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岩手・宮城内陸地震における企業の被害調査と分析

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Academic year: 2021

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(1)

5.3.

岩手@宮城内陸地震における企業の被害調査と分析

高橋郁夫@建部譲治@田村和夫

1.研究の背景と目的 近年発生した2004年の新潟県中越地震、 2007年の能登半島地震では、地元企業に大きな経営的被害が発生 した。今後発生する可能性のある大地震に対して、被害在最小限に留め、早期復旧を図るためには、日頃から地 震被害に対する認識を深め、対策を講じておくことが重要である。 本研究では、以上のような背景から、上述の2つの地震被害に加え、 2008年に発生した岩手目宮城内陸地震 における中小企業の被害調査の分析を行って被害の実態そ把握し、企業の地震被害予測手法構築のための更なる データベース化の推進を図ることを目的とする。

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.

萌究の方法 2004年新潟県中越地震、 2007年能登半島地震における中小企業の被害調査と同様に、 2008年の岩手@宮 城内陸地震の震央に近い奥州市および一関市にある企業に対して、岩手@宮城内陸地震における建物や設備、商 品@仕掛品・原材料等の直接被害と、売上げの減少、納期の遅れ等の間接被害、被害からの回復状況、防災対策 などの実態をアンケート調査によって把握する。被害調査の概要を表 lに示す。気象庁の発表によれば、この地 震における奥州市内の震度は 5 弱~6 強、一関市内の震度は 4~5 強である。

3

.

アンケート調査結果 ( 1 )回答企業の属性 回答のあった企業の業種と従業員数を図1に示す。どの業種も満遍なく回答企業に含まれている。約2/3の 企業は従業員数が20人未満で、中小企業が多くを占める。 (2) 直接被害の状況 図2に直接被害者E受けた企業の被害項目(部位)の割合を示す(複数選択可)。同図には、新潟県中越地震の 小千谷市、能登半島地震の輪島市における調査結果を併せて示す。奥州市・一関市では、直接被害が無かった企 業が約30%あり、小千谷市や輪島市と比較して被害が少ない。また、「建物などの損壊」を受けた企業は25%で あり、 70~ 80%の企業に被害があった小千谷市や輪島市の状況とは大きく異なる。 (3) 間接的被害の状況 図3に間接被害を受けた企業の被害項目の割合を小千谷市や輪島市と比 較して示す(複数選択可)。奥州市@一関市では間接被害が無かったと回答 した企業は約3/4に上り、大半の企業が何らかの間接被害を受けた小千谷 市や輪島市と様相が大きく異なる。小千谷市や輪島市で、は、被害項目の中 で最も割合の高い「売上げの減少」がそれぞれ約75%、60%に達したのに 表

1

アンケート調査の概要 対象地震 岩手・宮城内陸地震 (2008年 6月 14日発生、 M7.2) 調査対象 奥州商工会議所、一関商工会議所の会員企業 調査方法 郵送による調査表の送付および回収 調査時期 2009 年 10 月初日 ~12 月 31 日 対象企業 1,000社(奥州市、一関市各 500社) 有効回収 219社(回収率 22%) 企業概要(会社規模、建物概要等)、地震被害の概要(被 調査項目 害の有無、直接被害と間接被害の内訳毎の金額等)、被 害の回復状況、防災管理体制や防災対策 47 無回答 1首

[

i

i

]

卸売業 日出 19以下 42首 図

1

回答企業の概要

(2)

対し、奥州市@一関市では 15%程度と少ない。他の被害項目に関し ては、 10%強の企業で「取引先の被害」や「風評被害」があったが、 直接被害と同様に、総じて間接被害も少なかったと言える。 (4)直接・間接被害の被害金額 図

4

は、直接被害金額

D

d

および間接被害金額

D

i

の分布を示した ものである。調査では、被害項目毎に被害金額の範囲を示した選択 形式で回答を得ており、この集計ではその中央値の総計で各企業の 被害金額を算出している。また、いずれも無被害

(

D

d

=

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i

=

O

)

または 金額が未記入の回答は図の表記から除外している。この図から、経 済的な被害のあった企業の多くは、直接被害による損失が発生して いるものの、間接被害は受けていないことがわかる。ただし、間接 被害金額が直接被害金額を上回っているケースが若干見られる。新 潟県中越地震における小千谷市の場合、ぱらつきは大きいものの直 接被害金額と間接被害金額の聞に正の相聞が見られたが、奥州市@ 一関市では両被害聞に明確な相関は見られない。 (5 )被害からの回復状況 図

5

には、調査時点(地震発生から約

1

年半後)における売上高@ 生産高の回復状況を業種毎に示す。 1100%以上J 1ほぼ 100%J の回 復と回答した企業が全体で約半数に上り、完全に回復していない場 合でも、多くの企業は 70~ 90%程度は回復していることがわかる。 小千谷市や輪島市の回復状況と比較しでかなり回復が早いが、この 回復の早さは被害を受けた企業が少ない、あるいは受けた被害が比 較的軽微であったことに起因すると考えられる。回答企業数の少な い卸売業を除き、業種間で回復状況に大きな差異は見られない。 4.まとめ 本研究では、企業の地震被害予測に必要な被害データ整備のため、 岩手・宮城内陸地震において、震源に近く震度の大きかった奥州市 と一関市にある企業の被害状況をアンケートにより調査し、既に調 査済みの新潟県中越地震の小千谷市、能登半島地震の輪島市の場合 との比較などを通してその特徴を考察した。奥州市と一関市では、 直接被害、間接被害を受けた企業の割合は小千谷市や輪島市の場合 と比較しでかなり少なしまた損失額は直接被害によるものが大半 を占めていた。そのため、地震発生後の回復が比較的早いことが明 らかになった。 商品・仕掛品圃ト 原材料の損壊 図

2

売上げの減少 従業員の被害 納期の遅れ 事業資金調達 取引先の被害 風評被害 被害無し 図3 直接被害の状況 t 60 80 100 被害の割合(首) 間接被害の状況 図 4 直接被害と間接被害の サービス業(28社 被害金額区分毎の分布 20 40 60 80 100 割 合 ( 拍 ) 図

5

地震後の業種別の売上高ー 生産高の回復状況 [参考文献】高橋・建部・田村:岩手・宮城内陸地震における中小企業の被害の実態調査、日本建築学会大会 学術講演梗概集(構造II), 2010.9 (投稿中、平成 21年度文部科学省科学研究費補助金基盤 (C)、 代 表 建 部 謙 治) 48

参照

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