わが国を訪れる外国人数は、このところ大きく増加しており、なかでもアジアからの訪日客の伸びが大
きい。この背景をみると、震災直後の落ち込みからの回復、為替相場動向に加え、アジアにおける中間
所得者層の増加、LCC 就航やビザ発給要件の緩和といった要因が複合的に影響しているとみられる。こう
した訪日外国人数の増加によるわが国経済への影響は、全体としてみればなお限定的であるが、日本で
の消費動向の特徴を踏まえると、一部の消費関連の業種に対しては、相応のプラス効果を与えるように
なってきているとみられる。今後は、2020 年の東京オリンピック・パラリンピック開催も契機としつつ、
訪日外国人数のさらなる増加や消費喚起に向けた取り組みが進められることによって、わが国経済によ
り大きなプラス効果をもたらしていくことが期待される。
はじめに
2000 年以降の訪日外国人数の動向をみると、リ
ーマン・ショックまで着実な増加傾向をたどった
後、リーマン・ショックと東日本大震災直後の大
幅な落ち込みを経て、このところ大きく増加して
いる。とりわけ
2012 年後半以降、訪日外国人数
の増加ペースは高まっており、同年末には季節調
整値でみて震災前の水準を概ね回復したうえ、
2013 年上半期には、上半期として過去最高の 495
万人(年率換算で 1,000 万人弱)に達した
1
(図表
1)。
2013 年上半期の訪日外国人数の動きを国・地域
別にみると、どの地域からの訪日人数も増加傾向
にあるが、なかでも、東アジア(とりわけ韓国、
台湾および香港)や東南アジア(とりわけタイや
インドネシア)からの訪日人数がはっきりと増加
している点が特徴的である(図表
2)。
本稿では、まず、①最近の訪日外国人の増加の
背景について、主にアジアに焦点を当てつつ、簡
潔に整理する。次に、②訪日外国人の消費動向の
特徴点について、国や地域毎の違いを踏まえて、
やや詳しく検証する。さらに、③こうした訪日外
国人の増加やその消費動向がわが国経済に与え
る影響について、定量的なインパクトを試算する。
最後に、④訪日外国人のさらなる増加や消費喚起
に向けた今後の課題について、若干の考察を行う。
訪日外国人増加の背景
このところの訪日外国人増加の背景には、以下
で述べる5つの要因が複合的に影響していると
考えられる。
どの国・地域についても共通の要因として、第
1に、やや長い目でみた、東日本大震災直後の大
幅な落ち込みからの回復という点が挙げられる
(前掲図表
2)。さらに、第2の共通要因として、
足もとでは、円の各国通貨に対する減価が追加的
【図表 1】訪日外国人数
0
2
4
6
8
10
12
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13
(季調済年率換算値、百万人)
年
2013年政府目標
1,000万人
(注)X-12-ARIMA による季節調整値。
(資料)日本政府観光局(JNTO)
最近の訪日外国人増加の背景とわが国経済への影響
調査統計局 米良有加、倉知善行、尾崎直子
2013 年 11 月
2013-J-7
日銀レビュー
なプラス要因として作用しているとみられる(図
表
3)。
【図表 2】地域別訪日外国人数
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
11/1 4 7 10 12/1 4 7 10 13/1 4 7 9
東アジア(除く中国)(47.7%)
東南アジア(9.3%)
中国(17.1%)
欧米(17.9%)
(季調済、2011/1~2月平均=100)
月
(注)1. ( )内は、2012 年の訪日外国人数合計に占める
各国・地域のウエイト。
2. 東アジア(除く中国)は、韓国、台湾、香港。
東南アジアは、タイ、シンガポール、マレーシア、
インドネシア、フィリピン、ベトナム。
3. X-12-ARIMA による季節調整値。
(資料)日本政府観光局(
JNTO)
【図表 3】円の名目為替レート
60
70
80
90
100
110
120
130
140
0 5年 0 6 0 7 0 8 0 9 1 0 1 1 1 2 1 3
米ドル
ユーロ
中国元
韓国ウォン
台湾ドル
タイバーツ
(2005年=100)
円安
円高
(資料)Bloomberg
もっとも、国・地域別の動きをみると(前掲図表
2)、欧米については足もとでようやく震災前の水
準を回復したに過ぎない一方で、東アジアや東南
アジアでは既に震災前の水準を大きく上回って
おり、こうした地域については上記の共通要因以
外の背景も重要と考えられる。この点、第3の要
因として、近年、アジアでは、中間所得者層の増
加に伴い潜在的な旅行需要が拡大していること
が、訪日人数の趨勢的な押し上げ要因として働い
ていると考えられる
2
(図表
4)。
【図表 4】アジア新興国の中間所得者層
0
5
10
15
05 06 07 08 09 10 11 12
中国
東アジア(除く中国)
インドネシア
タイ
シンガポール
マレーシア
フィリピン
(億人)
年
(注)中間所得層は、年間可処分所得5,000~35,000 ドルと定義。
各国・地域の人口に、全世帯に占める中間所得層の世帯比率
を乗じて推計。東アジア(除く中国)は、韓国、台湾、香港。
(資料)Euromonitor International、IMF
第4に、より個別的な要因として、主に東アジア
を中心とした
LCC(Low Cost Carrier、格安航空会
社)就航の増加の影響も考えられる。
LCC の就航
により、これまでに比べ当該国とわが国の間のフ
ライトの座席供給量が増加したことに加え、訪日
に際して必要となる航空運賃も低下しているこ
とが、需要を喚起している可能性がある
3
(図表
5)。
【図表 5】各国と日本間の航空運賃
1 0 ┘ └ 1 1 ┘ └ 1 2 ┘ └ 13
75
85
95
105
115
125
韓国
欧米
(2010年度=100)
年
(注)各国通貨建て。欧米(米国、英国、フランス、ドイツ)の
値は、それぞれの単純平均により算出。
(資料)観光庁「訪日外国人消費動向調査」、
Bloomberg
最後に、第5の要因として、アジア地域を中心に、
ビザ発給要件の緩和やビザ免除措置が講じられ
たことによる効果が考えられる。例えば、足もと、
タイからの訪日人数が大きく伸びていることに
は、
2012 年 6 月に行われた数次ビザの発給開始が
影響している可能性が考えられる(図表
6)。さら
に、
2013 年 7 月から、タイ、マレーシア、フィリ
ピン、ベトナム、インドネシアといった東南アジ
アの国々に対しても、ビザの免除や発給要件緩和
措置が採られており、こうした要因の需要喚起効
果が足もと一段と高まっているとみられる。
【図表 6】アジア地域へのビザ発給緩和・免除措置
(資料)外務省
訪日外国人の消費動向の特徴点
次に、訪日外国人の消費動向についてみると、
全体の平均では、日本滞在中の一人当たり消費額
は
13.0 万円となっている(図表 7)。もっとも、
国・地域別にみると、総額および内訳費目の双方
について、差はかなり大きい。例えば、中国は買
い物代が他国・地域対比多く、
全体の支出額も
18.8
万円と高めとなっている
4
。
【図表 7】訪日外国人の一人当たり消費額
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
全体 韓国 中国 台湾・
香港
タイ・
マレー
シア
欧米
宿泊料金 飲食費 交通費
娯楽サービス費 買い物代 その他
(万円)
(注)
2012 年調査の値。台湾・香港、タイ・マレーシア、
欧米(米国、英国、フランス、ドイツ)の値は、それぞれ
の単純平均により算出。
(資料)観光庁「訪日外国人消費動向調査」
国・地域別の消費動向の傾向的な違いは、訪日旅
行の主目的の違いを反映している面もあるとみ
られる。買い物、娯楽サービスなどの消費品目に
ついて、当該財・サービスを購入した訪日外国人
数の割合を国・地域ごとに整理すると、支出の目
的に応じて、大まかに、①買い物目的型、②遊行
目的型、③文化体験目的型の3つのタイプに分類
することができる(図表
8)。
【図表 8】訪日外国人の消費動向
0
100
200
300
韓国
中国
台湾・
香港
タイ・
マレー
シア
欧米
買い物目的型(電気製品、カメラ、時計等)
買い物目的型(化粧品、服・かばん等)
0
50
100
150
200
韓国
中国
台湾・
香港
タイ・
マレー
シア
欧米
遊行目的型(テーマパーク、ゴルフ等)
文化体験目的型(和服・民芸品、芸術鑑賞、博物館等)
(注)
2012 年調査の値。全体平均=100 として作成。台湾・香港、
タイ・マレーシア、欧米(米国、英国、フランス、ドイツ)
は、それぞれの単純平均により算出。
(資料)観光庁「訪日外国人消費動向調査」
すなわち、全体的な傾向値としては、①中国を中
心とした東アジアは、家電量販店等での電気製品
の購入や、百貨店等での化粧品の購入、さらには
服・かばんといったファッション関連を含めて、
買い物を目的とした訪日客が多い。とりわけ、中
国からの訪日客の家電製品購入志向は突出して
おり、そのことが、前述した消費額に占める買い
タイ
12/6月~ 短期滞在数次ビザの発給開始
13/7月~ 短期滞在目的のビザ免除
マレーシア
12/9月~ 短期滞在数次ビザの発給開始
13/7月~ 短期滞在目的のビザ免除
フィリピン
13/7月~ 短期滞在数次ビザの発給開始
ベトナム
13/7月~ 短期滞在数次ビザの発給開始
インドネシア
12/9月~ 短期滞在数次ビザの発給開始
13/7月~ 短期滞在数次ビザの滞在期間延長
物代の大きさにつながっていると考えられる。加
えて、②アジア地域からの訪日客はテーマパーク
やゴルフ場など、アミューズメント施設での遊行
にも関心が高い。一方、③欧米からの訪日客は、
和服・民芸品の購入や文化財の鑑賞など、「和」
の文化体験を重視する傾向があるように窺われ
る。
さらに、国・地域別の特徴がどのように変化し
てきたかを確認するために、旅行収支の受取(訪
日外国人のわが国における財貨、サービスの消費
額)を訪日人数と一人当たり消費額に要因分解す
ると(図表
9)、中国や東南アジアは、訪日人数、
一人当たり消費額ともに、本年入り以降、回復傾
向にある。一方、中国以外の東アジアでは、訪日
人数は増加しているが、一人当たり消費額は伸び
悩んでいる。これには、同地域からの
LCC 利用
客の増加が一因となっている可能性がある。
LCC
利用客は、航空運賃だけでなく、滞在中の消費も
含めて低額志向とみられる(図表
10)。
【図表 9】地域別旅行収支(受取)
-0.4
-0.3
-0.2
-0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
└ 1 2 ┘└13
ビジネス・留学等要因 観光客数要因
消費額要因 旅行収支
(季調済前期比、%)
年 └ 1 2 ┘└13年 └ 1 2 ┘└13年
中国 東アジア
(除く中国) 東南アジア
(注)1. 地域別旅行収支は、X-12-ARIMA による季節調整値。
2. 東アジア(除く中国)は、韓国、台湾、香港の合計。
東南アジアは、タイ、マレーシアの合計。
3. ビジネス・留学者等の支出額には、商用、留学、研修、
外交・公用目的の訪日客の支出額、および季調誤差等が
含まれる。
(資料) 観光庁「訪日外国人消費動向調査」、財務省・日本銀行
「国際収支状況」、日本政府観光局(JNTO)
【図表 10】LCC利用客の消費動向
0
2
4
6
8
10
12
LCC
利用客
LCC以外
の航空会社
利用客
宿泊費 飲食費
交通費 娯楽サービス費
買い物代 その他
(万円)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
1
00
円
シ
ョ
ッ
プ
ス
ー
パ
ー
百
貨
店
デ
パ
ー
ト
空
港
の
免
税
店
LCC利用客
LCC以外の
航空会社利用客
(%)
低額消費 高額消費
一人当たり消費額 購入場所
(注)1. 2013 年 1~3 月期調査の値。韓国・台湾の計数を加重平均
して作成。
2. 一人当たり消費額には、パッケージプラン参加費のうち、
日本に支払われた分を含まない。
(資料) 観光庁「訪日外国人消費動向調査」
訪日外国人増加による経済的インパクト
次に、訪日外国人数の増加がもたらすマクロ的
な経済効果を確認する。旅行収支全体の受取が名
目
GDP に占める割合をみると、震災直後をボト
ムに上昇を続けているとはいえ、直近でも依然
0.3%程度と、他国対比でも低位に止まっている
(図表
11、後掲図表 14)。
【図表 11】旅行収支(受取)の対名目GDP比率
0.12
0.16
0.20
0.24
0.28
0.32
06 年 07 08 09 10 11 12 13
(季調済、対名目GDP比率、%)
(資料) 内閣府「国民経済計算」、財務省・日本銀行
「国際収支状況」
訪日外国人による消費額が、わが国の生産・雇
用を押し上げる効果を、
2013 年上半期までのデー
タをもとに産業連関表等を用いて評価すると、誘
発生産額は約
3 兆円(うち粗付加価値額が約 1.6
兆円<名目
GDP 対比 0.3%程度>)、誘発雇用者
数は
20 万人強(雇用者総数対比 0.3%程度)との
結果になる
5
(図表
12)。
【図表 12】訪日外国人消費の経済波及効果
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
0
10
20
30
40
50
60
70
80
製
造
業
商
業 金融
・
保
険
不
動
産
運
輸 対事
業
所
サ
ー
ビ
ス
対
個
人
サ
ー
ビ
ス
直接効果 間接効果(1次)
間接効果(2次)
(百億円) (%)
国内生産に占めるウエイト(右目盛)
(注)2013 年上半期の暦年換算値をもとに試算。
(資料)財務省・日本銀行「国際収支状況」、観光庁
「訪日外国人消費動向調査」、総務省
「平成17 年産業連関表」「労働力調査」「家計調査」
経済産業省「平成
23 年簡易延長産業連関表」
このように、このところの訪日外国人数の増加
がわが国経済に与えるインパクトは、マクロ全体
でみれば、なお限定的といえる。ただし、業種や
分野によっては、相応のプラス効果を及ぼすよう
になってきているとも考えられる。
例えば、消費関連の業種別に、訪日外国人のわ
が国における消費額とそれが業界の売上高合計
に占めるウエイトを試算してみると、宿泊業では
訪日外国人消費ウエイトが
6~7%にまで達して
いる
6
(図表
13)。また、飲食業、旅客運送業への
インパクトも相対的には大きい。実際、対個人サ
ービス、特にホテル業の業況が足もと改善してい
る点には、訪日外国人の増加も影響している可能
性が高く、企業からの聞き取り調査でもそうした
声が聞かれている。前述した産業連関表を用いた
経済波及効果の試算結果でも、部門別には、対個
人サービスを筆頭に、運輸、商業への効果が大き
い姿が確認される(前掲図表
12)。なお、定量的
には大きくないが、製造業を含む幅広い業種への
波及がみられる点も見逃せない。
【図表 13】訪日外国人の業種別国内消費額
0
1
2
3
4
5
6
7
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
宿泊業 旅客
運送業
飲食業 小売業 小売業
うち家電等
娯楽業
訪日外国人
消費額
(百億円) (%)
各業種の売上高
合計に占める
訪日外国人
消費ウエイト
(注)2012 年の値をもとに試算。
(資料)財務省・日本銀行「国際収支状況」、
観光庁「訪日外国人消費動向調査」、総務省
「サービス産業動向調査」、経済産業省「商業販売統計」
おわりに
以上のように、本稿では、訪日外国人数がこの
ところ大きく増加していること、また、その背景
として、震災直後の落ち込みからの回復、為替相
場動向に加え、アジアにおける中間所得者層の増
加、
LCC 就航やビザ発行要件の緩和といった要因
が複合的に作用していること、を確認した。もっ
とも、外国人訪問者数の水準を他国と比較すると、
わが国は低位に止まっており、今後、訪日外国人
数が一段と増加する余地は大きいと考えられる
(図表
14)。
【図表 14】国際比較(2012 年)
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
フ
ラ
ン
ス
(
1
位
)
米
国
(
2
位
)
中
国
(
3
位
)
ス
ペ
イ
ン
(
4
位
)
イ
タ
リ
ア
(
5
位
)
ト
ル
コ
(
6
位
)
ド
イ
ツ
(
7
位
)
英
国
(
8
位
)
豪
州
(
1
1
位
)
香
港
(
1
2
位
)
タ
イ
(
1
5
位
)
韓
国
(
2
3
位
)
日
本
(
3
3
位
)
(千万人)
日本は
・世界で33位
・アジアで8位
外国人訪問者数
(資料)日本政府観光局(JNTO)、IMF
この点、アンケート調査で、訪日外国人が旅行
中に不便と感じた点が何であったか探ってみる
と、各種インフラの未整備など、今後の取り組み
次第で改善できる点が多い(図表
15)。2020 年の
(%)
欧米
フランス 2.0
米国 1.0
アジア
中国 0.6
韓国 1.3
タイ 9.2
日本 0.2
旅行収支(受取)
の対名目GDP比率
東京オリンピック開催決定により、観光・ビジネ
ス旅行先としての日本に注目が集まる中、官民一
体となった海外での
PR 活動に加え、訪日外国人
のニーズにマッチした環境整備がこれまで以上
に進展すれば、訪日人数の一段の増加が期待でき
る
7
。
【図表 15】訪日外国人が旅行中困ったこと
無料公衆無線LAN環境
コミュニケーション
目的地までの公共交通
の経路情報の入手
公共交通の利用方法
・利用料金
両替・クレジット
カード利用
飲食店情報の入手
公共交通の乗り場
情報の入手
地図、パンフレット
(多言語)が少ない
(%) 0 5 10 15 20 25 30 35 40
(資料)外国人観光案内所のあり方に関するWG
「外国人旅行者に対するアンケート調査結果(2011 年)」
また、わが国経済に対する影響という点では、
訪日人数の増加に向けた取り組みだけでなく、訪
日外国人一人当たりの消費額を拡大する取り組
みも重要である。既に民間企業では、訪日外国人
の消費喚起を企図した様々な取り組みが進めら
れているが(図表
16)、今後、こうした動きが、
訪日外国人数の増加に向けた政府の施策ととも
に、わが国経済により大きなプラス効果をもたら
していくことが期待される。
【図表 16】民間企業による取り組みの例
・アジアを中心とした店舗の顧客に対し、日本
でのショッピング時に優待を受けられるカード
を発行。さらにカードの利用情報を蓄積・分析
し、サービス、商品、販促施策に反映
(百貨店)。
・免税手続きのITシステム化による、訪日外国
人に対する消費税還付手続きの迅速化
(百貨店)。
遊行
目的型
・豚肉やアルコール等の禁忌食材を利用しない
「ハラール」に対応した食事を提供し、ビザ緩
和などによるタイ、インドネシアといったイス
ラム教国からの集客を図る(観光施設)。
文化体験
目的型
・「日本ならでは」の体験(すし握り、アニメ
の聖地巡礼)を集めた着地型ツアーを提供。
買い物
目的型
(資料)日本銀行
「地域経済報告-さくらレポート-(2012 年 10 月)」、
各種報道情報等
1
政府は、「日本再興戦略 –JAPAN is BACK–」(平成 25 年 6 月 14
日閣議決定)の中で、2013 年に訪日外国人数 1,000 万人、2030
年に3,000 万人超を目指すことを掲げている。
2
UNWTO(2013)では、国境を越えた旅行の大半は同一地域圏
内で発生する傾向が確認されており(詳細は、
United Nations
World Tourism Organization, UNWTO Tourism Highlights, 2013 を参
照)、わが国はアジアからの需要を取り込むにあたって、地理的
には優位な立場にあると考えられる。
3
このほか、座席供給量の増加には、オープンスカイ協定(従来、
政府間の協議で決定されてきた国際線の航空路線数や便数を、航
空会社が自由に設定できるように定めた二国間協定)の締結先の
増加といった要因も影響していると考えられる。
4
こうした一人当たり消費額の違いには、当該国・地域からわが
国までの距離とそれを受けた滞在日数の差も影響していると考
えられる。実際、欧米からの観光客は平均滞在日数が長めである
一方、距離の近いアジア地域、とりわけ韓国からの観光客は、日
数が短い。また、欧米からの観光客は一人当たり消費額に占める
宿泊料金の割合が高いことなど、国・地域別にみた内訳費目の違
いも、こうした滞在日数の違いにより、ある程度は説明可能であ
る。もっとも、滞在1日当たりの消費額でみても、中国は高い一
方で韓国は低いなど、国・地域別の消費動向の違いは必ずしも滞
在日数の長短だけで説明できるわけではない。
5
試算にあたっては、平成17 年産業連関表を使用。誘発生産額
は、①訪日外国人による最終財・サービスの消費額(直接効果)、
②最終財・サービスの提供にあたって生じる関連産業の生産増加
額(間接効果<1 次>、③生産増加による所得増を通じた消費の
増加額(間接効果<2 次>)の合計。誘発雇用者数は、常用雇用、
臨時・日雇の合計。
6
業種別にみた訪日外国人の国内消費額は、「国際収支状況」の
旅行収支(受取)を、「訪日外国人消費動向調査」における旅行
消費額の内訳構成比により案分して試算。渡航時の国際旅客運賃
は含まない。
7
例えば、2020 年のオリンピック開催地となった東京都では、既
に2013~15 年を対象としたアクションプランを策定しており、
訪日外国人数の増加に向けて「アジアにおける
PR」や「国際会
議誘致の促進」、「無料の公衆無線LAN の整備」などの施策が掲
げられている。詳細は、東京都、「『
2020 年の東京』へのアクショ
ンプログラム2013」を参照。
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済
に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説
するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、
レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見
解を示すものではありません。
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動向グループ(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。なお、
日銀レビュー・シリーズおよび日本銀行ワーキングペーパー・シ
リーズは、http://www.boj.or.jpで入手できます。