第 1 節 身体障害者手帳
1-1 身体障害者手帳とは
身体障害者福祉法(以下「身障法」という。) では、法の目的を「身体障害者の自立と社会経済 活動への参加を促進するため、身体障害者を援助 し、及び必要に応じて保護し、もって身体障害者 の福祉の増進を図ること」としており、この目的 のために身体障害者手帳(以下「手帳」という。) は重要な役割を果たしています。また、身障法に おいて「身体障害者」とは、都道府県知事から「手 帳」の交付を受けたもののことです。 身障法による援護は手帳取得と同時に開始され ることから、手帳は福祉サービスを受けるための パスポートと捉えることができます。これらの福 祉サービスには、補装具など福祉用具の費用給付、 自立支援医療(更生医療)支給の利用など身障法 上の各種援護を受ける場合のみならず、税の減免、 交通旅客運賃の割引など活用できる様々な制度が あります。したがって、手帳制度の活用は当事者 の自立生活を支える条件の一つと言えます。 (1)身体障害者手帳の交付対象 身体障害者手帳の交付対象者は、身障法の別表 (資料編217頁を参照)の規定要件に該当するもの です。たとえ身体上の障がいがあることが明確であ っても、その程度が規定要件に満たない場合には、 手帳の交付を受けることができません。 また、身体障害者手帳は「永続する障がい」を主 な対象としており、特に「一時的な不能の状態」は 対象としていません。例えば、様々な理由で寝込ん でしまい、一時的に下肢の筋力が低下して歩くこと が不自由となった場合は、一般的にリハビリテーシ ョン等により回復の可能性があるため、対象とはな りません。 しかし、この「永続する障がい」は「回復する 可能性が極めて少ないもの」と解釈されており、 将来的に不変のものに限定しているものではあり ません。 (2)手帳取得により活用できるサービス ① 重度心身障害者医療費助成制度、後期高齢者 医療制度、障がい者歯科診療 ② 自立支援医療(旧:更生医療) ③ 特別障害者手当、障害児福祉手当等 ④ 障害年金等 ⑤ 国税・地方税の諸控除 ⑥ 自動車税等の免除・減免 ⑦ NHK放送受信料の減免、電話基本使用料等の割 引、郵便料金の優遇 ⑧ 市内文化・体育施設の減免 ⑨ 公営住宅の障害者専用住宅等の入居 ⑩ 生活福祉資金貸付、自立更生促進資金貸付、 住宅リフォーム資金の融資 ⑪ 交通費助成・割引 ⑫ 各種障害福祉サービス ⑬ 補装具費の支給 ⑭ 日常生活用具給付等事業 ※サービス毎に、障がいの種類や部位、等級等に よりサービスを受けるための要件があります。 ◆問い合わせ先 各区保健福祉課1-2 身体障害者手帳の交付(認定)時期
前段で説明したとおり、手帳の交付対象が「永続 する障がい」ですので、疾患や傷病の治療中、治療 途上の段階では、回復の可能性が否定できず障害程 度が確定できないことから、手帳交付はできません。 したがって、手帳の交付時期については、「原因 疾患の治療終了と障がいの固定」が前提となります。 例えば、下肢の骨折では骨が癒合しリハビリテー ションが終了した時点で残存した下肢障がいを認 定します。このほか、交付時期に関して注意が必要 なものは、以下のとおりとなっています。 (1)乳幼児の交付(認定)時期 乳幼児に関しては、障がいの種類に応じて障害程 度を判定することが可能となる年齢(概ね満3歳) 以降に行うこととしています。 また、「身体障害認定基準」は主に18歳以上の者 に対して作成されたものであるため、児童では、検 査教示が難しく、かつ検査の信憑性にも問題があり ます。したがって、年齢を考慮して妥当な等級で認 定することとしています。 さらに、乳幼児では「発達」や「治療やリハビ リテーションを行うこと」で障がいが変化、回復 することも考えられることから、将来、障がいが 軽減すると予想される場合には、残存が予想され る等級で認定し、適当な時期に「再認定」を行う こととしています。札幌市では、「札幌市身体障 害者手帳事務取扱要領(平成 26 年 4 月)(以下「取 扱要領」という。)」で再認定について障害種別 毎に定めています。第 1 章 各種手帳制度
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第 1 章 各種手帳制度11
(2)遷延性意識障害の交付(認定)時期 遷延性意識障害に関しては、障害状況が安定(障 害固定、永続する障がい)した時期以降の認定とな るため、医学的管理が常時必要でなくなった時点で あること、原因となった疾患の治療が終了している ことが前提となるので、原因となった疾患に対する 入院加療が必要な時期には手帳は交付できません。 原因疾患の治療が終了している具体例としては、 「退院も可能、介助の手があれば医師の指導によ り在宅で家族介護により暮らせる状態」のことで す。さらに、遷延性意識障害では、一般的に回復 の可能性を否定すべきではないとされ、取扱要領 でも発症から 3 か月以上 6 か月未満での認定は、1 年後に再認定をすることとしています。 (3)脳血管疾患の交付(認定)時期 脳血管疾患では、どの程度の後遺障害(機能障害) を残すか判断するために、ある程度の観察期間が必 要とされています。以前には、発症後6か月程度で 障がいが固定すると言われていた時期もあります が、現在では、診断技術等の向上により発症後3か 月程度の比較的早い時期での申請が増えています。 しかし、このような早期の認定は慎重に取扱うこ ととされていることから、取扱要領でも発症から3 か月以上6か月未満での認定においては、1年後に再 認定を実施することとしています。 (4)骨折等の認定時期 骨折の場合には、最短でも骨折部が癒合・治癒 後でなければなりません。さらにリハビリテーシ ョンが必要な場合には、リハビリテーション終了 後が認定時期の原則となります。 (5)受傷後、すぐに交付(認定)できるもの ・切断等の四肢欠損 ・両側無眼球 ・心臓弁置換 ・腸管ストマの造設、尿路変更 ・小腸の大量切除
1-3 身体障害者手帳の取得手続き
(1)申請時に必要なもの ① 身体障害者診断書・意見書 (指定医師※が記載したもの) ② 身体障害者手帳交付申請書 ③ 本人の写真1枚 (1 年以内撮影 上半身 縦 4 ㎝×横 3 ㎝) ◆申請窓口 各区保健福祉課 ※ 指定医師とは 身体障害者手帳の診断書は都道府県知事 (政令市含む)の定める身障法第 15 条第 1 項の規定により指定を受けた医師が記載す ることになっています。 したがって、かかりつけの医療機関の医師 が指定された医師か、また、診断できる障害 種別が何か、について確認が必要です。 指定医師については、区保健福祉課の窓口 で確認することができます。 (2)手帳交付 ① 申請した方の自宅へ封書で通知されます。 ② 申請した区保健福祉課で、手帳を受取ります。 なお、受領時に健康保険証や印鑑を持参し ていただくと、重度医療等(対象となる場合 のみ)の手続も可能です。 注)区保健福祉課では、診断書・意見書の内容 を身障法に定める認定基準に照らして、障害 種別や等級を判断します。 認定基準に照らし身体障害者手帳の対象 であると認定されると手帳が交付されますが、 診断書・意見書に記載不備等がある場合に は区役所から指定医師へ照会する場合もあり ますので、交付までに時間がかかることがあ ります。 1 2 3 4 5 6 7 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 上肢機能 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 移動機能 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 呼吸器機能障害 ぼうこう又は直腸機能障害 小腸機能障害 免疫機能障害 肝臓機能障害 内臓の 機能障害 音声・言語・そしゃく機能の障害 上肢 下肢 体幹 心臓機能障害 じん臓機能障害 等級設定(級) 障害種別と等級設定 視覚障害 聴覚・平衡 機能の障害 乳幼児期以前の非 進行性の脳病変に よる運動機能障害 肢体不自由 視力障害 視野障害 聴覚障害 平衡機能障害12
第 1 章 各種手帳制度(平成26年4月1日現在) 障がい名 再認定の対象者 (※この欄における認定時期とは診断 書作成日をいう。) 再認定時期 備 考 視覚障害 3歳未満で認定したもの 3歳時 認定基準において、「乳幼児に係る障害認定は、障がいの種類に応じて、障 害の程度を判定することが可能となる年齢(概ね3歳)以降に行うこと」とされて いるため(※1)。ただし、無眼球の場合には再認定不要。 聴覚障害 3歳未満で認定したもの 3歳時 ※1と同様 3歳未満で認定したもの 3歳時 ※1と同様 脳血管疾患の発症後3か月以上6か 月未満で認定したもの 認定(手帳交付日)か ら1年後 障がいが軽減する可能性が否定できないため。なお、発症から3か月未満で 申請されたものについては、障害程度審査委員会で個別に検討する。 3歳未満で認定したもの 3歳時 ※1と同様 咬合異常によるそしゃく機能障害で 認定したもの 認定から3年後 認定基準において、「基本的に『歯科矯正治療等の適応あり』とされたものが 対象。再認定時期が明示される必要があり、歯科矯正治療等の一応の成果が 見られるのが『3か年』」とされているため。 3歳未満で認定したもの 3歳時 ※1と同様 6歳未満で認定したもの 就学前(概ね6歳時) 運動発達学的に完成される時期が5歳前後であるため、学童期に移行する就 学前に行う。ただし、欠損の場合には再認定不要。 脳血管疾患の発症後3か月以上6か 月未満で認定したもの 認定(手帳交付日)か ら1年後 障害程度が軽減する可能性が否定できないため。なお、発症から3か月未満 で申請されたものについては、障害程度審査委員会で個別に検討する。 遷延性意識障害のうち3か月以上6か 月未満で認定したもの 認定(手帳交付日)か ら1年後 障害程度が軽減する可能性が否定できないため。なお、発症から3か月未満 で申請されたものについては、障害程度審査委員会で個別に検討する。 3歳未満で認定したもの 3歳時 ※1と同様 18歳未満で認定したもの 18歳時 認定基準において、18歳未満と18歳以上で認定方法が異なり、診断書・意見 書の様式も異なるため18歳時に認定を行う。ただし、17歳以上18歳未満で認 定したものについては、指定医が診断書・意見書に再認定時期を記載した場 合にはその時期、記載がない場合には1年後とする。 手帳認定後、冠動脈バイパス術や PTCA等、心血管系手術を行ったもの術後6か月後 手術により障がいが軽減している可能性を否定できないため。 後天性疾患(18歳以降に発症した心 疾患)によるペースメーカー等植え込 みから3年未満で認定したもの 植え込みから3年後 ただし、再認定時期まで1年に満たないものは1年後とする。 植え込み型除細動器(ICD)を植え込 んだ者であって、手帳認定後に除細 動器が作動したことにより心臓機能障 害1級と認定したもの 認定から3年後 3歳未満で認定したもの 3歳時 ※1と同様 12歳未満で認定したもの 12歳時 認定基準において、12歳未満と12歳以上で認定方法が異なるため、12歳時 に認定を行う。ただし、11歳以上12歳未満で認定したものについては、指定医 が診断書・意見書に再認定時期を記載した場合にはその時期、記載がない場 合には1年後とする。なお、じん移植を行ったものについては除外する。 人工透析離脱者 人工透析離脱時 障がいが軽減する可能性を否定できないため。なお、認定から6か月後、透析 を継続しているか確認することが望ましい。 3歳未満で認定したもの 3歳時 ※1と同様 人工呼吸器離脱者 人工呼吸器離脱時 障がいが軽減する可能性を否定できないため。 ぼうこう・直腸 機能障害 先天性鎖肛門に対する肛門形成術 後の者 12歳時と20歳時 認定基準において、「先天性鎖肛門に対する肛門形成術の場合は、12歳時と 20歳時にそれぞれ再認定を行うこと」とされているため。 3歳未満で認定したもの 3歳時 ※1と同様 小腸大量切除以外で認定したもの 指定医の判断時期 (必ず再認定要とす る) 認定基準において、「小腸切除(1級、3級に該当する大量切除の場合を除 く)、または、小腸疾患による小腸機能障害の障がい程度については、再認定 を行うこと」とされているため。 クローン病、ベーチェット病で障害程 度に波があるもの 認定(手帳交付日)か ら3年後 疑義解釈(厚労省通知)において、「本疾患は障がいの状態が変化を繰り返 すことから、『概ね3年後』に再認定を行うことが適当」とされているため。 心臓 機能障害 小腸 機能障害 じん臓 機能障害 呼吸器 機能障害
障 が い 別 再 認 定 の 対 象 者 お よ び 再 認 定 時 期 一 覧
音声機能・ 言語機能障害 そしゃく 機能障害 肢体不自由 第 1 章 各種手帳制度13
1-4 障害程度の基本的な考え方
(1)障害程度等級を決めるための考え方 身障法による身体障害は、12 頁の表のとおり区 分され、それぞれに等級が設定されています。 各障害について細かく認定基準が規定されてい ますが、障害程度を判断するためには基本的に 2 種類の視点があります。 ①「機能障害に基づくもの」 各種検査数値 例えば、徒手筋力テストや関節可動域の検査 結果、X線写真の所見など、障害程度の裏づけ になるもの ②「能力障害に基づくもの」 動作や活動の制限 例えば、立ち上がり困難、1km以上の歩行不 能など 原則的に指定医は、①の機能障害に基づき等 級の意見を作成しますが、各種検査数値のみで 障害程度を適切に評価できない場合には、②の 能力障害を参考にして、総合的に判断します。 現行の手帳制度では、①の機能障害を重視し ているため、②として動作活動の具体例も示さ れてはいますが、より適正な認定のためにも、 ②の動作活動の状態となっている要因を①の 機能障害で医学的・客観的に裏付けることを求 められているところです。 さらに、障害種別により、認定できる原因疾 患が限定されているものもあるなど、詳細な基 準が設定されているので、詳しくは指定医師ま たは各区保健福祉課の窓口で確認してくださ い。 (2) 2 つ以上の障がいが重複する場合の考え方 2 つ以上の障がいが重複する場合には、各々の 障がいに該当する等級の指数を合計するため、総 合等級がより上位等級になる場合があります。 例) ◇肢体不自由の上肢機能障害 3 級と下肢機能障害 4 級⇒上肢指数 7+下肢指数 4=指数 11→2 級 ◇肢体不自由の下肢機能障害 3 級と聴覚障害 4 級 ⇒下肢指数 7+聴覚指数 4=指数 11→2 級 ◇肢体不自由の上肢機能障害 7 級と下肢機能障害 7 級⇒上肢指数 0.5+下肢指数 0.5=指数 1→6 級 ア 身体障害者手帳が交付される等級について 7 級の障害は、1 つのみでは法の対象とな らないが(手帳は交付されない)、7 級の障害 が 2 つ以上ある場合や 7 級の障害が 6 級以上 の障害と重複する場合には、法の対象となり ます(手帳が交付される)。 以上のことから、身体障害者手帳が交付さ れるのはすべて 6 級以上となります。 イ 合計指数算定の特例について 四肢の機能障害で、一肢に 2 か所以上の障 害がある場合は、より上位の部位から欠いて いる場合(切断や欠損)の障害等級が上限とな ります(次頁図を参照)。 例) ◇肢体不自由 上肢機能障害 「右上肢の指を全て欠く」3 級と「右上肢手 関節機能の全廃」4 級⇒指数は 7+4=11→2 級 ※この場合は、右上肢の右手関節で切断した場 合の等級・指数が上限となるため「右上肢を 手関節から欠くもの」3 級(指数 7)が限度と なります。(次頁図を参照) ウ 重複認定および指数合算ができないもの 肢体不自由の体幹機能障害と下肢機能障 害では、原則として 1 つの認定方法を適用し てさしつかえないが、体幹機能障害では、四 肢にも障害が及ぶものが多いので特に下肢 機能障害との重複認定には注意が必要です。 例えば、臀筋麻痺で起立困難な症例を体幹 と下肢の障害の 2 つの 2 級の重複として 1 級 に編入することは適当ではありません。 この他に、「音声、言語、そしゃく機能障害」 の重複、聴覚障害のうち、「聴力による障害と 語音明瞭度による障害」の重複では、指数の 合算はできません。 エ 留意事項 平衡機能障害と肢体不自由の体幹機能障害 は重複認定できず、どちらか一方での認定とな ります。注意する点としては、四肢体幹に器質 的な異常がなく、他覚的に平衡機能障害を認め る場合は、平衡機能障害での認定となりますが、 平衡機能障害は3級と5級しかないため、3級よ りも重度となった場合には、体幹機能障害(2 級または1級)での認定となります。 この場合には、診断書・意見書を作成する指 定医師が変わる場合も想定されますので特に 注意が必要となります。 障害等級 指数 1 級 18 2 級 11 3 級 7 4 級 4 5 級 2 6 級 1 7 級 0.5 指数換算表 合計指数 認定等級 18以上 1 級 11~17 2 級 7~10 3 級 4~6 4 級 2~3 5 級 1 6 級14
第 1 章 各種手帳制度(3)手帳の障害名と各種サービス 診断書・意見書の中で、身体障害の部位とその 機能障害を記載している「障害名」は、そのまま 手帳に転載されることが多くあります。 したがって、手帳表記を見れば、障害の原因、 部位、程度(等級)を確認することができます。 ≪診断書の記載内容≫ 障害名:右上下肢機能の著しい障害 原因となった疾病・外傷名:脳梗塞 ↓ ≪手帳障害名の記載内容≫ 脳梗塞による右上下肢機能の著しい障害 ↓ ↓ ↓ 障害の原因 障害の部位 障害の程度 手帳の障害名は、等級と並んで、各種サービスの 必要性を判断する際のおおよその目安になってい ます。特に、障害者総合支援法における日常生活用 具の給付制度等では、障害部位とその程度が、支給 要件の判断基準となっています。 この他に、障害部位が関係する制度として、医療 サービスでは、障害名に記載された「障害の軽減・ 除去を目的とした」自立支援医療(更生医療)の給 付があります。 就労支援では、雇用納付金制度に基づく各種助成 金(障害部位が関係する項目がある)があります。 移動支援サービスでは、JR旅客運賃割引、札幌 市心身障害者交通費助成制度をはじめ、駐車禁止除 外指定車標章などがあります。 また、補装具費支給制度においても、円滑な支給 のために、手帳に記載されている「障害名」に対応 した補装具が交付されることが望ましいと考えら れています。 例えば、車椅子の交付を受けようとする場合には、 下肢障害の状況がポイントの一つになります。身体 障害者手帳に下肢障害の記載がない場合には、障害 名へ下肢障害を追加するため新たに診断書の提出 が必要となることがあります。 また、異なる障害種別(視覚障害、肢体不自由、 心臓機能障害など)を重複している場合では、指数 合算で等級が上がらない場合であっても、福祉サー ビスを受ける幅が広がる可能性があるため、障害部 位を全て記載してもらうことが重要です。 第 1 章 各種手帳制度
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1-5 障害程度審査委員会
手帳の申請受付から等級認定、手帳交付に至る までの一連の事務は各区保健福祉課で行います。 等級認定にあたっては、身体障害者福祉法別表 に規定する障害に該当するかどうか、等級の程度 は妥当か、再認定の要否等を判断して決定します。 しかし、障害の複雑化・多様化に伴い、障害認 定を適正に行うために専門的知識と経験が必要と される場合も少なくありません。 このような場合、手帳制度の適正化を図るため 札幌市身体障害者更生相談所に「障害程度審査委 員会」が設置されています。 審査委員会は、各区保健福祉部の依頼に基づき 開催されますが、具体的には、障害状況が次のい ずれかに該当し、特に医学的判断が必要と判断さ れる以下の場合に開催されます。 ① 重複障害で、認定が困難なケース ② 医学的処置や再検査等により、障害程度に変 化が予想されるもの ③ 診断書内容と意見書の記述が相違するもの ④ 法別表に該当しないと思われるもの ⑤ その他、認定が困難な事例など 障害程度審査委員会では、更生相談所長と専門 医師により、診断書・意見書の内容と障害程度等 級を審査します。また、場合によっては、X線写 真やCT、心電図等の追加資料の提出を医療機関 に依頼して適正な判定を行います。審査結果は、 区保健福祉部に報告され、等級決定の参考意見と されます。さらに、障害程度審査委員会の審査結 果に疑義が生じた場合には、区保健福祉部は、地 方社会福祉審議会(身体障害者福祉専門分科会)へ 疑義照会を行い、それでもなお疑義が生ずる場合 には、厚生労働大臣(疾病・障害認定審議会)へ障害 程度の認定を求めることになります。 ◇「身体障害者福祉法施行令(昭和 25 年 4 月 5 日政令 第 78 号)」 (障害の認定) 第 5 条 都道府県知事は、法第 15 条第 1 項の申請があ った場合において、その障害が法別表に掲げるものに 該当しないと認めるには、地方社会福祉審議会に諮問 しなければならない。 2 都道府県知事は、前項の規定により地方社会福祉審 議会が調査審議を行い、なおその障害が法別表に掲げ るものに該当するか否かについて疑いがあるときは、 厚生労働大臣に対し、その認定を求めなければならな い。 3 厚生労働大臣は、前項の規定による認定を求められ たときは、これを疾病・障害認定審議会に諮問するも のとする。 ◇「身体障害者更生相談所の運営について(昭和61年5月 1日社更第89号社会局長通知)」 第3 障害程度審査委員会設置事業 1 目的 都道府県知事が身体障害者手帳の交付事務を行うに 当たり、特に専門的知識及び技術を必要とする事項に ついて、審査を行うための機関として身体障害者更生 相談所に障害程度審査委員会(以下「審査委員会」と いう。)を設置し、身体障害者手帳の交付の適正を期 することを目的とする。 2 審査委員会の構成 審査委員会は次に掲げる者をもって構成する。 (1)身体障害者更生相談所長 (2)各障害種別の担当医師 (身体障害者更生相談所の職員たる医師または嘱託医 師とする) 3 審査委員会の開催 審査委員会は、都道府県知事の依頼による審査すべ き案件の状況に応じて、身体障害者更生相談所長が適 宜開催する。 なお、審査委員会は、身体障害者更生相談所長及び 審査すべき案件を直接担当する医師のみをもって開催 して差し支えないものとする。 4 審査の案件及び事項 審査委員会が審査する案件及び事項は、都道府県知 事から依頼のあった案件及び事項とする。 【身体障害者手帳交付事務にかかる障害程度審査委員会および社会福祉審議会について】16
第 1 章 各種手帳制度第 2 節 障 害 種 別 の 認 定 指 標
2-1 視 覚 障 害
◇視覚障害は、視力障害と視野障害とに区分して認 定し、それぞれが障害程度等級表に掲げる障害に 該当する場合は、重複障害認定の原則に基づき、 上位等級に認定することが可能です。 ◇視力の測定は、常用しうる矯正眼鏡またはコンタ クトレンズによって測定した矯正視力によるこ ととしています。 (1)視力障害 (2)視野障害 ◇乳幼児については、医学的に判断可能となる年 齢が、一般的に概ね満 3 歳時以降と考えられる ことから、その時期に障害認定を行うことが適 当であるとされています。 ただし、視覚誘発脳波(VEP)、選択視(PL 法) にて推定可能なものは 3 歳以下で認定しても差 し支えありません。 等級 視野障害の説明 視野障害の詳細 2級 両眼の視野がそれぞれ10度以内で、かつ両眼 による視野について視能率による損失率が95% 以上のもの 3級 両眼の視野がそれぞれ10度以内で、かつ両眼 による視野について視能率による損失率が90% 以上のもの 4級 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの 5級 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの 1 視野は、ゴールドマン視野計および自動視野計またはこれらに準ず るものを用いて測定する。ゴールドマン視野計を用いる場合、中心視 野の測定にはⅠ/2の指標を用い、周辺視野の測定にはⅠ/4の指標を用 いる。それ以外の測定方法によるときは、これに相当する視標を用い る。 2 求心性視野狭窄(周辺からほぼ均等に狭くなるもの)が認められる場 合、Ⅰ/4の指標での両眼の視野がそれぞれ10度以内の場合は、Ⅰ/2の 指標を用いて中心視野の測定を行い、視能率を計算する。 3 両眼の視能率による損失率は、次のとおり算定する。 ①一眼の8方向の視野の角度を測定し、一眼の損失率を計算する。 一眼の損失率(%)=100-(残存視野の角度の合計/560×100) ②両眼の損失率(%) =(3×損失率の低い方の眼の損失率+損失率の高い方の眼の損失率)/4 ※小数点以下は四捨五入する。 4 「視野の2分の1以上を欠く」とは、両眼で一点を注視しつつ測定し た視野の生理的限界の面積が2分の1以上欠損している場合。したがっ て両眼の高度の不規則性視野狭窄または半盲性視野欠損等は該当する が、交叉性半盲症等では、該当しない場合もある。視野は片眼ずつ測 定し、それぞれの視野表を重ねることで視野の面積を測定する。 等級 視力障害の説明 視力障害の詳細 1級 両眼の視力の和が0.01以下のもの 2級 両眼の視力の和が0.02以上、0.04以下のもの 3級 両眼の視力の和が0.05以上、0.08以下のもの 4級 両眼の視力の和が0.09以上、0.12以下のもの 5級 両眼の視力の和が0.13以上、0.2以下のもの 6級 一眼の視力が0.02以下、 他眼の視力が0.6以下で、 両眼の視力の和が0.2を超えるもの 1 視力の測定は、万国式試視力表またはこれと同一の原理に基づく試 視力表により、標準照度400~800ルクスで試視力表から5mの距離で 視標を判読する。 2 視力の屈折異常がある場合、眼科的に最も適当な矯正眼鏡、コンタ クトレンズにより得られた視力によって判定する。眼内レンズにつ いても装着した状態で行う。ただし、矯正不能の場合は、裸眼視力に よる。 3 「両眼の視力の和」とは、両眼視によって累加された視力ではな く、両眼の視力を別々に測った数値の和を指す。 4 視力が0.01に満たない場合、50㎝以内の距離で指の数がわかる「指 数弁」は「0.01」に換算し、目の前の手を振る動きがわかる「手動 弁」と明暗の感覚だけわかる「明暗弁」は視力0に換算する。 5 両眼を同時に使用できない複視の場合、非優位眼の視力を0として取 扱う。 例)両眼とも視力0.6で眼筋麻痺により複視が生じている場合 両眼の視力の和0.6+0=0.6で6級相当とする。 第 1 章 各種手帳制度17
2-2 聴覚・平衡機能障害
(1)聴覚障害 ◇聴覚障害には、「聴力レベル」と「最良語音明 瞭度」による 2 通りの認定方法があります。 ただし、これらの合算により上位等級に編入 することはできません。 ◇先天性ろうあ等の場合で聴覚障害 2 級(両耳 全ろう)と言語機能障害 3 級(音声言語によ る意思疎通ができないもの)に該当する場合 は、合計指数により 1 級として認定すること が適当であるとされています。 【聴覚障害】 (2)平衡機能障害 ① 障害程度の認定について 平衡機能障害とは、四肢体幹に器質的異常 がなく、他覚的に平衡機能障害を認める場合 に認定されます。 【平衡機能障害】 ◇高齢者の難聴については、聴力レベルの問題以 外に、言葉が聞き分けられないなどの要因が関 与している可能性もあり、認定に際して困難を 伴うことから、初度の認定を厳密に行う必要が あります。 ◇聴覚障害で身体障害者手帳を所持していない者 に対し聴覚障害 2 級と診断する場合には、聴性 脳幹反応などの他覚的聴力検査またはそれに相 当する検査が必要です(平成 27 年 4 月以降)。 「身体障害認定基準の取扱いについての一部改 正について(厚労省社会・援護局障害保健福祉 部企画課長通知 平成 27 年 1 月 29 日)」 ② 留意事項 ア 器質的な四肢体幹の機能障害では認定しき れない他覚的な歩行障害を対象としているた め、原則的に肢体不自由との重複認定はでき ません。 イ 平衡機能障害よりも重度の四肢体幹の機能 障害が生じた場合は、肢体不自由の認定基準 をもって認定することがあります。 等級 平衡機能障害 具体的な例 3級 「極めて著しい障害」 ①閉眼にて起立不能、又は、 ②開眼で直線を歩行中10m以内に転倒若しくは著しく よろめいて歩行を中断せざるを得ないもの。 5級 「著しい障害」 閉眼で直線を歩行中10m以内に転倒又は著しくよろめ いて歩行を中断せざるを得ないもの。 ・末梢迷路性平衡失調 ・後迷路性及び小脳性平衡失調 ・外傷又は薬物による平衡失調 ・中枢性平衡失調 等級 聴覚障害 聴覚障害の詳細 2級 両耳の聴力レベルが、それぞれ100dB以上のもの (両耳全ろう) 3級 両耳の聴力レベルが、それぞれ90dB以上のもの (耳介に接しなければ大声語を理解できない) 4級 ①両耳の聴力レベルが、それぞれ80dB以上のも の(耳介に接しなければ話声語を理解できない) ②両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が 50%以下のもの 6級 ①両耳の聴力レベルが、それぞれ70dB以上のも の(40㎝以上の距離で発声された会話語を理解 できない) ②1側耳の聴力レベルが、90dB以上、 他側耳の聴力レベルが、50dB以上のもの (1)聴力レベルによる認定について ①聴力レベルは、500・1000・2000Hz(会話音域)の純音に対する聴力レ ベルをそれぞれa、b、cとし、下記で算定する平均聴力レベルを用いる。 平均聴力レベル=(a+2b+c)/4 〔4分法〕 ②周波数500・1000・2000Hzの純音のうち、いずれか1又は2で100dBの 音を聴取できない場合その周波数を105dBとして数式に代入する。 (2)最良語音明瞭度での認定について ①検査語は、語音明瞭度検査語集による。検査に当たっては、通常の会 話音の強さでマイク又は録音機により発声し、その音量を適度に調節し、 被検査者に最も適した状態で行う。 ②語音明瞭度検査の成績に基づいて行われるが、年齢や経過、現症、 他の検査成績による慎重に考慮するよう示されている。 ※これらの聴力検査は、補聴器を装着しない状態で行う。18
第 1 章 各種手帳制度2-3 音声・言語・そしゃく機能障害
音声機能障害とは、喉頭レベルにおける声と発 声にかかわる能力の障害をいい、言語機能障害と は、喉頭レベル以上の構音器官(口唇、舌、下顎、 口蓋等)における発音(構音)にかかわる能力と 音声言語(話しことば)の理解・表出(意味生成) にかかわる能力の障害をいいます。 そしゃく機能障害とは、そしゃく・嚥下機能の 著しい低下のある状態のために経口的な食物・栄 養摂取が困難な状態をいいます。 (1)音声・言語機能障害 音声・言語機能の障害程度認定は、日常的コミ ュニケーション能力の程度の判定によって行い、 日常生活におけるコミュニケーション活動の場と レベルから判断します。 (2)そしゃく機能障害 ① そしゃく機能の障害認定においては、そしゃ く機能の著しい障害の状態が固定して改善の 見込みがないか、更に進行して悪化の一途を 辿ると判断されるときを認定の時期とします。 ② 咬合異常によるそしゃく機能の障害につい ては、永続する機能障害を有し、日常生活活 動に相当程度の制限があり、歯科矯正治療、 口腔外科的手術によって改善がえられると判 断された場合に認定します。 〔留意事項〕 ① 咬合異常によるそしゃく機能の障害について 指定医師が「身体障害者診断書・意見書」を 〔留意事項〕 ① 音声機能障害は、喉頭摘出や発声筋麻痺等の 喉頭の障害や形態異常を想定していることか ら、気管切開の状態のみをもって認めること はできません。 ② 聴覚障害 2 級の全ろうで、音声言語での会話 では家族や肉親でさえ通じない「ろうあ」の 場合、言語機能障害 3 級とし、指数合算して 1 級と認定することができます。 ③ 認知症による精神機能の全般的衰退で、音声 言語による意思疎通ができないものについて は、言語中枢神経又は発声・発語器官の障害 ではないことから音声・言語機能障害と認定 することはできません。 ④ 知的障害に起因した言語発達遅滞は、音声・ 言語機能障害と認定することはできません。 作成するときには、あらかじめ歯科矯正治療 等の適応について都道府県知事等の定める 歯科医師の「歯科医師による診断書・意見書」 の提出を求めるものとします。 ② そしゃく機能の著しい障害の、「摂取できる 食物の内容、摂取方法に著しい制限がある状 態」とは、開口不能のために流動食以外は摂 取できない状態又は誤嚥の危険が大きいため、 摂取が半固形物(ゼラチン、寒天、増粘剤添 加物等)以外は摂取できない状態等、極度に 限られる場合をいいます。 【音声・言語機能障害】 等級 具体例 意思疎通困難の程度 〔音声機能喪失〕 音声を全く発することができ ないもの 無喉頭、喉頭部外傷による喪失、発声筋麻痺 による音声機能喪失 〔言語機能喪失〕 発声 しても意思疎通できないもの 重度失語症、聴あ、運動障害性構音障害、脳 性麻痺構音障害、ろうあ 〔音声機能障害〕 喉頭の障害または形態異常によるもの 〔言語機能障害〕 a 構音器官の障害または形態異常によるもの (唇顎口蓋裂の後遺症による口蓋裂構音障 害、末梢神経及び筋疾患に起因する舌・軟口 蓋等の運動障害による構音障害、舌切除等に よる構音器官の欠損) b 中枢性疾患によるもの(失語症、運動障害 性構音障害、脳性麻痺構音障害) 音声・言語機能障害の基準・程度 家庭において、家族ま たは肉親との会話の 用をなさない。 (日常会話は誰が聞 いても理解できない) 3級 音声機能・言語 機能の喪失 (家庭内での日 常生活活動が著 しく障害される) 音声言語による意思疎通がで きないもの 音声、言語のみを用いて意思を 疎通することが困難なもの 家族または肉親との 会話は可能だが、家 庭周辺において他人 にはほとんど用をなさ ない。 4級 音声機能・言語 機能の著しい障 害 (家庭周辺での 日常生活活動が 著しく障害され る) 第 1 章 各種手帳制度19
(3)再認定について 咬合異常によるそしゃく機能の障害について、 歯科矯正治療等の適応があることが基本条件であ ることから、歯科矯正治療等の一応の成果が見ら れる 3 か年を目途に再認定をします。
2-4 肢体不自由
(1)肢体不自由区分の考え方 ① 肢体不自由は、機能の障害の程度をもって判 定しますが、判定は、「強制されて行われた一 時的能力でしてはならない」とされています。 例えば、無理をすれば 1 ㎞の距離は歩行できる が、そのために症状が悪化する、または疲労・ 疼痛等のために翌日は休業しなければならな い場合は、1 ㎞の歩行ができるとはいえません。 ② 肢体の疼痛または筋力低下等も、客観的に証 明でき、または妥当と思われる場合は機能障 害として取扱います。 ア 疼痛による機能障害 筋力テスト、関節可動域の測定またはエ ックス線写真等により、疼痛による障害が あることが医学的に証明されるもの イ 筋力低下による機能障害 筋萎縮、筋の緊張等筋力低下をきたす原 因が医学的に認められ、かつ、徒手筋力テ スト、関節可動域の測定等により、筋力低 下による障害があることが医学的に証明さ れるもの ③ 機能障害の程度は、「全廃」、「著しい障害」、 「軽度」に分類されます。 ア 全廃 関節可動域が10度以内、または徒手筋力テ ストで2以下に相当するもの(肩関節および 足関節を除く) (4)障害の重複について ① 音声機能障害、言語機能障害、そしゃく機能 障害が重複する場合については、各々の障害 の合計指数をもって等級を決定することは適 当ではありません。 ② 小腸機能障害を併せ持つ場合については、必 要とされる栄養摂取の方法等がどちらの障害 によるものかについて詳細に診断し、該当す る障害について認定します。 イ 著しい障害 関節可動域が日常生活に支障をきたすと 見なされる値(概ね 90 度)のほぼ 30%(概 ね 30 度以下)、徒手筋力テストで 3 に相当 するもの(肩関節および足関節を除く。) ウ 軽度の障害 関節可動域が日常生活に支障をきたすと みなされる値(概ね 90 度で足関節の場合は 30 度を超えない)または、徒手筋力テスト で各運動方向の平均が 4 に相当するもの ④ 認定指標の具体例の数値は、機能障害の一面 を表したものであり、判定にあたっては、機 能障害全般を総合した上で認定しなければな りません。 ⑤ 7 級単独では、身体障害者手帳の交付対象と はなりませんが、7 級相当の障害が 2 つ以上 ある場合は 6 級として交付対象となります。 ⑥ 機能障害の程度判定は、義肢や装具等の補装 具を装着しない状態で行います。 (2)障害程度の認定について ① 上肢、下肢、体幹の各障害が重複する場合に は、指数を加算して上位等級に認定すること が可能ですが、脳原性運動機能障害について は独立した障害区分のため、肢体不自由の他 の区分との重複認定ができません。 ② 関節可動域は連続した運動の範囲ととらえ 【そしゃく機能障害】 等級 具体例 3級 そしゃく機能 の喪失 経管栄養以外に方法がない状態 経管栄養の併用が必要あるいは 摂取できる食物の内容、摂取方 法に著しい制限がある状態 口唇・口蓋裂等の先天異常の後 遺症による著しい咬合異常があ り、歯科矯正治療等を必要とす る状態 口唇・口蓋裂等の先天異常の後遺症による咬合異 常によるもの そしゃく機能障害の基準・程度 4級 そしゃく機能 の著しい障害 ・重症筋無力症等の神経・筋疾患によるもの ・延髄機能障害(仮性球麻痺、血管障害を含む)及 び末梢神経障害によるもの ・外傷・腫瘍切除等による顎(顎関節を含む)、 口腔(舌、口唇、口蓋、頬、そしゃく筋等)、咽 頭、喉頭の欠損等によるもの20
第 1 章 各種手帳制度ます。関節可動域による認定では、各関節と も、全ての運動方向の可動域で判断します。 例)股関節「屈曲⇔伸展:5°/外転⇔内転: 10°/外旋⇔内旋:10°」の場合は、いずれ も可動域が 10 度以内で全廃(4 級)となります。 ③ 徒手筋力テストは、各関節とも各運動方向の 平均値(小数点以下は四捨五入する)で求めます。 例)股関節「屈曲 3 伸展 4 外転 3 内転 3 外旋 3 内旋 4」の場合は、平均値 3.3 の小数 点を四捨五入し、股関節は 3 相当となります。 ④ 徒手筋力テストと関節可動域では、いずれか が基準に該当すれば認定することができます。 ⑤ 一上肢、一下肢の障害とは、それぞれ一肢全 体に障害が及ぶものを意味し、各関節の障害 を個別に合算した結果とは必ずしも一致しな い場合があります。なお、障害原因が一関節 に限定されている場合は、その関節のみの機 能障害で認定するべきであり注意が必要です。 例)大腿骨頸部骨折後の機能障害は、一般的 に「股関節機能障害」として認定します。 ⑥ 診断書中の「動作・活動」所見は、主として 多肢障害または体幹障害を認定する際に、 個々の等級が妥当か否かの判定の参考にする ため示されています。一つの動作・活動所見 のみでは判断せずに、総合的に判断する必要 があります。評価は、左右共同による動作に より行います。 ⑦ 「動作・活動」所見の評価項目 「寝がえりする、足をなげ出して座る、椅子 に腰かける、片脚立位、立つ、家の中の移動、 二階まで階段を上って下りる、屋外を移動す る、公共の乗物を利用する、洋式便器にすわ る、排泄のあと始末をする、コップで水を飲 む、箸で食事する、シャツを着て脱ぐ、ズボ ンをはいて脱ぐ、顔を洗いタオルで拭く、ブ ラシで歯をみがく、タオルを絞る、背中を洗 う」、各項目について、「自立(○)」、「半介助 (△)」、「全介助又は不能(×)」の 3 段階で 評価を行います。 座位や起立、歩行、上肢を使うなどの能力 障害に基づく認定(例えば一下肢の著しい障 害の指標は、1 ㎞以上の歩行不能など)は、 指定医の総合所見にあわせ、この「動作・活 動」所見を判断材料の一つとしています。 札幌市では平成 19 年 4 月から肢体不自由の 診断書・意見書の様式を変更し、「上肢で下げ られる重さ」、「歩行できる距離」、「ブルンス トロームステージ(脳血管疾患の場合)」など を記載できるようにしています。 (3)関節可動域テストと徒手筋力テスト 国の要領では、「障害認定に当たっては、目的動 作能力に併せ関節可動域、筋力テストの所見を重 視しているので、その双方についての診断に遺漏 ないよう記載する」とされており、障害程度の認 定では、特に関節可動域テストと徒手筋力テスト の結果を重要な指標としています。 ① 関節可動域(ROM=range of motion)テスト 身体の各関節を原則として他動的に動かし た時の関節の運動範囲を測定します。他動を 原則とし、疼痛をおしてまでは測定しません。 表示および測定方法は、日本整形外科学会 身体障害委員会及び日本リハビリテーション 医学会評価基準委員会において示された「関 節可動域表示並びに測定法」に基づいて行わ れます。測定は、各部位と運動方向ごとに「基 本軸」と「移動軸」の交点に角度計の中心を 合わせ両軸のなす角度を 5 度刻みで測定し、 表示方法は、関節運動ごとの基本肢位の状態 を 0°として 5 度単位で表示します。関節可動 域テスト結果による認定に際しては、前述の とおり連続した可動域の幅で判断します。 ② 徒手筋力テスト(MMT=manual muscle testing) 各関節の筋群の重力や抵抗に対抗してでき る運動能力を数量化します。一般的には、 Daniels,L.の 6 段 階評価法 (Normal: 5 、 Good:4、Fair:3、Poor:2、Trace:1、Zero: 0)です。筋力は下表のとおり区分され、実際 の診断書では 0~2 は×、3 は△、4~5 は○で 表示します(下表参照)。 5 正常 Normal 100% 検査者の手で加える最大抵抗 に 抗 し て 自 動運 動が 可能 。年 齢・性・体格からみて正常の筋力 4 やや減 Good 75% 検査者の手の置いた程度の抵 抗(重力と中等度の抵抗)に抗し て自動運動が可能 △ 3 半減 Fair 50% 身体の部分の重さに抗して(重 力に抗して) 、全可動域の自動 運動が可能 2 著減 Poor 25% 身体の部分の重さに抗し得ない が、それを排する体位 ・ 姿 勢で は、自動運動が可能 1 消失 Trace 筋の収縮が目で確認できるか、 手で触知できるが、関節の運動 は起こらない 0 活動無Zero 筋の収縮が全くない 数的 スコア 具体的な内容と目安 × ○ 質的 スコア 診断書 の評価 第 1 章 各種手帳制度
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(4)上肢機能障害 ① 一上肢全体の機能障害 ② 上肢の各関節の機能障害 ③ 手指の機能障害 注 1)一上肢の障害とは、一上肢全体におよぶ機能障害を指します。一上肢全体の障害であるか、または個々 の関節等の重複障害であるかは、障害の実態を勘案し慎重に判断します。 注 2)ここであげられた具体例は、機能障害の一面を表したものであるので判定では、関節可動域や筋力等 の機能障害が基準(全廃、著しい障害、軽度)に相当することを前提とし、具体例を加味し、機能障害 全般を総合して判断しなければなりません。 機能障害のある指の数が増すにつれて幾何学的に障害が重くなり、特におや指、次いでひとさし指の機 能が重要。おや指については摘む、握る等の機能を特に考慮します。 等級 3級 4級 5級 6級 7級 認 定 指 標 各 指 の 機 能 障 害 全ての指の機能を全廃したもの ①おや指及びひとさし指の機能を全廃したもの(両上肢の場合3級)、②おや 指又 はひ とさ し指 を含 め3指の機能を全廃したもの、③おや指又はひとさし指を含め4指の著しい障害のもの ①おや指の機 能を 全廃 した もの (両 上肢 の場 合4 級) 、② おや 指及 びひ とさ し指 の著 しい 障害 のも の、③おや指又はひとさし指を含め3指の著しい障害のもの ①おや指の著しい障害のもの(両上肢の場合5級)、②ひとさし指を含め2指の機能を全廃したもの ①ひとさし指を含め2指の著しい障害のもの、②なか指、くすり指、小指の3指の機能全廃したもの 関節可動域 筋力 握力 全廃 3級 各々10度以内 2以下 0㎏ 著障 4級 各々30度以内 3相当 5㎏以内 軽度 7級 4相当 15㎏以内 全廃 - 各々10度以下 2以下 著障 - 各々30度以下 3相当 部位 程度 等級 認 定 指 標 具体例・その他の注意 各指 字を書いたり、箸を持つことができないもの ・鍬又は金槌の柄を握り、各作業ができないもの ・5㎏以内のものしか下げることができないもの ・精密な運動ができないもの ・10㎏以内のものしか下げることができないもの 一 側 の 五 指 全 体 ※各指の認定では、MP関節(中手指節関節)とPIP関節(近位 指節間関節)のどちらも基準に合致すること 関節可動域 筋力 その他 全廃 4級 30度以下 2以下 著障 5級 60度以下 3相当 軽度 7級 90度以下 4相当 全廃 4級 10度以下 2以下 高度の動揺関節 著障 5級 30度以下 3相当 中等度の動揺関節、前腕回内及び回外運動が可動域10度以下 軽度 7級 90度以下 4相当 軽度の動揺関節 全廃 4級 10度以下 2以下 著障 5級 30度以下 3相当 手関節 部位 程度 等級 認 定 指 標 肩関節 肘関節 部位 程度 等級 全廃 2級 7級 精密な運動ができないもの 機能障害のある上肢では10㎏以内のものしか下げることができないもの 認 定 指 標 一 上 肢 肩関節、肘関節、手関節、手指の全ての機能の全廃したもの 著障 3級 握る、摘む、なでる(手、指先の機能)、物を持ち上げる、運ぶ、投 げる 、押 す、 ひっ ぱる (腕の機能)等の機能の著しい障害をいう 機能障害のある上肢では5㎏以内のものしか下げることができないも の( 荷物 を手 指で 握っ ても肘でつり下げてもよい) 一上肢の肩関節、肘関節、手関節のうち、いずれか2関節の機能を全廃したもの 軽度
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第 1 章 各種手帳制度(5)上肢の欠損障害 ※切断や各指の機能障害は、上表以外の組み合わせでも同等程度以上に相当すると見なされる場合は、 各程度障害に準じて認定できる場合もあります。例)両上肢のひとさし指の切断⇒6 級相当 ※上肢の断端の長さは、実用長(上腕では腋窩より計測したもの)をもって計測したものをいう。 等級 1級 2 両上肢を手関節以上で欠く もの 2級 2 両上肢の全ての指を欠くも の 3 一上肢を上腕の1/2以上 で欠くもの 3級 1 両上肢のおや指及びひとさ し指を欠くもの 4 一上肢のすべての指を 欠くもの 4級 1 両上肢のおや指を欠くもの 4 一上肢のおや指及びひ とさし指を欠くもの 6 おや指又はひとさし指を含めて 一上肢の三指を欠くもの 5級 3 一上肢のおや指を欠くもの 6級 2 ひとさし指を含めて一上肢 の二指を欠くもの 疑義解釈)両上肢のひと さし指を欠くもの 疑義解釈)一上肢のひとさし指と対 側上肢のなか指、くすり指、小指を 欠くもの 7級 5 一上肢のなか指、くすり指 及び小指を欠くもの 障害程度等級表および疑義解釈より抜粋 ※「指を欠くもの」の定義 おや指については指骨節間関 節(IP関節)以上、その他の指に ついては、第一指骨間関節(PIP 関 節) 以上を 欠くも のをいい ま す(下図参照)。 【該当しない】 【該当する】
×
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(6)下肢機能障害 ① 一下肢全体の機能障害 ② 下肢の各関節の機能障害 ・下肢機能障害は、「機能障害」「欠損障害」および「短縮障害」の 3 つに大別されます。 ・欠損障害と短縮障害の重複認定はできませんが、いずれか上位等級に該当する方で認定できます。 注 1)一下肢の障害とは、一下肢肢全体におよぶ機能障害を指します。一下肢全体の障害であるか、また は個々の関節等の重複障害であるかは、障害の実態を勘案して慎重に判断する必要があります。 注 2)ここであげられた具体例の数値は、機能障害の一面を表したものであるので判定では、関節可動域 や筋力等の機能障害が基準(全廃、著しい障害、軽度)に該当することを前提に、具体例を加味して機 能障害全般を総合した上で判断しなければなりません。 ◇参考:平成 26 年 4 月より人工関節等を入れた方に対する身体障害者手帳の認定基準が変わりました。 医療技術の進歩により、人工関節や人工骨頭を入れても大きな支障がなく日常生活を送ることができる 方が多くなったことを踏まえ、医学的見地から検討を行い、平成 26 年 4 月から身体障害者手帳の認定基 準を見直すこととなりました。平成 26 年 3 月までに人工関節を入れて認定された方は、股関節・膝関節 機能の全廃(各 4 級)、足関節機能の全廃(5 級)としていましたが、平成 26 年 4 月以降に人工関節等を 入れて認定する場合には、術後の経過が安定した時点(例としては、指定医が安定したと判断した時期、 リハビリテーション終了時、退院時など)での、関節可動域や筋力等(上記の表参照)に応じて認定する ことになりました。なお、旧基準で認定された方の人工関節等の再置換を除きます。 関節可動域 筋力 動揺関節 その他 全廃 4級 10度以下 2以下 著障 5級 30度以下 3相当 軽度 7級 4相当 小児の股関節脱臼で軽度の跛行を呈する 全廃 4級 10度以下 2以下 高度 高度の変形 著障 5級 30度以下 3相当 中等度 軽度 7級 90度以下 4相当 軽度 膝関節の筋力低下で2㎞以上の歩行不能 全廃 5級 5度以下 2以下 高度 高度の変形 著障 6級 10度以下 3相当 中等度 軽度 7級 30度以下 4相当 軽度 全廃 下駄、草履を履くことができない 著障 ※両側の場合のみ7級。特別な工夫をしなけ れば、両足とも下駄・草履を履くことができ ない 足 指 部位 程度 等級 認 定 指 標 股関節 膝関節 足関節 7級 部位 程度 等級 軽度 7級 認 定 指 標・具 体 例 一 下 肢 全廃 3級 下肢の運動性と支持性をほとんど失っているもの ①下肢全体の筋力低下のため患肢で立位を保持できないもの ②大腿骨又は脛骨の骨幹部偽関節のため、患肢で立位を保持できないもの 著障 4級 歩く、平衡をとる、登る、立っている、身体を廻す、うずくまる、膝をつく、座 る等の下肢の機能の著しい障害 ①2㎞以上の歩行不能なもの、②1時間以上起立位を保つことができないもの ③横座りはできるが、正座及びあぐらのできないもの ①1㎞以上の歩行不能なもの、②30分以上起立位を保つことができないもの ③通常の駅の階段昇降が手すりにすがらなければできないもの ④通常の腰掛けでは腰掛けることができないもの ⑤正座、あぐら、横座りのいずれも不可能なもの
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第 1 章 各種手帳制度(7)下肢の欠損、短縮、切断 ※下肢短縮 計測の原則として、上前腸骨棘より脛骨内果下端までの直線距離を計ります(等級は上表参 照)。 ※大腿又は下腿の部位及び長さは実用長をもって計測する(大腿では坐骨結節の高さより計測)。 したがって、肢断端に骨の突出、瘢痕、拘縮、神経断端腫、その他の障害があるときは、その障害の程 度を考慮して上位等級に編入することもあり得ます。 ※一下肢が伸長して、両下肢の脚長差が生じた場合も「短縮障害」で認定できます。 等級 1級 2 両下肢の大腿の2分の1以上で 欠くもの 2級 2 両下肢下腿の2分の1以上で欠 くもの 3級 1 両下肢ともショパール関節(足 部の踵近くの関節)以上で欠くも の 2 一下肢の大腿の2分の1以上で欠 くもの 4級 1 両下肢の全ての指を欠くもの 3 一下肢下腿の2分の1以上で欠く もの 6 健側に比して10㎝以上、又は健 側の長さの10分の1以上の短縮 5級 3 健側に比して5㎝以上、又は健 側の長さの15分の1以上の短縮 6級 2 リスフラン関節(土ふまずのあ たり)以上で欠くもの 7級 5 一下肢の全ての指を欠くもの 6 健側に比して3㎝以上、又は健 側の長さの20分の1以上の短縮 障害程度等級表より抜粋 第 1 章 各種手帳制度
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(8)体幹機能障害 注 1)体幹機能障害では 1 級、2 級、3 級および 5 級のみが記載され 4 級と 6 級は欠となっていま す。これは、体幹の機能障害は四肢と異なり、 具体的および客観的に表現が難しいので大きく 分けられています。3 級から 5 級に示される症 状の中間と思われる場合には 4 級とすべきでは なく、5 級に留めるべきとされています。 注 2)「具体例」は障害の一面を表したものである ので、認定にあたっては、その機能障害全般を 総合した上で定めなければなりません。 〔留意事項〕 ① 体幹とは、頸部、胸部、腹部および腰部を含 み、その機能には各部の運動機能以外に体位 の保持機能も重要視されています。 ② 体幹不自由は、高度の体幹麻痺をきたす症状 に起因する運動機能障害の区分として設けら れており、原因疾患の主なものとして脊髄性 小児麻痺、強直性脊椎炎、脊髄損傷等があり ます。 ③ 体幹の不自由をきたすものには、四肢体幹の 麻痺、運動失調、変形等による運動機能障害 である。これらの多くのものは障害が単に体 幹のみならず四肢にもおよぶものが多く、こ のような症例における体幹の機能障害とは、 四肢の機能障害を一応切り離して、体幹のみ の障害を想定して認定します。 したがって、このような症例の等級は体幹 と四肢の想定した障害の程度を総合して判定 しますが、この際に 2 つの重複する障害とし て上位の等級に編入するのには十分注意を要 します。特に、下肢機能障害との関係に注意 を要し、例えば、臀筋麻痺で起立困難の症例を、 体幹と下肢の両者の機能障害として 2 つの 2 級 を合算して 1 級に偏入することは妥当ではあり ません。 ④ 片麻痺など半身不自由の場合、座位や起立の状 態にのみ着目して一律に体幹機能障害単独で認 定することは適当ではありません。 ⑤ 腰髄の下位損傷などでは、原因となった疾病は 腰部ですが、障害は一般に下肢に出現するため に体幹機能障害よりは下肢機能障害として認定 するのが適当です。 ⑥ 脊髄小脳変性症などで、四肢体幹に器質的な異 常がない場合は、基本的には平衡機能障害とし て認定しますが、特に機能障害が著しく「動作・ 活動所見」等のその他の所見から障害程度が明 らかな場合は四肢体幹機能障害として認定する ことも可能です。 ⑦ 体幹機能の障害と下肢機能の障害がある場合 は、上位等級に該当するどちらか一方の機能障 害で認定することが原則です。仮に、体幹機能 障害と下肢機能障害を重複認定した場合には、 指数を合算せずに、総合等級は、より上位の等 級とします。 1級 3級 5級 部位 等級 認 定 指 標 定 義 日常生活能力 体 幹 座っていることができないもの 腰掛け、正座、横座り及びあぐらのいずれもできな いもの 2級 座位又は起立位を保つことが困難 なもの 10分間以上にわたり座位または起立位を保っている ことができないもの 起立することが困難なもの 臥位又は座位より起立することが自力のみでは不可 能で、他人又は柱、杖その他の器物の介護により初 めて可能になるもの 歩行が困難なもの 100m以上の歩行が不能のもの、又は片脚による起立 位保持が全く不可能なもの 著しい障害 体幹の機能障害のために2㎞以上の歩行不能のもの
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第 1 章 各種手帳制度(9)脳原性運動機能障害 ① この区分で程度等級を判定するのは、乳幼児 期以前に発現した非進行性脳病変によっても たらされた姿勢および運動の異常について限 られており、具体的な例は脳性麻痺です。 また、脳原性の障害としては、脳性麻痺の 他、乳幼児期以前に発症した脳炎または脳挫 傷、無酸素脳症等の後遺症等による全身性障 害を有するものを想定しています。 ② 乳幼児期に発現した障害によって「脳原性運 動機能障害と類似の症状を呈するもの」で、 肢体不自由の「上肢、下肢、体幹」の認定方 法によることが著しく不利な場合は、「脳原性 運動機能障害」の認定方法により行うことが できます。この脳原性の障害ではないが、類 似の症状を呈する障害としては、脊髄性麻痺 等のように乳幼児期には原因が明らかになら ない全身性障害を想定しています。 ③ 判定方法は、生活関連動作を主体としたもので あるので、例えば検査教示が理解できない知的 障害の場合など、乳児期の判定に用いることが 不適切な場合は、肢体不自由の「上肢、下肢、 体幹」の認定方法で判定します。 ◇参考:身体障害者認定基準の取扱いに関する疑 義について (平成 15 年 2 月 27 日障企発第 0227001 号) 〔脳原性運動機能障害第 1 項〕 問)上肢機能障害に関する紐むすびテストにおい て、著しい意欲低下や検査教示が理解できない、 或いは機能的に見て明らかに検査結果に信憑性 が乏しい場合にはどう取り扱うのか。 答)認定基準に定めるテストを実施することが原 則であるが、この方法によりがたい場合には、 肢体不自由の一般の関節可動域、筋力テストな どの方法をとらざるを得ない場合もある。 等級 説 明 1級 19本以下のもの 2級 33本以下のもの 3級 47本以下のもの 4級 56本以下のもの 5級 65本以下のもの 6級 75本以下のもの 7級 76本以上のもの 説 明 2級 5動作全てができないもの 3級 1動作しかできないもの 4級 2動作しかできないもの 5級 3動作しかできないもの 6級 4動作しかできないもの 7級 5動作の全てができるが、上 肢に不随意運動・失調等を 有するもの 部位 認 定 指 標 上 肢 機 能 障 害 一 上 肢 に 障 害 が あ る 場 合 両 上 肢 に 障 害 が あ る 場 合 5分間に、長さ概ね43㎝のとじ紐を何本結ぶことができるかを検査するもの。 具体的には、とじ紐を机の上に被験者から10㎝離して3㎝間隔で並べる。被験者は 手前の紐から順に紐の両端をつまんで軽くひと結びする。 次の5動作の可否を検査するもの ①封筒をはさみで切る時に固定する(患手で封筒を固定、患手を健手え封筒にのせ ても可。健手で鋏を使う。封筒の切る部分をテーブルの端から出しても良い) ②さいふからコインを出す(患手で財布を空中で支えて健手で出す。ジッパーを開閉 することも含む) ③傘をさす(開いている傘を空中で支え、10秒間以上まっすぐ支える。座位のままで よい。肩に担いではいけない) ④健側の爪を切る(大きめの約10㎝の爪切りで特別の細工の無いものを患手で使う) ⑤健側のそで口のボタンをとめる(糊のきいていないワイシャツを健肢に袖だけ通し、 患手でそで口のボタンをかける。男女とも男性用ワイシャツを使用する) 紐結びテストの結果 5動作の能力テストの結果 部位 等級 認 定 指 標 1級 伝い歩きができないもの 2級 伝い歩きのみができるもの 3級 支持なしで立位を保持し、その後10m歩行することはできるが、椅子から立ち上がる動作又は椅子に 座る動作ができないもの 4級 椅子から立ち上がり10m歩行し再び椅子に座る動作に15秒以上かかるもの 5級 椅子から立ち上がり10m歩行し再び椅子に座る動作に15秒未満でできるが、50㎝幅の範囲を直線歩行 できないもの 6級 50㎝幅の範囲を直線歩行できるが、足を開き、しゃがみこんで、再び立ち上がる動作ができないもの 7級 6級以上には該当しないが、下肢に不随意運動・失調等を有するもの 移 動 機 能 障 害 第 1 章 各種手帳制度