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Approach of the SST by the remote for small junior and senior high school students

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Academic year: 2021

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受付日:令和 2 年 10 月 21 日 受理日:令和 2 年 11 月 24 日

1)岩手県立大学看護学部 Faculty of Nursing,Iwate Prefectural University

Ⅰ.はじめに

 Social Skills Training(以下,SST)は慢性 期にある統合失調症をもつ人の対人技能を高め るために開発された認知行動療法の1つであ り,現在では精神科医療の場だけでなく,刑務 所などの矯正施設や教育現場でも行われるよう になっている.子どもに対するSSTも病院や学 校,放課後等デイサービスなど,実践の場が拡 大されてきている.発達障害などをもつ児童に 対するSSTによって,社会的スキルの学校での 遂行につながった(半田,2014)ことが報告さ れている.本学看護学部精神看護学教育研究分 野においても2016年から子ども向けSSTを行っ ている. 文部科学省(2012)は,共生社会とは誰もが 相互に人格と個性を尊重し支え合い,人々の多 様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社 会であると述べ,「インクルーシブ教育システ ム」の構築を目指すとしている.そのためには,

障害のある子どもと障害のない子どもが,でき るだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきであ ると述べている.本取り組みにおいても発達障 害などの疾患をもつもたないにかかわらず,対 人技能を高めることを希望する子どもが参加で きるように疾患は不問としたオープングループ で行っている.参加している子どもや保護者か らは「ポジティブに考えられるようになった」

「自分の気持ちを言えるようになった」などの 感想が聞かれている.

 2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大を 受けて, 5月から7月までは従来の対面型では なくリモートでの開催を行った.また, 8月以 降はリモートと対面型を併用して実施してい る.SSTは参加者の側に寄り添って進めていく ものであり,リモートによるSSTの報告はこれ までにない.そこで,リモートを活用した小中 高生向けSSTについて報告する.

Ⅱ.小中高生向けSSTの実際

1.目的 小中高生の友達や家族との付き合い方など対 人技能の向上を目的としている.

2.対象 対象は県内在住の小中高生各4~8名程度で ある.県内の小児科や精神科のある病院,クリ ニックに案内チラシを配布しており,主治医か ら勧められて参加する子どもも多い.また,「い わて県民情報交流センターアイーナ」のホーム ページにチラシを掲載しているため,アイーナ の利用者がチラシを見て申し込む場合もある.

疾患不問型のオープングループで行っている が,病院で医師から勧められて参加している子 どもが多く,発達障害などをもつ子どもたちが

リモート「小中高生向けSST」の取り組み

佐藤史教

1)

Approach of the SST by the remote for small junior and senior high school students

Fuminori Sato

1)

キーワード:社会生活スキルトレーニング,発達障害,リモート

■実践報告■

岩手県立大学看護学部紀要23:59−62,2021

Journal of the Faculty of Nursing,Iwate Prefectural University

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岩手県立大学看護学部紀要23:59−62,2021

全体の6~7割を占めているのが現状である.

3.スタッフ

 SST普及協会認定講師である筆者と本学の学 生で実施している.SSTを行う際には,筆者が リーダー,学生が演習の補助者として活動して いる.

4.従来の小中高生向けSSTの内容

 従来の小中高生向けSSTではターゲットスキ ルを設定し,小中高の3クラス制,各クラス60 分で実施している.

 小・中学生クラスではSSTの最初の10分間に ウォーミングアップとして,ゲーム形式でフ ルーツバスケットならぬ何でもバスケットを 行っている.何でもバスケットは人数分より一 つ減らした椅子を円形に配置し,座っていない 一人がお題(例:今朝,パンを食べてきた人な ど)を言い,そのお題に当てはまる人は自分の 座っている以外の席に移動するという,お題に 自由な発想を持たせた方法である.何でもバス ケットは,初めての参加者の緊張度を下げるこ とやお題を言うことで話す練習になること,自 分が座るために他の参加者を観察することにつ ながると考えている.

 高校生クラスのウォーミングアップは自己紹 介などを行っている.

 ウォーミングアップ後,テーマに沿った情報 提供を20分程度行い,その後に演習を20分程度 行っている.演習はSSTの基本訓練モデルに基 づいて以下のような流れで実施している.

 ① 子どもたちのなかからロールプレイ実施者  ②場面設定を選ぶ.

 ③ 1回目のロールプレイ(相手役,必要物品 などを用意する)

 ④ 1回目のロールプレイの良かったところを 他の対象者からロールプレイをした人に伝 えてもらう(正のフィードバック)

 ⑤ さらに良くする点を他の対象者から挙げて  ⑥ 必要であればお手本を他の対象者に演じてもらう

もらう(モデルのロールプレイ)

 ⑦ 2回目のロールプレイ

 ⑧ 2回目のロールプレイの良かったところを 他の対象者からロールプレイをした人に伝 えてもらう(正のフィードバック)

 ⑨ 宿題の設定(実際の場面がいつごろあるか 確認する)

 小学生クラスは「あいさつをする」「自己紹 介をする」「自尊心を高める」「気持ちを伝える」

「上手な断り方」など行動の変容を目的とした テーマにしている.中学生クラスは「自分の思 考について考える」「新しい思考を取り入れる」

「怒りや抑うつに対処する」「アサーティブな言 い方」「面接試験の受け方」など認知の変容を 目的とし,発達に応じたテーマで行っている.

高校生クラスはフリーテーマで行う他,「ソー シャルネットワークサービスによるコミュニ ケーション」「異性との付き合い方」などのテー マで行っている.

 終わりの10分間はまとめとして,参加した感 想を述べてもらっている.

5.リモートによる小中高生向けSSTの内容  リモートでのみ開催した5~7月は中高生の 参加希望が少なかったため,小学生クラスと中 高生クラスの2クラス制で開催した.

 小学生クラスのターゲットスキルは, 5月が

「あいさつをする,人の話を聞く」, 6月が「自 己紹介をする,質問をする」, 7月が「初めて 会う人に話しかける」とした.中高生クラスの ターゲットスキルは, 5月が「自分の思考につ いて考える」,6月が「新しい思考を取り入れる」, 7月が「フリーテーマ」とした.

 5月と6月は試行的に行ったものであり,お 互いにリモートでの方法に慣れることに終始し たため, 7月の取り組みについて述べる.7月の 小学生クラスでは初めの15分間は緊張を和らげ ることと,Zoom®で話すことに慣れてもらう ことを目的にクイズを行った.クイズの後には

「初めて会う人に話しかける」ことについて講 義し,その後にZoom®のブレークアウトセッ ション機能を活用して演習を行った.ブレーク アウトセッション機能によって,本学学生と子 どもたちを①ハンバーガーショップ(学生は店 員役),②習い事(学生は塾の先生役),③友達 の家に電話(学生はお母さん役),④小中高生 向けSSTの場(学生は大学生役)の4つの小部 屋に分けて,演習を行った.小グループで演習 を行う時にブレークアウトセッションは役立つ が,保護者からは「時間が余ってしまって,何 をしたらいいかわからない時間があった」との 声が聞かれており,ホストである筆者が複数の

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リモート「小中高生向け SST」の取り組み

グループを同時にサポートすることができない ことが欠点であったと考える.

 中高生クラスではフリーテーマで基本訓練モ デルのSSTを行った.画面越しではあるが,通 常のSSTのように相手役を設定してロールプレ イを行い,他のメンバーから正のフィードバッ クをもらった.7月の時点では子どもたちもリ モートでの方法に慣れており,発言する時のみ マイクをオンにしたり,手を挙げて発言できて いたため,リモートを感じさせずスムーズに進 行できた.

 リモートによる小中高生向けSSTの取り組み はSST普及協会会員向けのメールマガジンで配 信されたことから,県外の精神保健医療関係 者の見学の申し込みがあった.中高生クラス は保護者の了解が得られたことから,県外の 精神保健医療関係者の見学を受け入れることと した.その際,見学者はビデオと音声をオフに した状態で見学を行うこととした.見学者から は「先生の対応がとても参考になった.感情を くみ取って声をかけるのが上手いんだと感じ た.参加してよかった.」「Zoom®にはチャッ ト機能と音声通話による意思疎通があり,対面 式で行われるより表現の仕方が多く,参加者が セッション中であっても強制的に意見を表明で きる点に困難さがあると感じた.学生がモデル となって良い因子になっていた.全体が穏やか な雰囲気でセッションが最後まで進んだと感じ た.」などの感想が聞かれた.

6.対面型とリモートを併用した小中高生向け SSTの内容

 8月からは従来通り小・中・高の3クラス制 とし,対面型とリモートを併用したSSTとした.

会場ではスクール方式でソーシャルディスタン スを保てるよう,半分の座席を使用した.ま た,スクリーンにはZoom®の画面を映し,実 施した.対面型とリモートの同時開催は初めて の試みであり,タイムラグが生じたり,声が聞 こえづらいなどの問題はあったものの,比較的 スムーズに行うことができた.

 従来のウォーミングアップは対面型とリモー トではできないため,自己紹介を行った.リ モートで参加している子どもたちの声はスピー カーを通してはっきりと聞こえたものの,対面 して参加している子どもたちの声はリモートで 参加している子どもたちに届いていないことが

多く,環境整備が十分ではなかった.しかし,

場面を提示するロールプレイはパソコンの近く で行いながら,リモートで参加している子ども たちにも声が聞こえるように工夫した.その後,

子どもたち同士でロールプレイする際には対面 型は従来通りその場で行い,リモートで参加し た子どもたちはZoom®内で行った.参加して みての感想については従来通り一人一人話して もらった.

7.参加者の感想

 「自分の気持ちを伝えるにはしっかりありが とうと言いたい.」「ありがとうやごめんねの使 い方を知ることができた.」「ちゃんと相手に聞 こえるように言えたし,正面を見て言えたので よかった.」などの感想が聞かれた.一方,保 護者からは「リモートと対面とどちらかに統一 した方が運営がスムーズになるのではないか.」

との意見も聞かれた.

Ⅲ.考察1.リモートによる小中高生向けSSTの効果  リモートによる小中高生向けSSTに参加した 子どもたちからは,対面で行っていたSSTと同 様の感想が聞かれた.このことから対面で行う 場合と同様の効果が得られた可能性があると考 える.これは,子どもの順応性が高いことや,

ウォーミングアップとしてクイズを行い,リ モートで話すことに慣れるように工夫したこ と,全体で話す前に小グループで演習を行った ためと考える.

 また,リモートによる小中高生向けSSTに参 加している子どもたちは対面型で行っている小 中高生向けSSTの時から参加している子どもが 多く,お互いに顔見知りであることが多い.そ のため,リモートでもスムーズに参加できてい たと考える.しかし,新規の参加申し込みも増 えており,今後リモートで初めて接する子ども たちも増えていくと考えられる.この場合,子 どもたち同士やスタッフとの関係性の構築がス ムーズにできない可能性も考えられることか ら,スタッフとの個別面談や子どもたち同士が フランクに話せる場の設定も必要と考える.

 SST参加中,画面を集中して見る子どももい たが,多動で集中が途切れやすい子どももいた.

特に,自宅で参加しているため,ペットが近く にいる場合などに集中が途切れることもあっ

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岩手県立大学看護学部紀要23:59−62,2021

た.保護者に対して自宅で可能な限り環境整備 を依頼する必要があると考える.また,大島

(2016)は,個人SSTの各最初に集中力の向上 を目指して点繋ぎや間違い探しといったウォー ミングアップを行ったことで,集中力の向上に つながったと報告している.リモートによる 小中高生向けSSTにおいてはクイズを行ってリ モートでも話しやすくなるように工夫したが,

子どもたちがリモートで話すことに慣れてきた ら集中力を向上させるようなウォーミングアッ プを取り入れることも必要と考える.

 岩坂(2018)は,子どものSSTを成功させる 鍵は,「習ったスキルの日常生活の場での般化」

であるといっても過言ではないため,生活に 近い場でのSSTは有用であると述べている.リ モートによる小中高生向けSSTではパソコンや スマートフォンの操作のために保護者が子ども の側にいることが多いことから,SSTで練習し ている内容を保護者も把握しており,日常生活 の場での般化にもつながる可能性が高いと考え る. 

2.副次的効果

 リモートによる小中高生向けSSTは県外の精 神保健医療関係者の見学も可能であることもメ リットと考える.また,見学者からは学生の存 在の重要性も聞かれた.子ども向けのSSTの実 施者は,精神保健医療関係者や教師が実施して いることが多く,大学生がスタッフとして関 わっていることは少ないと考えられる.大学生 は子どもたちと年齢が近いため,子どもたちは 親しみやすさを感じていると考える.さらに大 学生にとっても子どもとの関わり方を学ぶ良い 機会になっていると考える.

 対面で行っていた小中高生向けSSTは,盛岡 市近郊の子どもたちが多く参加していた.リ モートによる小中高生向けSSTは,沿岸部など 遠方に住む子どもも参加できることがメリット と考える.

Ⅵ.今後の課題と展望

 対面型とリモートを併用した小中高生向け SSTの場合,対面で参加している子どもたちの 声がリモートで参加している子どもたちに聞こ えにくいというデメリットがあった.集音マイ クの導入など通信環境の改善が必要であると考 える.

 柴田・西方・安西(2018)は,SSTの介入効 果を高めるには学校場面の文脈に合わせたり,

親を介入に含めることが必要であると指摘して いる.リモートによる小中高生向けSSTの場合,

親も子どもの側にいることが多く,親も介入に 含めることができている.しかし,参加してい る子どもたちの学校や学年は異なっており,学 校場面の文脈に合わせることはできていない.

リモートでは小グループや個別で演習を行うこ ともできることから,今後個々に合わせた演習 ができるように検討していく.

 リモートによる小中高生向けSSTの場合,他 県からの参加や見学も可能であることがメリッ トである.今後,県外にも周知していくことも 検討していく.

引用文献半 田健(2014):発達障害児へのセルフモニタ リングを取り入れた社会的スキル訓練―短期 維持効果の検討―,行動療法研究,40(3),

177-187.

岩 坂英巳(2018):ADHDの心理社会的治療―

小児期から青年期まで―,臨床精神医学,47

(5),573-579.

文 部科学省(2012):https://www.mext.go.jp/

b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/

attach/1321669.htm(検索日2020年10月15日)

大 島麻美(2016):広汎性発達障がい児に対す る場面認知へのアプローチ―個人SSTを活用 した一事例―,第46回日本看護学会論文集,

精神看護,46,63-66.

柴 田貴美子,西方浩一,安西信雄(2018):発 達障害児とその親を対象としたSSTプログラ ムの有用性―親子SSTプログラム開発のた めの予備的研究―,作業療法,37(5),557- 563.

参照

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