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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 1

水処理技術(2) 冷却水の腐食・防食

栗田工業㈱ 川村 文夫

1.はじめに 前号において、ボイラ水処理について紹介した。ボイラは加熱側の機器であるが、今回からは冷却水 における防食技術について2回にわたって紹介する。冷却水は、冷却方式や対象とする設備機器の材料 によって様々な処理方法があるため、今回は炭素鋼材料を主に使用している石油精製、石油化学工場の 熱交換器を対象とした水処理技術について述べ、次回は銅系材料が中心となる冷凍機を対象とした水処 理技術を紹介する予定である。 2.冷却水の形式と特徴 冷却水とは流体(液体あるいは気体)を間接的に、または固体を直接的に冷却する目的に使用する水 である。間接的に冷却するために使用する機器が熱交換器であり、石油精製、石油化学工場に多数設置 され、材質は炭素鋼やステンレス鋼が使用されており、このような冷却水系を間接冷却水と呼ぶ。一方 直接冷却水とは、製品に冷却水をノズルなどを利用して直接散水して冷却するもので、製鉄所、食品工 場に多くみられる。さらに使用した水の冷却方式により、 ①一過式冷却水系(温まった冷却水をそのまま排出する) ②開放循環式冷却水系(冷却塔により蒸発冷却して、再利用する) ③密閉循環式冷却水系(二次冷却器で冷却して、再利用する) の3つに分類される。この中で規模も大きく、障害も発生しやすい開放循環冷却水を対象とした防食技 術を中心に今回説明する。 3.冷却水処理の必要性 開放循環式冷却水のフローを以下に示す。冷却水と接触する構成部分には、熱交換器、配管、冷却塔 と下部水槽があるが、熱交換器は炭素鋼、銅・銅合金、ステンレス鋼などが使用され、配管は炭素鋼、 冷却塔関係は金属以外の材質で構成されている。金属と水が常時接触し、冷却塔で溶存酸素が飽和する 環境であるため、腐食は容易に起こる条件である。腐食による減肉が起これば、設備の損傷のみならず、 製品の汚染にもつながる重大な事故となるため、防食対策は重要である。 以下本稿では、この開放循環冷却水における防食処理について説明する。

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 2 図1 開放循環式冷却水系のフローシート 4.冷却水処理の移り変わり 冷却水処理の歴史は、石油化学コンビナートの稼働に始まり、水質関連規制法の変化とともに進化し てきたと考えても良い。1950年代では、一過式冷却水系が多く、一部でポリりん酸塩が防食剤とし て使用されていた。1960年代に入って、重化学工業の発展に伴い、熱交換器の防食の重要性が認識 され、クロム酸塩系の防食剤が普及した。また、循環使用といえども多量の水を使用するため、水不足 の問題が顕在化し、高濃縮運転への試みが行われ始めた。 1970年代前半に、水質汚濁防止法によりクロム酸塩系の薬剤使用は大きく制限を受け、非クロム 酸塩系の防食剤(りん酸塩)への転換が行われた。しかしりん酸塩薬剤の特徴として、防食効果ととも に、薬剤のスケール化という課題があり、pH調整をその防止手段としていたために、pH調整ミスに よる腐食、スケール付着等の障害が多かった。幸い1970年代後半になって、低分子量ポリマーによ るスケール防止技術が応用され、安定した処理効果が得られるようになった。りん酸塩薬剤も無機系の ポリりん酸塩から、有機系のホスホン酸塩に変わり、節水を目的とした高濃縮処理技術も適用が広がっ た。 1980年代以降は、りん規制に対応する低りん、非りん処理の防食技術へ変化してきたが、現在の 国内の処理技術の主流は低りん酸塩亜鉛塩処理である。これは多年連続操業という要求に伴って、種々 の熱交換器の運転条件に対応できる処理技術の要求が高いことによる結果である。しかし海外の状況を 見ると、たとえば国家基準により中国ではりん、亜鉛の使用が厳しく規制されており、非りん非金属処 理技術の競争が最も激しい状況になっている。 5.冷却水系での炭素鋼の腐食 冷却水中における炭素鋼の腐食は種々の原因によって炭素鋼の表面に生じる分離したアノード側か ら鉄がイオンとして溶出し、その他のカソード側で電子の授受反応が酸素の還元反応によって行われる 電気化学的な反応と考えられており、ボイラの水処理(腐食センターニュース No.54)の給水系の腐食 に示したものと同じ反応である。 Fe → Fe2+ + 2e H2O + 1/2O2 + 2e → 2OH- Fe2+ + 2OH- → Fe(OH)2

2Fe(OH)2+1/2O2+ H2O → 2Fe(OH)3

アノード/カソード―分離形腐食の原因としては、金属の組成、表面状態、溶存酸素濃度、温度など の不均一性があげられるが、開放循環冷却水系では微生物や土砂などで構成される汚れ付着に起因する

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 3 ことが多い。汚れ付着によって、溶存酸素の拡散がおこりにくい汚れの下部がアノードになり、溶存酸 素の拡散の良い汚れの周辺部がカソードとなって腐食が汚れ下部に集中して発生する。 同じ冷却水を使用していても、シェル側通水熱交換器に代表される低流速条件の熱交換器では、チュ ーブ側通水熱交換器に比べて、十分な防食効果が得られない場合がある。実熱交換器チューブの浸食速 度と流速の関係を図21)に示すが、低流速条件でかつ汚れの多い系ほど浸食が激しいことが分かる。防 食剤の選定段階では、汚れの影響を考慮することなく様々な素材を取り扱うが、実際に適用する段階で は汚れとの作用、汚れを防止する薬品との相互作用などを考慮して絞り込んでいく必要がある。 図2 実機熱交換器チューブの侵食速度と流速の関係1) 6.冷却水における防食方法 前報のボイラの防食技術の基本は、脱酸素とpH調整であった。これは使用環境で酸素を溶解する工 程がないことから、腐食反応にかかわる成分(=溶存酸素)を除去することで、電子を受け取る反応が 抑止され、腐食は進まない結果になる。一方冷却水では、大気と接触して蒸発、冷却を繰り返すため、 溶存酸素は常に飽和状態にあり、腐食促進成分である酸素の除去は困難である。pH11以上のアルカ リ環境も、大気中から炭酸ガスを溶解し、pH維持は難しいため、冷却水系では防食剤(インヒビタ) が一般的に使用されている。インヒビタとは、水に少量を添加することによって、腐食速度を効果的に 減少させる化学物質である。 冷却水で使用されるインヒビタは、その特性により酸化皮膜型と沈殿皮膜型に大別される。 1)酸化皮膜型インヒビタ 不動態化剤ともいわれ、炭素鋼の電位を貴に上昇させ、表面にγ-Fe2O3を形成して防食する。代表 的な素材としては、クロム酸塩、亜硝酸塩があり、クロム酸塩は良好な防食効果を示すものの、排水規 制によって必要な濃度(Cr6+として5~10mg/l 程度、環境基準は0.05mg/l)を添加することが 難しくなり、国内では使用されていない。その代替としてのモリブデン酸塩は、国内ではコストの面と PRTR 対象物質に指定されたことで、使用は限られている。一方亜硝酸塩は、防食効果は優れているが、 大気開放条件下では、微生物(ニトロバクター)の作用により、容易に硝酸塩に酸化され濃度維持がで きないという欠点を持っており、開放循環冷却水系では使用されておらず、密閉冷却水用の薬剤として、

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 4 使用されている。酸化皮膜型の防食剤はち密で薄い防食皮膜を形成するが、低濃度で使用すると局部腐 食になりやすいといわれており、単独使用ではなく沈殿皮膜型の防食剤と併用することが多い。 2)沈殿皮膜型インヒビタ この型の防食剤には、金属のカソード表面におけるpH上昇にともなって、表面に析出して腐食を抑 制するものと、溶出した金属イオンと不活性の塩を生成して腐食を抑制するものがある。前者の代表的 な薬剤は、ポリりん酸塩、りん酸塩、ホスホン酸塩、亜鉛塩などがある。後者は主として銅材質に対応 した薬剤が多く、アゾール類があげられる。りん酸塩の特徴として、カルシウム塩を生成しやすいこと から、防食皮膜としての作用はあるが、環境条件によって防食に必要な皮膜以上の厚さに成長する場合 があり、これは伝熱阻害をおこすスケールとして問題になる。亜鉛塩も同様であり、水中のカルシウム 硬度、酸消費量、pH、温度などを適正な範囲に収めて、使用することが重要である。実際の使用方法 については後述する。 7.防食効果に影響を与える水中の因子 1)溶存イオン成分 水中には防食に有効なイオンと、悪影響を与えるイオンが存在する。前者は炭酸カルシウムの沈殿 皮膜を形成するカルシウムイオン、アノード防食剤の機能を持つシリカなどがあげられる。後者は塩 化物イオン、硫酸イオン等があり、冷却水の補給水として使用される水には大小の差はあるが、ほと んど含まれている。濃縮という工程のある開放循環式冷却水では、双方が濃縮されていくので、バラ ンスによってプラス影響になるかマイナス影響になるか様々である。このことが冷却水処理を複雑に している。 通常の淡水では、図32)に示すように炭素鋼の腐食量は時間とともに直線的に増加する。しかし同 じ水を5倍濃縮した条件では、炭素鋼表面に炭酸カルシウムが付着し、カソード反応を抑制するため、 腐食量はほとんど増加しなくなる。 図3 炭素鋼の腐食に及ぼす水質の影響2) このように炭酸カルシウムの付着は防食性を示すが、一方でスケールとして伝熱阻害や、配管の閉 塞などの問題を引き起こすため、防食的な環境を維持しながらスケール防止効果も有する薬剤を選択 して使用しなければならない。 市水:カルシウム硬度 約50mg/l 塩化物イオン 約10mg/l

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 5 どの程度の水質であれば、炭酸カルシウムの飽和による防食的な水質になるのか、と言う指標につ いては、冷却水のpHと、炭酸カルシウムの飽和pH(pHs)をもとにした二つの指標が知られて いる。Langelier 指数3)は、炭酸カルシウムの析出有無を判定する指標で、その結果炭酸カルシウム の皮膜形成か溶解かという判断ができる。また、より腐食発生の有無を予知するうえでは合理的と発 表されている Ryzner 指数4)がある。 Langelier 指数と Ryzner 指数による判定は、以下の通りである。 LI=pH-pHs pH-pHs<0 非スケール傾向(炭酸カルシウム皮膜溶解) pH-pHs=0 平衡状態 pH-pHs>0 スケール傾向(炭酸カルシウム皮膜形成) RI=2pHs-pH 2pHs-pH<6 スケール傾向 6≦2pHs-pH<7 安定領域 2pHs-pH≧7 腐食傾向 実際の系では、インヒビタを使用している場合が多く、この指数のみで腐食やスケール生成を議論でき ない面もあるが、水質的にはどのような環境で維持されているかという目安になる。 2)微生物(バイオファウリング) 冷却水処理を考える上で、腐食に対する微生物の影響は無視できない。ラボで様々な条件で検討した インヒビタが実際の系で十分な効果を発揮できない場合は、微生物の影響が大きいことが分かってきた。 開放循環冷却水系での微生物処理については、当初から塩素処理が適用されてきたが、使用環境の変化 が問題を顕在化させてきた。すなわち低濃縮運転時にはpHは中性付近であり、塩素による殺菌速度も 速い環境であったが、高濃縮化によりpHが上昇し塩素の殺菌力が低下することや、系内に汚れの堆積 が増加することなど、微生物ポテンシャルが増加する方向に動いてきたことである。 冷却水中の微生物を核とした SS*成分と、無機の SS による腐食速度の比較を図45)に示すが、実際 の SS による腐食に与える影響が大きいことが分かる。

*SS(Suspended Solid Particle):浮遊固形物

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 6 このようなバイオファウリングの改善策として、ろ過設備の使用、剥離剤の併用、殺菌力を強化する 臭素の併用、塩素を安定化して使用するなど様々な提案があるが、防食効果に影響を与えないという視 点での選択が重要である。酸化力の強化は微生物に対しては効果があるが、その反面金属に対する腐食 性も無視できないことや、バイオファウリング内部への浸透性が不十分なことなどのマイナス面も多い。 非酸化性の有機薬剤はコストの問題や、薬剤の安全性など検討しなければならない課題もあり、バイオ ファウリング対策の良否が、処理効果を左右すると考えてよい。 8.インヒビタ使用の実際 冷却水処理の目的は、所定の冷却能力を維持し、安定な連続運転ができることに尽きるが、そのため には、プラントの運転立ち上がりから定常運転に至るまでの処理方法について、種々の配慮が必要であ る。ここでは基礎処理と定常処理について説明する。 1)基礎処理 冷却水系の運転開始時には、定常運転時と異なり、系内に存在する腐食生成物などによる防食剤の消 耗があり、防食皮膜を形成するために消費される量も多いことから、通常使用濃度の3~10倍の防食 剤を添加して、防食皮膜形成を促進する方法があり、これを基礎処理と呼んでいる。石油精製や石油化 学の工場では、シャットダウン後のスタート時にこの基礎処理が実施されることになるが、大型のプラ ントになると、それぞれの熱交換器に水を通す時期にずれが生じるため、基礎処理に必要な薬剤濃度が すべての熱交換器に対して満足できたかどうかの検証が重要である。プラントとしては基礎処理を実施 していても、一部の熱交換器への通水が遅れて基礎処理が不十分であった場合、次回のシャットダウン 時にこの熱交換器の浸食度が高いことが予想できる。基礎投入処理の効果を図5に示すが、初期腐食を 抑えることが大事であることが分かる。 図5 炭素鋼に対する基礎投入処理の効果 2)定常処理(保持処理) 現在定常処理に多く使用されている薬剤は、りん酸塩、ホスホン酸塩、亜鉛塩、および低分子量ポリ マーである。対象とする設備の運転条件により種々の組み合わせがあり、薬剤メーカーのノウハウの部 分もあるが、一般的な考え方を以下に説明する。

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 7 ①りん酸塩処理 濃縮のあまり上がらない冷却水系で、低分子量ポリマーとの併用が行われている。りん酸塩としては オルソりん酸塩やポリりん酸塩が使用される。これらはアノード防食剤としての機能を持つ。また、水 中のカルシウム塩と反応して不溶性のりん酸カルシウムを生成する性質を持っており、局所的にpHが 高くなる炭素鋼のカソード部で選択的に生成して酸素拡散のバリヤーとなるため、カソード防食剤とし ての機能も持っているといえる。カルシウム硬度が50~100mgCaCO3/lの水質条件では、全りん酸 濃度を10~15mg/l に保つことで、良好な防食効果が得られる。ただしりん酸カルシウムの生成量が 多い場合は、スケールとしての弊害が発生するため、pH管理や有効な低分子量ポリマーの併用が必要 である。 ②ホスホン酸処理/皮膜形成亜鉛処理 高濃縮条件で腐食防止およびスケール防止効果に優れた薬剤である。水処理に用いられている代表的 なホスホン酸の構造を表1に、併用する低分子量ポリマーに使用される代表的なモノマーを表2に示す。 表1 代表的なホスホン酸の構造

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 8 表2 低分子量ポリマーに用いられる代表的なモノマー ホスホン酸はカルシウム硬度が増すにつれて、防食に必要なホスホン酸の濃度は少なくなり(全りん酸 換算で3~5mg/l)、低濃度のホスホン酸の添加によって良好な防食効果が得られるようになる。高濃 縮によるブロー量の削減と、りん濃度の低下が行えるため、りんの排出量を大幅に減少できる処理技術 である。 ホスホン酸単独では、防食効果が不十分となるような低流速熱交換器の防食には、亜鉛を防食効果を 示す状態に保つことが必要であり、この防食効果を示す亜鉛の状態を FFZ(Film Formable Zinc) と呼ぶ。亜鉛をこの状態に維持する役割を果たしているのが、低分子量ポリマーであり、表2の組み合 わせの中で、特異的な組み合わせの低分子量ポリマーが、この効果を発揮することができる。 *FFZ の判定方法、使用するポリマーの特定については、ノウハウの部分があり上記の記載にとどめ させていただきたい。 ③バイオファウリング防止処理 冷却水中の微生物活性を抑制する方法として、一般的なものは塩素処理であるが、バイオファウリン グによる孔食を抑制するという視点では、塩素単独処理は必ずしも十分ではない。図6に各種バイオフ ァウリング防止プログラムによる孔食防止効果6)の例を示す。

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 9 図6 各種バイオファウリング防止プログラムにおける孔食防止効果6) 1日1回の塩素剤の投入に比べて、低濃度の塩素連続処理とサイドフィルターによる除濁の組み合わ せにより、孔食深さを低減できる。しかし低濃度(0.1~0.5mg/l)の濃度管理には、多大の労力 と困難がともない、過剰注入による腐食促進や、投入不足によるバイオファウリング発生などが起こり やすい。そこで塩素を安定化することで、微生物の増殖抑制および殺菌状態を維持し、万が一過剰投入 した場合でも塩素の腐食性を軽減する処理技術ができており、孔食抑制のために有効に利用されている。 9.おわりに 炭素鋼熱交換器を主体とする大型冷却水を対象とした処理技術を紹介したが、今後環境維持という視 点での素材転換が進んでいく可能性が高く、その最先端は海外プラントに対する処理技術である。国内 での新設の大型冷却水系はほとんどないため、海外における水を利用した新しい処理技術が今後提案さ れていくと考えられる。 (次号に続く) 参考文献 1)化学工学会;“冷却水環境における軟鋼製熱交換器の使用実績データ集”(1990) 2)常木孝男,高橋邦幸,川村文夫;造水技術 14,(3),2(1998) 3)W.F.Langelier;J.AWWA 28,1500(1936) 4)J.W.Ryzner;J.AWWA 36,472(1944) 5)Y.Yamamoto,K.Takahashi,F.Kawamura,T.Tsuneki;Corrosion’89 PaperNo153(1989) 6)川村文夫;工業用水 No407,18(1992)

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 10

鋳鉄の炭酸腐食事例

高谷泰之 某学校給食センターで,新設5 カ年で水蒸気漏れが発生した.水蒸気漏れ発生箇所はボイラから水蒸 気を送る配管の継ぎ手部に設置されていた鋳鉄製エルボに1箇所のみ小さい孔が空き、水蒸気洩れを起 していた.配管はコンクリート床の極度に狭い地下室に設置されていた.水蒸気漏れ損傷でボイラが稼 動できなくなり、学校給食が停止される事態になった. 1.水蒸気漏れ箇所 水蒸気漏れを起こした箇所は,配管を繋いでいる鋳鉄製エルボであり,その設置の様子を図1に示す. (a)のように,床上面に金具でつり下げられて設置されていた.エルボ部に水が流れ出していることが確 認できる.水漏れしたエルボの拡大写真を(b)に示す.漏れ箇所はエルボの中間部に位置していた. 2.損傷部位の調査 図1(a)の切断 A と切断 B で配管を切断し、分析、調査試料を採取した.水蒸気漏れを起こした配管 の継ぎ手箇所付近の状況を図2 に示す.両配管は 2 個の鋳鉄製エルボを介して継ぎ合わされていた.表面 図1 水蒸気配管の設置状況と水蒸気漏れ部の鋳鋼製エルボ (a) 配管の設置状況,(b)継ぎ手(エルボ)の水蒸気漏れ箇所 図2 水蒸気漏れ付近配管の調査箇所 観察A:水蒸気漏れしたエルボ,観察 B:下流側エルボ 断面観察A:上流側炭素鋼配管,断面観察 B:下流側炭素鋼配管 側面B 側面A 貫通孔

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 11 は塗装が施されていた。それら部材外観から、観察Aのエルボのみに孔が見られ、観察B のエルボや 3 本炭素鋼製配管には腐食痕は確認できなかった.断面観察A と B 配管の厚さも減少していなかった. 観察B のエルボの内面は全面赤色を呈し腐食跡は見られなかった.観察 A のエルボを詳細に調査する こととした. 3.腐食箇所の観察 観察 A のエルボを上流側からの眺めた内部の状況を図 3 に示す.エルボ内面の下半分が溶解し、水線に黒くなっ ている箇所が貫通した孔である. 次に,エルボを,貫通した孔を横断するように切断した. エルボ断面(肉厚寸法),内面と貫通孔の様子を図4 に示 す.図中の破線は配管設置時の水平線を表示している.す なわち、水が滞留していたと思われる水線である. 図4(a)はエルボ内面の下流側が示され,下底部には腐食 生成物がほとんど見られず,電解研摩されたように,エル ボの内面は均一に溶解していた.その中でも最上部(水線) に近づくにつれて肉厚が減少し,水線の一箇所で貫通した 孔となっていた.一方,エルボの上部(水蒸気側)は赤色 を呈し,断面観察から肉厚の減少がみられなかった. 図 4(b)はエルボ内面とその先の配管部の上流側が示さ れる.エルボ部の均一な溶解とその先の炭素鋼管の同様な溶解が見られる.鋳鉄製エルボと炭素鋼配管 の溶解部に水蒸気のドレン水が滞留していたことが示唆された.しかし,エルボの溶解した断面で残存 している肉厚を見ると,水線付近の両端の肉厚が異なり,同じ水線付近でありながら、溶解速度に差が ある.ドレン水の不均一性などが考えられるがこの溶解速度の差はよくわからない. 配管内面に堆積している腐食生成物をEDS 分析すると,Si,Ca と S が微量検出されたが,本事例の 腐食の主原因にはならない.また,残存する微量の水をpH 試験紙で確認したが,中性よりわずかに低 いようであったが,pH 低下を確認することができなかった. エルボの断面計測から初期肉厚を3.23mm とし、水漏れまでの期間が5年であったので、本事例の鉄 製エルボの腐食速度は約0.65mm/year(140mdd)であった。 図3 上流から眺めたエルボ内部状況 ←貫通孔:水蒸気漏れ箇所 図4 水蒸気配管鋳鉄製エルボ内面の腐食状況と断面 円形状の灰白色部はエルボの切断面(肉厚) (a)下流側エルボ (b)上流側エルボ(エルボおよび配管の上流側を見ている) 水平線 貫通孔

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 12 4. 損傷の原因1)2) 腐食進行の様相を図5 に示す.配管の構造が上流・下流で段差ができ,ドレン水が溜まる構造になっ ていたと推察された.水蒸気が水となるドレンが滞留し,ドレン水に炭酸ガスが溶解し,酸性化されて 引き起こされる炭素鋼の炭酸腐食であると結論された. 給食センターのようにボイラの使用頻度が少なくかつ断続的であり,休止時に配管内に空気が入り込 むことが多い設備で生じる損傷事例であると思われる.また,ボイラ水に添加される薬剤が分解して炭 酸ガスを放出する場合もある. 炭酸腐食のメカニズムは次のとおりである.給水中の炭酸水素塩は,ボイラ内で次式により熱分解し 二酸化炭素を発生させる.

+

+

+

+

2 2 3 2 2 2 3 2 3

2

2

CO

NaOH

O

H

CO

Na

O

H

CO

CO

Na

NaHCO

発生した二酸化炭素は水蒸気とともに移行し,水蒸気が凝縮する際に凝縮水中に溶解し炭酸イオンとな る. − + − − +

+

+

+

2 3 3 3 3 2 3 2 2 2

CO

H

HCO

HCO

H

CO

H

CO

H

O

H

CO

復水のように溶解塩類をほとんど含まない凝縮水は,緩衝作用が小さいため炭酸のような弱酸が溶解 してもpH は容易に低下する.生成した炭酸は次式により鋼が腐食する. 2 2 3 3 2

(

)

2

H

CO

Fe

HCO

H

Fe

+

+

次に,pH が 5 以上の凝集水において溶存酸素と炭酸が共存すると,鉄の溶解(アノード反応)と溶 存酸素の還元(カソード反応)によって腐食が進行する. − − − +

+

+

+

OH

e

O

H

O

e

Fe

Fe

2

2

2

/

1

2

2 2 2 この場合,炭酸は鉄の腐食反応に直接関与するわけでなく,遊離炭酸として存在する.このことによ って,pH を低く保持し,腐食生成物の溶解度を高めて腐食を間接的に促進する. 2 3 3 2

2

HCO

Fe

(

HCO

)

Fe

+

+

図5 腐食による水蒸気漏れの様子

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 13 溶存酸素が復水系の腐食に与える影響を図6 に示す.水溶液中の溶存酸素(DO)が高くなると,鉄の腐 食が増加する. 図6 復水系の炭素鋼の腐食に対する 溶存酸素の影響2) 5. 対策とあとがき 腐食跡には腐食生成物(さび)がほとんど堆積せず,本事例は後者の pH5 以下場合と推察した.ボ イラ本体の防食は,メンテナンスされる.しかし,本事例に限らず低圧で小規模なボイラでは,水蒸気 を配送する配管類の防食対策およびメンテナンスはなされていないと思われる.配管にはドレン水が滞 留しないように設置する必要がある.ドレン水の滞留を完全になくすることは不可能に近い.そのため に,滞留する危険のある箇所にはドレン水を排出できる排水管を設けるべきである. なお,炭酸腐食のメカニズムについては栗田工業㈱が編集した参考文献を引用させていただいた.こ こに感謝の意を表します. 参考文献 1) 栗田工業㈱編:第 4 版薬品ハンドブック,p.103(2001). 2) 川村文夫:腐食センターニュース, No.054,p.3(2010).

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腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 14

大気・室内環境での腐食測定に用いるACM型センサ

辻川 茂男

1. 大気腐食モニタ(ACM) 金属の腐食は電解質溶液と酸化剤との存在下に起こる。通常の 場合前者は水、後者は(空気中酸素が水中に溶け込んだ)溶存酸 素または水中水素イオンである。二つの異種金属を互いに絶縁し た状態で樹脂中に埋め込み、両者の端部を環境へ露出する。水溶 液中ではもちろん、大気または室内環境でも比較的高い湿度条件 ができると、両金属間を水膜が連結するので腐食電流が流れる。 この電流は卑な金属の腐食速度に対応するので、そのセンサとし て 使 え る 。 こ の セ ン サ は 、 大 気 腐 食 モ ニ タ ( Atmospheric Corrosion Monitor)とよばれてきたので、本稿でも ACM 型腐食 セ ン サと よぶ こ とに する 。 この セン サ を最 初に 使 った のは Sereda1)で、図 1 に示す構成のデバイスを製作し、自ら Dew Detector とよんだ。腐食状況を知りたい金属(鋼または亜鉛) 板状に絶縁テープをはさんで白金箔をおけば、ここから腐食情報 を電流の形でとりだせるというわけである。Vernon2)の第二臨界 湿度(相対湿度 86%)をこえる期間をぬれ時間(Time of Wetness) とし、年間平均はカナダ国内で 30~40%であることを測定した。 Tomashov3)が考案した ACM 型センサの構成を図 2 に示す。0.1mm 厚の鋼/10~15μm 厚の雲母またはラッカーの絶縁層/0.1mm 厚の 銅を 1 単位とし、15~20 単位を重ね、それぞれの金属から並列 に端子をとり出すことで電流出力の増大をねらっている。これま でに報告されている主な ACM 型センサの構成を表 1 にまとめた。

(15)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 15 アノード金属(卑なほうの金属)には鋼(Fe)または亜鉛(Zn)、カソード金属(貴なほうの金属) には銅(Cu)または白金(Pt)が多い。同種金属を組み合わせたものでも、両者間に電圧を印加してお けば同様に電流信号をとり出せる。この印加電圧は表 1 ではみな 100mV である。これらは我が国でも紹 介されている。6)これらのセンサを用いて、出力と相対湿度との関係、この関係に及ぼす金属表面状態、 海塩粒子、亜硫酸ガスの影響が調査された。3)7)8) 2. 従来型センサでの高出力化の検討9) 使用したセンサの構成を図 3 に示す。アノード金属 MA として 99.7%Fe のめっき原板、カソード金属 Mc として 99.99%Cu を用い た。MAの露出面は 20(=1)×0.8mm2、Mc のそれは 20(=1)×2 mm2で ある。これらの電極側面を SiC 紙♯800 まで研磨しエポキシ系塗料 でシールした後、両者間にポリエステルフィルム(デュポン社“マ イラー”)をはさみ、ボルト・ナットで締め付けたままエポキシ樹脂 中に埋め込んだ。マイラーの厚さを変えることにより電極間距離(d) を 31~2000μm と変えた。露出面を SiC 紙♯400 まで研磨した後、 エタノール置換して乾燥しデシケーター中に保存した。 露出面に NaCl 塩を予め付着させる場合には、各種濃度の NaCl 水 溶液をクロマトグラフィー用スプレーを用いて一定圧力で 10sec 間 噴霧後乾燥した。この際の NaCl 付着量は、1000sec 噴霧した場合 の付着量の秤量値の 10/1000 として算出した。相対湿度(R.H.)と 温度とは湿度計(ACE 社、AD-2)により測定した。電極間を流れる センサ出力電流の測定には無抵抗電流計(東方技研社、ポテンシオ/ ガルバノスタット 2090)を用いた。 2a)無塗装センサの挙動 図 3 のセンサの露出面に NaCl 塩を付着させ塗装は施さない試片を 25℃の恒温槽内においた。設定湿

(16)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 16 度条件毎に出力電流が定常になったとみなせる 30 分後の値を低湿度側から測定していった。電極間距 離d=31μm、各 NaCl 塩付着量における出力電流と相対湿度 RH との関係を図 4 に示す。0.1nA をしきい 値としたときの臨界湿度は、付着 NaCl なしのとき約 75%であるが、同 0.15mg/cm2のとき約 45%と大き く低下する。出力電流に及ぼす電極間距離 d の影響を図 5 に示した。相対湿度が 65、56%と低下してく ると出力電流の d 依存性が現れるようになり、d が小さいほど大きい出力が得られる。 2b)被膜下に埋め込んだセンサの挙動 Fe/Cu 異種金属対露出面に、直ちに腐食を開始しうるた めの条件として 0.15 mg/cm2の NaCl 塩を付着させたのち、 25℃の恒温恒湿槽内に入れ相対湿度 70%の環境中で、比 較的耐水性に劣るアクリル系クリヤー塗料(大日本塗料 社、“オートアクローゼスーパー”)をアプリケータを用 いてδ=21μm の厚さ塗布し、そのまま乾燥させた。 このようなセンサを 1mol/l NaCl 水溶液中に浸漬し、 10h 後の出力電流を電極間距離(d)に対して整理した結 果を図 6 に示す。測定値は非常にばらつくが、d が小さい ほどばらつきは小さく、かつ下限値は大きいことがわか る。この下限値について、浸漬時間 2 および 5h 後のデー タを併せて、電極間距離(d)毎に出力電流の経時変化を 整理して図 7 に示した。電流は浸漬時間 5h でほぼ定常値 に達しており、その値は d が小さいものほど大きい。d を 200μm から 40μm にすることにより電流出力を約 2 桁 大きくできている。塗膜が健全な場合の下地での腐食機 構10)は図 8 の(a)、(b)の二つに大別できる。腐食電流

(17)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 17 は、(a)では 2 度塗膜を貫通するが、(b)では塗膜/下地界面を通り塗膜貫通はしない。出力電流のう ち電極間距離に依存する成分は(b)に示す機構によるものと思われる。 3. 高出力化センサの試み 従来型サイズのセンサでの検討において、電極間距離(d)を短縮してゆくことがセンサの出力を上 げる効果をもつことがわかった。2 の方式では 31μm までが限度であったので、これ以上の短縮は別の 方法によらねばならない。図 9 に示す、2 つの方法を考えた。 図 9(a)は MA、Mc 金属を平面的にくし ・ ・ 形に配置するもので、対抗距離(d)をμm オーダまで短縮す る。制作した Al/Al-同種金属対を図 10 に示す。 100μm 厚の Si 基板上に 0.5μm 厚の SiO2層を介し、 5μm 幅、1μm 厚の Al を図 9(a)のようにくし・ ・形 に配置する。一枚の基板上に約 3 ㎜×3 ㎜の 4 つ のセンサ SP 1,3,10 及び 30 を配置した。10 (c)の付表に示すように、それぞれの対向距離(d) は 1,3,10 及び 30μm である。このセンサの両 極間に 400mV を印加して出力を測定する。無塗装 のまま、室温の 3%NaCl 水溶液中に浸漬して出力 を 90 分間測定した。図 11 に示すように、時間τi の後電流が観察され、以降変化の激しい挙動を示 した。結果は、総電気量(Q)を求め、これを時間 ⊿t(=90-τi)とみかけのセンサ面積 S(=3×3 ㎜2)とで除した平均電流密度(i)で評価すること にした。各濃度の NaCl 水溶液で測定した電極間距

(18)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 18 離(d)と、腐食開始時間(τi)との関係を図 12 に、 平均電流密度(i)との関係を図 13 に示す。電極間 距離(d)が小さいほど腐食開始時間(τi)は短く、 平均電流密度(i)は大きい。このことは、d を小さ くするほど腐食を早期に検知し、かつ大きい出力を 得ることを示唆する。電極間距離 10μm の SP10 セ ンサにおける腐食状況を図 14 に示した。5μm 幅の Al アノードが欠落している個所が溶解部分である。 図 9(b)に示したセンサは Sereda のものに類似 で、図 15 に示すように、与えられたアノード金属 MA(図では Fe)の上に絶縁層を介してカソード金 属 Mc(図では Cu)を付与することで構成する。MA として任意のものを選ぶことができるのが第一の 長所である。 また、絶縁層厚さ(d)―平面的配置型センサの対 向距離に相当する―を数μm と薄く塗装しさえす れば d の短縮がはかれ、その他の寸法は 100μm オ ーダーと比較的大きくとることができる。ただし、 これを塗膜(厚さδ)下に埋め込む場合には、絶 縁層厚さ(d)とカソード金属の厚さ(D)との合 計がδに比し十分小さいようにとるのがよいで あろう。この意味で D も d と共になるべく薄くし うるよう工夫すべきである。

(19)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 19 水溶液中に完全に浸漬された(没水部の)金属から大気・室内環境の金属の腐食へと、対象が移ると測 定・評価の手法が途端に少なくなる。特に実時間的に腐食情報をとれる手法が少なくなる。この意味で ACM 型センサは有力である。有機・無機の薄膜によって金属材料を保護する必要は増している。外部か らでなく自らを膜下に挺身して情報を送るという健全な役割を果たせるのも、本センサの長所である。 最近にも、潤滑油、グリース等の腐食抑制能力の評価11)に応用されて、“新法”とよばれて発表されて いるのをみても、このセンサはまだ広くは知られておらず、もっと広い応用対象があるものと思われる。 ACM 型センサは、異種金属接触腐食というよく知られた腐食形態の反面であって、その力は電極サイズ を小さくしていっても衰えることのないものである。3 で述べたようなサイズのマイクロ化は高出力化 の他にも興味ある情報をもたらすかもしれない。ただし、リソグラフィー手法など最近進歩の著しいパ ターン形成技術に詳しい専門家のご教授が必要である。

(20)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月

20

文献

1) P.J.Sereda:ASTM Bulletin No.228, p.53 (1958); ibid.,No.238, p.61 (1958); ibid.,No.246, p.47 (1960). 2) W.H.Vernon:J.Transactions, Faraday Society, 27, 265 (1931); Faraday Society, 31, 1668 (1935). 3) N.D.Tomashov: Theory of Corrosion and Protection of Metals, MacMillan, New York, p.367 (1966). 4) V.Kučera and E.Mattsson: Corrosion in Natural Environment, ASTM STP 558, p.239 (1974).

5) S.E.Haagenrud: Werks. u. Korros., 31, 543 (1980). 6) 鈴木一郎:防食技術, 30, 639 (1981).

7) F.Mansfeld and J.V.Kenkel: Corrosion, 33, 13 (1977). 8) F.Mansfeld: Werks. u. Korros., 30, 38 (1979).

9) 延壽寺政昭,辻川茂男:豊田研究報告,第四十報告,57 (1987). 10) 諸住高:金属表面技術,31,692 (1980).

11) P.J.Kennedy, M.S.Ruzansky and V.S.Agarwala: Corrosion ’88, Paper No.379 (1988).

本稿は、(社)日本防錆技術協会の第 8 回防錆防食技術発表大会(1988 年 7 月)講演予稿集 p.27 に記載 されているもので、同協会の神尾和男専務理事、齊藤宏事務局長のご好意により当センターニュースに 再録することができました。 センターでは ACM 型腐食センサの普及をはかるため市販されるセンサの機能検定を実施してきており、 下図にその状況を示すようにようやく広く利用されるようになってきました。遅まきながら次号からセ ンサの利用方法を中心にその紹介記事を掲載してゆきます。 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 検定年度(各4月~翌年3月) 検 査 合 計( 枚) 合 格 ・ 不 合 格( 枚)

ACMセンサの検定状況

合格 不合格 検査合計

(21)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 21

金属の腐食・防食Q&A 電気化学入門編、丸善(2002)の校正

ページ

訂 正 事 項

9

1.3 中

15

5 行 円筒 → 円柱

28

11 行

M

M

7 行

M

M 30

10 行 2.6 → 26

37

式(5)の下

B

=…=

,

,

= - …

59

5 行 F=9.65E-4 → 9.65E4

61

4 行 式(4) → 式(3)

62

6,9 行 拡散定数 → 拡散係数,

Q

1.56E-4 → 1.46E4

66

12 行 0.30V → -0.30V

77

(5)〝 下 2 行 ∂/ ∂pH log

→ ∂ log

/ ∂pH

79

7,下 1 行

b

C

b

A 131

3.6-1 C

H

200ppb →

C

o =200ppb

132

8 行 7.0E‐4 → 9.0E‐4

133

3.7‐1 C

H

200ppb →

C

o =200ppb

142

9 行 O の eq →O の 1eq

153

3.20 表題 分離曲線 → 分極曲線

155

9 行 図 3.17 → 図 3.20

3.22 の表題 図 3.17 から → 図 3.20 から

158

10 行 反応 C → 反応

c

159

7,8 行 -0.940V → -0.617V

(22)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 22 164

3 行 0.1~3 → 0.1~0.3

166

4 行

z

: イオン価 →

z

: 荷電数

173

2 CO ,aq+H O ⇄ HCO +H

2‐1 log[HCO ]=log

K

1

+log[CO ,

aq

]+pH

4‐1 pH=log(

K

so/

K

2

)-log[Ca ]-log[HCO ]

5

C

T

[CO ,

aq

]+[HCO ]+[CO ]

178

4 行 pH=log(

K

s

0

/

K

2

)-log[Ca ]-log[HCO ],図の縦軸 HCO → HCO

179

3 行 stock 方式 → Stock 方式

181

3.9 下 3 行 …を与える.

182

9 行~10 行 解離したイオンA

Z

+で示す),とB

Z

(-で示す)とで

→ 上 9 行~10 行 解離したイオンA

Z

+で示す)とB

Z

(-で示す)とで

189

下欄注*1 → (100-%HCl)=3.05mol/kg,また…(が正しい)

下欄注

*1 → =m

1

/(m

1

/m

2

)→ = m

1

/(m

1

+m

2

)(が正しい)

221

12,13 行

E

mp

E

dep 222

3.50 中

E

ep

E

dep

3.26 1 → ①, 2 → ②

232

脚注

°

°

233

1 行

E

eq=-0.440+

.

× log(10 /1)=-0.617Vvs.SHE

234

2 行 記号 → 数字

Q をかこむ枠 下側を(1)式の下まで拡げる。

240

6 行 y → y

8 行

4

4

250

6 行 0.904 → 0.900

5 行 22.6 → 22.5

2 行 0.885 → 0.882

1 行 0.103 → 0.102,4.04 → 4.03

265

6 行 (CI)式 2H

+2e

→H

2 269

9 行 H/OH →H

/ OH

274

8 行 それは 3%以上 → それ 3%以上

(23)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 23 277

4,5 行 図 4.21 → 図 4.20

280

(2)中

281

11 行 4.1(2)の 5) → 4.1(2)の e)

285

7 行

I

i

A

So=

i

e-2

So →

I

1A

S

0

2C

S

0

4.25 → M ,2H (が正しい)

286

本文下から

4 行,表 4.11 に示す。のあとに以下を入れる:表 4.11 の計算に

は、

(pH=0 として)Zn のアノード溶解反応について =10 Acm ,

b

A

b

C

=0.03V/decade,水素発生(カソード)反応について、

b

C

=0.12V/decade,

を用いた。

288

4.28 の横軸

corr

( =0) →

corr

(

R

0)

289

下表

/cm=0 に対応する

E

A

( )/V=0.1 → =-0.1

294

4.13 OH の 198 → -198

295

4.12

c

:濃度

(mol cm ) → (mol cm

296

5 行 OH → OH ,-198

297

7 行 2 箇所

N

A

N

(Avogadro 数でなくモル数)

299

本文下

4 行 z c /z c =1 → z c /z c =-1

307

9 行 5.31 → 5.13

4.18 中 CI → CI

312

2 行 (tp)を約 100s → (tp,約 100s)

316

4.45 中 右縦軸 δ=500mm → δ=500 m

320

4.48 中 i=0.15,1.7 の単位は mA/cm

2

である

334

5 行 式(1)右辺

-2.3

log

,Ⅱ ,Ⅰ

(

F

を補う)

11 行 Cl → Cl

335

4.59 中 caption Debye 長さκ より…

337

12 行 10

F/m

339

4.60-1 中の小ブロックを示す囲み中の「I」→ トル

353

4.34 中

d

1

60℃ .9832,.545 など 6 ヶ所

354

11,16 行

H

H+

(24)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月

24

355

1 行

=(T) →

(T)

5 行 373

K

→ 373K (イタリック → 立体)

357

7,8,10 行

γ

Cl

γ

OH

359

4.38 表題 ∆

P

(calKmol

→ ∆

P

(calK mol

360

6 行 の最右欄 → トル

375

8.

η

の単位

Nm s → Nm s 2 ヶ所)

376

2 の表脚注 N=kgms → N= kgms

377

3 の表脚注 例: 400nm

=…=400

×(1.2398×10 eV)

381

10,右の適用条件 [∣ ∣≪1, ≠-1] → [ ≠-1]

382

(1)

2

1

以上

最近の問合わせから― めがね枠(チタン)と留めねじ(ステンレス)との異種金属接触腐食? Q:チタン製めがね枠をステンレスねじで留めている場合、ステンレスねじがさびることが あります。チタン/ステンレス-の組合わせでも異種金属接触腐食がおこるのでしょうか。 A:わたしにも経験があります。Ti板に316 鋼板を重ねてすきまを形成し、含 Cl-水溶液中に つけて電位を上げてゆきアノード電流が流れる電位に保持しました。その結果はすきま内の316 鋼側でのみ侵食を認めました、高級ステンレス/中級ステンレス-の組合わせでも同じだと想わ れます。したがって、Q の「チタン」の意味は組合わせ相手のステンレスより耐すきま腐食性に 優れることにあり、単に異種金属であることではありません。

(25)

腐食センターニュース No. 055 2010 年 11 月 目 次 水処理技術(2) 冷却水の腐食・防食・・・・・・・・・・・・・・・・ 鋳鉄の炭酸腐食事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大気・室内環境での腐食測定に用いる ACM 型センサ・・・ 金属の腐食・防食Q&A 電気化学入門編、 丸善(2002)の校正・・・・・・・・・・ 最近の問合わせから- めがね枠(チタン)と留めねじ(ステンレス)との 異種金属接触腐食?・・・・・・・ 1 10 14 21 24 腐食センターニュース No.055 ( 2 0 10年 11月 ) 発行者:(社)腐食防食協会 腐食センター 〒113-0033 東京都文京区本郷2-13-10 湯淺ビル5階 Tel:03-3815-1302,Fax:03-3815-1303 E-mail : [email protected] URL : http://www.corrosion-center.jp/ 「腐食センターニュース」の 創刊号以来の バ ッ ク ナ ン バ ー は 腐食センターの 上記ホームページで閲覧できます ここに掲載された文章および図表の無断使用,転載を禁じます.©腐食防食協会

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