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学位論文題名A Study on Evolution of Forest Acts and Community Forest R/Ianagement in R/Iiddle Hills of Nepal

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) ア ニ タ マ ナ ン ダ ー ル

    

学位論文題名

A Study on Evolution of Forest Acts and Community     Forest R/Ianagement in R/Iiddle Hills of Nepal

    ( ネ パ ー ル に お け る 森 林 法 の 展 開 と コ ミ ュ ニ テ イ ー に よ る 森 林 管 理 に 関 す る 研 究 )

学位論文内容の要旨

  本論 文は8章か ら構 成さ れて おり 、図19、表41、参考文献76と付録7を含む総頁数199 の英文論 文であり、別に参考論文4編 が添えられている。

  日本と 韓国を除くアジア諸国では森林国有が通常の形態であり、森林は中央政府の森林 官によって管理されている,。しかし国有林が設定される以前に農民が居住していたり、中 央政府の 限られた予算と森林官では充分な管理ができない場合が多く、森林の国家管理に は様々な 問題が指摘されている。これに代わるものとして注目されているのがコミュニテ イーによ る森林管理である。

  本研究 は、世界に先がけてコミュニテイーによる森林管理を推進しているネパールを対 象に、ど のような経緯をへて森林法が私有林の国有化からコミュニテイーによる森林管理 を規定す るに至ったのかを分析するとともに、立地条件の異なる2つの地区と農民に対す る詳細な 聞き取り調査を実施して、コミュニテイーによる森林管理の現状とその仕組みを 明らかに することを課題にしている。

  第2章では研究方法として資料収集 と調査地に対する聞き取り調査を重視する実証的な 方法を採用することとし、調査国であるネパールについて一般概況を述べている。ネパール の 人口 は2,236万人であり、年間の人口増加率は2.3%である。一方、森林面積は552万 haであり 、それは国土面積の37.4%を占めている。森林減少はネパールの低地帯であるタ ライ地方 を中心に進行しており、最新の情報では同国の森林率は29.0%に過ぎないといわ れている 。なお調査地が立地しているネパール中部では森林減少よりも森林の質的低下が 問題であ る。

  第3章 では 第2次世界大戦以降の森林法の展開を分析した。1957年に制 定された私有林 国有化法 は封建支配層によって領有されていた森林を国有化し、国家の財源として利用す ることを めざしたものである。1961年に制定された森林法は国有林の境界を明確にする権 限を森林 官に与えるとともに、農民が許可なくして国有林を利用することを禁じている。

こうしてネパールの森林は国有化されたが、中央政府の予算と森林官が限られていたので、

国有化を 実質化することは困難であった。農民は逆に従来の利用権が制限されることを恐

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れ て、森林を過剰に利用しはじめたので、森林国有化によって森林荒廃が促進されるとい う 事態が生じたのである。このような状況に直面した中央政府は1977年に森林法を一部改 正 して、パンチャーヤット保護林制度を新たにっくり、地方組織であるパンチャーヤット に 国有林の管理権を移譲することとした。しかしパンチャーヤットの区域と実際の森林利 用 者の居住地とが食い違っていたことなどから、管理権の 移譲は1990年までに36,OOOha ほ どしか進まなかった。こうしたことから中央政府は1993年に森林法を改正して、実際の 森 林利用者グループに森林管理権を移譲して、森林保全を実行することとして、コミュニ テ イーによる森林管理を本格的に推進することとした。

  4章 では コミュニテ イーによる森林管理の現状を分析した。2000年7月現在、9,870 の 森林利用者グループが認定されており、約748,OOOhaの国有林が利用者グループに管理 権 が移譲されている。なおコミュニテイーによる森林管理 の対象地は350万haほどあると さ れており、今後の展開が期待される。

  第5章ではカトマンズに隣接 しているスントール地区を対象として実施した聞き取り調 査 の結果を分析した。スントール地区の人口は4,166人で あり,その森林面積は451ヘク タ ールであるが、同地区がカトマンズに隣接しているので、1960年代以降国有林として管 理 されてきた。そのために2人 の保護員が配置されたが、薪材採取や採草を禁止すること は 出来なかった。こうして1980年代の末までに森林の荒廃が進んだので、コミュニテイー に よ る森 林管 理を実施することとした。スントール 地区では1994年から1997年にかけて 7つ の森 林利 用者グルー プが認定され、430haの国有 林の管理権が移譲されている。それ ぞ れの森林利用者グループは森林経営案を作成しているが、スントール地区の森林は荒廃 が 進んでいるので、飼料の採取と用材の伐採を禁止している。一方、時期を限定して入林 を 許可しており、使用料をとって薪材の採取や敷き藁用の採草を認めていることが注目さ れ る。

  6章 では カト マン ズか ら65km離れ た交通の不便 なパルーン地区を対象として実施し た 聞き取り調査の結果を分析した。パルーン地区の人口は6,454人であり,その森林面積 は679haである。同地域はカト マンズから遠距離にあるので、森林は国有林であったもの の 、保護員の配置はおこなわれず、農民の利用に委ねられてきた。森林の荒廃もそれほど 進 んでいなかったものの、1993年に発生した大洪水を契機に、コミュニテイーによる森林 管 理を実施することとした。パルーン地区では3つの森林利用者グループが認定され、そ の 面積は64haである。その他に現在、認定を申請中のグル ープが5グループある。パルー ン 地 区の 森林 利用規制をみると、薪材の採取は1週間に2度程度に制限されているが、使 用 料は科せられていないのが特徴である。しかし家畜の飼料の採取はそれカミ生きた枝の採 取 にっながるとのことで、禁止されている。

  7章 と第8章ではスントール地区とパルーン地区 の森林管理と規制面における類似点 と 相違点を総括するとともに、地域資源・環境である森林管理の方法としては森林利用者 グ ループに森林管理権を移譲した、コミュニテイーによる森林管理が望ましいと結論付け て いる。中央政府の役割として技術指導や造林面での財政援助の点で積極的な機能発揮が 期 待されるとしている。

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学位論文審査の要旨 主査

  

教授

  

石 井

  

寛 副査

  

教授

  

新 谷

  

融 副査

  

教授

  

長 南史男 副査   助教授   柿澤宏昭

    

学位論文題名

A Stucly on Evolution of Forest Acts and Community     Forest h/Ianagement in IVIiddle Hills of Nepal     

( ネ パ ー ル に お け る 森 林 法 の 展 開 と

    

コミュ ニテイー による森 林管理に関する研究)

  本 論文は8章か ら構成さ れており 、図19、 表41、参 考文献76と 付録7を含む総頁数199 の英文論文であり、別に参考論文4編が添えられている。

  本研究は、世界に先がけてコミュニテイーによる森林管理を推進しているネパールを対 象に、どのような経緯をへて森林法が私有林の国有化からコミュニテイーによる森林管理 を 規定する に至っ たのかを分析するとともに、立地条件の異なる2つの地区と農民に対す る詳細な聞き取り調査を実施して、コミュニテイーによる森林管理の現状とその仕組みを 明らかにすることを課題にしている。

  2章で は研究 方法として資料収集と調査地に対する聞き取り調査を重視する実証的な 方 法 を 採用 す る こと と し 、調 査 国 であ る ネ パー ル に つ いて 一 般 概況 を述べ ている 。   3章で は第2次世界 大戦以降 の森林 法の展開 を分析した。1957年に制定された私有林 国有化法は封建支配層によって領有されていた森林を国有化し、国家の財源として利用す ることをめざしたものである。1961年に制定された森林法は国有林の境界を明確にする権 限を森林官に与えるとともに、農民が許可なくして国有林を利用することを禁じている。

こうしてネパールの森林は国有化されたが、中央政府の予算と森林官が限られていたので、

国有化を実質化することは困難であった。逆に農民は従来の利用権が制限されることを恐 れて、森林を過剰に利用しはじめたので、森林国有化によって森林荒廃が促進されるとい う事態が生じた。このような状況に直面した中央政府は1977年に森林法を一部改正して、

パンチャーヤット保護林制度を新たにっくり、地方組織であるパンチャーヤットに国有林 の管理権を移譲することとした。しかしパンチャーヤットの区域と実際の森林利用者の居 住 地とが食 い違っ ていたことなどから、管理権の移譲は1990年までに36,OOOhaほどしか 進まなかった。こうしたことから中央政府は1993年に森林法を改正して、実際の森林利用     ‑ 60

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者グループに森林管理権を移譲して、森林保全を実行することとして、コミュニテイーに よる森林管理を本格的に推進することとした。

  第4章ではコミュニテイーによる森林管理の現状を分析した。2000年7月現在、9 870 の森林利用者グループが認定されており、約748,OOOhaの国有林が利用者グループに管理 権が移譲されている。

  第5章ではカトマンズに隣接しているスントール地区を対象として実施した聞き取り調 査の結果を分析した。スントール地区の人口は4,166人であり,その森林面積は451ヘク タールであるが、同地区がカトマンズに隣接しているので、1960年代以降国有林として管 理されてきた。そのために2人の保護員が配置されたが、薪材採取や採草を禁止すること は出来なかった。こうして1980年代の末までに森林の荒廃が進んだので、コミュニテイー による森林管理を実施することとした。スントール地区では1994年から1997年にかけて 7つの森林利用者グループが認定され、430haの国有林の管理権が移譲されている。

  第6章ではカトマンズから65km離れた交通の不便なパルーン地区を対象として実施し た聞き取り調査の結果を分析した。パルーン地区の人口は6,454人であり,その森林面積 は679haである。同地域はカトマンズから遠距離にあるので、森林は国有林であったもの の、保護員の配置はおこなわれず、農民の利用に委ねられてきた。森林の荒廃もそれほど 進んでいなかったものの、1993年に発生した大洪水を契機に、コミュニテイーによる森林 管理を実施することとした。パルーン地区では3つの森林利用者グループが認定され、そ の面積は64haである。

  第7章と第8章ではスントール地区とパルーン地区の森林管理と規制面における類似点 と相違点を総括するとともに、地域資源・環境である森林管理の方法としては森林利用者 グループに森林管理権を移譲した、コミュニテイーによる森林管理が望ましいと結論付け ている。中央政府の役割として技術指導や造林面での財政援助の点で積極的な機能発揮が 期待されるとしている。

  以上,本研究はネパールにおいて私有林の国有化からコミュニテイーによる森林管理に 至る森林法の展開過程を明らかにするとともに,コミュニテイーによる森林管理の現状と 仕組み,問題点を実証的に解明して,途上国における森林政策について多くの新しい知見 を見出している。よって審査員一同は,アニタマナンダールが博士(農学)の学位を受 けるのに十分な資格があると認めた。

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参照

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