【はじめに】LOCI法(Luminescent Oxygen
Channeling Immunoassay)は他の化学発光法に比
べBF分離を必要としないため測定時間が迅速で
あることや検体量が微量であることなどメリット
が多い検査法である。今回我々は
SIEMENS 社
より新たに発売されたディメンションEXL用B
NP測定試薬を検討する機会を得て若干の知見を
得たので報告する。
【測定機器・試薬】測定機器にはディメンション
EXL
200(SIEMENS HCD 社)を使用し、試薬
はフレックスカートリッジBNP
-Vを使用した。
比較対照機器にはADVIA
ケンタウロスXP(
SIEMENS HCD 社)を使用した。
【方法及び結果】①同時再現性:4 濃度のコントロ
ール血清を各
10 重測定した結果、変動係数(CV)
は
0.81~2.24%であった。②日差再現性:4 濃度の
コントロール血清を
10 日間測定した結果 CV は
0.77~5.03 であった。③希釈直線性:高濃度の検体
を
10 段階希釈し 2 重測定した結果、原点を通り
1959pg/ml までの直線性が確認された。④検出感度
、実効感度:低濃度域の検体を用いて
10 段階希釈
し、
10 重測定したところ、検出感度は 2.6SD 法で
1.41pg/ml、実効感度は CV10%で 4.75pg/ml であ
った。⑤共存物質の影響:干渉チェック・
A プラス
(シスメックス社)を用い確認したところ、Bil-F ・
Bil-C ・乳ビの影響は認められなかったが、溶血ヘ
モグロビンにおいて低値傾向を示した。⑥他法との
相関:ADVIAケンタウロスXPとの相関はN=
250 でY=0.9745X+3.6384 であった。
【考察】今回、検討したLOCI法によるディメン
ションEXL用フレックスカートリッジBNP V
の基本性能は良好であった。また現行CLIA法と
の相関も良好であり、今後その迅速性等を活かして
夜間緊急検査などに展開できるものと思われる。
連絡先:045-813-0221(内線 2702)LOCI法によるBNP測定試薬の基礎的検討
ディメンションEXL用試薬について ◎大野 勝寿1)、志村 等1)、松岡 直樹1) 社会福祉法人 親善福祉協会 国際親善総合病院1)566
【目的】心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の測定は、 測定機器が限定されることから主に検査センターへの外注 検査として行われている。今回、ANP の院内迅速検査化を 視野に、2013 年に上市された AIA 用試薬の基礎的検討を行 ったので報告する。 【方法】測定にはAIA-900(東ソー)を使用し、試薬 E テス ト「TOSOH」Ⅱ(ANP)の基礎検討を行った。また、MI02 シ オノギANP との相関関係およびアプロチニン加 EDTA 管 (専用管)と EDTA 管(汎用管)における比較検討を行った。 【結果】1.再現性:2 濃度のコントロール血清による同時再 現性(n=10)は CV=3.48%、1.28%となり、日差再現性 (n=10)は CV=3.08%、1.50%となった。2.希釈直線性:検 量域内(2,000pg/ml)において良好な直線性が得られた。3.検 出感度:±2SD 法(n=5)による検出限界は、2pg/ml であった。 4.共存物質の影響:干渉チェックAプラスでのビリルビン、 乳びの影響は認められなかったが、溶血においてはヘモグ ロビン濃度に比例し測定値の低下傾向が認められた。5.相 関関係:対照法との相関関係(n=53)は y=1.01x+12.29、 r=0.993 となった。専用管と汎用管との相関関係(n=53)は y=0.95x-3.51,r=0.999 となった。6.検体の安定性:①専用 管・汎用管それぞれを遠心後室温放置と全血室温放置とで 測定値の変動:遠心した検体は測定値の変動は認められず、 全血放置した検体では両採血管とも測定値の低下傾向が認 められた。②遠心分離後、冷蔵及び凍結保存による測定値 の変動:冷蔵保存では、汎用管で約24 時間後の測定値の低 下が認められた。凍結保存では両採血管ともに測定を行っ た14 日まで変動は認められなかった。③遠心分離後、凍 結保存し解凍後室温放置による測定値の変動:高値検体の 汎用管で測定値の低下が認められた。 【結論】基礎検討では溶血ヘモグロビンによる測定値の低 下が認められたが、その他は良好な結果を得た。検体の安 定性は、両採血管とも全血室温放置約1 時間後から測定値 に低下が認められるため、採血後速やかに遠心分離し測定 する必要がある。以上の結果からも、約20 分で結果報告が 可能な本法は院内での迅速測定における有用性が高いと考 えられた。 連絡先03-3603-2111(内線 5247)
AIA-900 による ANP 測定法の検討
◎中村 由佳1)、八木 道隆1)、安藤 隆1)、鈴木 晴美1)、渡辺 孝子1)、阿部 正樹1)、杉本 健一1) 学校法人 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター1)567
【はじめに】心筋トロポニンは ACS(急性冠症候群)の早 期発見に有用なマーカである。近年、高感度測定が可能と なり ACS 以外の心筋障害に対しても微量ながら血中に放出 される心筋トロポニンが測定可能になった。しかし高感度 測定が故に結果の判定に迷うことがある。上記のような理 由から心筋トロポニン値が低値陽性となった症例に対して、 心臓のストレスマーカーである BNP 値の変化との関連を調 べた結果、心筋トロポニン値結果判定の一助になりうる知 見を得たので報告する。 【方法】測定装置 ARCHITECT i1000SR 測定試薬 アーキテクト®・トロポニン I ST アーキテクト®・BNP-JP。 トロポニン I 陽性とする基準は上記キットにおける健常人 の 99%タイル値である 0.03ng/ml とした。 【対象】2014/3~2014/8 までに臨床医より心筋トロポニン と BNP 両方のオーダーがあった 84 症例に関しての両測定値 と疾患の関係を調査した。 【結果】トロポニン I 陽性 84 症例中 ACS と診断された症例 が 33 件であり、残りの 51 症例中 24 症例が心不全と診断さ れた。BNP の値は ACS と診断された症例の平均値で 129.5pg/ml、ACS 以外の 51 症例全体では平均値が 821.4pg/ml、心不全 24 症例のみでは 940.3pg/ml という結 果となった。 【まとめ】定量的にトロポニンと BNP を同時に測定するこ とによって、トロポニン低値陽性であっても ACS 群とその 他の疾患を分類することは可能であると考える。 連絡先 JA 岐阜厚生連東濃厚生病院 検査科 TEL 0572-68-4111㈹
高感度トロポニンと
BNP
ACS とその他心疾患との鑑別 ◎武藤 延秋1)、荒木 誠2)、木村 裕恵1)、伊藤 富雄1) JA 岐阜県厚生連 東濃厚生病院1)、JA 岐阜県厚生連 中濃厚生病院2)568
【はじめに】トロポニンT 測定には、超急性期や微少心筋 障害を捉えるための高感度化だけでなく、急性心筋梗塞の 初期評価項目としての迅速性も要求されている。今回われ われは、測定時間の異なる2 種類の高感度トロポニン T 測 定試薬と、イムノクロマト法を測定原理としたPOCT 試薬 について有用性の評価を行ったので報告する。 【対象】検討試料には、当院外来および入院患者の残余検 体と、職員健診の残余検体を匿名化して用いた。試薬は、 ロシュ・ダイアグノスティックス社のエクルーシス試薬ト ロポニンT hs STAT(以下、hs-9 分法)、エクルーシス試 薬トロポニンT hs(以下、hs-18 分法)、カーディアック試 薬トロポニンT(以下、POCT 法)を用い、装置には同社 のcobas e411 と cobas h232 を用いた。
【方法】①相関性の検討:患者検体 57 件を用いて、hs-9 分法と hs-18 分法の相関性を検討した。また、患者検体 46 件を用いて、POCT 法と hs-9 分法、hs-18 分法との一致 率を検討した。②参考基準値の検証:職員健診検体 123 件 を用いて、hs-9 分法と hs-18 分法の参考基準値を算出した。 ③結果報告時間の検証:患者検体 27 件を用い、検体提出 から結果報告までの所要時間を計測した。 【結果】①相関性の検討:hs-9 分法と hs-18 分法では、血 清/血漿何れの検体でもr=0.999 と良好な結果を認めた。 また、POCT 法と hs-9 分法、hs-18 分法の一致率は共に 84.8%と若干の乖離検体を認めた。②参考基準値の検証: hs-9 分法および hs-18 分法の 99 パーセンタイル値は、それ ぞれ0.009ng/mL、0.010ng/mL であった。③結果報告時間の 検証:結果報告時間は平均で、POCT 法が 14.4 分、hs-9 分 法が20.4 分、hs-18 分法が 29.6 分であった。 【まとめ】一致率で、POCT 法と hs-9 分法、hs-18 分法の結 果に若干の乖離を認めたが、POCT 法が陰性で高感度トロ ポニンT が陽性となる検体は認めなかった。結果報告時間 は、全血測定のPOCT 法が最も短かったが、hs-9 分法は平 均20.4 分と、高感度トロポニン T でありながら、日本循環 器学会の「ST 上昇型急性心筋梗塞の診断に関するガイドラ イン」に推奨されているDoor-to-needle time:30 分以内を 満足させる結果であった。 (連絡先088-880-2693)
測定時間の異なる3種類のトロポニンT測定試薬の比較検討
◎小松 豊1)、森澤 美恵1)、公家 逸1)、楠瀬 慶二1)、小倉 克巳1) 高知大学医学部附属病院1)569
【はじめに】近年、トロポニンの高感度測定が可能となり、 急性冠症候群(ACS)の診断に有効であると報告されている。 今回、ACS リスク評価における高感度トロポニン I(以下 hsTnI)の有用性について検討したので報告する。 【対象と方法】当院救急外来に来院し、冠動脈造影を施行 した58 例[男性 38 例/女性 20 例、年齢中央値 70.5(64.25-77.75)歳]を対象とした。検体測定は採血後 24 時間以内に実 施し、以下の検討を行った。1 狭窄の有無に基づき ROC 解 析を行い、H-FABP、hsTnI の比較検討を行った。2.有意狭 窄(75%以上の狭窄)を認めた症例について、発症からの経過 時間別にその有用性を検討した。3.有意狭窄を認めなかっ た症例に関してBNP・eGFR との関連や病態との対応関係を 検討した。なお、hsTnI の測定装置には ARCHITECT i1000(アボットジャパン(株))、測定試薬にアーキテクト Ⓡ・high sensitive トロポニン I を用いた。H-FABP の測定 装置にはBM6070(日本電子(株))、測定試薬にリブリア H-FABP(DS ファーマバイオメディカル(株))を用いた。 【結果】1.感度・特異度は、hsTnI 64.9%,76.2%、H-FABP 75.7%,38.1%であった。AUROC は hsTnI の方が良好な結果 となった(0.773 vs 0.665)。2.有意狭窄を認め両者で乖離を認 めた症例の多くは発症から1 時間以内の症例で H-FABP の み陽性であった。発症から1 時間以内の症例では hsTnI の 陽性率が33.3%であった。3.有意狭窄を認めなかった症例 ではhsTnI と BNP に上昇の関連性があり、hsTnI が高値で あった多くの症例で心疾患が認められたが、hsTnI の上昇と 病態に明確な関係を認めない症例も少数存在した。 【考察】従来のトロポニン測定に比べ、hsTnI は発症早期の 心筋障害をとらえることが可能となった。しかし、1 時間 以内の超急性期のACS では hsTnI が検出されない可能性が 示唆された。また、ROC 解析から、施設ごとに cut off 値を 設定することで有用性がより高くなると考えられた。 【結語】hsTnI は心筋特異性の高い優れた心筋マーカーであ る。しかし、発症からの経過時間を考慮する必要がある。 また、hsTnI は ACS だけではなく、微小心筋障害でも上昇 することを考慮しなければならない。 公立陶生病院 TEL 0561-82-5101