Komazawa University 『
遺
教
経
論
住
法
記
』の
考
察
(1
)山
内
舜
雄
Kom 三1z三1w三1 Umversrty は じ め に 本論
文 は 、 す で に 『 宗 学 研 究 』 ( 第 + 号、 昭 和 四 + 三 年 ・ 三 月 ) に 発表
し た 「 禅 門 に お け る 遺 教 経 の 地 位i
遺 教 経論
住 法 記 の 考 察 (1
) 」 に 続 く も の で あ る 。 一 『 住 法 記 』 本 文 の 註 釈 に つ い て 以 上 、 元 照 の 題 号 を 釈 す る 中 、 こ の 『 経 』 の 判 教 に つ い て の 詳 細 を 考 究 し た の で あ る が 、 つ づ い て 本 文 に お け る 註 釈 の 内 容 を 考 察 し て み よ う 。 そ れ に 先 立 っ て 、 二 に 「 帰敬
を 申 ぶ 」 と い う 帰 敬 序 に つ い て の 釈 が あ る の で 、 い ち お う こ れ に 触 れ て お こ う 。 数 あ る こ の 『 論 』 の 註 釈 の な か で 、 こ の 帰 敬 偈 を 詳 釈 し た の は 、 『 住 法 記 』 だ け で あ ろ う か ら 、 敬 意 を 表 し て お く う え か ら も 、 素 通 り は で き な い で あ ろ う 。 と も あ れ 、 い か に も 律 僧 ら し い 几 帳 面 さ が あ ら わ れ て 好 感 さ れ る 。 い ま そ の 科 段 を 示 す と 、 初 め に 「 帰 敬 三 宝 」 と 、 二 に 「 顕 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 ( ! ) ( 山 内 ) 示 述 作 」 と が あ り 、 前 者 は 「 明 = 仏 法 こ と 「 示 二 法 僧 こ と に わ か れ 、 後 者 は 「 叙 二 本 懐 一 」 と 「 顕 二 功 利 こ に 分 れ て 、 「 頂 礼 三 世 尊 」 以 下 の 四偈
が 、 そ れ ぞ れ 配 さ れ て い る 。 偈 の 内 容 は 簡 単 で あ る が 、 元 照 は こ れ が 註 釈 に は 、 か な り の 注 意 を 払 っ て い る 。 た と え ば 「 頂 礼 三 世 尊 無 上 功 徳 海 」 の 「 無 上 」 を テ ノ ノ ニ ス ルコ ト ヲ ク ハ ル ヲ ニ ラ ニ ス ヲ 「 以 三 論 中 解 レ 義 多 約 二 大 乗 一 故、 知 所 敬 不 レ 局 二 化 主 n 超 二 出 三 乗 「 故 云 二 無 上 ご と 釈 し 、 つ い で 「 功 徳 」 に つ い て は 、 テ ヲ メ テ ヲ ス ヲ ノ 「 自 化 行 他、 五 分 六 度 、 積 レ 劫 修 レ 因、 成 二 等 正 覚 → 万 徳 荘 厳 、 微 塵 レ ノ ナ リ コ 相 好 、 是 仏 功 徳 。 」 と あ り 、 あ き ら か に 『 論 』 が 大 乗 の 立 場 か ら 解義
を お こ な っ て い る こ と に も と ず い て 、 こ れ に 適 応 す る ご と き 註 を 出 し て い る 。 次 の 「 清浄
深 法 界 」 以 下 の 偈 を 釈 し て ニ ハ ノ テ ニ ス メ ニ ノ セ フ ト ク ノ 「 初 約 二 法 性一 釈 、 不 二 為 レ 垢 染ハ 故 云 二 清塗
応 用 無 レ 窮、 源 底 直 レ ル テ ノ ニ ト シ テ シ ヲ ス 得 、 故 云 レ 深 也 、 随 二 染 浄 縁一 軌 成 ; 語 法「 十 界 依 正、 回 果 差 別 、 一 五Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 ( 皿 ) ( 山 内 ) フ ト の 故 云 二 法 界 ゴ と 、 体 相 用 を も ち い て 、 た く み に 清 浄 ・ 深 法 界 を と き 示 し て い る 。 法 性 に 約 す る ば か り で な く 法 門 に 約 し て 、 ク ノ ア ヲ ス ル ヲ ヲ ト イ フ フ ト ノ ニ 「 謂 大 小 両 乗、 八 万 法 蔵、 詮 レ 理 化 レ 物 、 無 レ 非 二 出 離 由 浄 之 法 「 る ね 故 云 二 清 浄 ご と い う に 至 っ て は 、 ま こ と に 行 き と ど い た 註 で あ る こ と が わ か る 。 つ ぎ の 「 増 長 修 行 」 に つ い て は ト ハ シ テ テ ニ シ コ ア ス ト ア ヲ ム ヲ ヨ 「 増 長 修 行 者 、 総 目 二 三 乗「 通 為 二 僧 宝 n 望 レ 果 進 レ 功、 故 云 = 増 ハ リ リ 長 ご と あ っ て 、 修 行 者 と は 、 三 乗 を 指 し て い る こ と を の べ て 、 『 経 』 の 分 斉 を こ こ ろ え て 註 し て い る 。 ま た 「 世 及 出 世 聞 」 に つ い て は 、 ノ ハ コ ノ ト ヲ ノ バ ク ノ ヲ 「 世 及 出 世 間 一 句 該 二 上 法 僧 n 法 中 、 世 謂 帰 戒 十 善 、 人 天 両 乗、 テ ス ト ノ ヲ ト り 名 為 レ 世 也 、 諦 縁 度 等、 三 乗 聖 道、 名 二 出 世一 也 。 」 と あ り、 こ れ を 今 経 に 限 定 し て 、 シ セ ハ ニ ハ ノ ノ ハ ユ ノ ナ ノ ご 「 若 局 二 今 経→ 第 二 分 是 世 間 功 徳、 後 五 分 竝 出 世 功 徳 。 」 と の べ て い る 。 の ち の 世 間 功 徳 分 と 出 世 間 功 徳 分 に か け て 説 く あ た り、 叮 嚀 な 配 意 を し る こ と が で き る 。 二 の 述 作 を 顕 示 す る 「 我 所 二 建 立 一 論 」 以 下 の 偈 に つ い て は 、 そ の 「 為 二 彼 諸 菩 薩 】 令 レ
知
二 方 便 道 一 」 を 次 の 如 く 釈 し て い る 。 ト ハ シ テ ク ノ ム ハ ト ム ル ナ リ セ 「 諸 菩 薩 者、 通 目 一 一 末 代 真 修 行 者{ 言 二 令 知 一 者、 使 二 開 悟一 也、 一 六 ト シ テ ヲ ク シ ム ニ ノ ノ ノ ノ 方 便 道 者、 顕 二 示 権 乗{ 同 帰 二 実 道→ 即 下 経 中 、 三 学 四 諦 、 種 種 ム ニ ヲ ニ カ バ ノ 法 要 、 求 二 仏 菩 提→ 莫 レ 不 レ 由 レ 此、 即 経 所 レ 謂、 汝 等 所 レ 行 、 是 菩 薩 ク シ ト ス あ キ ノ ヘ ヘ ク ユ ノ ヲ ノ ク 道、 漸 漸 修 学、 悉 当 二 成 仏 → 一 論 始 終、 正 用 二 此 意 〔 大 権 弘 闡、 深 サ ト レ リ ヲ ツ テ ス ク ハ ア 体 二 聖 心哨 語 説 云 云、 皆 由 レ 未 レ 達 、 略 指 二 大 趣哨 広 在 二 後 文 ご 菩 薩 を ば 具 体 的 に 、 未 代 の真
の 修 行者
と し 、 方 便 道 の 権 乗 を 顕 示 し て実
道 に 帰 せ し め る も の と し て 、 大 権ー
大 乗 に 約 し た 権 教 の 弘 闡 こ そ 、 こ の 経 の 深 旨 を 得 る も の で あ り 、 そ れ こ そ 『 論 』 の 意 に ま っ た く ほ か な ら な い と す ろ 。 元 照 は 前 出 す る ご と く 明 快 な 判 教 を こ の 『 経 』 に こ こ ろ み て 、 声 聞 に あ っ て は 本 経 と な し 大 乗 に あ っ て は 方 便 道 と す る と こ ろ か ら 、 か か る 自 信 あ ふ れ る 註 が 、 こ こ に 出 さ れ た の で あ る 。 「 諸 説 云 云 、 皆 達 せ ざ る に 由 る 、 略 し て 大 趣 を 指 す、 … … 」 は 、 そ の こ と を も の 語 っ て い よ う 。 さ い ご に 、 功 利 を 顕 わ ず 「 以 レ 知 二 彼 道 故 」 以 下 の 偈 に つ い て は 、 た と え ば 「 滅 二 除 凡 聖 過 ご に つ い て 大 小 両 乗 の 惑 と 果 と が と か れ 、 フ ハ ノ ト ハ チ ハ レ ノ ナ リ ク アコ ニ ス ル ニ ノ 「 云 二 凡 聖 過一 者 、 過 即 惑 業、 惑 是 業 本、 且 就 レ 惑 論、 大 乗 両 凡 、 ニ て ヲ ク ト ノ リ ノ 倶 未 レ 破 レ 惑、 名 二 凡 過 也、 小 乗 初 果 已 去、 尚 有 二 思 惑 【 大 教 初 地 ヲ ク ム ぱ 已 去、 未 レ冖 尽 二 無 明 { 名 二 聖 過一 也 。 」 と あ る 。 こ の よ う に 常 に 大 小 両 乗 の 註 を 出 す こ と が 、 『 経 』 と 『 論 』 と の 、 す な わ ち 小乗
と 大 乗 と の 両 方 に た っ て 註 釈 を ほ ど こ す 立 場 上 、 ど う し て も 必 要 に な っ て く る の で あ る 。 元Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 照 は 、 は や く も 帰 敬 偈 で こ れ を 出 し で 、 の ち の 本 文 の 解 釈 の 伏 線 と し て い る わ け で あ る 。 元 照 は 、 次 の 文 を も っ て 以 上 の 帰 敬 偈 の 釈 を 畢 っ て い る 。 ハ ノ メ ニ ツ ス ル ク ル ソ バ コ ト ヲ ス ヲ テ 「 所 二 以 論 首 先 帰 敬 一 者、 謂 恐 三 衆 生 無 レ 感 容 レ 致 二 障 縁{ 又 以 二 聖 キ リ ソ コ ト ニ ニ モ ト ム ノ ヲ ハ リ 意 難 7 量、 有 レ 乖 二 円 旨 → 故 須一 一 三 宝 巨 力 冥 加 ご 元 照 は 、 『 論 』 を き わ め て 教 判 的 に 厳 密 に 註 し て 、 息 苦 し い ほ ど で あ る が 、 反 面 柔 軟 な 信 仰 心 を 持 っ て い た よ う で 、 こ こ 忙 帰 敬 偈 の 存 在 意 義 と 効 用 を の べ て 、 さ い ご に 三 宝 の 冥
加
を も と め て い る 。 以 上 で 、 大 科 第 二 の 「 申 帰 敬 」 を お わ り 、 い よ い よ 第 三 の 「 釈 二 正 文 一 」 に 入 っ て ゆ こ う 。 ま ず 『 論 』 の 文 は 、 序 分 以 下 、 七 の 離 種 種 自性
清 浄 無 我 分 ま で の 七 科 を 出 し て い る 。 こ れ に 対 す る 元 照 の 註 を み よ う 。 は じ め の 「 建 立 菩 薩 所 修 行 法 」 を 称 し て い う 。 テ ヲ フ ノ ハ コ ト ヲ 「 菩 薩 行 法 者、 以 二 五 乗 一 簡 也 、 … … 又 復 所 乗 之 法、 不 レ 出 レ 有 レ 五 、 ニ シ テ ハ ヲ ヲ シ ト ヲ 大 約 為 レ 言 、 三 帰 五 戒、 十 善 四 弘、 為 二 人 天 乗→ 四 諦 十 二 因 縁 、 シ ト ヲ ス ト ヲ ハ ニ ト ナ リ 為 二 声 聞 縁 覚 乗 〔 六 度 万 行、 為 二 菩 薩 乗 肉 若 拠 二 今 経ハ 本 声 聞 乗 、 ル ニ ユ フ ハ ト ソ リ ノ お 而 論 云 二 菩 薩 一 者 、 凡 有 = 五 意 こ も と 声 聞 乗 で あ る べ き 本 経 を 、 な ぜ 菩 薩 乗 と な す の で あ る か 、 と の 理 由 を 五 意 を も っ て 答 え る の で あ る が 、 こ れ は す で に 前 章 で 論 究 し た と こ ろ で あ る か ら 、 こ こ で は 名 ま え だ け を ユ ク ノ ニ ハ ス ノ ニ ハ あ げ て お く 。二
本 一 一 如 来 出 世 意 こ 「 二 順 二 法 華 開 会 意 一 」 「 三 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 (H
) ( 山 内 ) ル ノ ニ ユ ハ ノ ニ ハ ノ 依 二 涅 槃 重 施 意 こ 「 四 流 通 応 機 意 」 「 五 大 小 相 摂 意 」 、 こ れ ら が 五 意 で 、 元 照 は 理 路 整 然 と 『 論 』 の 大 乗 的 立 場 を 肯 定 す る 論 理 を 展 開 し た の ち、 次 の よ う に こ れ を む す ん で い る 。 シ テ ス ル ニ ヲ タ ゆ ニ シ テ ヲ ク セ ラ レ ニ テ シ テ 「 略 以 二 五蟇
宗 旨 垣 然 。 但 学 者 専 ・ 隅、 多 封 二 名 相 一 強 生 二 彼 ワ テ セ モ フ ト ス ト ロ ソ ヤ ス ル コ ト ツ グ シ ス ト ス ル 此 一 未 二 肯 適 従 司 雖 レ 日 二 弘 持 一 寧 知 二 誹 謗 剛 深 須 二 詳 究 酬 勿 レ 事 = ヲ オ 遅 疑 ご 元 照 ほ ど 『 論 』 の 大 乗 的 立 場 を、 明 快 に 論 証 し た も の は な い 。 ま こ と に 「 宗 旨 垣 然 た り 」 で あ る 。 し た が っ て 「 た だ 学 者 、 偶 を 専 ら に し て 、 多 く 名 相 に 封 せ ら れ、 強 い て 彼 此 を 生 じ て … … 」 以 下 の 、 ち か ら つ よ い 発 言 と な っ た も の と 思 わ れ る 。 五 意 を も っ て す る 自 己 の 論 証 に 、 つ よ い 確 信 の あ る こ と が 感 じ ら れ る が 、 じ じ つ 元 照 の 論 証 は 、 前 章 で 詳究
し た ご と く 、 ま こ と に 完 壁 に ち か い も の で あ る 。 七 科 そ の も の に つ い て は 、 『 論 』 の 立 場 に 立 つ 以 上 、 こ れ を そ の ま ま 肯 定 す る の は い5
ま で も な い が 、 常 途 の 三 分 法 に 気 が ね す る の は 、 元 照 と い え ど も か わ ら な い 。 そ こ で 、 ノ ハ ル リ ク レ ゾ テ ス シ テ メ 「 常 途 三 分 、 起 レ 自 二 弥 天 「 且 是 一 端、 未 レ 可 二 常 定 〔 後 人 不 レ 暁、 佛 .卦
蘊
謁
蘇
費
全、 亦墾
、蹴
’ 、 , 軅融
醜覊
当 レ 知 科 鰍 テ ミ ラ ル モ ン ヤ シ テ シ テ む ト ヲ ト ラ ク ハ ヨ ノ ヲ ハ 随 レ 経 自 殊 、 豈 得 三 雷 同 例 為 二 一 判 → 請 観 二 此 論 { 適 ヒ 足 二 自 を ス ぴ ロ 明 ご と い い 、 し い て 弥 天 の 道 安 に は じ ま る と い う 序 ・ 宗 ・ 流 の 三 分 法 に し た が う 必 要 は な い 、 と 断 言 し て 評 破 の 対 象 で あ る 孤 一 七Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 ( n ) ( 山 内 ) 山 智 円 の 『 疏 』 が 、 「 是 我 最 後 之 所 二 教 誨 こ の 文 を 流 通 分 と し た こ と を 斥 っ て い る 。 な る ほ ど 、 科 節 は 元 照 の い う ご と く 、 「 経 に 随 っ て お の ず か ら 殊 り あ り 」 と す る 方 が 合 理 的 で 、 雷 同 し て 三 分 法 を 決 り き っ た も の と す る の は 、 馬 鹿 げ て い る 。 そ こ で 、 「 請 ふ ら く は 此 の 論 を 観 よ 、 た ま た ま 自 明 す る に 足 れ り 。 」 と 、 『 論 』 の 七 科 分 の 正 当 性 を 主 張 す る わ け で あ る が 、 こ れ に は 深 い 理 由 が あ る 。 す な わ ち 『 論 』 の 七 科 を み る と 、 序 分 に つ い で 第 二 分 の 「 修 習 世 間 功 徳 分 」 を 立 て 、 つ づ い て 第 三 分 の 「 成 就 出 世 聞 大 人 功 徳 分 」 を 出 す と い う ふ う に、 小 乗 か ら 大 乗 へ と 『 経 』 を 深 化 徹 底 せ し め て ゆ く 過 程 を と っ て い る 。 さ ら に
第
四 分 の 「 顕 示 畢 竟 甚 深 功 徳 分 」 か ら 第 七 分 の 「 離 種 種 自 性 清 浄 無 我 分 」 ま で は 、 第 三 分 を 土 台 と し た そ の 開 展 に す ぎ な い 。 『 経 』 の 大 乗 な る を 論 証 し よ い よ う に 『 論 』 の 七 科 が 組 み た て ら れ て い る こ と は 瞭 然 で あ る 。 し た が っ て 『 節 要 』 を は じ め 『 論 』 グ ル ー プ の 諸 注 は 、 『 論 』 の 七 科 を 玉 条 と し て い る の で あ る が 、 『 論 』 を 重 視 し な い 『 経 』 グ ル ー プ で は 、 了 童 の 『 補 註 』 も、 知 旭 の 『 経 解 』 も 、 三 分 法 を も ち い て 『 経 』 の 解 釈 を 立 派 に お こ な っ て い る 。 や れ ば 出来
な い こ と は な い の で あ る 。 『 論 』 の 七 科 は 、 や は り 如 上 の 意 図 の も と に 立 て ら れ た も の と 解 す べ き で 、 そ の 点 、 三 分 法 に こ だ わ る こ と 自 体 が お か し い の で あ る 。 一 八 以 上 で 分 科 に つ い て の 元 照 の 所 説 を お わ り 、 序 文 の 註 解 に 入 る わ け で あ る が 、 こ こ で 元 照 は 、 正 し く 『 論 』 の 構 格 に し た が っ て 、 ま ず 「 経 日 」 と し て 『 経 』 の 本 文 を 出 し 、 つ づ い て こ れ に 対 す る 『 論 』 の 釈 を 『 論 日 』 と 出 し て 、 『 論 』 文 の 詳 釈 に つ と め て い る 。 ま こ と に 整 然 と し て い て 、 明 快 な そ の 科 文 と と も に 、 他 註 に み ざ る と こ ろ の も の で あ る 。 そ の う え 字 句 の 解 釈 が 、 叮 嚀 の う え に 適 切 で あ る 。 い ま 序 文 で こ れ を 出 せ ば 、 ノ テ ノ ノ ニ ス ル キ ノ ト イ フコ ト 「 初 科 以 三 経 中 所 レ 序、 出 生 入 滅 、 始 末 化 事 、 莫 レ 非 二 利 物} 故、 ス ト リ ニ ニ ル ニ フ ト ニ ス 示一 一 顕 示 利 益一 也、 至 二 於 垂 滅 一 化 事 已 終、 故 云 二 成 就 畢 竟一 也、 既 施 ニ ヲ ト イ フ コ ト セ ヲ ニ ク ト り ね 利 益一 莫 レ 不 レ 成 レ 功 、 故 皆 名 二 功 徳 ご と あ る 。 過 不 足 な い う え に 、 正 鵠 を 射 て い る 。 ま た 別 解 す る 初 め の 「 法 師 功 徳 」 に つ い て は ノ ノ ア リ ハ ス ニ ナ リ ハ ス ニ チ 「 初 法 師 中 、 初 文 三 相 。 総 相 対 二 牟 尼 一 即 法 身 。 別 相 対・ 一 釈 迦 一 即 応 ナ リ ハ ス ニ ヒ ス ス ナ リ テ ヲ ニ ス 身 。 総 別 相 対 レ 仏 、 上 冥 下 応、 自 他 受 用 。 即 報 身 。 以 三 二 相 一 共 為 ニ ト ス ニ コ ト ヲ ヲ シ テ ヲ テ ス ヲ レ ハ ニ ヲ 一 号 一 表一一 二 体 即 具 二 三 身 「 故 合 二 姓 名 唄 用 彰 二 実 徳 「 称 レ 之 獲 レ 福 、 り え レ 其 致 在 レ 茲 。 」 と あ り 、 三 身 の 説 明 に つ い て の 『 論 』 意 を う け て 要 を 得 て い る こ と お ど ろ く ば か り で あ ろ 。 こ の よ う な と こ ろ か ら 、 従 来 『 遺 教 経 』 の 註 釈 の 白 眉 と さ れ 、 多 く の 後 の 註 疏 に 依 用 さ れ て い る の も う な つ か れ る 。 『遺
教 経 私 鈔 』 は 、 『 住 法 記 』 を 指 し て 、 「 誠 二 照 師 ノ 記 粲 然 ト シ テ 理 ヲ 尽 セ ル 者 歟 … … 正 シ クKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 〔 15 ) 依
憑
ト ス ル 所 ロ バ 夫 惟 住 法 記 ノ ミ 」 と い っ て 、 賞 揚 お く あ た わ ざ る と 共 に 、 依. 憑 し う る 唯 一 の 註 と な し て い る の で あ る 。普
寂 は 反 対 に 、 か か る 教 判 的 に 整 然 た る 『 住 法 記 』 の 所 説 を 駁 せ ん が た め に 、 『遺
教 経 論 略 疏 』 を 撰 し て い る が 、 普 寂 の評
破 目 標 に な る だ け の 教 判 的 正 確 性 を 、 じ じ つ 『住
法 記 』 は 有 し て い る と い っ て よ い 。 二 の 「 開 法 門 功 徳 」 に お い て も 、 『論
』 の い う 「 白 浄 」 を タ マ ァ ヲ ン ト イ フ コ ト ニ ク ト ハ ぬ ね釈
し て 、 「 仏 説 二 教 門 → 無 レ 非 二 出 要一 故 皆 名 二 自 浄 ご と い ト バ ク メ テ メ ニ い 、 ま た 「 転 」 と 「 説 」 と に つ い て は 「 転 者 謂、 始 為 二 陳 ノ ド グ マ フ ヲ ら ゆ ソ 如 噛 三 転 二 四 諦 ご と し て 、 示 相 転 ・ 勧 修 転 ・ 引 証 転 を 四 諦 バ ク ニ ノ テ ヲ に か け て と き 、 「 説 者 謂、 涅 槃 会 中、 復 為 二 須 跋ハ 説 二 八 聖 道唄 シ メ ヲ ク テ ヲ ン ム ヲ に 得 二 初 果 → 又 広 説 二 四 諦 叫 成 二 四 果 ご と 「 説 」 を あ か し た の ち 、 テ キ キ テ ハ ケ ト ニ リ シ テ ル 「 法 門 初 啓 、 将 運 無 レ 窮 故 、 在 レ 初 名 レ 転 、 化 事 既 畢、 俯 顧 二 残 ヲ ヲ オ 機一 故、 最 後 名 レ 説 。 」 と 、 両 者 を む す ん で 間 然 す る 所 が な い 。 さ ら に 二 の 「 開 法 門 功 徳 」 で は 、 「 初 転 法 輪 」 と 「 最 後 説 法 」 と い ら よ ら に 法 に 約 し 、 三 の 「 弟 子 功 徳 」 で は 阿 若 僑 陳 如 と 須 跋 陀 羅 を 出 す よ う に 人 に 約 し て い る と こ ろ か ら 、 『 経 』 の 文 は 前 後 す る わ け で あ る が 、 こ の 点 に つ い て も 『 住 法 記 』 は 、 ト ノ メ ソ ト ト ト ヲ ノ テ セ ヲ ニ テ テ ル ヲ あ 「 此 与 二 下 科→ 欲 レ 使 下 人 法 成 占 類、 故 隔 レ 句 取 レ 文 。 」 と 、 ま こ と に 適 確 な 、 そ し て か ゆ い と こ ろ に 手 が と ど く 註 を ほ ど こ し ノ ニ シ テ テ へ て い る 。 も ち ろ ん 『 節 要 』 も 、 こ の 箇 処 を 、 「 聖 智 之 巧 、 隔 レ ヲ ス ヲ れ ソ 句 配 ・ 義 矣 。 」 と い っ て い る が 、 『 住 法 記 』 の ご と く 切 れ 味 が 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 ( 皿 ) ( 山 内 ) よ く な い 。 「 人 と 法 と を し て 類 を 成 ぜ し め ん と 欲 す 。 」 と い う 元 照 の 註 は 明 快 で あ る 。 五 の 「 因 果 自 相 功 徳 」 に お い て は、 『 論 』 の い う 四 種 の 自 相 を 釈 し て 、 ノ ノ ノ ニ ク ル ヲ ゼ ノ ヒ ニ ル ヲ ハ ト ノ テ ス ヲ 「 五 因 果 中、 初 科 謂 、 未 レ 滅 為 ・ 因、 己 滅 為 ・ 果、 四 句 以 示 レ 相 、 各 ニ ン ア ノ ル コ ト ニ ノ ト の 別 無 レ 濫、 故 皆 云 二 自 相 鱒 と 、 ま ず 巧 み に 自 相 を 説 明 し た の ち 、 メ タ ノ ニ フ ト ト パ テ ヲ 「 始 往 二 雙 樹 浬 槃 之 処 → 故 云 二 因 相一 将 入 涅 槃 者、 涅 槃 会 上、 放 レ 光 ル ニ シ テ ニ ス ヲ ニ ス ル カ ヲ ハ レ ハ レ 入 レ 定、 臥 レ 牀 示 レ 疾、 等 皆 為 レ 示 コ 現 入 滅→ 将 入 是 因 、 涅 槃 是 果 、 フ ト ハ レ ノ ス ル コ ト フ ニ ノ ン テ 故 云一 一 因 共 果 相 鱒 中 夜 是 入 滅 之 時 、 表 レ 在 二 中 道「 二 種 中 道、 通 ム ヲ ニ フ ト バ ク レ ニ フ ト 含 二 因 果 → 故 云 二 総 相→ 寂 然 無 声、 正 是 入 滅、 故 云 二 果 相 ご と 、 因 相 ・ 因 共 果 相 ・ 総 相 ・ 果 相 、 『 経 』 の 文 に そ い つ つ具
ヘ マ 体 的 に 解 説 し て い る 。 そ し て 「 沙 羅 雙 樹 」 と い う と こ ろ か ら 、 四 雙 は 大 教 、 】 雙 は 小 教 と い う 説 を う け て 、 小 乗 の 『 涅 槃 経 』 を 出 し 、 キ ハ ノ ユ フ タ マ ハ ク ニ シ ク ノ ニ ル ニ テ 「 若 二 三 巻 泥 逼 云 「 仏 語 二 阿 難哨 汝 可 レ 往 二 沙 羅 林 中 嚇 見 有 二 雙 樹「 リ リ ニ キ テ ヲ ナ ラ ン テ ヲ メ ヨ ヲ ナ ラ レ 孤 在 二 一 処 「 酒 = 掃 其 下 嚇 使 二 命 清 浄→ 安 二 処 縄 牀→ 令 二 頭 北 首→ 此 ニ テ タヘ リ テ ク ス ニ ハ ニ 則 共 向 、 止 有一 二 雙 〔 以 下 大 本 六 巻、 悉 対 二 大 機→ 雙 樹 三 巻 竝 是 小 ナ ル ヲ ノ ナ リ ノ ニ ハ フ ト ゥ ヌ へ 教 b 大 小 二 機、 所 レ 見 各 異、 今 経 但 云 二 雙 樹→ 則 教 限 可 レ 知 矣 。 」 こ の 『 経 』 は 雙 樹 と い う か き り 小 乗 の 『 涅 槃経
』 に ひ と し く 、 し た が っ て 小 乗 教 の 分 斉 に 属 す る と い う の で あ る が 、 こ の 点 に つ い て は す で に 論 究 し て い る か ら 深 く は ふ れ な い 。 た 一 九Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 ( ∬ ) ( 山 内 ) だ 元 照 が 、 い か に 綿 密 に 表 現 上 の 些 細 な 差 違 を と ら え て 、 こ の 『 経 』 を 小 乗 教 に 入 れ よ う と し て い る か 、 を 注 意 す れ ば 充 ン ラ バ 分 で あ る 。 も っ と も 、 [、 節 要 』 も こ の 点 に つ い て は 、 「 若 依 ニ ノ ニ タ リ ニ テ ス ヲ レ ノ 三 巻 経 文→ 似 二 唯 一 雙 → 以 破 二 断 常 → 此 亦 大 小 二 機 、 所 レ 見 各 ナ リ ニ お 別 」 と い っ て い る の で 、 通 説 で あ る こ と が わ か る 。 な お 「 総 自 相 」 を 『 論 』 が 、 「 正 覚 中 道 ] と 「 離 正 覚 中 道 」 に 分 け 、 後 者 よ り さ ら に 「 自 性 無 説 離 念 涅 槃 」 と 「 遠 離 覚 観 涅 槃 」 を 出 し て い る の に 対 す る 元 照 の 釈 は 、 ツ ニ ハ ン ノ ノ 「 中 道 一 体、 在 世 入 滅、 故 分 三 一 種→ 例 如 二 小 教 有 余 無 余 二 種 涅 槃 一 ト イ フ ハ ニ ス ヲ ト バ カ ヲ ハ テ ニ 也 。 是 中 下 次 釈 二 果 相 n 自 性 無 説 者、 体 離 二 言 詮一 故 、 説 由 レ 念 起、 ル ヘ ヲ ニ シ ス ノ ニ ト ハ ル カ ニ ハ 離 レ 念 故 無 レ 説、 対 二 経 無 声 一 也 。 遠 離 覚 観 者、 性 非 二 思 慮一 故、 覚 覚 ノ ニ シ ス ノ ニ の ね 是 動、 遠 離 故 無 レ 動、 対 二 経 寂 然一 也 。 」 と 一 体 た る べ き 中 道 を 、 在 世 ・ 、 入 減 に わ け て 二 種 に 出 し た と な し 、 あ た か も 小 教 の 有 余 ・ 無 余 の 如 し 、 と 説 い て い る 。 が 、 こ れ は 『 節 要 』 に や や 似 た 註 が あ り 、 か な り 『 節 要 』 と の 類 似 点 も 指 摘 し う る 。 無 説 以 下 の 字 解 は 、 過 不 足 な く、 こ れ 以 上 意 を つ く し 得 な い こ と が し ら れ る で あ ろ う 。 「 是 時 中 夜、 寂 然 無 レ 声 」 の 二 句 に つ い て は 古 来 い ろ い ろ ク メ ハ ク ン ニ シ テ ク ト 解 が な さ れ て き た よ う で 、 「 人 多 不 レ 暁 或 謂 、 先 寂 定 後 説 レ ヲ バ ク テ ノ ニ テ ヲ ク ト キ ノ ク ク 法 、 或 云 、 於 二 無 記 中 納 仮 二 名 字 一 説 等、 如 レ 是 妄 伝 、 深 乖 二 経 ニ け ね 旨 ご と あ り 、 こ れ を 「 ま ず 寂 定 に し て の ち 法 を 説 く 。 」 と か 、 あ る い は 「
無
記 の 中 に お い て 、 名 字 を 仮 り て 説 く 。 し と か い 二 〇 う の は 妄 伝 に す ぎ ず 、 経 の 深 旨 に そ む い て い る と 元 照 は き め つ け て い る 。 そ し て ノ バ ク ス キ ヲ テ チ ル ヲ ニ ラ バ ノ ニ ス 「 此 之 二 句、 深 序 三 如 来 説 レ 経 已 、 後 即 入 二 涅 槃 叩 拠 二 文 次 第 剛 合 甲 ヒ ノ ニ リ タ マ ハ ソ ト ニ ノ シ テ タ マ フ ト ヲ 云 下 於 二 沙 羅 雙 樹 間 叫 将 レ 入 二 浬 槃哨 為 二 諸 弟 子 「 略 説 中 法 要 か ノ ニ フ ニ ノ ナ リ ス ル ノ ト ン テ シ お 乃 至 経 末、 云 乙 是 我 最 後 之 所 二 教 誨 【 是 時 申 夜、 寂 然 無 丙 レ 声 。 」 と 、 み ず か ら の 説 を 出 し 、 如 来 が 経 を と き お わ っ て 涅 槃 に 入 り た ま わ ん と す る こ と を 述 べ た も の で 、 『 経 』 の 末 尾 に 、 最 後 の 教 誨 が す ん だ の ち 、 「 是 時 中 夜 、 寂 然 無 レ 声 」 と い う の に 照 応 す る と い う 。 元 照 の い う ご と く 無 涅 槃 の 説 相 と み る べ き で 、 語 句 に 執 わ れ て 無 記 中 に お い て 名 字 を 仮 り て 説 く 、 な ど と す る の は 妄 解 の 至 り で あ ろ う 。教
判 的 き び し さ を 有 す る も の の 、 元 照 は あ ん が い 素 直 に 『 経 』 の 本 又 を よ ん で い る と い え る 。 前 掲 の 引 文 に つ づ い て シ ソ ハ ラ ノ ヤ ノ ニ テ コ ト ヲ ノ タ 「 若 不 レ 爾 者、 豈 得 三 説 経 之 後 、 都 無 二 結 絶 之 詞 叩 結 集 之 後、 砥 於 ニ ノ サ ニ ス ヲ ニ ニ ゾ の ロ 序 中 噛 備 序 二 始 末→ 故 正 宗 之 後、 更 無 二 流 通 ご レ ノ と い っ て い る の は 、 「 是 我 最 後 之 所 教 誨 。 」 を 流 通 分 に 配 し た 孤 山 智 円 の 『 疏 』 を 難 じ た こ と は い う ま で も な い 。 が 同 様 な 例 が 前 に 出 て い る の で 洋 説 を さ け る 。 か く し て 六 の 「 分 別 総 相 功 徳 」 に お い て 、 人 法 に お け る 二 位 の 差 別 を 、 ニ ト ハ ト ト ハ レ リ フ ト ノ キ ハ 「 六 分 別 総 相 者、 人 法 是 総 相、 各 有 三 一 別 → 故 云 二 分 別 → 人 中 如 ニ ノ ヶ テ ス ト ク ノ ト ノ ノ ノ ヲ ク 目 蓮 身 子 等→ 名 為 二 師 首 剛 名 二 上 首 弟 子 叫 即 諸 上 首 所 有 徒 衆 、 名 二Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty ノ ト ノ ト ト ハ シ ゐ ハ ル ゑ の 眷 属 弟 子 触 法 中 世 出 世 者 如 二 前 巳 解 ご と 釈 し て 、 序 文 を お わ る の で あ る が 、 み て き た ご と く 元 照 は 、 各 所 に お い て 『 経 』 の 定 判 を こ こ ろ み つ つ 『 論 』 の 深 旨 を 展 開 し 、 か つ 字 解 は 深 切 を き わ め て い る 。 こ と に 『 経 』 旨 と 『 論 』 旨 と を 適 確 に 分 別 し て 、 論 じ て い る こ と は み ご と で 、 彼 の 教 学 的 基 礎 の 尋 常 で な い こ と を 窺 わ せ る の に 充 分 で あ る 。 二 修 習 世 間 功 徳 分 に つ い て 元 照 が 、 『 論 』 の 意 に 従 っ て 、 第 二 分 の 「 修 習 世 間 功 徳 分 」 を 三 科 に わ か っ て 解 釈 す る こ と は と う ぜ ん で あ る 。 ズ チ ル ニ ト イ フ ス ヲ チ レ 「 第 二 分 下、 即 入 二 正 宗 → 修 習 世 問 功 徳 下、 列一 一 三 科 → 即 是 三 道、 メ ヲ リ ノ ヲ ル ノ ヲ リ ニ ク ト シ セハ 今 修 二 対 治一 破 二 此 三 道 → 離 二 四 趣 苦 一 位 在 二 共 凡 叫 故 名 二 世 間 叩 若 論 ニ ヲ リ ノ リ ノ む 断 証嚇 為 二 道 方 便 聖 道 基 本{ 則 為 二 出 世 功 徳一 矣 。 」 こ こ か ら 正 宗 分 に 人 る こ と は 、 『 論 』 と い え ど も お な じ で あ る 。 以 下 の べ る 邪 業 を は じ め と す る 三 道 を
対
治 し て 四 趣 を 離 れ る の で あ る か ら 、 修 行 の 位 は 凡 位 に あ る わ け で 、 世 間 の 功 徳 と 名 づ け ら れ て し か る べ き で あ る が 、 次 に と く 出 世 間 の 功 徳 の 前 提 条 件 と な る 意 味 で は 、 ま さ し く 「 道 の 方 便 、 聖 道 の 基 本 」 で あ る 。 『 論 』 が、 あ え て 三 分 法 を と ら ず 、 「 世 間 の 功 徳 」 を 「 出 世 間 の 功 徳 」 と 対 立 せ し め て と き 、 つ い に は 大 乗 に 証 入 さ せ る 意 図 を 、 元 照 は 充 分 承 知 し て 、 か か る 解 を 出 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 (H
) ( 山 内 ) し て い る の で あ る 。 メ ニ リ ニ ニ ニ 第 二 分 は 、 さ ら に 「 初 依 二 根 本 戒 こ 「 二 方 便 遠 離 戒 」 コ ニ 戒 ク ス ヲ ニ ス ヲ 能 生 二 功 徳 こ 「 四 勧 二 修 利 益 一 」 の 四 段 に 分 れ る 。 初 め の 根 本 戒 を あ か す 『 論 』 の 文 は 重 要 で あ る 。 ノ ニ ニ ク ト ハ ス ル カ ノ ヲ ニ タ ス カ ノ 「 此 修 多 羅 中 毎 説 、 比 丘 者、 示 二 現 遠 離 相 } 故、 復 示 下 摩 詞 衍 方 ト ナ ル コ ト ヲ ニ テ ニ ス ル カ ノ ヲ ニ が 便 道 与 二 二 乗一 共 上 故、 又 於 二 四 衆 】 亦 同 二 遠 離 行 一 故 。 」 す な わ ち 『 論 』 の 大 乗 的 見 解 が 明 示 さ れ る 箇 処 で 、 い は ば 小 乗 と し て の 『 経 』 と の 接 点 が こ こ に 明 ら か に さ れ る 。 元 照 が 詳 釈 を こ こ ろ み る の は と う ぜ ん で あ る 。 彼 は 、 ま ず 、 な ぜ 摩 訶 衍 の 方 便 道 が 二 乗 と ひ と し い の か を 説 明 す る 。 ニ フ ハ ト ニ ス ト ハ ト ク ノ モ リ ト モ 「 次 云 二 摩 訶 衍一 此 翻 二 大 乗 → 方 便 道 者、 謂 諸 菩 薩 、 志 願 雖 レ 殊 、 而 ノ ニ シ テ ニ ス ヲ ニ フ ト ら お 入 道 階 漸 、 竝 同 二 声 聞 一 皆 修 二 遠 離 一 故 云 二 与 二 乗 共 一 也 。 」 大 乗 の 菩 薩 は、 そ の 志 願 が 声 聞 と こ と な る の は い う ま で も な い が 、 と い っ て 修 行 の 初 歩 的 段 階 に お い て は 、 や は り 遠 離 を 修 す る の で あ る か ら 、 こ の 点 声 聞 と お な じ で あ る 。 か く て ノ 「 摩 訶衍
方 便 道与
二 二 乗 一 共 」 と な る 、 と い う の で あ る 。 「 四 衆 」 が 、 天 人 竜 鬼 等 を 指 す こ と は い う ま で も な い 。 そ こ で 、 ノ ハ チ ノ ノ ハ ノ ノ ハ ノ ス サ ソ ト 「 初 句 即 当 教 道 衆 、 次 句 大 乗 菩 薩 衆、 後 句 人 天 雑 衆 。 欲 レ 明 下 比 ノ ヲ ニ レ ハ ノ ヲ コ ト ヲ ノ ヲ ニ ス ク ム ル ロ ト ヲ 丘 之 号、 不 レ 局 二 声 聞 → 取 二 其 所 修州 皆 受 中 斯 目 加 方 顕 三 遺 教 普 被 二 へ ぢ 塁 機 ご と い う こ と に な る 。 初 め の 句 が 小 乗 の 人 を対
象 に し 、 次 が 大 二 一Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 ( ∬ ) ( 山 内 ) 乗 の 菩 薩 を 対 機 と な し 、 さ い こ の 句 が 人 、 天 の 雑 衆 を 相 手 に し て い る わ け で あ る か ら、 毎 説 す る と こ ろ の 比 丘 と は 、 あ え て 最 初 の 声 聞 だ け に か き る べ き で な い 。 そ れ ぞ れ の 修 行 す る 立 場 で 、 声 聞 は 声 聞 な り に 、 大 乗 の 菩 薩 は 大 乗 の 菩 薩 な り に 、 こ の 『 経 』 の お し え を う け と る べ き で あ る 。 か く し て こ の 『 経 』 が 、 普 ね く 群 機 に 被 ら し め る と こ ろ の
遺
教
と は な る の で あ る 。 だ か ら 厳 密 に い う と ニ ヌ ハ テ ハ ニ リ ト テ ハ ニ ス ト みヒ 「 故 知 、 此 経 在 二 声 聞 → 則 為・ 「 本 教 → 在 二 菩 薩一 則 為一一 方 便 道 こ と な り 、 こ の 『 経 』 は 声 聞 の 立 場 か ら は 本 命 の 経 と は な っ て も 、 大 乗 の 菩 薩 の 立 場 か ら は 方 便 道 と い う こ と に な る 。 両 者 評 価 が こ と な っ て く る は 、 立 場 が こ と な る 以 上 や も う え な い 。 『 論 』 は 後 者 に 立 っ て 判 じ た の で あ る か ら、 前 者 と 内 容 が こ と な っ て き て も 、 あ え て お ど ろ く に あ た ら な い 。 ハ テ ユ ス ノ ヌ ナ リ ョ リ ル ニ ヲ モ シ コ ト ね 「 論 従 レ 大 判、 前 偈 甚 明、 始 見 二 論 家一 毫 髪 無 レ 濫 。 」 こ の 点 、 『論
』 の 主 張 は 、 ま こ と に 筋 が と お っ て い る 。 ど う し て 『 論 』 の 作 者 と も あ ろ う も の が 、 大 小 両 乗 の 区 別 を し ソ ヤ ノ ル セ ヲ な い こ と が あ ろ う か 。 「 豈 有 三 聖 師 不 レ 辨 二 大 小 ご と い う わ け で あ る 。 と こ ろ が 、 従 来 の 伝 述 は、 小 乗 で あ る と こ ろ の 『 経 』 の 文 を あ き ら か に し な い で 、 大 乗 と 判 じ、 反 対 に 小 乗 と す る も の は 、 ま っ た く 『 論 』 の 大 乗 的 見 解 を 理 解 す る こ と が で き な い 。 『 経 』 と 『 論 』 と の 、 本 来 的 立 場 を わ き ま え な い か ら こ そ 、 二 ニ タ ル シ ル コ ト ル ユ ヲ か か る 混 乱 が 生 じ る の で あ る 。 「 云 云 異 論 、 無 レ 足 レ 叙 レ 之 、 ス ル モ ニ テ カ セ ン げ 来 学 聴 尋 、 何 由 暁 悟 、 鳴 呼 。 」 と な げ い て い る が 、 じ じ つ 元 照 ほ ど 両 者 の 立 場 を 辨 別 し て 、 こ れ が 註 解 を こ こ ろ み た も の は な い 。 以 上 、 初 め に 「 釈 二 比 丘 こ し た の ち 、 二 に 「 釈 二 滅 後 こ し て 、 三 に 「 釈 二 木 叉 」 す る の で あ る が 、 三 は さ ら に 初 め に 「 釈 二 名 義 こ 二 に 「 顕 二 功 用一 」 三 に 「 示 二 利 益 こ と 分 れ て ゆ く 。 そ し て 、 さ い こ の 「 示 二 住 持 利 益 人 法 相 似 こ の 一 段 に お い て 元 照 は ユ ス ヲ ハ チ ハ チ テ ノ ニ ハ ラ テ ヲ 「 次 釈 二 人 法 相 似 哨 人 即 是 仏、 法 即 木 叉、 以 下 仏 在 世 専 用 二 木 叉 【 ト シ ア ニ ス ル ヲ ヲ モ フ ト ト ノ ニ ス タ メ ハ セ ノ ラ ソ ニ 軌 レ 物 安 占 衆、 仏 雖 レ 云 レ 滅、 此 法 常 存 、 但 使一 一 禀 承 【 何 殊 二 仏 在→ ニ ス ノ ス の 方 見 二 木 叉 住 持 之 益 こ と 滅 後 に お け る 戒 の 護持
こ そ が 法 の 常 住 に ほ か な ら な い こ と を 強 調 し た の ち、 アも ノ シ テ ヲ テ フ ト シ ソ ン 「 嗟 今 道 衆 、 撥 二 棄 戒 科 唱 謂 言 二 通 達 [ 無 レ 師 無 レ 法、 沈 墜 何 疑、 ニ シ テ ノ ヲ ク ハ セ ヨ の ね 詳 二 此 文 一 庶 幾 一 悟 。 」 と の べ て 、 現 在 の 修 行者
の 戒 律 を な げ す て て 、 撥 棄 し て 、 無 師 無 法 の さ ま な る こ と を 嗟 嘆 し 、 こ の 文 に よ っ て 自 覚 す る こ と を ね が っ て い る が 、 元 照 と し て は、 か な り 感 情 的 な 表 現 と い え る 。 教 判 上 の 形 式 的 な 解 釈 を 、 こ と さ ら 厳 し く し た 彼 に と っ て も 、 こ の 『 経 』 の 註 解 を こ こ ろ み た 意 図 が 奈 辺 に あ っ た か を 察 せ し め る 。Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 根 本 清 浄 戒 に つ い で 、 方 便 遠 離 戒 が 次 に あ き ら か に さ れ ル カ ヲ る 。 『 論 』 は 、 一 護 二 根 本 浄 戒 二 故、 」 と あ り 、 『 記 』 は こ れ を バ ク レ ナ リ ハ ノ ノ ニ ぜ 『 護 謂 能 護 、 即 此 方 便 戒 、 対 こ 経 捺 字 ご と う け て 、 方 便 戒 の ル セ 意 味 を あ か し て い る 。 そ こ で 、 「 護 二 根 本 戒 こ と は 、 「 不 ・ 同 ニ ノ ニ ル セ ノ ニ 凡 夫 増 過 一 護 」 と 「 不 レ 同 二 外 道 捐 智 「 護 」 と に 分 れ て と か れ 、 前 者 に お い て 「 方 便 求 利 増 過 」 以 下 の 、 い わ ゆ る 十 事 が 詳 説 ク テ ニ ス ニ ノ ラ ク さ れ て い る が、 「 論 文 土 下 多 従 レ 義 判 、 不 二 為 レ 文 局 → 学 者 須 レ ら む ロ 智 。 」 と 元 照 の い っ て い る と お り 、 『 経 』 の 文 を か く 十 事 に 結 す る こ と は 多 少 の 無 理 が 存 す る よ う で あ る 。 が 『 論 』 は あ く ま で 「 義 に 従 っ て 判 ず る 」 わ け で 、 『 縄 』 の 文 に 局 ら れ な い 。 『 論 』 の 註 釈 態 度 を 元 照 は は っ き り と 指 摘 し て い る 。 た だ 、 十 種 に 結 す る こ と は 、 古 来 異 論 が あ っ た よ う で 、 次 の 身 処 木 叉 に 属 す る 参 預 世 事 を 加 え て 十 一 事 と す る 『 論 』 本 も あ っ た こ と を 指 摘 し て い る 。 し か し 身 処 木 叉 の 参 預 世 事 を こ こ に 入 れ る の は 不 自 然 で あ る と こ ろ か ら 、 元 照 は 「 古 本 に お 依 つ て 」 、 こ れ を 十 事 と 改 め 、 さ ら に 、 こ れ ら 十 を 三 種 に 分 け て 、 前 三 を 貪 求 の 過 、 中 の 六 を 畜 積 多 事 の 過 、 後 の 一 を 乖 儀 の 過 、
4
し て い る 。 修 行 の 菩 薩 は 、 こ れ ら 十 種 の 増 過 を 速 か に 遠 離 す べ き で あ る が、 元 照 は こ の 「 修 行 菩 薩 速 遠 離 」 の 文 を 、 次 の よ う に 釈 し て 、 こ の 『 経 』 の 性 格 を あ ざ や か に 剔 出 し て い る 。 ン ノ ナ リ ル ニ ノ ハ レ ノ ニ タ フ ト ヌ 「 此 所 謂 摩 訶 衍 方 便 也 。 然 今 経 本 是 化 教、 論 中 但 云 二 菩 薩 剛 則 知 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 ( 皿 ) ( 山 内 ) シ テ シ メ テ ニ ス ル あ ニ ラ ラ テ ヲ ユ ス ヲ ハ 通 被 = 道 俗 「 非 レ 局 二 比 丘 「 不 レ 可 下 専 用 二 律 文 「 横 判 中 持 犯 b 律 唯 ス ヲ ニ リ ハ ス ヲ ク ル ニ ス ニ ニ ス 制 レ 道、 故 有 二 犯 科 一 経 乃 通 含、 但 論 二 業 行 { 多 見 紊 乱、 故 特 点 レ ス れ 之 」 す な わ ち 、 こ こ で 修 行 の 菩 薩 が 速 か に 遠 離 す べ し 云 々 と い っ て い る の は 、 摩 訶衍
の 方 便 を の べ た も の で あ る 。 こ の 『 経 』 は 、 も と も と 小 乗 の 化 教 で あ っ て 制 教 で は な い 。 だ か ら 『 論 』 の 中 で 菩 薩 と い っ て い る の で あ る 。 そ の 意 は あ ま ね く 道俗
に 被 ら し め て 、 比 丘 だ け を 対 象 に し て い な い 。 制教
の 立 場 か ら、 勝 手 に 持 犯 う ん ぬ ん を 判 定 し て は な ら な い 。 化 教 と し て の 経 の 中 に 戒 律 を つ つ み こ ん だ こ の 『 経 』 は 、 持 犯 が 問 題 な の で は な く て 業 行 こ そ 大 切 な も の と し て い る 。 以 上 、 元 照 の 説 き 方 は 、 大 乗 戒 経 と し て の 『 遺 教 経 』 の 性 格 を 、 あ き ら か に し お た も の と い え よ う 。 律 僧 と し て の は 、 と く に 強 調 し た い と こ ろ で 、 「 特 に 之 を 点 す 」 と い う 意 味 も 理 解 し う る 。 「 不 同 凡 夫 増 過 護 」 に つ づ い て 、 「 不 同 外 道 捐 智 護 」 が と か か れ る 。 こ れ は 世 間 の 分 別 の 見 で あ る か ら 、 と う ぜ ん 五 句 十 種 の よ う な 外 道 の 捐 智 が あ っ て も よ い わ け で 、 こ れ ら を 遠 離 す る こ と が 、 ま た 要 求 さ れ る 。 し か し 、 こ れ ら の 世 間 智 は 、 使 い よ う に よ っ て は 役 に 立 つ 。 そ こ で 元 照 は 、 ル こ ノ ハ ニ フ ヲ ン テ フ ヲ ヲ セ ハ ト テ ヲ シ ニ テ ニ 「 然 上 所 判、 竝 謂 二 邪 求 「 若 以 レ 済 レ 物 為 レ 心 、 仮 レ 術 通 レ 道 、 適 レ 時 セ バ カ ソ ル ト ラ あね 用 捨 、 誰 日 レ 不 レ 然 。 」 と の べ て 、 よ こ し ま に 求 め る の で な く 、 衆 生 を 救 う た め に 用 二 三Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 遺 教 終 論 住 法 記 』 の 考 察 ( 旺 ) ( 山 内 ) 捨 時 に か な う な ら ば 、 な ん ら い う こ と は な い の で あ る が、 い ま の 僧 侶 は い た ず ら に 俗
務
を ま な ん で 、 本 業 と ま ち が え て い る 、 と こ れ ま た 激 し い 攻 撃 を 加 え て い る 。 タ ニ ソ テ ク ニ ソ テ ヲ シ ニ ニ ク ヲ グ ノ ニ 「 但 未 俗 澆 浮、 多 専 二 俗 務 一 心 存 二 規 利 一 口 説 二 行 慈 → 永 陥 二 邪 流 → ク グ ニ レ テ ヲ ニ ラ ス ルコ ト シ テ ニ ニ シ ス 深 乖 二 正 槧「 勿 下 攀 二 高 跡 「 妄 自 矜 持 b 且 順・聖
→ 言 三 急 須 二 遠 離 ご 高 踏 的 な こ と を い っ て 、 う ぬ ぼ れ て な い で 、 す な お に 初 歩 的 な 聖 言 に 従 っ て 、 こ れ ら 俗 事 か ら の 遠 離 こ そ 急 務 で あ る 、 と い う 。 以 上 で 、 初 め の 「 明 護 根 本 」 が お わ る の で あ る が 、 二 の 「 是 根 本 」 に つ い て の 科 段 は 、 異 説 が 存 す る 。 こ れ は 『 論 』 の 文 が 、 カ ノ ナ リ ト ハ レ ス ニ ァ リ ニ ハ ノ ニ ニ ハ 「 何 者 是 根 本 者、 此 示 二 根 本一 有 三 一 種→ 一 者 行 法 根 本 故、 ニ ノ え れ 者 行 処 根 本 故、 」 と 、 行 法 根 本 と 行 処 根 本 の 二 つ を 出 し な が ら 、 行 法 根 本 に つ ノ ニ い て は 「 行 法 根 本 義 、 波 羅 堤 本 叉 故 」 と あ る だ け で 、 な ん ら 釈 文 ら し い も の が な い こ と に よ ろ う 。 し か し 、 行 法 根 本 と は 、 前 の 根 本 戒 の こ と で あ る か ら 、 い わ ば 所 護 の 法 体 で 、 こ の 法 体 が 身 の 三 業 の 処 に お い て 、 は じ め て 具 体 化 さ れ る の で あ る 。 し た が っ て 、 行 法 根 本 と 行 処 根 本 と は 、 能 持 所 持 の ち が い か ら 二 つ に 分 れ た に す ぎ な く 、 別 の も の で は な い 。 こ の 間 の 事 情 を 、 元 照 は 次 の よ う に の べ て い る 。 ニ ス ノ ト ハ ノ ク レ ノ 「 次 明 二 是 根 本} 標 分 中、 行 法 根 本 即 前 根 本 戒、 正 是 所 護 三 法 体、 二 四 テ キ ヲ ノ ン テ ノ ニ ン ノ ヲ ニ ス ノ ヲ 以 レ 無 二 別 行 処 → 但 是 於 三 二 業 処 → 行 二 上 法 体「 次 顕 二 能 持 所 持 三 異【 ス ノ ヲ ニ ル よ が 又 彰 二 受 体 随 行 之 殊→ 故 両 分 耳 。 」 こ う み て く る と 、 行 法 根 本 に 釈 文 の な い の は 、 む し ろ 当 然 で 、 あ ら た め て 説 明 の 要 は な い わ け で あ る 。 そ こ で 、 前 掲 の 文 に つ づ い た 割 註 に カ ク ノ ニ シ タ レ ル ト ヲ ハ ク ス ト イ フ ハ ノ フ 「 有 謂 行 法 根 本 下 無 二 釈 文 「 止 是 懸 レ 科、 或 云 称 二 上 捐 智 護 一 者、 ヲ ニ ス ヲ ワ ハ ね 不 レ 看 二 本 論「 故 致 二 穿 鑿 ご と 元 照 は い っ て い る 。 前 者 は 上 述 の 説 明 で よ い と し て 、 問 題 は 後 者 で あ る 。 な る ほ ど 『 節 要 』 の 科 段 を み る と 、 こ こ の と こ ろ は 、 「 二 不 同 外 道 捐 智 護 二 」 と し て 、 「 初 行 法 根 本 、 二 行 処 根 本 」 の 二 つ を 出 し て い る 。 割 注 の い う が ご と く で あ る 。 こ の よ う な も の を 指 し て 、 元 照 は 「 本 論 を 看 ず、 」 と 非 難 七 て い る の で あ ろ う 。 た し か に 元 照 の 所 論 の ご と く で 、 「 行 法 根 本 」 を 「 不 同 外 道 捐 智 護 」 に 懸 け る の は 誤 り も は な は だ し い 。 『 論 』 の 文 を よ く 読 ん で い な い 証 拠 で あ る 。 そ こ で 『 住 ハ ウ 法 記 』 の 科 段 は、 次 の ご と く な っ て い る 。 い か に 元 照 の 理 解 が 綿 密 で 、 ゆ き と ど い た も の で あ る か 、 こ の 一 事 を も っ て し て も 充 分 で あ ろ う 。 「 行 法 根 本 」 す な わ ち 根 本 戒 は、 身 ・ 口 ・ 意 の 三 業 に お い て 行 じ ら れ る 。 前 者 に つ づ い て 行 処 根 本 か と か れ る ゆ え ん で あ る 。 且 ハ 体 的 に は 後 義 が 大 切 で 、 三 業 の 清 浄 が 解 脱 と な っ て ゆ く の で あ る 。Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 住 法 記 』 の 科 殷 は 、 二 方 便 遠 離 戒 ー ご く 簡 略 に 示 せ ば 次 の 如 く な る 。 { 初 明 護 根 本 二
二
i
構
別 釈 二」
{ 初 不 同 凡 夫 増H 過 護−
二 不 下 不 同 外 道 捐 智 護 「 二 何 下 是 根 本 二 …厂
韓
牒 釈〒
初 通 釈 二 種⊥
身 下 別 釈 行 処 三」
認
鍛
三 意 処 木 叉 ユ ン ヲ ニ コ ト ハ ヲ ハ レ ハ コ レ 「 初 指 二 行 法ハ 次 明 二 行 処一 者、 三 業 是 能 持 、 木 叉 為 所 持 、 所 持 無 ナ リ ノ テ ル と ハ レ ヰ ヲ コ ト ヲ ト ノ 量、 総 依 二 七 支一 七 支 是 三 業 、 故 三 業 処 得 レ 名一 一 根 本∵
… : 只 此 ナ ルヨ チ ス ト の り 三 処 清 浄、 便 為一 一 解 脱 ご 行 処 の 釈 は 、 性 質 上 く わ し く な っ て ゆ く の が と う ぜ ん で 、 ノ そ の 最 切 の 「 身 処 木 叉 」 は 、 ま ず 「 五種
障 過 」 を 示 し 、 つ づ ノ ノ ニ ハ い て 「 五 種 解 脱 」 を と く 。 「 五 種 障 過 」 と は 、 「 一者
佗 求 放 逸 ユ ハ ノ ニ ハ 障 」 「 二 者 内 資 無 厭 障 」 「 三 者 共 相 追 求障
」 の 三 種 の 対 治 す ベ ニ ハ ニ ハ き 重 障 と 、 [ 四 者 自 性 止 二 多 事 こ と 「 五 者 自 性 尊 重 、 不 ・ 作 ニ ヲ 軽 賤 事 こ の 二 種 の 軽 過 を さ す 。 前 者 の 重 障 に 対 し、 後 者 は 軽 過 で あ る か ら 、 対 治 で は な く 「 不 応 作 不 作 」 と 表現
さ れ て ニ ハ い る わ け で あ る 。 以 上 の 五 過 を 離 れ る の が 五 脱 で 、コ
者 外 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 (n
) ( 山 内 ) ニ ハ ニ ハ ニ ハ 縁 身 解 脱 」 「 二 者 内 縁 身 解 脱 」 「 三 者 自 相 縁 身 解 脱 」 「 四 者 衆 事 縁 身 解 脱 」 「 五 者 遠 離 異 方 便 縁 解 脱 」 で あ る が 、 こ れ ら に 対 す る 元 照 註 は 、 た と え ば 四 の 「 自 性 止 二 多 事 こ を 釈 し て 、 ハ ケ ホ ア ヲ ト ナ フ ノ ス ヨ フ ヲ ニ ノ 「 又 出 家 遠 レ 世 、 本 不 二 多 事 → 人 天 師 表 二 体 自 高 尚 一 故 、 二 種 不 フ ト 応 、 皆 云 二 自 性 一 也 。 」 と い う よ う に 、 文 意 を と ら え、 た く み な 字 解 を ほ ど こ し て い る が 、 そ れ 以 上 を 出 て い な い 。 こ れ は 内 容 が ほ と ん ど 律 で あ る か ら 、 解 釈 の し よ う の な い こ と に よ ろ う 。 「 依 二 邪 法 一 」 と 「 依 二 邪 人 こ と い う 二 種 の 「 邪 語 不 応 作 不 作 」 を と く 処 木 叉 に お い て も 、 こ れ は 同 様 で あ る 。 ニ ハ ル ノ ヲ 「 意 処 木 叉 」 は 、二
者 多 見 二 他 過 一 障 」 「 二 者 邪 思 惟障
」 「 三 ノ ニ 者 於 二 受 用 衆 具 中 → 無 レ 限 無 二 厭 足 一 障 」 の 三 種 の障
を あ げ て そ ニ ス の 対 治 を と く が、 そ の う ち 最 後 の 障 に つ い て は 、 「 此 対 治、 ト イ フ 如 レ 経 於 二 四 供 養 一知
量 知 足 故 。 」 の 文 が 添 え ら れ て 、 さ ら に ニ 「 此 供 養 有 二 二 種一 」 と 詳 釈 が 加 え ら れ て い る 。 二 種 の 供 養 と は 、 飲 食 ・ 衣 服 ・ 臥 具 ・ 湯 薬 な ど の 身 分 の 中 に お け る 供 養 が 一 つ 。 不 共 心 供 養 ・ 無 厭 足 心 供 養 ・ 二 事 相 違 心 供 養 . 等 分 心 供 養 な ど の 四 種 の 心 分 の 中 に お け る 供 養 が そ れ で あ る 。 ノ ノ ノ ら ス ル ル ヲ ン レ ハ 「 此 四 種 心 供 養 、 癡 乱 衆 生、 常 受 用 故 、 不 レ 知 二 節 量冖 故 、 若 入 二 三 ル ヲ ノ ル ニ ル コ ト は ソ 味一 者、 知 レ 量 故 、 若 入 二 道 分一 者、 知 レ 足 故 」 と 『 論 』 が 、 と く に 知 量 に お い て 三 昧 を 強 調 す る の に 注 目 し て 元 照 は 、 二 五Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 遺 教 経 論 住 法 記 』 の 考 察 ( 皿 ) ( 山 内 ) ル ト ハ ニ ク シ テ ニ ル ノ ヲ ニ フ ト 「 入 一 一 三 昧 分一 者 、 謂 外 凡 已 去、 観 智 観 察、 明 見 二 心 過 【 故 云 二 知 量 幻 ト ハ ノ シ ヲ シ テ ヲ グ ス ル ヲ ヲ ニ ク ト 入 道 分 者、 即 大 小 聖 人、 発 レ 智 断 レ 惑 、 永 絶 二 心 過{ 方 名 二 知 足 叩 へ 53) : ・ : . 」 と 、 こ れ を 敷 衍 し た の ち 、 諸 註 の 此 の 科 を 削 る こ と あ る を 難 じ て い る 。 ノ ル ス ル ニ ノ ニ ニ プ ヲ ノ モ ス ト 「 此 科 由 レ 属 二 意 処 木 叉 「 故 加 二 後 釈 「 未 世 修 治 、 最 為 二 精 要 → 諸 ノ シ テ ル ヲ ル コ ト ニ カ ラ レ ハ メ ヲ シ ア ニ ス ヲ ノ 師 詮 述、 例 皆 削 レ 之、 造 レ 道 不 レ 深、 未 レ 窮 二 此 理 「 循 レ 文 誦 レ 語 、 何 ン ル ニ レ ヨ は 足 レ 為 レ 能 。 」 三 種 の 障 の 後 の ひ と つ を 、 か く 三 昧 な ど に か け て そ の 知 量 を 詳 釈 す る の は 、 こ こ が 意 処 木 叉 に 属 す る 一 段 で あ る 以 上 、 と う ぜ ん の こ と で あ る 。 末 世 は と く に そ の 修 治 が 要 求 さ れ て い る 。 と こ ろ が 諸 師 の 註 を み る と 、 こ の 後 釈 が 削 ら れ て い る も の が 多 い 。 た し か に 文 の 構 成 か ら は 、 こ の 後 釈 の 一 段 は 、 し い て 後 の 一 つ だ け を 特 に 釈 す る の で あ る か ら 、 不 自 然 で は あ る 。 そ こ で 如 上 の こ と が 起 き た の で あ ろ う が 、 元 照 は、 、 こ い た れ を 「 道 に 造 る こ と 深 か ら ず … … 」 と