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PBLプログラム実施拠点間連携による合同発表会実施の試み

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第 7 回実践的 IT 教育シンポジウム (rePiT2021) 論文集

PBL

プログラム実施拠点間連携による合同発表会実施

の試み

伊藤 恵 吉岡 廉太郎 堀川 三好 佐藤 和彦

PBL (Project-Based Learning) を中心とした実践的な IT 教育プログラムをそれぞれ独立して提供している複数の 大学が,大学間の人的ネットワークを保ち,教員間の情報交換や教育交流を維持することや,外部への発表,あるい は,外部からの質問コメントにより,それぞれの大学の教育プログラムに相互作用を生み出すことを目的とし,これ まで 4 年間合同発表会を開催してきた.本稿では,この合同発表会の実施報告と,その効果に対するアンケート調査 に基づく考察を述べる.

Multiple institutions that offer separate PBL (Project-Based Learning)-based practical IT education pro-grams have jointly held student achievement reports over the past four years. In addition to serving as a public presentation experience for students, the joint event was intended as a sustainable platform for educational exchange and faculty development for the participating institutions. It was especially sought to develop the faculty network and create synergy among the educational programs. In this paper, we report the implementation of the joint events, and discuss the outcome based on questionnaire survey results.

1 背景

情 報 系 の 学 部/研 究 科 に お い て ,PBL (Project-Based Learning)を中心とした実践的なIT教育を行 うだけでなく,相互作用による教育の質向上のため, 大学間や大学-企業間の教育ネットワークの構築が求 められている.これを受けて,文部科学省の情報技術 人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業とし て,2012年度から大学院生向けの「分野・地域を越 えた実践的情報教育協働ネットワーク」(以下,第一 期enPiT)[1]が開始され,さらに2016年度からは学 部生向けの「成長分野を支える情報技術人材の育成拠 点の形成」(以下,第二期enPiT)[2]が開始された. 第一期/第二期enPiT共に,教育プログラムを提供

A Trial of Joint Presentations based on the Coopera-tion of Institutes Providing Each PBL Program. Kei Ito, 公 立 は こ だ て 未 来 大 学, Future University

Hakodate.

Rentaro Yoshioka, 会津大学, The University of Aizu. Mitsuyoshi Horikawa, 岩手県立大学, Iwate Prefectural

University.

Kazuhiko Sato, 室 蘭 工 業 大 学, Muroran Institute of Technology. する連携校と,それに参加する参加校があり,標準的 には連携校の教員や連携校が招へいした講師が授業 を行い,連携校および参加校の学生がその授業を受け る形となっている.第一期enPiTでは全国15の大学 が連携校となり,クラウドコンピューティング分野, セキュリティ分野,組込みシステム分野,ビジネスア プリケーション分野の4分野に分かれて教育プログ ラムを提供していたが,第二期enPiTでは延べ45の 大学が連携校となって,ビッグデータ・AI分野,セ キュリティ分野,組込みシステム分野,ビジネスシス テムデザイン分野の4分野で教育プログラムを提供 してきている.教育プログラムの詳細はそれを提供す る連携校ごとに異なるが,基礎知識学習,夏季集中合 宿,PBLなどから構成される枠組みは共通である. 著者ら所属の4大学は,大学院生向けの第一期 enPiTでは,公立はこだて未来大学(以下,未来大) が連携校となってenPiTの教育プログラムを提供し, 会津大学,岩手県立大学,室蘭工業大学の3校は,未 来大に対する参加校としてenPiTに参加した.続く 学部生向けの第二期enPiTでは4大学とも連携校と なり,第一期enPiTの経験を活かしてそれぞれ教育

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プログラムを提供してきた.第二期enPiTでは4大 学それぞれ各大学の事情を踏まえて独立して教育プ ログラムを実施しているが,一部,講師派遣や夏季集 中合宿の見学などの連携は当初より模索していた.

2 先行事例

高等教育機関間の交流として,高等学校と大学の間 のいわゆる高大連携のほか,大学間の教育連携形態と していわゆる大学コンソーシアムが全国各地に展開 されているが[4],特定の範囲の機関間でいくつかの 科目を提供し合うなどに留まっているものがほとんど で,教育プログラム間の相互作用まで意識したものは あまり報告されていない. ま た ,大 学 間 連 携 の た め の 連 携 認 証 基 盤[5]や MOOCプラットフォームを用いた大学間連携教育 [3]なども取り組まれているが,大学間連携教育の仕 組みづくりに関するものであり,教育プログラムその ものの相互作用などに関するものではない.

3 ねらい

それぞれ連携校として教育プログラムを提供するこ とになった4大学間の人的ネットワークを保ち,教員 間の情報交換や教育交流を維持することや,各大学の PBLを中心とした教育プログラムの中で外部への発 表,あるいは,外部からの質問コメントにより,それ ぞれの大学の教育プログラムに相互作用を生み出すこ とを目的として,4大学の教員間の協議の下,enPiT BizSysD分野†1北海道東北合同発表会を開催するこ ととなった.発表会命名の由来は,enPiT BizSysD 分野の連携校の中で所在地が北海道および東北地方 であるのがこの4大学だけだからである.

4 北海道東北合同発表会の開催

4. 1 合同発表会の枠組み 大学ごとにenPiTの教育プログラムやそこに含ま れるPBLの年間スケジュールは異なり,5月ごろか らPBLが開始される大学もある一方で,PBL開始 は10月ごろという大学もある.どちらの場合も踏ま †1 BizSysD は第二期 enPiT のビジネスシステムデザイ ン分野の略称 図 1 2017 年度開催の様子 えた上で,12月にどこか一つの場所に集まって合同 発表会を行うこととした.大学によっては,PBLの 最終発表会と変わらない時期に最終発表会と同様(も しくはその更新版)の内容で合同発表会での発表を行 うこととなり,また大学によっては合同発表会が事実 上の中間発表の位置づけとなり,それを踏まえて所属 元大学の最終発表会に向けた活動継続を行うこととな る.また,4大学それぞれの基準や方法で合同発表会 に参加するチームや学生を選定しており,大学によっ てはenPiT受講を含む全チームが合同発表会に参加 する場合と,希望するチームだけが参加する場合が ある.旅費や会場等の都合はあるものの,それぞれの PBLの進行状況に依らず,多くのチームが発表でき, 報告書作成などを含む残りの活動に向けたフィード バックを得られる機会となっている. 2017年度から2019年度までの3回の開催におい て,所属大学別の参加学生数は表1の通りである.こ のうち,北海道情報大と神奈川工科大は未来大に対す る参加校,千歳科技大と稚内北星学園大は室蘭工大 に対する参加校,日本大は会津大に対する参加校で ある. また,開催場所については4大学の持ち回りとした. 発表会の形式はポスター発表を中心としており,必 要に応じてライトニングトークを含めている.また, 発表会に参加する学生同士もできるだけ互いのチー ムの発表が見られるように工夫をした. 4. 2 2017年度未来大開催 2017年度は,2017年12月9日に公立はこだて未 来大学本部棟3階ミュージアムにて,合同発表会を

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表 1 年度別/大学別の参加学生数 年度 2017 2018 2019 未来大 12 10 11 北海道情報大 3 0 11 神奈川工科大 2 0 0 室蘭工大 14 5 13 千歳科技大 4 2 4 稚内北星学園大 0 1 0 会津大 2 2 1 日本大 2 7 2 岩手県立大 5 17 3 計 44 44 45 表 2 2017 年度受賞チーム 賞 チーム名 アイデア賞 Fashion-Monster 技術賞 IoT.Agriculture プロセス賞 函館市陣川あさひ町内会アプリ「じ ぷり」2017 成果物賞 Deep Iwate ポスター賞 BEACON FUN 開催した(図1). 発表会参加者に,各連携校のPBLスケジュールの 違いなどを把握してもらうために,各大学のPBL紹 介の資料を配布したほか,各チームから事前に発表概 要を提出してもらい,チーム情報とともに配布した. 発表したチームは全大学合わせて22チームあり, ポスター発表は前半と後半に11チームずつ分け,発 表する学生も,自分が発表しないタイミングで,少な くとも半分のチームの発表を聞けるようにした. 後半終了後にアイデア,技術,プロセス,成果物, ポスターのそれぞれについて,最も優れていたと思 うチームに参加者全員投票(シール貼り)してもらい, 項目ごとに最多得票チームを表彰した(表2). また,発表会終了後に,所属の異なる学生間の交流 促進を意図して,事前に準備した地元B級グルメを 活用した交流会を開催した.交流会参加人数は教職員 図 2 2018 年度開催の様子 含め46名であった. 4. 3 2018年度岩手県立大開催 2018年度は,2018年12月15日に岩手県立大学 滝沢キャンパスにて,合同発表会を開催した(図2). 各チームから事前に発表概要を提出してもらい,チー ム情報とともに配布した他,アイスブレークとして 発表会開始前に準備をしながら各チームが1分間の ショートプレゼンテーションを実施した.参加チーム は全大学合わせて22チームあり,前年度同様にポス ター発表は前半と後半に11チームずつ分けて実施し た.学生44名,教員8名の他に,他大学から5名の 教員,連携企業から5名が参加した.後半終了後に 新規性,有益性,論理性について,最も優れていたと 思うチームに参加者全員投票(シール貼り)してもら い,それぞれ優秀賞,アイデア賞,ベストプレゼン 賞,そして最もシールが多いチームを最優秀賞として 表彰した(表3).また,発表会終了後に,学生・企業 人・教職員間の交流促進のための懇親会を盛岡市内で 実施した.交流会参加人数は教職員・企業人含め47 名であった. 4. 4 2019年度室蘭工大開催 2019年度は,2019年12月14日に室蘭工業大学 にて合同発表会を開催した(図3).連携大学4校のほ かそれぞれの参加大学併せて7大学18チームが参加 した.これまで同様に前半後半の2部に分けてポス ター発表を実施した.学生45名,教員13名,連携 企業から3名が参加した.後半終了後に,提案内容 とポスターデザインの2つの観点でのシール投票を

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表 3 2018 年度受賞チーム 賞 タイトル(チーム名) 最優秀賞 数百万円を数万円に!TDW構築(低 レイア同好会) 優秀賞 ひらがな文字の特徴をもとにした フォント作成(もじつくーる) アイデア賞 情熱価格!!顧客ヒートマップ!(

Spe-cial Design Lab) ベストプレ ゼン賞 石別の手描きマップを用いたアプリ ケーションの開発(使ってもらって 学ぶフィールド指向デザイン2018) 図 3 2019 年度開催の様子 行い,アイデア賞2チーム,ポスター賞2チームを 選定し表彰した(表4).発表会終了後に,学内のレス トランにおいて,学生・教員間の交流促進のための交 流会を実施し,学生41名,教員12名が参加した. 4. 5 2020年度会津大(オンライン)開催 本稿執筆時点では開催前のため,参加予定者と準備 状況についてのみ述べる.2020年度は,2020年12 月12日に会津大学にて開催予定であったが,コロナ 禍のため,オンライン開催に変更した.本稿執筆時 点では連携大学4校および参加校合わせて7大学14 チームが参加予定である. オンライン開催のため,ポスターを事前提出した 上で,Web会議システム(Zoom)を会場として開催 する.Zoomの会議室をメイン会場として,最初に各 チーム1分程度のLightning Talkで自己紹介を行っ 表 4 2019 年度受賞チーム 賞 タイトル(チーム名) アイデア賞 MEMoRAN -室蘭観光客のための 動画共有システム-(思い出共有く らぶ) アイデア賞 スポーツ審判代替システム(i★ス ポ) ポスター賞 情報を見るミライ(Lookin’) ポスター賞 みんなでつくる ”鉄のまち ”(ムロ ―二―) た後,チーム別の質疑応答セッションをZoomブレ イクアウトルームを用いて開催する.チーム別の質疑 応答は例年のポスター発表同様に前半と後半の2グ ループに分けて実施する.発表するチームは指定され たブレイクアウトルームで待機し,入室した参加者に 対して説明や質問への対応を行う.参加者は質疑応答 セッション中は自由に各ブレイクアウトルームを出入 りすることができる.口頭での説明や質疑応答を補助 する目的でオンラインホワイトボード(Miro)を活用 する.各チームに1枚のオンラインホワイトボード を割り当て,参加者からチームへの質問やコメント、 チームからの説明や質問への回答を常に記載できる ようにすることで,1対1になりがちなコミュニケー ションを可視化することで交流を助けるのが狙いで ある.

5 アンケート調査

2017, 2018, 2019年度の合同発表会に参加した学 生および教員を対象として,合同発表会への参加が PBLやその他の活動に影響を与えたかどうか,合同 発表会への参加によって所属大学内や他大学の学生/ 教員との交流が生まれたかどうか等についてアンケー ト調査を行った.本稿執筆時点で,2019年度受講生 を中心に32名の修了生および4名の参加教員からの 回答が得られており,その結果について述べる.

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図 4 合同発表会の各項目について 図 5 合同発表会の影響 図 6 交流が生まれたか 5. 1 学生向けアンケート まず,合同発表会の会場や発表会そのもの等につい て,良かったかどうかを聞いたところ,図4の結果で あった.どの項目についても6割以上の学生が「と ても良かった」あるいは「まあまあ良かった」と回答 している一方で,どの項目についても「あまり良くな かった」「全く良くなかった」と回答している修了生 がおり,本アンケートに回答した修了生のすべてが合 同発表会自体に高い満足度を感じているわけではな いことが分かる. 続いて,合同発表会への参加がその後のenPiT活 動や自身のその他の活動に影響があったかどうか聞い た結果が図5である.こちらも6割以上の修了生が 「大変よい影響があった」あるいは「多少はよい影響 があった」と答えている.「特に影響はない」と回答 した修了生も一定数いるが,悪い影響があったという 回答はなかった.なお,参加した大学の一部では,こ の合同発表会が所属するenPiT拠点(大学)の最終発 表会よりも後に開催されており,それらの大学に所属 する修了生は「特に影響はない」を回答する可能性が 高いことや,そもそも合同発表会自体への満足度が 低い学生も含まれていることを踏まえると,よい影 響はかなりあったと考えられる.具体的にどのような 影響があったかを自由記述で答えてもらったところ, 進 の異なる他大学/他グループの発表を聞いたこと により,プロジェクトの進め方が参考になった.開発 方法を見直せた.対抗心,モチベーション維持,創作 意欲などにつながった等のコメントがあったほか,具 体的に作っていたものやアイデアに対する改善や拡張 案が得られた等のコメントもあった.なお,必ずしも 合同発表会である必要はないが,発表経験増,発表練 習,他人に伝える難しさの認識など,発表機会が増え たことに対するコメントも相応に見受けられた. 最後に,合同発表会への参加によって他大学の学生 や教員,あるいは自分の所属する大学の学生や教員 と新たな交流が生まれたかどうか聞いたところ,図6 の結果であった.発表会で交流が生まれたという回答 が8割以上あったが,発表会以降も交流があったとい う回答は3割程度に留まった.具体的にどのような交 流があったかを自由記述で答えてもらったところ,発 表会当日の交流については,研究や就職活動,あるい はIT技術に関する会話など,それ以降の交流につい ても,一緒に食事に行ったり,イベントに参加したり などの回答が得られ,また教員とのコミュニケーショ ンも増えていることが確認された. 5. 2 教員向けアンケート 本稿執筆時点では4件の回答しか得られていない ため,いくつかのポイントのみを述べる. 「所属大学のenPiT受講生のenPiT活動(PBL等) にどう影響したか」の質問に対しては,4名とも「大 変よい影響があった」と回答しており,「所属大学の

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enPiT受講生のenPiT以外の活動(研究その他)にど う影響したか」の質問には,3名が「大変よい影響が あった」,1名が「多少はよい影響があった」と回答 している.教員の目から見ても,合同発表会への参加 が受講生によい影響があったことが見て取れる. 合同発表会への参加によって「他大学の学生や教員 とのネットワークが広がった(あるいは強まった)か」 の質問に対しては,2名が「広がった(あるいは強まっ た)」と回答し,残り2名は「その場で交流したがネッ トワークは広がらなかった(強まらなかった)」と回答 している.また,「所属する大学の学生との新たな交 流は生まれたか」の質問に対しては,3名が「発表会 だけでなくそれ以降も含めて交流が生まれた」と回答 し,残り1名は「交流は何も生まれていない」と回答 している.合同発表会を通じた交流は一定程度されて いるが,もちろん全員というわけではないと言える.

6 enPiT 内の他の合同発表会

第二期enPiT内で,産業技術大学院大学と琉球大 学との合同成果発表会は毎年行われているが,こちら は教育プログラム中の合宿等でも強く連携しており, 我々4大学のように独立して教育プログラムを実施し ている中での合同発表会とは位置づけが異なる[6]. また,enPiTにおいて各年度末,各分野ごとの学生 発表を含むイベントを開催しており,これも合同発表 会とも言える[2].これらはその年度の教育プログラ ムが各大学ともほぼ終了した時点で行われているもの であるため,発表した学生(チーム)に対するフィー ドバックは,その教育プログラム内では反映させる ことが難しい.また特に第二期enPiTでは連携校の 数が増えたことにより,各分野の最後の発表会で発表 できるチーム数が限られており(BizSysD分野では各 連携校から1チームずつのみ),受講生へのフィード バックが限定的であるほか,PBLをうまく遂行でき なかったチームも含めて幅広く確認できないという 意味で,関係教員や教育プログラムへのフィードバッ クも限られる.

7 考察

大学間の人的ネットワークを保ち,教員間の情報交 換や教育交流を維持することについて,合同発表会の 継続実施により,第一期enPiTで構築されたネット ワークが第二期enPiTでも維持継続できていると考 えられる.第二期enPiTに対する助成金が2020年 度までで終了した後,これらが維持継続できるかどう か不透明であるが,2020年度の合同発表会が幸か不 幸かオンライン開催となり,合同発表会の旅費等を伴 わない低コストな実施方法について検討できる絶好 の機会となっている.合同発表会の継続実施が可能で あれば,大学間の人的ネットワークや教員間の教育交 流が今後も維持できる可能性が高いと考える. 各大学のPBLを中心とした教育プログラムの中で 外部への発表,あるいは,外部からの質問コメントに より,それぞれの大学の教育プログラムに相互作用を 生み出すことについて,アンケート結果(図5)では7 割の学生が,enPiT活動(PBL等)によい影響があっ たと答えており,一定のよい影響があることは間違い ないが,一方で2割程度の学生は特に影響はないと 答えているほか,所属大学での最終発表会よりも後に 合同発表会が開催される場合の意味付けについて改 めて検討する必要があろう.

8 まとめ

PBL (Project-Based Learning)を中心とした実践 的なIT教育プログラムをそれぞれ独立して提供して いる著者ら所属の4大学において,大学間の人的ネッ トワークを保ち,教員間の情報交換や教育交流を維持 することや,外部への発表,あるいは,外部からの質 問コメントにより,それぞれの大学の教育プログラム に相互作用を生み出すことを目的として,これまで4 年間開催してきた合同発表会について報告した.ま た,合同発表会の影響や合同発表会での交流などにつ いてのアンケート調査の結果,PBLその他の活動に よい影響があることや,大学をまたぐ交流が維持され ていることが分かった.その結果に基づき,合同発表 会の効果について考察した. 参 考 文 献 [1] enPiT 事務局: enPiT1 成長分野を支える情報技術人 材の育成拠点の形成, 2012.

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[2] enPiT 事務局: 成長分野を支える情報技術人材の育 成拠点の形成(enPiT), 2017. [3] 重田勝介, 八木秀文, 永嶋知紘, 浜田美津, 宮崎俊之, 島麻里江, 小林和也, ほか: MOOC プラットフォームを 利用した大学間連携教育と反転授業の導入─北海道内国 立大学教養教育連携事業の事例から─, デジタルプラク ティス, Vol. 6, No. 2(2015), pp. 89–96. [4] 田中浩司ほか: 全国の大学コンソーシアムの展開と キャンパス・コンソーシアム函館の位置- 一つの記録と して-, 函館大学論究, Vol. 47(2016), pp. 259–292. [5] 島岡政基, 谷本茂明, 片岡俊幸, 峯尾真一, 曽根原登, 寺西裕一, 飯田勝吉, 岡部寿男, ほか: 大学間連携のため の全国共同電子認証基盤 UPKI における認証連携方式 の検討, 情報処理学会研究報告インターネットと運用技 術 (IOT), Vol. 2006, No. 55 (2006-QAI-019)(2006), pp. 13–18.

[6] 琉球大学情報工学科: enPiT-BizSysD at 琉球大学情 報工学科, https://ie.u-ryukyu.ac.jp/enpit/.

表 1 年度別/大学別の参加学生数 年度 2017 2018 2019 未来大 12 10 11 北海道情報大 3 0 11 神奈川工科大 2 0 0 室蘭工大 14 5 13 千歳科技大 4 2 4 稚内北星学園大 0 1 0 会津大 2 2 1 日本大 2 7 2 岩手県立大 5 17 3 計 44 44 45 表 2 2017 年度受賞チーム 賞 チーム名 アイデア賞 Fashion-Monster 技術賞 IoT.Agriculture プロセス賞 函館市陣川あさひ町内会アプリ「じ ぷり」 2017
表 3 2018 年度受賞チーム 賞 タイトル(チーム名) 最優秀賞 数百万円を数万円に! TDW 構築(低 レイア同好会) 優秀賞 ひらがな文字の特徴をもとにした フォント作成(もじつくーる) アイデア賞 情熱価格! !顧客ヒートマップ! (  Spe-cial Design Lab )
図 4 合同発表会の各項目について 図 5 合同発表会の影響 図 6 交流が生まれたか 5. 1 学生向けアンケート まず,合同発表会の会場や発表会そのもの等につい て,良かったかどうかを聞いたところ,図 4 の結果で あった.どの項目についても 6 割以上の学生が「と ても良かった」あるいは「まあまあ良かった」と回答 している一方で,どの項目についても「あまり良くな かった」「全く良くなかった」と回答している修了生 がおり,本アンケートに回答した修了生のすべてが合 同発表会自体に高い満足度を感じているわけ

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