• 検索結果がありません。

ヒト末梢血における

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ヒト末梢血における"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 医 学 ) 岩 崎 沙 理

学 位 論 文 題 名

ヒト末梢血におけるCD8 陽性単球の解析 学位論文内容の要旨

【背景と目的】

  CD8はCD8aお よ びCD8f3が ジ ス ルフ ィド 結 合し たへ テロ ダイ マー ,も しく はCD8aの ホモ ダイ マー とし て存 在す る膜 型糖 蛋 白質 で, 主に 細胞 傷害 性T細胞(CTL)に発 現して いる。我々は,全血に抗CD8a抗体を添加し,溶 血後に行ったフ口ーサイトメトリー(FCM) にお いて ,健 常人 末梢 血の 単球 中にCD8a陽 性細 胞(CD8陽 性単 球)を見出した。 単球中 に占めるCD8陽性単 球の割合には個人差が見られ,その割合は多い人では30%に達した。

CD8陽 性 単 球 に お い てCD8のmRNA発現 は確 認 され ず, 加え て, 血清 や細 胞の 分離 操作 によ り,CD8陽性単球の検出率は低下した。これらの ことから,単球上に検出されるCD8 は単球自身が産生したものではなく,他の血球由来であると推察された。本研究では,CD8 陽 性 単 球 が 検 出 さ れ る ヌ カ ニ ズ ム の 解 明 を 目 的 と し て 検 討 を 行 っ た 。

【材料、方法および結果】

1.CD8陽性単球の発見

  健 常人 末梢 血全 血に 抗CD14抗体 と抗CD8a抗体 また は抗CD8p抗体 を反 応さ せ,溶血後 にFCMを 行 っ た 。CD14陽 性 の 単 球 中 に ,CD8陽 性 細 胞 を 確 認 し た 。CD8陽 性単 球の 多 くはCD8p陽性であった。

2.RT‑PCR

全 血 か らCD8陽 性 単 球 とCD8陰 性 単 球 , リ ン バ 球 を そ れ ぞ れ 分 取 し ,CD3e,CD8a, CD8p,CD14の 遺 伝 子 発 現 を 検 討 し た 。CD8陽 性 単 球 に お い て ,CD8aとCD8pのmRNA 発現は認めず,単球上に検出されるCD8は,単球自身が産生したもので はなく,他の血球 由来であると考えられた。

3,血清の関与

A)全 血 に 抗CD8a抗 体 を 添 加 後 溶 血 さ せ た サ ン プ ル と ,PBMCを 分 離 し ,PBSに 浮遊 さ せた状態で抗体を反応させたサンプルにつ いて,CD8陽性単球の割合を 比較した。前者に 比べ て後 者で はCD8陽性単球の割合が低 下し,CD8陽性単球の検出に 血清が必要であるこ とが示唆された。

B) CD8陽 性単 球の 割合 の高 い 個体 およ び低 い個 体の 血液 を用 いて ,血 清お よびPBMCを 分 離 し て 入 れ 替 え ,CD8陽 性 単 球 の 割 合 を 比 較し た。PBMCをCD8陽 性単 球 の割 合の 高 い個 体の 血清 に浮 遊さ せた場合にCD8陽 性単球の割合が高く検出され,CD8陽性単球は血 清依存的に検出されることが示された。

4.可溶性CD8 (sCD8)の関与について

A)6検 体の 血液 につ いてCD8陽 性単 球を 検出 し, 併せ て血 清中 のsCD8濃 度を 測定した。

CD8陽 性 単 球 の 割 合 と 血 清sCD8濃 度 と の 間 に 相 関 は 見 ら れ な か っ た 。 B) PBMCをsCD8低 値 の 血 清 , ま た はsCD8高 値 の 血 清 に 浮 遊 さ せ ,CD8陽 性 単 球 の 割 合 を 比 較 し た 。sCD8高値 の血 清にPBMCを浮 遊 させ た場 合にCD8陽性 単球 の 割合 は増 加 せず,血清中のsCD8とCD8陽性単球との関連性は否定された。

5,Tリンパ球の関与につしゝて

A) CD14陽 性の 単球 のみ を分 離し たサ ンプ ルで は,CD8陽 性単 球の 検出 率は 低下した。

184

(2)

CD8陽 性 単 球 の 検 出 に は 他 の 細 胞 の 存 在 が 必 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 B)全 血 か らPBMC,CD14陽 性 の 単 球 ,CD3陽 性のTリン バ球 をそ れぞ れ分 離し た。PBMC をサンプルとし たもの,Tリンパ球と分離培 養した単球をサンプルとしたもの,Tリンパ球 と混合培養した 単球をサンプルとしたものにつしゝて,CD8陽性単球の割合を比較した。単 球 とTリ ンパ 球の 接触 を阻 害し た分 離培 養では,CD8陽性単球の割合が低下した。CD8陽 性 単 球 の 検 出 に は , 単 球 と Tリ ン パ 球 の 接 触 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ た 。 6.Fcの関与について

酵素処理によりF (ab )2化した抗CD8a抗体を用いた場合に,CD8陽性単球の検出率が減 少 し ,CD8陽 性 単 球 の 検 出 に は 抗CD8ぱ 抗体 のFc部分 が関 与し てい ると 考え られ た。

    `

7. Fc受容体の関与について

単 球 表 面 に 発 現 す るFcyRI (CD64),FcyRII (CD32),FcyRIII (CD16)の3つ の受 容体 に 対し ,そ れぞれの阻 害抗体を用いて,CD8陽性単 球の検出率を検討した。FcyRH(CD32) に 対す る阻 害抗体を用 いた場合に,CD8陽性単球の 検出率が減少し,CD8陽性単 球の検出 に は 抗CD8抗体 のFc部分 と単 球上 のFc'yRII (CD32)の 結合 が関 与し てい ると 考え られ た。

8.膜機能の関与について

A) 4.0%パラホ ルムアルデヒドを用いた膜固定により,CD8陽性単球の割合が低下し,細 胞膜の流動性がCD8陽性単球の検出に必要であると考えられた。

B)アク チン 重合 を阻 害す るCytochalasinD存 在下 でCD8陽性 単球 の割合は低下 し,細胞 骨格の変動がCD8陽性単球の検出に関与していると考えられた。

9.CD8以外の分子の移動について

全 血 に 抗CD8u抗 体 を 反 応 さ せ た 後 , 単 球上 のCD3陽 性所 見も しく はapTCR陽 性所 見の 変 化を 検討 した 。抗CD8a抗体 を 反応 させることに より,単球上に検出されるCD3および apTCRの陽性率が増加した。

【考察】

  臨床検査領域 でのFCMにおいて,全血に抗 体を添加した後に溶血させる方法(全血溶血 法)は,一般的な方法である。この方法は,少ない血液量で検査が可能であること,血球の 割合を正しく反映することなど,数々の利点がある。本法におしゝて,本来単球が発現してい な いCD8が単 球上 に検 出さ れる 現象 は今 まで に報 告が なく , 全血 溶血法によるFCMの盲 点として重要な知見と考えられる。

  CD8陽 性単 球の検出メカニズムとして,必要な血 清因子の存在下において,Tリンバ球 上 のCD8に抗CD8a抗体 が結 合す るこ とに より ,抗 体のFc部 分 と単 球上のFcyRII (CD32) が 結合 してTリンパ球と単球を架橋し,細胞膜の流 動性や細胞骨格の変動を伴って,CD8 がTリン バ球 から 単球 上に 移動 する と考 えられた。さらに,CD8がTリンバ球か ら単球上 に 移動 する 際に ,CD3やTCRも と もに 単球上に移動 する現象が観察されたことから,Tリ ンバ球と単球との間には,細胞膜の癒合を伴う密な接着が生じている可能性が高いと考えら れる。このメカニズムを解明することは,免疫担当細胞間の相互作用の多様性を理解するう えで重要である。

  我々の実験系 はin vitroの系であるが,invivoにおける抗CD8抗体投与モデルとの関連 性 も注 目さ れる 。関 節炎 等の 自 己免 疫疾患モデル 動物において,抗CD8抗体のinvivo投 与により,重症 度の軽減やCTL数の減少が見られたとしゝう報告がある。これらのモデルに お いて ,抗CD8抗 体の 投与 がCTLの減 少を 誘導 する 機序 とし ては ,補体依存性 細胞傷害 な どが 考え られ てい るが ,そ の 他に もCTL上のCD8が抗CD8抗体を介して単球に 移動し,

CTLの減 少や 機能抑制がもたらされた可能性も考え られる。また,抗CD8抗体が 産生され る病態として,全身性エリテマトーデスやヒト免疫不全ウイルス感染症が知られている。こ れ ら抗CD8抗 体が出現する個体においては,CTL数の減少や機能抑制が生じるこ とも報告 さ れて しゝ る。 我々 が捉 えて い る抗CD8抗体によるCTLから単球へのCD8の移動 が,これ らの病態におけ るCTLの減少や機能抑制を説 明付けるひとつのメカニズムである可能性も 考えられる。今 後さらに,抗CD8抗体によっ て引き起こされる血球間の相互作用の病態生 理学的な意義について,より詳細な解析を行う必要がある。

185

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

ヒト末梢血における CD8 陽性単球の解析

  本研究は、ヒト末梢血において、CD8陽性単球が検出されるメカニズムについて検討して いる 。 必 要な 血 清 因子 の 存 在下 で 、 細胞傷 害性T細胞(CTL)上のCD8分子 に抗CD8抗体が 結合 し 、 抗CD8抗体のFc領域が 単球上のFcyRII (CD32)に 結合す ることに よりCTLと単球 とが架橋 され、CD8とと もにCD3、T細胞受容 体(TCR)と。ゝったCTL上の機能分子が、細胞 膜や細胞 骨格の流 動性を伴って、単球上に移動する現象について、初めて明らかにしたも のである。

  質疑応答においては、副査である上出教授より、まず、CD8陽性単球の検出について、罹 病時や、特定の疾患群においてはどのような変化が見られるかにつレゝて、質問がなされた。

申請者は、風邪やワクチン接種等を行った程度では、CD8陽性単球検出の割合に大差は認め ないもの の、膀胱 がん患者のBCG治療開始前後でCD8陽性単球の割合が著明に上昇したこと を説明し 、何らか の強い炎症反応によって、この現象が促進される可能性について言及し た。また 、生体に おけるこの現象の意味付けについて、どのように考えているかと質問さ れた。具体的には、炎症反応が亢進しているような局所においては、T細胞と単球が密接に 接触を繰り返していることが予想されるが、こうした部位で単球とT細胞とが接着し分子の やりとりをしている可能性についてどのように考えるか、また、抗CD8抗体を介さなしゝ場合 にもこの現象が起きるかどうか質問された。申請者は、現時点では、抗CD8抗体を添加しな い場合には、CD8の移動は捉えられないとしながらも、生体内での特殊な環境下において同 様の反応が起きる可能性はあると考えるという旨を返答した。また、Fc yRHは抑制性レセプ ターであり、活性化したB細胞においても発現することが知られているが、その点について はどうかとの質問があった。同サンプル中の、B細胞については着目したことはないものの、

顆粒球分画においては、単球と同様にCD8陽性所見が出現することを説明し、単球だけでな く、FcYR IIをもつ他の血球によっても、この現象が起きうる可能性があると返答した。今回 申請者らが捉えている現象が、生体内でどのような局面もしくは病態で起き得るかも含め、

今 後 と も 是 非 研 究 を 進 め 追 及 し て ほ し い と の コ ヌ ン ト が 寄 せ ら れ た 。   次いで、小野江教授から、CD8陽性単球の多い個体と低しゝ個体があるが、その中間はある か、もし くは二群 に分かれる印象か、と質問があった。申請者は、二群に分かれる印象で あると返答した。また、CD8陽性単球の検出に関与する血清中の因子について、どのような 可能性が考えられるか、と質問があった。申請者は、現時点では、同定するに至らないが、

血清中の何らかの因子の多寡によってこの反応が起きると考えられると説明した。さらに、

抗CD8抗 体のisotypeをmouse IgGl以外のもので検討したかどうか、質問があった。例えば isotypeがIgMであれば、FcyRを介した反応は起きないはずである。申請者は、非常に興味深 いが、今のところ検討したことはない旨を返答した。

  最後に、 主査で ある笠原教授より、今回発見した現象は,パズルを読み解くような面白 さがあっ ただろう とコヌントがあった。また、現在捉えているin vitroでの現象が、生理     ‑ 186―

典 光

正 利

原 出

   

   

笠 上

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

学的、病理学的にどのような意味をもつかにつレゝて、今後の重要な検討課題となるとの指 摘があった。

  この論文は、大きく2点において評価される。1点は、臨床的にも研究目的でも頻用され ている代表的なフローサイトメトリーの手法である全血溶血法のサンプル調整において、

そ れまで 全く報告 のない偽陽性が検出されるヌカニズムを明らかにした点である。もう1 点 は、細 胞性免疫 におけ る重要な 担当細胞 であるCTLがそのkey moleculeであるCD8とい った機能分子を、抗体を介して他の血球に奪われるという現象があることを発見した点で ある。この現象が現実に生体内で起きているかどうかに関しては現時点では明らかではな いものの、今後の検討により解明される可能性が期待される。また、この現象を明らかに することにより、生体内でおきている複雑な細胞間相互作用の一端が明らかになることが 期待される。この現象はさらに、抗リンバ球抗体などの産生をきたす全身性エリテマトー デスのような自己免疫疾患や、ヒト免疫不全ウイルス感染症といった病態との関連性が考 えられ、病理学的意義に関してもさらなる展開が期待される。

  審査員一同は、上記のようにこの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単 位なども合わせ申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定し た。

187

参照

関連したドキュメント

イルスはヒト免疫担当細胞に感染し、免疫機構に著しい影響を与えることが知られてい

このうち糸球体上皮細胞は高度に分化した終末 分化細胞であり,糸球体基底膜を外側から覆い かぶさるように存在する.

ƒ ƒ (2) (2) 内在的性質< 内在的性質< KCN KCN である>は、他の である>は、他の

喫煙者のなかには,喫煙の有害性を熟知してい

ときには幾分活性の低下を逞延させ得る点から 酵素活性の落下と菌体成分の細胞外への流出と

詳細情報: 発がん物質, 「第 1 群」はヒトに対して発がん性があ ると判断できる物質である.この群に分類される物質は,疫学研 究からの十分な証拠がある.. TWA

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

線遷移をおこすだけでなく、中性子を一つ放出する場合がある。この中性子が遅発中性子で ある。励起状態の Kr-87