26答申第1号
平成26年12月10日
平川市長 長 尾 忠 行 殿
平川市情報公開審査会
会 長 内 山 浩 子
行政文書の開示決定等に対する異議申立てについて(答申)
平成26年6月11日付けで諮問のあった「平成○年末(時期不明)に、請
求者の妻が○警察署長に対して配偶者間暴力を訴えたことにより、同署から平
川市に送付された関係書類と、それに類する請求者の情報が含まれた書類の一
切」を不開示とした件について、次のとおり答申します。
答 申
1 審査会の結論 「平成○
年末(時期不明)に、請求者の妻が○
警察署長に対して配偶者間暴力を訴え たことにより、同署から平川市に送付された関係書類と、それに類する請求者の情報が含 まれた一切について」について、その存否を明らかにしないで不開示とした決定は、妥当 である。 2 異議申立ての内容 (1) 異議申立ての趣旨 本件異議申立ての趣旨は、平川市情報公開条例(平成18年平川市条例第13号。 以下「条例」という。)に基づき、異議申立人が行った「平成○
年末(時期不明)に、 請求者の妻が○
警察署長に対して配偶者間暴力を訴えたことにより、同署から平川市 に送付された関係書類と、それに類する請求者の情報が含まれた書類の一切」の開示 請求に対して、平川市長が平成26年1月31日付で決定した行政文書不開示決定について、その取消しを求めるというものである。 (2) 異議申立ての理由 異議申立人が、異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な理由は、次 のように要約される。 ア 異議申立書における主張 異議申立人の配偶者が一方的に有り得ない夫婦間暴力の被害申告(以下「虚偽 DV 被害申告」という。)を
○
警察署に対して行い、その真偽・内容が何ら検証 されること無く平川市に通知され、平川市は住民基本台帳事務における支援措 置を執行し、配偶者による不法な子どもの連れ去り別居を追認、既成事実化に手 を貸した。 また、虚偽 DV 被害申告そのものが、裁判所に対する申立内容や調停時の告 知、供述と全く異なるものである。 虚偽 DV 被害申告により、異議申立人は不当に実子と引き離された生活を余 儀なくされた。長子は異議申立人との別居前の生活に戻ることを強く望んでい るが、虚偽DV 被害申告のため、両親から養育を受ける権利を侵害されており、 親子双方の生活が脅かされている。これは児童の権利条約違反である。 異議申立人が配偶者に対し腕力で攻撃したとか、不当な言いがかりで追いつ めたという事実は一切なく、配偶者が一方的に不満と葛藤を抱え、異議申立人が 一方的に罵詈雑言を浴びせられるなど言葉の暴力や身体的暴力を受けた事実が ある。 それでも異議申立人は配偶者に生活費を送金するなど、家族生活の維持に努 めてきたが、いつの間にか異議申立人が暴力の加害者に仕立てられてしまった ことは社会問題である。 配偶者によるDV 被害申告を知ったのは、平川市の職員から「警察からの相談 記録に基づいて対応しているので住民票を発行できない」と説明を受けたこと に起因する。平川市の職員が、異議申立人に対して当該文書の存在を示したこと が本件行政文書開示請求を行った端緒となった発言であるにもかかわらず、文 書の存在を明らかにした平川市が「当該行政文書の存否を答えることはできな い」と回答することは矛盾している。 権利侵害を受けた異議申立人が、その裁定や処分の根拠、実情を知ることは当 然の権利と言える。 不当な虚偽 DV 被害申告の加害者とされた者は、被害申告の概要さえ知らさ れず、得体の知れない恐怖に突き落とされて精神的にも追い詰められ、生命の危 機に陥って健康を著しく害する結果となる。 また、虚偽 DV 被害申告並びにそれに係る裁定ないし処分を放置して既成事実化させてしまうことは将来、不当な損害賠償請求を受けることが容易に予想 されるなど、異議申立人の生活や財産が脅かされる危険を充分に秘めている。 (ア) 条例第7条第3号イでは、「人の生命、健康、生活又は財産を保護する ため、公にすることが必要であると認められる情報」は開示しなければ ならないと規定している。 (イ) 条例第7条第8号では、「個人又は法人等が、実施機関の要請を受けて、 公にしないとの条件で任意に提供した情報であって、当該個人又は法人 等における通例として公にしないこととされているものその他の当該条 件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であ ると認められるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護す るため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」と規定し ており、同号ただし書きに該当するため開示しなければならない。 (ウ) 条例第9条では、公益上の理由による裁量的開示について規定してい るが、異議申立人は行政文書の開示は公益上必要なものであると考える。 イ 意見書における主張 平成
○
年○
月○
日器物損壊事件を起こした時に妻は、○
警察署の警察官に 対し夫から暴力を受けたことはないこと、妻自身の問題で嫌になり別居した ことなどを供述している。妻はその後の家事調停でも、DV について何も話し ていない。その後、自分自身の抱える感情的な問題から家事調停を提起した妻 は、辻褄が合わなくなり自ら調停の申立てを取り下げした。 虚偽 DV 被害申告は、妻による辻褄合わせと警察主導による違法行為の産 物であったと言わざるを得ない事実が、警察の内部文書からも判明している。 行政機関の違法行為に対して国家賠償請求訴訟を提起するために情報公開 が必要である。平川市長による裁量的開示を執行するよう求める。 3 異議申立てに対する諮問実施機関の説明内容 諮問実施機関が理由説明書において主張している内容は、次のように要約される。 (1) 平成26年1月20日付けで本件開示請求を行っているが、異議申立人がその書 類が存在するであろうと知ったのは、平成○年○月○日に妻子の除かれた住民票の交 付請求をしたところ、平川市に住民基本台帳事務の支援措置(以下「支援措置」とい う。)の対象者であるため、住民票の交付を拒否されたことに起因する。 (2) 支援措置とは「住民基本台帳の一部の写しの閲覧及び住民票の写し等の交付並び に戸籍の附票の写しの交付におけるドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための措置」のことであり、 住民票等の交付制度を不当に利用してそれら行為の加害者が被害者の住所探索を防 止し、もって被害者の保護を図ることを目的とし、住民票等の交付制限の措置を講じ るものである。 (3) 支援措置を受けるためには申出が必要であり、支援の必要性は警察、配偶者暴力相 談センター、児童相談所等の意見を聴取し、または裁判所の発行する保護命令決定書 の写し若しくはストーカー規制法に基づく警告など実施書面等の提出を求めること により確認することとされている。 (4) 支援措置の制度は、当初受付市町村長(現住所地)が申出を受付け、相談機関の証 明等を確認し、支援措置を決定した当初受付け市町村から関係市町村長あてに支援措 置を決定する旨の通知を発し、通知を受けた関係市町村は支援措置を決定する。 (5) 相談機関等が判明することにより、支援措置対象者の居所探索につながるおそれ があり、住民票の写し等の交付の申出を拒否する場合、拒絶の根拠を明らかにする必 要はあるが、具体的な被害内容については明らかにしないこととされているため、そ れに基づき細心の注意を払って窓口で対応している。 (6) 異議申立人が請求した「平成○年末(時期不明)に、請求者の妻が○警察署長に対 して配偶者間暴力を訴えたことにより、同署から平川市に送付された関係書類と、そ れに類する請求者の情報が含まれた一切」(以下「当該文書」という。)については、 配偶者間暴力を訴えているかどうかの真偽を確かめようと本件開示請求を行ったも のであることが認められる。 (7) 当該文書が仮にあった場合、異議申立人の妻の第三者に関する情報である。当該情 報により特定の個人を識別することができるものであり、条例第7条第3号本文の規 定に該当し、不開示情報にあたることは明らかである。 (8) 当該文書の存否を答えることは、第三者である異議申立人の妻の届出の有無を答 えることとなる。 (9) 以上のことから本件開示請求に対し、条例第10条の規定を適用し、当該文書が存 在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるため当該文書の 存否を明らかにしないで、本件開示請求を拒否したものである。
4 審査会の判断 (1) 審議の経過 審査会は本件異議申立てについて、以下のように審議した。 年 月 日 審 議 経 過 平成26年 6月11日 諮問 平成26年 7月31日 実施機関から理由説明書を収受 平成26年 9月19日 異議申立人から意見書を収受 平成26年10月29日 第1回審議 平成26年11月28日 第2回審議 (2) 審査会の判断 審査会は以下のように判断する。 ア 条例第10条の該当性について 本条は開示請求に係る行政文書があるかないかにかかわらず、開示請求に行政文 書の存否を答えるだけで不開示情報を開示することとなるときは、行政文書の存否 を明らかにしないで開示請求を拒否することができることについて定めたものであ る。 本件行政文書の不開示決定は、本件開示請求の存否を答えることが条例第7条第 3号に規定する不開示情報を開示することになるとし、条例第10条の規定により 不開示決定を行ったものであるため、まず当該行政文書の存否を答えることが条例 第7条第3号に該当するかについて検討する。 本号は個人に関する情報の非公開要件を定めたものである。本号に該当するため には、その情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別す ることができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることに より、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものであり、かつ、本号ただし書き に該当しないことが必要である。 本件開示請求は、異議申立人の配偶者が○警察署に対してした DV 相談に関する もので、その存否を答えるだけで異議申立人の配偶者という個人が、○警察署にDV 相談をしたか否かという、個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる情報
を開示することとなり、本号ただし書きに該当する事情も見受けられない。
また、異議申立人及び諮問実施機関双方のその他の主張があるが、本件決定の適否 についての審査会の判断に影響を及ぼすものではない。
イ 結論