街路樹の保育に関する研究Ⅰ
我が国街路樹保育の現状と問題点
辰 巳 修 三 Ⅰ.は じ め に 都市の線の主要部を占める街路樹の育成は現在の我が国諸都市が抱えている重要な問題の一つであるけ 肇者はかね てから当該街路樹の都市内部自然環境の浄化機構に及ぼす影響について主として自動車の排気ガス公賓に焦点を合わ せて研究をおこなっているが,今回これと相関達する街路樹の保育そのものにメスを加えるべく−・連の研究を計画し た.本報告は当該関係の手はじめとして,「我が国の街路樹の現状と問題点.について明らかにする目的をもってお こなったアンケ・−ト調査の内容をまとめたものである紙上を借りて御協力を賜わった全国309の都市当局,40建設 省国道関係工事事務所,ならびに31の都道府県庁当局に対して深甚の謝意を表する次第である… をお,本調査をまと めるにあたって,とくに殺虫剤の毒性の問題について本学応用昆虫学故松沢冤教授の御教示を仰いだ小 また本学造園 学研究室の土居律子,多田恭子氏はアンケート集計に対して絶大を助力をおしまれなかった.併せで謝意を表する次 第である. ⅠⅠ.調 査 方 法 都市部における祷路樹の健全な保育管理は街路樹,行政当局,市民,自然環境の四者の平均化された調和が良好に 保たれてこそ初めてをしとげられるであろう‖ すなわち線の建仝な永続的な確保は,立地条件に適合した樹種を相栽 することが第劇条件であり,これに引き続いて行政当局は適切で行き届いた保育管理をおこをわなければならない. さらに縁の恩恵に直接的に浴する市民は線に対する認識を深めるべきであるし,市民を含む都市の生物的あるいは物 理的自然環境は街路樹に対して適切をものでなければならをいのである.しかるに現実の我が国都市においては,街 路樹に対する認識は切実を問題をはらみをがらもなおあいまいである.そしてこのことが上述の四者の均衡と調和を 保たせずにいるのである、.このことを筆者は自然に接する線の環境に対する市民の違和感の関係で考えるのである. すなわち−・般的に「自然の線.なるものは無限に与えられ,これが容易に獲得できるものであるという考え方が支配 的である.しかし現実には「自然の線」は有限化しており,さらに都市内部ではこの「線.が容易に獲得できずにい るのである.換言するならば現在の都市軋 人間が潜在的に抱いている「線.に対する上述の意識を顕現化させるに はふさわしくない環境のもとにある… そしてこの環境が,市民が現実に有している切実な緑への渇望を,現実には逆 の結果を招来させることによって対応させるのであり,これが市民に違和感を与える結果にをるのである. 以上の点を考慮して−・速の研究を立案したが,今回は最初の研究として,まず街路樹と管理の点に焦点をしぼって 考え,そのうちでもとくに行政側からの問題点の探索に重点をおいた.すなわち,全国の全都市600余と,全都道府 県,全国国道関係管理事務所宛に下記の要領でアンケート調査を依頼したのである‖ アンケ1−トの対象を都市道,都 道府県道,国道の三系統に分けて実施したのは,現実の問題として管理系統の分立に起因する責任の所在の不明が考 えられたからであるい アンケ・一卜の内容は,1。植栽樹種と本数.2植栽樹種選定の基準.3植栽地と植栽樹硬の選定 4枯損の現状.5. 好走の問題.6薬剤散布の問題.7‖施肥の問題である。.をお本調査は昭和46年8月27日から10月31日までの間でおこ. をった. ⅠⅠⅠ.調査結果ならびに考察 回答された内容を示すと第1表の通りにをる.各項目についての結果を述べると以下のようである.香川大学農学部学術報告 第1表 調査対象都市(人口別)
止ノ 九 一国
四
国
中
中部いじ陸l近幾×鵠。1全国l北海道1東北l服
3藁 17 1 5 108 3 10 88 4 3 0 7 1 1 5 2 2 7 5 9 9 ︿︼U 4 3 3 1 1 2 1 9 4 1 1 5 1 1 2 1 2 3 2 2 1 3 1 3 2 1 1 1 1 1 1 5 9 0U ■4 2 1 1 l 1 4 3 6 2 1 1 1 15 23 20 18 30 29 40 9 50 7 100 4 100以上 6 ※ 3未満以下同様 a.植栽樹種 回答都市309のうち未植栽都市は87であった.この未植栽都市の大半は50,000人以下の小都市であった(第2表). 植栽都市の主要樹種と本数をらびに樹種ごとの百分比をあげると第3表の通りである.この表から明らかなようにプ ラタナス,イチョウ,シダレヤナギ,アカシア,ポプラ,シンジュ.,サクラは北海道から九州にかけて植栽され,市 道,県道,国道を含めた百分比はプラタナス:11.43%,イチョウ:1576%,シダレヤナギ:7い27%,ポプラ:475 %,アカシア:4.13%,サクラ:3.88%であった… この結果,プラタナス,イチョウ,シダレヤナギは全国的に−・般 的な植栽樹種であると云える.最近における傾向として云えることはプラたナスの減少でありイチョウの著しい増加 である‖ この原因には2つの要因があげられるようである.すなわち,一つはプラタナスがアメリカシロヒトリの被 蕃を受けヤすいということであり,いま一つはプラタナスの薬の毛によって付近住民にアレルギ・−性疾患者を生じさ せるということである.しかし病.虫書に対する抵抗性が強いということで推奨されつつあるイチョウは,この抵抗性 の故に落葉の分解を遅延させることになり,この種の影響による問題が生じている.決定的な問題点は落葉堆積にと もなう交通陣容であり,落葉の処理場の選択である.これらの問題点がクロ・−ズアップされつつある. 植栽樹種の地方的特色としては,北海道地区のナナカマド,ネグンドカエデ,イタヤカエデ,東北地方のユ・リノキ, 関東地方のケヤキ,トチノキ,関西以西のクス,四国地方,中国地方の南部,および九州地方のヤシ類,シ.ユロ類が あげられる..最近注目を浴びる植栽樹種としては鹿児島県の県木として指定されているカイコウズがあげられ,当該’ 樹種は我が国の暖帯,温帯域を中心に植栽範囲が拡大される傾向にあるい 第2表 街路樹未植栽都市の現状 よ1七′、5りう主ょ;
3万人以下i3万合芸人 5万人∼ 10万 100万人 100万人l 以上 票葦儒植謂開相葉贋薯儒枯葉儒者嘉穂苦慮苦l嘉椎葉 禁儒欝嘉穂禁贋勢嘉椎葉l芸鷲債権葉 北海道1 3東 北1 2 8
関 東1 1 11
中 部 1 8 近 畿 7 北 陸1 7中 国 2 1 6
四 国1 2九 州 4 1 12
2 7 6 4 1 1 2 1 8 5 1 18 7 2 2 1 7 12 6 1 4 5 5 4 7 1 1 2 1 00 1 3 ハO 1 2 5 7 2 3 4 1 1 2 2 4 1 3 1 b.植栽樹種選定の基準 前項でも述べたように街路樹が健全に保育管理されるには立地条件に適した樹種が植栽されなければをらをい.し かし現状の各都市の植栽状況を通覧するとき,この原則は必らずしも守られているものではない.そこでこの植栽樹の (q く> の く=〉 G)q〉 一句 ▼1 r・■ く=〉 く> ¢の.t のト.N Oト.の のu.一 寸ト.− の寸.1 ∽〇.N のN.N ∽の.銅 めト.寸 ト¢.¢ のの.m Ot.¢ の1.寸 tト.の トN.ト一誌.の の寸.コN1.Nl ¢ト.頂l¢の.りー ︵竣︶ ︵竣︶ 志郎一瑚樫
監 制
N¢.〇 Nの.〇 00の.1 のm.t mめ.〇 のト.〇 〇の.のN t〇.︻N 吋∞.の.等.の め寸.一昭 の〇.寸T O−.寸l の瓜.の め∽.か かの.N のの.め のN.票二道.NN 寸の.︻l Oト.の ∽〇.の 寸の.1一 皿の.¢ のト.N め寸.ト Nト.寸 l¢.m︷ lの.S− のN.の のN.〇t ト〇.ト のの.ト ︵硬︶ ︵竣︶宅 貞
寸○寸l ¢〇.め のの.m のの.〇 トの.のN ∽¢.の ¢¢.めl n】u〉ト・ 銅 r■ トー ト・ く=〉 ⊂〉 く=〉 L【つ の ト・・勺Il広 【■− の く.D くっ く二D く〉 0り.のt Oト.NN トり.T ∽1.の め1.の ∽の.望∵等.〇N lの.〇 の寸.〇 ∽¢.〇 ∽1.1 のの.の ∽ゆ.〇 〇〇.寸 ¢ト.N ¢〇.の l1.〇l の皿.1 ¢∞.1 の1.め ト¢.の トの.ゆ Nの.の の○ド のN.の 01.寸 m∽.の ︵竣︶ ︵竣︶ 囲 甘 寸.〇 寸.N tt N か1.∞のNの.ゆm のの.1寸¢め.Cl め寸.tt N¢.∽lト1.のN Nト.SN u1.tの 寸の.ののlN.寸S Nト.〇N∽寸.のN ∽〇.00Nトm.∽の の∽.のの m1.N∽ の〇.NNト¢.∽N 寸1.ト のの.の ¢の.めN のト.1N の〇.ト一寸〇.寸N の寸.∽Nの1.のN ︵竣︶ ︵竣︶ のの.嬰mの〇.の∽ のの.N IN.寸 ¢.ト の.寸l ∽m ゆゆ 喝健量副脚.︽量嘲哨撃 取 哨 り† h−下 剋ば寓唾小夜り心肺胡塔 墜盗り心観刊U 一 p
格 一 盛 期 掛埴Q恨噸閻蜜#せ 隠審轟せ罵凶習 のめ.¢一遍.ト ト寸.〇 ¢∞.〇 寸の.m Nt.∽ N寸.t のの.1 のり.ト ‖苫.11 1瓜.〇 ▲遥.〇 Nめ寸の めの.ト の〇.の トの.の N〇.N ¢の.N m¢.¢ ○寸.の S¢.m ∞∞.の N1.∽ Nの.ゆ の¢.の のN.寸 ︵竣︶ ︵竣︶敦 賀
.d.j⊃ O U て∼ ま ニ■ エー 偶の鯨 ︵竣︶ ︵竣︶ の〇.寸lの寸.のl の寸.の Nの.のl トの.のlのの.トl ○ト.〇l0〇.コ N¢.N寸○の.のの 寸の.の t¢.寸 Nの.NN ¢寸.Nm lN.〇のN寸.〇寸 トの.の トS.のl N〇.∽Nトの.Nの めS.の ▲岩.¢ のの.〇 ト爪.1寸N00.り¢ トの.〇l の1.のl Nめ.ト N1.寸 朋寸蛛 一 口 将エ︸忠明輔せり一登1 ︵堪惑︶ 翠間藤成 型渠禦ご芸芯議 三悪りふ駆肇 轟 堆 寸〇.トー ト1.の の¢.m Oの.N lト.寸 ∽N.の ∽の.1寸卜叩.〇l l〇.讐∵蒜.NN の寸.1寸l寸.Tの ト1.寸 ∞頂.め トN.∽Nの∽.〇l ∞の.コ○∽.寸l ∞m.¢l N1.のl lの.トl O∽.ゆl Nト.寸Nのの.tN のの.〇寸トの.NN 寸¢.ののめN.Nの ︵竣︶ ︵故︶ 柊翌 9 直 球 当東匝 裔 嫌 当虫匝 裔 課 ゆの.t のN.N 寸寸.の N1.〇l 認諾=粥 mの.一 皿の.1 寸り.1 トの.〇 のの.の ¢り.め のの.N NZ.C Nの.C ︵竣︶ て[1く =協 く ふ のト.1 N寸.N IN.t ¢〇.1 めの.の トC.S トの.t の〇.の めの.寸 ︵竣︶ ¢寸.t のの.の ○の.ト 朋ト.の ¢寸.寸 ¢∽.N ¢の.1 ¢寸.〇 の〇.〇 寸〇.寸のの寸.めの Nト.寸 Nの.折 り∽.1 ︵敏︶ 頂ト.め めN.の 罰則=訂 ︵竣︶購 ト ケ
巧+恥+ゝ ゝ 升㌣ミ憲ごふ K へ かh∵ハト二†札 恥︰H 屯︰小 工相 中 も
年′∼ヽ∵竹\八人 心K 毎ト 卜 恥 , 毎 セ m Lト ム 吼・ト ヘ≠ ≠l卜 頁 賓 十†\ケ‡ヽ 争パ路ト香川大学農学部学術報告 種選定の現行の基準を明らかにする目的のもとに街路樹としての機能面からの選定基準,さらに立地条件の側面から の選定基準として考えられる項目を挙げて各都市の状況を把握しようとした..その項目はイ.、美観,ロ… 公舎に強い, ハ.風に対する抵抗性,ニ、気象要因(温度),ホ..−・般に植栽されている,へト 県木,ト巾 その他である… 結果は 第4真に示す通りであるが,選定理由の第1位にあげられるものは糞観であって圧倒的に多く,以下公審に強い>−・ 般に植栽されている二>その他>風に対する抵抗性>気象要因(温度).>県木の順位を示した..その他の項目はさらに 市木>病虫審に対する抵抗性>土質に関係.>生長急が大,管理が容易>長寿に分けられる.いまこの両者を合して整 理すると自然環境の構成要因を原因とするもの28.3%(第4真のハ,ニ,a・b・dn e)それ以外が71.7%となり,自 然環境との関係,換言すれば立地条件を考慮した選定の仕方は低位であった。このことは街路樹に対して実用的な緑 陰効果をいしは自浄効果を求めること,および植栽管理上の基本原則を求めることよりも,なお美的要素としての−・ 面を根強く指向していることを明らかにするものである… C.植栽地と樹種選定の理由 植栽するにあたって植栽地と樹種について考慮している都市は103都市で植栽都市232の45%であった.そのうち樹 種を回答した例のみをまとめると第5真のようになる… この表からイチョウ,プラタナスは交通頻繁地に植栽されて いる例が多いがエ場周辺域から住居域に至る広範由の地区にも植栽されており,−・般的な植栽樹種であると云える. ポプラ,カイズカイブキ,キョウチクとりは工場周辺域にまたヤナ・ギ,ケヤキ,サクラ,アオギリ,クス等は住居域 商店域に植栽される傾向にあるということができる. 第5表 植栽地と樹種 樹 種
董 A I B I C J D I E I F
プ ラ タ ナ ス イ チ ョ ウ ニセアカシア ヤ ナ ギ ポ プ ラ カイズカイブキ キョウチクトウ ケ ヤ キ サ ク ラ ア オ ギ リ ク ス ユ リ ノ キ クリワンコウ エ ン ジ ュ 8 6 3 4 0 2 2 1 1 9 9 6 9 1 2 1 4 8 2 1 4 5 2 4 4 7 9 5 5 4 4 2 2 1 1 9 1 2 6 1 A:交通量の多い地域 B:エ場近接域 C:住 居 域 D:学校官庁域 E:商 店 域 F:都 心 域 2 2 2 4 2 2 1 1 ト ウ カ エ デ 1 ナンキンハゼ 1 d−.枯損の現状について 街路樹の成立環境がいわゆる自然環境とは異なった特異なものであることは論をまたないところであるい その特異 さはatmosphere(気圏),lithosphere(地圏),hydr’OSphere(水圏),biosphere(生物圏)の範囲でそれぞれ 如実に示される。すなわちatmosphoreにおいては排気ガス公書あるいは企業公書,さらには,市民生活の中で生産 される数々の汚染源による環境撹乱が予想され,1ithosphereにおいては都市内部建物のビル化,あるいは道路舗装 による土壌のアルカリ化,さらにはatmosphereにおけると同様を市民の営みの申で生産される汚染源による土壌破 壊が自然環境下土壌とは巽をった環境を形成させる.,hydrosphereもまた同様を形で環境破壊を現出させるが,街路 樹を直接的に枯損させるものとして都市内部のbiospher.e中でも市民を主体とする側からの問題は見逃すことのでき ない事実である.このことはとりも直さず市民自らの生酒環境を保護する役目をもつ街路樹への認識の甘さをあから さまにするものにほかならないが,街路樹枯損の現状から問題点を模索するとき当該関係による場合の例はきわめて 多い.小鴨ゆ車寧悪帥東
香川大学農学部学術報告 66 本調査においては以上の点から調査項目を次のように生理した.すなわちatmosphereを中心とするものとしl{:自 動車過密地域,工場域等を考え,lithosphere,hydrosphereを含むものとして自然枯死,biosphereにおける人間の 行為を対象にして人為的損傷あるいは車による事故の場合をとりあげた‖ これらの結果を整理すると第6真の通りで ある.この表から明らかなように損傷の主たる原因は車の事故による場合が圧倒的に多く,以下自然枯死>排気ガス 公審>台風書>人為蕃の順になる小被書を受ける樹種の順位は第6表に1∼7位で示したが当該順位はあらかじめ植 栽地が抵抗性を主体にして決定されるためにこのままの順位が安当な順位を示すものではないり 自然枯死の中には植栽後数年内の水不足その他の管理上の手ちがいによる場合も含まれているために街路樹の寿命 そのものを示すものではない.しかし植栽地環境の劣悪化が寿命を縮めていることは明らかな事実である.すなわち 表には記載されていをいがプラタナスの自然枯死の樹令は60−40年,これ以外に30年,20年,あるいは10年以内(10∼ 4年)のものも散見されるりサクラは60∼50年が多く,ついで30,20,15年のものもみられる−樹令の若い例として はポプラ・20年,アオギリ・20年,アカシア・30年,12∼10年,シンジ・ユ・・15年,イチョウ・25∼8年,ユリノキ10 年などである.. 人為書としては,枝の折損によるものが主なるものとして挙げられるu「その他」の項目についても人為書的なも のがあり,たとえばたき火による損傷,不注意な毒物の散布による損傷があげられる・これらの例を含めると人為的 な損傷者は無視できないものがある.病虫審については後述するがその主因と考えられるものにプラタナスを中心と して発生しているアメリカシロヒトリの吾があり特筆されをければならないル 水不足による例としてイチョウが第1位にあげられるがこの問題はこれからの重安課題の−−−−‖つと考えられる・先に も述べたようにイチョウは病虫割こ対する抵抗性が強く管理も容易なことから多数のものが採用されているのが現状 である.しかし実際には前述のように落葉時における問題点が指摘されており,またこの項によって明らかにされた ような水に対する要求度が高いということは管理面においても問題のあることを明らかにしたものである・土壌によ る損傷例は植込み枠の舗装道路による囲い込み,あるいは土壌そのもののアルカリ化が年々樹勢を弱めるものとして 問題を提起するものである. e.:勢定問題 暫定は街路樹の保育上重要な作業法の−・つと考え.られるが,最近における都市環境の悪化は暫定の手法についても 重大を影響を与えようとしている…すなわち樹形等の美観面の追求とともに実用的な緑陰効果,さらには防塵効果を 含む直接的を環境浄イヒに対する効果もまた考慮されなければならないということである‖ しかし問題は道路交通事情, さらには痛点書防除の点からの影響も考えられるために慎重にとり扱われなければならをい. 後述するように,現在街路樹で問題視されることは一腰的に強度の暫定が実施されているということである・この ためにせっかく保育された街路樹が枯死していく例も聞かれるし,さらに夏季にお車ては,緑陰効果の低下も指摘さ れている..強度の労定の一例として高松市の場合を例にとると,国道11号線の市布地プラタナスでは数枚薬を残すの みでほぼ100%近い労定がおこなわれているのである.ともあれ街路樹の労定は画一・的になされるべきものではない・ 労定法は儲路樹の実用的効果,機能的効果,さらには道路事情との関係において根本的に再検討される必要がある・ 街路樹の労定は必要不可欠のものとされるのが常識であるが,無勢定の例として宇部市が挙げられる・当該市当局 の基本姿勢軋 自然のままの生育形が樹木の美観をも構築するものであるということ,さらに実用的な街路樹の効果 として棄畳の増加と,それにともをう浮遊媒魔の除去,環境浄イヒ作用の側面を重要視する所にある・自然状態による 育成をその保育管理の基本方針としてしている一・例であるが,これからの暫定上の一つの方向性を示唆するものとし て百三目される. 調査は労定の回数と勢定強度,暫定の時期,労定の理由,および暫定人夫の問題の項目に分けておこなった・結果 は第7表,第8表にまとめて掲載した.第7表から明らかにされる点は90%以上の強度の暫定を実施している都市が 21都市(12%)を占めていることであり,70%以上の好走を合わせると全都市の34%強を占めていることが特筆される. 第8衰 勢定理由と暫定人夫 第7表 好走畳
歪琵l雲量lその他l戯
1。竺3。l4。竺6。
実 数 50 65 39 21実 数 113 82
17 155 48 百分比 29.6 37.1 22.3 12.0 百分比 53.3 38.7 8.0 76.4 23.6労定の時期は台風に備えて実施する場合が多く,暫定回数は9月前後と11月前後の2回の例が多い.この場合に樹種 によって異なり,例えばヤナギにみられるように3回の実施を試みる場合がある.しかし,最近の傾向として大都市 域においては暫定人夫の払底から充分な暫定管理がおこなわれていない実状がみられる.いずれにしても強度の暫定 を実施していることは後述のような街路樹の肥培管理の問題を併せ考慮するとき樹木生理上の立場からも重大な影響 を与えていることが予想できる. 暫定の理由についてみると美観維持に重点をおくものが過半数を占め,依然として都市の美観上の問題が暫定にお いても重要視されているようである。また暫定を実施する場合に技術上の熟練の度合が重要であるが,第8表から明 らかなように76%が暫定経験者で占められていることは樹木保育上の立場から考えて好ましい傾向と云え.る.しかし 今回の調査では明らかにし得なかったが,好走経験者の質的を問題は是非とも考慮きれなければならない点であるし, さらに注意しなければならないいとは高松市にみられるように庭園樹木関係の専業的人夫による勢定が実施されてい ることである.これは樹木の美観維持を考慮する意味が全面に押し出されていることによるものと考えられるが,本 来街路樹は庭園樹とは基本的にその性格を異にするものであるためにこのような実施技術上の問題については充分な 注意が払われなければなら凌いい 最近の傾向として街路樹の保育関係の業務を専門業者に委托して実施している都市 が多数認められるい しかし都市の緑の環境の維持と造成が要求せられ,またこの主旨に沿って抜本的に都市行政が検 討されようとしている今日,街路樹を含めて都市当局で保育管理されている樹木については都市の行政機構の中で有 機的に管理される必要がある小 すなわち専門的な技街着の養成こそが急務であり,場当り的な安易な保育管理を指向 すべきではをい f薬剤散布の問題 病虫審防除作業は都市内部白然環境の保全,市民の環境衛生上の面から考えても重要を作業法であるり 最近アメリ カシロヒトリによる虫書が閑束地方を中心にして問題視されているようであるが,単に当該害虫のみならず−・般に自 然環境下とは異なった劣悪な条件下で生育して樹勢が衰えている街路樹では病虫審発生の例がきわめて多い.樹勢の 衰弱の例については例えば排気ガスによっても光合成機能が相当低下している事実を筆者は明らかにしているし,実 際に高松市の場合に例をとって考えても,環境汚染による衰弱樹木と書虫被春木との相関度はきわめて高いようであ る小 第9表 薬剤散布の実状
やっている l やってい凌い I Diptrex I Malathion
実 数 122 78 39 百’ 分 比 76い4 23り6 25.2EPN】機 械 油l硫酸ニコチン】除
虫 菊 Smithion 4 3 2 2 2.6 1.9 1.3 1.3Ekation l Endrin l 枇 酸 鉛 I TEPP E Diazinon
2 2 2 1.3 1.3 1.3 石灰硫黄合剤lオルソ乳剤l ダラモキソン L DDVP I Dithane 1 1 1 8 1 0..7 0.7 0.7 5.2 0.7 この調査は防除の有無,防除剤の種類,患および施与回数についておこをった.この結果をまとめると第9真のよ うになる.回答数が少ないために確実なことは云えをいが防除剤の散布が76%の高率で実施されていることは注目さ れる.また,その防除剤の内容をみるとDiptrexを使用している場合が圧倒的に多く,以下Malathion>DDVP> Smithion>EPNとをった..国道関係においてもほほ同様な傾向をみせDiptrexの使用が50%を占め以下Malathion (9い5%),DDVP(4、5%)の順位となった..この場合に散布実施事業所数は55%の過半数を占めたり いまこの防除剤の毒
68 香川大学農学部学術報告 性について香川大学故松沢寛教授によって分類してもらった結果を示すと以下のようである.すをわち1.毒性の弱い もの:Diptrex,DDVP,2.毒性のヤや強いもの:Diazinon,Malathion,Smithion,3.毒性の強いもの:Parathion, EPN,TEPP,Endrinである.この結果を参考にして我が国都市部で使用されている防除剤を検討すると問題点とし て指摘できることは毒性の垂わめて強いEndrinが使用・されている都市が見られることであり,さらにMalathion, Smithion等の薬剤も相当盈使用されているという事実である.さらに批酸鉛が使用されている都市が見られること は驚異である.しかし最近の公巷間題にからんでとくに環境衛生上の立場から防除剤に留意している都市も認められ る.中でも除虫菊を重点的に使用している潰都市の例は注目されるものであろう. 街路樹と病虫書,さらにこれの防除はきりはなせない問題である1.前述したように植栽地の特殊環境のために樹勢 は褒弱し,このために病虫審の危険率が高まるのは必至である.そして都市が常に外来書.虫の脅威にさらされている ことをも考えるとき,病虫審の防除は彷路樹の保育管理の基本と考えられなければならをい.しかし現実に,防除剤 をめぐって上述のような問趨点のあることを考えるとき防除法そのものについての再検討は必要であるし,さらに抜 本的には,別途に肥培管理の面で改善策を構じ,樹勢そのものの回復を図るべ垂であろう. g.肥培管理上の関越 肥培,すなわち施肥は,蔽接的に土壌条件を改善し,街路樹の樹勢を増大させる点において重要な意義がある.調 査の結果は第10表にまとめた通りであるが,こ.の表からも明らかをように施肥の現状はきわめて貧弱なものがある. すをわち施肥していない都市は74%の過半数を占めていることである.ここにおいてもまた紡路樹そのものに対する 認識の低さが問題にをる..施肥の内容は種類についてみると化成肥料が過半数を占めているが,これは最近における 都市内部土壌の感化傾向を考慮するとき余りにも画一・的,場当り的な対処法であると云える.、これの改善はもちろん 管理費とめ関係があるため閏窺は残るが,有機質肥料の施与,さらには物理的を改良法も検討することによって抜本 的を改善策が横じられなければをらない. 第10表 施肥の実状 ヤっている 】やっていをいl抽 カ ス】ケイフン1化 成】有機質 44 126 11 7 31 2 25。9 74.1 21.6 13.7 60.8 3.9 ⅠⅤ.お わ り に 以上各項目について,現在の各都市が抱えている問題点を明らかにしたが,この間題点の解決について結論的に云 えることは,街路樹の重要性を市民,ならびに当局側の双方で再認識すべきであるということである.自然環境に日 常的に親しむ我々は都市内部の自然環境についてもこれを無限のものとして認識しがちである.この認識が街路樹の 保育管理を廻っても影響されると考え.られるのである.さらにまた日常的に親しむ自然環境の諸現象とこれの保全に ついて軋 素人の知識でも充分対応できるだけのものがある.このために当局側の対処法について無原則的を批判が なされ,現実の保育管理を混乱におとし入れる結果になる.しかしこれは複雑を自然環境系の動きを的確に把捉して いるものではない.ここにおいて当局側においては専門的な技術者の養成が急務とをる.また一方において素人の知 識に充分対処し,説得力のある保育管理を押し進めるためには都市内部自然環境の悪化と,これの改善に寄与する線 の効用,そしてこの線の保全を廻る技術上の問題点等についは科学的をデータt−を集めておく必要がある小 この辺に 今後の課題が残されていよう.
STUDIESONTHEMANAGEMENTTECHNIQUESOFTHESTREETTREES
I.ThePresentSituationoftheStreetTreeManagementinJapan
ShuzoTATSUMI SⅦmma・ryThepresentsittlationofthestreettreemanagementinJapanwasinvestigatedbytheopinion−
airemethod.Theanswerswereobtained丘omauthoritiesof309cities,31prefbcturesand4O
controlnationalr・OadofBces.Theresultsobtainedwereasfo1lows.1・Eachroadservicesiswithintheprovinceofcity,PrefヒctureornationalroadofBce・There−
fore,themanagementandbreedingOfthestreettreeshavenotbeenperformedfiOmanall・・rOund
Standpointu
2.MaintreespeciesplantedincitiesfiOmHokkaidotoKyusyuwereplane−tree(Platanus
orienlali3,11A3%),ginkgo(Ginkgobiloba,15・76%),willow(Sali方ba4ylonica,7・27%),POPlaraspen
(P車ulu∫痩γ・aitaliana,4.75%),andlocust(RobiniaP∼eudb−aCaCia,4…13%)u
3.Recently,theplane−・treeShaveatendencytodecrease,WhiletheginkgOincrease・The
formerhastwodisadvantages,namely)ther・eSistancestoinsectpestsanddiseases)andtheproblem
ofenvironmentsanitaonincitizenlife.The plane−treeissensitive toinsectpest,andsome
PeOPle havethea11er・glCSymptOmSbyleafhairsoftheplane−tr・ee・
4、.Inmostcities(72%ofcities),thestr・eettreeSpeCieswereselectedonaccountofthebeau−
tiesoftreeforms.However,itwasfoundinaf邑wcitiesthatthespeciesweredecidedforthe
resistancetoairpollution,insectpests,diseases,meteOrOlogicalenvironment,andfortheecologi・・
calcharacteristics.