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数学の学習状態に対する考察

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32

数学の学習状態に対する考察

 序   書

 数学教育を振興する為には,数学教材の研究として数学自体及び理科方面の知識の必要 は云うまでもないが,数育方法的な面で,教育学,心理学,哲学,論理学,社会学,等の 研究もその裏付として必要ではなかろうか。

 数学の性格からいつて,特に心理学的研究が大切であるように思う。それでは心理学は どの嫌な面で数学教育に関与するだろうか。数学として特に考えられるものを挙げると,

 (イ) 数牽能力の心理的発達段階の研究  (ロ)学習障害点の心理的分析

 (ハ) 問題解決過程の心理的考察  (二) 数学学習状態に関する心理的考察  (ホ) 数学のテスト法に関する研究

等であろうと思うe私の研究したいのは,(ロ)(ハ)であるが,これらについては多くの 問題があり,充分の検討がされてV・ないので他日にrw)・(二)につ・・て調査した結果を 考察することにする。

 1.数学の野嫌について

 数学と興味については,副島羊吉郎氏が,『数学学習の心理』において述べられている が,もう少し詳しく考察して見たいと思い,数学の好嫌と成績との関係を調査した。

 1.調 査 事項

 (1)水戸市G小掌校6年生4学級(201名)

  a. 好嫌の程度

   (イ)小学校の教科全部をあげて,児童の好む順位を書かせる。(相対的噸位)

   (・)非常に好き,好き,Pt一きで醐モいでもない、嫌い・非常に蜘 の5段階に     分けて何れかを選ばせる。(絶対的順位)

   以上の両者を併せ考えて,次の様に好嫌の尺度を定めた・

(2)

      鈴Ac :数学の学署賦態に対ナる考察         33      ■

   伽;①1}②,:}③,1}④とし,(・)は順一2, 3・ 4 s f ,e −S

   え・(イ)(・)の合融とする・例えば教稗附3でt ff き という者に交,しては    2十1=3を与える。

  b・ 算数の成績

   田中教育研究所,教大附属小共編「小算新標準学力検査」

  C. タロ倉旨手旨数

   i教研式掌年別知能検i査

 (2)水戸市N中学校2年生2学級(123名)

  a・好嫌の程度・…・・小学校の揚合と同様   b. 数学の成績

   教研式C中学標準学力テスト数学一年用,二年用より主として選び,調査目的の必    要で若干別の問題を添加する。

  c・知能指数……榊原A式  2・ 数学の好嫌と成績との関係

 数学の好嫌が数学の成績に及ぼす影響を見るために,先ず好嫌の程度と数学の成績との 相関々係を調べて見た。

 (1)小学校の揚合

       〔第一衷〕

1薯且1 算数の威績(M岩59.O)

好嫌の程度

   ld好100%L 好100  1

好74

好 3

嫌 3 嫌100 B睡1。。 1

44O〜9

30

̀39

20

̀29

1 4

器i罵器

 1  3

14 z7

35「6

」..ヱL生

  51・

11、 2 3

22 P6

6 5i 9   ヒ   313  _1 1。16

  21

 2i 一1−

 11

24一  一

フ一2

器隙}:1;i:!l;1レ

4一5

−一2

4  1

  2 2Ll..!

::1

130 142

1 27

40「

32 IT・

3

i2『奄U卜711、「31i3。1 25 1 33 b21 13 11・同4いi「2。1

7曇O. 46

(3)

34      茨城大學教育撃部紀嬰・第四號 

      ,  :変換を行うと,γ=0.46に相当する9はO. 497であるe

       ・・r÷r一蒲rえ〒一α。7。8

 95%の僧頼限界.は z±].960z=・e. 497±O.139となり,γにもどして       O.34〈γくO,56

 となるe

  上の相関表を見ろと,算数の成績のよい者に嫌いな者が無いが,成績の悪い者に好きな  者が居る。これは算数のよさを感じている者があることを示している。

  (2) 申学校の揚合

       〔第二表〕

好嫌の程度

獲騰iL_ 数字の成績(M冒203.4)

灘剰i翻黙:lll罰1:i麗!ll:i:i:1:i:

好100%』

好100

好 73

好 5

嫌20 嫌36

嫌100 嫌IOO

11

1

11{

⊥㌃

3

」−L

1

21

[L7一7

2

2 4

4㈲

2

1 2

ρ

3

14

260

279   3

3 5 2 3

3   1.

1 1  1

−s21>

2  1

c2)  Ω}

「一「

280i

21gi, f

rrv 一一一u

3

il 2i 3i ll 5} 5}121 81111161261161141 411123        γ=e.51

愛宕附属中学校2年生91名について,相関係数を求めるとγ=α48となり,殆ど同懐で

ある。

 N中学校は前述のG小学校の子供が入学するので,子供の素質に大差があるとは考えら れないので,相関係数も或程度は比較可能であろうと思うe然し両者に有意な差は見られ なヤ㌔これは中学校の揚合の方が大になると予想していたので意外であつた。

第二表からわかる様に,数学の成績の悪い者には好きな者が甚だ少くなlj e成績のよい者 に嫌いな者が生じている。右下隅の部分だけに,女子の数を括弧内に示したが,殆ど女子 に限られているe小学校の揚合との差異を見るe

 3・ 数学の好嫌と成就指数との関係

(4)

      鈴 木:、数学の学習朕態に対すち考察       ・35  数学の好鎌の影響がとうなるか,を見るのに,数学の成績だけPtは不充分なので, 成就 指数をとつて見た。

      蹴指数考器畿雛雛x1。。

(1) 小学校の揚合

〔第三表ユ

罪数の成就指数(if ==14, 9}

…i6°N6gl7° ・・IS°A.8glg°Ng9

2

10G・V

 lo9

嫌の程度

6

8 1 4

1 5 2

1 4

 9  11

_9Ci…9−

 714__1

14h。

  ヒ   −L−  

 8   7  6 i 3

』一一…−P 一

4i.⊥

  i

11°ツ9112°軽9 3°憲g/4°憲9;15°憲9

1

「「}

1…11一2

一 F

1

3

フ1[1 i8 1 26「57 145・・ 16

30 40 26 37

黷Q8

12 10 2

1 ;い85

?=O,25

 調査対象201名の内,知能検査を受けなかつた者と,知能偏差値33以下の者を除いて・

185名について調ぺた。知能偏差値が33以下の者はり分布の関係で非常に不自然な成就指 数を示すので棄却した。

 前述と同檬にして,95%の信頼限界を求めるt,  O・ IO〈γ〈0・38  となる・

叉C.1〜.=r〜/π一一1=α25》募「=3.39>2.58であるから,1%の危険率で有意とな るc

 即ち,好嫌の影響が成就指数にも若干表れていることを示している。

(5)

36 茨城大學激育學部紀要 第四號

(2) 中学校の揚合

〔第四表〕

一鴛醜

学の成就指数(O=18.4)

 1

Tτ

撃沿

亙1

 71

一...Z−ll−

gl

署i器齪:ll:

1囹1

7 3 8

   一 [

2 120

129 2

11°1{°ド1°ii∫

  149i159 il 139

1

.2

1

…「 1

 i「9

−il 1 6

 Il 18一トー    .⊥iL旦

1i11

 i! 14_il_

」−2

」LLo iLi

filiH31711912312gl141sl1回2il・9

7=0.36

 知能検査を受けな かつた…皆を除く。

第三表と上ヒ較して見

ると半lj fiXSとわかるよ

うに,左上隅と右下 隅が空いて来て,好 嫌の影響が梢陸増大

して来ていることを 知る。有意な差があ るとまでは云いきれ

なレ・カs,標暫ヒf雨差iも

増大して来ているこ とがわかる。

 即ち,学年が進む に従つて数学に対する好嫌が,数学の成績に反映して来ると言つても過言ではあるまい。

4.学蔽別による好嫌の差の影響

 学級別に考えると,教師の指導法が好嫌に影響し,それが成績にどのような結果をもた らすかを見ることにした。

(1) 小学校の揚合

〔第五表〕

A 組 B 組 C 組

D組

な率 好藩きの 指差数値均 能価 知の干

52.1

52.7 52.2 51,2

59%

51 52 31

嫌いな 算数 者の率 準 均 13% 63,1 16  62.5

6  69,4 6  66,1

成就指数 平  均

好nVEと.の相関係数

計算力陣力瞬酬合繍

97,1

.48

101.2

.36

.56

.30

231 .25

、48

.69

.57

・361・35

」sレ21 tu定1勲司 降bl差劾1 1 1

(6)

鈴 木t数学の学習歌態に対する考察 37

〔附 表〕

A 組 B 組 C 組 D 組

漱科の好嫌の順位

1 2 3 ・15 6 7 8

体 育 国 語 国 語 理 科

算 数 笠 数 赴 会

体育

国 語 選 科 算 数 算 数

理測肚会

就会 休育 理科1体育

国諏会

図工隊庭障m

       L 家庭 図 工1晋       t

図 工 家 庭

     樂

   1−一一−

象 庭・晋 樂

図 工1晋樂

   1

 前述の揚合と同様に,知能指数偏差償33以下は調査対象から除いたので,各組の平均が 50点以上となつているeB組とD組との差を検定して見ると,人数は46人,43Aであるから

 情‡鷺「・ゾ㌔塁・耳4≒°・ 72<2・°2

t検定により,危険率5%で有意な差があるといえない。結局,各組共に知能に於ては同 様であると見て差支えない。

 次にB組とC組の算数平均及び成就指数平均の差をゴ検定して見ると・1%の危険率で 有意であり,差があるといえる。

 ここに欝教師の指導油による差を見出すのである。好嫌の率を見るとヌ遵を生じてY・る ことが分る。C組は好きな者が多く,嫌いな者が少く,算数平均点も成競指数も最高を示 している。これに反してB組は好きな者の率がC組と大体同様であるのに,嫌いな者の率 が最高を示し,算数平均点も成就指数も最低を示している。

 算数のテスト問題を,計算問題,理解力を見る問題,応用問題に分けて,各成績別に好 嫌の程度との相関係数を求めて見た。それを各組毎に第五表に示しte 6好嫌の率によつて 相関係数の高低が左右されていることがわかる。好嫌の最も少いD組に於ては,特に応用

力の揚合O.16という低い相関係数を示して居る,これは指導法の形態に対して何かを暗示 するものがある。

 それでは中学校の揚合はどうであろうか。

 (2) 中学校の揚合

      〔第六衷〕

きのな率 好者

数均

知雫 綱…均鯉均計算力i理解力im用力!合ilt,tK i成就指数好嫌との相関係数 A組

B組

108.5 109.7

検定陰なし

4・%116%12。1・21」里L54

29 21 201.7

i勲し

.46

1。α1し33 ..坐

差訓

.42

.58   、48

.44 .27

(7)

38 i茨城大學轍育學部紀要・第四號

 知能検査を受けない者は除いたので,A組61人, B組62人である。両組の担当教師は異 なるので,好嫌の程度が異なり,第六表からもわかるが,平均を求めて見るとA組3, 95,

B組4.90であり,1%の危険率で好嫌の程度に有意な差があることがわかる。

 この亥子嫌の両組の差が,数学の成績及び成就指数に影響するものと予想したが,何れも 有意な差は見出せない。これは他に理由があると思われる。この調査の行われる少し前に B組では簡単なテストが行われているので,その影響が出ているとも考えられる。第二表 第四表の結果から推察すると,数学の成績及び成就指数にも有意な差が見られる筈である

と思う。然し中学2年まで累積された数掌能力の影響でこのような結:果になつたとも考え られるので,2組に限らず多数の組で調査しなければ不明かもしれない。

 次に計算問題理解を見る問題,応用問題に分けて,好嫌の程度との相関係数を算出し て見ると,弟六表に示すような係数が得られた。小学校の揚合に予想したように,好きな 者の率が多く,嫌いな者の率の少いA組では応用力で最高を示している。これに反してB 組では理解力で最高を示している。

 この結果から教師の指導法の形態も或程度暗示されるのであるが,小学校,中学校両方 の揚合から考えて,数学に対する子供の好嫌は応用力にも影響を与えるのではないかと思 う。或は逆に言えるのかもしれない。即ち応用力に留意した指導法をとつた時に好きな者 の率が増大する可能性が多いと。

 以上の結果は倫今後のより広い調査によつて裏付けるべき必要を感ずる。  ・  5.数挙に対する婦嫌の変動

 r何年から好きになつたか」「何年から嫌いになつたか」という質問であつたので,不 備な質問であつたことを感じた。それは好嫌の変動が激しく非常に変化の多いことを知つ たのである。これは教師によつて異るという         Fig.1

ことを如実に示すものといつてよいと思う。

       $o この好嫌の変化について既に種たの研究があ

るので,改めて取り上げる必要がないかもし   40一 れないが,上記G小学校6年生A組に再調査

した結果を一応第一図に示すことにする。54 名に対する学年別による好嫌の記1入によつて 画いたものである。

 副励氏の調査の結果を点線で示したが,こ

.のA組の状態は4年迄は比較的低調であつて昌 一般に5年生で低下するのに反して,5年で

30

:o

lo

(8)

鈴 木ゴ 数学の学甕}歌態に対する考察 39

上昇しているのは,5年からの狙当教師の指導法がよかつたこと示していると見てよい。

嫌いな者に対丁る表示は省略するe  6.好嫌の原因について

 好嫌の原因については既に多くの研究があるが,ここでは学・年別にどう変化してゆくか という立揚で述ぺて見たいと思うe

 調査対象は上EE, G小学校6年生, N中学校2年生の他に愛ゴ都付属中学校2年生を加えて 集計することにした』好嫌のあつた学年別に理由を分けて見た。勿論不正確さは避けられ

ないが大体の傾向は掴めると思う。

(1)好きになつた原因

〔第七表〕

碩位

好きになつた原因(計)

      t

学年別による原困 ll小ロ輌a嗣小56年i軋2年

A.面白いから

B.計箕するのが好きだから C.役に立つから

D.考えるのが好きだから E. 答がはつきり出るから F.きちんとしているから G 先生の敏え方がよいから H.先生が好きだから

(以 F略)

23%

17

1 

%2

R 2 齢髭翻

 「面白いから」は終始大きな原因になつている,数学に対する興味を代表した言葉であ つて当然かもしれない。「計算するのが好きだから」は小単校4年までは多いが,5年以 後には急激に減少している。「先生の教え方がよいから」は小学校では低位にあるが・中 学校になると急に多くなつている。

 教材の内容と子供の生長とに依存している面が多いものと思うが・子供達は何を望んで

いるかも説{三察される。  ・

 (2)嫌いになつた原因   ∵

 嫌いになつた原因は,本人が表現するのを嫌うのか,はつきり掴めないのか・好きにな つた原因に圭ヒ較して記入が少く,信頼性が簿いが,同様に第八爽に示す。

 小学校1.2年の記入が極めて少いので,3.4年まで合せて統計を試みた。

(9)

40 L茨城大奪…教育學郭紀要1第四號

〔第入表〕

1順1

  {   嫌い に なつた原因

位:

 1

     li

(計)  il   ___」・

学年別による原因

…;小図年」小ξ6剰中L2年

A.照用問題ができないから B.できないから

C.方程式がおからないから D.面白くないから

E.先生のi致え.方がおからなかつたから F.歩合がわからないから

H.図形がおからないから 1,分数がわからないから J.計算が下手だから

K.友逮よりできないから L,考えるのがいやだから ・ M.IXtt:の使い方がわからないから     (以下略)

21

   % A.23 D、15

[ B・n

8

RV 6 NELαR11q

ABLロ

7

3 3

う9 EEHエLolR

ACBHHKF.D

E.

HL,正.

%・

      _1    備考』N……九々ができないから      Q……先生に叱られたので

      0……休んだら分らなくなつて   R…・・小数がおからないから        P……1劉算ができないから

 嫌いな原因は教材に関するものが圧倒的に多いe 「了面白くない」というのは小学校低学 年では多いが,次第に減少して具体的な教材に変つて来ている。情意的な原因が案外に少 く,子供達は好きになりたい,わかりさえすれば好きになる可能性の多いことを示してい るものと思う。   ,

 II.子供の耐会性と数学の成績

 好嫌の調査に附随して調査したので,完全な調査でなく,目安の程度で実施した。

質問は次の10間とした。

(イ) 友だちは多いですか

(ロ) 話しずきですか

(ハ)考えるより活動する方が好きですか

(=) よくはしやぎますか

(ホ) 仲間はずれにされ ますか

(へ) 好き嫌いが多いですか

はい はい はい はい はい はい

いい凡 いい凡 いい凡

レ 1 い凡

いい凡 いい凡

(10)

鈴木:数学の学習状聾に対ナる考察 41

 (ト) ひとりだけで好きなことをしたいですか はい いいえ  (チ) 友だちと遊ぶと楽しいですか      はい いいえ  (リ) じようだんをいいますか        はい いいえ  (ヌ) よく気がつきますか         はい いいえ

(イ)(・)(ハ)(=)(チ)(リ)(ヌ)は「はい」,(ホ)(へ)(F)は「いいえ」に○印 をつけたものは夫々1点をつけ,反対につけたものは夫々−1点をつけ,O印をつけなか つたものは0点とした。この合計点を以て社会性を示す尺度とした。質問嶺項に対しては 信頼性や妥当性の検討をしていないe

       (1)小学校の揚合        〔第九衷〕

』\

孝1二

7・VIO

3N6

−1・−2

−2  以下

算数の成績(r岩26.4)

錦露i巽i黙:目1:1計1弔均点

3gi135

6.1。1,・16

4・ 奄Wi1 2 21il

    l   l

    l       l

15 i 23

32  12

52ハ∠

9

−¶2 36  70. 9

36 66,4

17  62.7 5  44.5

3  X g466・・3

〔第十表〕

祉会性 7{.10

3N6

−1N2

−2 以下

数  学  の  成  績 (91名)

Ii 2 i 12

i1 2

     3

灘:iΣ:i:}:!:1::1:朧:li計鞠点

         睾

1

612 2414  15091 21∩∪

236,4 253.5 242,5 243.2

 前述の4組の内,B組 とC組について調査し た。平均点を見ると若干 の傾向が認められるが,

相関係数を求めると γ=O.20となり,596の 危険率で辛うじて有意で

ある理度である。

(2) 中単校の揚合  中学校の揚合は殆ど社 会性と数学成績との相関 々係は存在していない。

 .上の二列について双連 続相係数を求めると,

γ;O.28となるので,社 会性i7〜10と3〜6の者 の間には低い相関がある といえる。

 小学校の揚合は,社会性に富んでいる子供が成績が僅かに艮いといえるが,中学校の揚 合は寧ろ或程度落付いた子供が成績が艮いと言えるのではあるまいか。

III.家庭環境の影響

家庭における勉強の状態と数牽の成績について,何かの関係があるだろうと思つて前述

(11)

42 茨城夫學教育學部紀要 第四號

のG小摯校6年1kB・C組に調査して見た。

 (1) 家庭の態度の影響  質問は次のように行う。

「算数の勉強について家で何とかいわれまえか(○でかこんで下さい)

 (イ)父が勉強しなさいという (・)母が勉強しなさいという (ハ)兄か姉が勉強 しなさいという (二)勉強しないと父がしかる (ホ)勉強しないと母がしかる (へ)

何ともいわない」

 第十一表から見ても,変化       〔第十一表〕

のあることが分る。然し知能 指数が低い者に対一オては家庭 でも激励しているとも考えら れるので,上の区分で知能指 数も調べて見たeこれを図示 すると第二図のようになる。

 (へ)を除いてtj:殆ど同様 の曲線を描いている。(へ)

家庭の 態 度

算数の成績(94名)

4・繍

P4°一 s9

イロハ)))

(((

)下也

へ期

1

13

1

3雅 10光 4 4 1

60ハv

 79

63751  1

80N 1 OON 120−.

99119−39

9%

1 1Y: 1

2

34 11

1

i計i物点

  1

13】}イ,{71.2

 −1 47  59. 4

14  73,4 16  75.1

3妬17L6

  1

即ち「何ともいわない」の揚合が算数の成績に最高点を示しているのは注目に値する。自 主的比勉強する子供であると思つてよいのではないか。

        Fig. 2

@        、

〃0

eS

     CPa) (9) い1 (へ) 礎}

 (2) 勉強の仕方の影響

 「家で算数の勉強をどんなふうにやり ますか(○でかこんで下さい)

 (イ)ひとりでやる (ta)父にみて もらう (ハ)母にみてもらう (二)

兄にみてもらう (ホ)姉にみてもらう

(へ)家庭教師にみてもらう (ト)勉 強しない」

という質問を行つた。この分類による算 数の成績ほ,(ロ)の揚合即ち「父にみ てもらう」が最高で平均点76.2であり,

次に(イ) 「ひとりでやる」揚合が平均 点66.7であり,其の他の揚合はずつと落

ちる。

(12)

       鈴木:r数学の押購1調鍋考察     ・3

小学生の揚合は結局,自主的に勉強し,わからない個所を父に質ねる子供が最もよい結果を  示しているものと思う。       ・  i

同様の調査を愛宕附属中学校2年生に実施してみた結果は,(イ)「ひとりでやる」蝸合が最  高を示していた。中学生になると自主的に自分で解決してゆくものが良い成績を示してい  るように思う。この揚合・不明のところは学校で先生に質問するとい.うのが若干見られ  た。 (統計の結果は省略する)

 1V.国語能力の数学に及ぼす影響

 国語能力と数学の成績との闘係も既に研究されているが,国語能力を読む力,書く力,

読解力に分け,数学を計算力,理解力,応用力に分けて,その相互の関係を見ようとして 試みたのである。

 (1) 小単校の揚合

 国語は田中研究所編の標準学力検査の闇題の中から上記三区分に含まれるものを選んで その成績を記録した。算数の成績は好嫌の調i査に用レ・たものと同じである.

      〔第十二表〕  調査対象は前述のG小学校6年生C組

\\ t

   、    \      \

一。一コ2。

19139li〜

数 (合計)

14。・−44 1

 1 35〜39   30・v34

,,,、 1.2S−29

ロロ   

 i2。一一24

A【コ 15【vl9

琶10.−14   5−.9

1

2

∩UQり 8}、9 hUQ冒

40 6〜7

̀鴉

1

100

119

;1:1レ

3」」

&121

1

6 ¶

12 7 10 4 5 3 3

fl31・1・31i61sl6131i5・

       γ=O. 79

相関係数表(小掌校6年)〔第十三表〕

文\i!計算力i理解力i応用力il算数計1

読む力    .56 轡く力 読解力

.61

.60

. 64

.69

、67    .67

.57

一.7.6

.62

7=8

50名である。

 先ず国藷の上記範囲の問題に対する 合計点.と算数合計点との相関々係を示

すと,

 95%の信頼度で信頼限界を求めると 略々

   O,69く  γく().89

となり,梢当に高い相関々係を示して

いる。

 次に各能力別相互聞の相関係数を求 めると次の表に示す撮な結果が得ら

れたe

 これらの各能力の聞には相互に関連 があるので一概に結論をいうのは慎し まねばならぬであろうが,算数.の合計 点に最も影響すうのは読解力であると いえる。文章の中に含まれている事柄

(13)

44       茨城大學敏育學部紀要 第画號

 の椙互開係を把握する能力が影響しているのではあるまいか。特に読解力は応用問題の揚  合に最も高い相関度を示している,応用問題を読んでその中に含まれている数量の相互関  係を把握する能力と関係をもつものと解釈してよいと思う。

  次に読む力であるが,小学校の揚合には理解力に関係が深いように思われる・書く力は  関係が劣つているとはいえないが,特に顕著な特徴を示していない。

  (2)中学校の揚合

  愛宕附属中学校2年生の2組に対して小学校の揚合と同様のテストを実施したが,国語  の問題が少し易し過ぎたので梢々不充分の怨みがある。先ず国語の合計点と数学の合計点  との相関々係を示すと,      一     〔第十四表〕

 95%の信頼度で信頼限界を求め ると,略k.      e

   O,47< γ <0.73

となり相当の相関度を1もつてい る。小学校の揚合に比較して梢々 劣るのは致し方あるまい,学年が 進むに従つて落ちてくるのではあ

るまいか。

 次に小学校の揚合と同様に各能 力別相互聞の椙開係数を求めてみ

ると,

学 (合計)

器!l:

(A口計)

98・v1 OO

95N97

92A・・94

89N91

86・v88 83〜85 80・V82 77・v79

−一h∠

2

200

219

2201240 2}gi219

1

 14

ヱL

  …

1 一1−

260;280

,1,1,19

iiiド1呈

41 P3L里

1」_、土

      3      i三

1 i÷

f1312i719い。12slu122192

       7=o.60   相関係数表(中学校2年) 〔第十五表〕

      第十四表と比較して見ると殆ど同様の傾     計算力 理解力 応用力 数学計

       向を示している。読解力が最も影響が大き 読む力  .23  .40, 凸38  .36

vaく力,.24 T・6−=,T−,25 いことが目立つている・然し読働が珊        力との関係で最高を示している点が小学校読解力  ・40  L里   ・、生Z  ・、聾

       の揚合と異なる。これは中学校になると・

理解問題について相互間の判断能力が必要となつてくる為ではないかと思う.

 以上の例だけでは不充分かもしれないが,小中学校を通じて或傾向の見られることは明 らかである。

 最後に子供の健康状態と数学の成績についても調査したが,項を改める迄もないので,

附記することにする。

質問は「韓は丈夫ですか,(イ)非常に丈夫です(・)丈夫です(ハ)病気はあまりしな

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鈴 木:数学の学習S伏態に対ナる考堅 45

い(二)時k病気をする(ホ)病気が多い」とした。

G小学校6年生B.C組について示すと,

 (・)・一・……47人  算数平均点 72. 2  (イ〉一・……23人    〃   61.9  (ハ),(=〉・・23人   ・〃   55. 8 であつた。

 V.、結   語

 以上好嫌の問題を主に取りあげ,それに附髄して磁々の事項を調査し,数学の学贅状態 にどんな関連をもつか,どんな影響を及ぽすかを考察して見た。今後の研究に残された問 題も多いが,少くとも或傾向を掴み得たものが相当にある。

 数学の指導をする際そこに或法則性を見出すことが出来れば,今後の措塔法に役立つも のがあると考える。不充分な調査ではあつたが,各方面からの御批判を乞い,今後も更に 調査を進めたいと念願している。

       J−−1955, 2. 12一

参照

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