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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

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Academic year: 2021

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(様式第9号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 Yasir Serag Alnor Mohammed

審 査 委 員

主 査 辻 本 壽 ◯ 副 査 小 葉 田 亨 ◯ 副 査 田 中 裕 之 ◯ 副 査 執 行 正 義 ◯ 副 査 明 石 欣 也 ◯

題 目 Leymus racemosus, a wheat wild relative is a potential source for wheat improvement for aluminum and heat stress tolerance

審査結果の要旨(2,000字以内)

本学位論文は、イネ科イチゴツナギ亜科の海浜植物、オオハマニンニク(Leymus racemosus)の染色 体をもつコムギ実験系統群をスクリーニングし、熱帯の酸性土壌で問題となるアルミニウム障害に耐 性を示す系統、さらに、高温条件下でも生育できる系統を選抜し、それらの耐性機構を解明する内容 を含んでいる。形質の調査は、日本とスーダンの圃場条件下、および砂漠シミュレータによる制御環 境下で行われ、また研究室内での遺伝・生理学的調査も行われた。得られた結果に基づき、ストレス 条件下でのコムギ生産について考察されており、基礎および応用の両面において深く研究がなされて いる。本研究は、今後の食糧生産に重要な知見と育種材料、方法を提供するものである。

本論文は、3つの章から構成されており、各章とも平易な英文で記されている。第1章では、酸性 土壌で問題となるアルミニウム障害について研究がおこなわれた。まず、通常系統を用いた条件検討 で選抜条件を設定した後、染色体添加系統群からアルミニウム障害に耐える系統を見いだした。その 耐性機構を解明するため、アルミニウムの取り込み、酸化ストレス、細胞膜の状況を調査した結果、

細胞膜からイオンの漏洩のないことが耐性に大きく関係することを明らかにした。

第2章では、同じ染色体添加系統群を日本の圃場および人工気象機、さらにスーダンの2つの栽培 条件下において栽培し、高温に耐性を示す系統や高温条件下で高い収量ポテンシャルを示す系統を選 抜した。また、生産現場での高温耐性が人工気象機内の簡単な試験により検査できることを明らかに した。この研究には、石油を産する南スーダンが独立し、スーダンが外貨不足のためコムギを輸入で きなくなったという背景があり、同国における高温環境におけるコムギ生産の飛躍的な拡大が求めら

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れていた。コムギの遺伝子プールの中には高温耐性遺伝子が、ほとんど見いだされていないが、この 研究ではオオハマニンニク染色体添加系統の中には高温耐性を示すものがあることがわかり、同国の みならず高温地域でコムギ生産をするための新たな遺伝資源として注目できる。

第3章は、第2章の研究の過程で見いだされた3系統の早熟性の原因を分子生物学的に解明した内 容である。研究の結果、これらの系統の早熟性は2A染色体の春化要求性遺伝子vrn-A1の突然変異に よる春化の非要求性が原因していることが解明された。その突然変異はいずれの系統もプロモータ領 域に 220 塩基対と 131 塩基対の挿入をもっていた。配列解読により、これらの変異は既存の春播性コ ムギに存在する配列と類似のもので、添加系統の作製系譜から考えて、同じゲノム再編成が複数回起 こっていたと考えられた。ゲノム再編成の分子的原因については解明されなかったが、秋播性コムギ を高温下で栽培すると春播性が頻繁に現れるという内容であり、大きな発見につながる事象を見いだ したと判断できた。

これらの研究のうち、第 1 章および第 2 章に相当する部分を含む論文は、すでに、日本育種学会発 行の学術雑誌「Breeding Science」に受理され、第 1 章の論文は 2013 年 12 月に刊行された。また 3 章の部分も独立した論文として完成度が高く、すぐに投稿できる状態である。

以上のように、本論文の研究は、ストレスの大きい乾燥地に適応できるコムギ品種を開発するため に重要な知見含み、また重要な育種法や育種素材を提示しており、学位論文として十分な価値を有す るものであると判定した。

参照

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