• 検索結果がありません。

算数教育における小中接続に関する研究 : パターンに着目した「見方・考え方」の重要性と「活用」について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "算数教育における小中接続に関する研究 : パターンに着目した「見方・考え方」の重要性と「活用」について"

Copied!
104
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

http://www.rs.tottori-u.ac.jp/mathedu

vol.12, no.8

Mar. 2010

鳥取大学数学教育研究

Tottori Journal for Research in Mathematics Education

算数教育における小中接続に関する研究

!パターンに着目した「見方・考え方」の重要性と「活用」について!

前田静香

(2)
(3)

目次

第 1章 本研究の目的と方法 1 1.1 本研究の動機 2 1.2 本研究の目的 3 1.3 本研究の方法 5 第 2 章 学習指導要領の分析 7 2.1 学習指導要領における内容の系統性と学習の連続性 8 2.1.1 内容の系統性について 8 2.1.2 学習の連続性について 10 2.1.3 小中接続に向けて明らかになった課題 13 2.2 学習指導要領における「数量関係」 14 2.2.1 「数量関係」領域の設置背景 14 2.2.2 「数学的な見方・考え方」への見解 15 2.2.3 「関数の考えの指導」にみる数量関係の役割 16 2.3 平成 20 年度版学習指導要領における「数量関係」領 域の役割につ いて 18 2.4 昭和 33 年度版と平成 20 年度版の「数量関係」領域 の 比較 と考 察 19 2.5 平成 20 年度版学習指導要領解説「数量関係」領域に お ける 課題 点 21 第 3 章 Standards(NCTM)の分析 23 3.1 Standards の検討目的 24 3.2 Standards の 5 つの学び方とその具体例 25 3.2.1 Problem Solving(問題解決) 25

3.2.2 Reasoning and Proof(推理と証明) 29 3.2.3 Communication(コミュニケーション) 34

(4)

3.2.5 Representation(表象) 42 (A:目標設定 B:具体例 C:考察) 3.3 Standards から得られた教育的示唆 46 第 4 章 パターンに着目した「見方・考え方」の創造 48 4.1 数学的構造と算数・数学に見られる構造 49 4.2 教材の価値とパターンによる「見方・考え方」 49 4.3 パターンの導出 50 4.3.1 順序性のパターン 52 4.3.2 形式化のパターン 53 4.3.3 普遍性のパターン 54 4.4 順序性のパターンの事例 55 4.4.1 「三角形の並べ方」 55 4.4.2 「宝物の重さ」 57 4.4.3 「なかまづくり」 58 4.5 形式化のパターンの事例 59 4.5.1 「長方形の面積」 59 4.5.2 「奇数+偶数のきまり」 61 4.6 普遍性のパターンの事例 62 4.6.1 「247125 が 3 の倍数であるか」 62 4.6.2 「三角形の面積」 64 4.7 「見方・考え方」としてのパターンの価値 66 4.7.1 表象におけるパターンの価値 66 4.7.2 拡張・統合におけるパターンの価値 66 第 5 章 パターンの活用について 68 5.1 パターンを用いた活動の様相 69 5.1.1 パターンを発見する活動 70 5.1.2 パターンを観察する活動 73 5.1.3 パターンを活用する活動 75

(5)

5.2 問題解決の授業とパターンの活用 76 5.2.1 小学校 6 学年面積の比(授業記録) 77 5.2.2 パターンによる実践の分析 85 5.2.3 パターンによる分析の考察 87 5.3 中学校の数学的活動へのパターンの適用 88 第 6 章 本研究のまとめと今後の課題 92 6.1 本研究のまとめ 93 6.2 残された問題点と今後の課題 96 参 考文献

(6)

1 第 1 章

本研究の目的と方法

1.1 本研究の動機 1.2 本研究の目的 1.3 本研究の方法 本章 では ,研究 の 目的と 方法 につい て 述べる . 1.1 では,本研究の動機を述べる.1.2 では本研究の目的とその 目的を 達成 するた め の課題 を述 べ,1.3 ではその課題の解決の方 法を述 べる .

(7)

2 第 1 章 本研究の目的と方法 1.1 本研究の動機 算数・数 学教 育に つ いて,小 中接 続が 叫 ばれて いる が,本 来 算 数・数 学に は 学 習 指 導要 領 にも 言わ れて いるよ うに 『 内 容の 系統 性 や 学 習 の 連 続 性 が 明 確 で あ る と い う 教 科 と し て の 特 性 が あ る 』 (文部 科学 省. P.3 他 ) は ずで あ る .し かしな がら ,現 状で は内 容の系 統性 や学 習の 連続性 を十 分に 活か した学 習が 行わ れて いる とは言 えな い. また 系統性 ばか りが 前面 に出て いる ため に, 同じ 領域内 のつ なが りは 強く主 張さ れる にも 関わら ず, 他の 領域 との つなが りや , 学 びが 拡張, 統合 され てい くよう な仕 組み にな って いると いう 認識も 薄 いよう に感 じる. 筆 者 は 算 数 教 育 に お い て ,「 問 題 解 決 学 習 」 の 重 要 性 を 講 義 や 研究熱 心な 先生 方の 実践を 通し て感 じ, 何とか ,問 題解 決学 習と 小中接 続を 結び つけ て考え られ ない かと 思案し てい たの であ る. 算数に おけ る技能 の 定着を 図る ために ,平成 20 年度 版学 習 指導要 領では 「ス パイ ラル 学習」 が言 われ てい るが, はた して これ が算 数・数 学教 育に おい て子ど もた ちの 学力 を向上 させ るた めの 抜本 的な施 策と なるの か ,甚だ 疑問 である . 確 か に 筆 者 は 算 数 ・ 数 学 と い う も の が 「 苦 手 」 で あ っ た .「 計 算がで きれ ば何と か なるだ ろう」「解 き方 をまる まる 覚えて し まえ ばテス トは 点数 がと れるだ ろう 」と いう 考え方 で何 年も 生き てき た.そ うい った 考え 方の子 ども を育 てた いので あ れ ば「 スパ イラ ル学習 」が 大い に役 立つこ とと 思う が, 筆者は その よう なこ とは 望んで いな い. 決し て 技能 の定 着を 軽視 してい るの では ない が, 算数・ 数学 を学 習す ること の意 義を そこ に求め ては 算数 教育 とは 言えな いの ではな い かと感 じた ため で あ る. 本研究 は,算 数・数 学を一 つの ものと し てみな すこ とで,小 中 の接続 を保 証す るこ とがで きな いか と考 え着手 した もの で あ る. 教授の 場面 にお いて ,また 教材 分析 の段 階で, 算数 ・数 学の 「見 方・考 え方 」の拠 り所 となる もの を提案 し たいと 考え たので あ る.

(8)

3 1.2 本研究の目的 筆者 は算 数・ 数学 教育で の問 題解 決に ついて 学ぶ うち ,問 題解 決の授 業場 面で 行わ れる自 力解 決 の それ ぞれの 活動 の価 値づ けは, 本時の 学習 だけ でな く,算 数・ 数学 とい う大き な文 脈の 中で 価値 づけら れる べき もの である と考 える よう になっ たの であ る. 筆者 は算数・数 学の 面白 さや美 しさ を知る た びに ,子ど もた ちが 算数・ 数学に 興味 を持 ち, 問題に 挑戦 し新 たな ことを 知っ たり ,創 造し たりと いう 活 動 が素 晴らし いも ので ある と考え るよ うに もな った. だから こそ ,小 学校 での学 習と 中学 校の 学習が 強く むす びつ くこ とで数 学的 な活 動の 質を高 めて いく こと ができ るの では ない かと 考える . このこ とか ら本 研究 では算 数教 育に おけ る小中 接続 につ いて , 新たな 「見 方・ 考え 方」と して ,パ ター ンに着 目し た「 見方 ・考 え方」 の重 要性 と, その活 用に つい て明 らかに する こと を目 的と する. その ため ,第 一に算 数教 育に おい て小中 接続 を行 うた めの 視点を 明ら かに する 必要が ある .し たが って, 次の 研究 課題 が要 請され る. 【 研 究 課 題 A】 小 中 接 続 の 障 害 とな っ て い る 課 題 を 明らか に す る こ と 教育 の諸 問題 につ いて検 討す る場 合に は国際 比較 によ り, 新た な課題 点へ の示 唆, また課 題へ の裏 付け を得る こと がで きる .比 較対象 として NCTM(NATIONAL COUNCIL OF THEACHERS OF MATHEMATICS ) の 『 Principles and Standard for SCHOOL MATHEMATICS』を用いる.Standard からみた日本 の数学 教育 にお ける 課題点 を明 らか にす る必要 があ る. した がっ て,次 の研 究課題 が 要請さ れる .

(9)

4 【 研 究 課 題 B】 課 題 克 服 の た め に どう い っ た 視 点 が 要求 さ れ る か これ らの 課題 が明 らかに なる こと で, 小中接 続の ため には どの ような 視点 が必 要か 明らか にな るが ,そ の視点 を実 際の 教授 の場 面でど のよ うに して 用いる のか を新 たな 「見方 ・考 え方 」と して 明らか にす る必 要が ある. また その 新た な「見 方・ 考え 方」 が算 数・数 学的 にど うい った価 値を もっ たも のであ るか を明 らか にす る必要 があ る.し た がって 次の 研究課 題 が要請 され る. 【 研 究 課 題 C】 視 点 を 基 に 抽 出 さ れる 新 し い「 見 方・考え 方 」が 算 数 教 育 でど の よ う な 価 値 を も つも の で あ る か さらに ,本 研 究で は ,その 新た な「見 方 ・考え 方」 が小学 校 及 び中学 校の 学習に お いて共 に価 値ある も のでな けれ ばなら ず ,算 数的価 値が 数学的 価 値へと 高ま るもの で なけれ ばな らない . した がって ,次 の研究 課 題が要 請さ れる. 【 研 究 課 題 D】 抽 出 さ れ た「 見 方・考 え 方 」が 小 中 接 続に 対 し 有 効 な も のであ る か 以 上の 4 点の研究課題を解決し,本研究の目的を達成する.

(10)

5 1.3 本研究の方法 本研 究の 目的は 算 数教育 にお ける小 中 接続に おい て,新 た な「見 方・考 え方 」と して ,パタ ーン に着 目し た「見 方・ 考え 方」 の重 要性と ,そ の活 用に ついて 明ら か に する ことで ある .そ して ,こ の目標 を達 成する た めに,4 つの研究課題を設定した.以下に, 研究課 題ご との方 法 を記述 する . 【 研 究 課 題 A】 小 中 接 続 の 障 害 とな っ て い る 課 題 を 明らか に す る こ と 研 究課題 A に対する方法:学習指導要領を分析し,小中接続とい う視点 で 捉 え 直 した 場合, そこ にど のよ うな課 題点 があ るか を明 らかに する .ま た, 学習指 導要 領で の領 域につ いて ,ど のよ うな 役割を 果た すも ので あるべ きな のか を明 らかに する こと で研 究課 題 A が解決される. 【 研 究 課 題 B】 課 題 克 服 の た め に どう い っ た 視 点 が 要求 さ れ る か 研 究課 題 B に対する方法:学習指導要領との対照として,アメリ カ の Standards(NCTM.2000)から,カリキュラムの課題点の 焦点化 を行 う. 【 研 究 課 題 C】 視 点 を 基 に 抽 出 さ れる 新 た な「 見 方・考え 方 」が 算 数 教 育 でど の よ う な 価 値 を も つも の で あ る か 研 究課題 C に対する方法:研究課題 B で明らかになった課題を解 決 する ため に,新た な「 見方・考 え方 」を 提 案 す る .そ の「 見 方 ・ 考え方 」に つい て 具 体例を 用い て検 証し ,算数 教育 に用 いる 妥当 性を検 証す る.

(11)

6 【 研 究 課 題 D】 抽 出 さ れ た「 見 方・考 え 方 」が 小 中 接 続に 対 し 有 効 な も のであ る か 研 究課題 D に対する方法:抽出された「見方・考え方」で教材を 分析し ,そ の活 用の 様相を 明ら かに する .また その 活用 の様 相が 算数的 活動 だけ なく ,数学 的活 動に おい ても妥 当な もの であ るか を検証 する . これ らの 研究課 題 を解決 する ことで , 本研究 の目 的は達 成 され る .

(12)

7

2 章

学習指導要領の分析

2.1 学習指導要領における内容の系統性と学習の連続性 2.2 学習指導要領における「数量関係」 2.3 平成 20 年度版学習指導要領における「数量関係」領域 の役割 につ いて. 2.4 昭和 33 年度版と平成 20 年度版の「数量関係」領域の 比較と 考察 2.5 平成 20 年度版学習指導要領解説「数量関係」領域にお ける課 題点 本章 では ,学 習指 導要領 の分 析を 通し て,算 数・ 数学 教育 にお ける課 題点 を明 らか にし, 小中 接続 への 示唆を 得る こと を目 的と す る. 2.1 では学習指導要領が学習のつながりという視点で見たとき に ど のよ う な 保 証 と な り うる の か を 明 ら か に する .2.2 では学習 指導要 領の「数量 関 係」領 域の 特性と 役 割につ いて 明らか に する. 2.3 では平成 20 年度版学習指導要領における「数量関係」の役割 と他の 領域 との関 係 性を明 らか にする.2.4 では昭和 33 年度版と 平 成 20 年度版で,「数量関係」領域のあり方がどのように変化し てきた のか を明ら か にし,2.5 では平成 20 年度版の「数量関係」 領域の 課題 点を 明ら かにす るこ とで ,現 在算数 ・数 学教 育が 抱え る課題 点を 検証す る .

(13)

8 第 2 章 学習指導要領の分析 2.1 学習指導要領における内容の系統性と学習の連続性 算数教 育にお ける 小中接 続の 研究を 行 うにあ たり , 学習 指 導要 領では どの よう に学 習のつ なが りを 保証 してい るの かに つい て検 討を行 う . 学習 のつ ながり を保 証す るも のとし て , 学習 指導 要領 解説に は「 内容 の系 統性や 学習 の連 続性 が明確 であ ると いう 教科 として の特 性が ある 」とい う言 葉が 多用 されて いる . こ こで 言わ れる内 容の 系統 性や 学習の 連続 性と いう ものは ,い った い何 を表 すもの であ るの かに ついて 吟味 して おく 必要が ある . ま た, 平 成 20 年度の 改訂 では ,学習に おけ る「ス パ イラル 学習」の必 要 性に ついて も強 調さ れて おり , 今後 算数 ・数 学教育 にど のよ うに 影響 するも ので あるの か 考察し てお く必要 が ある . 2.1.1 内容 の 系 統性 に つ い て 現在,平成 20 年度 版の 学 習指 導要領 で は以下 のよ うに内 容 が分 類され てい る . <小学 校学 習指導 要 領解説 > A 数と計算 B 量と測定 C 図 形 D 数量関係 ・数の 表し 方, 意 味 ・ 加法 ・ 減法 ・ 乗法 ・ 除法 ・概数 ,見 積も り ・ 長 さ ・ 時 間 ・ 体 積 ・ 重 さ ・ 面 積 ・ 角 ・単位量あ たり の大き さ ・平面 図形 ・空間 図形 ・ 位置 ・ 関数 ・比 ,割合 ,倍 ・式表 示 ・ 統計 <中学 校学 習指導 要 領> A 数と式 B 図 形 C 関 数 D 資料の活用 ・正・ 負の 数 ・平面 図形 ・比 例・反比 例 ・資料の散らば

(14)

9 ・文字 式 ・一元 一次 方程 式 ・文字 式の 四則 演 算 ・連立 二元 一次 方 程式 ・平方 根 ・式の 展開 と因 数 分解 ・二次 方程 式 ・ 空間 図形 ・平 面図 形と 平 行線の 性質 ・図形 の合 同 ・図形 の相 似 ・円 周角 と中 心 角 ・三 平方 の定 理 ・一次 関数 ・ 関数 y ax2 りと代 表値 ・確 率 ・標本 調査 学 習 指 導 要 領 で は 内 容 を 4 つの領域に振り分け,さらに小学校 6年 間 ,中学校 3 年間の学習がどの順序で行われるべきかが明記 されて いる . つ まり , 小学 校及 び中 学校 の学習 内容 につ いて , 学 習の順 序が 何ら かの 裏付け によ り明 らか にされ てい るこ とか らも , 殊更に 小中 接続 に着 目しな くと も本 来は 学習が 結び つい てい く は ずなの であ る . では なぜ, 小中 接続 につ いて言 及し なけ れば なら な い の か , そ の 原 因 を 探 る た め 「A 数と計算」についてより具 体的に 見て みる .( 資料 P.12 参照) 内容 の系 統性 に基 づいて 進め られ てい る教育 は, 確か に子 ども たちが 学習 を行 う際 ,たい てい の場 合が 以前に 学習 した こと が素 地とな り,次の 学習 を行え るよ うに配 慮 された 配列 になっ て いる. 小学校 での 例をと っ てみる と,第 4 学年までに小数や分数の性質 を学習 し,第 4 学年から第 6 学年の 3 年間をかけて小数や分数の 四則演 算に つい て段 階的に 学習 でき るよ う設定 され てい る. 中学 校 では ,二 次関 数の 指導が 行わ れる 前に ,必ず 一次 関数 の指 導が 行われ てい ると いっ た具合 であ る. これ らのこ とか ら, 学ぶ 内容 に関し ては 一定 のつ ながり が明 らか にな ってい ると 言え る. し か しなが ら , いく ら以 前に学 習し たこ とが 素地と なっ てい ると は言

(15)

10 っ ても , こ れだ けで は子ど もた ちの 思考 を促す もの とは なり えな いと考 える . や はり 系統性 だけ を重 視し ていて は教 育と して 不十 分であ ると 言わざ る を得な い . 2.1.2 学習の連続性について 内容の 系統 性では , 学習の 内容 につい て その内 容が 拡張さ れ る よ う 整 理さ れてい た .続い ては 学習 の連 続性に つい て 検討 を 行う. そもそ も,「学 習の 連続性」とは,問題 解決の 際に 用いる 手 法の ことで ある .つま り 学習に 用い る手段 が 単元や 各学 年の内 容 ごと に全く 異な ってい る のでは なく ,単元 が 異なっ ても ,学年 が 上が っても ,そ れまで に 用いた 方法 を用い る ことが でき るとい う こと である .内 容の系 統 性が保 障さ れてい る ことで ,問 題解決 の 際に 用いる 方法 はこれ ま でに用 いた 方法が 後 の学習 を行 う際に も 役立 てるこ とが できる と いうも ので ある. 例 えば, 整数 ,小数 , 分数 の乗法 で考 えてみ る と,同 数累 加の考 え 方や割 合で の考え 方 を整 数の乗 法の 段階で 獲 得した とす ると, 同 様の考 え方 で小数 , 分数 でも考 えら れると い うもの であ る.し か し,考 え方 やアプ ロ ーチ の方法 が後 の学習 で も用い るこ とがで き る,つ まり 方法が 保 存さ れると は言 っても , 必ずし も用 いる手 法 がすべ て望 ましい も ので あると は限 らない .「A 数と計算」領域でみてみると,第 4 学年 までに 獲得 された 四 則演算 の考 え方と 同 様に, 小数 や分数 の 場合 にもそ の考 え方を 適 応して いく という も のであ る. しかし , ここ で問題 にな るのは ,「 前の学 習の ときに は 出来た ので,今回の 学習 でもで きる と思う 」 という 子ど もの一 見 よいと され るよう な 実態 である .前 の考え 方 が 使え そう だとい う こと自 体は 決して 悪 いこ とでは ない .しか し ,何を もっ て使っ て もよさ そう だと理 由 づけ たのか が問 題とな る . また, 学習 をより 定 着化さ せる 施策と し て,「ス パイ ラル 学 習」 が明文 化さ れてい る .「スパ イラル 学習」は反復 学習 である と 多く の場合 認識 されて い るが, それ では, 今 までの ドリ ル学習 と 何ら

(16)

11 変化は なく ,また 反 復学習 とし てしま っ たこと によ り,教 育 の現 場でた だの 「計算 練 習」の 時間 が増加 す るにと どま る可能 性 を大 いに含 んで いると 言 える .本 来 spiral という言葉は,反復という 意味は ない .spiral とは「らせん」つまり,二度は同じ所を通ら ないの であ る .同 じ ような 学習 をした と しても ,そ の学習 は 以前 のもの より も困難 さ が増し てい るもの で なけれ ばな らない . 問 題 の難易 度が という こ とでは なく , 思考 が より高 度な 数学的 価 値を 要求さ れる ものと い うこと であ る .「ス パ イラル 学習」が誤っ た使 われ方 をす るので は なく , 子ど もたち の 思考を 高め ていく た めに 用いら れる もので あ ってほ しい と切に 感 じるの であ る .

(17)

12 A 数と計算(小学校第 4 学年∼中学校第 3 学年) 学 年 数 計 算 第 4 学 年 ・ 億 , 兆の 単位 ・ 概数 ・ 小数 ・分数( 真分 数 , 仮 分数 ,帯分 数) ・整数 の除 法(除 数 が 1 位数や 2 位数で被 除数 が 2 位数や 3 位数) ・計算 の結 果の見 積 もり ・(簡単 な暗 算) ・整数 の計 算の能 力 の定着 ・そろ ばん による 計 算 ・小数 の加 法及び 減 法 ・乗 数や除 数が 整数 の場合 の小 数の加 法 減法 ・同分 母分 数の加 法 及び減 法 第 5 学 年 ・ 偶数 , 奇 数 ・約数 ,倍数( 最 大 公 約 数 , 最 小公倍 数)(素 数 ) ・乗法 や除 法が小 数 の場合 の乗 法及び 除 法 ・異分 母分 数の加 法 及び減 法 ・乗 数や除 数が 整数 の場合 の分 数の乗 法 及び 除法 第 6 学 年 ・(逆数 ) ・乗法 や除 法が分 数 の場合 の乗 法及び 除 法 ・小数 や分 数の 計 算 の能力 の定 着 第 1 学 年 ・正の 数・ 負の 数 ・文字 を用 いる 式 ・正の 数・ 負の数 の 四則演 算 ・文字 式( 乗法と 除 法の表 現) ・一次 式の 加法と 減 法 ・不等 式 ・方程 式の 解き方 ・一次 方程 式 第 2 学 年 ・文字 を用 いた式 の 四則演 算 ・連立 二元 一次方 程 式 第 3 学 年 ・平方 根 ・平方 根を 含む計 算 ・式の 展開 ・因数 分 解 ・二次 方程 式を解 く

(18)

13 2.1.3 小中接続に向けて明らかになった課題 2.1.1,2.1.2 より,小中接続に向けて学習の内容についてはそ の連続 性が 認めら れ る.さ らに 学習を 連 続さ せ てい こうと い う算 数・数 学教 育の流 れ につい ては ,多く の 人が適 当で あると 賛 同す ること であ ろう. しかし ,現 在の学 習 指導要 領に は明ら か に欠落 して いるも の が あると 指摘 するこ と ができ る. それは , 子ども たち がどの よ うに 算数・ 数学 を学ぶ の か,ま た教 師が教 材 に対し てど のよう に アプ ローチ する のかと い う点で ある . 「算数 的活 動」や「 算数の 授業 を創造 的 ,発展的 なも のと す る」 「進ん で生 活や学 習 に活用 しよ うとす る 」など ,言 葉の上 で はそ れらし いこ とが学 習 指導要 領解 説には 多 く登場 する .また 授 業の 際には 教師 はあた か も自分 の言 葉のよ う に用 い て子 どもた ち の学 習を進 める 上での 根 拠とし よう とする . しかし ,言 葉だけ で は何 の根拠 にも なりえ な いとい うこ とを明 言 してお きた い. そ れ は算 数の学 習を 通して , 根拠を 明ら かにす る ことの 大切 さを学 ぶ 子ど もたち でも 知って い ること でも あるの だ . 内容の 系統 性が系 統 性とし て役 に立つ の は,そ こに 数学的 構 造 に基づ く価 値づけ が されて いる からで あ る.ま た学 習の連 続 性を 生かす こと ができ る のは, それ ぞれの 活 動に数 学的 な価値 を 見出 すこと がで きるか ら である .教 師はそ の 価値づ けを どのよ う に行 うのか ,子 どもた ち の実態 と数 学的価 値 を照ら し合 わせ た う えで 決定し なけ ればな ら ないの であ る.し か し,学 習指 導要領 に は教 師が教 材の 分析や 活 動の価 値づ けを行 う ための 視点 が明ら か にさ れては おら ず,解 説 にも書 かれ ている わ けでは ない . この課 題は 小中接 続 だけに とど まらず , 算数・ 数学 教育で の 問 題解決 の重 要性を 主 張して いる ところ で ,速や かに 改善さ れ なけ ればな らな い点で あ る. 2.2 以降ではこのことに関して重要な示唆が得られると考え, 昭 和 33 年度版学習指導要領改訂に着目したい.

(19)

14 2.2 学習指導要領における「数量関係」 周知の 通り , 学習 指導要 領は 「A 数と計算」「B 量と測定」「C 図形」「D 数量関係」の 4 領域で構成されている.「数量関係」は 内容と して 関数 や割 合,統 計な どが 含ま れてい る も ので ある . し か し「D 数量関係」は当初から設置されていたわけではない .そ こ で , ど の よ う な 経 緯で「 数量 関係 」領 域が設 置さ れる こと とな ったの か検 討する 価 値があ ると 考えた . 平 成 20 年度版中学校学習指導要領の改訂を見てみると, これ ま で「 数と 式」「 図 形」「数 量関 係」の 3 領域であったものが,確 率・統計に 関する 領 域「資 料の 活用」が 新設さ れ,「 数量 関 係」は 「関数 」と 改め られ た.こ れは 「関 数」 は関数 その もの とし て 捉 え,「資 料の 活用 」な どとは 別個 のもの で あると いえ るのだ ろ うか. また中 学校 での 教育 方針は 小学 校に も少 なから ず反 映さ れる べき であり ,小 学校 にも 同様の 考え 方を 持ち 込んで よい のだ ろう かと いう疑 問が 生じる . この項 では 「数量 関 係」領 域の 設置背 景 を基に ,平成 20 年度 版学習 指導 要領 の改 訂でど うい った こと が主張 され てい るの か, また算 数・ 数学教 育 の方向 性に ついて 検 討する . 2.2.1 「数量関係」領域の設置背景 現在 の ように ,学 習指導 要領 は「A 数と計算」「B 量と測定」 「C 図形」「D 数量関係」の4領域で構成される ようになったのは, 昭 和 33 年度版学習指導要領改訂からである. 学習指導要領が設 定され た当 初は「 数 」「量」「図 形」の 3 領域 の みで 構成さ れ てい た . 算数 ・数 学教育 で は昭和 33 年の改訂よりも前から,算数指導 におい て,「 数」「 量 」「図 形」の すべ て の領域 にお いて ,式 による 表現や 関数 的な 考察 の重要 性が さか んに 指摘さ れて いた . こ のこ とを受 け , 学年 段階 を追っ て系 統的 な指 導を行 うた めの 方針 とし て,「 数量関 係」 が 一つの 「領 域」 とし てまと めら れた ので ある .

(20)

15 現在の 学習 指導 要領 でも内 容の 系統 性に ついて 言及 され てい るが , ここで 言う 系統 的な 指導 と はす べて の領 域にお いて , 同 一の 視点 を持ち 込む こと で算 数・数 学を 捉え 直す ことが でき るか らこ そ , 系統的 な指 導がで き ると考 えら れたも の である . 昭 和 33 年度の改訂に至る以前から数,量,図形の領域で「数 学的な 考え 方」 の必 要性が 言わ れ, すべ ての領 域を 統合 する 役割 をもっ た領 域を 新設 するこ とは 算数 ・数 学教育 にお いて 重要 であ るとさ れた . そ して そのは たら きを 担う ものと して 「数 量関 係」 が用い られ た の であ る .現 在「 数量 関係 」の内 容が 関数 や割 合 , 統 計 な ど に な っ て い る 理 由 は , 当 時 「 数 量 関 係 」 領 域 で も っ て , 「関数 的な 見方 ・考 え方」 を育 て , 算数 ・数学 を統 合的 発展 的な ものと して 子ど もた ちに教 授す べき であ ると考 えら れた ため であ る. 算数・数 学を一 つの ものと して 捉える「 統合 」と いう観 点は 教 育内容 とし て, 一つ の分野 にお ける 数学 的な内 容は もち ろん ,他 の分野 につ いて も, ばらば らな 形で はな く,よ く整 理さ れ関 連と まとま りで あるも の として 学習 される よ うにし たい (中島 .P.126) という もの である .「 統合」は 算数 や数学 にふさ わし い創造 的 な活 動を行 う「数 学的 な 考え方」を育 てる こ とだけ でな く,算 数 ・数学 の内容 につ いて 系統 立った 学習 指導 を進 めるた めに も重 要 な 観点 であっ たと いえる . 2.2.2 「数学的な見方・考え方」への見解 「 数学 的な 見方 ・ 考 え方」 は算 数・ 数学 を学習 する 上で 極め て 重要な もの である に も関わ らず ,「 数学 的な 見 方・考 え方」がどの ような もの を指 して 言われ るも のか につ いて学 習指 導要 領解 説内 では明 確に され てい ない . 教育 に携 わる 者なら 明確 にし なく ても 理解し てい るも のと して書 かれ てい ない のかも しれ ない が, 研 究 を進め るに あた り , 筆者は 「 数 学的 な 見 方・ 考 え方 」を どの よう に 捉え , 重 要で ある と主張 する のか につ いて , ここ で明 記し てお

(21)

16 き たい . 「数学 的な 見 方・ 考 え 方 」は 単に勉 強 をして いる から身 に つい て当た り前 ,そ のう ちだれ でも でき るよ うにな る と いう もの では ないと 筆者 は考 える .もち ろん 「 数 学的 な 見方 ・ 考 え方 」を 持ち 合わせ てい ない から と言っ て , 計算 がで きない わけ では ない し , 図形の 作図 がで きな いわけ でも ない .ま た「数 学的 な見 方・ 考え 方」は その 名の通 り ,「見 方・考え方 」で あるた め,それ自 体 を観 察する こと はでき な い.そ のた め観察 者 は「見 方・考え方 」を「算 数的活 動」 とし て表 出され て初 めて 観察 するこ とが でき るも ので ある. 本研 究は 小中 接続に つい ての 研究 を行っ てい るが ,そ の根 底にあ る も のは 問題 解決学 習で ある .小 中接続 はカ リキ ュラ ム上 の問題 だけ では ない と考え る . 最終 的に は子ど もた ちに どの よう に算数 ・数 学が まと まりを もっ たも のと して教 授で きる のか を明 らかに する こと が目 的であ る . だか らこ そ,小 中接 続に 「見 方・ 考え方 」が 重要と な ってく るの である . これま での 長い 教育 の歴史 の中 で「 数学 的な見 方・ 考え 方」 を 育てる こと を算数・数学教 育の 目的と し てきた こと は明白 で ある. しかし 前述 したよ う に「 見方・考 え方 」は 観察不 可能 である た め, それを「算 数的 活動 」と して表 出さ せ,観 察 者( 教 師 )は「 見 方 ・ 考え方 」を 間接 的に 捉えて きた .教 師が 「算数 的活 動」 であ ると 見なす 時, その 活動 は数学 的価 値が 備わ ってい るも ので なけ れば ならな い.ま た,「 算数的 活動」は「 算 数的な 見方・考え 方 」が表 出され たも のであ る ため,「 算数的 な見 方・考え 方」も 数学 的価値 が備わ った もので あ ると言 える . 2.2.3 「関数の考えの指導」にみる数量関係の役割 「数量関 係」が設 定され るこ とによ り ,「数量 関係 」領 域 は「関 数的な 見方 ・考 え方 」を育 てる 立場 であ ったと 言え る . ここ では 1973 年に文部省から発行された「小学校算数指導資料 関数の考 えの指 導」を基 に検 討す る .当 時 ,「数 量 関係 」領域 の効 果を 発揮

(22)

17 するた めに 着目さ れ たのは「 集合」の考 え である .しか し ,「集 合」 を内容 とし て教 える のでは なく 数学 的な 概念を 抽象 した り , 概 念 相互の 関係 や概 念の 拡張を 考え たり する 時の助 けと して ,用 いら れたの であ る .「関 数 の考え」を指 導する 意義を 考え る上で 重 要な 視点と して , ① 微積分へのアプローチと科学的な探究の精神の育成 ② 統合のアイディアとして 関数の考え が挙げ られ る . ここ では② 統合 のア イデ ィアの 関数 の考 えを 中心 に考察 する . 2.2.1 でも述べたように「数量関係」領域は算数・数学の内容を 統 合 的 発展 的に捉 え るため に設 けられ た もので あり,「関 数的 な見 方・考 え方 」を 子ど もたち が身 につ ける ことで 算数 ・数 学を 学習 すると きに 「関 数的 な見方 ・考 え方 」で もって ,捉 える 力を つけ させた いと 考えら れ たもの であ る. つま り, 数量 関係 におい て最 も重 要視 される べき こと は, 関数 そのも のの 学習 では なく, 関数 的に 事柄 を捉え られ るよ うに する ために はど のよう な 教授の 方法 をとる べ きか,とい うこ とで ある. A,B,C の領域で示されているものは数学的な内容であり,その 一般的 な概 念や 原理 は個々 の特 殊な 場合 にのみ 用い られ るも ので はない . ど の領 域で 扱うこ とに 対し ても 同様の こと が言 える とい うこと に着 目す るこ とが重 要な ので ある .そう する と, 同様 のも のとし て捉 えら れる 力がな けれ ば, 概念 や原理 は個 々の 特殊 な場 合にの み用 いら れる もので しか ない .し かし, 概念 や原 理を 多く の場合 に用 いる こと ができ る, 一般 的な 関係を 表す もの とし て考 えられ れば ,領 域内 でも, 領域 を超 えて もそれ らを 関係 づけ て捉 えるこ とが できる の である . 場合 によ って 変化 するも のは 何で ある のか, また 場合 には 関係 なく変 化せ ず常 に保 存され るも のは 何で あるか とい う考 え方 は, まさし く関 数の 変数 や定数 の考 え方 であ る.そ して ,関 数の 考え 方に沿 って 考え るこ とで, それ まで 個々 のもの でし かな かっ た事

(23)

18 柄どう しが ,関 係の あるも のと して 改め てその 存在 を明 らか にす るので ある . 「数 量関 係」 がそ の役割 とし てめ ざす ところ は, 関数 の学 習を 早い段 階か ら行 うこ とでは さら さら なく ,子ど もた ちに 「関 数的 な見方・考え 方」を 身 につけ させ ること で あった.「関数 的な 見 方・ 考え方 」か ら, 子ど もたち は目 の前 にあ る課題 を解 決す るこ との みに専 念す るの では なく, その 課題 に含 まれる 数学 的価 値を 見出 そうと する であ ろう .その ため には 教師 が「関 数的 な見 方・ 考え 方」に 対し て正 しい 理解を して いな けれ ばなら ない が, その 目標 に即し て, 教材研 究 がおこ なわ れるべ き ことは 言う までも な い. 「 関数の 考え 方の 指導 」から ,「 数量 関 係」領域の 役割 は子 ども たちの 算数 ・数 学的 活動を 支え るた めの 重要な 領域 であ り, その 役割が ある からこ そ ,「数量 関係」と いう 領域が 存在 するこ と に価 値があ るの である .「数 量関係 」が「 関 数」として 領域 設定 されな かった のは , こ うい った背 景が あっ ての ことだ とい うこ とが 明ら かにな った . つ まり 「数量 関係 」で 関数 の学習 や単 なる グラ フの かき方 を学 習す るか ら他の 領域 の理 解に つな が るの では ない とい うこと が明 らかに な ったの であ る . 2.3 平成 20 年度学習指導要領における「数量関係」領域の役割 に つ い て ここま で, 学習指 導 要領に おけ る「数 量 関係」 の役 割やそ の 特 性につ いて 明らか に してき た. それで は 現段階 の学 習指導 要 領で も,同 様の 目的の も と「数 量関 係」領 域 が用い られ ている か につ いての 検証 を行う . 平 成 20 年度版の学習指導要領解説では「数量関係」のねらいに ついて 「A 数と計算」,「B 量と測定」及び「C 図形」の各領域の 内容を 理解 したり , 活用し たり する際 に 用いら れる 数学的 な 考え 方や方 法を 身につ け ること ,また ,数 量 や図形 につ いて調 べ たり, 表現し たり する方 法 を身に 付け ること とある .こ のねら い から,

(24)

19 「数量 関係 」に求 め られて いる 役割を 検 証する . 学習指 導要 領 解説 で は「数 量関 係」を 他 の 3 領域で見られた算 数的活 動を 「数量 関 係」の 領域 を通し て より深 めて いく領 域 とし て い る . こ れ は A・B・C のそれぞれの 領域の学習を「数量関係」 の領域 で関 数や比 , 統計な どの 学習に よ り深め てい くとい う 考え 方に立 って いると 言 える. そし て,数 量 や図形 を調 べたり , 表現 し たり する 手段と し て「数 量関 係」を 用 いると いう 立場で あ る. つまり ,学 習場 面 に おいて ,表 やグラ フ を用い て表 現する た めに は「数 量関 係」領 域 が不可 欠で あると 主 張され てい るので あ る. ここで 着目 したい の は,他の 3 領域が学習の内容に終始してい ること に対 し,「 数 量関係 」の 領域に は 学習の 内容 と学習 の 手段と の 2 つの役割を表すものであると言えることである.ところが学 習の手 段と して「 数 量関係 」を 捉える な らば, 子ど もたち の 学習 は形式 化さ れうる も のであ り, そこに 思 考や活 動に ついて は 必ず しも求 めら れるも の ではな いと も考え ら れる. 表に 表すこ と やグ ラフに 表す ことが ね らいと して 適当で あ ると言 える のか , さ らに ここで 挙げ られた ね らいか らは ,何を も って数 学的 活動を 深 めて いくの かは 不透明 で あり, およ そ数学 的 活動と して 期待さ れ るも のでは ない . さらに ,小 中接続 か ら平成 20 年度版の中学校の学習指導要領 を参照 して みると ,「数量 関係」は「関 数」と「 資料 の活 用 」とに 分けら れて しま って いる. 小学 校ま での 「数量 関係 」の ねら いす らも, そこ には 介在 してい ない .つ まり 小学校 での 「数 量関 係」 の役割 は, ほぼ 小学 校のう ちの 学習 にし かはた らか ず, 中学 校で の学習 では その 役割 を十分 に果 たす もの ではな いと 結論 付け られ る . 2.4 昭和 33 年度版と平成 20 年度版の「数量関係」領域の比較 と 考 察 第2 章ではこれまで昭和 33 年度版学習指導要領の改訂で設定

(25)

20 された「 数量 関係」領域の 基本 的な考 え 方や役 割と,平成 20 年度 版学習 指導 要領で 言 われる 「数 量関係 」 領域の 役割 につい て 述べ て きた.2.3 で述べたことを見ても,平成 20 年度版の「数量関係」 のねら いで 主張さ れ ている こと は,少 な からず 問題 をはら ん でい ると言 わざ るを得 な い状況 にあ る. 本研究 の動 機でも 述 べたよ うに ,算数 ・ 数学教 育に おいて 内 容 の系統 性や 学習の 連 続性が 明確 である と いう教 科の 特性を 活 かし た教 育 を 行 う た め に は , 昭 和 33 年度版で新設された「数量関係」 の領域 は画 期的な も のであ った と言え る .そこ には 内容の 系 統性 や学習 の連 続性を 保 証しう る「 考え方 」 が存在 して いたた め であ る . 一 方で,平 成 20 年 度 版の「数 量関 係」領域 ではど うで あろう か . 算数的 活動 を促す こ とはお ろか ,領域 と して設 定さ れるこ と にす ら疑問 を持 つもの で ある. 筆者 は学習 指 導要領 解説 で言わ れ てい るよう な「数量 関係 」の特性 では,「 数 量関係」に教育 的必 要性を 見出す こと ができ な い. つまり , 昭和 33 年度版の「数量関係」と平成 20 年度版の「数 量関係 」を同列 のも のとし て捉 えるこ と はでき ず ,平成 20 年度版 の「数 量関 係」領 域 への解 釈は 速やか に 見直さ れな ければ な らな い.こ のま までは , 領域を 越え て学習 の 結びつ きを 認めて 子 ども たちが 学習 を行う こ とはお ろか ,内容 の 系統性 や学 習の連 続 性す らもそ の価 値が薄 ら いでし まう . 子ども たち にとっ て ,算数 ・数 学的活 動 が必要 なも のだと 主 張 する前 に, 領域を 価 値ある もの として 設 定し直 さな ければ , 教授 の場面 でも ,目 的が 正しく 達成 される 可 能性は 極め て低い .また , 学習指 導要 領は教 師 にとっ て , 教材を 分 析する とき に用い る 大前 提とな るも のであ る . 算数 ・数 学教育 を 専門に して いる 教 師 にと っても 問題 解決授 業 を行う ため の教材 分 析とい うも のは困 難 なも のであ る . そうで あ るにも かか わらず , 教材分 析の 根幹と 成 り得 ない学 習指 導要領 で は , か なり の危険 を 感じる もの である .

(26)

21 2.5 平成 20 年度学習指導要領解説「数量関係」領域における 課題 点 本 来 , 算数 ・数学 教 育は小 中接 続と殊 更 に言わ ずと も ,接 続 す ること は 内 容の系 統 性や学 習の 連続性 か ら保証 され うるべ き もの で ある . し かしな が ら , そ の接 続がう ま くいっ てい ない原 因 は , 内容の 系統 性によ っ て明ら かに なった 領 域ごと の特 性や学 習 の連 続性に よっ て問題 解 決に用 いる 手法が 保 存可能 であ ること と 併せ て,算 数・ 数学教 育 で用い られ る「 数 学 的な見 方・ 考え方 」 が明 らかに なっ ていな い ことに ある . 「数学 的な 見方・ 考 え方」 には 様々な 側 面があ り , 定義づ け て 示すこ とは 難しい も のであ る . ま た , 重 要視さ れる 「 数学 的 な見 方・考 え方 」はそ の 時代や 場面 により 変 化しう るも のであ る と考 え る .だ からこ そ ,学習指 導要 領がほぼ 10 年おきに改定されるの であれ ば , その時 代 時代で どの ような 「 見方・ 考え 方」の で きる 子を育 てて いきた い のかを 明文 化する 義 務があ り , また教 師 はそ れを基 に教 授を行 う べきな ので ある .「 数学的 」と いう 言 葉 で省略 してし まう のでは な く , そ の中 にどう い った意 味が 含まれ て いる のかを 明ら かにす る ことに 意味 がある の ではな いだ ろうか . 昭 和 33 年版学習指導要領における「数量関係」には「関数的な 見方・ 考え 方」の 重 要性が あっ たよう に ,今も その ような 考 え方 の重要 性が 要求さ れ ている ので はない だ ろうか .子 どもた ち が創 造 的 , 発展 的に活 動 できる よう になる こ と , 算 数や 数学で 身 につ けた技 能や 知識を 生 活や他 の学 習に活 用 するこ とが できる よ うに なるこ とは , 素晴 ら しいと いう 言葉で 片 付けて しま うには も った いない こと である か もしれ ない . しか し ,こ の まま の教育 方 針で は, 創 造的 な活動 を するこ とも , 生活 や 他の学 習に 活かす こ とも 夢のま た夢 といっ た ところ であ ろう . 教 師とし て , また 我 が 国 の 教育方 針と して ,問 題解決 学習 の重要 性 が分か って いるの な らば , 今一度 教材 分析の 重 要性を 認識 してい た だきた いと 切に願 う ので あ る .

(27)

22 第 2 章の要約 第 2 章では,学習指導要領での学習のつながりの保証をどのよ うに行 って いるか , また, 数量 関係領 域 の役割 が何 である か を明 らかに した . その 結果 ,学習 指 導要領 は内 容の系 統 性や学 習の 連続性 に よっ て学習 のつ ながり を 保証し よう として い たが, 教授 の 視点 か ら言 及され たも のでは な いため ,学 び方と し ては不 透明 なまま で ある ことが 明ら かとな っ た.こ れは 問題解 決 をめざ した 教授を 行 うた めの拠 り所 とする に は学習 指導 要領は 不 十分で ある と言え る . ま た「ス パイ ラル学 習 」が平成 20 年度版から明文化されたが ,そ のあり 方に も疑問 を 抱かず には いれな い . これ まで の算数 ・ 数学教 育の 流れの 中 で教授 の視 点から 学 び方 を保証 する 方策と し て昭和 33 年度版学習指導要領で数量関係に おける 「関 数的な 見 方・考 え方 」の導 入 がされ た . 現在で は その 役割を 「数 量関係 」 領域が 補い きれて お らず, そこ に学習 の つ な がりを 希薄 にさせ て いる課 題が あると 判 明した .学 習のつ な がり が強調 され るのは , 小学校 での 学習と 中 学校の 学習 の連携 が うま くはた らか ず ,多 く の児童 ・生 徒が算 数 ・数学 に対 して抵 抗 感を 抱いて いる ためで あ ると考 える . 子ど も たちに とっ て ,学 ぶ こと は重要 なこ とであ る が , 何 を学 ぶのか , どうや って 学ぶの か とい ったこ とは さらに 重 要なこ とで ある .「 数学的 な見 方・考 え 方」を 子ども たち に教授 す ること は算 数・数 学 教育に おい て大前 提 とな ること であ る .

(28)

23

3 章

Standards(NCTM)の分析

3.1 Standards の検討目的 3.2 Standards の 5 つの学び方とその具体例 3.3 Standards から得られた教育的示唆 本章 では ,Standards が数学教育でどのように算数・数学に対 する見 方・ 考え方 を 育てよ うと してい る のかを 明ら かにす る こと を目的 とす る. 3.1 では,Standards を検討する目的について明らかにする. 3.2 では 5 つの視点ごとにその目標と具体例,考察を加え,3.3 に お いて Standards から得られた教育的示唆が小中接続にどのよ うに影 響す るのか を 明らか にす る.

(29)

24 第 3 章 Standards(NCTM)の分析

3.1 Standards と小中接続

1920年に発足したNATIONAL COUNCIL OF TEACHERS OF MATHEMATICS(全米数学教師協議会)によって,主に米国とカ ナダで 学校 数学に 対 するビ ジョ ンにつ い て概説 するStandardsが出 版され た .1986年にNCTMの役員会は数学教育のStandardsの開発 に取り 掛か り ,約3年間で『Curriculum and Evaluation Standard for School Mathematics』が出版された.1991年には『Professional Standard for School Mathematics』,1995年には『Assessment Standard for School Mathematics』が出版された.本研究では2000 年に出 版さ れた『Principles and Standards for School

Mathematics』を基に,検討を行うものとする . 小中接 続を 研究 する にあた り , 複 数 の学 年を見 越し た教 授の あ り 方 に つ い て 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え る . そ こ で ,NCTM の Standards を基に,複数の学年を見越した学び方についての考察 を行う こと とする . Standards は日本の学習指導要領と異なり,学習の内容につい ての部 分と ,学 び方 につい ての 部分 とに 分けら れて いる .そ の分 類は以 下の ように な ってい る.

学習の内容

Number and Operations Algebra Geometry Measurement Data Analysis and

Probability

学び方

Problem Solving Reasoning and Proof Communication Connections Representation

(30)

25 次頁か らは 具体 的に 学び方 の項 目で ,ど ういっ たも のが 提案 さ れてい るの かにつ い て,A 目標設定・B 具体例・C 考察で明らか にする . 3.2 Standards の 5 つの学び方とその具体例 3.2.1 Problem Solving(問題解決) 3.2.1-­A 目標設定

Instructional programs from prekindergarten through grade 12 should enable all students to³

・build new mathematical knowledge through problem solving;; ・solve problems that arise in mathematics and in other contexts;;

・apply and adapt a variety of appropriate strategies to solve problems;;

・monitor and reflect on the process of mathematical problem solving. 就学前 から 12 学年までの教育上のプログラムはすべての生徒に以 下のこ とを 可能に さ せるべ きで ある . ・問題 解決 を通し て , 新し い数 学的知 識 を確立 する ・数学 や他 の文脈 で 生じる 問題 を解決 す る ・問題を 解く ために 様々な 適当 なスト ラ テジー を応 用した り(知っ て い る こ と を 使 用 す る ), 適 合 さ せ た り ( 知 っ て い る 事 柄 で は な いが, 使用 した方 法 を認め る) する ・ 数 学 的問 題解決 の 過程を モニ ター し た り,反 省し たりす る Standards においても,日本と同様に問題解決の重要性が挙げ られて いる.学び 方 に関す る5 つの項目のうちで Problem Solving が最初 に挙 げら れて いるこ とか らも 大き な注目 がな され てい るこ とがう かが える. 2 点目の「数学や他の文脈で生じる問題を解決する」ことにつ

(31)

26 い て,Standards では,日常の生活で出会う問題を数学と結びつ けて問 題を 解決 する ことが でき る生 徒を 育てる こと が言 われ てい る.日 常の 生活 とは どのよ うな もの を指 すのか ,と いう 問題 が生 じ る が ,筆 者は 至極 具体的 な生 活場 面で あって も仮 想の 場面 であ っても ,問 題が 一人 一人の 子ど もた ちの 問題と して 捉え られ るこ とが重 要で ある と考 える. その ため ,い たずら に具 体的 な場 面を 用いる ので はなく ,「 数学的 価値」を考 え た時に,子ど もた ち が「問 題であ る」 と感 じる ことが でき るよ うに 場面設 定を する こと が求 められ てい ると考 え る. 3 点目の「問題を解くために様々な適当なストラテジーを応用 したり( 知っ てい る ことを 使用 する),適合さ せた り(知 っ ている 事柄で はな いが ,使 用した 方法 を認 める )する 」で は, 問題 解決 の中で も自 力解 決の 場面 で 用い られ る類 推など の考 え方 が適 当で はない かと 考え る. さまざ まな スト ラテ ジーを 応用 した り, 適合 させた りで きる とい う子ど もの 実態 は, 子ども たち が問 題に 含ま れる類 似性 を利 用し ている ため であ ると 言い換 える こと がで きる. 問題の 核と なる 部分 で同一 のも のと みな せるも のを 発見 した り, そうで はな いだ ろう かと予 想し たり する ことに よっ て問 題解 決を 行って いく のであ る .そ の場 合には ,や はり 4 点目にもあるよう に 「 数 学的 問題 解決 の過程 をチ ェッ クし たり, 反省 した りす る 」 ことも 必要 とな って くるで あろ う. 一つ には自 分た ちが 行っ た活 動が数 学的 に適 切な もので あっ たの かと いうこ とで ある .実 際の 学習場 面で は子 ども たちと いう より も, 教師に 求め られ るこ とで ある. 教師 の声 かけ や支援 によ って ,子 どもた ち自 身が どの よう に自分 たち の用 いた ストラ テジ ーが 数学 的に価 値あ るも ので ある のかに つい て, 吟味 を行う こと が求 めら れる. また 全体 での 練り 上げが 行わ れる 場合 には , 価値 の高 まり を子ど もた ちが どの よう に認識 して , 次 の学 習に活 かそ うと する のかも 重要 であ る . そ し て 4 点目のところで忘れてはならないのが,子どもたち自身が問 題解決 をど のよ うに とらえ るか であ る. 特に過 程を チェ ック した

(32)

27 り反省 した りす ると いうこ とは ,子 ども たち自 身が 自分 の活 動を 俯瞰し て事 柄を 表や 図に表 した り, 式に 表した りす るこ とが でき るとい うこ とで ある .こう いっ た活 動が できる こと は, 問題 に含 まれる 規 則 性を 発見 する契 機と なっ たり ,自分 の活 動に 新た な課 題が発 見さ れ たり す る こと につ なげる こ とがで きる . 以上 の目 標の考 察 から Standards では,どのように問題解決が 行われ てい るのか 具 体例を もと に検討 す る. 3.2.1-­B 具体例 【 野 球 チ ー ム の 勝率 : 小 学 校 6 年程度】 ある野 球チ ームは 前 半 80 試 合中 48 試合 勝って いま す.そ の 勝敗 率 を維 持す るた めに このチ ーム は残 り の 50 試合 を何 勝し なけれ ばなり ませ んか? 生 徒(A)前半 80 試合の勝率に着目する«48/80 この チー ムの勝 率 は約 5 割である.つまり,このチームはおよ そ 2 回に 1 回勝つということ. チーム の勝 率が 5 割強であったことから見積もると,チームはだ いたい 後半の 50 試合について,28 勝すべきであろう. 28/50 と 48/80 の二つの勝率を比べ,2 つの勝率が等しくなるま で見積 もり を続け る . 生 徒(B)勝敗の率に着目する«勝:負け=48:32=3:2 比の値 を簡 素化す る ことで ,こ の結果 を 「5 ゲームごとに 3 勝 する」 と言 い換え る ことが でき る. 50 試合することは(5 ゲーム)×(10 セット) 「5 ゲームごとに 3 勝する」のだから,3×10=30 問題の 答え として 30 試合という結論を導く. 生 徒( C) 割 合に 着 目する 48/80=x/50 80 勝のうち 48 勝しているので,それと同じ勝率を保持するた

(33)

28 め には ,50 勝のうち何勝すればよいかを明らかにする . 生 徒(D)勝率を百分率で表すことに着目する 勝率 60% 前半戦 の勝 率は 60%なので,50 試合の 60%を見つける. 50×0.6=30 3.2.1-­C 考察 問 題 解 決 に つ い て 書 か れ た 章 で あ る が ,Standard を参考にす る上で ,考 慮し てお かなけ れば なら ない のは, アメ リカ で言 われ る問題 解決 と, 日本 で広く 言わ れて いる 問題解 決に は, 大き な違 いがあ ると いう こと である .日 本で 問題 解決が 言わ れる 場合 ,練 り上げ を前 提と した 子ども たち の自 力解 決の場 が要 求さ れる .し かしな がら ,ア メリ カの場 合, 問題 を解 決する こと 自体 が目 的で あり, 自力 解決 や練 り上げ を必 ずし も要 求しな いと いう こと であ る.具 体例 から も分 かるよ うに ,ど の解 決方法 に価 値を 置く とい うよう な活 動は 設定 されて いな い. ここ では, 問題 を解 決す るた めの手 立て が導 ける かどう かと いう とこ ろに重 点が 置か れて いる. つまり アメ リカ では 数学的 なア イデ ィア を活発 に議 論す るこ とに より問 題を 解決 しよ うとす る傾 向が 強い という こと であ る. 一方 で日本 では 数学 的な 概念を 子ど もた ちに 育てさ せよ うと いう 狙い がある と考 える. そのよ うな 背景 を考 慮した 上で ,ス トラ テジー の応 用・ 適応 に 着目し たい .学 習の 場面で は当 たり 前の ように 扱わ れる こと であ り,指 導案 にも 「こ れまで の学 習を もと にして 考え る」 とい った 類の文 章が 用い られ る.し かし なが ら, ストラ テジ ーを 応用 する ことも 適応 する こと も,決 して 簡単 なこ とでは なく ,そ れ相 応の 練習が 必須 とな るも のであ る. 問題 解決 の際に これ まで に獲 得し たスト ラテ ジー が応 用でき るこ とや ,適 応する に値 する かと いっ た判断 を教 師が どれ だけ子 ども たち に意 識させ るこ とが でき るか, また授 業に 反映で き ている のか という 点 に疑問 が残 る. 問題解 決と いう 言葉 の裏で ,教 師の 教材 分析の 力が 大き く影 響 してい るこ とを認 識 してお く必 要があ る .

(34)

29 3.2.2 Reasoning and Proof(推理と証明)

3.2.2-­A 目標設定

Instructional programs from prekindergarten through grade 12 should enable all students to³

・recognize reasoning and proof as fundamental aspects of mathematics;;

・make and investigate mathematical conjectures;;

・develop and evaluate mathematical arguments and proofs;; ・select and use various types of reasoning and methods of proof.

就学前 から 12 学年までの教育のプログラムはすべての児童・生徒 に以下 のこ とを可 能 にさせ るべ きであ る . ・推理 と証 明を数 学 の基礎 とな る側面 と して認 識 す る ・数学 的推 測を構 成 したり ,理 解した り する ・数学 的な 筋道や 証 明を高 めた り,価 値 を見極 めた りする ・様々 なタ イプの 推 理や証 明の 方法を 選 び活用 する 推理 と証 明を 数学 の基礎 とな る側 面と して認 識す るこ とは 子ど もたち にと って ,ど のよう な意 味を 持つ のかに つ い て考 える .小 学校の 段階 と中 学校 の段階 は, 説明 を行 うか証 明を 行う かと いう 分け方 がで きる と考 える. ここ で言 われ る推理 は説 明に 近く ,数 学的証 明を 必要 とし ている わけ では ない .つま り, 推理 では 目の 前の事 柄が どの よう な構造 を持 って いる のかを 明ら かに する こと を目的 とし てい るの である .子 ども たち にとっ ては ,与 えら れる それぞ れの 問題 は問 題でし かな いか もし れない が, 推理 を行 うこ とで問 題の 構造 に触 れたと き, 初め て他 の問題 との 関係 性に 言及 するこ とが でき るの ではな いか と考 える .また そう いっ た推 理で の経験 を重 ねる こと で,証 明に おい て 抽 象的な 対象 を扱 うこ との 意味の 素地 となり 得 ると考 える . 2 点目に数学的推測が挙げられている理由として,やはり帰納

(35)

30 的推理 から の事 柄の 検証が 算数 ・数 学の 中で重 要で ある ため だと 考えら れる .推 測は そもそ も帰 納的 に成 り立ち そう だと いう こと を言う ため に行 うも のであ る. 算数 ・数 学では 一般 化や 抽象 化に ついて 議論 され るこ とが多 いが ,算 数・ 数学の 学習 は一 般化 され たもの や抽 象化 され たもの から スタ ート するわ けで はな い. また 初めか ら演 繹的 に考 えると いう こと はほ とんど の場 合し ない . 帰 納的推 理を 行う こと で,一 般化 や抽 象化 を行う こと がほ とん どの 場合で ある .ま た, 帰納的 推理 を行 うこ とから 始め るか らこ そ, 一般化 や抽 象化に つ いて, その 意味を 吟 味でき るの だと考 え る. とは いっ ても , 一 般化で きる こと ,抽 象化で きる こと は世 の中 で起こ る様 々な 事象 から言 えば ,ご く一 部であ り, 特殊 な場 合で ある. その こと を踏 まえた うえ で, 推理 によっ て, 事柄 の構 造を 明らか にす る活 動を 行うこ とは 証明 の素 地経験 とし ても 有効 であ ると考 える . Standard では,どのような題材で推理を展開させるのかにつ いて, 具体 例を基 に 考察を 行う . 3.2.2-­B 具体例 【 三 角 形 の 点 の 個数 ( 一 般 化 で き る 例 題): 小 学校 5 年生程度】 問.右 図の よう に三 角 の点が 増え てい く時 , 7 番目の三角にはいく つの点 があ るか. ま た 100 番目の三角にはいくつの点があるか. 生徒は 図の 観察か ら ,三角 の点の 個数 は 一つ前 の三 角に 2 番目 な ら2 つ,3 番目なら 3 つずつ点の数が増えていることに気づき, 同 様に 6 番目,7 番目も類推することができる.このことを図に すると 以下 のよう に なる.

(36)

31 同様に 考え れば ,100 番目の三角は 99 番目の三角の個数に 100 をたし た も のにな る ことが 分か る. ■ 課 題点 一つ目 の課 題は 99 番目の三角の点の数をどのようにして求め るかが 問題 であ る. 二つ目 の課 題は この 考え方 では どの よう な数 の時で も正 確に点 の 数を求 める ことが 難 しそう であ る. ■ タ ミカ の考え 方 4 番目の三角の点の数は,4 5 の12であ る. 実際に 他の 数字 でも 確かめ ると ,タ ミカ の主張 が正 しい こと が 分かっ た. しか し, 直観で とら えに くい ため, 数学 的な 論拠 があ るよう には 見え ず, この観 察で すべ ての 生徒が 納得 した わけ では なかっ た. 直観 で捉 えられ るか どう かは 子ども たち にと って 重要 な価値 にな り得る と いうこ との 示唆で も ある . ここで ,も う一 度 三 角の点 につ いて 観察 し,ガ ウス の法 則を 使 って, タミ カの考 え 方を証 明す ること に なった .7 番目の三角に ついて 考え る.7 番目の三角の点の数は,1+2+3+4+5+6+7 である. その和 を求 めるた め に,以 下の ように 考 えるこ とが できる . この考 え方 はそ のほ かの数 字で も行 うこ とがで き, 確か らし い こ と が 確 認 さ れ た . 最 後 に こ の こ と を 文 字 で 表 す と

(37)

32 (number)(number+1)/2 となると結論付けた. 【ジオ ボー ド( 一 般 化でき ない 例 ): 中 学校3 年生 程度 】 問 .5 5 のジオボードがあります.ペグをつないで出 来る線分は 何本で しょ う.た だ し,す べて の線分 の 長さは 異な ること と する. 生徒 はま ず 1 1 のジオボ ードか ら取 組み ,2 2,3 3 という 風に 作業 を進 める. そ うする こと で, 三角 形の点 の 数のと き同 様に, あ る決ま りが 見えて く る . この こと から,4 4 までのジオボードでは前に数えたものに新 しく加 わっ たも のを 足して いく こと で全 体の和 が求 めら れる こと が分か り,5 5 も同様に考えることができると推論される. よっ て N Nの ジ オ ボー ド につ くる こ と がで き る線 分の 総 数 は おそら く 2+3+4+・・・・+(N+1) と表せ るだ ろうと 表 現され た. 実 際に 5 5 のジオボードは図のようになる.

(38)

33 しかし,よく 観察 す ると辺 AB=辺 CD=5 であることが分かり, 本数は 予想 していた 20 本ではなく 19 本であることが分かる. つま り,この問 題 では,総数 の求め 方 を 2+3+4+・・・・+(N+1) とした にも 関わら ず ,こ れで は,5 5 のジオボードの場合には十 分に機 能し ないこ と が判明 した .そ のた め,5 5,またはそれ以 上の数 のジ オボ ード でも成 り立 つよ うな 一般化 を行 うか ,場 合分 けを行 わな けれ ばな らない 問題 であ ると 結論付 ける こと がで きる. 3.2.2-­C 考察

Reasoning and proof の第 6 学年から 8 学年の段階では,主に 推理に つい て取 り扱 うべき であ ると され ている .推 理は 証明 を行 う前段 階と して ,数 学的に 価値 づけ られ るもの かど うか を吟 味す る態度 を育 てるも の として 重要 である と 言える . 推理 を行 う場 合, 具体例 にも 多く あっ たよう に, 絵を 根拠 にし ても差 し支 えは ない .また 筆者 も推 理の 際には 具体 的に どの よう な変化 が起 きて いる のかを 捉え るた めに も絵や 図を 積極 的に 活用 すべき であ ると 考え る.な ぜな ら, 図や 表に表 して みる と, 見か けは違 うけ れど も, そこ に 表れ る構 造は 同じで ある ,ま た同 じ式 で表す こと ができ る といっ たこ とが明 ら かにな るか らであ る . また ,本 文中に は ,次の よう な記述 も ある. 中学年( 6 年 ― 8 年 )では生 徒は ,数学 的 推論で 頻繁 に起こ る 多 様 な経験 をす べきで す . ・規則 正し さを見 抜 くため にパ ターン や 構造を 考察 する ・規則 正し さを観 察 して一 般化 や推測 を 公式化 する ・推測 の価 値を見 極 める ・数学 的主 張を構 成 したり 価値 を見極 め たりす る 数 量 の 変 化 に つ い て の 具 体 例 か ら も 読 み 取 れ る よ う に , Standards では推理を通して,関数的な見方や考え方を育てよう と して いる とも考 え られる こと から ,我 が国の 学習 指導要 領 の「数 量関係 」領 域の意 図 とも通 ずる ところ が ある.

(39)

34 3.2.3 Communication(コミュニケーション)

3.2.3-­A 目標設定

Instructional programs from prekindergarten through grade 12 should enable all students to³

・organize and consolidate their mathematical thinking through communication;;

・ communicate their mathematical thinking coherently and clearly to peers, teachers, and others;;

・ analyze and evaluate the mathematical thinking and strategies of others;;

・use the language of mathematics to express mathematical ideas precisely. 就学前 から 12 学年までの教育のプログラムはすべての児童・生徒 に以下 のこ とを可 能 にさせ るべ きであ る . ・コミュニ ケーシ ョ ンを通 して 数学的 思 考 をま とめ たり統 合 したり す る ・自分た ちの 数学的 思考 を 首尾 一貫し て 明瞭に 仲間 や教師,他の人 に伝え る ・数学的 アイ ディア と,他の スト ラテジ ーを分 析し 価値を 決 定する ・数学 の言 葉を使 っ て,数 学的 アイデ ィ アを正 確に 表現す る ここ では ,コ ミュ ニケー ショ ン能力 そ のもの につ いてで は なく, コミュ ニケ ーシ ョン を通し て数 学的 価値 を子ど もた ちが どれ だけ 味わう こと がで きる かが問 題と なっ て く る.人 前で 大き な声 で発 表がで きる こと やや る気を 出し て算 数・ 数学に 向か うこ とが でき るとい うこ とは 確か に意欲 とし て考 えら れるが ,数 学的 かと 言わ れれば そう では ない . その ため , こ こで は表面 的な 活動 につ いて は言及 を避 けるこ と とする . 2 点目の「自分たちの数学的思考を首尾一貫して明瞭に 仲間や

(40)

35 教師, 他の 人に 伝え る 」は ,簡 潔・ 明瞭 に事柄 を表 現す るこ とを 要求す るも ので ある .自分 だけ が納 得し ている こと では なく て, 誰が見 ても 納得 でき る形に する 必要 があ るとい うこ とで ある .そ れ は 4 点目の「数学の言葉を使って,数学的アイディアを正 確に 表現す る 」 から も読 み取れ る. コミ ュニ ケーシ ョン をと る前 段階 と して , 他 の人 に伝 えても 理解 して もら える状 態に 自分 の考 え方 を表さ なけ れば なら ないた めで ある .一 方的な 情報 の発 信で は , 受け手 によ り解 釈が 異なっ たり , 誤 って 認識さ れて しま うた めで あ る . 1 点目に「コミュニケーションを通して数学的思考をまとめた り,統 合し たりす る 」とあ るが ,これ は Standard がコミュニケ ーショ ンに 我が 国の 問題解 決学 習で 言わ れる, 練り 上げ のよ うな ものを 付与 しよ うと してい るた めで ある .しか しな がら ,実 際に は文化 的な 側面 から 十分に その 機 能 が果 たされ てい ない のが 実情 であろ う.(cf.3.2.3-­C) 3.2.3-­B 具体例 問 . ある 長方形 が ありま す. 縦と横 の 辺の比 は 4:3 で,面積は 300 平方インチです.縦,横の長さはそれぞれ何インチでしょう. 活 動は 2 人 1 組で行なわれた. ■ Lee と Randy の発表 L:3 4 が 12. T:どうして 3 4 をしたの? R:辺の比が 4:3 だからです. L:次に 15 は 3 の 5 倍,20 も 4 の 5 倍.かけると 300 になる ので, 答え は縦 20 インチ.横 15 インチ. 発表を 終え た後に ク ラスか らは 様々な 質 問が出 され た. ・どう して 12 という数字を求めることができたのか. ・12 が解法にどう影響したのか.

参照

関連したドキュメント

このように,先行研究において日・中両母語話

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア

In [9], it was shown that under diffusive scaling, the random set of coalescing random walk paths with one walker starting from every point on the space-time lattice Z × Z converges

■使い方 以下の5つのパターンから、自施設で届け出る症例に適したものについて、電子届 出票作成の参考にしてください。

調査対象について図−5に示す考え方に基づき選定した結果、 実用炉則に定める記 録 に係る記録項目の数は延べ約 620 項目、 実用炉則に定める定期報告書

専用区画の有無 平面図、写真など 情報通信機器専用の有無 写真など.

にちなんでいる。夢の中で考えたことが続いていて、眠気がいつまでも続く。早朝に出かけ