第2章
子どもの安全に関する保護者の
意識
子どもたちの安全に関する意識や取り組みについて,保護者は,どのように思っている
のだろうか。自分の子どもやほかの子どもが安全に過ごせるために,どのように行動しよ
うとしているか,子どもの安全に対する保護者の意識を調査した。
2-1 子どもの安全を考える上で,次の項目について,家庭で十分に話し
合いが行われているか
保護者は子どもたちの安全についてどのように思っているだろうか。「子どもへの犯罪」
「交通事故」「ネット犯罪」「自然災害(地震・火災等)」の4つの項目をあげ,それぞれに
ついて家庭で十分に話し合いが行われているか小2,小4,小6,中1,中3の保護者を
対象に調査した。
A 子どもへの犯罪
28.4%
27.3%
30.0%
25.3%
30.7%
54.6%
57.7%
54.3%
14.5%
13.7%
14.9%
13.5%
53.4%
57.4% 15.4%
1.3%
2.5%
1.7%
1.9%
1.5%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
小2
小4
小6
中1
中3
思う まあまあ思う あまり思わない 思わない 無回答
B 交通事故
51.9%
45.3%
45.9%
39.1%
42.9%
45.2%
45.9%
52.3%
6.4%
7.1%
51.6%
47.1%
7.4%
4.7%
2.9%
1.5%
0.8%
1.2%
0.8%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
小2
小4
小6
中1
中3
思う まあまあ思う あまり思わない 思わない 無回答
C ネット犯罪
8.1%
15.2%
22.1%
26.7%
12.4%
24.3%
38.2%
38.8%
40.7%
34.8%
31.2%
19.5%
44.3%
26.9%
11.8%
5.7%
4.5%
48.8%
41.0%
5.0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
小2
小4
小6
中1
中3
思う まあまあ思う あまり思わない 思わない 無回答
D 自然災害(地震,火災など)
15.1%
19.3%
18.4%
18.9%
19.2%
44.7%
50.9%
54.9%
32.5%
25.2%
30.0%
29.1%
22.9%
7.7%
49.0%
48.8%
3.0%
3.0%
2.8%
4.6%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
小2
小4
小6
中1
中3
思う まあまあ思う あまり思わない 思わない 無回答
「子どもへの犯罪」について,家庭で十分に話し合いが行われていると「思う」「まあ
まあ思う」を合わせて8割以上,「交通事故」について9割以上を占め,これらの項目に対
する意識が高いと言える。子どもたちの身近な生活の中で起こりうる問題であると考えて
いる保護者が多いと思われる。
「自然災害」についても,「思う」「まあまあ思う」の回答を合わせて6割以上を占め,
関心が高いものの,約3分の1の保護者が「あまり思わない」「思わない」としている。学
校・地域での防災訓練が行われ,防災への関心が高いものの,十分に浸透しきっていない
ようである。
以上の3つの項目については学年別に大きな変化もなく,ほぼ同様の傾向を示していた
が,「ネット犯罪」については学年が上がるにつれ,「思う」「まあまあ思う」と答える割合
が増加している。中3の保護者では,7割以上が家庭での話し合いの必要性を感じている。
それに対して,小4の保護者では3割強,小2の保護者では2割に満たない。これは,
インターネットや携帯電話の使用状況に大きく関係していると言える。携帯電話を持ち,
2-2 子どもを犯罪から守るために,最も必要と思われる取り組みは何
ですか。
(11 の選択肢の中から 3 つ選んだ)
「子どもへの犯罪」について,保護者はどのような安全対策を考えているだろうか。
いくつかの項目をあげ,もっとも必要と思われる取り組みについて調査した。
子どもを犯罪から守るために
0 10 20 30 40 50 60 70 80
学区内パトロールをする
子ども1人では行動しない
子どもの行動予定を把握する
地域の人たちと情報交換する
地域安全マップの作成
子ども110番の家を増やす
研修の場を設け,防犯意識を高める
不審なことが起きていないか,話し合う時間をつくる
警察のホームページなどで不審者情報をチェックする
メール等を利用し,不審者などの情報提供の迅速化を図る
防犯ブザーの携帯を奨励する
その他
(%)
小学校 中学校
小中の保護者ともに,「子ども一人で行動しない」「子どもの行動予定を把握する」
とする回答が高い割合を占めている。ただ,小学生の保護者では「子ども一人で行動
しない」とする回答が「子どもの行動予定を把握する」とする回答よりも多いのに対
して,中学生の保護者では「子どもの行動予定を把握する」とする回答の割合が高く
なっている。小中の発達段階に応じて,学年が上がるにつれて,一人で行動する機会
が増え,その行動範囲も広がっていくことに応じた対応の変化が見られる。
また,上の2つの項目以外,「近所で不審なことが起きていないか,子どもと話し合
う時間をつくる」とする回答も約半数を占めている。
いずれも保護者が家庭内で行うことができる取り組みが上位を占めている。それに
対して,「地域安全マップを作成する」「子ども 110 番の家を増やす」「警察のホーム
ページなどで不審者情報をチェックする」との回答が小中の保護者とも1割に満たな
い。まず家庭内でできることを優先的に考え,地域や関係機関との協力にもとづく防
犯活動をその補助的役割と位置づけていると考えられる。また,「地域安全マップ」「子
ども 110 番の家」「警察からの不審者情報」が必ずしも十分に浸透していないおそれ
も考えられる。
2-3 あなた(保護者)が参加したい防犯活動はどのようなものですか。
保護者が具体的に参加したいと考えている防犯活動はどのようなものかを調査した。
保護者が参加したい防犯活動
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
保護者,地域による防犯パトロール
地域で開かれる防犯教室や防犯情報交換会
「子ども110番と家」として,自宅を登録する
地域安全マップの作成
当番制の子どもの送迎活動
防犯ブザーなどの防犯グッズの共同購入
その他
(%)
小学校 中学校
2-2の調査では,家庭内での取り組みに回答が集中していたが,全体として防犯活
動への保護者の参加意識が高いものと言える。
特に,小中ともに「保護者,地域による防犯パトロール」に参加したいとする保護者
が8割以上を占めている。PTAや保護者会によるパトロール活動や地域の自治会によ
る防犯活動が行われており,実際に参加した保護者もいることが想定されるだけに,比
較的に参加しやすい防犯活動と思っている保護者が多いためと思われる。
「地域の防犯マニュアルや地域の危険箇所などを示した地域安全マップの作成」に参
加したい保護者の割合が約6割を占めていることも含め,地域で協力して子どもを犯罪
から守ろうとする意識は高く,そうした機会を望んでいる保護者が少なくないと言える。
「防犯ブザーなどの防犯グッズの購入」との回答が約4割を占めているが,これは「自
分の安全は自分で守る」とする防犯意識に関連すると思われる。
「子ども110 番の家として,自宅を登録すること」や「当番制の子どもの送迎活動」
については3割程度の結果であり,日中,保護者が防犯活動に参加することがむずかし
い現状を反映しているようである。活動時間,活動場所,活動内容を工夫することで保
2-4 登下校時に子どもの交通事故を防ぐために,最も必要と思われる
取り組みは何ですか。
登下校時に子どもの交通事故を防ぐために必要な取り組みについて調査した。
登下校時子どもの交通事故を防ぐため必要なもの
0 10 20 30 40 50 60
教師が交差点での見守り活動を行う
PTAに協力を依頼し,見守り活動をしてもらう
地域の人たちに協力を依頼し,見守り活動をしてもらう
学校で交通マナー等について指導を行う(交通安全教室)
家庭で交通マナー等について指導を行う
子どもと一緒に行動し,危険箇所を確認する
その他
(%)
小学校 中学校
「学校で交通マナー等についての指導を行う (交通安全教室)」が必要であるとする保
護者が約半数程度,「家庭で交通マナー等について指導を行う」が約3分の1程度を占めて
いる。保護者は学校と家庭がともに交通マナーの指導を行う必要があると考えている。
また,約3割の保護者は,交通事故防止のために,「PTAによる見守り活動」「地域の
人たちの見守り活動」を必要と考えている。
小中別に見ていくと,小学生の保護者では「子どもと一緒に行動し,危険箇所を確認す
る」との回答が「家庭で交通マナー等についての指導を行う」との回答を上回っているの
に対して,中学生の保護者で反対の結果になっている。小中の発達段階を考えると,中学
生は小学生に比べ,保護者と一緒に行動することを避ける傾向が強いことや、中学生だか
ら本人に任せても安心であると感じていることなどを反映しているためと思われる。
いずれにしても,交通事故から子どもを守るため,学校・家庭・地域の連携・協力が大
切であると考えている保護者が多いと考えられる。
2-5 子どもをネット犯罪から守るため,最も必要と思われる取り組みは
何ですか。
子どもをネット犯罪から守るため,もっとも必要と思われる取り組みについて,いくつ
かの項目をあげ,保護者に調査した。
ネット犯罪から守るために
0 10 20 30 40 50 60 70 80
ネットに関する記事を資料にして,その怖さを子どもたちに伝える
学校裏サイトやプロフなどの状況を把握する
子どもに携帯電話を持たせない
携帯電話やインターネットにおけるルール,マナーを指導する
コンピュータのフィルタリングを強化する
家庭内での携帯電話やコンピュータの使用に制限を設ける
その他
(%)
小学校 中学校
「ネットに関する事件報道や記事を資料にして,その怖さを子どもたちに伝える」との
回答が約6割を超えている。ネット犯罪への理解を深め,その危険性を認識させることが
もっとも必要であると多くの保護者が考えているようである。
また,「携帯電話やインターネットにおけるルールやマナーを指導する」との回答が5
割以上,「家庭内での携帯電話やコンピュータの使用に制限を設ける」との回答が約3割を
占めている。いずれも,携帯電話やインターネットの使用に関するルールやマナーを十分
に指導することで,ネット犯罪から逃れようと意識していると思われる。
子どもに携帯電話を持たせない」とする回答は,中学生の保護者より小学生の保護者の
方が多いが,学年が上がるにつれて携帯電話を持つ子どもの割合が高まる実態に対応した
結果であるといえる。さらに小中合わせて2割程度の回答であることを考えると,携帯電
話やインターネットを子どもたちが活用することを前提にし,保護者がネット犯罪への対
策を考えていると思われる。
しかし,「学校裏サイトやプロフなどの状況を把握する」「コンピュータのフィルタリン
グを強化する」との回答が2割に満たないように,保護者のコンピュータに関する理解
と経験に応じて,具体的な実態把握や対策に差が生じているおそれがあると思われる。
これらに対しては、学校から保護者への啓発活動が望まれると思われる。
2-6 地震や火災などが起きた場合に備え,最も必要と思われる取り組
みは何ですか。
自然災害(地震や火災など)から子どもの安全を守るために必要な取り組みについて,い
くつかの項目をあげて,保護者に調査した。
地震や火災が起きた場合に備えて
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
家族の集合場所・連絡場所を決めておく
地域の避難訓練・防災訓練に参加する
避難場所を確認する
棚などに転倒防止の金具などを取り付ける
棚の上など高いところに物を置かないようにする
火災報知機や消火器を設置する
防災グッズ(商品)を準備している
その他
(%)
小学校 中学校
「家族の集合場所や連絡場所を決めておく」とする回答が8割を超えており,「避難場
所を確認する」との回答が4割であることを含めて考えると,保護者の防災に関する意識
は低くないと言える。
ただ,「棚などに転倒防止の金具などを取り付ける」「棚の上など高いところに物を置か
ないようにする」「火災報知器や消火器を設置する」などの具体的な対策については2割に
満たないことから,防災への意識はあるものの,十分な防災対策を行っているとは言えな
いようである。
2-7 2-1のB,C,Dの項目に関連して,あなた(保護者)が参加し
てみたいと思う活動は何ですか。
2-1のB,C,Dの項目に関連して,参加してみたい活動について保護者に調査した。
保護者の参加してみたい活動
0 10 20 30 40 50 60
地域の交通安全活動(見守り活動)
地域の避難訓練,防災活動
ネット犯罪などの講習会
親子での交通安全教室
AEDの使用や心臓マッサージなどの救急救命訓練
インターネットやブログ等の講習会
その他
(%)
小学校 中学校
「AEDの使用や心臓マッサージなどの救急救命訓練」について,約半数近くの保護者
が参加したいと考えている。最近,さまざまな公共施設にAEDが設置され,その認知度
が高くなったことに関係していると思われる。
「地域の避難訓練・防災訓練」について,約3分の1の保護者が参加したいとしている。
「地域の交通安全活動(見守り活動)」についても,約3分の1余りの保護者が参加の意
思を示している。地域の様々な活動への関心は低くないといえる。
「ネット犯罪などの講演会」について,中学生の保護者は5割近くの関心を示している
のに対して,小学生の保護者は3割程度にとどまっている。2-1のCの項目に対応する
ように,小学生よりも中学生の保護者がより切実性のある問題と感じていると言える。
「インターネットやブログ等の講習会」にも同様の傾向が見られる。
「親子での交通安全教室」については,小中の発達段階に対応して,小学生の保護者が
中学生の保護者の約2倍以上の参加を望んでいる。
以上のことから,保護者は子どもたちの安全にかかわる様々な活動への参加意識を強く
持っていると言える。
第2章のまとめ
保護者は,子どもたちの安全に関する意識や実態について,どのように考えているのか
調査してみたところ,次のようなことがわかった。
子どもたちの安全を守ろうとする保護者の意識は高いといえる。
「子どもへの安全」「交通事故」「自然災害」のいずれについても,家庭での話し合い
がほぼ十分に行われている。「ネット犯罪」については上の学年の保護者ほど関心が高い。
「行動予定の把握」「家庭での交通マナーの指導を行う」など,防犯や交通安全に関わる
家庭での取り組みを重視している回答も多く,さらに,「保護者,地域による防犯パトロ
ール」「地域,PTAによる見守り活動」など,学校や地域で行われる活動に参加したい
とする保護者も多く,子どもたちの安全を守ろうとする意識は高いと言える。
子どもの安全を守るための地域活動に参加したいと考えている保護者は少なくない
が,学校の指導や地域の活動に期待する面も大きいようである。
保護者が参加したい活動として,「保護者,地域による防犯パトロール」との回答が8
割を超え,「地域で開かれる防犯教室や防犯情報交換会」との回答が6割を超えている。
また,「AEDの使用や心臓マッサージなどの救急救命訓練」が半数近く,「地域の交通
安全活動(見守り活動)」「地域の避難訓練・防災活動」が約3分の1の保護者が参加し
たいと回答している。このことから,子どもの安全を守るための地域活動に参加したいと
考えている保護者は少なくないと言える。
しかし,たとえば,「子ども110 番の家として,自宅を登録」「当番制の子どもの送迎
活動」に参加したいとする回答の割合が低く,平日の日中に行われる活動についてはむず
かしい現状がある。「登下校時の見守り活動」を含め,地域の人々に協力してもらうこと
が望まれる。
また,交通安全については,「学校で交通マナー等について指導を行う(交通安全教室)」
との回答が半数を占め,学校の指導に期待する面が大きいと言える。
ネット犯罪の防止については、学年が上がるに応じて保護者の関心が高まっているが,
具体的な対策やマナー等の指導について、学校から保護者への啓発活動が望まれる。
ネット犯罪の防止について家庭での話し合いへの関心は学年が上がるにつれて高まっ
ており,その対策として「ネットに関する記事を資料にして,その怖さを子どもたちに伝
える」が6割以上,「携帯電話やインターネットにおけるルールやマナーの指導」が5割
以上の回答を示しており,保護者の関心が高いといえる。また,「ネット犯罪などの講演
会」に参加したいとする中学生の保護者も5割近くを占めている。
しかし,コンピュータについての理解や経験の違いから,具体的な対応について差異が
生じているようである。「学校裏サイトやプロフ」,「フィルタリング」などについては,
学校から保護者への啓発活動が望まれる。
いずれにしても、学校,家庭,地域の三者の協力関係が不可欠であると言える。