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鹿児島バークシャーの嗜好性に関する研究

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Academic year: 2021

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鹿児島バークシャーの噂好性に関する研究

田 島 真理子・川井田  博*

(1982年10月15日 受理)

Studies on Meat Quality of Kagoshima Berkshire by Sensory Test

Mariko Tatima, Hiroshi Kawaida

Ⅰ.拷 1=3 59 近年,食肉需要の増大, PSE筋1),2)などの異常肉の多発傾向等に伴ない,豚肉における肉質の評 価が,種々の側面から検討されてきている。評価方法としては,肉のpH,色素計による肉色, texturometerによる硬さの測定等,種々の方法が用いられているが,この他に人間の感覚によって 特性を明らかにする官能検査による方法3)がある.この官能検査については,調理科学の分野にお いては,調理法や材料配合割合が製品に及ぼす影響等多くの報告4 -6に見られるが,畜産原材料に ついて官能検査を行なった報告は,今泉らの豚肉の品質による調理性の差異についての報告7)及び 押田らの報告8)以外には見られないようである。 一方,鹿児島県畜産試験場養豚部においては,鹿児島バークシャーの肉質に関して研究を進めて いるが,川井田らはこの鹿児島バークシャーはPSE筋の発生がほとんどなく,鹿児島バークシ ャーがランドレース,ハンプシャ一に比べ胸最長筋における保水性にすぐれ,肉色においては先の 二者に比べ明るく淡い赤色をしており,叉,筋繊維については,背最長筋,大腿二頭筋でハンプシ ャ一,大ヨークシャー,ランドレースに比べ最も細いこと等を報告している8) 15)又,この鹿児 島バークシャーの味については,以前よりそのおいしさに定評があり,先の理化学的研究により, その理由が明らかにされつつある。そこで,本実験においては,この鹿児島バークシャーの味を総 合的に評価する一つの方法として官能検査法を用い,同時飼養したハンプシャ一,デュロックと比 較検討を行なった。 ⅠⅠ.夷 験 方 法 1.試   料 実験に用いた豚肉は,鹿児島県畜産試験場において粉末甘しょ配合飼料(表1)を授与したハン プシャ一,デュロック,バークシャーの三品種(屠殺時生体重,ハンプシャ←97.8kg,デュロッ ク98.0kg,鹿児島バークシャー95.2kg)で,屠殺後24時間冷蔵した後胸最長筋(ロース)約1 * 鹿児島県畜産試験場

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60 鹿児島バ-クシャ∼の噂好性に関する研究 表1.飼料の配合原料および配合割合 飼  料  名 l 配合割合 フ   ス   マ 脱 脂 米 糠 混 合 6 号 大  豆  粕 魚     粉 圧ペソ大麦(皮つき) iI 飼 料 名l配合割合 ピタミソ・ミネラルプ レミックス 炭酸カルシウム 食     塩 甘しょ(粉末) 計 0. 2596 0.55 0.50 50 注)混合6号;トウモロコシ9896,魚粉2% kgを採取した。 試料の調製方法は以下の通り行なった。 1)茄で豚 三品種のロース肉のそれぞれ前部分を用い,厚さ1cmのロース肉より脂肪部を除 き,沸騰水中にて10分間加熱し,加熱後5分以内に各10gづつの切片としてパネルに供した0 2)ポークソテー 各ロ-ス肉の中間部分を用い,厚さIcm (約50g)の肉に肉重量の1%の塩 で下味をつけ, 5分後に油焼きをした。加熱は表裏とも強火で30秒続いて弱火で3令,計7分間加 熱した。三品種の肉は同時に加熱を行ない,加熱後5分以内に各10gの切片としてパネルに供し m 3)焼き豚 各ロース肉の後部分を用い,肉  を糸で巻き,形を整え,ねぎ   生妻20g とともに調味液・(醤油40cc,酒20cc,砂糖IOg)に2時間つけ165-Cに調整したがガス天火の 網上で1時間焼いた。叉,途中つけ汁をかけたo加熱後3mmの厚さにスライスし,各5gの切片 としてパネルに供した。 豚 肉 の 官 能 検 査 3K3 これから2つの肉を示します 味、硬さについて両者を比較し、以下の評価の中から それぞれ該当する数字を記入して下さい 味 に つ い て 輝 き に つ い て + 2 先 に 味 わった万力領客か にお い しい + 2 先 に 味 わ っ た万 が 確 か に 硬 い + 1 先 に 味 わ っ た方 が 幾 分 お い■し い ■ + 1 先 に 味 わ っ た方 が 幾 分 硬 い 0 全 く同程 度 0 ■ 全 く同程 度 - 1 先 に 味 わ っ た方 が 幾 分 まず い - 1 先 に 味 わ っ た万 が 幾 分 軟 か い ー 2 先 に 味 わ っ た方 が 確 か に まず い ー 2 先 に 味 わ っ た方 が 確 か に 軟 か し■ー その他両者の違いがありましたら記入して下さい 図1官能検査用紙(部分)

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m 古 1 「 書 叩 -H   -  ∼ -コ =                           -            1     ト                                     1 ∵     バ   ・   -  1 J ・ -㌔ -p I :     ー     、 . ︼ / ∼ ー           -し 一 1 ・   -                            -      -1 よ ︰ ! ・ ・ ゾ ー ー             = U n L J                                             : 田 島 其理子・川井田  博    〔研究紀要 第34巻〕 61 2.官能検査 検査方法は,試験問の差を量的に表わすことのできるシェッフェSche鮎の方法16),")を用い, パネルは鹿児島大学女子学生(20-22歳) 12名とした。検査は,茄で豚,ポークソテー,焼き豚 の順序で行ない,それぞれについて,ハンプシャ- (以下Hと略す)-鹿児島バークシャー(以下 Bと略す), B-^H, H-デュロック(以下Dと略す), D-H, B-D, D-Bの順でテスtしたO試 料は,一対ごとにパネルに提示し,試食順序を指示した。検査項目は,茄で豚およびポークソテー では, 「おいしさ」, 「軟かさ」の2項目とし,焼き豚については, 「おいしさ」と「パサつき」の2 項目とした。焼き豚の「パサつき」については,予備試験において,焼き豚の場合, 「軟かさ」より 「パサつき」に差異が認められたために検査項目とした。検査用紙(部分)を図1に示す(ただ し,焼き豚においては, 「軟かさ」の項目を「パサつき」にかえた検査用紙を用いた)。評価は,そ れぞれの項目とも-2から+2までの5段階とした。

III.実験結果および考察

H,D,Bの三品種の豚肉を茄で豚,ポークソテー,焼き豚に調理して,その「おいしさ」, 「軟かさ」 (茄で豚,ポークソテーのみ), 「パサつき」 (焼き豚のみ)について比較検討した結果は以下の通り であった。 1)茄で豚 茄で豚においては,肉そのものの味を比較する目的で全く調味をせず,加熱操作のみを行なっ た。茄で豚の「おいしき」に関する評点の分布を表2に,また,その分散分析の結果を表3に示 表2. 「おいしさ」に関する評点分布表(茄で豚) \、\--\一、 評点 6:さl iZ5 組合せ一、・一 H→B B->H H-*D DーH BーD DーB -2    -      +1   +2    計 5     1     4      2 3      6      2     1 2      5      2      0      3 2      4      4      2 1     3      4      4 3      8     1 21    25 15      8 表3. 「おいしさ」に関する検査結果の分散分析表(茄で豚) 要   田l 平 方 和  自 由 度  不偏分数  分 散 比 主 効 果 組合せ効果 順序効果 誤   差 1.58 2.01 1.41 75. 00       66 0.79      0.69 2.01     1.77 0.47      0.41 1. 14 総平方和   80.00     72

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鹿児島バ-クシャ-の噂好性に関する研究 表4. 「軟かさ」の実験結果(茄で豚) -2     -1       +1    +2 H→B B -HH H→D D-*H BーD D-*B 秦 CO CNJ r-¥ LO "* CO N O t H C O O ) 計 c O H C O N   ^   ォ ) c o       " ^   t -H t H r -¥ 蝣 ^   c * -  o a >   c s i l o +   I i I   + + 表5. 「軟かさ」に関する検査結果の分散分析表(茄で豚) 困 主 効 果 組合せ効果 順序効果 誤   差 18. 78 1.69 2.44 86.09 不偏分数  分 散 比 (M H cO (0 6 総平方和  109.00     72 0 5   0 >   i -I O CO CO OO cO ●             ●             ●             ● O )   H O H ** 196危険率で有意差あり す。シェッフェの方法においては, F検定により主効果のみが有意であれば,試料問に差があると いえるが,もしもさらに組合せ効果や順序効果が有意であれば,組合せや順序が試料の革価に影響 をおよぼしているといえる。茄で豚の「おいしさ」については,主効果,組合せ効果,順序効果と もに有意差は認められず,したがって, H, B, Dを茄で豚にした場合,そのおいしさには差がない といえる.一方, 「軟かさ」については, (評点分布を表4に,分散分析の結果を表5に示す).表5 より,組合せと順序の効果は有異でなく主効果のみに危険率1%で有意差が認められた。そこで, H, B, Dの3試料間に差があるかどうか検討した結果, HB間, HD問に危険率1%で有意差が認 められたが, BD問には有意差が認められなかった。したがって,茄で豚の「軟かさ」については, B, DはHに比べ有意に軟かいと判定される。 以上のことより H, B, Dを茄で豚にした場合 B, DはHに比べ有意をち軟かいが,総合的おい しさとしては3着間に差はないと思われる。 2)ポークソテー H, B, Dをポ-グソテーにした場合の「おいしき」の評点分布を表6に,その分散分析の結果を 表7に示す。又, 「軟かさ」に関する評点分布,分散分析の結果をそれぞれ表8, 9に示す。 「おい しさ」については,主効果,組合せ効果,順序効果ともに有意となった。主効果に関しては, B, D, Hの順で好まれる傾向にあったが,組合せおよび順序が評価に影響をおよぼしていると思われ る。 「軟かき」については,主効果のみに1%の危険率で有意差が認められた。叉, HB間, HD 問, BD間のいずれにも有意差(1%危険率)が見られ, Bが最も軟かく,次いでDが軟かく, H

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田 島 真理子・川井田  博    〔研究紀要 第34巻〕 63 表6. 「おいしさ」の実験結果(ポ-クソテ-) 評点 三号=-:=\ -     ー1       +1 計 表7. 「おいしさ」に関する検査結果の分散分析表(ポークソテー) 要   因 f 平 方 和  自 由 度  不偏分散  分 散 比 主 効 果 組合せ効果 順序効果 誤   差 15. 75 4.50 14. 09 65.66 C S l r -i c O   < 0 6 総平方和  100.00     72 t>- o o o> OO U5 1> O) ● ● ● ▲ t > -  ^   " ^ <   O * 5%危険率で有意差あり   **  危険率で有意差あり 表8. 「軟かさ」の実験結果(ポ-クソテー) -2     -      +1    +2 \\、評点 組合せ\\ HーB B-H H-*D D->H B->D D・→B 9 2   2   1 4   3   2 i H L O " ^   c O C M * *   r H c O   * -i r -i t * t ^ -  t -H   -ォ r f <   t H 14     10     18     14     16 表9. 「軟かさ」に関する検査結果の分散分析表(ポークソテー) 計 要   因l 平 方 和  自 由 度  不偏分散  分 散 比 主 効 果 組合せ効果 順序効果 誤   差 59. 13 0:25 1.63 82.98 < M r -J c O t O 6 29. 57   23. 52** 0.25     0.20 0.54    0.43 1.26 総平方和  144.00     72 **  危険率で有意差あり が最も硬いという結果であった。 3)焼き豚 焼き豚については,すでに述べたように,予備検査の結果から「軟かさ」より「パサつき」につ

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64       鹿児島バークシャーの噂好性に関する研究 いてより差が認められたので, 「おいしき」と「パサつき」について官能検査を行なった。 「おいし き」についての評点分析,その分散分析結果を表10, 11に, 「パサつき」についての評点分布,そ の分散分析結果を表12, 13に示す。 「おいしさ」については,主効果,組合せ効果,順序効果とも に有意差は見られず H,B,D間に差はないと思われる。 「パサつき」については, HがB, Dに 表10. 「おいしさ」の実験結果(焼き豚) \-\ 評点 iiZI ! HーB B-*H HーD D→H B->D D->B -2     i       +1    +2 1 1 1 3 4 1     3 3     17 C O C O C O C O C M 6      2 2      3 6      2 6 4     1 4      2 28     10 義ll. 「おいしさ」に関する検査結果の分散分析表(焼き豚) 計 要   因 t 平 方 和  自 由 度  不偏分散  分 散 比 BKKM 鼠合せ効果 順序効果 誤   差 1.36       0.68 0.35       0.35 9.7       3.24 85.58      66      1.30 総平方和   97.00     72 表12. 「パサつき」に関する評点分布表(焼き豚) -2     -1       +1 H→B B->H HーD D・{H B->D DーB 2 2 1 1 N   ( N C O   < N I f )   C S l T P   < *   C O C O C O H i 6 計 N   ^   N I f l C O   ォ D M N   ( M H H c M O   ォ O r -i C O O   ォ 」 > + I + 表13. 「パサつき」に関する検査結果の分散分析表(焼き豚) 要   田 主 効 果 組合せ効果 順序効果 誤   差 平 方 和  自 由 度  不偏分散  分 散 比 2.78 0.89 3.16 95.17 総平方和  102.00 CM v-i cO CD 6 C f t C 3 5   L O   " * * CO OO ^3 ""^ ● ● ● ■ t H O r H r -i

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田 島 真理子・川井田  博    〔研究紀要 第34巻〕 65 比べパサついているという傾向は見られたが,主効果,組合せ効果,順序効果ともに有意差は見ら れなかった。 以上 H, B, Dの豚肉について,それぞれ茄で豚,ポークソテー,焼き豚に調理して三者の味の 比較を行なったが,茄で豚においては,そのおいしさに差は認められなかった。これは,調理法が 水煮という調味を伴なわない方法であったためにおいしさという点で比較を行なうことが難かしか ったのではないかと思われる。しかし,一方,軟かさについては,危険率1%で有意差が認められ ており, BはDと同程度にHより軟かいことが示された.又,ポークソテーでは,おいしさについ ては,組合せと順序に影響されてはっきりとした結果は得られなかったが,軟かさについては, B が最も軟かく,次いでDが軟かくHが最も硬いことがわかった。焼き豚においては,調味が強いこ とと供試肉が薄いものであることからおいしさについてはほとんど差は見られなかった。パサつき については,有意差は認められなかったが, HがB, Dに比べパサついた感触を与え B, Dは適 度な水分を含むという評価の傾向が見られた。これらのことより, Bは,おいしさにおいては, H, Dと比べ今回あまり顕著な差は認められなかったが, Hに比べ軟かい肉であると思われる。 Bは先 に述べたように以前よりその味に定評があるが,ここで得られた調理後の肉の軟かさも関係を持つ ものと思われる。又,今後,官能検査を通してその他の要因に関しても検討を要すると思われる。 ⅠⅤ.要     約 鹿児島県畜産試験場において飼養されたB, H, Dを茄で豚,ポークソテー,焼き豚に調理して その味を与ついて官能検査を行った結果は次の通りであった. 1.茄で豚においては B,H,D三者間においしさについて有意差は認められなかったが,軟か さについては B, DがHに比べ有意196 に軟かであった。 2.ボーグソテ-においては,おいしさでは,組合せおよび順序の影響の為に明らかな結果は得 られなかった。軟かさについては, Bが有意に軟かく,次いでD, Hが最も硬いことがわかった。 3.焼き豚においては,おいしさについて有意差は認められなかったが, HがB, Dに比べ,メ サついた感触を与える傾向が見られた。 終わりに,本実験に御協力をいただいた川畑礼子嬢,佐藤芳美嬢,湊 明美嬢に感謝します。 参 考 文 献 1)藤巻正生;日本養豚研究会誌3, 1 (1966) 2)星野忠彦他;酪農科研6, 236 (1973) 3)押田敏雄他;畜産の研究36, 958 (1982) 4)後藤芙三江;家政学雑誌164, 67 (1978) 5)永井萌江;今村ひとえ;家政学雑誌188, 553 (1980) 6)関 千恵子,貝沼やす子,家政学雑誌205, 228 (1982) 7)今泉雅子他;調理科学9, 106 (1976) 8)川井田 博他;鹿児島県畜産試験場研究報告9, 74 (1975)

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鹿児島バークシャ-の噂好性に関する研究 9)川井田 博他;鹿児島県畜産試験場研究報告10, 68 (1977) 10)川井田 博他;日本養豚研究会誌15, 22 (1978) ll)川井田 博他;日本養豚研究会誌15, 96 (1978) 12)川井田 博他;日本養豚研究会誌16, 13 (1979) 13)川井田 博他;日本養豚研究会誌16, 104 (1979) 14)川井田 博他;日本養豚研究会誌16, 240 (1979) 15)川井田 博他;鹿児島県畜産試験場研究報告12 (1980)

16) Scheffe H. ; J.Amer. Statis. As∝. 47, 381 (1952)

参照

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