【論 文】 日本 建築 学会 構 造 系 論 文 報 告 築 第440号
・
1992年10月Journal of Struct
,
Constr.
Engng,
AIJ,
No.
440,
0ct.
,
1992電縫鋼管
の
材料特性
MATERIAL
BEHAVIOR
OF
COLD
−
FORMED
』
CIRCULAR
TUBE
辻
文
三*,
康
海 偉
* *
Bunzo
∬ 砌 o雇 飾f
−
Wei
’
KAIV
,G
To make clear the material behavior of a cold
・
formed circular tdbe, exper 孟meIlts , such as
measurements o
∫
residual stressdistributions
,
compressive and しensile tests,
have been conducted using sixkinds
of tubes.
’
Distribution
of residual stTesses,
yield stresses and tensile strengths along the circu 皿ferential
direction
of the tubes are clarified.
Multi−linear
relationships betweentange皿t modulus and stress o匸strain are conducted
,
A
method todefine
thelocal
buckling
of tubes using expeiimentaldata
is
proposed.
Buckling
stress or strain obtainedby
this method coin.
cidesfarely
well with analytical result.
Ke
〃脚 刑鞠 ;δ厂cak 〜r tube,
臓 z励 〃est,
res伽1
stress,
5’res∬ 吻 加 厂eiation,
IOcal
buckling円形 鋼 管, 材 料 実 験
,
残 留 応 力,
応 力 L.
ひずみ関係, 局部 座屈1.
序 電縫 鋼管材は, 製造 過 程で冷間成 形 加 工 を受けて い る た め,パ ウシ ンガー
効 果と加 工 硬 化の影 響 を有し ており,
さ らに, 管 軸, 管 周 方 向の複 合 残 留 応 力が封入 さ れて い る。
また溶 接 加 工の影 響で,
溶 接 線 近 傍の 材 料 特 性が,
他の部 分と若 干 異なっ て いる。 これ ら の 因子の影響で,
管とし て の応カー
ひず み関係 はRound
・
House
形 と な り,
原 鋼板に比して,
降伏応力は高く なる が, 局部座屈時 の ひずみ や引張 試験に お け る伸び率は小さ く なっ て い る。
日本鋼 構 造協 会標 準委員会1 ) , 青 木・
福 本 2}は電 縫 鋼 管 材と焼 鈍 を施され た材に対して短 柱 圧 縮 実 験と引 張 実 験 を行い,
製造過程が 応 カー
ひずみ関係 や 降 伏 応 力 な どに どの よ う な 影響を も た ら す か を 調べ た。
加 藤・
青 木3 ),
筆 者4〕は製造過 程を力学 的にモ デル 化して , 数 値 解 析に よ り バ ウ シンガー
効果,
加工硬化お よび残 留 応 力の導 入 過程を示し た。
加 藤・
秋 山ら5) , 鈴 木・
小 河ら 5 }は 短 柱 圧縮実験を行い , 局部 座屈耐 力, 変 形 能 力と径 厚比 との 関 係 を検 討した。
越 智・
黒 羽7 )V:統 計 的な手法
を用い て,
引 張 試 験 片か ら得ら れ た降 伏 応 力,
引 張 強 度お よ び 短柱 圧縮 実 験か ら得ら れ た降 伏応力,
局部 座 屈 応 力 な ら びに ひずみ と径 厚 比の関 係を検討し た。 ま た降伏応 力と引 張 強さ を 用いた応 カー
ひずみ関 係の近 似 表 示 法 を提 示し た。 し か し,
・
既 往の研究の多くは, 残 留 応 力や降 伏 応 力,
引張強壌
や短柱圧縮 実験にお け る 局部 座 屈 時 応 力お よ び ひずみなどに注目して, 管の径 厚比と の 関係IL7 )や, 同一
ロ ッ トの鋼 管の残 留 応 力や降 伏 応 力 等の ば らつ きZ)な どを調べ たもの で ある。
本 研 究は,
できるだけ多くの角 度か ら,
製 造 過 程で塑 性ひずみ履 歴と溶 接 加工の影 響を 受け た電 縫 鋼 管の 材 料 特 性 を考 察しよ う と するもの で, 同一
の鋼 管に対し て,
解放ひずみ の測 定,
短 柱 圧 縮 実 験, 管の ま まの引 張実験 お よ び管周方 向の各 位 置か ら切 り出 した試 験 片の引張実験 を行い, 残留応力,
降 伏 応 力,
引 張 強 度およびこ れ らの因 子の管周上の変 化な ら び に軸 圧 縮と軸 引 張 剛 性の変 化を定量的に分析す る。
その 上で,
短柱 圧 縮の場 合は接 線 係 数と応 力,’
管のま まの引張 りの 場 合は接 線 係 数 とひずみ の 関係 を区 分線形と し た応 カー
ひずみ関係の近 似表 示 方 法を 提 示 し た。・
ま た,
比例 限 応 力と残 留 応 力, 圧縮の場合の比例限 応 力と引 張り.
の場 合 の比 例 限 応 力,
圧縮 降 伏 応 力と引 張 降 伏 応 力の関係を検 討 した。
さらに,
短 柱 圧 縮 時の局部 座屈 が生じ始 め る時 点の応 力お よびひずみを実 験 的に特 定する方 法を示 し, そ の応 力およびひず み と加 藤らの提 案 式5乏 の関 係 を検 討 した。
2.
実 験 2.
1 実 験 計 画 本 研 究で は, 数 種 類の比 較 的 小口径の電 縫 鋼管 材につ い て, 解 放ひずみの測 定 実 験, 短柱圧縮実験,
管の ま ま 本論文は文献13)〜
17)を加 筆しま とめ たもの である。
’ 神戸大 学工学 部環境 計 画 学 科 教 授・
博 士(工学) ** 神 戸 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 大 学 院 生・
修 士 (工学 )Prol
.
,
Depし of Environmental Planning,
Facu且ty of Engineering,
Kobe Univ
.
,
Dr,
』
Eng.
Graduate Student
,
Graduate School oI Science and Technology,
KobeUniv
、
,
M.
Eng.
NII-Electronic Library Service
聖σngim エdiivaユ cira匹皿fcrential CUtl
cua ait2
CUt1
σ
一一
魂 トー
乱 ’トー
(1=25
・・
一
・40rnm
) 図一
1 解 放ひずみ の測 定 εr〔x10’
3} λO 151
.
00.
50.
0 べ).
5一
1.
0一
15一
zo0 ° 90° 180°
2 フ0°
360°
(a) D・
114.
3,
t−
3.
5 侭SllAl er(x10’
3) zo1.
S1。
00.
50.
0一
〇5.
1.
0一
15・
20 ぴ 表一
1 実 験 計 画 供試 体の公 称 寸法 ( ) 騾 D富
114.
3 t;
3.
5D=
114.
3 し=
3.
5D=
114.
3 し=
4.
5D=
114.
3 し=
4.
5D=
165、
2 し=
4,
5D=
田5、
2 し罵
7,
1 開放ひず み RSllARSUBRS12AR312BRS21RS22 短柱圧稲 SCIIASCIIBSCI2ASCI2BSC21SC22 管の引張 ST11鬯
ST12一
ST21一
鼠験 片の引張 CT11一
CT12一
CT21GT22 90°
ISO°
270°
360°
価)D−
114.
3,
凶.
5 侭S1徂 〕 図一
2 解 放ひずみの分 布 の引 張 実 験,
引 張 試 験 片による引 張 実 験 を行い,
そ れ ら の結果を相互に比 較 検 討 する ことによ り, 電 縫 鋼管の材 料特性 を 明 確に し よ う と する。
実 験 計 画をま とめて表一
1に示す。
材質は すべ てSTK
400で あ る。
なお, 同一
の断 面 形で 2種 類 (A ,B
}の実 験を行っ て いるの は,
製 造 時 期が異な る管の挙動を 比 較 す る た めで ある。
2.
2 解 放ひずみ の測 定 実 験 製 造 過 程で鋼 管 内に封 入 され た管 軸,
管周方向の残 留 応 力の分布 形と その大き さ を 調べ る た めに,
切断法に よ り解 放ひずみ を測定し た。 測定方 法を図一
1に示す。 測 定 点は管周方 向に12
等分 (一
部16
等分〉し た位置と し,
管壁の裏表に ひずみ ゲー
ジ (GL .
5mm )を貼 付した。 管が小ロ径で,2
軸ゲー
ジを密に貼 付し,
切 断 するこ と が困難で あ る た め,
材 長 方 向には残 留 応 力分 布が大き く 変化 し ないもの と 考 えて,
管 軸 方 向 と 管 周 方向の解 放ひ ずみ測 定 点 を1000mm ずらせ ている。
実験手順は,
管 外 面に ひずみ ゲー
ジ貼 付, cut 1位 置 切 断,
管内 面に ひ ずみ ゲー
ジ貼 付,
cut 2位置 切 断,
cut 3位 置 切 断と し,
各 段 階で の解 放ひずみ の合 計を求めた。
な お, cut1
の位置は,
切 断に よ り板の曲 げひずみの 変 動 が 解 析 的に最小と な る よ うに決定し,
切断 時の ひずみ変 動が微 小で あ ること を確か めて い る。
解 放ひずみ (ε。
)の 測定結果の一
部を図一2
に示す。 解放ひずみ は管 軸,
管 周成分 と もに管 外 面が 圧縮,
内面が引 張りとな っ て い る。
ひずみ は管 周方向に若 干変動して いる が,
変 動の傾 向は 各管ご とに異なっ てお り,
溶 接 位 置 や, 径 厚 比に関 連し た特 定の分 布 形の傾 向 を 見い だ すこ とは出来ない。
各 供 試 体の管 内外 面に おける管 周 方 向およ び管 軸 方 向解放ひ Er〔xlO’
3) 2.
o151.
o0500O.
5.
1.
0一
1.
5一
2.
0 0°
虹 18ぴ 27(v°
36cv°
(c)D=
165.
Znm,
te7.
lmm(RS22) 表一
2 開放ひずみ の平 均 値 (X10−
5) 供試 体 名 RSl1ARS1 工BRS 里2ARS12BRS21RS22 管 軸 方向 外 側一
lo28_
1124一
lo95.
253一
1281一
1763 内側 7759386992428001396 管 周 方向 外 側一
500一
224.
353一
363一
2τ6一
366 内側 3805D5423584332487 Pl P脅
図一
3 短 柱 圧 縮 実 験 9(xlO2MPa ) 5.
o4.
e3.
0101,
0 P存
P“
図一
4 管の引 張 試験 σ(xlO2MPt ) 5.
o4、
03.
Oze1、
O o,
o o.
0 0 5 10 1S 2D 25 0 30 6e 90 120 (a)WSG によ る (b)DG による 図一5
圧縮 応 カー
ひずみ関 係 (短柱圧縮実験)一 86 一
N工 工一
Eleotronio Libraryずみの平均値を表
一
2に示す。
2.
3 短 柱 圧 縮 実 験と管のままの引 張 実 験 電縫鋼管は, 製 造 過 程で受け た塑 性ひず み履 歴と封入 さ れ てい る残 留 応 力の影 響で,
材 として の圧 縮 軸 カー
軸 変形 関 係 がRound−House
形に な る。
また,
製 造 過 程で 受け た各部の ひずみ履歴の影 響が管の材 軸 方 向に対し て 対称に なっ てい ない た め, 管の引 張 挙 動 と圧 縮 挙 動が若 干 異な るこ と が 知ら れ てい る】}。
こ こ では,
管 として の 圧縮 挙動と引張 挙動の関係 を 明確にする ために, 図一
3 に示す短柱圧 縮 試 験 と 図一
4に示す管の引 張 試 験を行っ た。
試 験 体の材 長は,
直 径D =
114.
3mm の鍋 管で は,
圧 縮 L=
300mm,
引 張 りL =
500 mm,
D
; 165.
2mm
の鋼 管では,
圧 縮LM50
mm,
引 張りL =
6DO mm とし た。
得ら れ た 工学的応 カー
ひずみ関係を圧 縮 試 験につ い ては 図一
5に,
引 張 試 験につ い ては 図一
6に示す。
(a) 図は ひずみゲー
ジ, (b
)図は変位 計の デー
タに基づ く 結果で あ る。 圧縮時はRound −House
’
形の応 カー
ひずみ 関係 を示す。
引 張 時に は比 例限応 力 以 降で非 線 形 挙 動を 示す が, 明瞭な降伏 点踊場が認め られ, 材 軸 方 向に異 方 性が生じ てい るこ と がわ か る。 降 伏 応 力 ay は圧 縮 試 験 の 場 合は0,
2% offset 法に より求め,
引 張 試 験で は,
降伏点踊場の応 力と し た。
各 材と も3体の実 験 を行っ た が,
ほとんど 差’
は認め ら れ な かっ だ。
降 伏 応 力の平 均 値 を表一
3に示す。
圧 縮 試 験で は材 端 部に リング形の局 部 座屈が発 生し, そ の後 圧 縮 抵 抗が低 下し た。
引張 試 験で は材 中 央 部に く び れ が生じ,
最 初に溶 接線に直行す る亀 裂が発生し,
それ が管周方 向に進展して破 断した。
2,
4 引張 試 験片 に よ る 引 張 実 験 引 張 試 験 片に よる実 験によれば, 管 周 方 向の各 位 置で 若 干そ の力 学 特 性が異な る ことが報 告さ れ てい るa >。
こ れ ら は, 溶接
加工による局 所 的な熱 履 歴と, 冷間成 形 加 工における塑 性 履 歴の差 異によるもの と考え ら れ る。 こ こ で は図一
7に示す よ うに, 溶 接 線を中心に管周 方向に 6 等分 し た各 位 置か ら採 取 した試 験 片 (No .3,
No .
6〜
No .
10
)と溶 接 線 を 中 心に供 試 幅 を 変 化 さ せ た試験 片 (No .
1〜No .
4)な ら び に 溶 接 線 近 傍か らの 試験 片 (No .
5)に よ る引 張 試 験を行っ た。
実 験は, 試 験 片が 湾 曲して いる た め そのま ま試 験 機のつ かみ部に セ ッ トす る こと がで き ないの で,
加 藤ら91と同 様に両 端 部に ピン を有す る装 置を 用いて 行っ た。
得ら れ た 応 カー
ひず み関 係の例を 図一8
に示す。
溶 接 線 近傍を除く管 周 方 向 各 位 置で の挙 動はほぽ同一
で ある が,
溶 接 線 近 傍の挙 動は試 験 片の幅に よ り大き く異な る。
また,
応 カー
ひずみ 関係 は元たわみが ある に もか か わらず 降 伏 点 踊 場が あ る場合 とRound・
House
形に な る場 合があ る。
これ らの 実 験か ら得 ら れた降 伏 応 力 (σ9
)と引 張 強 度 (ae)を表一
4に示 す。
σ(xlO2MPn ) 5.
04.
03,
0zo1.
0『
σ(・
102MPE) 5.
04.
03、
0ZO 」,
0 O I5 30 45 60 0 40 80 120 160(a)WSG によ る
(b)DG によ る 図
一6
引 張 応 カー
ひずみ関 係 (管の引 張 試 験 ) 匿…
珮
皿
慣
轟 摯 σ〔xlO2MPe ) 6.
o i、
o 急o 凸 oい
一
一
19 h一
一
o 凾 峨畑
NOj
NO
.
6−
NalO Nal Na2 NOA図
一
7 管周方向各位置で の引張試験片 6(xlO2rm ) 6.
0 4.
0 ZO D=
1652tmll t珂,
5 賄 ロ 鳩 四 m器
Na5 ε働 ) 0.
0 0.
0 0 10 20 30 4Q O、
10 20 30 40 (a)溶 接 線近 傍.
(b)一
般 位 置 図一
8 引 張 応 カー
ひずみ関 係 (引張 試 験 片によ る) 表一
3 降 伏 応 力 {x10ZMPa ) 供試 体 D≡
ll42 ら=
3.
5(A) D=
114.
2t=
4・
5(A) D;
165,
2 t=
4.
5D言
165,
2 t=
7.
1D;
114.
2 二=
3.
5〔B) D;
114.
2t=
4.
5(B) 圧鼇σ
r3.
403.
243.
673.
553.
424.
30 σo.
5 窃.
503、
363.
763.
783.
504.
34 管の引 張 3,
693.
60 岳.
LD一
一
引 蜘 拭験 片 39ユ 3.
594.
053.
B4一
一
表一
4 引張 試 験 片に ょる降 伏 応 力と引張 強 度 (×102MPa ) 鋼管 鶴 12345678910 CT 上1σ
v5.
885、
L75.
094.
734、
023.
813.
913.
843.
793.
96 σ β 6.
375765.
705、
334.
925.
3了 5454.
7臨 4.
694.
67 CT12 σ 『 5.
635.
085.
054594、
043、
383.
273.
593.
583、
83σ
B6.
02一
5.
495.
174、
724.
794.
734.
624.
534、
60 CT21 σ 5.
144.
684.
924、
了64、
393.
913.
9ア 4.
094.
08407 σ 召 5.
695.
455.
845334.
955.
065.
104,
754.
744、
70 CT22 σ r4.
664214.
334、
ao4、
253、
873.
723.
773.
943.
S3 σ β 5.
314.
935.
305.
D95.
085225.
034.
554.
654、
62一 87 一
NII-Electronic Library Service
3.
考 察3.1
残 留応 力 電縫 鋼管の残 留応力は,
複雑な塑 性 加工履 歴によ り生 じる ため,
板 厚 方 向に非 線 形 的に分 布 する だけ で は な く 複合応力状 態と なっ て い るこ と が知 られてい る3)・
‘)。
こ の残 留 応 力の分 布 形とそ の大きさを 直接 測 定す ること は 困 難で あり,一
般 的には解 放ひずみ を測 定す ること に よ り類 推して いる。 図一2
の解 放ひずみ分 布か ら分か る よ うに,
管軸,
管周 方 向の残留応 力分布は管周方向に若 干 変動して い るが, 溶接線を中心 と す る明 瞭な特 定の傾 向 は認め ら れ ない。
管 軸, 管周方 向の解放ひずみ を用い,
円 筒 シェ ル の弾 性 理 論に より求め た残 留 応 力 (膜 応力 Nr と曲 げ応 力Mr )の 管 周 方 向で の平均値を表一5
に示 す。 また分 布の一
例 を 図一
9に示す。
そ れ ぞ れの値は降 伏 軸 力,
降 伏 曲げモー
メ ン トで無 次 元 化してい る。
た だ し,
降 伏 応 力は短 柱 圧 縮 試 験による値 を用い た。
曲げ応 力は一
般に管 周 方 向に比し て管 軸 方 向 が大き く, そ の値 は かな り変 動して お り,
降 伏モー
メン トの60
%〜
70 % の ものが多い が, 降伏モー
メ ン トの 20 % と小さい場 合 や108% と 大きい場 合 も ある。
ま たこれ ら の値は 必 ず しも管の径 厚 比 の 〃 )に関 係して い る とは言え ない 。 管 周 方 向の曲 げ 応 力は,
管 軸 方 向 応 力の 50%〜
70 % と なっ てい る場 合が多いが,
管 軸 方 向の残 留 応 力が小さい 場 合に管 周 方 向の残 留 応 力が大き く なっ て いる例 も あ る。
図一
9か ら も 明 らかな よ うに,
残留応 力 は管 周 方 向 に は そ れ ほど大きく変 動せ ず, 第一
次近似 的には一
様に 分 布して い る もの と考え て よい。
以 上は断 面 力と して の 残 留 応 力であり,
実 際の残 留 応 力が管 厚 方 向に どの よう な分 布 形とな っ て い る か は不 明である。
加藤ら3 ), 筆 者4) の解 析 的な研 究で は, 非 線 形な台 形 分布と なっ てい る。 こ の問 題につ い て は後で検 討す る。
3,
2 降伏 応力と引張 強度 明 瞭な降伏点踊場の ない材料の降伏応力と して,
通 常 0.
2% offset耐力 を 用い て い る が,
ひずみ が0.
5%時の 応 力が用い ら れ る場 合 もある。
電縫鋼 管材の管の ま まの 引 張 試 験,
引 張 試 験 片による実 験では明 瞭な降伏点踊場 が あ るか,
踊 場 がな い場 合で も ひずみ硬 化の勾配が比較 的 小さ く,0,
2
%offset 耐 力とO.
5%ひずみ時 応 力に差 があ まり な い。
し か し, 短柱圧縮 試験で は Round−
House 形の傾 向が強く,
O.
2%offset 時の接線 係 数は弾 性係 数の 2.
4〜
11% と変 動が大きい。一
方軟 鋼 を 用 い た本 実 験では,
0.
5 %ひずみ時の接 線 係 数は弾性係数の 2.
4〜
4.
8% と変 動が小さ く なっ てい る。
残留応力が特 に大きな鋼 管の場 合に は,
0.
2%offset 耐 力 は 必ずし も 塑 性 域の抵 抗 を示す基 準値と な らず,0.
5
% ひずみ時 応 力の方が適 切な場 合も あ る と考えら れ る。
表一
3に圧縮 試 験に お ける O.
2% offset 耐 方 (σy)とO.
5% ひずみ時一 88 一
表一
5 開 放ひず みにより求めた残留 応 力 (N,
/Nv,
M,
IMy
) 供試 体名 RSILARSIIBRS12ARS12BRS21RS22 管軸 方 向 腹 応 力 0.
090,
03O.
12一
〇.
01o.
130.
03 曲 げ応力 0.
68o.
74o,
690200、
691.
08 管 周 方 向 腹 応 力 0.
06.
0,
07O、
02一
〇.
050.
030.
07 曲 げ応力 0.
47o.
440.
450.
280.
370.
57 σy(xlO2 MPO 6.
o 4,
0 2.
0 画1Ny,
Mr/My) 1.
5 1・
O e.
50.
O.
05一
1.
G 図一
9 残 留応 力分布 CB〔xlO2MPa ) 6.
0 4.
o 臥o O.
e 9 0,
0 eseam goo 1800 0neO Eeam s恤 goo 1800 刀oo 5 (a)降 伏応力 (b)引張強 度 図
一
10 管周 方 向の降 伏 応 力,
引張 強 度 分布 (x102 MPa) 8.
O 6,
0 4.
o 2,
0 (xlO2MPa ) S.
0 6.
0 4.
o 10 O・
O )O.
O皿
皿
) seam 3 6 9 1Z 15 seam 3 6 9 12 15 (a)降 伏 応 力 (b)引 張強度 図一
11 溶 接 線 近 傍の材 料 特 性 Uyt(B1.
e0.
80.
6o.
40,
20.
O sean 90°
rSO°
mo°
勁 皿 図一
12 降 伏 比 N工 工一
Eleotronio Library応 力 (σ。
.
5)の値 を 示してい る。
両 者の比はO.
94
− O.
99と一
なっ て お りう 残 留応
力の大き な材の場 合の み両 者の差が 大き く なっ てい る’
。
管’
ど し ての圧縮 降 伏 応 力と引 張 降 伏 応 力の比は1.
09−
1.
11となっ て お り,
引 張り1
の方が約 1割 高い応 力 を 示r
して い る の は越 智らηと同 様の結
果で ある。
引 張 試 験 片に よる降 伏 応 力の平 均 値と, 管の まま の引 張 試 験による降 伏 応 力の比は0.
99〜
1.
05.
と なっ て おり,
あ ま.
り差がな し 次に降伏応 力の管周方向分布を 調べ る。 図一
10(a)から明からなよ うに,
溶 接線 位 置で の降 伏 応 力は大き く なっ ている が, 溶接線以外の位置で は あ まり変 化は ない。 溶接線か ら60°
の位置で若 干 低く なっ て いる場 合 もあ る が,
第一
次近似 的に は ほ ぼ一
定と 考えて よい。 降伏応 力は,一
般部に対し て溶 接部で は 10〜
40 %高く なっ て お り,
板厚が や や厚い鋼 管の場 合 に は変 動が小さ く なっ て い る。 溶 接 位 置 近 傍の降 伏 応力t 分 布を さ らに詳 細に調べ る た め,
試 験 片 幅を変化さ せ て 行っ た実験結果か転、
各部の 降伏応 力 を推 定して得た結 果を図一
11 (a).
に示す。 すぺて の試 験 片とも溶 接 線 位置 が最も降 伏 応 力が高く, そこ か ら4mm 離れ た位 置で若 干 低 下 し,
6mm 離れた位 置で再び高く なり,
9mm 程 度 離れ る’
一
と変化 が緩やか になる。 し か し,
15 ihm 離れ た位 置で も一
般 部 分に比し て降 伏 応 力が若 干 高く,
溶 接 の影 響を受けて い ること が分か る。図 か ら分か る よ う に,
こ の傾 向は溶 接線か ら の距 離に関係 し,
板 厚には あ ま り 関係し ないよ うで ある。.
引 張 強 度が管 周 方 向に どの よ うに分 布 する か を図一10
(b
)に示す。
降 伏 応 力の分 布と異なり,
溶 接 線か ら60°
の位 置 までが他の部 分に比 し て強 度が高 く なっ て い る。 溶 接 線か ら120°
,
180°
位 置の 3試 験 片の平 均 引 張 強 度 に比し て,
溶 接 線 位 置で は 15−
23 %高 く, 溶 接線か ら 60°
の位 置で は4〜
15%高く なっ て い る。 し たがっ て, 降伏 比の管周方 向の分布を み る と (図一12
),
溶接 線か ら60°
の位置が小さ く, 溶接線上 が 大 き く なっ てい る。 溶 接 線 位 置が溶 接の影 響で大き く なっ てい ること は当然 であるが,
溶 接 線か ら60°
の位 置 が他の部 分に比し て小 さく な っ て いる の は,
そ の位 置の応 カー
ひずみ関 係が最、
もRound
House
形の傾 向が強く’
(図一
8 参照), 製造 過 s 程で受 ける塑 性ひずみ履 歴に影 響 されて い るもの と思わ れ る。
引 張 試 験 片による引 張 強 度の平 均 値と管の ま ま の 引張試験に よる強 度の比は 1.
04−
1.
09と なっ て お り,
管の ままの引 張 試 験によ る強 度は試 験 片に よ る値よ りも 小 さ く なっ て い る。
溶 接 部と一
般 位置の伸び 率の 差 が小 ざいST
21の場 合が最 も小さ く,
1.
04と なっ てい る。
3.
3 応 カー
ひずみ関 係の近 似 表 示 Round−
House 形を示す応 カー
ひずみ関 係を表 示するた めに,
Ramberg−Osgood
形の 関数 を 用 い るこ と が多い が,
ここで は接線係数と応力ま た は ひずみ の関係に注 目 す る。
比 例 限か ら降 伏 応 力に至る領 域につ い て は,S.
EtEL5 1.
o 0,
5 E【但 1.
5 1.
0 o.
50
,
0 05 LO σ/σ y 叺0 30 6.
0 9.
O IZO E左r(・)接 線係数
一
応 力 関 係(b)接線係 数 二ひずみ関 係
(短瓣 実験)
(管の引 張 試 験) 図
一
13 接 線 係 数と応 力 (ひずみ 〉の関 係 E【’E15 1.
0 O.
5 0.
0 0.
0 E【’E1 :5・
1.
0 O.
5 O.
0σdey en /t「r σ/σy eaAli ELtty εvty ε/br
(a)接 線 係 数
一
応 力 関係 (b)接 線 係 数一
ひずみ関 係 のモ デル化 のモ デル化 図一
14 接 線 係数 と応 力 (ひずみ)の関係の モ デル化 表一
6 圧 縮 応 カー
ひずみ関 係のパラメター
鋼 管 σ01σ
vσ
4σ
” E矗/Eo 彪 SCIIA0.
6000.
9901 〆350.
095 SCllB0.
4501.
0001 〆350、
08D SCI2A0.
4701.
00011350.
095 SCI2B0.
8000.
980 !1500.
0&5 SC21e,
6300,
98511300,
071 SC220,
0901,
105 ∀30’
o.
138 表一
7 引 張 応 カー
ひずみ関 係の パラメター
鋼 管 ∈0/⊂”
εL〆c”
∈匙/‘”
⊂ノ/ε”
8」
〆Eo 鳶(×1Q膊
5) STU0.
4501.
531880.
84L !704.
0 ST120.
510L47L711.
1411704,
1 ST2正 D.
5601.
41L511、
761 !704,
7Toma
ら は複合残 留応 力を考 慮して線 形 関 係、
にゆ,
松 井 ら は 座 屈 応 力 を 正 確に求め る た めに 2’
次曲tw1
]}に仮 定し て いる。 こ こ では ひずみ硬 化域を含めて考え,
圧 縮 時 (短.
柱 圧 縮実験〉には応カー
ひずみ関 係の接 線 係 数と応 力, 引 張 時 (管のま まの引 張 実 験 )に は接 線 係 数とひずみ の 関 係 を 求 め 図 示 する と図一
13(a),
(b
)の よ うにな る。
応 カー
ひずみ関 係を近 似 的に表 示す る た め,
圧 縮の場 合 は図一
14(a)の よ うに比例 限応力 a。と管の全 面 塑 性 化 時 応 力 σ 1を境 界点と し, 各 領 域で接 線 係 数と応 力の 関 係 を 線 形 関 係,
引 張りの 場 合は 図一
14 〔b
)の よ うに比 例 限ひずみ ε。と管の全 面 塑 性 化 時ひずみ ε 1 を境界点と し, 各 領 域で接 線 係 数 とひずみ の関 係 を 線 形 関 係に近似 する。 た だ し,
引 張り の場 合は塑 性 流れ域 を表 示す る た一
89
一
NII-Electronic Library Service め, 管の全面塑 性 化 後に接 線 係 数が ゼ ロ で あ る部分を置 く
。
こ こで,
εk は塑 性 流れ開 始 時ひずみ で,
ε:は ひず み硬 化開始 時ひずみ である。
図 中のic
は 降 伏 後の応 力 (ひずみ) 増大に伴う接 線 係 数の 低 下 率を示すパ ラ メ ター
で あ る。 各供試体の応 カー
ひずみ関 係と良 好な一
致 を示す よ うに パ ラメ ター
を決 定す れば,
圧縮に対し て表一6.
引 張 り に対して表一
7が得ら れ る。
これ らの値を 用いて求め た応 カー
ひずみ関 係 (破線 (A
))と実験 値の 比 較 を 図一
15に示す。
圧 縮 時, 引 張 時 と も良 好な精 度 で実 験 値を 近似してい る こと が 分 か る。
しか し,
こ れ は 各々 の実 験値を用い てパ ラ メ ター
を決定し たもので あ り,
当然の結果であ る。
以下で は,
各パ ラメ ター
の相 互 関 係を検討 し,
あ る実 験結果 か ら他の実験結 果が どの程 度 推 定 可 能で あ る か を検 討す る。
構 造 実験の際に一
般に 行わ れ る短柱圧 縮 実 験結 果を基準と考え る。 弾 塑性域に お け る応カー
ひずみ関係の非線 形特性は, σ。,
ay,
a。.
5 が 決ま れ ば定まる と考え られ る。
管の全 面 降 伏 時 応 力 σ、 は,
図一
16に示 す よ うに σ e とσe.
s を用い て表すこと が で きる。 管の全面 降 伏 時の接線 係数 は ヤン グ係 数の約 1/35で あり,
その後のh
の値は小さ く, そ の変化は応 カー
ひずみ閧係に大き く影 響 を及 ぼ す ことはない の で,
h =
O.
1と一
定の値と す る (表一6
参照)。
こ の ように簡 略 化し て求め た応 カー
ひずみ関係を 図一
15 (a)に一
点 鎖 線 (B
)で示し てい る が, 十分正 確に実 験 値 を追 跡して い る もの と考え ら れ る。
次に引張 応 カー
ひずみ関 係 との 対 応 を考え る。 まず圧 縮,
引 張 時の比例限応力の絶対 値 の比は O.
82〜1.
18
の範 囲に ば らつ い て いる が, これ を 1と する。 また圧縮 降伏応 力と引張降伏 応 力の比 を表一
3を参 照 して,1,
1
と す る。 降 伏点踊場は存在す るが, 踊場の範囲は原鋼板ほど大き く な く, こ こでは踊 場 開 始 点 を1.
7ε。,
踊 場 長さを1,
0εy とし,
ひずみ硬 化 域のk
の値は 4.
0×10−
5 と す る (表一
7参 照 )。 この よ うに して,
圧 縮 試 験 結 果か ら引張 試 験に よ る応 カー
ひずみ関係を類 推 し た結 果を 図一15
(b
)に一
点鎖線で (B
)で示す。
こ の方法による応 カー
ひずみ関係 も実験値 を良 好な精 度で 追 跡して いること が 分 か る。
3.4
残 留応力と応 カー
ひずみ関係 管の圧縮,
引 張 試 験結果 か ら 明 ら か な よ うに, 比 例限 応 力 ま たはひずみ は残 留応力が小さい管で は大き く, 大 きい管で は小さ く なっ てい る。
比 例限応 力は残 留 応 力の み で はな く,
塑 性 加工によ るバ ウ シンガー
効 果も関係し て いる と考え られ る’2)。
福 本ら2レは 残留 応 力が管 厚 方 向 に矩形分布す る と仮 定 して, 解 放ひずみか ら管 軸, 管 周 方 向の残 留応 力の大き さ を推 定しt 比 例 限応 力との 関係 を調べ て い る。 本 研 究で は残 留応力が管厚 方 向に線形 分 布 すると仮 定し,
福本ら2〕と同様の方法で,
残 留 応力と 比 例 応 力の関係を検討する。 管軸方 向の付加応 力が弾性 的で ある限 界,
す な わ ち 比例 限応力 σt
”はvon−Mises
の一
90
一
σ〔x101 MPa) 5.
04.
03.
oZO1.
00,
0 0 5 10 1S 20 25 (a)短 柱圧縮の揚合 σ1ノσ y1.
15 1.
10 1.
05 1.
OQ 図一
15 qxlOIMP ,) 5.
04.
03.
OZO 1.
0 O.
00 5 10 1S 20 25 30 (b>管の引 張の場 合 応 カー
ひずみ関係 σ面, 1.
0 05 agoo
1」}s
a。
.
Vcry(’
一
゜ o,
。05
(撒TT 図
一
16 σ、
と ae.
5の関係 図一
17 残 留 応 力と比 例 限 応 力の関 係 E【
£ O.
0.
Ec/E 1.
0.
0,
(a)接線 係 数一
応力関係 (圧縮)(b)接線 係 数一
ひ ず み 関 係 (引 張) 図一
18 接 線 係 数と応 力 〔ひずみ)の関 係 降伏条件 を用いる と次 式で示さ れ る。
(σ『+σ rr) :一
(σt
”+σ。
。
) a,
θ+(σ。
θ)』 (げ……
(1) こ こ で, σtt, σ。e は引 張り の場 合は管 外 面の, 圧縮の場 合は管 内 面の管 軸, 管 周 方 向の残 留 応 力である。 こ の よ うに して求 め た比 例 限 応 力 と実 験的に求 めた比 例 限 応 力 の比較を 図一
17に示す。
実験 (a。)と解 析 (σ罰 により得 ら れ た比例 限応 力は比較的よ く一
致し ている。
こ の こと は, 非 線 形 的に分 布する残 留 応 力の最 大 値とパ ウシン ガー
効果に よ り低下す る と考え られる比例限 応 力 を,
残 留 応 力が線 形 的に分 布す るもの と仮 定 することに より, 第一
次近 似 的に は推 定 可 能で あること を示して い る。
解 析 結 果に よれ ば3 )・
4),
残 留 応 力は管 厚 方 向に台 形 的 に分 布して い る。 こ の 非 線 形 分布が応 カー
ひずみ 関係に ど の よ う に影響 を与え る かを調べ る た めに,
加 工 履 歴 解 析を行っ た 鋼 管4 〕を 用 い て引 張 り, 圧縮の 数値 実 験を 行っ た。
図一
18に接線 係 数と応 力 (圧 縮 時)な ら びに N工 工一
Eleotronio Library接 線 係 数 とひずみ (引張 時 )の関 係 を 示 す
。
これ らの 図 よ り,
台形 的に分 布する残 留 応 力の圧 縮 側 (ま たは引張 側 ) がすべ て降 伏し た後, 引 張 側 (また は圧縮 側 )部分 が降 伏 する まで に,
若 干の応 力また は ひずみ の変 化が 必 要で ある こと がわ か る。一
方,
図713 に示す よ うに,
実 験 結 果で も比 例 限応 力 以 降で全 面 降 伏に至る間に一
時 的に接 線 係 数の変化が少ない領 域が認め ら れる。 こ れら の結果か ら,
残 留 応 力は管厚方 向に台形的に分 布し て い るもの と考え られ る。3.
5
電縫鋼管の変形能力 電縫鋼 管は塑 性 加工履歴を受けており,
また残 留 応 力 を有してい ること か ら,
引張試験におい て は伸び率が問 題と な り,
圧縮試験で は局部座 屈 時や最 大 耐 力 時の ひず みの レ ベ ルが問題 と な る。 まず,
引張試験 片に より得ら れた管 周 方 向 各 位 置の伸び率 ηを図一
19に示す。 溶 接 部は他の部 分に比 して伸び能 力が小さ く なっ てい るが,
管径の小さい試験片CT
11,
CT
l2 (D=
114.
3mm )で は その傾 向が特に著し く, 溶接部の伸び率は他の約 半 分 と なっ てい る。
管 径の や や大き な試 験 片CT
21,
CT22
(P =
165.
2mm )の場 合には その差は小さ く,
特に溶 接 部と他の部 分の 降 伏 応 力の 変 化が少な いCT
22 試験 片で は,
伸び率の変 化 も少な く なっ て い る。 管の ま まの 引 張 試 験の場 合に,
破 断が溶 接 線か ら生じ ることは溶 接 線の伸び率が小さい た め と考え ら れる。 試 験 体の長さが 異な る ため,
管の ま まの引 張 試 験の伸び率 を 直 接 比 較で き ない の で,
こ こ で は最 大 応 力 時の ひずみ を比 較 する。
表一
8に示す ように ST 11とST
I2の場 合は ほ と ん ど 同じ であるが,
ST 21の場 合 は 明ら かに小さ く なっ てい る。
溶 接 線で は,CT
ll,
CT
12の伸び率がCT
21 よ り 小さ い が (図一
19),
管の ま まの 引 張 試 験で はST
II,
ST I2の方がST
21 に比 して大き な最 大 応 力 時の ひず み を示し てい るのは,CT
11,
CT
12
の一
般位 置の伸び η (% } 30 10 o e seam 馴〕 180 ηO°
seam 図一
19 伸び率 qxlO:
MPn) 5.
o4.
O3.
o101,
0 Ed一
ε騨
S(151Be”
ε官
:suain (wire 即ge) Ed;舳 (dialgn8e) 巳4 o.
o e(9h6)、
ae 5.
e 10.
O l5.
a 20.
0 25・
O 図一
20 圧 縮 応 カー
ひずみ関係 表一
8 管の引張実験に お け る最大 応 力と最 大 応 力 時の ひずみ (X102MPa,
% ) 1 2 3 溺 供試 体 応 力 ひずみ 応力 ひずみ 応 力 ひずみ ST114.
5713.
04、
5712.
24.
6012.
2 ST124.
381204.
3512.
44.
38 夏L5 ST2/一
一
4.
666.
34.
647.
1 率が大きい た め と考え ら れ る。
す な わ ち,
管の まま の引 張 実 験にお け る最大 応 力点の ひず み を決め るの は,
溶 接 線 位 置の伸び率だ けでは な く,一
般 位 置の伸び率 も関 係 してい る。
ま た,
溶接 線近傍の伸び率が小さい こと が,
引張試験 片 と 管の ま まの引 張 試 験 結 果に お いて, 降 伏 応 力 が あま り差が ない の に,
引 張 強 度は管の ま まの試 験 が や や小さい 値に与え る ことになっ てい る原因の一
っ と考 え られ る。
こ の こ と は,
溶 接 部と他の部分の伸 び率の 差 が 小さいST
21材の場 合に,
引 張 強 度の差も小さ く なっ て いることと一
致 して いる。 軸 力 を 受ける鋼 管 材の局 部 座屈挙 動につ いて多 くの研 究 が 行われ て いる。
し か し, 従 来の研究で は, 最大耐 力 点のデー
タ か ら,
分 岐 点の ひずみを推 定して おり5),
実 験 的に分 岐 点の応 力, ひずみ を特 定する 方 法が示さ れて い な かっ た。
比較的 径厚比の小さい鋼管材が短 柱 圧 縮 さ れ る と き,軸 力 が ある値にな る と座屈波が生 じ始め るが,
耐 力は 上昇す る。 局 部座屈波 が生じ る と,
軸 方 向の変形 は一
様な軸 縮み と局部座屈部 芬の変形 を含むことに な り,
平 均ひずみ は局 部 座 屈が生 じて い ない 材 中 央 部の ひ ずみ よ り大き く な る。
し た が っ て,
試 験 中に ひずみゲー
1.
25 1.
20 1,
15 1.
10 LO5 σ/q 勲 ・譁
繃 ● 重hcory SC1且C ρ max 皿 um SC11A o b血 Lion ロ嬲
撃
麒毒
穂 働1
:
瓢
トニ
_
_ _豊
0 0.
04 0.
05 0.
06 α07 図一
21 電縫鋼管材の局部座 屈耐力 {ソεy、
15.
0 12.
0 9.
0 6.
0 3.
O 蹴衛
蹴
饗
・ー
繖 ・ theop「
▲
MaXl口IUM obifUrcatian 励盞
蟲
O、
0 0 0.
04 0.
05 0.
06 0.
07 図一
22 電 縫 鋼 管 材の局部 座屈時のひずみ??
一一 91 一
NII-Electronic Library Service ジ で測定した材 中央部の ひずみ (εw)と変位計で測定し た 材 全 体の平 均 的な ひずみ (ε∂ を比べ れば, 局 部 座 屈が生 じ始める点 を定める こ と が で きる
。
試 験 体 両 端 部に お け る加工 上の不 整や試 験 機か らの拘 束の影 響が ある の で, 初期の段 階か らひずみ ゲー
ジ と変 位 計で測 定し たひずみ は完 全に は一
致して いないが,
局部座 屈が生じる とそ の 差が よ り大き く な る。
図一20
にその 差 〔εd一
εw)と 応 力 の関係の一
例を示し ている。
矢 印で示し てい る点で は, 両 ゲー
ジで測 定し たひずみ の差 と応 力の関 係 曲 線の接 線 係 数が明らか に低 下し, 座 屈 波が生じ始め る分 岐 点と考 えること がで き る。
最 大応力度am。x に対 応す るひずみ εmax を加藤ら5}は, 最大応力時に ダイヤルゲー
ジで測定し た軸 変形か ら局部 座 屈 部 分の 曲 げ 変 形 と考えられ る部 分 を 除いた変 形によ り定義し たe 本研 究で は局 部 座 屈が生じていない部 分に 貼 付す るひずみゲー
ジで測定 し た最大 応 力 時の ひずみ を εmax と す る。
試 験体両端 部の影 響 を除け ば, こ の 二方 法で決め たもの は実 質 上 同じ であると考え られ る。
加 藤らS) は古 典理論に基づ き,
円 形鋼管の局部座 屈が 生 じる分岐点 応 力が次式で 与え られ るこ と を示 した。 哘一
疂
厩
…・
……一 ・
・
………
(・〉 図一21
に実験に よ る 分岐点 応 力, 最大 応 力と3.
3
節で 提 案し た応 カー
ひずみ関 係 を上 式に適 用し て求め た分 岐 点 応 力と径厚 比の関係を, 図一
22に以上の 各応 力に対 応す る ひずみ と径厚比の関係を示し た。SC
12A
(D ;
114.
3mm,
t= 4.
5mm )とSC
22 (D
= 165.
2mm,
孟= 7.
1mm )の場 合は, 分岐 点の実 験 値は計算値よ り若干 小 さいが, そ れ以 外は良い一
致 を示 して いる。
短 柱 圧 縮 実 験で得られ る最 大 耐 力およびそ の と きの ひずみ はいず れの場 合で も (2 )式に よ る計 算 値よりも大きい。 ま り変化が な い が, 溶接線近傍で は溶接の影 響によ り高 く なる (図一
10(a>参 照 )。
溶 接 線 近 傍での変 化は溶 接 線か らの距 離に依 存し て お り,
今回の実 験で は 管 厚 が 大 きい場 合に変 化が小さ く なっ て い る。3
) 引 張 強 度の分 布は引 張 降 伏 応 力の分 布と異な り, 溶 接線か ら約 60°
の位 置までが他の部分より高く なっ て い る (図一
10(b
)参照)。
これ は製造 過程で受け た塑 性ひ ずみ履 歴の影 響と考え ら れ る。
4) 塑 性ひずみ履 歴に伴うひずみ硬 化,
バ ウ シンガー
効 果の影 響に よ り,
電 縫 鋼 管 材の応 カー
ひずみ関 係は引 張 りと圧縮の場 合で異な り, 降伏応 力は引張り の場 合が圧 縮の場 合よ り約 1割 高く なっ て いる。 ま た 圧縮の場 合はRound・
House
形に なっ てい るの に対して,
引 張り の場 合は降伏後に明瞭な降伏点踊場を示して い る。5
)圧縮の場 合は接線 係数と応力,
引張り の場 合は接 線 係数 と ひずみ の関 係 を 各応力状態に応 じ た 区 分線 形 関 係 に モデル化す ることに よ り, 応 カー
ひずみ関 係を近 似 的 に表 示 すること がで き る。 比 例 限応 力は.
測 定し た管軸,
管 周 方向の複 合 残 留 応 力が管 厚 方 向に線 形 分 布す る と考 えて求め た値と ほ ぼ一
致している。6
) 溶 接部の伸び率は他の位置よ り小さ く なっ てお りt そのた め,
管の ま まの引 張 試 験で は破断は すべ て溶 接 線 か ら生じる。 ただ し, 管の ま まの引 張 実 験における最 大 応 力時の ひずみを決め る の は溶接 部の伸び率だけで はな く,一
般 位 置の伸 び率 が 大き く な る と,
その値 も大き く な る。7
) 短柱圧縮時に局部座屈が生じ始め る点の応 力 とひず みは,
変位計とひずみゲー
ジで測定し た ひずみ の差と応 力の関係を 用い て求め ること がで き る。 その応 力とひず み は, 本研究で提案し た応 カー
ひずみ関係を加 藤ら 5)が 提 案し た式に適 用 して求め ら れ た値と ほ ぽ一
致して い る。
4.
結 論 本研究で は寸 法が異 な る 6種 類の電 縫 鋼 管 材 (STK
400 )につ い て多種 類の実 験 を行い, その結 果を考 察し た結 果,
以 下の結 論 が得られた。
1) 電 縫 鋼 管 材に は管 軸と管周両 方 向の複 合 残 留 応 力が 存在し, そ れ ら は管周方 向に ほ ぼ一
様に分布し てい る。 い ずれ も,
管の内側が圧縮,
外側が引張り と な る曲げ応 力が大部分で,
膜応 力は わずかであ る。 曲げ応力の値は,
管軸方向で は降 伏モー
メ ン トの 60%〜
70%の ものが多 いが, 20% と小さい場 合や 108% と大きい場合も あ り,
管 周 方 向応 力で は,
管 軸 方 向 応 力の 50%〜
70% と なっ て い る場 合が多いが,
管 軸 方 向より大き く なっ て い る例 も ある。 管 厚 方 向の分 布は,
管の中 央 面 を 対 称 点と す る 台 形に近い。
2) 管 周 方 向の引 張 降 伏 応 力の分 布は,一
般 位 置ではあ 参 考 文 献 1} 日本鋼構造飭 会標 準委員 会 鋼 管JIS
小 委 員 会 :塑 性加工 を受け た鋼材の機械 的性 質一
STK 41の引 張 な ら びに圧 縮に対する機 械 的 性 質,
JSSC,
Vol.
6,
No.
53,
pp.
2−
34,
1970.
3,
2) 青木徹 彦,
福本騰士 :小口径電 縫 鋼 管の統 計 的 材 料 特 性 と残留応 力の分 布の評価,
土木学会論 文 集,
第 314号,
pp.
39−
51, 1981.
10.
3) 加 藤 勉,
青 木 博 文 :電 気抵 抗 溶 接 鋼管のひずみ履 歴と 残 留 応 力,
日本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報 告集,
第230号,
pp.
43−
51,
1975.
4、
4) 辻 文三 :電 縫 鋼 管の引 張・
圧 縮 挙 動 (単調載荷 時の挙 動解析 }, 日本建築学 会 大 会学 術 講 演 梗 概 集 (北 海 道 〉,
C,
pp.
809〜
810,
1986.
8.
5) 加 藤 勉,
秋 山 宏, 鈴 木 弘 之 :軸 圧 縮を受け る鋼管の 塑 性 局 部 座 屈,
日本 建 築 学 会 構 造 系 論文 報 告 集,
第204号,
pp.
9−
17,
1973.
2.
一 92 一
N工 工一
Eleotronio Library6) 鈴 木 敏 郎
,
小 河利行,
加 藤征宏,
栗 本照彦 :軸 圧 縮 を 受 け る高張力 鋼管の強度性 状に関する研 究,
日本 建 築 学 会 論 文 報 告 集,
第321号,
pp.
28−
37,
1982.
11.
7) 越 智 健 之,
黒 羽 啓 明:冷 間 成 形円形 鋼 管 部材 の 耐 力 と変p 形 能の統計的評 価,
日本建築学会 構 造 系 論 文 報 告 集,
第 391号,
pp.
59−
71, 1988.
9.
8) 蓑 田 茂, 越 智 健 之,
黒 羽 啓 明 :冷 間 成 形 円 形鋼管の応 カー
ひずみ関 係,
日本建 築 学会 大 会 学 術 講演 梗 概 集 (関 東 ),
C,
pp.
909−
910,
1988.
10.
9) 加 藤 勉,
青 木 博 文,
黒 沢隆士 ;冷間成 形 角 形 鋼 管の塑 性ひずみ履 歴と残 留 応 力, 日本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報 告 集, 第385号, pp.
39〜
48,
1988,
3.
10) S
.
Toma and W.
F.
Chen :Analysis of FabricatedTubular Colurnns