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ナツダイダイ樹の発育生理に関する研究 III 成木の肥料要素吸収量の季節的変化-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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ナツダイダイ樹の発育生理に関する研究 Ⅱ 成木の肥料要素吸収畳の季節的変化

井 上

宏 Ⅰ は し が き ナツダイダイ樹の成木について,その肥料要素吸収の概略を知ろうとして,崩芽期より越冬後の果実成熟期にかけ て新梢の伸長ならびに果実肥大にともなう肥料5要素吸収盈の季節的変化を調査した 本実験を行なうにあたり,実験材料の提供を受けた浜本千十郎氏に謝意を表する。 なお,本報告の−・部は園芸学会昭和40年皮中四国支部大会で発表した Ⅱ 実験材料および方法 本実験は1962年4月から1963年6月にわたり,愛媛県八幡浜市向灘の浜本千十郎氏園の17年生カラタチ台ナツダイ ダイ樹(普通席)について行なった′′本国は肥沃な結晶片岩土壌で,南面の傾斜地に位置していた。 肥料要素の吸収鼠の調査は,温州ミカンを用いて行なった佐藤ら(6)小の方法にしたがった.すなわち,新梢と果実 の一・部を1か月毎に採取して,その中に含まれている肥料要素含有鼠を求め,樹上着生の新梢数および果実数から各 時期の1樹あたりの含有盈を静出した.1か月前の含有盈との差をもって,1か月間の吸収恩とする方法である. まず,樹勢中庸で結果が良好な10樹を選び,その内の1樹は標準樹とし,毎月新梢の伸長盈ならびに果実の肥大盈 をラベルした同一個体について測定し,肥料費累の時期別吸収盈の算棚の対象とした・他の9樹からは新柄および果 実を採取し,肥料要素の分析に供した. 5月1日より1か月毎に標準樹について着果枝と無着果枝の伸長鼠校数および着果数,果実の横径および縦径を測 定した.ここでいう鰯着果枝とは,花を着けないで廟発した春梢と,落花(果)したり,摘果して花や果実を着生しな くなった春梢を意味する新梢の伸長は′7月1日までに,生理的落果(早期)は8月1日までに停止したので,8月 1日以後は,校数および果実数を同一・と見なして調査しなかった 無着果枝は10cm以下,、11∼20cm,21cm以上の3階級に,着果枝は5cm以下と6cm以上の2階級に分け,各階級 からそれぞれ5∼10本を採取し,其と枝に分けて生体重を測定し,700Cの通風乾燥器で恒屈常なるまで乾燥して,乾 物重を秤盈した乾燥粉末として,各階級別に化学分析して求めた安来の含有率をそれぞれの乾物重に乗じて,N, P205, K20,CaOおよびMgOの含有監を算出した 果英は,標準樹で測定した果実と横径および縦径のはぼ等しい10∼15果を1か月毎に採取した∩それらは果皮,果 肉および種子に分けて,それぞれの生体重を測定し,その一部をとって枝葉と同様に乾燥し,乾物重を秤思し,粉末 として上記5要素の分析に供した.果皮,果肉および種子の要菜の含有盈を合計して果実の含有盈を穿出したぃ 先に発表した第2報(2〉では,果実内肥料要素の含有巌をN,P,K,CaおよびMgで表現したが,凍論文の内容 は施肥と密接な関係にあるので,酸化物の表示にかえた なお,本供試樹の施肥盈は年間1樹あたりN700g,P205550g,K20600gであり,他に苦土石灰を施用した. 肥料要素の分析方法は ̄F言己のとおりである. N: ガンニング氏変法(5) p205:モリブデン再試薬を用いる光電管比色計法(8) K20:原子吸光分光分析法(7) CaO: 〝 MgO: 〝

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10 香川大学農学部学術報告 Ⅱ 実 験 結 果 1.新梢数と果実数の季節的変化 5月1日から1か月毎に調査した無着果枝,着果枝別の枚数,伸長晶ならびに果実数は第1表のとおりである. 欝1表 新柄伸長鼠および果実数 5月1日の枚数は開花前であり,曹もどく小さかったので全部を無着果枝としてまとめた.6月1日から8月1日に わたる着果枝の校数および伸長盈の減少は,落果または摘果により,着果枝を無着果枝叱変更したためである‖春梢 の伸長盈は7月1日以後は増加せヂ,果実数は8月1日.以後は減少しなかったので,以後は同一・とみなした.夏梢お よび秋梢が少数発生したが,すべて摘除したい摘果は7月上旬より2∼3回にわけて行ない,7月下旬に切り上げて 1果あたりの英数を約80放とした.なお,直花果はすべて摘除し,さらに結果枝英数が10枚以上,2枚以下のものは 摘果の対象とした… 8月1日現在での着果数は250果となった.これらの果実は12月末まで,仝果が樹上に着生して いたが,豊年(1963)1月下旬から4月上旬にかけて35果が冬季落果したい ただし,以下述べる肥料要素吸収盈の昇

出上困難をきたすので,それらの果実がすべて着生し,6月1日の収穫時まで樹上にあって肥大したと見なしたさ

らに,4月(1963年)から再び新梢が薪発し,伸長してきたが,これらも,一応無視して,肥料要素吸収曳から除外 し,1962年春に発芽または開花結実した枝や果実の1年間の要素吸収の動きをもって成木の肥料費某吸収鼠の季節的 変化を論じた∩ なお,標準樹の収盈を,10ア・−ルあたり50本植えに換辞すると,4,775kgであったけ 2.新梢および果実の生体乱乾物蛋増加 盈の季節的変化 新梢および果実の生体盈増加鼠の季節的変 化は第1図のように二つの山を示し,新梢の 生長は5∼6月に,果実の生長は8∼11月に 主として行なわれた1とくに増加のいちじる しかったのは,前者でほ5月,後者では8月 であった.新梢の発育は8月以降ははとんど 行なわれず,無着果枝重は冬季は負の価を示 した.2月になって幾分増加を示した、果実 でも12月から2月までは,その重畳は増加せ ず,むしろ負の価を示したが,3月以降6月 の収穫期までいちじるしく増加した. 一方,乾物盃増加量は欝2図のとおりで, 新梢では無着果枝垂が6月に最高を示した が,その時期には着果枝重はほとんど増加せ ず,7月には負の最低値を示した‖ この負の 価は,落果や摘果により着果枝を無著枝に切 りかえたためみられたものであるい 果実で は,生体盃と同じように,8月が最高で,9, kg20 0 生 体.弧.摘γ 佃附 鼻 節1図 生体垂の時期別増加遥(1樹あたり)

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10月とかなりの増加を示したい着果枝,無着果枝壷とも8月以降はほとんど増減せず,翌年の4月になって無着果枝

の増加盈が負となった.果実重は1月と2月 ははとんど増加しなかったが,生体重でみら れたような負の佃は示さなかりた‖ 3月.以降 の第2次肥大期(1)に入って,いちじるしく増 加して,収穫期にいた・つた 31.新梢および果実内の肥料要累含有率の 季節的変化 葉,枝および果実内のN,P205,K20, CaOおよびMgOの含有率は第3図のとお りである.各要素とも−・般に葉で含有率が高 く,枝で低かった. N,P205およびK20の含有率はいずれ も生育の初期に高く,季節がすすむにしたが って低下していく傾向にあった.また,着果 枝が無着果枝よりも常に含有率が低かったu 果実ではNとP205が枝の含有率とはぼ同 程度の価を示したが,K20では,某,枝に くらべて常にいちじるしく高い価を示したり 帯2次肥大期には,含有率の増加は果実以外 はほとんど認められなかった. CaOとMgOの含有率は生育初期にいず れも低く,生育中期にほぼ最高を示し,第2 次肥大期に再び増大した.2要素とも着果枝 で無着果枝よりも含有率高く,前記3要素と 逆の傾向を示した.果実の含有率はCaOで は粟や枝のいずれよりもいちじるしく低く, MgOでは着果枝の枝の含有率とほぼ同じ価 を示して変化した. 4.肥料費累吸収盈の季節的変化 1樹あたりの着果枝の枝美,無着果枝の枝 葉および果実による肥料5要潔の1か月間の 吸収畳ならびにそれらの合計盈(金星)の季 節的変化を図示すると,第4∼8図のとおり である. (i)N 仝藍では年内の5月と8月に二つの山があ り(第4区Ⅰ),この山は生体重や乾物重の増 加の山と−・致した第1の山ほ無着果枝の吸 収の山と一・致したが,第2の山(8月)は果 実の吸収の山(9月)より約1か月早く,無 着果枝の吸収と果実の吸収がはぼ同監行なわ れたぃ 着果枝では6∼7月に吸収が負の価を 示し,果実でも7月に吸収昆の減少をみたが, これは早期の生理的落果や摘果による果実数 乾 物 盃 増 加 盈 13 22 33 41429月・日 ∼ l ‡ ∼ i 22 33 41429 61 2 3 、︵ ウ︼■⊥.一−一 1 印叩 1 2 1L、︵ウ︼ O 1 3、︵ 9 1 1▲ O ∵ q.1− 9..J l l t一′ 8、︵q⋮ ︻∴、︵8 ・い−し ︰ lつーくハ0 1 ∼5 節2図 乾物盈の時期別増加鼠(1樹あたり) %4 3 2

2 0%3 2 1 0%3 2

1 0%6 4 ハU <U ▲け 0%8 6 4 2 0 α ∧U O nY

5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6月

第3図 新梢および果実の肥料要素含有率の季節的変化(対乾物%)

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香川大学農学部学術報告 12 の減少ならびに果実を央なった着果枝を無着 果枝にきりかえたことによるものである‖ こ のことは他の要累でも同様であった..果実の 肥大停止期の12月から3月にかけて仝盈は負 の価を示したが,これはこの時期の果実の負 の吸収によるもので,着果枝,無着果枝とも 増減はなかった1節2次肥大期に入ると,果 実内の吸収鼠はいちじるしく増加したが,着 果枝では変らず,無着果枝では逆に負の吸収 昆を示した. 全期間(1962年萌芽期∼1963年6月)にわ たる吸収畳は416gで,果実の吸収盈はその62 %であった小 (ii)P205 金星でみると,年内の5月と11月にほぼ同 じ高さの二つの山があり(第5図),解1の 山では果実と着果枝,無着果枝の3者の吸収 が第2の山では果実の吸収が主であり,無着 果枝の吸収もかなりみられた.冬季には2月 に吸収の山が再びあらわれ,4月には負の価 を示した収穫直前の5月には果実の吸収が いちじるしくなった‖ 着果枝では6月以後の 吸収ははとんどみられず,無着果枝では第2 次肥大期に吸収が負の価を示したり 全期間にわたる吸収毘は87gで,果実がそ の80%を吸収した (iii)K20 仝藍には,年内に5月,8月および11月の 三つの山があり(第6図),最初の山は着果枝 と無着果彼の吸収がほとんどであり,罪2, 節3の山は果実の吸収による山であった.着 果枝では6月には吸収盈ほ負を示し,8月以 後ははとんど吸収がみられなかったい 4月か ら6月まで多盈の吸収藍を示した無着果枝も 8月以後は次年の6月まで常に負の吸収を示 した.果実の吸収盈は肥大停止期にはほとん どみられなかったが,収穫眉前の5月にはい ちじるしく,約100gを示したぃ 全期間にわたる吸収星は390gでその91%を 果実が吸収し,他の要射こくらべ果実にもっ とも多く吸収されたい (iv)CaO 仝盈には,年内に5∼6月と9∼10月の二 つの吸収の山があった(筋7図)… 二つの山と も額着果枝の吸収鼻が,大きな比蚤を占めて 1∫】舅◆▲

51617181ウ193011112213 22 3:il1429

J ? J ? ? ? ∼ ∼ i ? ∼ i J ? 5161 フ1日1919ニう011112213 22 33 41429 61 期 闘 第4図 Nの時期別吸収鼠(1樹あたり) J卜l; 萌芽 5161718191乳3011112213 22 33 41429J】l】 ∼ J ‡ ? i ? ( ! ∼ i ∼ J、i J 51617181919.3011.112.213 22 33 4,14.29 61 期 一昔月 第5図 P205の時期別吸収鼠り樹あたり) <U 0 ′U nO 吸 0 4 且 m肌 20 l眉‥ 51(5171Hl!)1=01111221:i22 3−3 づ1429甘口

く i i J i?‡?! ∼ (J ∼ !

516。17。1819193011112.213 22 3.3 4.14,29 61 メモ田 口8 算6図 K20の時期別吸収鼠(1樹あたり)

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おり,次いで果実による吸収鼠が大であっ た着果枝の吸収盈ほ7月には負であった が,8月以後はほとんど吸収を示さなかった 前述のようにCaOは無着果枝でもっとも変 化が多く,11∼12月にはいちじるしい負の吸 吸 40 収量を示したぃ 次年の4∼5月には金星が増 大したが,果実および無着果枝による吸収の 収 ためであった 金期間にわたる吸収還はち61gで,果実はそ 兄 の38%を吸収したにすぎなかった (Ⅴ)MgO 仝塩でみると,5月に最高となり,それ以 後は次第に減少し,12∼1月にはほとんど吸 収を示さなかウたが,節2次肥大期に向って 再び増大した(第8図)この傾向は無着果 枝にも認められた.着果枝では5月には正の 吸収を示したが,6∼7月は負で,8月以降 はほとんど吸収はみられなかった果実は新 梢にくらべ吸収崖が常に少なかったが,負の 価を示すことばなかった 金期間にわたる吸収鼠は84gで,その39% が果実に吸収された. 13 22 33 41429jj日 ! † i ! i 22 33 41429 61 2 3 ウん、︵l 1 2 、︵ Lへ乙 O 1 3..︵ 9 1 10 りLl∴、﹂ 9 qU∼q︶ ︻/ ︰h、︵ 叫/ 5∼札 付オ 1 ⋮洞 5 親 1㍑j 第7図 CaOの時期別吸収還(1樹あたり) Ⅳ 考 察 佐藤ら(6)は成木の温州ミカンの新梢およ び果実を時期別に採取して,分析し,N, P205,K20の各月の吸収鼠を算出した.成 木について−,その吸収鼠を時期別に算出する 場合,同様な樹勢,結果鼠の似た木を選び得 2 3 ワ︼′.1▲ 1 2 、︵ 1ワ︺ O l ‖り 3、︷ ‖ 〓〓 1 9 1 −1 0 9∼3 り、 ︵む..︵q︶ 邦 7∼a い・、,・ ︹J、︵′D ⋮牙 卜”、−5 13 22 33 41429H□ J ! J i 卜 22 33 41429 6′1 たとしても,毎月解体調査して,正確な吸収 節8図 MgOの時期別吸収量 鼻を求めることははとんど不可能である小 佐藤らが行なったように,地上部の新成部のほとんどを占める新梢と果実 について,肥料の吸収状態を追究し,樹体全体の肥料の吸収還の大略を推定する以外に方法はない.佐藤らの成騎を みると,温州ミカンではNは6月に最高の吸収を示し,9月に第2の山を形成した、P20$では5月が最高となり, その後3成分中最も遅くまでかなりの吸収を示したリ K20では6月が最高となり,果実の肥大期にもかなりの吸収 を示した 大垣ら(4)は佐藤らの力法により,温州ミカンについて三つの結果型,すなわち成り年樹,連年結果樹および不成 り年樹の3要素吸収鼻を比較したところ,Nの吸収劉ま不成り年樹では6月に最高の山が,成り年樹では着果の影替 が大きく,8月に吸収の山が,連年結果樹では,全体として5∼8月に吸収の山があり,8月の山が最大であつた.. P205の吸収晶は不成り年樹では5∼6月,8月および10月の3つの山があり,成り年樹は果実による吸収が支配的 で8月と10月に山がみられたK20の吸収法は着果長の多少にいちじるしく影響され成り年樹では8月に最大の山が, 不成り年樹では6月に山がみられた 筆名のナツゲイダイでの本末験の結果をみると,N,P205およびK20の3要素はいずれも5月に吸収の最大の山 があり,新梢の伸長期に3要素の吸収のいちじるしいことを示した.−・方,鰐2の山は8∼11月にみられたが,これ は果実の吸収に支配されるものである 温州ミカンでの2つの実験成於にかなり似ているが,さらに厳密にみれば大 垣ら(4)の不成り年樹の様相に酷似しているようであるこのことは,おそらく1果あたりの葉数を確保しなければ

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14 香川大学農学部学術報告 ならないために,英数が果実数にくらべて温州ミカンより非常に多くなり(1果あたり約80枚),あたかも温州ミカ ンで言えば不成り年樹の状態を呈したからではないかと思われる. ナツダイダイの特長である果実の越冬と肥料要素吸収の関係をみると,5要素のいずれもその吸収盈が翌年の4月 または5月に増加した.これはそのほとんどが果実の越冬後の2次肥大にともなう果実の吸収盈の増加で,この時期 の枝某(前年生枝葉となる)内の吸収盈はほとんど変らないか,負の吸収畳を示した、.本実験の新梢および果実の吸 収盈の合計盈(全盛)にしばしば負の価がみられたが,11月から2月の問の負の吸収は樹体の他の部分への要素の移 行を示すものであり,4月にみられるニ,三の要素の負の吸収は新しく筋発する春梢への要素の移行を示すものであ る.11,12月のCaOのいちじるしい負の吸収は佐藤ら(8)の温州ミカン1年生苗木の時期別養分吸収恩の調査でも認 められ,1りすの新梢申でほ負の吸収を示したCaOが,同時期の幹や根幹では逆に吸収監の増加を示した.なお,4 月になると無着果枝から当然,新梢が再び新発して−くるが,この中にも吸収鼠が見込まれるため,樹体としての春先 の肥料吸収亀は前年生の果実が着生している場合,とくにいちじるしいものと思われる、したがって,ノ4月以降なお 樹上に前年生の果実を着生させることほ,樹体内の貯蔵養分まで消費し,かなりの負担になるのではないかと考える. 聾者(1)は先に,西南暖地のナツダイダイ果実の収穫掛こついて果汁の品質の悪化や成熟期にみられる果実の生理願 書防止の観点より,3月下旬ないし4月下旬が適期であろうとしたが,肥料要凛の果実による奪取の点からしても, やほりこの時期が適当のようである…若し5∼6月ごろまで樹上におくのであれば,木の負担にならない程皮に一都 の果実にするか,または施肥して樹体内の肥料の欠乏を補なうようにしなければならないu V 摘 要 1・愛媛県八幡浜市において17年生のカラタチ台ナツダイダイ樹(普通種)を供試し,新梢および果実の発育にと もなう,1樹あたりのN,P205,K20,CaOおよびMgOの1か月間の吸収恩の季節的変化を,1962年4月から翌 年の6月にわたって調査した小 2・・供試樹の時期別生体雷増加鼻,乾物重増加藍とも年内の5月と8月に増加の山があった 越冬後の4∼5月に は果実重がいちじるしく増大した 3・Nでは年内の5月と8月に二つの吸収の山があり,とくに5月の山が大きかった冬季の吸収はほとんどみら れず,越冬後の4∼5月に再び増大した,

4・P205では年内の5月と11月にほぼ同じ高さの吸収の山があり,越冬後の5月には再び吸収盈は増大した.

5・K20では年内の5凡8月および11月の三つの吸収の山があり,5月の山が最高であった,筋1の山ほ新梢の 吸収に,欝2,欝3の山は果実の吸収に支配された.越冬後は5月に果実内の吸収盈がいちじるしく増加した. 6・CaOでは年内の5∼6月と9∼10月の二つの吸収の山があつた他の安男と異なり,これらの山は果実より も新梢の吸収盈に強く支配された越冬後は,果実,新梢とも吸収藍が増加したい 7。MgOでは年内の5月に最高となり,その後次第に減少し,越冬後再びわずかに増大した1 8.萌芽期より翌年の果実の成熟期(6月)にわたる14か月の1樹あたりの吸収監はN416g,P2058′7g,K20 390g,CaO361g,MgO8勾であり,それらの内果実申の吸収盈の割合は順次62,80,91,38および39%であった. 献 8−18(1966) (5)佐藤公一・:作物試験法,340−351,凍京,虚光技術 協会(1963). (6)佐藤公一・,石原正義,栗原昭夫:農技研報告E‘, 161−198(1958) (7)武内次夫,鈴木正巳:原子吸光分光分析法,105− 118,東京,南江堂(1964) 文 (1)井上 宏:香川大学農学部紀要,第23号,1−59 (1967). (2)井上 宏,山本裕昭:香川大学農学部学術報告,19 (2),122−129(1968). (8)小島 慾:植物栄養学実験,24−27,釆京,朝倉苔 店(1960) (4)大垣智昭,藤田蒐治,伊東秀夫:国学雑,35(1),

(7)

PhysiologicalstudiesonthegrowthofNatsudaidaitrees(CitrusnatsudbidbiHAYATA) ⅠⅠⅠ.Seasonalabsorptionofnutrientelementsinshootsand加itspermaturetree HiIOSbiINOUE

Summary

l・SeasonalabsorptionofN,P205,K20,CaOandMgOwasdeterminedinamatureNatsudaidaitree企om

Springaushtofruitmaturityfbr14months

2・Seasonalchangesoftheamountsofgrowthpermonthasdryweightincurrentshootsandfi・uitspertree ShowedthemaximuminMay,aperiodofrapidgrowthofshoots,andhadthesucccedinghighpeakinAugust,a Period ofrapidgrowth offiuits,Afterthedepressionof鮎uitgrowthinseverewinter,fruitsdeveloped agaln

ShowingthesecondarygrowthinnextsprIing.hthisperiod,dryweightof允uitsmarkedlyincreased>butthatof Shootsdidnotincrease. 3・TheamOuntSOfN,P205,K20,CaOandMgOabsorbedpermonthinshootsandft}uitsonatreewerethe g(・¢ateStinMay,andwerethesecondinAugusttoNovember.Andthetotalamountsoftheseelementsabsorbed inshootsandfIuitsduringapeziodof14monthswere416,87,390,361and84grams,reSpeCtively.Theproportions Oftheamountsofeachelementabsorbedinft・uitstothetotalwereO.62,0.80,0.91,0,38andO.39,reSpeCtively・

AbsorptionofnutrientelementsinaperiodofthesecondaryfruitgrowthincreasedmaIkedlyinfruits,butnotin

shoots (1968年6月10受理)

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3 学位の授与に関する事項 4 教育及び研究に関する事項 5 学部学科課程に関する事項 6 学生の入学及び卒業に関する事項 7