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六郷扇状地における地下水の水質特性

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(1)

六郷扇状地における地下水の水質特性

島野安雄判肥田 登掌*

Characteristics of ground.water quality in the Rokugo alluvial fan,

Akita prefecture

Yasuo SHIMANO and Noboru HIDA

Abstract

  The authors have investigated the water quality on the principal dissolved elements about some wa−

ters such as spring water,shallow well water,artesian well water an(1river water which are(iistributed in the Rokugo alluvial fan。As a result,many sp血gs and well waters in this alluvial fan showed approxi−

mately the same water quality composition。However,some springs located at the outside place from the main axis of this fan showed a tendency of a little different water quality composition.It is considered that the difference of the water quality composition is renecte(i from the different recharge sources between the Maruko river water and the Tazawa irrigation water.The artesian well and the deep well which is pumping up from a deeper groundwater are existed an(l are also shown a different water quality composi−

tion.Especially,the artesian well waters located at the westem end of this fan are the confine(l groundwa−

ter which is且owing a(ieeper layer zone an(1are shown the quite different water quality from the springs an(1shallow well waters.

 Although the water quality of the spring water an(1the shallow we11water in the Rokugo alluvial fan is a common character with those waters of other alluvial fans located in the Yokote basin,the content ratio of the Na and Cl elements is generally high an(l the Na−Cl plus Ca−HCO3type composition is shown.In general,it can be said that the water quality composition of the Ca−HCO3type will often be shown for many springs existing in a whole country of Japan.However,the water quality composition of the sp血g water an(1the shallow well water of each alluvial fan in the Yokote basin including the Rokugo alluvial fan is shown a little different composition from other area.This respect can be considered to have a room for further research,because of the water(1uality of groun(lwater in this basin is also relate(i to a win(ling salt spreade(l from t打e sea water,Therefore,it can be thought that the clarification of the groundwater且ow system in the Rokugo alluvial fan becomes clearer by further grasping the underground structure and ex−

amining the relation to other chase factor techniques of the stable isotope an(l the water temperature.

キーワード:六郷扇状地,湧水,井戸水,自噴水,水質

Key words:Rokugo alluvial fan,spring water,shallow well water,artesian water,water quality

1.はじめに

 六郷扇状地は,奥羽山脈の西端に連なる真昼山地の真昼岳や黒森山などの西麓に源に発した水流が平地への出口で 一つにまとまり丸子川となって沖積扇状地を形成したもので,扇頂から開く半円錐形の典型的な扇形をなしている.

この六郷扇状地の末端部には湧泉帯があり,数多くの清水が湧き出していて昔から集落が形成され,六郷町(合併に より2004年ll月後は美郷町六郷地区)の市街地部分となっている.この六郷扇状地の湧泉については,かつては「百 清水」とも呼ばれていたが,現在はやや減少して,60カ所ほどが六郷町の市街地部分やその周辺部の標高40〜50mの

零文星芸術大学 秋田大学教育文化学部

(2)

問に分布している.そして,これら湧泉の中には,近年の水文環境の変化により,地下水位の下がる秋〜冬〜春の非 濯概期などには洞渇するものも現れている.そうは云っても,六郷扇状地では地下水が豊富である.このために,各 家庭や小集落では自前の揚水ポンプで地下水を汲み上げて利用している.このことにより,六郷町には水道課とか町 営の上水道施設はないとのことであった.

 ところで,六郷扇状地の地下水の状況については,湧泉分布や地下水位(太田,1997;近藤,1969;佐藤,1998;肥 田,1986;1990),あるいは地下水人工酒養(肥田,19901肥田ほか,19991Hida,et a1.,2005)などに関した事項の調査・研究 がなされてきている.水質(主要溶存成分)に関しては,数ヵ所の湧泉や浅井戸の地下水についての分析結果はある が,断片的であり,広域的な調査はまだ行われていなかった.また,季節によっては洞渇する湧泉もあって,採水で きないこともあった.今回は地下水位の高い灌概期(2001年7月)と地下水位の低い非灌概期(2001年10月)に,湧 泉および浅井戸や自噴井の地下水,ならびに観測井内の水などについて一斉調査を行った.なお,それ以前にも観測 井内の水の水質に関しては数回調査を行ってきている。

 そこで,本稿では六郷扇状地の湧水・浅井戸・自噴井などの地下水の水質に関しては,2001年7月の採水時期のも のを中心として,主要溶存成分による水質組成の特徴について取り上げて論究することにした.また,観測井内の水 の水質や近くの他の扇状地の湧水の水質についても比較のために論議した。なお,六郷町は2004年11月に隣接する千 畑町・仙南村と合併し美郷町と名を改めたが,地名に関しては調査当時(2001年)の旧町村名で取り扱うことにした.

2.調査地域の地形・地質などについて

 六郷扇状地は秋田県の横手盆地のほぼ中央部に位置している.この横手盆地は南北約60km,東西約15kmの大きさを 有し,東縁は断層崖によって奥羽山脈に接している.この断層崖に沿っては南北に一連の扇状地群が発達していて,

主なものについては北から白岩・斉内・川口・千屋・六郷・金沢・御所野・皆瀬・成瀬などの扇状地が知られる.中 でも本稿で取り上げた六郷扇状地は,扇頂から平地に向かって開く半円錐状の形状を呈した典型的な扇状地をなして

いる。

 この六郷扇状地は,奥羽山脈の西側に展開している支脈の真昼山地に源を発する丸子川によって形成されたもので ある.扇頂部は標高約90mの六郷町関田にあり,西へ向かって扇形に開いていて,南北約5.5km,東西約4km,面積約 14k㎡の中規模扇状地である.そして,六郷町の市街地部分(標高40〜55m)はほぼ扇端部に当たっている(図1)。

なお,現在の丸子川の流路は,扇頂部で北に向かい,やがて北西方向から西へ向かって流れて,大曲市で雄物川に合

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図1 六郷町および調査地域の位置図(六郷町は、200岨1の合併前の町域)

(3)

流している.扇状地面の勾配に関しては,扇端部では10一3オーダー,扇央部では10−2オーダーであるが,扇頂部では 50分の1程度と,標高の高い所ほど勾配が急になっている。

 六郷扇状地は,新生代第四紀の更新世末〜完新世に形成されたものとされ,沖積層の下位にある千屋層を基盤とし ている(小西,1966).千屋層は新第三紀末の鮮新世に堆積したもので,層厚は厚い所で数百mに及ぶとされ,岩質は 礫岩・砂岩・砂礫層・泥岩・凝灰岩から成り,下部には亜炭を有している.六郷扇状地における地表面から千屋層ま での厚さは,ボーリング資料によると扇状地の南端(仙南村篭林)で約50m,扇端部(六郷町赤城)で少なくとも70 m,東端(千畑町中野)で107mである.また,沖積層の層序に関しては必ずしも明確に捉えられてるわけではない が,扇頂から扇端にかけて20〜30m深までは所々にシルト・粘土質層を挟み,主体は砂礫層から構成されている.特 に,扇頂から扇央の浅層部については巨礫を多く含んでいるとされ,野中付近(標高約60m)での3m深までの層か らは直径30〜50cm大の巨礫の混入が確認されている.

 ところで,豊島(1994)によれば,地形的には六郷扇状地は中心軸(扇頂から六郷の市街地の南縁を通る東西の線)

を境に南北に二分されるという.南側の一丈木面は約3万年B.P.の地形面であるのに対して,北側の畑屋面はそれよ りも新しく約2万年B.P,とされている。そして,畑屋面では大規模な洪水流跡が検出され,その部分に六郷の湧泉帯 が形成されているとも述べている.

3.湧泉の分布状況

 採水調査を行った湧泉に関して,この六郷扇状地においては他の多くの扇状地に共通するように扇端部に多くの清 水が湧き出している.標高40〜50mの間に位置する千畑町の張山館・柳原・上畑屋,六郷町の鑓田地区や市街地部分,

および仙南村の天神堂などの地区に湧泉が分布している。この地の湧泉については,かつては「百清水」とも呼ばれ,

数多くの清水が存在していたが,近年は減少してきている.そして,六郷の湧泉については,江戸時代の紀行家であ る菅江真澄の「月の出羽路』の中にも散見されるように,古くから記録に残されている.また,六郷町の語源である

「六郷」とは,アイヌ語の「ルココッツイ(清い水溜まりのある場所の意)」がなまったものと伝えられている.

 六郷町の市街地とその周辺部分についてみると,大小合わせて約60ヵ所ほどの湧泉が存在している.これら湧泉に 関しては,肥田(1986),立正大学(1994),六郷町観光協会(2001)などをはじめとして多くの調査がなされてきて いる.これら湧泉の内の主なものについて図示したのが図2である.なお、一部にはパイプを打ち込んだ自噴井も含 まれているが,それらは地域の西端部に位置している.

 この六郷湧泉群の特色を挙げると,第1に主な湧泉に個性的な名称が付けられていることである.例えば,機織清 水・紙漉座清水・ニテコ清水・キャペコ清水・宝門清水・御台所清水・藤清水・座頭清水・大工清水・側清水などの 名称がある.このうち「御台所清水」は,その昔に秋田藩主の佐竹家の鷹狩りの館が近くにあり,その料理用の水と

して利用されていたことに由来すると云われ,現在この地の湧泉群を代表する清水となっている.「ニテコ清水」は,

アイヌ語のニタイ(森林)とコツ(水溜まりの低地)が語源とされ,この清水を利用して明治時代から長く親しまれ ている ニテコサイダー が今でも作られている.そして「機織清水」や「紙漉座清水」は,かつて近くで機織りや 紙漉が行われていたことに由来する.また「側清水」は別名を地蔵清水とも呼ばれ,清水の湧く隣の東屋に地蔵尊が 祀られていて, イボ取り 地蔵尊として知られている.

 第2は湧水池の形状で,多くは長方形・台形・楕円形や円形などをいろいろな形を呈していることである.その側 面は石垣状,コンクリート製,素堀など様々である。第3は湧水池の水面積で,大きいものは機織清水の465㎡を筆 頭に,宝門清水の254㎡や中の清水の120㎡などがあり,小さいものは1㎡以下のものもあって,大半は10㎡以下のも のとなっている.第4は湧水の利用に関してであり,多くの湧泉には洗い場が設けられている.洗い場は石垣やコン クリートで築いてあるものや簡単に板を渡したものなど様々であるが,中には利用目的によって飲料用・すすぎ用・

洗い用などと分けられている所もある.

 ところで,この六郷湧泉群については,年間を通じて常に湧出している不断泉と,融雪期や灌概期間中のみ湧出す る一時泉という2つのタイプがみられる.かつては季節に関係なく湧出していたが,近年は秋から冬にかけて洞渇す る湧泉が増えてきているという.今回の調査においても,7月の調査時点では湧出していたものが10月の時点では洞 渇していた湧泉も多くみられた.これら洞渇していた湧泉の多くは,扇状地の主軸(ほぼ東西方向)からはずれた北 側や南側に位置していた。

 なお,この六郷町においては,役所内に水道課や公営の上水道施設はないとのことである.扇端部の地域では一部 に湧泉や自噴井を利用している家などもあるが,扇頂や扇央部では井戸水を汲み上げて利用している.すなわち,大

(4)

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六郷高校

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      恥 図2 六郷町の主な湧泉の位置図(六郷町は、200 1の合併前)

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立1 穴郷中…

  3

部分の家や商店・工場などでは,自前の井戸を持ち揚水ポンプを使って水利用したり,数軒の家の簡易水道源として の共同井戸などとして利用したりしている.今回はこれらの井戸についても採水調査を行った。

4.採水地点について

 今回採水調査したのは,図3に示したように浅井戸の水が12ヵ所,湧水が22ヵ所,自噴井の水が6カ所,および河 川水などの流水が3カ所の計43ヵ所,ならびに町内の野中と湯川の2カ所に設置されている観測井(それぞれ深度 20m,50m,100mの3本のピエゾメータを設置)の孔内の水である.なお,丸子川で取水した丸子川系の灌概用水に 関しては,六郷町開田にある円筒分水施設により分配されていて,この丸子川系の灌概水の範囲は図に示してある.

また,これらの下流側の地域においては遠路導水されてきている田沢疏水の灌概水が分配されている.

 浅井戸の水(No.1〜12)は,主に市街地部分から東の方に位置している井戸で,それぞれの家庭が上水道用に利用 しているものである.各々の家や小集落単位で使用している浅井戸は,深さが数m〜十数mであり,自家用ポンプで 汲み上げて利用している.

 湧泉は市街地の西側の境界部分を帯状に縁取るように分布しているが,これらの所でも各家では浅井戸の水を汲み 上げて利用している.湧泉については,季節により洞渇するものもみられ,年問を通じて湧出する不断泉と灌概期間 中のみ湧出する一時泉の2つのタイプが存在している.今回は灌概期ということもあって,ほとんどの湧泉で湧出が

(5)

      ・難欝潔認,駄診灘、臨算

ミ灘譲郷

       図3 採水地点の位置図 認められ,その中から22ヵ所(No.13〜34)について採水を行った.

 市街地の西側の地域には自噴井の井戸(No.35〜40)が分布しており,これらも採水した.そして,自噴井戸の深度 については不明の点が多いが,その中の一つは約40mほどとのことである.なお,中にはNo.31の笑顔清水のように

「OO清水」と名付けられていて,一見すると湧泉の方に分類されるかもしれないものがあるが,後述するように通常 の自然湧出の水とは異なる性質を示していて,被圧地下水とした方がよいものもあった。

 流水の採水は3カ所(Sl・S2・S3)で,Slは丸子川の河川水,S2は灌概用水として1963年頃から導水されている 田沢疏水の水,S3は扇央部を流れる用・排水路の水であり,降水とともに扇状地の地下水の潤養源となっている水で

ある.

 そして,観測井(ピエゾメータ)は扇央部の野中(圓,標高64m)と市街地内の湯川(図,標高48m)の2カ所に 設置されている(なお、湯川は馬町とも呼ぶ).それぞれ20m・50m・100mのピエゾメータ用の井戸(口径15cm,ス

クリーンは底に近い部分に一カ所,2〜3mの長さ)が掘られており,地下水位や地下水温が測定されてきている.

より深い地下水として,これらのピエゾメータ用の井戸内の水も採水して分析を行った.

5.水質分析の結果について

 水質分析項目の内,水温・電気伝導度・pHなどは現地で採水時に測定を行った.採水したサンプルはポリビンに入 れて持ち帰り実験室で分析を行った.分析項目は主要溶存成分で,重炭酸(HCO3一)・塩素(Cl一)・硫酸(SO42一)・

硝酸(NO3一)の各陰イオン類,およびナトリウム(Na+)・カリウム(K+)・カルシウム(Ca2+)・マグネシウム

(Mg2+)の各陽イオン類などである.これらの水質分析値を示したのが表1である.なお,この表の中で電気伝導度 は25℃に換算した値を示してある.

5−1.湧水・浅井戸・自噴井および流水の水質組成

 図4はトリリニアダイアグラム表示とヘキサダイアグラム表示で表した水質組成図である.六郷扇状地の地下水の 入力源の一つとなる流水については,異なる水質組成を示している.丸子川の河川水(S1)はHCO3・SO4とNa・Ca の成分の割合が高く,Ca−HCO3型とCa−SO、型の中問型を示している.これに対して,田沢疏水の水(S2)はCa−SO・型

とCa−Cl型の複合型を示し,明らかに異なる水質を示している.そして,排水路の水(S3)はそれらが混ざり合った,

中間の水質組成を示している.

 浅井戸の地下水については,1ヵ所(No.12)を除くと,ほぼ類似した組成を示しているが,その中では3つのグ

(6)

表1 湧水・井戸水・河川水等の水質分析結果 番号 採水地点名 水源 採 水

月日 電導度

μS/cm

水温

OC) pH mg/L)HCOゴ

Cr

mg/L)

SO42一 mg/L)

NO3一

mg/L)

Na+

mg/L)

 K+

旧9/L)

Ca2+

mg/L)

眺92+

mg/L)

 計

mg/L)

S1 丸子川 R 010720 109.5 21.3

7.2

24.3 82 118 12 9.0 0.7

6.9 2.O

64.1 S2 田沢疏水 S 010720 105.6 19.0

7.0 6.0

11.3 153 1.2 4.9

0.8 7.0 1.8

S3 排水路 S 010720 109.6 25.4 48.3

6.8

13.4 11.1 15.5

1.3 6.9 1.3 7.3 2.0

1 関 田 Gw 010720 109.5 16.4 58.8

6.6

26.8

8.2

ll.8

2.2 8.9 0.8 7.3 2.1

2 下中村 Gw 010720 128.1 12.4 68.1

6.2

26.8 10.3 13.4

5.3 8.7

o.9

9.2 2.9

3 細 田 Gw 010720 122.3 16.3 77.5

6.3

25.6 10.1 12.4

4.5 8.7 0.9 8.4 2.8

4 南細田 Gw 010フ20 126.8 12.9 73.4

6.2

26.8 11.0 12.6

5.6 8.8 0.7 9.0 3.0

77.5

5 雀 柳 Gw 010720 {23.6 13.0

6.3

25.6 10.3 13.5

4.4 8.1 0.7 8.9 2.9

6 南明天地 Gw 010720 118.5 13.6 74.4

6.0

17.0 11.8 14.4

3.8 7.8 O.7 7.9 2.8

66.2

宮 崎 Gw 010720 135.8 13.1

6.4

26.8 11.4 13.4

8.0 9.9 O.7 9.3

3.2 82.7

8 下明子北 Gw 010720 126.7 13.5

6.2

21.9 12.0 14.3 4.7

8.1 0.7 9.1 3.1

73.9

9−a 馬 場 Gw 010721 127.9 13.6

6.2

24.3 習.9 13.4

5.7 9.4 0.8 8.4 2.9

76.8

9−b 米町(深井戸) Gw 011013 143.0 13.5

6.2

26.8 11.8 13.9

5.4 9.4 0.7 8.6 3.4

10 鎗 田 Gw 010721 130.0 15.8 80.0

6.2

24.3 12.3 14.2

5.1 8.6 0.9 9.0 3.2

77.6

11 赤 塚 Gw 010721 127.0 15.O

6.2

20.7 12.8 14.1

5.9 9.1 1.1 8.4 3.2

75.3 12 大 町 Gw 010721 200.2 17.6

6.4

50.0 13.1 13.5 12.3 15.0 18.2

7.1 3.4

132.6 13 長栄堂清水 Sp 010721 127.8 14.2

6.1

19.5 12.3 15.3

4.9 8.7 1.0 8.2 3.1

73.0 14 紙漉座清水 Sp 010721 127.1 14.4 6.2 21.9 12.6 14.1

5.6 9.0 1.0 8.4 3.2

75.8 15 機織清水 Sp 010721 146.8 13.5

6.3

29.2 13.5 13.9

6.5

10.3

1.8 9.4 3.5

16 浄海清水 Sp 010721 135.O 15.1 88.1

6.2

21.9 13.3 13.8

6.6 9.5 1.2 8.7 3.3

78.3 17 円福寺清水 Sp 010フ21 138.8 14.0

6.3

30.4 13.2 13.4

9.5

11.フ

3.2 8.9

3.7 94.0 18 台連寺藤清水 Sp 010721 146.1 13.4

6.3

26.8 12.9 14.3

9.3

10.6

2.3 9.2 3.6

19 小安門柳清水 Sp 010721 142.0 13.4 89.0

6.2

24.3 13.0 14.5

8.2

10.3

2.1 9.1

3.4 84.9 20 湊家の清水 Sp 010721 152.1 13.0

6.3

36.5 12.7 14.3

7.3

11.5

2.7 9.8

3.8 98.6 21 ニテコ清水 Sp 010721 146.5 13.5 6.2 25.6 12.9 14.4

8.8

10.4

2.6 8.9

3.5 87.1 22 永泉寺 Sp 010721 i46.5 13.3

6.3

29.2 12.7 言4.7

7.6

10.7

2.8 9.1 3.6

23 藤清水 Sp 010721 135.4 13.4 90.4

6.2

25.6 12.6 14.1

7.2

10.2

1.8 8.7 3.3

83.5 24 諏訪清水 Sp 010721 138.4 13.2

6.3

29.2 12.2 13.4

6.1

10.3

1.3 9.1 3.4

25 高橋家の清水 Sp 010721 130.3 12.9 85.0

6.3

24.3 12.4 13.4

6.8

10.1

1.3 8.5 3.1

26 御台所清水 Sp 010721 128.6 11.5 79.9

6.2

24.3 12.3 13.3

7.1 9.9 1.2 8.6 3.1

27 鷹匠清水 Sp 010721 129.7 12.2 79.8

6.2

25.6 12.0 12.9

6.6 9.6 1.1 9.0 3.2

28 ハタチ屋清水 Sp 010721 127.1 11.6 80.0

6.3

24.3 12.1 13.5

6.5 9.7 1.1 8.5 3.1

29 宝門清水 Sp 010721 127.3 11.3 78.8

6.3

25.6 11.5 12.7

6.0 9.4 1.0 8.8 3.1

30 座頭清水 Sp 010721 127.1 13.8 78.1

6.9

21.9 12.8 15.1

5.2 8.7 0.9 9.1 3.1

76.8 31 笑顔清水 Sp 010721 180.5 重3.2

7.0

65.8 11.3 11.4

5︑︐

12.4

1.3

13.9

5.5

126.フ

32 千 畑 Sp 010721 149.1 14.3

6.4

31.7 12.3 14.0

5.9

10.2

0.7

10.0

3.6

33 神清水 Sp 010721 139.2 14.O 88.4

6.2

24.3 12.5 15.3

7.9 9.4 0.9 9.7

3.4 83.4 34 大工清水 Sp 010721 144.0 14.0

6.2

26.8 13.4 14.3

8.6

10.0

1.0 9.9 3.6

35 神清水わき自噴井 Gf 980906 204.O 13.5 87.6

6.6

74.3 13.2 10.4

4.8

11.6

0.6

18.4

6.5

165.3 36 沢村家作業場 Gf 010721 150.8 13.6

7.2

68.2

8.6 ︷.7 0.5

10.7

0.7 9.9 4.7

105.0 37 田岡稲荷神社清水 Gf 010721 179.1 13.1

6.9

71.9 12.9

6.5 2.0

13.8

0.8

12.3

5.7

125.9 38 六郷城本丸跡 Gf 010721 184.9 13.1

7.0

75.6 10.9

8.7 4.0

12.7

0.7

14.8

6.0

133.4 39 古館の自噴井 Gf 010721 179.1 13.7

7.1

78.0 10.9

7.8 2.7

12.6

0.8

14.0

6.0

132.8 40 側清水 Gf 010721 195.6 14.4

7.0

73.1 11.3 12.2

6.5

13.0

0.8

15.6

6.1

138.6

ループに細区分できる.扇状地の最上部,すなわち扇頂に位置する関田(No,1)ではNaとHCO、が主成分となってお り,丸子川の河川水(Sl)とほぼ同質の組成を示していて,丸子川の水が伏流して流れてきているものといえよう。

これより下流側の下中村(No。2)・細由(No.3)・紀の国(No。4)・雀柳(No.5)・宮崎(No.7)・馬場(No.9)の 6カ所の井戸水については,CaとHCO3が主成分となっていて,それぞれは類似した水質組成を表しているが,扇頂 部の関田とは若干異なる.そして,南明天地(No.6)・下明子北(No.8)・鑓田(No.10)・赤塚(No.11)の4カ所 ではCaとClが主成分となっており,上記の2グループとはやや異なる.なお,市街地内に位置する大町(No.12)の 水は,NaとHCO3が主成分となっていてNa−HCO3型であり,全く異質の組成となっている。

 湧水についてもほぼ似たような水質組成を表しているが,やはり3つのグループに細区分できる.長栄堂清水

(No.13)・紙漉座清水(No.14)・浄海清水(No.16)・座頭清水(No.30)の4ヵ所は,CaとC1が主成分となってい る湧水である.円福寺清水(No.17)と湊家の清水(No.20)の2ヵ所は,NaとHCO、が主成分となっている湧水であ る.残りの15ヵ所の湧水については,やはりNaとHCO3が主成分となっているが,上記の2つのグループの中間に位 置する組成を示している.ただし,笑顔清水(No.31)についてはこれらの自然湧出の清水ではなく,後述するように 被圧地下水を汲み上げたものを流しているものと考えられる.

 そして,自噴井の水(No.35〜40)についてはいずれも溶存成分量が多くて,水質組成はCaとHCO,を主成分とする

(7)

1 0 1

Sl.丸子川

S2、田沢疏水

S3、排水路

1.関田

2.下中村

1 0 1

3.細田

4.紀の国

5.雀柳

6,南明天地

一露

8,下明子北

  畠

9−a、馬場

    q

9−b.米町

10,鑓田

11.赤塚

12.大町

13.長栄堂清水

14.紙漉座清水

15.機織清水

        凡例        1 0 1(meノ辺)

1・1 壼lii鮎

16.浄海清水

1了,円福寺清水

.〜8   泌

18.台連寺藤溝水   (〉

   品8

19.小安門柳清水

3q

 4亀・31 蜘ロロ35 35口 37

8島

  S3 6△

 り80・

5。ぐ

2・るよ17

1S1

Zo

1 0 1

20.湊家の清水

 映 o 21.ニテコ清水

 汁  観22.永泉寺

ム  も

   \/

    鍵

    0  0

0

 △﹂    

 % 

o

θロ

8

     50

1 0 1

23.藤清水

24,諏訪清水

も.   ,

盆 鍔  、△

1 0 1

30.座頭清水

31,笑顔清水

25.高橋家の清水   32,干畑の清水

卸}御台所溝β器大工渤k

28・ハタチ屋清水   35.神清水わきの自噴井

雄.,,葡、e〈D

       36,沢村家作業場

\   〈丑

       37,田岡稲荷神社清水

臥  <∋

       38,六郷城本丸跡

   も  く王〉

 A        39.古舘の自噴井

         G

       40、側清水

      2+

100 ←一一 Ca   50 Ct 一→100      0

図4 湧水・浅井戸・自噴井・河川水等の水の水質組成図 Ca−HCO3型であり,湧泉・浅井戸の水や流水とは明らかに異なる性状を示している。

5−2.地域的な水質組成の分布状況

 次に,採水地点にヘキサダイアグラム表示の水質でプロットしてみると(図5),地域的な水質の分布状況が認めら れる.先ほどCaとClが主成分となっている浅井戸と湧水の計8カ所(No.6・8・10・ll・13・14・16・30)につ いてみると,採水地域の南側や北側という扇状地の主要軸からは外れた所に位置している.特に,主要軸の南側部分 にはCl成分の割合が高いものがみられる.そして,このCl成分の割合が高い水に関しては,田沢疏水系の水の混入の 影響が考えられる.

6.観測井内の水の水質組成

観測井のそれぞれのピエゾメータ内の井戸水については,これまでに6圓(1999年8月,2000年3・5・8・11月,

および2001年7月)の採水調査を行ってきている。その際の最近の4回の水質分析結果を示したのが表2であり,水 質組成を表したのが図6である.多くはCa−HCO、型やNa−HCO、型を示していて,図4の湧泉や浅井戸の水の水質組成 とは異なることを示しているが,自噴井の水とは類似しているものもみられる.そして,それぞれのピエゾメータに ついては,採水時期により水質組成に変化のないものやかなりの変化をしているものなどマチマチである.また,観 測井内の水質を深さ別にみてみると,深いピエゾメータほどNa−HCO3型の組成になっており,これはCa−HCO3型から Na−HCα型へと進化するとされている地下水の化学的進化と関連していることを示している。

 次に鉛直方向の地下水の在り方に関係して,扇状地の東西方向の縦断面形に,2つの観測井といくつかの湧泉や井 戸水・自噴井の水などの水質組成をヘキサダイアグラム表示でプロットしてみたのが図7である。この図をみると,

(8)

図5 採水地点での水質のヘキサダイアグラム表示

扇頂部から扇央部にかけて分布する浅井戸の水や扇端部に位置する湧泉は,地表面から比較的浅い部分を流れている 地下水であることが伺える.そして,扇状地の西端に位置する自噴井の水については,もう少し深い所(30〜50m位 か?)を流れてきているものと考えられる.ところで,井戸水の中では水質組成が全く異質であった大町(No.12)の 水については,掘削深度が不明であるが,観測井のY−100やN−100のピエゾメータの水質型に近く,より深い所の地下 水であるように思える.

7.横手盆地内の主な湧泉との比較

 横手盆地内の奥羽山脈に沿った地域には,丸子川によって形成された六郷扇状地と同様に,奥羽山脈から流れ出す 諸河川によって形成された白岩・斉内・川口・千屋・金沢・御所野・皆瀬などの一連の扇状地が存在している.これ

表2 観測井内の水の水質分析結果

番号 名  称 採 水

月日

電導度(μS/Gm)水温

。C) p H HCOゴ

mg/L)

 CI曹 mg/L)

SO!

mg/L)

 NO3 mg/L)

 Na+

mg/L)

 K+

mg/L〉

CaZ+

mg/L)

(將1) Sio2

mg/L)

(m轟)

N1 野中一20(観測井) 000528 で18.0 14.0 74 426 9.7 97 0.0 6.4 0.4 12.1

3.フ 6.6

91.2

N1 野中一20(観測井) 000628 140.3

9.7 7.7

37.8

9.7

18.1

0.0 6.6 0.4

14.2

4.2 7.9

Nl 野中一20(観測井) 001126 131.6 10.O 7.6 52.4 98.9

9.O 6.5 O.1 7.4 0.4

12.2

3.7 4.4

96.1 野中一20(観測井〉 010721 134.4 9.6

7.8

47.5 10.3 .1

0.6 9.0 0.7

10.6

3.8

(93.6

N2 野中一50(観測井) 000528 105.0 12.3

7.0

40.2

9.8 4.4 0.0 6.1 0.4 9.2 2.9 3.4

N2 野中一50(観測井) 000628 157.4 76.4

9.0 7.6

43.4

9.9 1.8 0.0 6︐i 0.4 9.8 3.1 2.9

N2 野中一50(観測井〉 001126 6,8 10.フ 77.4

7.0

46.3

9.2 2.4 0.0 フ.1 0.4 9.6 2.8 2.2

N2 野中一50(観測井) 010721 117.6 10.0 80.0

7.3

42.6 11.1

4.2 0.5 9.0 0.6 8.6 3.1

(79.7

N3 野中刊00(観測井) 000528 133.0 12.8

7.8

62.1 14.5

0.0 0.0

14.5

1.7 7.7 3.7 i.3

105.5 N3 野中一loO(観測井〉 DOO628 142.9 10.1

8.6

60.4 14.3

0.0 0.0

14.7

1.7 8.3 3.8 1.2

lO4.4 N3 野中一100(観測井) 001126 144.0 11.1

8.0

54.8 13.0

0.2 0.0

15.0

0.9 6.7 2.8 1.0

94.4

吋3 野中踊00(観測井) 010721 {34,8

9.6 9.︷

53.6 13.1

0.7 0.5

1ア.4

1.2 5.5 2.7

(94.7)

Yl 湯川一20(観測井) 000528 106.0 14.0

6.0

34.1 11.4

5.4 1.5 7.1 1.1 7.8 3.0 8.8

80.2 Y1 湯川一20(観測井) 000628 132.8 12.フ

6.1

29.2 11.4

1.9 0.0 7.0 0.7 6.2 2.1 4.9

63.4

Yi 湯川一20(観測井) 001126 91.3ll.9

ア.0

2ア.4

9.9 2.7 0.1 7.2 0.6 5.0 1.6 3.4

Y1 湯川一20(観測井) 01072{ 85.212.3 57.9

7.3

29.2 10.2

1.1 0.6 8.9

0.9

4.7 1.8

(57.4

Y2 湯川一50(観測井) 000528 103.0 13.3

7.8

46.3 10.4

0.0 0.0 8.8 0.8 7.4 2.6 2.7

Y2 湯川一50(観測井) 000628 1.2 で2.5 79.0

7.7

37.8 10.5

4.7 0.0 8.6 O.5 8.0 2.5 9.8

Y2 湯川一50(観測井) 001126 106.0 12.0 82.4

8.0

42.6

9.3 0.4 0.0 9.O 0.5 6.8 2.0 0.7

71.3 Y2 湯川一50(観測井) 010721 105.3 12.4

7.9

46.3

9.5 0.5 0.5

11.1

O.7 6.4 2.4

(77.4

Y3 湯川司00(観測井) OOO528 143.5 13.8

8.4

79.2

8.6 0.0 0.0

13.5

1.1

11.フ

3.3 1.6

119.0 Y3 湯川一100(観測井) 000628 144.8 12.5

8.4

73.1

8.5 0.0 0.0

13.2

0.7

12.0

3.0 1.4

111.9 Y3 湯川一100(観測井) 001126 148.0 11.7

8.4

71.9

8.0 0.0 0.O

13.5

0.6

10.9

2.6 0.8

108.3 Y3 湯川一100(観測井) 010721 140.0 12.6

8.0

73.1

7.8 0.5 0.5

16.2 0.9

8.8 2.7

(110.5

(9)
(10)

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(11)

と,本地域すなわち六郷扇状地をはじめとする横手盆地内の扇状地の湧泉や浅井戸の水は,やや異質の性状を示して いると思える.この点に関しては,風送塩との関連もあって,さらなる研究の余地があるものと考えられる.

 なお,六郷扇状地の地下水流動系の解析・究明については,地下構造のさらなる把握と安定同位体や水温などの他 の追跡因子との関連性により一層明確になるものと考えられる.

謝 辞

 一斉測水時(2001年7月・10月)の水質データについては,産業総合研究所(旧地質調査所)の安原正也博士と稲村明彦氏に分析を 行ってもらった.そして,現地調査に際しては当時の六郷町(2004年11月より美郷町)ならびに関係各位の支援を頂いた.記してお礼 申し上げる次第である.

付 記

 本稿は,平成11〜14年度科学研究費補助金,基盤研究(B)(2),課題番号:11558004(代表:肥田)の研究成果の一部である.

      文 献

太田由紀子(1997):扇央から扇端間における地下水位変動の相関一秋田県六郷扇状地を事例として一.秋大地理,44,15−20.

小西泰次郎(1966):秋田県横手盆地の水理・地質学的研究.地質調査所報告,第216号,37p.

近藤忠三(1969):六郷扇状地地下水調査報文.六郷町,17p.

佐藤淳悦(1998):秋田県六郷扇状地における地下水位と湧出量の年変化.秋大地理,45,27−32,

島野安雄・肥田 登(2001):名水を訪ねて(54)秋田県の名水.地下水学会誌,43(3),215−227.

豊島正幸(1994):地形分析による扇状地堆積物の透水性予測法.地理学評論,67A−2,126−136,

肥田 登(1986):秋田県六郷町の湧泉の分布,湧出量および水質について.秋田大学教育学部研究紀要(人文・社会),第36集,73−86 肥田登(1990) 『扇状地の地下水管理』古今書院,263p.

肥田 登・石川悦郎・太田由紀子(1999):六郷扇状地における池を用いた地下水人工酒養の実験.地下水学会誌,41(1),23−33.

立正大学大学院自然地理野外研究グループ(1994):秋田県六郷町の水文環境.地域研究,35(1),16−24,

六郷町観光協会編(2001)1『六郷湧水群調査報告書』同協会,A3,78p.

Hida,N.and Ohizumi(Ohta),Y.(2005)l Basin artificial recharge of groundwater in the Rokugo alluvial fan,northem Japan,

 Memoirs of Faculty of EHS,Akita Univ,(Human.&Social Scinc,),60,29−39.

参照

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