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低栄養細菌の生産するグルコシダーゼ,ガラクトシダーゼおよびヘキソキナーゼ-香川大学学術情報リポジトリ

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低栄養細菌の生産するグルコシダーゼ,ガラクトシダーゼ

およびヘキソキナーゼ

佐藤優行,篠田 究,二宮泰教,中億健二,三村佳代子,木村義雄

GLUCOSIDASES,GALACTOSIDASES,ANDHEXOKINASE

PRODUCEDBYOLIGOTROPHICBACTERIA

MasayukiSATO,KiwamuSHINODA,YasuyukiNINOM】YA,KeIljiCHUJO,KayokoMIMURA,

and YoshioKIMURA

About60%ofoligotrophic bacteriaisolated丘om soilassimi1ated maltose,Cellobiose, melibiose,andlactose・Km values of α−,β−glucosidases,α−,β−galactosidases,and hexokinaseinthecell丘■eeeXtraCtOftheseoligotrophicbacter−iawereestimatedbyusingthe eachp−nitrDphenylglycosides,D−glucose and ATP asthe substrates.These Km values

SuggeStedthattheseenzymesofoligotrophicbacteriahadnotnecessari1yhigherafBnityfbr

帥esubstIateSthanthoseofeutrophicbacteriahad.

a−Glucosidase丘Oman01igotIOphic bacteria,Y−21,WaSpa‡tiallypur摘edbyammo− niumsulfatesalting−Out,DE−52ionexchangechromatography,andSephadexG−150gel

chromatography.The enzyme was most active at pH6.5,nOt Stable at35℃,and

inhibited by Cu,Ag,andp−ChlorIOmereuribenzoic acid.Km values ofthe enzyme fbr p−nitrophenylα−D−glucopyranoside and maltose were O.12mM and12.4mM,reSpeC−

tively.

Key words:01igotrophic bacteria,glucosidase,galactosidase,hexokinase,Km values.

緒 自然界は微生物にとって決して栄養豊富な環境ではない∴−・般に海洋をはじめ水圏環境はとくに 栄養濃度が低い.微生物の宝庫といわれる土壌でさえ,栄養源はプアーである.ある推定によれば, 土壌中の利用可能な炭素源の供給量は土壌細菌が1年間に平均3,4回世代交代できる程度だとい う(1).したがっで土壌細菌は飢敗に近い低栄養下で,分裂する機会がほとんどないまま栄養が来る までひたすら待っているのが実状と思われる. 大腸菌などは栄養飢餓時にストレスタンパクを合成するなどして堪え忍ぶ戦略を取ることが知ら れている(2).一方大腸菌などが飢餓と認識するような低栄養環境でも,わずかな栄養物を利用して 細々と増殖する能力を獲得した微生物も多い.それらを一・般に低栄養微生物と呼んでいる.とはい え生理生化学的に明確な実体が解明されているわけでなく,ある基準以下の栄養濃度で生育可能な 従属栄養微生物を指しているにすぎない.しかもさまざまな基準が提唱されている(34). われわれはSuwaeial.(5)にもとづいて,NB培地の1万分のl希釈液(有機炭素濃度が1ppm以下) でも生育可能な従属栄養細菌を土壌から分離し,低栄養細菌とするとともに,これらがどのような機 構により低濃度栄養物質を吸収し資化するのか,そ・の−・端を解明する目的で実験を行ってきた(67). しかし,まだ低栄養下での生育を可能にする根拠となる明確な特質を見いだすに至っていない.

(2)

そこで本実験では,低栄養細菌が糖質を消化する時に働く酵素が,きわめて低い濃度の基質にも

作用できるといった特質を持っているのではないかと考え,そうした性質を明らかにすることを目

指した.消化酵素としてα−,β−グルコシターゼとα−,β−ガラクトシダーゼおよびヘキソキ

ナーゼの5つを取り上げ,そ・れらの租酵素あるいは部分精製酵素について,とくに基質に対する

Km備に注目して,性質を調べた. 実験材料および方法

1.使用菌株および培養

香川県,岡山県,徳島県内の各種土壌から分離された低栄養細菌48株(6)および既知標準菌株(菌

名は各表中に示した)を使用した.分離菌はすべて通常の栄養培地では生育できない,いわゆる偏

性低栄養細菌である.分離菌のうちY26とZO6はAeromonas sp.,Y95はChYOmObacterium sp.‘7)であ

るが,その他は未同定である. 澗培坤(1%ポリペプトン,1%肉エキス,0・5%NaCl)の10倍から100倍希釈した液を基本と し,これに各酵素の基質となる糖質(マルトース,セロビオ・−ス,メリビオース,ラグトー・ス,グ

ルコ一ス)をそ・れぞれに0.2%ずつ添加したものをおもな培地とした.培養は2から6日間静置あ

るいは振造により行った.菌の生育度は培養液の600nmにおける吸光度で表した.

2.酵素活性の測定

菌体を遠心分離により集め,両糖加水分解酵素の場合は10mMリン酸緩衝液(pH7.0)で,ヘキ

ソキナーゼの場合は100mM Hepes緩衝液(pH7.0)でそれぞれ2回洗浄・Lた.各媛衝液に懸濁した

洗浄・菌体を超音波破砕し,それを遠心分離して得られた上酒液を租酵素として用いた.

グ)L/コシダ叫ゼおよびガラクトシダーゼ8):1mMp−mitrophenylα−,β−D−glucopyranosideあるいは

p−nitrophenylα一,β−D−galactopyranOSideの各基質を含む25mM7)ン酸緩衝液中に酵素液を加え,37℃

で30分反応を進めた.これに0.5M Na2CO3を等量添加して反応を止めた.遊離したp−nitrophenol畳

を400nmにおける吸光度から求めた.その他の糖質を基質に用いた場合は,遊離されるグルコ・−ス

量を酵素分析法{9)で測定した.1単位は1分間に1′‘mOleの基質を分解する酵素量とした.

ヘキソキナーゼ10):反応液組成は50mMD−グルコ1−ス,10mMMgCl2,10mMNADP,10mMATP,

2rUグルコl一スー6−リン酸脱水素酵素,50mMHepes緩衝液(pH7.5),および酵素液とした・ATPの

添加により反応を開始し,・一定時間後にNADPIiの遊離に伴う340nmにおける吸光度の増加を測定

した.ブランクテストには酵素の代わりに水を用いた.1単位闇1分間に1〃mOleのNADPHを遊

離する酵素畳とした.

3.糖およびタンパク質の定量

2糖類はフェノール硫酸法(1‖により求めた.タンパク質量はブラッドフォード法(12)により,牛血

清アルブミンを標準物質として求めた.またクロマトグデフイ、一における各フラクション中のタン

パクは280nmの吸光度でモニタ・−した.

(3)

4.酵素の精製と純度模定

硫安分画:まず混在する核酸を除去するため,租酵素液69mゼに最終濃度が10mMになるよう

MnC12を加え,30分間撹拝した.遠心分離により上清液66mgを得た.これに硫安を加え25%飽和か ら65%飽和までの分画を集めた.この画分を100mMリン酸虜衝液(pH6.5)中で十分透析した. DE−52イオン交換カラムクロマトグラフィー:前記透析内液17.5mゼをあらかじめ同緩衝液にで平 衡化したDE−52イオン交換カラム(2.8×3.5cm)に吸着させ,0∼0.5MのKCl傾斜勾配により溶出 させた.1フラクションは2.5mゼとした. SephadexG−150ゲル濾過カラムクロマトグラフィー:前記タロマトグラフイ−で得られた活性画 分の濃縮液1m2を同緩衝液で平衡化したSephadexG−150かラム(1.6×90cm)を用いてゲル濾過し た.1.5mgづつのフラクションに分けた. タンパク質の純度検定:Davis(13)に準じた骨法どおりのポリアクリルアミド電気泳動法により行 った.タンパクの染色は0.2%クマシープリリアントブル・−R−250により2時間行い,脱色はメタノ −ルー酢酸上水(3:1:6)中で室温にて行った.

実 験 結 果

1.マルトース,セロビオース,メリビオースおよびラクトースの資化性および各

酵素の生産 低栄養細菌48株について標記の各2糖類に対する資化性試験を行った.すなわち各糖を添加した 培地で培養した場合の生育度が無添加の場合と比べて2倍以上に達し,しかも糖消費率が10%以上 のものを資化性を有す−る菌とした.その結果マルトースに対しては25株,セロビオー・スでは30株, メリビオー・スおよびラクトースではいずれも29株がそれぞれ資化性を有していた. これら各資化性菌の培養上清液(菌体外)および菌体抽出液(菌体内)それぞれについて,各消 化酵素の活性を調べた.α−およびβ−グルコシダーゼ活性はほとんどどの菌でも菌体内に偏在し て■おり,菌体外にはごくわずかであった.−・方α−およびβ−ガテクトシダーゼ活性はいずれも菌 体内と外と両方に分布して−いる菌が多かったが,平均すると総括性で菌体内の方が菌体外より約 1.5倍高かった.

2.各基質に対するKm値

各酵素活性が比較的高かった数菌株の租酵素液(菌体内)について一種々の基質濃度における反応 速度を測定し,L血eweaveトBurkprotsから各基質に対するⅩ血億を求めた.この時4種のグルコシダー ゼにはすべて合成基質であるp−nitrophenylglycosideを基質として用い,ヘキソキナーゼにはD一グル コースおよびATPを用いた.それぞれの反応はあらかじめ各活性のpH曲線から求めた各最適pHの 下で行った.また比較のため2,3の既知標準菌について−も同じ方法でKm借を求めた.結果を Tablel,2,3にまとめた. α−およびβ−グルコシダーゼのKm値は0.023から0.54の間にあり,5菌株の粗酵素では見かけ 上複数の値が得られた.α−およびβ−ガラクトシダ・−ゼの場合は0.045から2.1までと,やや広い 範囲の値を示した.またYOl,YO3,YO4,およびY23のα−ガラクトシダ1−ゼでは比較的高い基質 濃度により明らかな活性阻害が認められた.ヘキソキナ・−ゼにおいてもY13,Y26およびお.∫〟加∼J∫5 の場合にD−グルコ・−スに対して見かけ上2つの値が得られた.なおこれらキhトーゼについては自然

(4)

界に広く分布している4種のヘキソー・スに対する活性を比較し,Table4.に示した.どの菌の酵素

もD−グルコースに最も高い活性を有していた.

Tablel.Kmvaluesforp−nitrophenylα−andβ−D−glucopyranosidesofcrudeglucosidases・

α−Glucosidase β−Glucosidase Or・ganisms

Km(mM)

Organisms

Km(mM)

01igotrOphic bacteria YO4 Y12 Y16 Y22 Y23 Y26 Y31 ZO2 ZO7 Z 16 0.24 0.22 0.31 0.11,0.38 0.28 0.54 0.17 0.18 0.18 0.05,0.15 0.034,1.1 0.023,0.044,1.1

0.081

0.29

0.069,0.22

0.13

0.099

Tal)1e2.Kmvaluesfbrp−nitrophenylα−andβ−D−galactopyranosidesofcrudegalactosidases・ α−Galactosidase β−Galactosidase

Organisms

Km(mM)

Organisms

Km(mM) 0.045 0.41 0.23 0.17 1.1 0.058 0.36 0.16 0.43 0.049 励ゐe′∫cゐねcoゐ IFO 3301 A弟c′、OCOCC〟∫血書e〟5 IFO 3333

Table3.KmvaluesfbrD−glucoseandATPofcrudehexokinases.

Km(mM)

0Ⅰganisms D−Glucose 01igotrophic bacteria Y13 Y26 Y95 Z 26 g5CJ!e′jcカメαCOJメ IFO 3301 βαC∫J血s助加地 IFO 13719 7515 3656 0000 0.032,0.17 0.049,0.15

0.47

0.092

0.35

0.90,3.0

2.0

0.082,0.30

(5)

Table4.RelativeactivityofhexokinasesonfourD−hexoses・

Relativeactivity(%)

Substrate Oligotrophic bacteria E・COli B・

Y13 Y26 Y9 ZO6 IFO3301 IFO 13719

0816 01 2 4 1 001 1 054 7 1 100 100 100 78 59 34 29 45 10 51 60 7.7 D−Glucose D−Galactose D−Mannose D−FIⅥCtOSe

3.低栄養細菌Y21株の生産するα−グルコシダーゼの精製と性質

前記の実験でY21菌のα−グルコシダーゼは生産量が多く,見かけのKm値が低く,しかも複数

認められた.そこでこの酵素について■さらに詳しい知見を得るため,これを精製しで性質を調べた.

(1)酵素の精製

菌体抽出物から得られた租酵素69mgを出発物として,硫安分画を経てDE−52イオン交換クロマト

グラフィl−,およびSephadexG−150ゲル濾過クロマトグデフイ・一によって精製した・各クロマトグ

ラフィ1−の結果をFig.1,2に示した.硫安分画も含めて−いずれの段階においてもα−グルコシダ

−ゼ活性が2つ以上の区分に分かれるノことはなかった. ︵s︶叫∈≠︶ h︺叫ヱ︸完td︸○↑ 1 0 5 つ一 3 4

︵芸︶己白

2 −さ 4 3 ● 0 0 0

150

50

100

Fraction number

Fig.1.DE−52Ionexchangechromatographyofα−glucosidase・

●;α−Glucosidaseactivity,○;Absorbanceat280nm,

−−−− ;KCl.

(6)

︵莞叫uヨ︶き叫之−呂l領lO↑

ll〓−○閑M< 爪V l 一ヽ︶ 5 爪V 0

80

20

40

60

Fractionnumber

Fig.2.SephadexG−150gelchromatographyofα−glucosidase・

●;α−Glucosidaseactivity,○;AbsoIbanceat280nm.

0 0 l つ一 4 3 二21=lミ〓云−・彗tこ>\r ︵︻○声︻ミ\G叫己・瑚己︶>\t 4 0 12 爪V ㈹ O O 0..4

0.2 1/S(1/mM)

■20 ■10 01/S(iタm適ヲ 30 _0.2 0

Fig.3.Lineweaver−Burkplotsofα−glucosidasefbrp−nitrophenylα−D一glucopyranoside(A)

andmaltose(B).、

(7)

Table5.PuI班cationofα−glucosidase倉omanoligotrophicbacteriumY21.

Volume Total Total

Specific

Step (me)

p∼芸㌢ 舐雷(霊‰)

Yield Fold (%) 69 258 17.5 81.2 12.5 4.6 10.5 0.5 42 0.16 40 0.49 9.6 2.1 4.6 9.2 100 1 95 3.1 23 13 11 58

Crudeenzyme

Ammo王Iium Sul払te

DE−52ion

excbange

Sephadex

G−150

Table6.Characteristicsofa−glucosidase丘omY21.

OptimumpH:

6.5

StablepH:

6∼11 0ptimumtemperature: 40℃ stabletemperature: ∼30℃ Notactiveoncellobiose,maltotriose,methylα−Dpglucose,D−trehalose,SuCrOSe,SOlublestarch, amylose,P−nitrophenyla−andβ−D−galactopyranosides. Inhibition:Cu,Ag,P−Chloromercuribenzoicacid ここまでの精製過程をTable5.にまとめた.活性の収率は約11%であり,比活性は約58倍に上昇 した.この段階の精製酵素についてポリアクリルアミドゲル電気泳動法によりタンパクの均一・性を 検定した.2本のメインバンドと少数のマイナ・−バンドが確認された.このゲルをカットし各区分 について酵素活性を検査したところ,2本のメインバンドのうち・−・方のみに活性が検出された.純 粋な酵素が得られるまでさらに精製を進めるべきであるが,精製が困難で時間がかかるので,この 部分精製酵素を使って酵素の性質を調べることにした. (2)酵素の性質 得られた性質を一層してTable6.にまとめた.活性の最適pHは6.5であり,pH6から11の範囲で 安定であった.本酵素は40皮付近で最大活性を示し,熟に不安定で40度10分間の加熱で60%以上失 活した.cu,Agおよ吟−Chloromercuribenzoicacidによって明らかな活性阻害を受けた. p−nitrophenyla−D−glucopyranosideおよびマルトースに射す−るKm億をLineweaver−Burk plots(Fig.3) から求めた.それぞれ0.12mMおよび12.4mMであった. 考 察 −・般に酵素の基質に対する親和性が高いほど,すなわちKm値が低いほど,その酵素はより低い 濃度の基質に作用できる.したがって低いKm億を有する酵素を持つことは低栄養環境中でわずか な栄養源を代謝する上に好都合である.そこで当研究室で分離した低栄養細菌の酵素がそのような 特徴を有しているかどうかに注目した.酵素には糖質の代謝酵素として4種の糖質加水分解酵素 (α−あるいはβ−の各グルコシダーゼおよびガラクトシダ1−ゼ)と,EMP経路の最初の段階の ヘキソキニトーゼと,合わせて5種を取り上げた.本来Kmの正確な催は各精製酵素を用いて測定さ れるべきではあるが,今匝=ょその予備的段階として広く各菌について租酵素のままで測定し,おお よそのKm値を推定することを目的とした.また各加水分解酵素の基質としては測定が比較的容易

(8)

な各々のp−nitrOPhenylglycosideを用いた. すでに報告されている各種微生物の当該基質に対するKm億(1巨22)と」比較すると,今回の測定値は いずれも格別低いものではなく,既報の値の範囲内にあった.また見かけ上複数のKm催が得られ たものもあった.これは租酵素を使っているため不純物による影響が現れていると解釈されるが, Km値の異なる複数のアイソザイムが含まれているという可能性も考えられる.もし細菌がそ・のよ うなアイソザイムを持つならば,基質濃度の違いによって‥アイソザイムを使い分けていることが期 待される.そこで見かけ上複数のKm億を示した代表としてY21菌株のα−グルコシダ1−ゼを取り 上げ,そ・の精製を行ったが,カラムクロマトグラフィーでもゲル電気泳動によっても活性区分が分 離することは観察されなかった.したがってこの酵素ではアイソザイムの存在は示唆されなかった. さらに,菌体当たりの各酵素生産量においても同じ条件で比較した大腸菌や枯草菌などよりもむ しろ劣っていたし,部分精製α−グルコシダーゼでは熟に不安定でもあった.そ・うした結果をふま えると,本実験の範囲内では低栄養細菌が低濃度のこれら糖質を利用する上に都合の良い性質の代 謝酵素を有しているといった根拠を得ることはできなかった. われわれはすでに,放射能でラベルしたグルコ−スやアミノ酸を用いて低栄養細菌への取込み活 性についてKm億を測定し,そ・の億が大腸菌と比べで大差ないことを知った(7’.享た最近,低栄養 細菌が大腸菌と同様に定常期において栄養飢餓だけでなく熟や酸素や浸透圧に対するストレズ耐性 を持ち,ある種のシグマ因子を有している可能性を見つけた(23).したがって底栄養細菌も大腸菌 ほど明確ではないかもしれないが,低栄養を飢餓として認識して−,転写を制御する機構を持ってい る可■能性がある.以上のように当研究室で分離された土壌低栄養細菌では,いまだに低栄養下(有 棟炭素1ppm以下)での生育を町能にする特別な仕掛けを見出すに至っていない. 要 約 土壌から分離した低栄養細菌のうち約60%がマルトース,セロビオ・−・ス,メリビか−ス およびラクトースを資化できた..それら資化性菌の中からグルコシターゼおよびガラクト シダーゼ生産量の比較的多いものを選び,それらの租酵素について和一nitr叩henylglycoside 基質に対するKm催を測定した力 また代表的な4菌のヘキソキナ・−ゼについてもD−グルコ・− スおよびATPに対するKm値を求めた.これらのKm値は,すでに報告されている各種微生 物酵素の億と大差なかった.、したがって低栄養細菌が必ずしも低い濃度の糖質に対して親 和性の高い代謝酵素を有しているわけではなかった” 低栄養細菌Y21のα−グルコシダーゼが硫安分画,DE−52イオン交換クロマトグラフィー およびSephadexG−150ゲル濾過クロマトグラフイ・一によって一部分精製され,比活性は約58借 上昇した..p−nitrOphenylα一D−glucopyTanOSideおよびマルトースに対するKm値はそれぞれ0.12 mM,12“4mMであった.本酵素は熟に不安定であり,Cu,Agおよ時ヾhloromezcuribenzoic&Cid によって活性阻害を受けた 謝 辞 本実験のうち特に酵素の精製を遂行するに当たり,応用酵素化学研究室の何森 健教授 および同研究室の大学院生の方々に貴重なアドバイスおよび懇切なご指導を賜った.深く 感謝申し上げる.

(9)

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