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「一式飾り」探訪記 : 第15回 伝統の持続可能性

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Academic year: 2021

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鳥取大学研究成果リポジトリ

Tottori University research result repository

タイトル

Title

「一式飾り」探訪記 : 第15回 伝統の持続可能性

著者

Auther(s)

Takahashi, Kenji

掲載誌・巻号・ページ

Citation

島根日日新聞 : 5 - 5

刊行日

Issue Date

2018-08-15

資源タイプ

Resource Type

論文 / Article

版区分

Resource Version

出版社版 / Publisher

権利

Rights

注があるものを除き、この著作物は日本国著作権法によ

り保護されています。 / This work is protected under

Japanese Copyright Law unless otherwise noted.

DOI

(2)

  今 年 も 夏 祭 り の シ ー ズ ン が 到 来 し 、 各 地 の 「 一 式 飾 り 」 の 調 査 に 明 け 暮 れ て い る 。 炎 天 下 を 学 生 た ち と 歩 い て 巡 る の は 大 変 だ が 、 思 い が け な い 作 品 に 出 会 う と 疲 れ も 吹 き 飛 ぶ 。   先 月 訪 ね た 奥 出 雲 町 の 横 田 で 、 そ ん な 作 品 と の 出 会 い が あ っ た 。 写 真 を ご 覧 い た だ き た い 。 こ れ は 横 田 の 「 大 市 夏 祭 り 」 で 飾 ら れ た 作 品 で あ る 。 連 載 の 第 12 で 紹 介 し た 太 市 下 組 の 人 た ち が 、 今 年 も 町 の 特 産 品 の 算 盤 ( そ ろ ば ん ) 一 式 を 用 い て 制 作 し た 。   写 真 に は 作 品 の タ イ ト ル が 写 っ て い な い が 、 こ れ は 一 体 何 の 作 品 か 、 読 者 の 皆 さ ん は お 分 か り に な る だ ろ う か 。   作 品 の タ イ ト ル は 「 ピ ョ ン チ ャ ン の 想 い 出 」。 こ れ だ け で は 分 か ら な い 人 が い る と 思 っ た の か 、 そ の 横 に 「 ザ ギ ト ワ と マ サ ル ( 秋 田 犬 )」 と

 

添 え て あ っ た 。   事 前 に 得 た 作 品 一 覧 に は と 思 っ て い た 。   私 の 予 想 に 反 し 、 算 盤 を 巧 み に 組 み 合 わ せ た 愛 ら し い 大 型 犬 に 、 カ ラ フ ル な プ ラ ス チ ッ ク 算 盤 の ス カ ー ト を な び か せ て 駆 け 寄 る 少 女 を 目 に し て 、 思 わ ず 膝 を 打 っ た 。 干 支 に 話 題 の ニ ュ ー ス を 引 っ 掛 け る と は 思 っ て も み な か っ た 。   横 田 で は 大 市 下 組 だ け で は な く 、 他 の 六 つ の 常 会 も 同 様 に 、 昨 年 と 同 じ 材 料 一 式 を 用 い て 新 た な 作 品 を 飾 っ て い た 。 毎 年 、 少 な い 人 手 と 限 ら れ た 材 料 だ け で 、 観 客 を 飽 き さ せ な い 作 品 を 作 り 続 け る 、 横 田 の 人 た ち の 発 想 の 豊 か さ に は 脱 帽 で あ る 。   私 は 横 田 の 「 一 式 飾 り 」 を 見 る た び に 、 フ ラ ン ス の 人 類 学 者 レ ヴ ィ = ス ト ロ ー ス が 著 し た 『 野 生 の 思 考 』 を 思 い 出 す 。 レ ヴ ィ = ス ト ロ ー ス は こ の 本 の 中 で 、 南 米 の 先 住 民 族 の 調 査 を も と に 、 持 続 的 な 循 環 型 の 社 会 に つ い て 考 察 し て い る 。   レ ヴ ィ = ス ト ロ ー ス は 、 持 続 性 の 鍵 は 「 ブ リ コ ラ ー ジ ュ 」 に あ る と す る 。「 ブ リ コ ラ ー ジ ュ 」 と は 、 持 ち 合 わ せ の 限 ら れ た 材 料 を 、 創 意 工 夫 し て 、 さ ま ざ ま に 組 み 合 わ せ て 用 い る 方 法 で 、「 一 式 飾 り 」 の 「 見 立 て 」 の 趣 向 に も 通 じ る 。   「 一 式 飾 り 」 は 、 伝 統 と し て 「 見 立 て 」 の 活 用 を 制 作 者 に 求 め て き た 。 こ の た め 、 た と え 同 じ 材 料 を 用 い て も 、 さ ま ざ ま に 見 立 て て 組 み 合 わ せ れ ば 、 ま た 新 た な 作 品 を 生 み 出 す こ と が 可 能 で あ る 。   今 や 「 一 式 飾 り 」 が 伝 わ る 多 く の 地 域 で は 、 急 速 な 高 齢 化 と 人 口 減 少 に 直 面 し て 、 伝 統 を 続 け て い く こ と に 不 安 を 覚 え て い る 。 し か し 横 田 の「 一 式 飾 り 」 が 示 す よ う に 、 創 意 工 夫 す れ ば 、 持 ち 合 わ せ の 材 料 だ け で 十 分 や り く り で き る 。   江 戸 時 代 に 始 ま っ た と さ れ る 「 一 式 飾 り 」 は 、 近 代 以 降 も 各 地 で 熱 心 に 続 け ら れ て き た 。 戦 時 中 で も 知 恵 を 絞 っ て 作 品 を 飾 っ て い た こ と が 、 平 田 の 古 い 写 真 か ら 分 か る 。     「 一 式 飾 り 」 を 続 け る 鍵 は 、 制 作 者 の 機 知 と 創 造 性 に あ る 。「 見 立 て 」 の 趣 向 を 面 白 い と 感 じ る 人 間 が い る 限 り 、 「 一 式 飾 り 」 の 伝 統 は 持 続 可 能 だ と 思 う 。 「 犬 」 と だ け 記 さ れ て い た の で 、 昨 年 の 「 尾 長 鶏 」 の よ う に 、 単 に 干 支 の 戌 ( い ぬ ) を 飾 っ て い る も の

伝統の持続可能性

第 15 回

2018.08.15(水)

参照

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