げ︑環境の効果的な回復につ
き同一結果を生じさせない︒したがって︑環境損害の回復につき域内統一をはかる必要があることを指摘する︒
害についての国際的責任の発展を促した︒そもそも国際法の原則の下では︑国家はその国内において行われる諸活動
が他の国家に不利な影響を及ぼすことを防止するにつき責任を負う︒国境を超えた損害が生ずる場合︑被害国はこの
国際的な義務に従わなかった国家に対し補償を求めることができる︒︻
P .
環境
損害
の救
済に
関す
る E
C委
員会
のグ
リー
ン・
ペー
パー
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いて
1 6
︼
Sm el te
判決︵アメリカ対カナダの事件文r
f ra i l Sm el te r Case,
3
R・ In t
1 A
rb . A wa rd
︹ 1905 1941
︺ )
︵三
四七
︶
は︑ある国の国 つき十分な財政的担保を行うことを要求されている︒ 一定の要件の下で当該施設が損害の原因であると推定する︒ただ︑被告はこの推定を覆すことができる︒
保険の問題については︑重大な損害を生じさせるのに適した施設の保有者は︑責任保険の導入︑又は限られた事例に あ
るな
らば
︑
デンマークの一九八三年の法律は︑廃
第四五巻第ニ・三合併号
内において越境損害を発生させる活動が行われたとき︑その国家の責任を正式に認めた︒
ところで︑環境損害についての民事責任は多くの国際条約で取り上げられている︒以下︑本提案は︑三つの国際条
約すなわち﹁原子カエネルギーにおける第三者の責任についての条約︵パリ一九六0
年︶
﹂︑
﹁石
油に
よる
汚染
損害
に
ついての民事責任についての国際条約︵プリュッセル一九六九年︶﹂及び欧州会議における﹁環境にとって危険な活
動から発生する損害についての民事責任に関する条約﹂につき幾つかの共通点を指摘する︒第一に︑すべて一定の免
責又は抗弁の規定を伴う︑厳格責任のシステムを確立している︒第二に︑責任の分配に関し︑操業者に責任が課せら
︵パリ条約三条︑ブリュッセル条約一1一条一︑欧州会議の条約六条・七条︶︒プリュッセル条約は責任を事故
当時の船舶所有者に分配し︑所有者の代理人︑船長などは︑損害を発生させる意図で行動しておらず︑また損害が自
らの行動から生ずるであろうことを知らない場合︑被告とならない
者は汚染による損害が戦争︑内戦︑暴動又は例外的・不可避的自然現象から生じたことを証明すれば︑免責される︒
欧州会議の条約では︑責任を操業者すなわち危険な活動をコントロールする者︵二条五項︶に分配する︒危険な活動
とは︑職業上行われ︑遺伝学上有機体又は微生物に危険な変更をもたらす諸活動をさす︒第三に︑プリュッセル条約
では︑環境損害すなわち汚染損害とは︑船舶からの石油の漏れ又は排出がどこで起ころうとも︑その汚染によって石
油を運搬する船舶の外で発生する損失又は損害をいう︒防止措置のコスト及び防止措置を講ずることにより生ずる損
失又は損害もこれに含まれる︵一条︶︒また︑当該出来事が船舶所有者の過失により起こったのでない限り︑船舶所
有者の責任を制限してよい︑と定める︒欧州会議の条約では︑環境損害には環境を損なうこと
含まれる︒すなわち︑環境が損なわれたため発生する逸失利益の損害賠償は別として︑環境が損なわれたことに対す れている 関法
︵修
正一
一一
条
一九八四年︶︒それゆえ︑船舶所有 九六
(i
mp
ai
rm
en
t)
自体も
︵三
四八
︶
つ
︶
︑
' る損害賠償が現実に行われた原状回復措置のコスト又は行われるべき原状回復措置のコストに限定される場合において
︻
P .
1 7 ︼︑人又は財産に対する損害を超えて環境を損なう事態が発生する限り︑環境を損なうこと自体も損害に
含まれる︒第四に︑欧州会議では責任の範囲に関し多数意見は︑特別な経済活動によって生ずる損害に限定する︵原
子カエネルギー︑危険物の運搬︑炭化水素︑危険物質の管理など︶︒第五に︑プリュッセル条約の七条一項は保険に
つき以下のように定める︒すなわち︑条約国において登録された船舶で積み荷二000トン以上の石油を運搬する船
舶の所有者は︑保険に加入し︑又は銀行保証︑国際補償基金によって交付される証券などの他の財政上の担保に加入
しなければならない︒しかもこの条約の下で汚染損害につきその責任をカバーするため定められた責任の限度額︵船
舶所有者はトン当たり二000フランで総額二億一0
0
0万フランを限度とする責任に限定される︶を適用すること
によって定まる額において︒他方︑欧州会議の右条約は︑責任の特別な制限をせず︑活動により生ずる特定のリスク
を考慮して強制財政的担保制度を定める︒
E
C指令に言及した後︑︻
P .
九七
一九八六年︑サンドの火 本提案は︑厳格責任自体につき︑まず一九八五年の欠陥製造物の製造者の責任に関する
1 8 ︼環境保護目的のために民事責任を活用する幾つかの指令等を紹介している︒第一
一九八四年︑危険な廃棄物の越境海事運送の
E
/EECC内での監督とコントロールについての八四/六三︱指
令が採択されている︒第一九報告は︑﹁危険な廃棄物の海事運送中に生じるかも知れない損害の効果的かつ公平な損
害賠償を保障するため﹂︑生成者及び他の責任負担者の責任を定義することを求めている︒同指令︱一条一︳一項は︑明
確に生成者の民事責任を実施するための条件を決定すべくその会議を求めている︒第二に︑
災の後︑欧州議会は︑域内水路のより効果的な保護のためのポイントは損害を発生させた汚染者による責任負担及ぴ
環境
損害
の救
済に
関す
る
EC
委員
会の
グリ
ーン
・ペ
ーパ
ーに
つい
て
③共同体における状況
︵三
四九
︶
行った︒第三に︑汚染者負担の原則の徹底について︒
一九
八九
年一
0月
の EC
委員会による廃棄物により生ず
一九
八七
一九七五年の廃棄物指令と廃棄油脂指令及び一九七八年の有 第四五巻第ニ・三合併号
︵ 三
五
0)
損害賠償に関して公平な解決を行うことを通じて迅速な浄化と回復を実現することにある︑と宣言する
(B ul l. EC
11‑1986, p
oi nt 2 .
1 .
14 6. )
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北 ハ
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3め ッ
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5左2の
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の措置を再検討し適切な提案を行うことを求めた︒二週間後︑欧州議会は﹁すべての化学上かつ高度の危険を伴う諸
活動と関連した事故につき無過失責任に関する共同体のシステムの提案を提唱すること﹂を委員会に求める議決を
毒.危険廃棄物指令は︑安全措置のコストにつき廃棄物の保有者及び生成者に責任を負担させるシステムの基礎とし
て汚染者負担の原則に明確に言及する︒さらに一九八六年の単一欧州議定書の採択と右議定書に基づく
EC
条約
第一
三Or条の追加は︑環境損害についての民事責任のより一層の議論のはずみとなった︒同条は環境に関する共同体の
行動は汚染者負担の原則に基づくべきであると定める︒第四に︑︻
P .
年発表された第四次環境行動計画
(O JN o
C
32 8, . 7 1 2.
87
, p . 15 , pa ra gr ap h 2. 5. 5.)
における責任につき妥当な定義を行い得る領域を検討すべきことを宣言すると共に︑汚染者が製造又はその過程で発
生させた損害につき重い責任を引き受ける可能性に言及する︒第五に︑有機体の遺伝学上の変更につき環境への放出
から生ずる損害という視点から絶対責任制度を検討すべきとする欧州議会の一九八九年及び一九九0年の要求に基づ
き ︑ E
C委員会は︑環境の水平性に対する損害についての民事責任の問題を検討中である
fi
na
l‑
SY
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131 ̀
6. 1 2. 89 .)
︒竿
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つい
て︒
︼以上のような展開に呼応して︑1 9
は ︑ E
C委員会が環境の分野
(S EC ( 89 )
2091
る損害についての民事責任に関する指令案︑地中に埋められた廃棄物についての理事会指令に対する委員会提案
(O J No
C 190
22 . 0 7.
91
, p .
1)~”紐gふハ~ふいている︒砕口に︑曲型名については︑廃棄物の生成者は廃棄物による環境の 関法
九八