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学位論文題名 Establishment of novel animal model forHumanT―cell Leukemia Virus Typelinfection ・ I uslnghumanCRMltranSgenlCratS

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 高 柳    見

     学位論文題名

    Establishment of novel animal model for HumanT ― cell Leukemia Virus Typelinfection      ・   I

    uslnghumanCRMltranSgenlCratS

     (ヒトCRM1 トランスジェニックラットを用いた 新規ヒト自血病ウイルスI 型感染動物モデルの樹立)

学位論文内容の要旨

  ヒ ト白 血病 ウイ ルス1型(Human T‑cellleukemia virus type l:HTLV‑1)は成人T細胞 白 血 病(ATL)やHTLV‑1関 連 脊 髄 症(HAM/TSP)の 原 因 と な る レ ト ロ ウ イ ル ス で あ る 。 全世界でおよそ2000万人の感染者がいると 推定されており、日本においても120万人が感 染し てい る。HTLV‑1の感染経路は主 に母乳を介する母子感染であり、他にも精液を介す る水平感染や輸血による感染が知られてい る。HT LV‑1感染者の2‑3%が50‑60年という長 い潜 伏期 間を 経てATLを発症するが、その機序は不明である。ま た、ATLは高カルシウム 血症や免疫不全を併発し、既存の抗癌剤に対して抵抗性であるため予後が不良となる場合が 多い 。現 在、ATLの 発症 機序 を解 明し 、治 療法を開発するためにHTLV‑1感染動物モデル の構 築が 望ま れている。ラットは飼 育が容易で遺伝子操作が可能である事からHT LV1感 染動物モデルの有カな候補である。本研究 では HTLV‑1感染ラットモデ ルの構築を目的と して以下に示す3つのテーマについて取り組んだ。

(1) ヒ トCRM1ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク くTg)ラ ッ ト に お け るHTI」V‑l増 殖 の 解 析

【目 的と 意義 】ラ ットにおけるHTLV‑1の増殖はヒト に比べて著しく悪い。本研究室では こ の 原 因 が ヒ ト CRMl(hCRMl)の 持 つ env/gag mRNAの 核 外 輸 送 能 を ラ ッ ト CRMl(rCRMl)が欠 くこ とに あ るこ とを 示し てき た。 そこ で、HT LV‑1感 染小動物モデル の構 築を 目的 とし て、hCRMl Tgラッ トを 作製 し、T細胞におけるHTLV‑1の増殖をexd vo で検討した。

【材 料と 方法 】Tgラッ トに おけ るhCRMlの 発現はウ エスタンブロット法により調べた。

Tg及 び 野 生 型(Wt)ラッ トのT細 胞にHTLV‑1を感 染さ せ不 死化 させ るこ とに よりIL‑2依 存的な増殖を示す15の細胞株(Wt:6,Tg:9)が得られ、このうち10細胞株(Wt:3,Tg:7)につい て はIL‑2非 依 存的 に培 養し た。 各細 胞株 にお けるHTLV‑1の 増殖 はELISA法 を用 いた 培 養 上 清 中 のp19 gagの 定 量 、 及 びHTLV‑1 Gag及 びEnv特 異 的 抗 体 を 用 い たFACS解 析 により評価した。

【 結 果 】hCRMlを 発 現 す るTgラ ッ ト に お い て 、hCRMlは 内 在 性 のrCRMlと 同 様 の 発 現 パ タ ー ン を 示 し た 。FACS解 析 の 結 果 、 全て のhCRMl Tg細 胞株 にお いてp19Gagの 産 生 を 認 め た の に対 し、 全て のWt細胞 株で はGagの生 産は 認め られ なか った 。一 部のTg ラッ ト由 来の 細胞 ではgp46 Envの発 現も 見ら れた 。ま た 、Tg細胞 株はWtのものに比べ 培養上清中に100‑1000倍のp19を生産した。  .

【 結 論 と 考 察 】hCRMlを 発 現 さ せ る こ と によ り、 ラッ トT細 胞に おけ るHTLV‑1の複 製 が亢 進し た。TaxやRexの産生はどの細胞株において も有意な差が見られないのに対し、

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(2)

細 胞内及び 培養上 清中のGag産生がTgラット 細胞株に おいて 有意に上 昇していることか ら 、hCRMlがunspliced formのmRNA輸 送 に 機 能 しHTLV‑1の 複 製 に 寄 与 して い る も の と 考 えら れ る 。本 研 究 によ りhCRMl Tgラット がHTLV1感 染小動 物モデル になり うる 可能性が高いことが示された。

(2)Foxp3及びCTLA‑4発現HTLV‑1感染ラット細胞の機能解析

【 目的と意 義】制 御性T細胞は転 写因子 であるFoxp3の発 現を特徴 とするT細胞の亜集団 で ある。こ れらのT細胞は免疫抑制機能を有しており、免疫寛容の維持に機能している。

近 年 、ATL細 胞に お け る制 御 性T細 胞 の 関連 分子であ るFoxp3やCTLA‑4の発現 亢進が 報 告 されてお り、病 態との関 わりが示 唆され ている。本研究ではHTLV‑1感染ラット細胞株 を 用 い て 制 御 性T細 胞 関 連 分 子 の 発 現 と 免 疫 抑 制 機 能 と の 関 連 を 検 討 し た 。

【 材 料 と方 法 】IL‑2依存 性 及 び非 依 存 性の 増殖を示 す9及 び13種類 のHTLV‑1感染 ラッ ト 細胞株を 用いた 。Foxp3の発現はRT‑PCR法及ぴウエスタンブロット法により確認した。

各 細胞株の 抑制機 能を評価 するため 、CFSEラベ ルした ラット脾 臓T細 胞と共培養し、抗 CD3抗 体 に よ る 増 殖 刺 激 後3日 に お け るCFSE強 度 をFACS解 析 に よ り 測 定 し た 。

【 結 果 】解 析 に 用い た22細 胞 株 のう ち それ ぞれ10細 胞株にお いてFoxp3及びCTLA‑4の 発現を認めた。Foxp3発現はIL‑2依存性の細胞株において非依存性の状態よりも高かった。

Foxp3お よ ぴCTLA‑4発 現 細 胞 株 に お い てT細 胞 の 増 殖 抑 制 機 能 が 確 認 さ れ た 。

【 結 論 と 考 察 】 本 研 究 に よ り 制 御 性T細 胞 関 連分 子 で あるFoxp3及 びCTLA‑4発 現 と HTLV‑1感 染細胞 株による 免疫抑制 機能と の関連が示唆された。このことはヒトとラット HTLV‑1感 染モデ ルの相同 性をさら に示し ている. 今後の 研究によ り生体 内におけるATL の 発症や病 態と制 御性T細胞関連 分子の 発現との 関連が 明らかに なる事が 期待される。

(3)ラットにおけるHTLV‑1母子感染の解析

【目的と 意義】母 乳を介 する母子 感染はHTLV‑1の主要な感染経路である。日本では断乳 による新生児への感染防止が試みられ成果を上げているが、完全には感染を防止出来なぃ。

又,母乳育児には多くの利点があり、断乳は多くの問題を抱えている。動物モデルを用いて HTLV‑1の母児感 染を再 現するこ とが可 能となれ ば、新たな感染防御法の開発にっながる ことが期 待される 。本研 究ではラ ットモ デルを用 いて母子間のHTLV‑1感染を明らかにす る事を試みた。

【材料と方法】妊娠前、又は妊娠中のラットに対しHTI亅V‑l感染ラット細胞株を経口若し くは経腹 腔で接種 した。 さらに、 感染ラ ットより 生まれたFl世代を交配しF2世代を作出 した。こ れらの感 染ラッ トより乳汁の採取を行った。HT LV‑1感染を評価するためラット 血漿 中 のp19GagをELISA法に て 、 末梢 血 及 び 乳汁DNA中 の プ ロウ イ ル スをNested PCR 法に て 検 出し た 。 乳汁 中 のHT LV‑1特 異的 抗 体 の 検出 に はPA法 を 用い た 。Cell‑free HTLV‑1感 染 系 を 用 い て ウ イ ル ス 感 染 に 対 す る 乳 汁 の 影 響 を 評 価 し た 。

【結果】 感染ラッ トより 生まれた、又は授乳を受けた同腹子群のラットにおいてp19 Gag 及びHTLV‑1プロ ウ イルス が検出 された。HTLV‑1感染はF2世代に おいても 確認され た。

経腹 腔 でHTI」V‑l感 染ラ ッ ト 細胞 株 を 接種 し た ラ ット よ り 得ら れ た 乳汁 中にお いて HTI」V‑lプロウ イルス を検出し た。こ れらの乳 汁中にはHTLV‑1特異的抗体も検出され、

抗 体 を 含 む 乳 汁 は 量 依 存 的 に cell‑freeウ イ ル ス の 感 染 を 阻 害 し た 。

【結論と 考察】本 研究に よルラッ トにお いても母 子感染がHTLV‑1の自然な伝播経路であ る事、母乳を介する感染が起こっている可能性が示唆された。また、乳汁中への移行抗体が ウイルス の感染防 御に関 与している可能性が示唆された。今後ラットに茄けるHT LV‑1母 子感染の詳細を明らかにする事により、新たな母子感染の防御法の発展にっながる事が期待 される

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(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

    Establishment of novel animal model for HumanT − cell Leukemia Virus Typelinfection      ●   ●

    uslnghumanCRMltranSgenlCratS

     (ヒトCRM1 トランスジェニックラットを用いた 新規ヒト自血病ウイルス I 型感染動物モデルの樹立)

  本 論文では ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV―1)の増殖を促進するヒトの因子であるhuman CRMl (hCRMl)を発現す るトラ ンスジェ ニックラット(Tgラット)を用いた種々のHTLV―1感染モ デ ル を 樹 立 す る 事 を 目 的 と し て 、 3つ の テ ー マ に つ い て 研 究 を 行 っ た 。   ラ ットにお けるHTLV−1の増 殖がヒ トに比べて悪い原因として、hCRMlの持つenv/gag mRNAの 核外輸送能をラットCRMl (rCRMl)が欠いている事が明らかとなっている。この知見を元にHTLV―1 感 染小動物 モデル の改良を 目的と してhCRMl Tgラットが樹立された。hCRMl Tgラットにおける CRM1の 発現を ウエスタ ンブロッ ト法に より解析したところ、hCRMlの発現は内在性のrCRMlと同 様 で あった。 次にhCRMl Tgラ ットT細胞に おけるHTLVー1の 増殖を解 析する ために、Tg及びwt ラ ット由来 のT細胞をHTLV−1により不死化し、HTLV一1感染ラット細胞株の樹立に成功した。こ れ らの細胞 株にお けるHTLV―1Gag産生をELISA法及びFACS解析により測定したところ、hCRMl Tg ラ ット由来 の細胞 株におい てはwtラ ット由来 のもの に比べ有 意に高いGag発現が認められた。

  制 御性T細胞は 免疫抑制 機能を 有するT細胞の亜集団である。近年、ATL細胞において制御性T 細胞の関連分子であるFoxp3やCTLA―4の発現が報告されており、機能的な相関が示唆されている。

HTLV―1感染 ラット 細胞株に おける 制御性T細胞関 連分子 の発現を 調べたところFoxp3は18細胞 株 中9細 胞株に おいて、CTLAー4は19細胞株 中10細胞株において発現が確認された。次に各細胞 株のT細胞増殖抑制機能を評価したところ、解析に用いたFoxp3+/CTLA―4+である3細胞株の全て、

Foxp3またはCTLAー4を発現し ている6細胞 株中3細胞株 においてT細 胞の増殖抑制機能が確認さ れた。一方解析に用いたFoxp3―ICTLA―4ーである3細胞株においてはT細胞の増殖を抑制したかっ た 。これら の結果 より制御 性T細 胞関連 分子であるFoxp3及びCTLA―4発現とHTLV―1感染細胞株 による免疫抑制機能との関連が示唆された。

  母乳を介する母子感染はHTLV―1の主要な感染経路であり、動物モデルを用いてHTLV―1の母児     ―284−

利 藏

壽 賢

田 田

志 高

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

感染を再現することが可能となれば、新たな感染防御法の開発にっながることが期待される。そ こで、本論文ではラットモデルを用いて母子間のHTLV−1感染を明らかにする事を試みた。HTLV―1 感染ラットより生まれた、又は授乳を受けた同腹子群のラットに対してHTLV←1の検出を試みた結 果、各群内のラットにおいて血漿中p19 Gag及びHTLVー1プロウイルスが検出される事を確認した。

さらに、経腹腔でHTLV一1感染ラット細胞株を接種したラットより得られた乳汁中においてHTLV―1 プロウイルスを検出した。これらの乳汁中にはHTLV‑1特異的抗体も検出され、抗体を含む乳汁は 量 依存的にcellーfreeウイ ルスの 感染を阻 害した 。これに よルラ ットにお いても母子感染が HTLV‑1の自然な伝播経路である事、母乳を介する感染が起こっている可能性が示唆された。また、

乳 汁 中 へ の 移 行 抗 体 が ウ イ ル ス の 感 染 防 御 に 関 与 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。   発表後、高田賢三教授よルラット細胞に対するHTLV―1の侵入効率やT細胞抑制機能を示したラ ッ ト細胞株とヒト制御性T細胞との比較についての質問があった。また、今村雅寛教授よルヒト では稀な例であるHTLV―1経胎盤感染がラットにおいて多く見られる理由と、中和抗体を含む乳汁 を授乳された同腹子においてもHTLV―1感染が見られた理由についての質問があった。最後に志田 壽利教授よりHTLV‑1感染ラットモデルの現状と展望についての質問があった。申請者はそれぞれ の質問に対し現在までに得られている実験結果をふまえ自身の考えと今後の展望を述べた。質疑 に対する応答は概ね妥当だった。

  こ の論文はhCRMl TgラットのHTLV―1感染動物モデルとしての有用性を示した点、またヒトの 場合で報告されているHTLV―1感染細胞と制御性T細胞との機能的な相関や母乳中におけるプロウ イルス及び移行抗体の存在をラットモデルにおいても示した点が高く評価され、今後ラットモデ ルが治療と予防法開発や、生体内におけるATLの病態やHTLV―1感染機構の解明に役立っことが期 待される。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども併せ申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

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