寄稿 / ずいひつ
株式会社中村自工 取締役会長中
な か む ら村 弘
ひろむずいひつ
日本に豪華列車が走る、是非乗車したい、 との思いで、JR 九州「ななつ星 in 九州」の ツアーの抽選に挑戦するも、当選までには 2 年半かかった。当選した2016年5月のツアー は、JR九州が新しい企画としてプレミアムツ アーと称し屋久島見学を組み込んだもので、 列車には1泊のみのツアーであったが、幸い 私は屋久島も行きたい島であり、それも実現 ということで、嬉しいことが二つ重なった。 JR 東日本「TRAIN SUITE 四季島」へは 初回の抽選から挑戦し、2 回目で当選した。 その時、仕事でお付き合いのある JR 東日本 の幹部の方からは「俺の知っている人で当 たったのは君が最初だ。」と言われ、半年後 (2017年7月)の乗車を楽しみにした。 そして同じ頃に JR 西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の申込み抽選にも挑戦した が、こちらは 4 回目の抽選で 2018 年 3 月の ツアーに当たった。 結局、ここ 3 年間は毎年豪華なクルーズト レインに乗ることができた。3 社とも特徴が あり、車両技術面でも三者三様でそれぞれ工 夫を凝らしている。旅行記として皆様にご披 露したい。 まずは乗車順で、JR九州「ななつ星 in 九 州」から。 2016年(平成28年)5月14日朝、博多駅 の「ななつ星」専用ラウンジ「金星」へ向かっ た。ここでは、JR 九州の青柳社長がお見送 りにおいでになったのにはびっくりした。出 発時刻の 9:59 までいらして、ホームで手を 振って下さったのには、いかにJR九州が「な なつ星」に力を入れているかが分かった。 そして、ホームに入場してきた車両が素晴 らしく綺麗であったことは、大変印象に残っ た。後刻、私は「お召列車より綺麗ではないか」 とクルーの人に話したら、「これは皆で磨く のです。」という答えが返ってきた。 列車に乗り、403号室に入り落ち着いたと 思ったらまもなく昼食時間となり、2 号車の ダイニングカー「木星」のレストランへ移動。 食事は地元の食材がふんだんに使われ、大変 美味しい。昼食後まもなく有田へ到着。ここ では「柿右衛門窯見学」が予定されていたが、 私は列車内に残りゆっくりティータイムとし た。すると、ピアノ、ヴァイオリンの 2 人演クル ーズト レ イ ン 旅 行 記
その1:JR 九州「 ななつ星 in 九州 」、JR 東日本「 TRAIN SUITE 四季島 」
「ななつ星」専用ラウンジにて(中央が青柳社長)佐世保駅で「柿右衛門窯見学」ツアーの 方々と合流し、列車は夕日の大村湾へ進む。 夜の帳が下りた頃に長崎駅へ到着。長崎駅 ホームでは、歓迎セレモニーとして地元名物 で女流変面師によるパフォーマンス「変面 ショー」を見学した。 ここでちょっとびっくりしたことがある。 今まで車掌で制服を着ていた人が作業服に 着替え、機関車の入換の旗振りをやっている ではないか。業種業務が違うと資格が必要な はずである。これも後ほど本人に聞くと、「き ちんと資格を取っているので安心して下さ い。」とのことであった。 列車は鳥栖へ。ここで停車して一夜を明か す。熊本地震のために阿蘇へは行けず、湯布 院へ行くための時間調整もあるらしい。 翌朝、ぐっすり眠ることができたので気付 湯布院駅へ到着し、下車して皆で散策だ。 一般観光客とも一緒になり観光を楽しむ。そ して、亀の井別荘「湯の岳庵」での昼食では、 私達「ななつ星」の乗客が一堂に会したため に、お互いの会話が盛んになった。 再び湯布院駅に戻り、湯布院から列車は先 程通った線路を博多へ戻った。 博多駅には17:31到着。 博多駅のラウンジ「金星」では、青柳社長 らのお出迎えを受け、少しの安らぎ。最後は クルーの見送りで帰路についた。 今回は、屋久島ツアーが含まれており、列 車の旅は 2 日間だけであったが、JR 九州唐 池会長が「世界一の豪華列車を」と唱えて運 行を始めた「ななつ星 in 九州」を十分に堪 能することができた。 ・・・・・・・・・・ 次に、JR 東日本待望の「TRAIN SUITE 四季島」に話を移す。 白色の斬新なスタイルの「四季島」は、 2017 年 ( 平成 29 年 )7 月 29 日 9:15、上野 駅の 13.5 番線ホームから、上野駅長を始め ラウンジカーでの生演奏 車内クルーと記念撮影 クルーズトレイン「ななつ星in九州」
とする関係者と見学者に見送られて静かに出 発した。 2号車、202号室が私達の部屋だ。 大宮駅までは通過する駅ごとに数人の「撮 り鉄」の方々が見受けられたが、大宮駅から は逆方向に走り、貨物線を通って武蔵野線に 入ると、「よくこんなにダイヤを知って写真 を撮りに来ているなぁ!」と驚嘆するほどの すごい人数のカメラマンが各駅のホームの突 端に待ち構えていた。 国立駅あたりで中央線に入る。生憎の曇り 空。楽しみにしていた沿線の山々の風景を見 る事は出来ず、相模湖は見えたものの雲がと れることはなく、甲斐の山々は見えない。 サロンカーへ行ってみた。ピアノの生演奏 を、コーヒーを飲みながらのんびりと聴く。 そのうちに、私のリクエスト曲「昴すばる」、「いい 日旅立ち」が演奏され、嬉しかった。 列車内では、乗客同士の対話もよいが、ト レインクルーとの話も面白い。皆さん明るく 丁寧にいろいろ説明をしてくれて、楽しい時 間を過ごすことができた。 列車内で気になった点を一つ。座る椅子が 多少きついので、もう少しサロンらしくゆと りがあってよいのではないかと思った。 そうこうしているうちに塩山駅(山梨県 ) へ 11:50到着し下車。最初の「深しんゆうたんぼう遊探訪」、豪華 バスに乗って笛ふえふき吹川温泉「別邸 坐さ ぼ う忘」へ向 かった。古民家を改修したという食事処「茶 料理 懐石 まる喜」ではお抹茶から始まる昼 食で、酒の好きな人はワインや日本酒を楽し く飲んでいた。しかし私は下戸なので、地元 食材のお料理を充分に楽しんだ。 昼食後は「宮光園」へ移動。「宮光園」は、 山梨県甲州市勝沼町にあるブドウ園で、近 代化産業遺産 ( 経済産業省認定 ) となってい て、日本のワイン産業を確立した宮崎光太郎 (1863 年- 1947 年 ) の自宅とのこと。葡萄 園、ワイナリーがあり、ワイン産業の歴史、 甲州ワイン造りの説明を受けた。 さらに日本名門ワイナリーである「ルミ エールワイナリー」も見学。しかしながらワ インにあまり興味のない私は、今一番良い時 ( 補足説明 ) 「深遊探訪」とは、「TRAIN SUITE 四季島」 のコンセプトである。「色濃く変わる四季のうつろいと、 今までにない体験や発見を通じて、まだ知らないことが あったという幸福を実感していただきたい。」という想 いを表現している。 「四季島」へ乗車 (上野駅にて) 「四季島」2号車202号室にて ラウンジ「こもれび」にてトレインクルーと共に
ずいひつ
が、ここで途端に雨が降り出し、急いでバス に乗り込み、塩山駅へ向かった。 16:27に塩山駅を出発。雨が降り続き、南 アルプスも八ヶ岳連峰も見えず、車掌の八ヶ 岳神話を聞きながら部屋で一休み。 6 号車「DINING しきしま」では、早番の ディナーが始まったが私たちは後組だったの で、ゆっくり 18:50 以降のフランス料理の 夕食となった。少々気取って背広にネクタイ 姿となり、気分良く豪華なフランス料理の夕 食である。その上地元の食材を使ったおいし い料理、良き思い出となる。 夜の帳がおり、列車は暗い中 20:00 に篠 ノ井駅へ着く。前もって連絡をとっていた長 野県にお住まいのK氏家族と再会した。こち らの方とは JR 九州「ななつ星」でお会いし た方で、わざわざ駅のホームで出迎えてくれ た。残念ながら窓はあかないので声は聞こえ ないが、互いに大きく手を振り合って再会を 楽しんだ。こんな出会いもまた楽しいものだ。 篠ノ井駅から列車は逆行して姨おばすて捨駅へ。姨 捨駅では乗客はいったん列車から降りて、駅 に特設された専用ラウンジで日本三大車窓の 一つとされる善光寺平の夜景を楽しんだ。 またこの駅は、きつい勾配の途中にあるた め、上ってきた列車はいったん反対方向の線 路に入ってからバックして駅のホームに入る「ス イッチバック」をする。駅に停車しない特急 列車はそのまま本線を通過してしまうが、「四 季島」は駅に入るためスイッチバック。この豪 華特別列車で体験できる「スイッチバック」は この旅行のセールスポイントの一つである。 運よく丁度雨がやみ、夜景の灯りが良く見 えた。ここでお酒が飲めたら良かったのにと 思いながら、地元の人が売りに来ている「あ んずジャム」を買って列車の人となった。 列車は、姨捨駅を 21:34 に出発し、会津 若松(福島県)方面へ。 バータイムは参加せず、疲れたのでベッド に入る。列車はスピードを上げたようだ。 夜中、眼もさめず、気がついたら朝4:30 頃 だった。シャワーを浴び、洗面を済ませ1号車 の「VIEW TERRACEきざし」へ行く。誰も いない。車掌が一人ぽつんと席に座っていた。 ここは電化区間ではないので、発電機を動 かして走る。エンジンの音がすごい。ちょっ と予想以上だ。車掌の話では、夜中に新津で エンジンをかける時、周辺の住宅などには気 をつかう、とのことであった。 「DININGしきしま」でのディナー 篠ノ井駅ホームにて友人と再会
ダイナミックなデザインの窓の外には、列 車と並行して流れる阿賀野川が見えた。雨が 多かったのか茶色に濁っている。 少し経って妻も 1 号車に来て車窓を見学。 その後、5 号車「LOUNGE こもれび」へ移 動し、モーニングコーヒーを飲む。 山や ま と都駅を過ぎて喜き た か た多方駅(福島県)へ到着。 短い時間であったが下車出来たので「深遊 散歩」として駅前通りを歩いた。早朝にもか かわらず駅長が出迎えてくれたので、記念撮 影をしたところ、他にも三脚を持ってカメラ を構える人がいた。話をするとこの人は、「四 季島」の申込み抽選に当たらなかったので東 京から「追っかけ」をやっているのだ!との ことでビックリ。車を見たら品川ナンバーで あった。そして、列車の発車より早めに、次 の会津若松へ行くのだと言って車を運転して いった。列車は、喜多方駅を7:21に出発した。 2日目の「深遊探訪」。会津若松駅へ7:30に 到着。2台のJR 東北バスで会津料理「田た き の季野」 へ。朝食といってもすごい会席料理だ。美し い女将から「輪わ っ ぱ め し箱飯」をどうぞ!と言われた が、その前に出た地元食材の料理がさらに素 晴らしく朝食には豪華すぎるものだった。 観光は鈴善漆器店へ。漆器の絵付けを蒔絵 体験として、私達はおわんに挑戦した。私は 絵に「至誠」と書く。なかなか難しいものだ が、記念品として大変良い。 バスで会津若松市内を一巡して駅へ向か う。白虎隊の城へ寄らないのが残念だ。 会津若松駅を 11:22 に出発。ここで列車 の先頭が変わり1号車が先頭に。荷物を片付 けて一段落したら、郡山駅だ。運転士交代。 列車は、東北本線内ではあまり無理をして走 らない。速度 80 ~ 90km/h 位か。そしてこ の沿線では「撮り鉄」にあまり会わない。沿 線の人もあまり手を振らない(人がいない)。 最後の食事はフランス料理、これもまたう まい。トレインクルーとおしゃべりをしなが ら食事をするのも楽しい。忙しい合間の会話 であるが、よく私達を楽しませてくれた。そ して列車内で二回目のコース料理は大宮駅に 着くくらいに終わるか否か多少心配だった が、なんとか間に合ったようだ。 終着駅の上野駅が近くなり、みなさん三々 五々、荷物をまとめて出入り口となっている ラウンジカーへ集まってくる。トレインク ルーも集まってくる。 上野駅 13.5 番線に 16:23 無事到着。「プ ロ ロ ー グ 四 季 島 」 で の フ ェ ア ウ ェ ル パ ー ティーではお茶乾杯。面白いアイデア。その 後今回のコースのフィルムをまとめて見せ る。写真屋が同行したが後で売るためではな く、ここでまとめて見せるためだったらしい。 見事だ。しかし、欲を言うと、この部屋は柱 が太く天井も低い、ちょっと雰囲気が暗い、 お出迎えも少ない。もう少し全社をあげて やっているという姿勢がほしいと感じた。し かしながら今回の旅を通じて、車掌をはじめ トレインクルーの方々、関係者の方々の「お もてなし」には心から感謝したい。 (次号へ続く) 早朝の喜多方駅にて