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【論 文】
UDC :624
.
074.
42 :624.
042.
4 :55/.
578.
46日本 建 築 学 会構 造 系 論文 報 告 集 第 4Z6 号
・
1991 年8月 journat of Struct、
Constr.
En呂ng、
AtJ,
No.
426、
Aug.
,
19Yl膜構
造
物
の
屋
根雪
処
理
に
関
す
る
基
礎 的
研
究
FUNDAMENTAL
STUDY
ON
SLIDING
OF
SNOW
ON
THE
ROOF
OF
MEMBRANE
STRUCTURE
苫 米地 司
* ,山
口英 治
* * ,伊 東 敏 幸
* * * ,星 野 政 幸
* ** * 丁磁 θ5αTO
財 ンIBECHI
,
Hide
ゐaruy
、4
ハ狙G
ひCHI
,Toshiyuki
ITOU
andMasayaki
HOSHINO
The purpose of this experimental study is to obtain
basic
data
on snQw IQad and management of snow on the roof of me 皿brane
structure、
This
experiment wasdone
using theindoor
model andthe outdoor apparatus
,
We studiedproperties
of the roof snow under various conditions.
By
ex.
periments of the indoor model we investigated characteristics on the static sliding 正riction and the kinetic sliding
friction
.
As a result ,it
became
clear that the causes which give great influence on the sliding snow properties were temperature,
snow quality and snowload.
By the outdoor ex.
periments we
investigated
these results usingfactors
as theindex,
KeytOOiils:membrane structure
,
5ηoω 加4
static slidingfriction
膜 構 造物
,
雪 荷 重,
静摩擦1.
は じめ に 近年,
北 海道,
青 森 県お よび秋 田 県な どの積 雪 地 域で は,
冬 期 間の明る い空 間を求め て屋 根 葺 材に透 過 性の優 れ た テ フロ ンコー
ティ ング ガラス繊 維布膜 (以 下 「膜材」 とい う。
)を使 用し た 大スパ ン膜 構造物が 建設さ れて い る。 積 雪地域に膜 材を用い た大スパ ン構 造 物を建 設す る 場合,
屋根雪荷重や 屋根 雪処 理方法 が大き な問題 と な る。
さ らに,
透 過性を考 慮す る と,
で き る だ け屋 根 面に雪が ない こと が望ま れ る。 これ まで の膜 構造物の 屋根 雪に関しては,
雪 荷 重の軽 減 や 透 過 性の確 保 を 目 的 と して,
融雪処 理に関する研 究 が中心に進 め ら れて き た1,−
3 ] 。 こ れ らの結 果をみ る と,
ランニ ングコ ス トの問題や膜材との界 面に空 洞が形 成 さ れて断 熱 作 用を 起こ し,
融 雪が進ま な くな る現 象など が 指 摘さ れて いる。 膜 構 造 物は,
ドー
ム型な どの ように勾 配 を持っ た屋 根 形 状が多い。一
般に,
勾 配 を持っ た屋 根 形 状で は屋 根 雪 の滑 雪 現 象がみ られる。
こ の よ うな ことか ら, 近 年, 膜 材上の 滑 雪 性 状に関 する研 究が進めら れ て いるn)。
しか し,
実 験 例も少な く,
膜 材.
ヒの滑 雪 性 状に関する資 料の 蓄 積が不 十 分な現 状にある。 本研究で は,
恒温室で実施し た室内モデル実験と冬 期 間の屋 外 実 験 と を行っ て,
種々 の条 件 下にお け る膜 材上 の滑 雪 性状を検 討し た。 これ らの結 果をもとに,
膜 構 造 物の雪荷重 評 価や屋 根 雪 処理に関す る基 礎 資料 を得るこ と を目的とし て い る。
2.
実 験 方 法 2.
1 室 内モデル実 験 (1) 実 験 装 置 冬 期 間の種々 の温 度 条 件を想 定す るために,
図一
1に 示す 滑 雪 装 置を恒 温室に設 置し た。
恒 温 室は一
30℃〜
+60°
C の範 囲におい て 0,
5℃ 単 位で温 度 調 節が可 能で ある。
本 滑 雪 装 置は,
滑 動 挙 動の観 察,
滑 雪 角 度お よび 滑 雪速度の測 定が容 易な傾 斜平板 法 を採 用し た51。 本装 置は,
図のよ うにハ ンディウインチを巻き一
L
げ るこ と に より傾 斜 台の角 度 を変え るこ とが で き る。
傾 斜 台には,
図一
2に示す速 度 測 定 用 光セ ンサー
が 5 個取り付けて あ り,
有 効 滑 走 距as
1750 mm で あ る。
セ ンサー
読み取り 精 度は1/100秒で ある。
(2 ) 滑走モデルー
般に,
屋 根 葺 材に接す る旧雪の状 態は, 氷 粒 状の ざ ’ 北 海 道 工 業 大 学 建 築 工 学 科 助 教 授・
工博 # 北 海 道工業 大 学建築工学 科 大学 院生 牌寧
北海道工業大学建築工学科 助手 * * * * 北 海 道工業 大学 建 築工学 科 教 授・
工博Assoc
.
Prof.
,
Dept.
of Architecture,
Hokkaide Institute of Tech.
nology,
Dr.
Eng、
Graduate Student
,
DepL of Architecture,
IlokkaidD Institutc Qf Tech.
nolQgyResearchAssoc
.
,
Dept.
of Architecture,
Hokkaido Institute of Tech−
nologyPmf、
,
Dept、
⊂)f Architecture,
HokkaiClo Inst」tuしe of Technology,
Dr.
Eng.
一
99
一
N工 工一
Eleotronio Library表
一
1 実験 シ リー
ズ ● 1膜 材, ポ リカー
ボ ネイ ト,
鉄板O
:ポ リカー
ボネ イ ト ▲ ;膜 材 滑 走 積 雪 モデル 重 量 凍着 時聞 (分) 実験温度 (℃) (kg/皿2)一
10・
7.
5・
5,
0一
2.
5O.
0 +2.
5 0 ● ● ●o
● ● 1o ○oO
○o
205 ○ oO ○ 0 20 ○ ○ ○oo
40
○ oo ○o
0 ● ● ● ● ● ● 1 ● ● ● ● ● ● 405 ● ● ● ● ●20
● ● ● ● ● 氷 40 ● ● ● ● ● o ● ● ● ● ● ● 1oooooo 605oo ○o
○20ooOoo
40o
○ Oo ○o
● ● ● ● ● ● 1o ○ ○ oOo 805oooO0 20oOoo ○ 40o ○oo
○ 5 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ざら め 4040 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 120 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 5 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 雪 3Q40 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 120 △ ▲ ▲ mm に加工し た。 なお,
いずれの モ デル も重りを載せ て 種々 の積 雪 重量 を想 定した。 (3
) 実験シ リー
ズ 表一
1に,
実 験シ リー
ズを示す。 実 験に用いた 屋根 葺 材は,
膜 材の他に比 較 材 料とし て表 面が平 滑な ポリカー
ボネ イトとフッ 素樹 脂コー
ティング鉄 板 (近 年,
積 雪 地 域で屋 根 雪の滑 雪 を促 進する こと を目 的に多く使わ れ て いる屋 根 葺 材。
以 下 「鉄 板 」 とい う。
} を 用いた。
氷モ デル の実 験は, 膜 材, ポ リカー
ボ ネ イ トお よ び鉄 板 を 用 い て,
温度・
積 雪 重量・
凍 着 時間 を変え て 198種 類の条 件で実 施し た。
ざら めモデル, 雪モデル の実 験は, 膜 材 を用い て, それ ぞれ 15種 類, 13種 類の条 件で実 施し た。
(4 )測定方 法 実 験は,
各 滑 走モ デルを屋 根 葺 材に所 定の 時 間 凍 着さ せ た後,
ハ ンディウ インチ を 巻 き 上 げて滑 走モ デルが滑 り出し た時 点で 止め た。
その傾 斜 角をスラン トルー
ルで 読み取っ た。
滑雪と 同時に光セ ンサー
で滑 雪 速 度を測 定 し た。
な お,
氷モ デル お よび ざら めモ デル の場 合,
+2.
5℃ を除き 30分 以E
実 験 温 度 環 境に置いた。
雪モ デ ル の場 合,
採 取 し て直ち に実 験を実 施し た.
な お,
い ず れの実験 も同一
条 件で 6 囮 実施 し た。
2.
2 屋.
タト実 験 (D
実 験装置 屋外 実 験は,
図一
3に示す試 験 体を用い て写 真一
2に O ゆ OH脚
イ チ 巻き 上げロー
プ 有 効 滑 走 距 賦1750 250 〃〃
〃
〃 〃 傾斜 台 スラントルー
ル 光センサー
〃 ハ ンデ ウ イン唱
一
、s。。 図一
1 滑雪装 置一
、3。 図一
2 氷モデル 写真一
1 氷モデル の概要 らめ状,
ク ラ ス ト状お よ び氷 板 状な ど多結 晶で氷に近い 状 態に ある「).
% こ の こと を考 慮 し て本 研 究で は,
滑走 モデルとし て氷 板 似 卜 「氷モ デル」とい う。)を用い た。
な お,
膜 材にっ い て は,
雪 質の差異を検 討す る た めに,
ざら め 雪 を想 定し た ク ラッ シュ 状の氷 (以下 「ざら めモ デル 」とい う。
〉お よび し ま り雪 (以下 「雪モデル」と い う。
)を 滑 走モ デ ル と し た。
氷モ デル は, セ メ ン ト試 験 用の 三連 型 枠 を用いて図一
2お よ び 写真一
1に示す厚さ 20 mm の 断 熱 材に厚さ 20 mm の 氷 板を凍 着させ て作 製し た。 ざら めモ デル は,
氷 モ デル の 氷 板に ク ラッ シュ 状の 氷 (粒 径 約1−
3mm 程 度 〉を厚さ 5mm 程 度 凍 着さ せ て作 製し た。
雪モ デ ル は,
自 然 状 態の 積 雪 か ら サン プリン グ して ユ30× 130× 130NII-Electronic Library Service 図
一3
試 験 体 写 真一
2 屋 外 実 験の試 験体 設置 状 況 〔札 幌 市) 7JKす よ うに屋外に設 置しt。
図の よ うに,
試 験 体は断 熱 材 (50mm )内張 り の木 製チ ャ ン バー
(900Xl800
× 450mm )の上に膜材を張り付け た もの で ある。 こ の木 製 チャンバー
は,
ヒー
テ ィン グによ る投入エ ネルギ 量と 積 雪 重量 や外 気 温な どの諸 条 件 との関係を検討 する た め に, チャ ン バー
内 部に ヒー
ター
(1kw
/h
)を設 置 して い る。
な お,
チャ ン バー
内 部の温 度は,
サー
モ ス タ ッ ト で 制 御して一・
定 に保つ こ と がで き る。 本 実 験 で は 十30℃ に設 定し た。 (2〕 実 験シ リー
ズ屋 外 実 験は
,
札 幌 市 (北 海 道一
L
業 大 学 構 内 )と長 岡 市 (長 岡工 業 高等専門 学 校 構 内 )において,
それぞ れ 5つ の試 験 体 を用いて 「自然 滑 雪 実験 」と 「融雪 滑雪 実 験 」 と を実 施し た。
札 幌市で は 1987年, 1988 年の2
冬 期 間,
.
長 岡 市で は1987
年の 1 冬 期 間 実 施し た。
(3) 測 定 方 法膜 面 上の積雪は
,
チャ ン バー
を水平な状態で積 も らせ た。 実 験 を 開 始する前に,
図一
3に示す位置で積雪 深,
積当密 度お よ び積 雪 断 面 を観 測し た。 そ の後,
膜面 か ら は み出 し た 雪 を切り落と し, 所 定の角 度に チェー
ンプ ロ ック で引き 上 げ固 定し た。
自然 滑 雪 実 験の傾 斜 角は
,
ユO”
〜
65°
の範囲で設 定して 滑 雪状況 を観 察し た。
融雪 滑雪 実 験の傾 斜 角は,
札 幌 市 表一
2 氷モ デ ル,
ざら めモ デル お よ び 雪 モ デルにお け る滑 雪の 有 無 ● :滑 薄 し た実験 x ;滑落しない実験一
:実験 例な し 滑 走 モデル 屋根 葺 材 凍 着 時 聞 (分 ) 実験 温度 (℃)・
10
一
7。
5 一
5.
0 一
2.
50
.
0 +2.
5
o ● ● ● ● ● ● 1 ● ● ● ● ● ● 膜 材5
● ● ● ● ●一
20
● ● ● ● ●一
40 ■ ● ●o
●一
120
一
}
一
一
一
一
o ● ● ● ● ● ●1
● ● ● ● ● ● ポ リ カー
ボ ネ イト 5 ● ● ● ● ●}
氷20
● ● ● ● ●一
40 ● ● ● ● ●一
120一
一
q
一
鞘
一
0 ● ● ● ● ● ● 1 ● ● ● ● ● ● 鉄 板5o
● ● ● ●皿
20 ● ● ● ● ●一
40 ● ● ● ● ●一
120一
一
一
一
一
0
一
一
一
一
一
一
1一
一
一
一
一
一
5
●一
● ● ● ● ざ らめ 膜材 20一
冖
一
一
一
一
40
●一
● ● ● ● 120 ●一
● ● ● ○0
一
一
一
一
一
闇
1一
一
一
一
一
雷 膜 材 5 ●}
● ● ● ●20
一
一
一
一
一
一
40X一
X ● ● ● 120一
一
一
X ● ● の場 合10°
,20D
お よ び 30°
, 長 岡 市の 場 合10°
お よ び 20°
−
30°
の範 囲の任 意の傾 斜角に各々設 定し た。
設定後 は,
滑 雪す る までチャ ンバー
内部をヒー
テ ィン グ して滑 雪 状況 を観 測し た。
な お, 両 実 験とも,
外 気温,
チャン バー
内の温 度および膜 面温度を連 続 的に測 定し た。
3.
室 内モ デル実 験 結 果一
般に, 屋根 雪には,
滑 雪 開始まで は凍 着 力,
静 摩 擦 力および上 部 連続積 雪に よ る引 張 力が作 用し,
滑 雪 開 始 後に は動 摩 擦力 が作 用 して い る5L6〕。
本モ デル実 験の場 合,
前述の力の 中で滑 雪 開 始まで は凍 着 力と静 摩 擦 力が 作用し,
滑 雪 開 始 後は動摩 擦力が作 用してい る。
これら の 性 状を ま と める と,
以 下の ようにな る。
3.
1 凍着 力表
一
2に,
氷モ デル,
ざらめ モ デル (積雪重量 40kg / mZ を 想定 し た モ デル )お よび雪モ デル (積 雪 重量30
kgfmi
)に おけ る滑 雪の 有 無 を示す。
表中の● 印は 6回 の実 験 中すべ て 滑 雪 し た場 合を示し,
X 印は6回の実 験 中 4圓以 上滑 雪 し ない場 合を示す。
同表の よ うに,
−
2.
5℃ 以 下の場 合,
氷モ デル・
ざら めモデル は,
膜 材, ポ リ カー
ボネ ィ トお よ び鉄 板の いずれの 条件におい て も一 101一
N工 工一
Eleotronio Library滑 雪して い る
。
し か し,
膜 材に雪モ デル を用いた実験で は凍 着 時 間40分を 超える と滑 雪し ない 場合が多く な る、
一
般 に,
雪の硬 度や含 水 率は,
密 度の増 加に伴い大 き く な る7)。
本 実 験に用いた各モ デル の密度ρ の平均 値は,
氷モ デル ρ=
0.
9,
ざらめモ デル ρ= 0.
4,
雪モ デル ρ= 0.
2で ある。
こ れ らの値か ら判 断す る と,
本モ デル中で 密度の最も小さい雪モ デル は硬 度が小さ く,
自重で膜材 表面の凹 凸に凍 着 し, 凍 着 力が大 き く な る。
さ らに,
低 温状 態で 凍着 時間が長く なると, 硬度の小さい界 面の雪 は変態し ながら膜 面に凍り付いて,
凍着 力が大き く な り 滑雪 しにく く なる と考え られ る。
3.
2
静摩擦係数 図一4
に,
実 験 温 度 と 静 摩 擦 係 数 との関 係の一
例 を示 す。 静 摩 擦 係数 μ。は,
滑走モ デル の質量W ,
滑 雪 角 度 θ と お く と下 式と なる。
μs
=Wsin
θ/WCOS
θ=tan
θ図の よ うに
,
氷モ デル を 用い た 膜 材の静 摩 擦 係 数 は,
い ずれの実 験 温 度におい ても0,
11 前後の小さ な値と な る。 さ らに,
温度がマ イナス の範 囲で は,
ポ リ カー
ボネ イト の 1/2程 度, 鉄板の 2/3程 度の値と なり,
他の屋 根 葺材 よりも小さい値を示す。 ざらめモデルお よ び雪モ デル を用いた膜材の静 摩 擦 係 数は,前 述の 氷モデル よ り も 大 き な 値 を 示 し,
温度によっ て も大き く異な る。 ざら めモデルで は,
0℃ 以 下で 0.
2 前 後の値を示し,
温 度が十2.
5
℃ に な る と0.
32と な り,
プラス側の温度で大 き く な る 傾向を 示 す。
雪モデル では,
− 2、
5DC で0.
21 と な り最も小 さ な値を示 す。−
2.
5℃ 以 下の範 囲では,
温度が低いほ ど 大 き く な る傾 向を示し,
−
10℃ で 0.
33と な る。一
方,−
2.
5℃ を 超 えると,
ざ ら めモ デル と同様に温 度が高いほ ど大き く な る傾 向 を示 し,
+2.
5℃ で 0,
45と な る。 温 度がプラ ス の範 囲で増 加する傾 向は, 渡辺ら の研 究 結 果で も指摘 さ れてい る% なお, 積 雪 重 量 を変えた実 験 結 果を み る と,
積 雪 重暈の 増 加に伴っ て静 摩 擦 係 数が減 少す る傾 向を 示す。
一
般に, 氷は 0℃ か ら一
2.
5℃ 程 度の 範 囲で圧力 融 解が お こ る8 〕。 こ の 現 象か ら考える と,
雪モ デル で一
2.
5℃,
ざら めモデルでODC
の場 合,
静 摩 擦係数 が 最 も小さ く な る の は微 量の融 雪 水に よ る もの と 推察さ れ る。一
方, +2.
5℃ に な る と, 過 剰な融 雪水に よっ て膜 材との間に吸 着 力が働き,
静 摩 擦 係 数が大き く なっ て い る。
3.
3 動 摩 擦 係 数 図一
5に, 動 摩 擦 係 数と実 験 温 度との関係の一
例を示 す。
動 摩 擦 係 数 μκは,
重 力加速度 g,
加 速度 a,
滑 雪 角 度 θ と お く と下式と な る。
なお,
滑 雪 時の 粘 着 抵 抗 力は,
遠 藤らの 研 究で 2,
5〜
3.
Okg /m : と小さ な値を示 す ことや本 実 験に用い た滑 走モ デルが小さ く,
同一一
の 形 状である ことなどか ら考 慮し て い ない9:1。
μκ=
(gsin θ一
α〉/9COS θ 図の よ うに,
氷モ デル を用いた膜 材の動摩擦係 数は,
い ず れの 実 験 温 度に おい て も0.
06
前 後とほぼ一
定の値を 示 す。
これに対 し,
ざら めモ デルお よ び雪モ デルを用い た実 験で は,
温 度が高い ほど小さく なる傾 向を 示 す。
氷 モデル を用い た鉄 板では膜 材と ほ ぼ同 程 度の 値を示し,
ポリ カー
ボ ネ イ トで は一IO
℃ で0.
16
と な る が 温度
の増 加に伴い減少する傾向を 示 す。−
2.
5°
C
にな る とO.
05 と な り膜 材と同 程 度の値を示す。
動摩擦 係数は,
前述の静摩擦係数と同様に 温度や雪 質 によっ て大 き く異 なる,
こ の値は, 温 度 が 高い ほ ど 小 さ く, 界面の雪質が氷板状の場合最も小さ く なっ てい る。4.
屋外 実 験 結果 前 述の室内モデル実験で, 膜材の滑 雪に大き く影 響を 与え る要因 は,
温度・
雪 質・
積 雪 重量で あ るこ と が明ら か と なっ た。
これ らの要 因 を指 標と して,
屋 外実 験 結 果 を検討す る と,
以下の よ うになる。 4.
1 自然 滑 雪 実 験 結 果 図一
6に,
積 雪重 量 と滑雪 角 度 との 関 係 を 示 す。
滑 雪 した例は,
いず れ も膜 材上の雪が一
度に滑 雪してい る。
図の よ うに,
札 幌市と長 岡市のい ずれの実 験におい て も 積 雪重 量の 増加に伴い 滑 雪 角 度 が 減少する傾 向を示す。
滑 雪 後の 膜 材の 付 着 面を み る と, 札幌市で は微 量の融 雪 O :習モデル,
膜材 ■ ;氷モデル,ポリカー
ボネ イ ト Gミ} 0
.
5k
“ ・・
4ll
P
・
・.
・・
2o
.
1 O.
O−
10.
0−
5.
0 0.
0 2.
5 実験温度 (℃) 図一
4 実 験温度と.
静 摩 擦 係 数との関係 (凍 着 時 間5分の場 合 ) pO :雪モデル
,
膜材匿:氷モデル
,
ポリカー
ボ ネ イ ト qO.
2衰
遶
蠱
・,
・o .
o−
10.
0−
5.
0 0,
02.
5 実 験 温 度 (℃) 図一
5 実 験 温 度 と動 摩 擦 係 数との 関 係 〔凍着 時 間 5分の場 合 〕NII-Electronic Library Service
£
8011
6・靆
40
20 oO20
40 6080
積雪 重 量 (kg/m2) 図一
6 自然 滑 雪 実 験に おける積雪重量 と 滑 雪 角 度 との関 係 注)図中の *は,
全 層 平 均 積 雪 密 度O.
07(g/cm3 )の場 合を示す。
写 真一
3 膜 材に付着し た雪の例 水を含ん だざら め状やク ラ ス ト状の 多結 晶, 長 岡市で は 水分を含ん だ し ま り雪状に なっ て い る場 合が多い。
これ らの滑 雪 し た実 験の全 層 平 均 積 雪密度をみ ると, いずれ も
0.
15g/cm3 以上の値である。
こ こ で,一
般 的 な新雪の積 雪 密 度を み る と,
札 幌 市でO.
07 g/cmS,
長 岡ll∫で O.
15 g/cm3 程 度であるlo/。
札 幌i’
t
了の 滑 雪し た積 雪 密 度は,
新 雪の 2倍 程 度と な り , 湿雪で水 分の 多い長 岡市の積雪 密 度に近い状 態である。
図中の *EI
亅の全 層 平 均 積 雪密 度は0.
07
g/cm3 前 後の 値で,
札 幌 市の・
般 的な新 雪の積 雪 密度と同 程 度の値で あ る。
これ らの滑 雪 後の膜面 をみ ると,
写真一
3に示す よ うに厚さユOm 皿 程 度の雪が付 着 し た状態 と なっ て い る。
す なわ ち,
これ らの 実 験で は, 滑 雪で は な く,
凍 着 力が勾配50
°
前後で発生 す る雪の せ ん断 力よりも大き い ことによ る 剥 が れ落ちである ことを示して い る。 滑 雪し な か っ た例をみ る と,
実 験 中の外 気 温が一5
℃ 以 下の場 合や全 層 平 均 積 雪 密 度が0.
07g/cm3 前後で積 雪 重 量が 10kg〆m2 以下の条 件で あっ た。
次に,
実験中の 外 気 温と滑 雪 角 度の 関 係 を みる と,
図一
7と な る。
外 気温 は,
角 度を設 定し て か ら滑雪まで の 10分ご と の平 均 値 を 用い た。
図の よ うに, 外 気温 が高 く な るに伴い滑 雪 角 度が減 少する傾 向を示す。
長岡市の 外気温0
℃ 前 後で バ ラ ツキがみ ら れ るの は,
積 雪 密 度 が 0」5〜
0.
35g/cm3 と 広範 囲にある ため, 雪 質の 差やo
攀
60鍵
40 20 0−
5 0 5 10 15 外 気温 (℃) 図一
7 自然 滑 雪 実験における外 気 温の滑 雪 角 度との関 係 注)図中の *は,
全 層 平 均 積 雪密度0.
07(g/cm3 }の場 合 を示 す。
ε
40 朋 3020 10 O
一
10 0 1 2 3 4 時 聞 (h) 図一
8 融 雪 開 始か ら滑雪 までの外 気 温,
膜面 温 度およ び チャ ン バー
内温 度の推 移 状 況の一
例 重量の差の影響を受けて いる た め と考え ら れ る。
こ の結 果 をみ ると, 膜 材 上の自 然滑 雪は,
積 雪 重 量, 雪質お よ び 外 気温の影響 を大き く受け ること が明ら か で あ る。 自 然 滑 雪し た膜 面温度をみ る と,
札 幌で一
2.
5〜O
℃ の範囲,
長 岡で 0℃ 前 後の値で あ り, 圧 力 融解に よ る 微量の融雪水が発 生 する範 囲である。
さ ら に,
滑 雪 後の 界 面を み る と微量の融 雪 水や水分を含ん だ 雪質が観 測さ れ るこ と な どか ら,
滑 雪す る ために界 面が 湿潤 状 態であ ること が 必要であ る。
こ れ らの滑 雪 条件を具 体 的にみ る と,
勾配 25°
以上,
積 雪 密 度D.
15 g/em3 以 上,
積 雪 重 量 ユokg/mZ 以 上,
外 気 温一
5℃ 以.
トが 目安にな るであ ろ う。
4.
2
融 雪 滑 雪 実 験 結 果図
一
8に,
融 雪を開 始し て か ら滑 雪するまでの外 気 温 , 膜 面 温 度お よ び チ ャ ン バー
内温 度の推移 状況の一
…
例 を示 す。
図の よ うに,
ヒー
テ ィン グ開 始後,
膜 面 温 度は +3℃ 前 後で 2時 間30分の間推 移し,
滑 雪 後は +10℃ 前 後まで上 昇 する。
これ らの資料をもとに投 入エ ネル ギ 量Q
。 (kcal/m2 )を下 式で求める こと がで きる。
Q3
‘= 4t ×(Q
ヘーQ
∫− Q 丗
}−
Q
,
nQ
δ
=
・
ΣQsi
/A
t=
L こ こ で,
Q
。i :At
時 間に与えた熱 量,At
;計測 間 隔 時 問,
Q
九 : ヒー
ター
の 発 熱 量Q
! ;底 面か らの熱量ロ ス,
Qw
一 103一
N工 工一
Eleotronio Library:側 面か らの熱 量ロ ス,
Q
。:チャ ン バー
内の温度 変化 の蓄 熱量,
A :膜 面上の面 積を示す。
図一
9に,
融 雪 滑 雪 し た実験の積 雪重 量 と投入エ ネル ギ 量 との関 係を示す。 図の ように,
札 幌 市で の実 験で は 積 雪重量の増 加に伴い投入エ ネルギ 量が減 少する傾 向を 示す。 積 雪 重量40kg /m2 以 下は, 勾 配 20°
の 方が勾配 30°
よりも投 入エネルギ量が大き くな るが,
積 雪 重量40
kg
/m2 を超え る と差が な く な る。
勾配 30°
ではいずれ の 実 験で も滑 雪し たが,
勾 配20Dで は融雪 だ けが進み滑 雪 せず,
写 真一
4に示す ような氷 堤 が 軒 先に形 成さ れ る場 合が多い。
勾 配 10°
で は いずれ の場 合 も融 雪だ けが進み,
滑 雪し な かっ た。
こ の現 象は, 前 述の 自然 滑 雪で勾 配 25°
前 後 以 上で滑 雪して い ることか らも容 易に理 解で き る。
勾 配 20°
で滑 雪しな かっ た例 をみ ると,
積 雪 重量が 15kg /m2 以 下で積雪密度が新雪と近似した値の場合が 多い。
長岡市の場合は,
自然滑 雪実 験で勾配25°
前後で滑 雪 してい る。
し たが っ て, こ の傾斜角の範囲では融 雪に よ る効果 が み ら れ ない。
し か し,
勾ga
IO°
の例を み る と,
投入エ ネル ギ量が 580kcal/m2 (積 雪 重量 :76kg
/m2 ) と極めて多い が, 滑 雪する。
同 様の札 幌 市で の実 験と比 較 すると,
長 岡 市では低 勾 配で融 雪 滑 雪の効 果 がみ ら れ た。
図 中の *印は, 膜 材と積 雪と の界 面に薄い氷 板 を形 成電
鳶
ぎ
iSε
咽 10 ミ 5B く ○:札 幌 市,
勾 配20C } △:長 岡 市,
勾 配23−
27 (P ) ●:札幌市,
勾記30 ( o oe
▲;長 岡市,
勾 配 lo (e } o o ●:
.「
−−−
*ro、
\ ● 、 \ oo ))
。 ・δ
▲ o OO
20 40 60 80 積 雪 重量 (kg/皿2) 図一
9 融雪滑雪 実験に お け る積 雪 重 量 投入エ ネル ギ量との関 係 注 ) 図 中の *は,
界面に氷 板 を形 成 させた場 合 を示 す。
写真一
4 軒 先に形 成さ れ た氷堤 させ て実 施し た実 験 結 果である。
こ の実 験は,
前 述の室 内モ デル実 験で雪モ デル よ りも氷モ デル の方が滑 雪 角 度 が小さ い現 象を利 用し て いる。
界 面の 氷 板は,
水平 状態 で チャ ン バー
内の 温 度が一
定に なっ て か ら30分 後に ヒー
ター
を切り,一
昼 夜 屋 外に放 置し て形 成さ せ た もの であ る。
滑 雪 後の界 面 を み る と,
い ず れの場 合 も全 面に 薄い氷 板が形 成さ れて お り,
その厚さ は 2〜
3mm 程 度 であっ た。
この よ う な氷板を 形成させ て か ら再 融 雪し た 場合の 滑雪 まで の投 入エ ネル ギ 量 を み る と,
連 続 的にエ ネル ギ を投 入し た場 合の 1/2程 度の量であ る。 こ れ らの融 雪滑雪 後の膜 材との付 着 面をみる と, 前 述 の 自然滑 雪と 同様に ざら め状や ク ラス ト状の 多結晶と なっ ている が,
結 晶 間に融 雪 水が多く含ま れ てい る。
さ らに,
界面か ら10mm
程 度の範囲 が 湿 潤状 態に なっ て いる。 これに対し, 界 面に氷板を形成さ せ た場合の滑 雪 後の膜 材との付 着面に は,
微量の融雪水が付 着して いる に過 ぎ ない。
これ らの界 面 状況 か ら判断 す る と,
界 面が ざら め状や ク ラス ト状の多結晶で微細な空 隙を含む不 均一
な層の場 合,
滑 雪に必 要な湿 潤 状 態にな る まで の投入 エ ネルギ量は,
空隙な どの影 響を受けて大き な値と なっ て い る。
これに対し,
界 面が 比較 的 均一
な 氷板の 場合,
少ない投 入エ ネルギで滑 雪に 必要な湿 潤状態 に なっ てい ると考える。 し か し,
過剃な融雪 水が 発生す る と 写真一
4に示し た よ う な氷 堤が形 成さ れて,
再融雪して も 滑 雪 しに く く な る。 し た がっ て,
こ の滑雪手法を取り入 れ る 場合,
氷 板 形 成の ためのエ ネルギ投人方 法や その制 御 方 法を 十分に検討する こ と が必要で あ る。
前 述の よ うに,2− 3mm
程 度の 薄い氷 板 形 成で投 入エ ネル ギ 量の軽 減 が み られ るこ とか ら, こ の程 度の氷 板 形 成が 目安で あ ろ う。 次に,
外 気 温と投入エ ネル ギ量 との関 係 をみ る と 図一
10 と なる。
図の よ うに,
外 気温が高く な る に伴い投入 エ ネルギ 量が減 少する。
特に,
札 幌の勾 配20°
の場 合が 顕 著である。
外 気 温がプラ ス の範 囲では,
投 入エ ネルギ 量500kcal/m2 以下と比 較 的 小さ い値で あ る が,
外 気温一
5℃ 前 後に な る と投入 エ ネルギ量が前 者の 2倍 以 上の雪
署
15 冥聶
i° ミ 騰 5H く 秘 O O ;札 幌 市,
勾 配20 ( ●:札 幌 市,
勾 配30 ( o ooo ●●
o ● o9
△:長 岡 市,
勾 配23−
27 (e
)b
▲:長 岡 市,
勾 配10 (e
) ● ▲ 図一10
O △ 0 ム A−
5 0 5 10 外 気 温 (℃) 融 雪 滑雪 実 験にお け る外 気 温と投人エ ネルギ 量と の関 係NII-Electronic Library Service 1 OOO kcal/m2 以上と な る こと も あ る。 こ の よ うに, 投 入エ ネルギ量が多くなる と過 剰な融雪水が発 生し