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地方における金融教育の現状と金融リテラシー

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Academic year: 2021

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(1)

地方における金融教育の現状と

金融リテラシー

2014年10月19日

日本銀行下関支店長

鈴木純一

2014年度日本金融学会秋季大会

Bank of Japan

SHIMONOSEKIBRANCH

(2)

1. 山口県金融広報委員会の活動

2. 地域別の金融リテラシー分析

本分析に当たっては、本店情報サービス局

福原敏恭企画役の協力を得た。

(3)

1.山口県金融広報委員会の活動

山口県、山口県教育委員会、日本銀行下関支店、中国財務局山口財務事務所、そ

の他の公共団体、民間機関などによって構成

– 会長:山口県知事、副会長:日本銀行下関支店長、中国財務局山口財務事務所長

項目

概要

金融広報アドバイザー

約10名

金融学習グループ数

2グループ

金融・金銭教育研究校

金融教育研究校1校(中学校)

金銭教育研究校1校(小学校)

セミナー、講演会等の開催

金融広報アドバイザー派遣講座

約200回(公民館等との講座連携を含む)

小中学生向けセミナー

夏休み中に開催(小学生向け4回、中学生向け1回)

金融消費者教育セミナー

教員、県市町教委職員、PTA関係者、金融広報アドバイ

ザー等を対象

(4)

金融広報アドバイザー派遣講座の特徴

対象者

割合

受講人数

一般

80%

3000名超

大学生

5%

約600名

高校生

3%

約250名

中学生

2%

約100名

小学生

10%

約200名

生活設計、家計管理が最も多く、次いで、高齢者向け(相続、遺言等)、税制、年金

等、金融商品知識、契約知識等となっている。

対象は、一般向けが多く、その3分の1は高齢者向け。

講座内容

割合

生活設計、家計管理

30%

高齢者向け(相続、遺言、

エンディングノート、成年

後見制度等)

25%

税制

10%

年金、社会保障、医療・

介護

10%

金融商品知識

5%

悪徳商法、契約知識

5%

その他

15%

(5)

金融広報アドバイザーの派遣講座

対象:一般~学生

狙い:生活設計や家計管理、消費者トラブル回避のための助言

(テーマ例)

<一般>

・いざという時あわてないための身近な相続のはなし

・その契約は大丈夫ですか?

・ゆとりが生まれる家計パワーアップのポイント etc…

<学生~学校の授業>

・大学生:公的年金、ファイナンシャルプラン

・高校生:給与明細の見方・ローン・契約、

お金の基礎知識 etc…

・中学生:悪質商法

テーマ「いざという時あわてないため

の身近な相続のはなし」

(6)

公民館等施設との

講座連携

対象:一般~小学生

(テーマ例)

<一般>

・心豊かに健やかに楽しき人生

~心と体と財布の健康

・人生の身じまい

・ちてきにすてきな老ひ支度

・その契約は大丈夫ですか

・あの手この手にご用心

・覚えておきたい社会保障のしくみ

・知って納得!年金制度

・知って納得!医療制度 etc……

<小学生>

・子どものやりくり教室

テーマ「ちてきにすてきな老ひ支度」

「子どものやりくり教室」~

カレー作りゲームの様子

限られた予算の中で何を

買うのかを考えるゲーム

(7)

中学生向けセミナー「景気と金融政策を学ぼう!」

対象:中学生

狙い: これまで小学生に限定されていた若年層向けの活動を拡充。

「ネット犯罪の事件簿」

講師:金融広報アドバイザー

ワークショップ 「景気と金融政策を学ぼう!」

講師:日本銀行下関支店 総務課長

(8)

小学生向けセミナー「子供のためのお金教室

おかね博士になろう!」

対象:小学生

(9)

金融消費者教育セミナー

• 対象:教員、県市町教委職員、PTA関係者、金融広報アドバイザー等

中学生向け学習教材体験ワークショップ

「株式会社をつくろう!~ミスターXからの挑戦状~」

講師:日本証券業協会 金融・証券教育支援センター課長

鎌田 賢一郎氏

(2013.8.28)

講演「学校における金融教育の考え方・

進め方」

講師:北 俊夫氏(国士舘大学教授)

(2014.2.20)

(10)

y = 0.0068x - 26.377 R² = 0.6359 5 10 15 20 25 30 35 y = 0.0019x - 4.7947 R² = 0.2995 0 5 10 15 20 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 y = 3.0769x - 10116 R² = 0.7023 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

家計の都道府県別データ(消費実態調査)をみると、貯蓄残高や

有価証券のシェア・保有世帯比率は収入と密接に関係

(1) 貯蓄現在高と年間収入

(2) 貯蓄高に占める有価証券の割合と年間収入

(3) 有価証券を保有する世帯比率と年間収入

(年間収入、千円)

(年間収入、千円) (年間収入、千円)

(貯蓄現在高、千円)

(有価証券比率、%)

(有価証券保有

世帯比率、%)

2.地域別の

金融リテラシー分析

家計の収入と貯蓄残高

(11)

(参考)都市規模別データの定義

家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯)

大都市(20大都市)

札幌市・仙台市・新潟市・さいたま市・千葉市・東京都区部・横

浜市・川崎市・相模原市・静岡市・浜松市・名古屋市・京都市・

大阪市・堺市・神戸市・岡山市・広島市・北九州市・福岡市

中都市

20大都市を除く世帯数4万以上の市(調査対象167市)

小都市

世帯数4万未満の市(調査対象114市)

郡部

町・村(調査対象45町村)

全国消費実態調査報告(平成21年)

大都市

政令指定都市(札幌市・仙台市・さいたま市・千葉市・横浜市・

川崎市・新潟市・静岡市・浜松市・名古屋市・京都市・大阪市・

堺市・神戸市・広島市・北九州市・福岡市)及び東京都区部

中都市

人口15万人以上100万人未満の市(大都市を除く、141

市)

小都市(小都市A)

人口5万以上15万未満の市(379市)

市町村(小都市B・町村)

人口5万未満の市・町村(246市・219町村)

( )内は、調査報告書記載の正式名称

(12)

都市規模別・金融資産保有(1)

都市規模別にみると、世帯収入は大都市がやや高いが、貯蓄額には目立った差はみられない。金融資産の

内訳をみると、都市規模が小さくなるほど、①有価証券の割合が下がる、②生命保険の割合が高まる。

(1) 年間収入

(4) 貯蓄高に占める生命保険等の割合

(%) 500 550 600 650 700 750 大都市 中都市 小都市 市町村 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000

(2) 貯蓄現在高

0 5 10 15 大都市 中都市 小都市 市町村

(3) 貯蓄高に占める有価証券の割合

25 30 35 (万円) (千円) (%)

(13)

都市規模別・金融資産保有(2)

0 100 200 300 400 500 600 700 大都市 中都市 小都市 町村 (万世帯)

金融資産に占める預貯金の割合には目立った差がみられないが、都市規模が小さくなるほど、定期性預

貯金の割合が高まる。なお、世帯属性をみると、都市規模が小さくなるほど、世帯主年齢は上昇。

(参考1) 世帯主年齢

(歳)

(参考2) 世帯数分布(母集団分布)

(6) 預貯金全体に占める定期性

預貯金の割合

50 55 60 65 70 75 大都市 中都市 小都市 市町村 50 55 60 65 大都市 中都市 小都市 市町村

(5) 貯蓄高に占める預貯金の割合

20 25 30 35 40 45 50 55 大都市 中都市 小都市 町村 (%) (%)

(14)

中国地方の家計の金融資産・負債、収入

都県

金融資産

うち

預金

うち

生命保険

うち株式

投資信託

収入

東京都

1,349

(100)

808

(60)

324

(24)

111

(8.2)

807

(100)

広島県

1,314

(97)

757

(56)

393

(29)

65

(4.8)

719

(89)

岡山県

1,311

(97)

809

(59)

343

(25)

74

(5.5)

723

(90)

鳥取県

1,282

(95)

736

(55)

439

(33)

37

(2.7)

659

(82)

島根県

1,162

(86)

642

(48)

415

(31)

50

(3.7)

684

(85)

山口県

1,137

(84)

673

(50)

352

(26)

60

(4.4)

658

(82)

-2009年(万円、%)

( )内は東京の金融資産や収入を100とした場合の割合

(15)

家計の金融リテラシー①(家計管理・生活設計)

(出典) 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(二人以上世帯調査)。以後断りがない限り、同調査の2007年~13年の平均値を図示。 55 60 65 70 大都市 中都市 小都市 郡部

(1) 家計のバランス評価について、

「意識したことがない」の回答割合

50 60 70 80 90 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上

(参考)上記設問に対する年齢別の回答傾向

都市規模が小さくなるほど、家計の家計管理や生活設計に対する意識は低下

15 20 25 30 35 40 大都市 中都市 小都市 郡部 「たてている」 「立てるつもりはない」

(2) 「将来のことを考えて生活設計を立

てていますか」への回答結果

(%) (%) (%) 0 10 20 30 40 50 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 「立てている」 「立てるつもりはない」

(参考)上記設問に対する年齢別の回答傾向

(%)

(16)

家計の金融リテラシー②(情報収集活動)

(1) 望ましく思う金融知識・情報の提供主体

(2) 実際の金融知識・情報の入手先

20 30 40 50 60 70 80 10 15 20 25 30 35 40 大都市 中都市 小都市 郡部 金融の専門家から 家族・友人から 金融機関から(右目盛) (%)

金融情報の入手先をみると、大都市ほど、中立・公平性や専門性を重んじる傾向

(%) 20 30 40 50 60 70 80 10 15 20 25 30 35 40 大都市 中都市 小都市 郡部 「中立公正な団体から」 「金融の専門家から」 「金融機関から」(右目盛) (%)

(17)

家計の金融リテラシー③(金融機関の選択行動)

(注) 全国ベースで回答比率上位5位までの項目に基づき図示。 0 5 10 15 20 25 30 35 大都市 中都市 小都市 郡部 全国的展開 インターネット利用 手数料割安

取引金融機関の選択理由

(1)都市規模別に大きな

違いがなかった回答項目

(2) 都市規模別に違いが

目立った回答項目

20 30 40 50 60 70 80 90 大都市 中都市 小都市 郡部 近所にある 経営健全性

金融機関の選択理由をみると、都市規模が小さくなると、大都市ほど、

店舗網やインターネット取引の利便性、手数料などに敏感でなくなる。

(%) (%)

(18)

家計の金融リテラシー④(預金取引・関連行動)

(1)預金保険制度を

「全く知らない」の回答割合

10 15 20 25 大都市 中都市 小都市 郡部 20 40 60

(参考)上記設問に対する年齢別の回答傾向

都市規模が小さくなるほど、預金保険の認知度が低下し、資産保護活動にも消極的

(2)保有金融資産をより安全なものに

するためにとった行動

40 45 50 55 60 65 5 10 15 20 25 30 大都市 中都市 小都市 郡部 商品情報収集 他機関預替え 1千万以内分散 何もせず(右目盛) (%) (%) (%) (%)

(19)

家計の金融リテラシー⑤(投資スタンス)

0 5 10 15 20 25 30 35 大都市 中都市 小都市 郡部 元本割れ経験あり

(2) 運用資金の元本割れ経験の有無

0 10 20 30 40 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上

(参考)上記設問に対する年齢別の回答傾向

都市規模が小さくなるほど、投資商品の保有に消極的

0 5 10 15 20 70 75 80 85 90 大都市 中都市 小都市 郡部 全く保有しようとは思わない 一部は保有しようと思っている(右目盛) 0 5 10 15 20 70 75 80 85 90 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 全く保有しようとは思わない 一部は保有しようと思っている(右目盛)

(参考)上記設問に対する年齢別の回答傾向

(1) 「元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高

いと見込まれる金融商品の保有」に対する考え方

(%) (%) (%) (%) (%) (%)

(20)

(参考)金融情報へのアクセス方法

インターネットの利用状況

株式購入の決め手

5.5

3.1

2.9

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

政 令 指 定 都 市 を 含 む 都 道 府 そ の 他 の 地 方 山 口 県 (%)

日経新聞の朝刊普及率

0 10 20 30 40 50 ソーシャルメディア ニュースサイト

(%)

0 4 8 12 16 20 金融取引 特別区・政令指定都市・県庁所在地 その他の市 町村 山口県

(21)

(参考)家計のリスク選好度(都市規模別)

0 10 20 30 40 50 60 70 都 区 部 + 政 令 都 市 1 5 万 以 上 5 万 以 上 5 万 未 満 町 村 宝くじ非購入 行動パターン(リスク回避的)

都市規模別の家計のリスク選好度

(旧日本郵政公社調査)

(参考)左記設問に対する

年齢別の回答傾向

0 10 20 30 40 50 60 70 2 0 代 3 0 代 4 0 代 5 0 代 6 0 代 7 0 代 宝くじ非購入 行動パターン(リスク回避的)

リスク選好度をみると、年齢が上がるほど、リスク回避的

となっているが、都市規模別には目立った差異は窺われない

(%) (%) (出典) 旧・日本郵政公社郵政総合研究所「家計における金融資産選択等に関する調査」(第10回・平成18年調査)。「宝くじ」は、当選確率50%、売価 200円で、2,000円が支払われるものを想定して質問。リスク別行動パターンは、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」(リスク選好的)と「君子危うき に近寄らず」(リスク回避的)への共感度合いを0~10段階で自己評価。

(22)

家計の金融リテラシー⑥(自己責任原則)

(1)元本割れ経験に関する受け止め方

0 10 20 30 40 50 60 70 80 大都市 中都市 小都市 郡部 リスク理解・自己責任 自己理解不足 金融機関説明不十分 金融機関の勧誘 20 30 40 50 60 70 大都市 中都市 小都市 郡部 0 10 20 30 40 50 大都市 中都市 小都市 郡部 預金 株式 投信 金融派生商品

(2)金融取引に関する自己責任原則の受け

止め方(2004~2006年限定調査)

「自分で責任を

持つのは当然」

「自分で責任を持てと

言われても困る」

都市規模が小さくなるほど、自己責任原則に対する認識が低下

(%) (%) (%)

(23)

調査結果の特徴点

1.

地域別(都道府県別)にみた家計の貯蓄保有額や有価証券保有は、

収入と密接に関係(中国地方・山口県でも同様の傾向)。

2.

これに加え、都市規模別の金融資産構成をみると、都市規模が小さくなる

ほ ど 、 ① 有 価 証 券 比 率 の 低 下 と 生 命 保 険 等 の 比 率 の 上 昇 、

②預貯金のうち定期性預金比率の上昇、といった傾向が観察される。

3.

都市規模別の違いが生ずる背景には、①大都市と郡部における家計を

取り巻く生活環境の違い、②金融商品の提供者サイドである金融機関

ネットワークと地域経済との関わり方、など多面的な要素が影響している

可能性。

― 生活環境要因としては、①郡部における自家保有比率の高さ、②リビング

コストの安さ、③二世代・三世代同居などに伴う実質的な家族単位の違い、

④地域経済におけるコミュニティ意識の濃淡、などが考えられる。

4.

上記のように、生活環境の違い等を踏まえた金融リテラシー向上の

必要性を点検し、将来の生活リスクも展望しながら今後の金融教育の

あり方を考えていく必要。

(24)

ご静聴ありがとうございました。

参照

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