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子どものひとりごとについての一考察 : 4歳児の遊び場面から

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(1)

子どものひとりごとについての一考察

∼4

歳児の遊び場面から∼

裕紀子

問題 と目的

私 たちは,相手 に 自分 の気持 ちや考 えを伝 えるための伝達方法 と して言葉 を使用す る。 しか し言葉 は,人 に向け られて話 され る もの とそ うで ない もの とがあ り,相手 を意識 しな いで発せ られた り,誰 もい ないの に発せ られ る言葉 をひ と りごとと言 う。 子 どもの遊 び場面 で も,多 くの ひ と りご とを耳 にす る。子 ど もの ひ と りご とを

pi

a

ge

t

は, 自己中心的言語 と呼 んだ。 これ に対 し

vygot

s

ky

は, 「成 人の内言 と機能的,構 造的 に同一であ るこ とを指摘 し,言葉が最初か らコ ミュニケー シ ョンの手段 と しての機能 を有 す る。 それは,次 第 に思考 の手段 と しての機 能 を獲得す る (内言) ようになってい く。 自 己中心 的言語 は,内言 にいた るまでの過度 的現象であ る

」1)と述べ ている。

vygot

s

ky

の言 うように,子 どもの ひ と りご とは子 どもが頭 の中で (内面化)物事 を考 える (思考) ようになるための一段 階であ る と思 われ るが,それ以外 の 目的 もあ る と思 わ れ る。 また, ひ と りご とについては,それが 日常生活の どの ような場面で発せ られ るのか について唆味 な部分 も多い。 そ こで, ひ と りご とはいつ, どんな時 に, どの ような ものが発せ られるのか, また子 ど もの ひ と りご とには どの ような意味があ るのか を明 らか にす るため に本研 究 を行 うこ とと した。

研究方法

第1節 予備調査 (1) 目的 調査 を行 うにあた り,必要 な人数,観察時 間,観察の観点 を明 らか にす る とともに,観 察者が違和感 な く保育 に参加 し観 察 を行 える ようにす るこ とを目的 とす る。

(2

)実施期 間及 び対象児 期 間 平成

1

4

7

2

4

日(水)

∼7

2

6

日(金) 対象児 新潟県 田上町立

N

保育所2)

4

歳児

4

(3

)観察手続 き ひ と りご との要件 を① 他 人への伝達 を目的 としない②相手 を意識 しない③ 相手 に考 えや -

(2)

47-暁星論叢 第51号(2002) 答 えを求め ない と規定 し,

1

人につ き約

3

0

分 間の調査 を行 った。 記録用紙 は,菅田1)が使用 した記録用紙 に加筆 した もの を用 いた。 観察項 目は, ひ とりご と, ひ と りご とが発 っせ られた時間,遊 びの内容,遊 び場所 ,遊 び相手 の有無 ,遊 び相手の反応 ,使用 している用具,言語的特徴の

8

項 目であ る。 (4)調査結果 と反省 約

3

0

分 間の観察 において

3-2

0

事例 の ひ と りごとが観察 された。 ひ と りご とは,遊 びが 活発 に行 われている時 に多 く表 れた。 遊戯室での観察が中心 であ ったが, ひ と りご とは,その性質上聞 きと りに くいの に加 え, 他の子 どもたちの声やその他の雑音 に消 され収集が大変難 しい ことが分 か った。 また, 目新 しい観察者 に興味 を示 し,一緒 に遊ぶ ことを求め る子 どもや何 を しているの か質問 して くる子 どもも多 く,観察が中断す る場面 もあ った。そ こで,予備観察の 日程 を 当初予定 していた

1

日か ら

3

日に延長す ることに よって,観察者が違和感 な く保育 に参加 し観察 を行 える ように した。 第

2

節 本調査

(1

)実施期 日 期 間 平成

1

4

年 7

2

9

日(月)

∼8

7

日(水)の土 日,祭 日を除いた 日の午前

8

3

0

分か ら

1

0

時 までの

2

時 間

3

0

分。 ただ し,調査 は午前8時45分か らと し, 調査 までの時間は,子 どもの様子 を見 る時 間 と した。 対象児 新潟県 田上町

N

保育所

4

歳児

8

名 (男児

4

名,女児

4

名) (2)調査手続 き 調査 はひ と りごとの抽 出条件 を予備調査 と同 じに し, 自然観察法で 1人につ き

1

時間観 察 を行 った。ただ し,一斉保育時の観察 は行 わず, 自由保育時のみ に限定 した。 記録項 目は,予備調査 の時 と同様の

8

項 目であ る。 (3)分析方法 調査 によって収集 されたひ と りごとは,機能的 カテゴリー と内容的 カテ ゴリー,遊 びの 種類 に分類 し,全体 と男女差 とい う

2

つの観点か ら分析 を行 った。 (∋機能分析 機能分析 は, ひと りご とが どの ような働 きを しているか とい う機能的側面か ら分析 をす る もの であ る。今 回 は,菅 田1)がDavidD.Clarke(1983)に示 した カテ ゴ リー を

1

0

項 目 の カテ ゴリーに まとめた もの を使用 した。 カテ ゴリーの内容 は,次 の とお りである。

a

容認 他 人の意見 を受 けいれた り,認めた り,同意す る。

b

同意 相手の意見 に同意 した り,確認 した りす る。 、 C質問 他の人や 自分 にむける質問。

(3)

子 どものひとりごとについての一考察 (滴下)

d

主張 状態や状況の叙述。 自分 に対 しての提案,助言。

e

非難 他人に対 しての非難,冷やか し。 f命令 他人への命令。 g継続 状況や状態,行動 な どの詳 しい説明,推理,例証,分析,弁明。 非 人間的 な物や人間に対する命名。

h

否定 他人に対す る否定,否認,拒否。

i

実行 義務の実行。行動 と共 に出て くる言葉。 j要請 他人への要請,嘆願,許可。 (参内容分析 内容分析 は,ひ とりごとが どの ような内容 を持 っているか とい う内容的な側面か ら分析 す るものである。 この内容分析 のカテ ゴリーについて も菅田1)が次の11項 目にまとめてい る。今 回は, このカテゴリーにそって分析 を行 った。 a叙述 状態や状況, 自己の状況や状態あるいは活動の叙述。

b

確認 状態や状況, 自己の状況や状態あるいは活動の確認。 C思考 遊 びや遊 び方 などすべ てにおける思考。 また,それを考 える間。物や状況 な どに対す る空想。

d

意思 自己の意思表示。

e

感想 状態や状況, 自己の活動 に対する感想,気持 ち。 f会話的表現 誰か に話 しかけているようなひとりごと。 g行為の指示 自己の行為 を誰か他人に教 えているようなひとりごと。

h

自己への問い掛 け 自分へ疑問や質問 を問い掛 けているようなひとりごと。 i模倣 真似,擬態語。 j掛け声 動作 を行 うために出て くる掛 け声。

k

歌 テ レビの主題歌や 自分で節 をつけて歌 っている歌。 ③遊 びの種類 による分析 遊 びの種類 による分析 は,ひとりごとが どの ような遊 びの時に発せ られたか とい う観点 か らの分析であ る。使用 した遊 びのカテゴリーは,次の とお りである。 a運動遊 び 体 を動か して行 う遊 び。遊具やかけっこ,か くれんは,鬼 ごっこなど。

b

構成遊 び 創作活動 を楽 しむ遊 び。粘土や工作,絵措 き遊 びな ど。 C表現遊 び 表現 を して楽 しむ遊 び。歌や踊 りなど。

d

模倣遊 び ごっこ遊 びなど。

e

傍観 他の子 どもの遊 びを見ている。

f

その他の遊 び 上記の遊 びに該当 しない遊 び。 g遊 び以外 遊 びには該当 しない活動。

-4

9

(4)

-暁星論叢 第51号(2002) Ⅲ 結 果 と考察 第

1

新 機能的カテゴリーによる分析

(1

)全体 8日間の観察 において,男児では19-41事例,女児 では10-34事例,計228の ひ と りご とが観察 された。収集 されたひと りごとを機能的 カテゴリーに分類 した結果,図1の よう になった。 図1 機能的分類 全体 ド 蔓萎/uC 詰 基 ef …賀…≡==≡;…!:≡==弓:;.≡l=1∃ d g I 1 音さ 三幸…1:: I.=:I:==.:..=y=こ.==三三-=l: 0% 20% 40% 60% 80% 100% a容認 1.75%(4) b同意 0.4%(1) C質問 3.5%(8) d主張 46.1%(105) e非難 3.1%(7) f命令 2.6%(6) g継続 11.0%(25) h否定 5.3%(12) i実行 23.7%(54) j要請 2.6%(6) *百分率は発話数の合計 を

1

0

0とした ときのそれぞれの割合である。 ただ し, 小数第 2位 を四捨五入 した。

*

*(

)内の数字 は発話数 を表す。 機 能的 カテ ゴリーでは,一番多 いのが 「主張

(

「プ ッハ オナラノオ トダヨ

「コ-ヤ ッ テ コ-ヤ ッテ ィエ ヲツ タル イエ ヲ

)

の105(46.1%),次 に 「実行」(rコネ コネ

「セ イ ノーデ

「キ ック- ブシュ ブシュ エ イ

)

の54(23.7%),続 いて 「継続

(

「イツノマニカ ノビテ タ

「ユ カチ ャン ト ・・-チ ャン ト ・・

-」

「ニ ジュ ウハチ テ ンハ チ

)

2

5

(ll

.

0

%)

で あった。 一番少 ないのは 「同意

(

「ソウナ ンダヨ

)

1(

0

.

4%)

で,次 に 「容認

(

「ア リガ トウゴザ イマ シタ

「ハ -イボクガヤ リマ シタ トラクン

)

の4(1.8%),続 いて「要請

(

「オ ーイ ミテテ

「ネエユキチ ャン テツダッテ

「チュウダイ

)

,「命令

(

「ハヤ クマゼテ

)

の 6(2.6%)であ った。 「主張」では,友達が 「プ ッツ

と言 ったのを開いて 「プ ッハ オナラノオ トダヨ」と 言 った り, 「コ-ヤ ッテ コ-ヤ ッテ ィエ ヲツクル イエ ヲ

と発す るな ど自分 に対す る提案,助言のひとりごとが多 く観察 された。4歳児 は, 自分 と同 じ興味,関心 を持 った 3,4人の子 どもたちと同 じテーマの もの とで,同 じ世界 を共有 し共 に遊 びを楽 しむ。 L

(5)

子 どものひとりごとについての一考察 (瀬下) か し,遊 びの様子 をよ く観察す る と

○ ごっこ して遊 ぼ う」な どと言葉 を掛 け合 い なが ら共通 の テーマ を持 って遊 んでいて も,細部 に渡 る遊 びの展 開につ いては,個 々の空想 の 世界や考 えの中で展 開 されてい く様子が 多 く見 られ,その結果 「主張

が 多 く観察 された と考 え られ る。 「実行

では,行動 を起す時の掛 け声 や擬音が主で,釣 りごっこ場面で竿の代 わ りにな る縄跳 び を海 に投 げる真似 を して 「セ イノーデ」と言 った り,戦い ごっこ場面 で 「ソ レ

-」

「イケ

-」

と言 って悪者 に向か って行 った り, 「ダ ダダ ダ ダ

--」

とひと りご との リズム に合わせ よ り早 く走 ろ うとす る姿が見 られた。 この ことか らひ とりごとは, イメー ジ して い る もの を行動 と して表 した り, 自分の行動 をスムーズ に した り抑制 した りす る行動調節 の役割が大 きい と考 え られ る。 また粘土遊 びの場面 で は,粘土 をこねなが ら 「コネコネ

と言 った り,戦 い ごっこ場面 で は, 「パ ンチ

「キ ック

-」

と言 い なが ら戦 う遊 びを楽 しむ姿が観察 された。子 どもはひ と りご とを原動力 に行動 を表面化 させ る とともに, 自分 の行動 を言語化す るこ とでや って い るこ とを確認 し, よ り遊 びの世界 を深 め てい る と推測 され る。 「継続

では,粘土遊 びの場面 で放 っておいた粘土が伸 びて広が った状態 を見て 「イツ ノマニ カ ノビテ タ

と言 った り,友達 の体重 を具体的 に知 るため に,体重計 の メモ リを 覗 き込 んで数字 を読 む とい う場面 で観察 された。子 どもは ひ と りご とを発す ることによ り 状況や状態 な どを確認 ,把握 してい る。

(2

)男女差 による観点 か ら 機能的 カテ ゴ リーを男女別 に分類す る と,図

2

- 1,図

2-2

の ようになった。 図2- 1 機能的分類 男児 ド 0% 20% 40% 60% 80% 100% a容認 2.9%(4) b同意 0.7% (1) e非難 2.2%(3 ) f命令 1.5% (2) i実行 30.9% (42) j要請 0.7% (1) C質問 3.7% (5) g継続 5.1% (7) ー 5 1-d主張 49.3% (67) h否定 2.9% (4)

(6)

暁星論叢第51号(2002) 図2-2機能的分類 女児 「 -叫I---一丁 h- -0% 20% 40% 60% 80% 100% a容認 0%(0) b同意 0%(0) C質問 3.3%(3) d主張 41.3%(38) e非難 4.3%(4) f命令 4.3%(4) g継続 19,6%(18) h否定 8.7%(8) i実行 13.0%(12)j要請 5.4%(5) 男児 においては, 「主張

の67(49.3%)が最 も多 く,次 に 「実行」の42(30.9%)が多 く観察 された。 少 ないのは 「同意

と 「要請

の1(0.7%)で,次 に 「命令」の2(2.2%) であ った。 女児では,男児 と同様 に 「主張」の38(41.3%)が最 も多 く,次 に 「継続」の18(19.6%) が多 く観察 された。少 ないのは 「容認」

,

「同意」の0(0%)で,次 に 「質問」の3(3.3%) であった。 男児で多 く見 られた 「実行

が女児 にはあ ま り見 られず,代 わ りに 「継続」が女児 に多 く見 られるとい う差が出たが, この差 は男女差 における遊 びの違いか らきている ものだ と 思 われる。女児 に比べ て男児 は,走 った り,飛 び跳 ねた り,戦いごっこの遊 びにおいてパ ンチやキ ックを表現す るな ど体 を大 きく動 か しての遊 びが多い。その ような遊 びの中で, ひとりごとを発す ることで体 をうま くコン トロール してイメージの動 きを表現 した り調整 す ることが求め られた結果,男児 に 「実行

が多 く見 られたのではないだろうか。 第

2

節 内容的 カテゴ リーによる分析

(1

)全体 収集 されたひとりごとを内容的 カテゴリーに分類 した結果,図

3

の ようになった。 内容的 カテ ゴリーでは,一番多いのが 「思考

(

「ジブ ンデスキナ ヨウニ シテ ミ

「ハ ヤ ク シナイ ト ガッコウニオ タレチ ャウ

「コレノセルノ

「ミホハ マホウノチ カラガアルノ

)

の59(25.9%),次 に 「叙述

(

「アー ツカ レタ

「カニ クワ レタ カイカイ

)

の44(19.3%),続 いて 「意思

(

「ネ-モーハ ンコヤ メル

「ワタシモ イコ

ツ」

)

の27(ll.8%)の発話が多か った。 少 ないのは 「行為の指示

(

「アソどこキ タコ トネ

「ネエユキチ ャンテツダッテ

)

,

自己へ

の問い掛 け

(

「ホウチ ョウハ ?

「カエデチ ャンコレルカナ

?J

の6(2.6%)であった。

(7)

子 どものひとりごとについての一考察 (瀬下) 図3 内容的分類 全体 :/1Lp∴::. :prfI:. I:.L.ll l l I l l l … a I 一 l 一 l l b C d e f J ●● J k 0% 20% 40% 60% 80% 100% a叙述 19.3%(44) b確認 5.7%(13) C思考 25.9%(59) d意思 11.8%(27) e感想 5.7%(13) f会話的表現 10.5%(24) g行為 の指示 2.6%(6)`h自己への問い掛 け 2.6%(6) i模倣 3.5%(8) j掛 け声 9.2%(21) k歌 3.1%(7) 「思考」では,粘土遊 びの場面で他児が粘土 を触 っているのを見て 「ジブンノスキナ ヨ ウニシテ ミ("自分の好 きな ように して遊 んでみればよい''とい う意味)」と言 った り,積み 木遊 びの場面で積み木の並べ方 について 「コレノセルノ

と考 えを述べ た り, また 「ハヤ クシナイ ト ガ ッコウニオクレチ ャウ」と空想の世界 について叙述 していた。 この ような 姿 は vygotskyが述べ るように, この時期の子 どもは思考活動の内面化が難 しいことを顕 著 に示 していると言 える。 「叙述」は, 自己の状況や状態あるいは活動の叙述が主である。 これは "確認''として の意味が大 きい。 予想 に反 して多 く観察 されたのが 「掛 け声」であった。 戦いごっこ場面で 「ソレ

-」

「イ ケ

-」

などと言 って行動 に表 した り,物 を投 げる遊 び場面で 「イクゾ

-」

「セイノーデ」と 言 っていた。 この ような姿か らも子 どもの ひと りごとは,行動 を起す原動力や行動の方向 づ け としての役割が大 きい と考 え られる。 - 5

(8)

3-暁星論叢第51号(2002)

(2

)男女差による観点から 内容的カテゴリーを男女別に分類すると,図4- 1,図4- 2のようになった。 図4- 1 内容的分析 男児 i-∴ l l 一 l t I l ' z a i l I l b C d e f 一- ●∫ k 0% 20% 40% 60% 80% 100% a叙述 13.2%(18) b確認 6.6%(9) C思考 25.7%(35) d意思 11.0%(15) e感想 2.9%(4) f会話 的表現 16.9%(23) g行為の指示 2.2%(3) h自己への問い掛 け 2.9%(4) i模倣 3.7%(5) j掛 け声 11.0%(15) k歌 3.7%(5) 図4-2 内容的分析 女児 : ∴IHi■≡;≡g I I l l l l … a J l l l l l b C d e i J 旨≡≡享≡≡妻≡≡≡三≡ 0% 20% 40% 60% 80% 190% a叙述 28.3%(26) b確認 4.4%(4) C思考 26.1%(24) d意思 13.0%(12) e感想 9.8%(9) f会話 的表現 1.1%(1) g行為の指示 3.3%(3) h自己への問い掛 け 2.2%(2) i模倣 3.3%(3) j掛 け声 6.5%(6) k歌 2.2%(2ト 男児においては, 「思考

の35(25.7%)が最 も多 く,次 に 「会話的表現

の23(16.9%), 続いて 「叙述

の18(13.2%)が多 く観察 された。少ないのは 「行為の指示

の3(2.2%) で,次 に 「感想」,「自己への問い掛 け」の4(2.9%)であった。 女児では男児 と異な り 「叙述」26(28.3%)が最 も多 く,次 に 「思考」24(26.1%)が多 く観察 された。少ないのは 「会話的表現」の1(1.0%),次 に 「歌

の2(2.2%)であった。 男児は女児に比べ,遊 びに対す る自分の考えを率直に表現する姿が多 く見 られた。その

(9)

子 どものひとりごとについての一考察 (滴下) 分意見の対立 も起 こ りやすい。それに対 して女児は,他児の反応 (気持 ち) を伺 いなが ら 自分の考えを述べ る場面が多 く, この ような姿の違いが ひとりごとに も影響 し,男児の方 に 「思考

が多 く観察 されたのではないか と推測 される。 第

3

節 遊 びの種類別 による分析

(1

)全体 ひとりごとをひとりごとが発せ られた時の遊 び別 に分類す る と図

5

の ようになった。 図

5

遊 び別 分析 0% 20% a構 成遊 び 47.4% (108) d傍 観 1.8%(4) g遊 び以外 12.7% (29) 40% 60% 80% 100% b表現遊 び 0%(0) C模倣 遊 び 26.8%(61) e運 動遊 び 8.8%(20)fその他 の遊 び 2.6% (6) 発話数が圧倒的に多いのは 「構成遊 び」の108(47.4%)で,割合に して過半数近 くにな る。次 に 「模倣遊 び」の61(26.8%)となっている。 「構成遊び」は,ブロックを使 って ピス トルや家 などを作 った り,粘土で遊ぶ場面 に多 く見 られた。 「模倣遊 び

は,テ レビのキ ャラクター (ハ リケ ンジャーなど) になったつ もりでの ごっこ遊 びが大半 を占めている。 構成遊 び時 にひとりごとが発せ られた場面 をよく見てみると,例 えばブロックをどうつ なげて飛行機 を作 るか とい う場面 よ り,今作 っている, または作 った飛行機が飛 んだ り, 急降下 した り, または自分が操縦士 になったつ もりで動か した りと,作 りなが ら空想の世 界 を膨 らませ て楽 しむ場面で多 くの発話が なされていた。そ うい う意味では,模倣遊 び時 に発せ られるひとりごととよ く似 ている。構成遊 びや模倣遊 び時 にひとりごとが多 く表れ たのは,構成遊 びや模倣遊 びでは他の遊 びよ りも思考活動が活発 に行 われるためである と 思 われるが,特 に想像 を要す る遊 びにおいては,子 どもの思考活動が活発 になると理解で きる占

-5

5

(10)

-暁星論叢第51号 (2002)

(2

)男女差による観点から 遊びの種別 を男女別に分類すると次の図

6-1

,図

6-2

のようになる。 図 6- 1 遊び別分析 男児 0% 20% a構成遊 び 39.0%(53) d傍 観 1.5%(2) g遊 び以外 15.4%(21) 40% 60% 80% 100% b表現遊 び 0%(0) C模倣遊 び 32.4%(44) e運動遊 び 8.1%(ll) fその他 の遊 び 3.7%(5) 図 6- 2 遊び別分析 女児 I l l I l ! a l l i l l C e 0% 20% a構成遊 び 59.8%(55) d傍 観 2.2%(2) g遊 び以外 8.7%(8) 40% 60% 80% 100% b表現遊 び 0%(0) C模倣遊 び 18.5%(17) e運動遊 び 9.8%(9) fその他の遊 び 1.1%(1) 男児で発話数が最 も多かったのは, 「構成遊 び」の53(39.0%)で,次 に 「模倣遊 び」 の44(32.4%)であった。少ないのは 「表現遊び」の0(0%)で,次 に 「傍観遊び」の2(

1

.

5%)であった。 女児では,男児 と同様 「構成遊び

の55(59.8% )が最 も多 く,次 に 「模倣遊

び」

の17(1 8.5%)であった。少ないのは 「であった。 表現遊 び」の0(0%),次 に 「その他の遊 び」の1(1.1%)

(11)

子 どものひとりごとについての一考察 (滴下)

まとめ

本研究は,vygotskyのひ とりごとの研究 を念軌 こ置 き,ひ とりごとはいつ, どの よう な ものが発せ られるのか, また子 どものひ とりごとには どの ような意味があるのかを明か にす ることを目的に行 った。その結果,次 の ことが明 らかになった。 ひとりごとは,行動 を起す際の掛 け声や擬音 として多 く観察 された。 この ことか ら,チ どもの ひとりごとは イメージ している もの を行動 として表 した り,行動 をスムーズに した り抑制す るための行動調節機能 としての役割が大 きい。 自分や他児の行動や活動の状況 をひとりごととして言葉化す る場面 も多 く観察 された。 これ らのひとりごとは "確認"の意味が大 きく,子 どもは言葉化することによ り状況 を確 認 した り,理解 している。 また子 どもは,言葉化 して 自分の行動 (していること)や状況 を深 く感 じることで遊 びの世界 を深めている。 ひ とりごとは,構成遊 びや模倣遊 び時によ く表れる。 これは構成遊 びや模倣遊 びでは, 他の遊 びよりも思考活動が活発 に行 われるためである と思われる。 特 に想像 を膨 らませ て 空想の世界 を楽 しむ活動場面では,ひとりごとが多 く発せ られる。 これ らの調査結果か ら,vygotskyが述べ るように,子 どもはひと りごとと して言葉 を 発す ることで思考 を自分の ものに している と考 えられる。つ ま りこの時期の子 どもは,外 言 な しで頚 (内言)で物事 を考 えることが難 しいのである。が しか し,ひとりごとが表れ るのは単 にその ことだけでな く, この時期 の子 どもが個の世界での遊 びを楽 しむことを中 心す る世界か ら脱 していない とい うことを物語 っているのではないだろうか。 ひと りごとは他 に向けれた言葉ではないが,周 りにいる子 どもたちが友だちのひとりご とを聞いて自分の意見 を返 しコミュニケー シ ョンが生 まれた り,遊 びの世界が共有化 され る場面 も観察 されたことか ら,子 どものひとりごとは,個の世界 と外の世界 を繋 ぐ窓の よ うな もので もあると考 え られる。 謝 辞 本研 究の観察実施 に関 しま して,御助言,御協力 をいただ きま した田上町立 中店保育所 の所長先生 は じめ諸先生方,園児のみなさんに厚 くお札 申 し上げます。 注) 1)菅田浩代 1992

r

子 どものひとりごとの研究J 上越教育大学 卒業論文 2)田上町の町立保育所では,就学前の1年間は幼稚園に行 き教育 を受けるとい う体制 になってお り,今回観察対象 とした4歳児がN保育所では年長児 となる。 - 5

(12)

7-暁星論叢 第51号(2002) 引用 ・参考文献 1 高野清純 ・林邦雄編 1975 図説児童心理学辞典 学苑社 2 浅見千鶴子 ・稲毛教子 ・野田雅子 1986

r

乳幼児発達心理学②1-3歳」 大 日本図書 3 岡本夏木 1982

r

子 どものことばJ 岩波新書 4 福沢周 1987

r

子 どもの言語心理①児童のことばJ 大 日本出版 5 菅田浩代 1992

r

子 どものひとりごとの研究」上越教育大学 卒業論文

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SST を活用し、ひとり ひとりの個 性に合 わせた   

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場

自分ではおかしいと思って も、「自分の体は汚れてい るのではないか」「ひどい ことを周りの人にしたので