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国語科の書くことが困難な生徒へのシンキング・ツールによる支援の効果の検証-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学教育実践総合研究(Bull. Educ. Res. Teach. Develop. Kagawa Univ.),32:1-14,2016

国語科の書くことが困難な生徒への

シンキング・ツールによる支援の効果の検証

川田 英之

(附属坂出中学校) 762-0037 坂出市青葉町1-7 香川大学教育学部附属坂出中学校

Practical Study Support Using “Thinking Tools” for

Students who have Difficulties in Learning “Writing”

of Japanese Classes

Hideyuki Kawata

Sakaide Junior High School Attached to the Faculty of Education, Kagawa University, 1-7 Aoba-cho,Sakaide 762-0037 要 旨 国語科の書くことが困難な生徒に,シンキング・ツールを用いた支援を行い,その 効果を検証した。実践研究の結果,「書く課題に対する既有知識が欠如している」「書く課題 と既有知識がつながらない」「書く課題と既有知識とはつながっているが,それを表現でき ない」ことが原因で書けない生徒に効果的であることが明らかになった。 キーワード シンキング・ツール 国語科スクーリングテスト 視覚化 焦点化 関係づけ

はじめに

 国語科の授業がここ十年で大きく変わり,読 むこと・書くことが困難で特別支援教育を必要 とするLDやADHD,高機能広汎性発達障害な どの子どもが増えつつある。そのため,学級 集団での国語の学習が成立しない状況が多々あ る。  前稿1において,筆者は,読むことの困難な 生徒に対するシンキング・ツールの支援の有効 性について検証した。難読症の内,脳の情報処 理(入力側)に問題のある生徒,情報発信(出 力側)に問題のある生徒のどちらにも効果的な 支援のツールとなることが明らかになった。  本論は,書くことの困難な生徒に対して,シ ンキング・ツールを用いることが,その支援と して有効に働くことを検証するものである。

1 書く行為と脳の働き

 読む行為と書く行為とでは,脳の働きが異な り,書く方がより高度な力を要する。永江誠司 は,書く際には,前頭葉後部の運動野と頭頂葉 の体性感覚野と頭頂連合野が結びついて,書く 行為を支えており,「書けない」という状況は, 書く行為に含まれる脳の部位の統合が弱いと述

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を正しく理解させる手だてを講じなければなら ない。  ④の子どもには,既有知識を補充してやる必 要がある。教師が知識を補充する情報を提供し たり,学習者同士の話し合いの中で補充したり することが有効である。  ⑤は,既有知識が雑然としすぎていて整理さ れていないか,他の知識が邪魔をしてつながら ない場合である。こうした子どもには,既有知 識を呼び覚まし,整理する方略を学ぶことが有 効な手だてとなる。  ⑥は,書く内容は脳裏に浮かんでいるが,そ れを書くに至らない場合である。こうした子ど もは書き方が分からないのであり,書くための 型を提示することが手だてとして有効である。  この内,①②は,重要な問題ではあるが,本 論の研究対象ではないので論考は割愛する。③ は,書く以前の課題を理解する(課題を読む) 段階の問題である。この段階のシンキング・ ツールの支援の有効性については,前稿4で示 したので,省略する。  今回研究対象としているのは,④⑤⑥であ る。  ④は,文字情報が外から入らないで行う書く 行為の中で,学習内容や課題を脳の記憶から引 き出し,つなげる作業が必要であり,そのため の方法・方略の指導が必要である。⑤⑥は,記 憶を書くという行為に結びつける過程の方法や 方略の指導が必要となる。共通しているのは, 書く過程の中で,コミュニケーションを活性化 させたり,方略としての型を学んだりする支援 が有効性をもつということである。

3 シンキング・ツールによる書くこと

の支援

 シンキング・ツール(thinking tool)は,思 考ツールとも呼ばれ,Yチャート,PMI,ベン 図など,思考の過程や枠組を可視化したワー クシートや図・表などの総称である。「視覚 的に表して,組織化するもの」という意味で 「グラフィック・オーガナイザー」(graphic べる2。また,奥村安寿子・稲垣真澄は,文字 を読む時と書く時には,共通の脳部位が活動す るが,読む時には視覚野から情報を受けて働く のに対し,書く時には,情報がない状態で働か なければならず,読む時には大脳が正常に機能 しても,書く時にはうまく働かないことがあ り得ると述べる3。読めるのに書けないという 子どもがいるのはそのためであり,書けない子 どもには読みとは異なる支援が必要となる。さ らには,教育の現場において,書けない子ども は多数いるが,「書けない」という症状は同じ でも,アセスメントにより脳の障害の特徴を捉 え,指導の方法を変えなくてはならず,個別の 支援が必要となる。普通学級において,こうし た指導や支援にはかなりの労力を要することと なる。

2 「書けない」症状の原因

 子どもの「書けない」という症状の原因とし て,次の六つが考えられる。  ① 文字自体が書けない(読めない)  ② 書こうとする意欲がない  ③ 書く課題が理解できない(課題の情報の 入力を誤る)  ④ 書く課題に対する既有知識が欠如してい る  ⑤ 書く課題と既有知識がつながらない  ⑥ 書く課題と既有知識とはつながっている が,それを表現できない  ①は,識字の問題である。中学校ではほとん どいないが,小学校入学段階では存在する。こ れについては,取り立て指導を行って教えるこ とが必要である。  ②は,学習に参加しておらず,問いに対峙し ようとしない子どもである。幼い頃からの負の 連鎖を積み重ねてきた結果や,学習空間(クラ スの雰囲気)の問題がこの原因に当たる。内発 的・外発的要因等様々な観点から学習意欲の喚 起を行う必要がある。  ③は,いわゆる「読み間違い」と言われる情 報入力ミスである。こうした子どもには,課題

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organizer)とも言われる5。欧米の教育界では 広く用いられており,日本でも導入されつつあ る6が,国語科教育における実践はまだまだ少 なく,断片的に活用が始められたばかりで,広 く様々な分野・教材に系統的に用いられるまで には至っていない。  筆者は,佐藤明宏他との共同研究において, 視覚支援の「スケジュールを示す視覚支援」「物 事の相互関係を示す視覚支援」が読むこと・書 くことの習得が困難な児童・生徒に有効である ことを明らかにした7。シンキング・ツールは, この内,「物事の相互関係を示す視覚支援」に あたる。  「2」で述べたように,文字情報が外から入 らないで行う書く行為では,学習した事柄を記 憶から引き出す作業の比重が高く8,その方法 や方略を指導することは重要な視点である。  LD,ADHDなどが原因で書くことが困難な 子どもは,課題と記憶を結びつける過程に大き な問題をもつ。そこで,「物事の相互関係を示 す視覚支援」であるシンキング・ツールは,学 習事項と記憶とをつなぐ役割を果たし,書けな い子どもに有効に働くと考えられる。  次に,書くことが困難な生徒にシンキング・ ツールによる支援を行う授業実践を行い,その 有効性と課題について検証するものとする。

4 対象生徒

 対象生徒については,書くことの実態と,国 語科スクーリングテスト9の結果を基に,香川 大学教育学部附属坂出中学校平成26年度第1学 年および平成27年度第2学年に在籍のA(男 子),B(男子)の2名を対象生徒とした。  生徒A(中1男子)  コミュニケーション能力が低く,対人関係を 作るのに問題がある。理解に時間がかかり,定 期テストでの作文問題はほぼ空白である。国語 科スクーリングテストの結果,聴覚的短期記憶 は優位であるが,言葉の想起,情報の統合,社 会性に問題を抱えていることが明らかになっ た。「2」の症状で言うなら「⑤ 書く課題と 既有知識がつながらない」「⑥ 書く課題と既 有知識とはつながっているが,それを表現でき ない」ことが原因であると思われる。  生徒B(中1男子)  対人関係は良好だが,理解力は低い。定期テ ストの作文問題では,一応書くものの,問われ ていることを正確に書くには至らないことがほ とんどである。国語科スクーリングテストの結 果,視覚的短期記憶,言葉の想起,情報の統 合,長期記憶(知識)に問題を抱えていること が明らかになった。「2」の症状で言うなら, 「④ 書く課題に対する既有知識が欠如してい る」ことが原因であると思われる。  尚,A,B共に第1学年,第2学年と同クラ スに在籍している。

5 実践方法

 実践については,次の三つを行い,対象生徒 の書く過程と書いた内容を基に分析した。 ○実践事例1 ・題材名:「矛盾」 ・対象学年:中学1年 ・シンキング・ツール:ピラミッド・チャート ○実践事例2 ・題材名:「枕草子」 ・対象学年:中学2年 ・シンキング・ツール:ツリー図 ○実践事例3 ・題材名:「反対意見を想定して書こう」 ・対象学年:中学2年 ・シンキング・ツール:ベン図

6 結果

(1)実践事例1 「矛盾」(26年11月実施)  ① 学習内容  教科書にある「矛盾」の内容を理解した後の 発展的な学習である。資料集にある「蛇足」「五十 歩百歩」「蛍雪の功」等の故事成語から一つを選 択し,身近な生活の中の出来事と結びつけた「暮 らしの中の故事成語」の文章を創作する。

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 ② シンキング・ツールの活用  ピラミッド・チャート  自分で選択した故事成語と,身近な生活の中 の出来事とを結びつけるツールとして用いた。 この課題がすぐに行える生徒は,故事成語を選 んでから生活の出来事を考えるのではなく,故 事成語の意味と生活の出来事との結びつけを何 度も頭の中で行っている。よって,故事成語を 選択して書き始めた段階では,既に二つが結び ついているのである。対象生徒の2人の場合, この結びつけができないために「書けない」の である。ピラミッド・チャートはこの結びつき の支援として有効である。ピラミッドを四分割 し,上から「故事成語」「故事成語の意味」「故 事(いわれ)」「生活の出来事」を記入すること で,視覚的な結びつきがなされ,書くことの支 援になると考えた。  ③ シンキング・ツール活用の実際   ア 生徒A  課題を説明したが,Aはピラミッド・チャー トになかなか記入しなかった。こうした生徒は Aの他にも多数いたため,まず何でも良いので 一つ故事成語を選ぶよう指示したところ,「助 長」の故事成語を選び,「意味」「故事」の3段 目までを記入した。その後,また手を止めて5 分ほどじっとしていたが,「ある陸上部の子が いたが,その子は走るのが遅かった。その子の 親が心配してきついトレーニングはママ毎日続けさ せた。結局,その子はそのトレーニングが原因 で足を悪くしてしまい,もう走れなくなってし まった。」と4段目に記入した(図1)。  その後,4人組でツールを基に話し合いの場 をもった。その中で「助長って何?」と聞かれ, Aがツールを使って説明したところ,「助長… 余計な手助けをすること。それで十分いけると 思う。親が余計なことをしたんやな。」と言わ れ,納得した様子であった。 【図1 生徒A ピラミッド・チャート】  Aの創作した文は次のとおりである。  ある陸上部の子がいた。その子は走るの が遅く,なかなかタイムをよくすることも できなかったため,先生によく努ママられてい た。それを知ったその子の親が心配し,毎 日きついトレーニングを無りやり続けさせ た。「お前はがんばればできるんだからしっ かりやれ」と言い,休むこともさせてくれ なかった。  ある日その子はトレーニング中にたおれ て足が動かなくなってしまった。急いで病 院につれて行った。そして処置を受けると, なんとか歩けるまでにはなったが,もう走 ることはできなくなっていた。  誤字はあるものの,「助長」の意味を正しく 捉え,創作文が書けていた。   イ 生徒B  Aと違って,「蛇足」の故事成語をすぐに選 択し,ピラミッド・チャートの3段目までを 記入した。しかし4段目を書くことができず, 「分からない」と繰り返し言った。結局,4人 組の話し合いの場まで,「生活の出来事」を書 くことはできなかった。4人組では,次のよう な話し合いが行われていた。  B:いらないこと,何かない? S1:いらないこと…例えば,…例えばなんか せっかく練習試合とかでいい試合だったのに, 最後にある人がぼそっぼそっと何か言うとか。

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 B:あー。 S1:あの人があんなプレーしたからなって。  B:なるほど。 S2: テストで合っていたのに,余計なこと書い てばつとか。  B: 俺絶対あるし。俺は最初からわからんから 違うか(笑)。 S1:練習試合やっていっぱいあるし。  話し合いの中で,ヒントをもらうことでBは 4段目に「野球の試合で完全試合まであとアウ ト1つなのに3ボールストライクでストライク をとってきたのに3球ともホォークで4球目は ストレートでストライク5球目はストレートの ストライクそして6球目はホォークでボール キャッチャーはなぜ6球目をとくいのストレー トでないフォークにしたのか。」(下線―筆者) と記入した(図2)。  S1の言葉に納得し,「蛇足」のいわれと自 分の野球の経験とが,Bの中でつながったのだ と考えられる。  Bの創作した文は次の通りである。  野球の試合で完全試合まであとアウト1 つ1球目ストレートでストライク2球目も ストレートで2ストライク,3球目キャッ チャーからのサインはホォークでボール 4球目またしてもホォークでボール3ママ球 目ホォークでボールそして次のサインは ホォーク。とまどったピッチャーはとまマ マ どったけどキャッチャーのサインにしたが いホォークを投げた。さてはんていはボー ル2球ストレートでおいこんだのに2スト ライクからのフォアボールで完全試合はな くなった。 (下線―筆者)  Bが創作した文は,ピラミッド・チャートの 4段目を具体化したものである。句読点使用の 誤りは目立つが,メモおよび創作文の下線部か ら,「蛇足」の意味と,キャッチャーが「余計 なこと」をしたという意味をつなげて,正しい 創作が行えたと考えられる10  ④ 実践事例1の考察   書 け な い 生 徒 A, B と も に ピ ラ ミ ッ ド・ チャートによる支援が有効であったと思われ る。Aの場合は,ピラミッド・チャートの階層 により,つながりが視覚化されたことで,故事 成語と生活の出来事を自力で結びつけることが できた。Bの場合は,個の段階では結びつける ことができなかったが,ピラミッド・チャート が対話のツールとして活用されることで,最終 的に結びつけることができた。  クラス全体の事後アンケート結果は資料のと おりである。ピラミッド・チャートを使わず, 同様の創作を行った他クラスと比較してみた。  「暮らしの中の故事成語はうまく書けました か」という問いに対し,「かなり」の割合はど ちらも同じであるが,ピラミッド・チャートを 使ったクラスの方が「まあまあ」の割合が多い こと,「あまり」「いいえ」の割合が少ないこと が違いとしてあげられる。「ピラミッド・チャー トは役に立ちましたか」という問いに対しては, 約9割の生徒が「かなり」「まあまあ」と肯定 的に答えている。その理由としては,「いわれ などを書くので,すぐにどんな文を書くかが 思いついたから」「関連づけたり,思い浮かび やすくなったから」と創作前の構成メモとして 有効であった理由がほとんどであった。また, 「1回1回意味に沿って確かめられたから」「自 分で略して意味などを書くので頭に入るから」 と推敲や理解に役立ったという理由もあった。 「あまり」「いいえ」の理由は,「意味やいわれ は知っていたから,書かなくてもよかった」「ど ちらかといえばピラミッド・チャートが無くて 【図2 生徒B ピラミッド・チャート】

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資料 <ピラミッド・チャート 事後アンケート結果> 資料1 <ピラミッド・チャート 事後アンケート結果> <ピラミッド・チャート 理由> ○「かまり」「まあまあ」 ・いわれなどを書くので,すぐにどんな文を書くかが思いついたから ・上下の考えとつなげられるから ・意味がわかり,構成,考えが立てられたから ・意味・いわれなどがすぐ上に書かれてあるから,文章を書きやすかった ・関連づけたり,思い浮かびやすくなったから ・順序立てて構成を書くので,頭で整理してから書けた ・はじめは何を書くかなかなか浮かばなかったけれど,これがあるとすぐにどんどんできていったから ・私は継次なので順に考えられた ・考える順番が見えて,文章を創りやすかったから ・文章をふみはずさないように書くことができる ・1回1回意味に沿って確かめられたから ・自分で略して意味などを書くので頭に入るから ○「あまり」「いいえ」 ・意味やいわれは知っていたから,書かなくてもよかった ・どちらかといえばピラミッド・チャートが無くても書けた気がするから ・あまりくわしく書かなかったから かなり 32% まあまあ 58% あまり 10% いいえ 0% 暮らしの中の故事成語はうまく書 けましたか:対象クラス かなり 32% まあまあ 52% あまり 13% いいえ 3% 暮らしの中の故事成語はうま く書けましたか:比較クラス かなり 65% まあまあ 27% あまり 5% いいえ 3% ピラミッド・チャートは役に立ちまし たか:対象クラス

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も書けた気がするから」等であり,故事成語と 生活の出来事をすぐに結びつけることのできた 生徒によるものである。  また生徒A,Bともに「暮らしの中の故事成 語はうまく書けましたか」という問いには「ま あまあ」,「ピラミッド・チャートは役に立ちま したか」という問いには「かなり」と回答して いる。その理由をAは「先にメモとして書いて おくと,文を書くときに書きやすかったから」 と答えており,言葉の結びつけによる文の想起 に有効であったと実感していることが伺える。 また,Bは「書くないようをかじょうがきで書 いていたから」と答え,対話の中で発想できた 内容をメモすることで,創作がスムーズにいっ たことを効果として実感していることが伺え る。  本実践より,ピラミッド・チャートは多くの 生徒にとって有効なツールであり,また,書く ことの困難な生徒に対しても有効に機能したと 言える。 (2)実践事例2 「枕草子」(27年4月実施)  ① 学習内容  教科書にある「枕草子」第一段を模して「私 の枕草子」を創作する学習である。「春」「夏」 「秋」「冬」のそれぞれの季節にふさわしいと思 う事物について,文章に表す。筆者の表現上の 特徴を効果的に用いて自分なりに季節感や美意 識を表現し,まとめる力が必要であり,実践1 より高度な書く力が必要となる。  ② シンキング・ツールの活用  ツリー図  それぞれの季節についてふさわしいと思う事 物を列挙し,文章化するためにツリー図を用い た。対象生徒2人の場合,まず既有知識を掘り 起こし,多数示された観点を整理して教材文と 結びつけ,自分の最終的な考えを文にする力が 弱い。ツリー図は情報を整理して結びつける支 援として有効であり,本実践の課題文を書く支 援になると考えた。尚,今回は,ツリー図の型 を教師が示さず,ノートに自分で書き,文章を 構想するよう指示をした。  ③ シンキング・ツール活用の実際   ア 生徒A  最初はツリー図をなかなか書けず,「春」「夏」 「秋」「冬」という項目を書いたのみであった。 その後,友達から「季節で思いつくことを書い てみたら」と言われ,それぞれの季節で思いつ く項目を羅列した(図3)。 【図3 生徒A ツリー図】  Aの創作した文章は次のとおりである。  春は桜。やうやう色づきはじめ,一年に 一度だけいっきに花をさかせたる。  夏はすいか。お盆のころはさらなり,夏 休みもなお,冷蔵庫の中を独占したる。ま た,ただ一つ二つなど,アイスクリームも 真夏に食べることもマをマ格別においし。  秋は紅葉。町の木々の葉がだんだんと緑 から紅へ染まるさへあはれなり。まいてさ ぬき冨士などが真紅に染マるマは,いとをかし。 日入り果てて,風の音,虫の音など,いつ の世も変わりなく,はた言ふべきにあらず。  冬は年末のお決まりのテレビ番組。NHK の紅白歌合戦は言うべきにもあらず,ダウ ンタウンの笑ってはいけないシリーズ,ゆ く年くる年を観るも,いとつきづきし。正 月になりて,気がゆるびて食べていけば, 身体が重がちになりてわろし。

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C:なるほど。冬は雪?寒い。他には?楽しいこ ととか? B:雪だるま。 C:それから? B:スキー。 C:悪いことはある?「わろし」とか,最後に悪 いことになっとるやろ? B:んー交通事故。 【図4 生徒B ツリー図】  Bが最終的に創作した文章は次のとおりであ る。  春はさくら。木の下でおはなみしたり しゃしんをとる人おおし。  夏は野球。あせをかいてたのしい。けが だけちゅういしてやるように。  秋は夕日。きれいなけしき。色はオレン ジいとつきづきし。  冬は雪。たまにふるけどさむい。雪だる まつくるのもたのし。スキーもまたたのし。 交通事故雪で多くなるはわろし。 (下線―筆者:最初の文章から推敲された部分)  Bのツリー図は,Cとの対話の中で生まれた ものである。実際,Bにとって具体的イメージ がわかなかった「秋」の「とんぼ」が対話の中 で「夕日」に修正され,「けしき」「オレンジ」  Aのツリー図は,厳密にはツリーの形をして おらず,一見箇条書きのようにも見える。しか し,冬の段の「年末」「桓ママ例」「テレビ番組」の 列と,創作した文章の冬の段から,Aの頭の中 ではツリー図の階層になっており,この図から 項目を取捨選択して文章化したと考えられる。 完成した文は,各段の冒頭一文目が体言止めに なっており,また,冬の段の最後は「わろし」 と落ちで結ぶなど,枕草子をよく模して書かれ ている。ただ,花(春),食べ物(夏),風景 (秋),テレビ番組(冬)と,項目が統一できて おらず,それぞれの季節の良いものを羅列した 書きぶりである。ツリー図の「春」「夏」「秋」「冬」 の項目の上に「花」や「食べ物」等の統一する 項目を設定する指導ができておれば,さらに良 い文章が創作できたと思われる。   イ 生徒B  Bは授業で最初全く書けず,「わからん」と 繰り返しつぶやいていた。しばらくしてツリー 図を書かずにいきなり文章を書き出した。最初 に書いた文章は次のとおりである。  春はさくら。木の下でおはなみしたり しゃしんをとる人おおし。  夏は野球あせかいてたのしい。けがだけ ちゅういしてやるように。  秋はとんぼ。  冬は雪。たまにふるけどさむい。  その後,友達と対話する中で,隣のCにツ リー図を書くように言われ,Cと話しながらツ リー図を書いていった。BとCの対話およびB の書いたツリー図(図4)は次のとおりである。 C:秋はとんぼのどこがいいの? B:(無言) C:色とか? B:やっぱとんぼやめる。夕日にする。 C:夕日のどこがいいの? B:きれい。 C:それから? B:色。オレンジ色。

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とつなげて発想できている。また,「冬」にも 「雪だるま」「スキー」の項目が加えられ,ツリー 図及び文章に書かれている。ツリー図における 階層も「夕日―きれい・色」「雪―寒い・雪だ るま」と上位語,下位語の関係が正しく書けて おり,これによりBの創作文が最初より具体化 されたと思われる。Bの文章創作にツリー図は 大きく寄与しているが,最初書けなかったBの 思考を促したのはCとの対話であり,前稿でも 示した,シンキング・ツールのもつ「活動的サ ポートの効果」11による所が大きいと思われる。  ④ 実践事例2の考察  生徒A,Bともにツリー図による支援が有効 であったと思われるがその意味合いは異なる。 Aの場合は,友達からの助言はあったものの, ツリー図に視覚化されることで,自力で言葉を 関係づけ,文章化することができた。授業後の 感想でもAは「メモ(ツリー図のこと-筆者注) が役に立った」と記している。一方Bの場合, 自力ではツリー図を書くことはできなかった が,友達との対話の中でツリー図を書き,それ が視覚化されることで,結果的に言葉を関係づ けることができた。授業後の感想でもBは「友 達のアドバイスがよかった」と記している。  同じシンキング・ツールを使う場合であって も,Aのように「書く課題と既有知識がつなが らない」「表現できない」生徒と,Bのように「書 く課題に対する既有知識が欠如している」生徒 とでは,異なる支援が必要である。Aの場合 は,シンキング・ツールを使用するだけでも有 効性はあるが,Bの場合は単独で用いるのみで は効果は薄い。教師や他の生徒との対話と組み 合わせることで,シンキング・ツールが初めて 効果を発揮すると言える。 (3)実践事例3 「反対意見を想定して書こ う」(27年6月実施)  ① 学習内容  自分の主張への反論を想定した上で再反論す る意見文を書く学習である。反論文を書くに は,かなり高度な力が必要である。まず相手の 主張の根拠を理解したうえで,それに反する実 例等を挙げなければならず,実践1,2以上に 高度な書く力が必要となる。とりわけ,既有知 識のない生徒Bにはかなりのジャンプが必要と なる課題である。  ② シンキング・ツールの活用  ベン図  反論は香西秀信の「類似からの議論」12に限定 し,香西の正義原則の図を基とした。ただ,正 義原則の図自体が中学生には難解であるため, シンキング・ツールのベン図を用い,交流・発 表段階における情報交流ツールとして用いるこ ととした。ベン図をもとに類似の事例を想起し たり,話し合ったりすることで,AやBも反論 内容を考えたりふくらませたりすることができ ると考えた。  尚,簡単に反論できる課題から始め,次第に レベルを上げていく単元構成を取った。最終的 には支援なしで,自力でベン図を用いて反論文 が書けたり,あらかじめ反論を想定した意見文 が書けたりできることを目標とした。  ③ シンキング・ツール活用の実際   ア 生徒A  Aは,「自由がなく,自分の個性を発揮でき ないから,中学校の制服はなくして自由な服装 にすべきである」とする内容の意見文に反論す る課題を選択した。  図5はAの書いたベン図である。まず,制服 と私服の違いについて「制服なら決まったもの なのできちんとした服(制服)」「だらしないよ うな服もある。(私服)」と書いた。ただ,この 根拠では正しい反論にはなっていない。次に同 じ課題を選択した者同士でベン図を見ながら話 し合いをする機会をもったところ,A自身も反 論になっていないと感じていたからか,積極的 に対話を行っていた。その中で「個性が表現で きる。(私服)」「部活のフニフォームなどは, 同じものでは個性がでている。(制服)」と書き 加えた。

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【図5 生徒A ベン図】  最終的にAが書いた反論文は次のとおりである。  僕は①の意見に反対する。  山辺慎吾は「中学生はきちんとした判断 力が身につく年齢であるし,自分たちの判 断にまかせるべきである」「制服では自由が なく,自分の個性が表現できない」という 理由で「中学校の制服はなくして自由な服 装にすべきである」と言っている。  しかし,これはおかしい。たしかに中学 生は自分で判断することができる年齢であ るが,中にはだらしない服を着たり,見る からにハデなものを着る人もいるかもしれ ない。そうすると,学校関係者以外の人が その人を見ると,学校全体がだらしないと いうふうに感じるかもしれないからである。 そして,「制服では自由がなく,自分の個性 が表現できない。」といっているが,部活の ユニフォームなどはすべて同じだが個性は 出ていると思う。例えば野球ならば投げる のがうまい人がいれば,打つのがうまい人 もいる。このように服が同じでも,一人一 人の個性は出ていると思う。  以上の理由で山辺慎吾の意見は間違って いる。 (下線―筆者)  Aがベン図を基に反論文を書いたことが伺え るが,対話の中で生まれ,付け加えた根拠が下 線部である。図からさらに「例えば野球ならば ~」の文が具体例として加えられており,Aの 反論文をより的確なものとしている。  Aは授業後の感想で,「ベン図を使うと話し もでき,文がとても書きやすいと思った」と書 いた。ベン図を基に話し合い,構想メモを修正 できたことが,Aにとって反論文を書く上での 大きな支援になったと思われる。  単元の最後に「英語の学習は中学生からでは なく幼児期からどんどんするべきである」とす る意見に「賛成」「反対」の立場と根拠を示し, 反対意見の根拠とそれに対する反論も示して書 くパフォーマンス課題を実施した。Aが書いた 文章は次のとおりである。  僕はこの意見に賛成でマすマ。  なぜなら英語の学習は,幼児期からどん どんした方が英語になれ,中学校からはじ めるよりは覚えやすいからである。  この意見に反対の人は,幼児期ではまだ 英語を覚えることができる学力はないと言 うだろう。しかし,たとえ覚えられなかっ たとしても,幼児期からなれておくことで 英語にしたしみやすくなることができる。 そのため,中学から習う英語でも,幼児期 からなれている方がよい。 (下線―筆者)  下線部は,相手の反論を想定して再反論して いる部分である。全体で学習した内容より高度 な反論が自力でしっかりと書けていた。   イ 生徒B  Bは,「喫煙者が増加するという理由でたば このCMが禁止なら,猛スピードで走る車の CMも禁止にすべきだ」とする内容の意見文に 反論する課題を選択した。  図6はBの書いたベン図である。まず,「た ばこ」と「車」の共通点として「やるときけん」 と書いたことから,課題が正しく読み取れてい ることが伺える。さらに,二つの違いについて

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「(たばこは)早く死んでしまう」「やっても車 ではやくしんでいる人とたばこで早く死んでい る人だったらたばこの方が多い」「たばこはだ れにもおこられない」「車はけいさつにおこら れる」と書いた。たばこの死亡率が高いこと, 未成年者でなければ法律違反でないたばこと成 人でもスピードを出し過ぎれば法律違反である 車との違いの根拠を自力で発想していた。理由 を思いついたのが嬉しかったのか,その後の同 じ課題を選択した生徒同士の話し合いでは,積 極的に話す様子が見られた。話し合いの中で, さらに「1回だけで」「未成年」(たばこ)「成人」 「めんきょをとらなくてわママならない」(車)と書 き,自身の根拠の補強を行ったことが分かる。 【図6 生徒B ベン図】  最終的にBが書いた反論文は次のとおりであ る。  私は川治太郎に反対する。  車のCMがだめとゆママう意見はまちがってい ると思う。車をママのっていてしんごうむしや そくどいはんでけいさつにみつかったらた いほさればつがあるけど,たばこはみせい ねんですう以外は大じょうぶなのでばつが とくにない。しかもたばこをすうと早く死 んでしまう。でも車はじこをしないかぎり 死ぬことはない。あと車は成人にしか手に 入らないけどたばこはみ成年にも手にはい る。み成年がたばこをすってしまうとはや く死んでしまうのでよくない。以上の理由 で川治太郎の意見はまちがっている。  誤字は目立つが,たばこのCMと車のCMは 同じではないとする,正義原則を崩す反論を書 くことができた。  Bは授業後の感想で,「ベン図を使ってみて 思ったことは,かじょうがきで書けるので文章 にしやすいこと。あと多くのいけんがだせるし 意見をくらべられる。それに共通する内容もわ かるのでだめなことやいいことがすぐわかると 思う。(下線―筆者)」と書いた。ベン図により, 自分の力で反論内容を想起できた効果を実感し ていることが,下線部からも伺える。  パフォーマンス課題のBの文章は次のとおり である。  僕は英語を幼児期からすることに賛成で す。理由は中学校にはいってきそがわかる しこれからどんどん英語がつかえたほうが これからの社会でやくだつと思うからです。 反対のいけんはなぜちがうかとゆマうマと,理 由は反対の人は中学からでもぜんぜんつい ていけるし幼児のときからやっていなくて も中学校にはいって勉強できるとゆマうマと思 いますが,幼児のときからやっているとは つおんなどが勝手に耳にはいってはつおん がわかり中学校にはいってはつおんやあい さつなどをつかえるので幼児のときから やっているといいと思マうマ。 (下線―筆者)  下線部が相手の反論を想定して再反論してい

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る部分である。誤字や文のねじれ等はあるもの の,内容面に関しては,Aと同様に反論が自力 でしっかりと書けていた。  ④ 実践事例3の考察  生徒A,Bともにベン図による支援が有効で あったと思われる。しかし実践1,2とはその 有効性の意味合いが異なる。Aの場合,これま では課題と既有知識をつなげたりそれを表現し たりするのにシンキング・ツールが効果を発揮 していた。今回は既有知識が欠如しており,話 し合わざるを得ない状況が生まれ,その話し合 いにシンキング・ツールが有効であった。また, Bの場合,これまでは,書く課題に対する既有 知識が欠如していることを補う話し合いのツー ルとして効果を発揮していた。しかし,今回は 書く課題と既有知識をつなげ表現することにシ ンキング・ツールが有効であった。  このことから,国語科スクーリングテストの 結果による生徒の実態が全てというわけではな く,異なる支援の方法として有効性を発揮する 場合もあることが明らかになった。

7 成果と課題

 以上,実践事例1,2,3の結果から,書くこ との困難な生徒に対して,シンキング・ツール による支援は一定の有効性をもつと言える。こ れは,シンキング・ツールが,佐藤明宏の言う 特別支援の指導に必要な10の観点13の内,「焦点 化」「視覚化」による支援の役割を果たしてい るからである。  佐藤は国語科の中で育てるべき思考力を「関 係づける力」14としている。書く行為は,読む行 為と異なり,文章,文字等の関係づける視覚情 報がもともとない。生徒A,Bともに言葉を関 係づける力が弱いが,書く学習では,まず,関 係づけるべき情報を焦点化し,視覚化する必要 がある。実践1では「故事成語と自身の生活経 験」,実践2では「枕草子と自身の生活経験」, 実践3では「主張の根拠の事例と反論のための 類似の事例」とが「焦点化」「視覚化」される ことで,A,Bの中で関係づけができ,書くこ とができたのである。  また,実践1,2からは,シンキング・ツー ルを活用する場合にも,個により異なる支援が 必要であることが明らかになった。Aのように 既有知識はあるが「書く課題と既有知識が関係 づけられない」「書く課題と既有知識とはつな がっているが,それを表現できない」生徒には, シンキング・ツールを提示するだけでも効果的 であった。一方,Bのように「書く課題に対す る既有知識が欠如している」生徒にはシンキン グ・ツールを提示するのみでは不十分であり, 対話などの活動と組み合わせることで効果が出 た。また,実践3からは,その効果はいつも一 様というわけではなく,課題によって,また授 業の状況によって異なるということも明らかに なった。「シンキング・ツール=全ての生徒に 万能な方法」ということではないのである。  しかしながら,これはシンキング・ツールの 有効性を否定するものではない。書く能力の個 人差はクラスに40人いれば40通り存在する。40 パターンの支援を想定して授業を展開するのは 現実的ではないが,シンキング・ツールを活用 しながら,大まかに書けない生徒A,Bの2パ ターンを想定したり,どの部分でつまづいてい るのかを大まかに2パターンで把握したりして おくことで,書くことが困難な生徒に対応した 授業が展開できる。また,シンキング・ツール は,ワークシートや構想メモ等と比べても,単 純で汎用性が高い分,応用が利く。実践3にお けるBの事例から明らかなように,シンキン グ・ツールを繰り返し活用する中で,自力で書 くことができるようになる。シンキング・ツー ル自体が書くための方略になるのである。  もちろん,本論で中心には述べていないが, 学びを成立させるための「自分にとって学ぶ意 味や価値のある学習課題」や学級の「支持的風 土」があってこそ,シンキング・ツールが有効 性をもつことは言うまでもない。  今後の課題として,次の2点を挙げる。  ① 今回は三つの実践で,三つのシンキン グ・ツールを活用した。他にも,鑑賞文や

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批評文を書く活動等どのような書く活動に どのようなシンキング・ツールが有効なの か,さらには,最終的に子どもたち自身が シンキング・ツールを選択して活用するよ うになるにはどのような支援が必要なの か,実践の中で検証していく必要がある。  ② 前稿15)の研究と併せ,「読むこと」「書く こと」の思考と有効なシンキング・ツール について,実践の中で精緻化し,体系化し ていく必要がある。全体像が明らかなるこ とで,読むこと・書くことが困難な子ども のみならず,全員の子どもに対するユニ バーサルデザインの授業作りの指針とな る。  そうした検証については,別稿に譲る。 註 1 川田英之「国語科の読むことが困難な生徒へのシ ンキング・ツールによる支援の効果の検証」『香川 大学教育実践総合研究 第30号』香川大学教育学 部附属教育実践総合センター,2015.3,1~14頁 2 永江誠司「脳科学から考える子どもの読む力・書 く力」『児童心理』金子書房,2007,8月,50頁 3 奥村安寿子・稲垣真澄「『読み』と『書く』―脳 の働きはどう違うのか」『教育科学国語教育 NO. 777』明治図書,2014,9月,7頁 4 注1に同じ。 シンキング・ツールについては,以下の文献等を参 考にされたい。 ・ 大庭コテイさち子『考える・まとめる・表現す る―アメリカ式思考の技術』NTT出版,2009 ・ 桑田てるみ『中学生・高校生のための探究学習 スキルワーク』全国学校図書館協議会,2112 ・ 足立幸子「グラフィック・オーガナイザーを使 用した情報を活用する読書の指導」『月刊国語教 育研究 No.461』日本国語教育学会,2010,9 月,4~9頁 ・ 鈴木円「小学校社会科における『考える力』と しての思考技能育成:グラフィック・オーガナ イザーを活用した学習活動の提案」『学苑・初等 教育学科紀要776』2005,68~82頁 6 主な先行実践としては,以下の文献が挙げられる。 ・ 関西大学初等部『思考ツール 関大初等部式思 考力育成法<実践編>』さくら社,2013 ・ 関西大学初等部『思考ツールを使う授業 関大 初等部式思考力育成法<教科活用編>』さくら 社,2014 ・ 田村学,黒上晴男著,滋賀大学教育学部附属中 学校編『こうすれば考える力がつく!中学校思 考ツール』小学館,2014 7 佐藤明宏ほか「小学校・中学校における読むこと・ 書くことの習得が困難な児童・生徒に対する視覚 的支援の方法についての研究」『香川大学教育実践 総合研究第27号』香川大学教育学部附属教育実践 総合センター,2013.9,11~24頁 8 注3に同じ。7頁 香川大学教育学部特別支援教室「すばる」で開発 されたアセスメントのためのテストである。第三 回香川大学教育学部特別支援教育研究大会資料集, 2011。なお,国語科スクーリングテストは,平成 18~22年度文部科学省特別教育研究経費「特別支 援教育推進事業」「特別支援教育の充実:発達障害 児を対象とした根拠のある指導と評価をともなう 支援」香川大学教育学部,2011にすべて収録され ている。 10 「蛇足」は本来「既に完成しているのに付け加える 必要のない余分なもの」の意であり,生徒Bの創 作文とは厳密には異なる。しかし,Bの創作文は, 「普通に投げれば完全試合確実だったのに,余計な 球を投げたためにできなかった」という意で書か れており,広い解釈では正しい創作文と考えて良 いと思われる。 11 注1に同じ。12頁 12 香西秀信『反論の技術 実践資料編―学年別課題 文と反論例―』 明治図書,2008 13 佐藤明宏編『特別支援の子どもの言語力をどう育 成するか―スクーリングテスト出題の実例とバイ パス教材による指導のヒント―』明治図書,2012, 17~41頁 14 佐藤明宏『国語科研究授業のすべて―教材研究・ 指導案・授業実践―』東洋館出版社,2012,69頁 15 注1に同じ

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参考文献 桂聖『国語授業のユニバーサルデザイン―全員が楽 しく「わかる・できる」国語科授業づくり』東 洋館出版社,2011 付記  本研究は,平成27年度文部科学省科学研 究費助成事業(科学研究費補助金)(奨励研 究 研究課題番号15H00104)の成果による。

参照

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