理学 療 法 学
第
31
巻第
3
号
175
〜
181頁 〔2004
年 )報 告
外
側
ウ
ェッ
ジ
が
歩 行
に
与 え
る
影響
一
筋 電 図
学 的分析
を
中心
に
*大
畑 光
司
* *市 橋 則
明
竹 村
俊
一・
要 旨
本
研 究の 目的
は外 側
ウェ ッジ が 歩行 中
の下 肢筋 活 動
,
足 圧中
心,
骨 盤
の運 動 に 与 える影 響
につ いて,明
確
にす
ることであ
る。
健 常 成
人10
名
を対 象
と し,
被 験 者に トレッ ドミ ル上 を時速
3km
で歩 行
さ せ, 立脚
期の ド肢 筋 電
図,
足底
圧 と足 圧 中心 移 動
,
歩 行 中
の骨 盤 中心
の移動
距 離 に 生 じ る変 化 を測 定
し,
外
側ウェ ッ ジの有 無
に よ り比較
し た。筋 電 図解 析
で は,
通常
の歩 行
と比 較 して外
側ウェ ッ ジ歩
行 で は,
長 腓 骨 筋
が 立脚 初 期
か ら 中期
にかけ
て有 意
な筋
活 動の増加
を認
め た。
足 圧中 心
は踵 接 地 時
に有
意 な外 側 変 位 を認
め,
立 脚後
期 か ら有 意 な内 側 変 位
を 認 め た。 し かし歩 行 時
の側方
へ の骨 盤 中心
の移 動
に は変 化
がな かっ た。
本 研 究の結 果
,
外 側
ウェ ッジ に より
,
踵接 地 時
に 足 圧 中 心 を外 側
に変 位
さ せ,
その後
,
腓 骨 筋
の筋 活 動
を増
加
さ せる こ と が 示 さ れ た。
キ
ー
ワー
ド外
側 ウェ ッ ジ,
足 圧 中 心 移 動
,
下肢 筋 電 図
は じ め に足
底 挿板 療 法
は,
身 体
の中
で唯
一
.
・
床
に接
す る部 位
であ
る足 底 部
の形 状 を変 化
さ せる こと
で身 体
に加
わる外 力
を変
化 さ せ ること を目 的
と し てい る。
足 部
の変 形
1}2) や潰
Ut
3〕,
変 形 性 膝 関節 症
4−
7),
スポー
ツ障 害
8)な どの整 形外 科 的 疾 患
の治 療
に 用い ら れてい るの み な ら ず,
神 経
学 的 疾 患
に対
しても使 用 さ
れ てい る9) tc)}。
そ
れぞ
れの疾 思
や症
状 に より使 用 す
る足 底
挿
板
の形状
は異
な り,
代表 的
なも
の には楔
型の ウェ ッ ジ やアー
チ サ ポー
トな ど が あ る。
し かし
これ らの足 底挿 板
が,
立位
や歩 行
に与
え る 影響
につ い て は一
致
し た 見解
に至っ てい ない。
外 側ウェ ッジは足 底 挿
板の中で も,
最 も使
用 頻 度の高
いも
の の ひ とつ であ
り , その力 学 的 な影 響
につ い てはいく
つか
の報
告
が な さ れている。最 も
よく知 られているも
の に安
田 ら 11) の報 告 が あ り,
踵骨
の外
反 と そ れに伴 う機 能 的
下 肢 軸の垂 直
化 が 生 じる とし
てい る。
こ れ に対 し
て,
外 側
ウェ ッ ジ に おけ
る主 な変
化 は,
片 脚 立位
や歩 行
に 見 られ た足 圧
The Efiect of Lateral Wedg 〔
・
d Insoles for Gait onE且ectromyographic Analysis
*
*
京都 大 学 医学 部保 健学科
〔〒606
−
8507 亰 都 市 左 京区 聖 護院川 原 町53)Keji Ohata
、
RPT,
MS,
N〔エriaki Ichihashi,
RPT,
ToshikazuTukcmura
,
RPT,
MS; Sclloo[〔}f HealthSciences
、
Facultyof
Medicine
.
Kyoto University〔受 付日
2003 年8月1日 /受理 日
2004 年 2 月21H )
巾 心
の外 側 変 位で あるとす
る報
告 もあ
る 1214 )。特
に 足 圧 中 心の外 側 変 位
は変 形 性 膝
関節
症の効 果
に関連
してい る と さ れ,
臨 床
的 意 義の高い変 化
であ
る と さ れ る 131。 他に も運 動 学 的
研 究 で は距 骨 ド関 節
,
膝
関節
の前額 面
上 の モー
メ ン トが 変化 す
る という報 告 も
ある 15)16〕。 しか し外
側 ウェ ッジ が歩 行
に与 え
る影響
を知
るた
め に は, 足 圧中
心 や関節
モー
メ ン トの変化
だけ
でな く
,
足 底
面の傾
斜
に よっ て生
じた力
学 的 変化
に対 す
る 生 体の反 応 を知
る ことが重
要 で あ る。
これは,
外 側
ウェ ッ ジ に よるド肢
の筋 活 動
の変
化 を調
べ る こと で明 確
に なると考 え
る。
ウェ ッ ジに よ り 生 じる足 部
の内
外 反 に 対 して下肢 筋 活
動 が ど のよう
に変化 す
る か につ い て は,
す
で に片 脚 立 位
の筋 電
図で調
べ られ
て おり
17)18),
健 常 人
では 足 部 を外
反に強
制
され た場 合
,
多 くの筋
で通 常
の状 態
と比較
して筋 活 動
が 増 加 す
る と さ れて い る。し
か し静 的
な片脚
立位
と動 的
な 歩 行
の筋
電 図は異
な り,
片 脚 立 位に よ る外
側ウェ ッ ジ の影響
が 歩 行 と同
じであ
る とは言
えな
い。 これま
で に外
側 ウェ ッ ジで の歩 行
に お け る筋 活 動
を調
べた定 量 的
な報
告
は筆 者
が調
べ た限 り見 あ た ら ない 。 通常
の歩行
と 比較
し,
外
側ウェ ッ ジに よっ て歩 行 中
のど
の筋
活 動 が変 化 す
る か を詳 細
に知
る こと は、
患者
の歩 行 を正確
に矯
正 する た めの基礎 的
な知 見
とな る と考 える。
本
研究
の 目 的 は歩
行
時の 筋 電 図学 的解 析 を
,足底
圧解析
お よ び ビ デ オ解析
と併
せ て 測定
す ることに より
,
足底 挿板
が歩 行 時
の下肢筋
寛図
に あ た える影 響
と その役
割 を 明 ら かにす
る ことであ る。
176 理 学 療 法 学 第31巻 第
3
号対 象 と方 法
ユ,
対 象
下
肢
に神 経 学
的,
整 形外 科
的障 害
を有
さ ない健常 成 人
10
名 (
男
6
名
,
女
4
名
,
平
均年 齢
23
,
9
±3
.
4
歳 ) を 対 象 と し た。
被 験 者
の身 体 特 性
は身 長
163.
8
±5.
9cm
。体
重57
.
6
±7
.
Okg
,
転
子果 長
76
,
2
±2
.
7cm
で あっ た。
被 験 者
に は事 前
に研 究
の参
加
につ い て の同 意
を得
て行
っ た。
2
.
測定 方 法
足 底 挿板
を使
用 し た状 態
と使 用
し ない状 態
で歩 行
に 生 じ る筋
電 図,
足 底 圧,
二次
元 ビデ オ解
析の変 化 を測 定 し
た。測 定
は筋 電 図 解
析 を行 う
た めの第
…
実 験
と 足底
圧 測 定,
ビデ オ解 析
を行 う
た めの第
二実 験
とに分 割
し た。
足底 挿 板
は4
度 傾 斜
の ウェ ッ ジ 型パ ッ ド(
三進 興 産 社 製
ソ ルボ セ インフ ッ トケ アシ ス テ ム) を 用い て,足 型
にあ
わ せ て幅
6cm
,
長 さ12
cm の大 き
さで左 右 両 足の外 側
ウ ェ ッジを作 成 し
た。第
・
実験
で は フッ トス イッチ と し て 足 圧 測定 器 (
アニ マ社 製
MPIOO
)を 用
い,
筋 電 計
と同
期 さ
せてAD
コ ン バー
タ(
ADI
社 製Power
Lab
l6f
’
e)に
接 続
し,
筋
電 図 に お け る立 脚 期
と遊 脚
期 を 同定
した。第
二実 験
で は靴
を 統一
す
る ため,
同
一
規 格
の教育
用バ レー
シュー
ズを用
いた。 そ れ ぞ れの歩 行
はす
べ て トレッ ド ミル(
酒井 医 療 製
SPR
−
7601
) 上 で行
い,
歩 行
の設 定
は歩 行
速 度 を 時 速3km ,
傾 斜
は0
度 と した
。
そ れ ぞ
れの実 験
に おい て外
側 ウェ ッジのな
い条 件
で歩 行
させ た場 合
(以 下Norma1
条 件
) と4
度傾 斜
の外 側
ウェ ッ ジ を1
枚 貼
付
し た 状態
で歩 行
さ せ た 場 合(
以 下Wedge4
条 件 )
,
4
度 傾 斜
の外 側 ウェ ッ ジを
2
枚 張 り
合 わ せ た状 態
で傾 斜
を8
度
と して歩
行 さ せ た 場合 (
以下
Wedge8
条 件 )
の3
条
件
で比 較 し
た。1
)
下肢 筋 電 図
筋 電 位
の 測定
に は筋
電計
(ト リ ウム社 製
TH
−
MOO8
: ア ンプの周
波数 帯 域
5−500
Hz
)
を 用い,AD
コ ンバー
タ にてAD
変 換
を行
い,
サンプ リング周
波数
lkHz
でパ ソ コ ン に取 り込
ん だu 被 験筋
は,
右
下 肢の 中 殿 筋(
M
GIuteus
Medius
二以 下GM
)
,
大 内転 筋 (
M .
Adductor
Magnus
:以下
AD )
,
半 膜 様 筋
(
M
.
Semimembra −
nosus :以 下
SM
)
,
大 腿
二 頭筋
(M
,
Biceps
Femoris
:以 下
BF
)
,
前 脛 骨 筋 (
M
.
Tibialis
Anterior
:以下
TA
),
内 側 腓腹 筋 (
M
.
Gastrocnemius
Medial
head
二以 下GCM
)
.
外 側 腓 腹 筋
(
M
,
Gastrocnemius
Lateral
head
:以 ド
GCL
)
,
長 腓 骨筋
(M
.
Peroneus
Longus
:以 下
PL
)
の8
筋 と し た。
電 極
に は直 径
8mm
の銀 塩 化
銀 電 極 を 用
い,
皮 膚
処 理 剤 を 川い て電 極
間 抵 抗 を10k
Ω以
ド
に設
定 し た。
電 極 間距 離
は2crn
と し, 双 極誘 導 法
で筋 電 図 を 測
定
し た。 アー
ス電 極 は 膝蓋
骨 に貼 付
した。各
施 行で得
ら れ た5
歩 行 周 期の筋 電 生 波形
に対
し てO
.
05
秒
の 二乗 平 均 平 方 根 (
Root
Mean
Square
l以 下RMS
)に よ
り整 流 平 滑 化
を行
っ た。
さ ら に5
歩 行 周 期
のRMS
波 形
を平
均 した後
,
立脚 時
間 を100
% と して(
%
Stance
Phase
:以 ド%
SP
)
,
時 間
の 正 規化
を行
い 19),
%SPO
か らユ00
%ま
での10
% 間 隔
の補
E
値 を算 出
し た。
さ ら に各 筋
におい て得
ら れたf
直
は3
秒 間
の最 大 等 尺性 随 意 収 縮
の平 均
を100
% と し たと き
の割 合 (
以下
%RMSEMG
) で表
して振 幅
の正 規化
を行
った
。
2
) 足 圧解 析
足
底
圧の測 定
は 足 圧 測定 装 置 (
パ ロテッ ク メディカル テクノロジー
社 製
Parotec
System
) を 用い,
歩 行 時
の 足底
圧,
お よび足 底 面
上におけ
る 足 圧 中心 (
Center
ofPressure
:以 下COP
)の軌 跡
を記
録 し た.
左 右 両 足 部
の靴
の中 敷 き
にセ ンサー
を挿 入
し,
その上 に 外 側ウ ェ ッジを 貼 付 し
た。 センサー
か らの入 力 を
サンプ リング 周 波数
100Hz
で記 録
し,
得
ら れ た5
歩 行 周期
の右
立脚
期デー
タ に 対 して筋 電 図
と同様
に時 間
の 正 規化 を行
い,
立 脚時 間
を100
% と して,
%
SP
で表
し た。
%SP
の10
%
ごと
に右 足 底 面
に加
わ る 足底
圧の平 均 値
を算
出 し,
得 ら れ た 足底
圧を体 重 比
で表
し た。
ま たCOP
位 置 も同 様
に 立 脚 時 間 をユ00
% とし て時 間
の正 規化 を行
い,
右足 底 面
のCOP
の座標
を %SP
のIO
%
ご と に算
出 し た。
COP
位 置
は踵 骨 中 央
を 原点 と
し,
X
座 標
は外 側 方
向
が 正,Y
座 標
は足軸
の前 方
向 が 正 と し た。
特
にCOP
のX
座 標 (以 下COPx
) を中 心
に歩 行 時
の変化 を解 析
し た。3
) ビデ オ 解析
ビデオ
解 析
に 用いた映像
は市
販のデ ジ タル ビデオ カ メ ラCSONY
社 製
DCR −TRV9
)
}こより撮 影
し た。
ビデ オ カ メラは ト レッ ドミル の進 行方 向
が 正而
になるよう
に設
置
して 固定
した
。歩 行 中
に トレッ ドミ ル に対 す
る身
体の位 置
が前 後
しな
いよう
に被 験 者
に 注意 を促
し た。身 体
マー
カー
を右
踵 中央
,右 腸 骨 稜
,
左 腸 骨 稜 に 貼 付 した。
撮
影 し
た ビデオ画 像
か ら安 定
した
1
歩 行 周 期
を動
画フ ァ イ ル と してパ ソ コ ン内に取 り込
み,
サ ンプ リング 周 波数
30Hz
で静 止 画 像
に変換
した。
これ らの静
止画 像
か ら 水平
方向
をX
’
軸
,
垂 直 方 向
をZ
’
軸 と し たと き
の各
マー
カー
の 「 次 元座 標 を
座標 算
出 ソ フ ト(
ト リウ ム社 製
MPIOOO
)
に よ り算 出
した
。左 右
の腸 骨 稜
の 中点 座 標
を骨
盤中
心 と し,
右 立 脚 期
の踵 接
地にお け る 骨盤 中心
の位
置
を0
と して,
歩 行 中のX
’
座 標
上で骨
盤 中心
の変 位 を
骨 盤 移 動 距 離
と し て表
し た。 さ らに他
の測 定 項 目と同様
に立脚
時 間 を100
% と して時 問
の正 規 化 を行
い,
%
SP
で表
し た。
%SP
の10
%ご との骨 盤 移動 距 離 を 各 条 件
で 比較
した。
4
) 解
析 方法
外 側ウェ ッ ジの傾
斜 角
度の変 化によ るk
脚 期
の平 均
%RMSEMG
の変 化
を一
元 配置
反 復 測定 分 散 分 析
と多
重 比較
(Tukey
−
Kramer
検 定 ) により比 較
し,
%SP
の 10%外 側ウェ ッ ジが 歩 行に与え る影響 177
表1 外 側ウェ ッ ジ に よ る%
RMSEMG
の立 脚 期の平均 値
Stance
Phase
:%Normal
Wedge4
Wedge8
FPvalue中殿 筋 (
GM
〕 22.
0
±/1
.
121
.
8
±⊥
0
.
1
24
.
7±12
.
7
工0.
1340
.
001* 大 内転 筋 (AD )14
.
1±
8
.
〔}13
,
3
± 7.
114
.
4
± 8.
11
.
766 0.
199 半 膜 様 筋 (SM
)14
.
3
±8
.
614
,
5
±9
,
3
工
5
.
0
±92
0
.
450
0.
644 大 腿二頭 筋 (BF
〕 ⊥0
,
0
±52
9、
2:
ヒ3
.
3
9
.
5±3.
80
.
5400
.
592
前 胖 骨 筋 (TA
)13
.
2
± 7.
8
]
2
.
5± 6、
51L8
±7.
11
.
074
0.
363内
側 腓腹 筋 〔GCM
)39
.
2
±ll
.
237.
6
・10
,
337
.
8
。ll
.
0
1,
1970
.
325 外側腓 腹 筋 (GCL
)24
.
1± 14.
0
22
.
6± 13.
7
23
.
4
± 15.
70
.
491
0
.
620
長 腓 骨 筋 (PL
)40
.
7
±22
.
142
.
4
± 22.
250
.
4
±29
.
25
,
488 0、
014**
,
p
く0.
05repea しed measureANOVA
,
(
Ave
,
± ISD)df
;
2 ご との%
RMSEMG ,
足 底
圧,
COPx ,
骨 盤
移動 距 離
の変 化 を
一
元 配 置 反復 測 定 分 散 分析
に よ り比較
し た 。各
項目
に お け る有 意 差 検 定
の危 険率
は5
% と し た。結
果
ユ.
下肢 筋
電図
立 脚 期の
平均
%RMSEMG
を
比較 す
る と,
GM ,
PL
に おい て外 側
ウェ ッジの傾 斜 角 度
に伴 う有 意
な 増 加 を認
め た (表
ユ)
。GM
ではWedge8
条件
に お いて他
の 二条 件
より有 意
に高 くな り
(
p 〈0
,
05
)
,
PL
で はWedge8
条 件
がNomlal
条件
より有 意
に高 値 を
示 し た (p
〈0
.
05
)
。
ま た,
各 筋
につ いて %SP
ご とに比較
し た ところ, ウェ ッ ジの傾 斜 角 度
の増加
に伴
っ て筋 活 動 増 加 を示
し た時期
が あ る の はGM ,
PL
であ
り,
反対
に減 少
を示
し た時 期
が あ る の はSM ,
BF
で あっ た(
図
1
>。
GM
で は40
,
50
%の時
期 に(
df
=2,
F 三
3
.
580
,
5
.
467
,
p 〈0
.
05
),
ま たPL
で は歩 行 周 期
の20
,
30
,
50〜
70
%の時 期
に外 側
ウェ ッ ジ に よ る有
意 な増 加 を
示 してい た(
20,
30
,
60
% :df=
2,F =
4
.
350
,4.
231
,
5
,
955
,
p
〈0
.
05
,
50
,70
% :df
=2
,
F
= 6、
384
,
6.
773
, p 〈O
.
Ol
)
。SM
とBF
で は80
%
の時 期
に(
df
=
2
,
SMIF
=
7
.
144
,
p
〈0.
OI,
BF
:F =
3
.
59Lp
く0
,
05
) 筋 活 動
の有 意 な 減 少 を
認 め た。
その他
の筋
で は どの時 期
にも有
意 な変 化 を認
め な か っ た。
2.
足 圧 解 析 と
ビデ オ解 析
図
2
は足 底
圧 に お ける時
間 変 化 を表
し てい る,
足 底
圧 は %SP
の30
%でNormal
条
件
が体 重
の104.
7
±6
,
2
%
,
Wedge4
条 件
が108
,
7
±4
,
3
%,
Wedge8
条 件
が110
,
8
±7
.
2
%の圧
が か かっ て お り,
外 側ウ ェ ッ ジに よ る有 意 な
増
加 が認
め ら れ た(
df
;
2
,F =
4
.
250
,
p<O
.
05
)
。ま
た %SP
の60
% で はNormal
条件
でll2
.
6
±IO
.
4
%,
Wedge4
条 件
でll3
,
6
±8
,
0
% だっ たの に対
し ,Wedge8
条 件
で は ユ06.
8
±9
.
6
% と
なり
,
有 意
な 減 少 が認
め ら れ た(
df=
2
,
F
=4.
684,
p
<0.
05
)
。
その他
の時 期
で は ウェ ッ ジの影 響
が 認 め られ な
かっ た。
図
3A
は 立脚 期
に おけ
る足 底 面
ヒのCOP
の軌 跡 を表
し, 図3B
はCOPx
の変 化 を表
して い る。COPx
は,
踵 接
地直
後 (
0
%
) に外
側
ウェ ッ ジに よ る有
意な 外
側 変 位 を認
め た(
df
=2
,
F
= ユ&142
,
p
〈0
.
001
)
。ま
た 逆 に60
% 以
降の時 期
にはCOPx
の内
側 変位 を 認
め た (60
%,70
%,
80
% :df
−
2
,
F
≡
3
,
558
,
3
.
914
,
5
,
472
,
p
〈0.
05,
90
%
,100
% :df
−
2
,
F
=
7
、
299
,8
.
7
ユ5
,
と も
にp <0
.
0
ユ)
。 そ れ 以外
の ユ0
%か ら
50
% まで の問
で は有
意 な違
い は 認 め ら れな
かっ た。
図4
は骨 盤 移 動 距 離
の歩 行 時
の推 移 を表 し
てい る 。骨
盤移 動 距 離
の最 大 値
はNormal
条 件
が16
.
0
±9.
l
mm,
Wedge4
条
件
が16
.
1
±8
.
3
mm,
Wedge8
条 件
が15
.
9
±9,
ユmm とな り
,
ウ ェ ッ ジに よ る有
意 な変 化
は認
めら
れ な かっ た。考
察
今
回
の結 果 を
立脚 期 全体
で 見 た場 合
,筋 電 図解 析
の結
果
の中
で外
側ウェ ッ ジの傾斜 角 度
の増 加
に対 し
て有 意
に変 化
し たの はGM ,
PL
であ
った
。
%SP
ご と に み る とGM ,
PL
の筋 活
動の増加
は,
立脚 中 期
に認
め ら れ,
SM
,
BF
につ いては 立脚 後 期
に減
少 して いた
。 な かでも特
にPL
の筋 活
動 増 加 は顕 著
であ り,
外
側 ウェ ッ ジに よ る最 も 大き く
,
かつ 長い時
間の筋 活 動 変 化
が 認 め ら れた
。片
脚 立位
において傾斜 板 を
用い て内 外 反
さ せ た とき
の筋
活動 を 計 測
し た 入谷
ら181, の研 究で は,
中 殿 筋 が外
反位
で増 加
し た と しており
, 本研 究
の結 果 と
一
致 して いる。
ま た,
片 脚
立 位の筋 電 図
で は外
反に より
SM ,
BF
,
GCM ,
GCL
も筋 活
動 が増 加 す
る と してい るが,
今 回の結
果で は各 筋
の増 加 が 認め られず
,
SM
,
BF
につ い て は かえ
っ て滅 少
す る時 期
があ
っ た。
この違
いは片
脚 立位
と歩
行 に おい て外 側
ウェ ッ ジの与 え
る 力学 的 影響
が 異 なる こと178
理 学 療 法 学第
31
巻 第3号8
〔} 「70
600
Σ 50 国 x40 Σ at30
塁20100L
中 殿
筋
一一
ロー−
Normal
ー
*[
率[
・一
〈〉・
・
wedge4
・
・
●・・
WCdge8、
’ 、
’
一一
匿
驢
.
た
ご・
[
、
、
一
一 .
50 400
0 3 2 ご Σ ] Qり Σ 藍 ぎ 100
前 脛 骨
筋
一
.
一
一一
一
.
Lo
%20
% 40%60
% 80%100
%0
% 20%40
% 60% SO% 100%「
0’
⊃ 4°1
晝
30
羇
Σ Of 20大 内転
筋
一
L G Σ ] 岨 Σ 匡 〕 〔0
%.
一
20% 40% 60% 80% 10〔}% 10090807 〔} 60504030201 ・ o0 % 20tfo40 % 60%80
% 10D%60
50
040 Σ 1wo30
Σ 零20
1
叶
o
一
⊥
7060
050至
40
窒
、。 e92010 、)L
外 側
腓
腹 筋
⊥亠
60
% 80%loogf
. 一.
o
%20
% 40%0
% 20%40
%60
% 80% IOOOf.5
(1
「
・・!
0
0
3
2
0 Σ 国 oり Σ 匡10
大
腿
二頭
筋
O Σ 国 の Σ t4012010080604020 * o L−−
L O% 20%一
亠
一 .
一
0
“
.
L 0%2
%40
%60
%80
%100
% %Stancc
Phase
40%60
% YoStance
Phase80 % 100%
図1
外側 ウェ ッ ジによ る %
RMSEMG
の時 間変化 * *外 側 ウ
ェ
ッジ が 歩 行 に 与 え る影響 179を示 し
てい る。足 底 圧
の大 き さ
は立 脚 期 前 半
に増 加
,
立
脚 期 後 半
に減 少 を認
めた
が,
いず
れも
ピー
クの値
に変 化
は な かっ た。一
方,COPx
は %SP
の0
% で外
側 変 (%) 140 120 1001
・・1
・・ 40 20 00,
20 40 60 % StancePhase 80 図
2
外側 ウェ ッ ジ に よ る 足 底 圧の時 間 変 化Foot
Pressure
は 足 底 圧 を体 重の 比 で 示 す.
*
;p<
O
.
05repeated
measureANOVA
.
IOO
位
,
%
SP6e
一
ユ00
% で内 側 変 位 を 認
め た。
ウェ ッ ジ に伴 う
COP
の外
側変 位
は片
脚起
立 12〕13),
歩 行
14♪ に おい て先行 研
究で も報 告
さ れており
,
特
に踵部
の みの外
側ウ ェ ッジ を 用い た 場 合,COP
の外
側 変位
は 立 脚 初 期 に お い て見 ら れ,
立 脚 後 期には 認 め ない と さ れて い る 囲。
こ の傾 向
は本 研 究
と一
致
しており
,
踵接 地 直 後
の外側 変
位
が,
外 側
ウェ ッ ジの一
般 的 な傾 向
であ
ると考 え
られ た、 ビデ オ解 析
の結 果
で は,
骨
盤移 動 距 離
が外 側
ウェ ッ ジ の影 響 を受 け
ていな
かった
,、
これ は外 側
ウェ ッ ジ が歩 行 時
の動 的 な
アライ
メ ント
に影 響 を あ ま り与 え な
いか,
も
しく
は与 え
てい る として も個 人差
が 強 く一
定
の 傾向
が 見 出 せ ないこと を 示唆
し ている。
以E
の こと か ら外 側 ウェ ッ ジに より生
じ る変 化
は踵 接
地 に お け るCOP
の外
側変 位
,
立 脚 巾 期のGM ,
及 び 立 脚 中 期 か ら後 期のPL
の筋 活 動 の 増 加, 立 脚 後 期のCOP
の内 側 変位
で あ る こ と が示
さ れ た。
本 研
究の結 果
を も とに外 側
ウェ ッ ジ歩 行
に おけ
る足 関
節 周 囲 筋
とCOP
軌 跡
の関係 を 立 脚 期
の位 相
ご と に考 察
す
る。
踵 接
地時 (
%SP
O
% )の 最 も大 き な 変 化 はCOP
の外 側 変 位
であ
る。
COP
の外
側変 位
は,
距 骨 下 関 節軸
B
搾
1
10 Latera} 0一
lo Medial尸
一
30A
鬥
(mm )240
220200
180160
140
120100
8060
40
20
0
−
20
一
40−
20 0 − Media1tN
丶噛
噛
i
§
:i
i
l一
匸トー
Normal
l
・
・
。−
W ,dg、、 ノ1
”
・幽
齟
Wedge8厂
! ”1
20
4。 (mm ) −
Lateral
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 10〔〕 %Stance Phase (mm ) 図3 外 側ウェ
ッジ に よ る歩行 時のCOP
軌 跡A
.
COP
軌 跡のXY
平面図B
、
CQPx
の立脚 期に お け る変 化 踵骨 中央 部を 原点と し,
X軸 は外側 を 正,
Y 軸は前方を 正 と し た.
* * * :p<0.
001,
*
*180
理学療法
学第
31
巻 第3
号 403020
?
互
10 躍0
鸛
一
1・−
20
一
30
一
40
一
メ
琳
□Noma
且 oWedge4 ●Wedge8
.
−
tS 恥 塾.
魯
丶
毒
愁0
20
40
60
%Stance
Phase
80
図4
外 側 ウェ ッジ 歩 行の骨 催 移 動 距 離の推 移 100 と床
反力 作
用点
の距 離 が 増 加 す るこ とを 意 味 す る た め,
外
反方 向
へ の モー
メ ン トアー
ム を 増加
させ る こ とに な る。
距骨
ド関節
の外
反モー
メ ン トの増 加
は15)16〕,
これ に 起 因 す る と 考 え ら れ た。
足 底 圧 がピー
ク と な る %SP
の20
%時 期
に はPL
の筋 活 動
が増 加
を示
す。
PL
に よ る 回 内方 向
へ の力
の発
生 は,
同 時
に後
足部
を自発 的
に外 反
さ せ,
ウェ ッ ジに よる足底
面の傾斜
を相 殺 す
る、
こ の た め%
SP
の20
% 前 後
で はCOP
の外 側 変 位 が 認
められ な
く な
っ たの ではな
いか
と考 え
られ
た。
そ
の後
,
COP
の位 置
は逆 転
して内
側変 位
が 生 じるが, これはPL
による 回内
に よ り足底
の内
側 に加
わ る 圧 が高 く
な る た め と考
え ら れ る。
中 殿筋
の筋 活 動
増加
もこ の よう
な 足 部の 不安 定
性
に対
して骨
盤 を固 定す
る た めであ
る と推 察
さ れ る。以 上の よ
う
に今
回の結 果
か ら導
か れ る外
側 ウェ ッ ジ に対 す
る一
般 的
な 反 応 は,
ウェ ッ ジの傾斜
による力 学 的 変
化 を
PL
の筋 活 動 増 加
に よる回 内 運 動
で吸 収 す
る ことであ
る と考 え
ら れ た。以
上の結 果
は歩 行 中
に同 内 運 動 を増
強 し たい場 合
に,
外
側ウェ ッ ジを使
AJ
す
る こと ができ
る ことを
示 し ている。
ま
た 反対
に踵
の外
反を伴 う変 形性 膝
関節 症
に対
しては ウェ ッジの傾 斜 を大 き くす
ると
PL
の 筋 活 動 が 増 加 す る た め,
さ ら に 外 反 を 強 め る結 果 に な る 可 能性
が あ る こ と も示 唆 さ れ る。
本 研 究の結果
の よう
に 足 底挿
板療
法に よ り歩 行に生 じ る 変 化 を 明確
にす ること は,
さ らに多
くの疾 患に対 して足 底挿
板の適 応 を 可 能 とす
る た めに必要
であ
る と考
え る。
本 研 究 は 平 成
13
,
14
年 度 文 部 科 学 省 科 学 研 究 補 助 金 若 手 研 究 (B
) (課 題番 号
13770792
)
の 補 助 を受
けて行 っ た。
文 献D
和田郁 雄,
杉村 育生・
他:小 児外反扁 平足に対 する 装具 療 法 の 適 応 と 問 題 点.
日 本 小 児 整 形 外 科 学 会 雑 誌 9(1}:69
−
73
,
2000
.
2
) 矢 部 裕.
・
朗,
田 中尚喜・
他:踵 骨 外反 に 対 す る 足底挿板とロ ン グ カ ウ ン タ
ー
靴 使用の検 討.
靴の医学14
(2
):60
−
64
,
2001
.
3
) 柳 浦 敬子,
鍋 島祐 次・
他:踵骨 部 分 切 除 に よ り 治 癒 し た 踵部 難 治 性 糖尿 病 性
潰 瘍
の 1例,
臨床
整 形外 科
37 : 199−
202
,
2002
.
4
)大森 豪
,
古
賀良
生 :変 形 性 膝 関節症へ のア プロー
チ変 形性 膝 関 節症の装具 療 法と 足底 板
.
臨床リハ 8(5}:399−
404,
1999.
5) 中 嶋 耕 平,
平 岡 久 忠 :変 形 性 膝 関 節 症に対 する装 具 療 法.
総 合 リハ 29(
3
):233−
238,
2001.
6)浅 見 豊 子:高 齢 者の膝 痛一
リハ アプロー
チ は こうして 装具 療 法の実 際
.
臨 床リハ 10{1):33
−
39
,
1999,
7
) 幅田 孝,
高 倉 義 典:変形性 膝関節 症の保 存 療 法.
足底 板療
i
去関節 夕伺
斗
21
(2
}:63
−
68
,
2002
.
8
) 赤羽勝 司.
木 村 貞 治:足 部ス ポー
ツ障 害に対 する生 体 力 学 的 ア プロー
チ.
理 学 療 法 1・
d
{12
}:962
−
969
.
1997,
9)高
岡淳
,
内田俊彦
・
他
:脳性
小児 麻痺患者に対 する 足底 挿板 療 法の・
症 例.
靴の医学 15 :81−
83,
2DD2.
10
) 中 野 克己.
株 木 慈 郎・
他:脳 卒 中 片 麻痺に対す る 足底 挿 板 の適 応 と 限界.
理学 療 法 17{5):482−
490.
2000,
ll) 安 田 和 則,
加 藤 哲 也・
他:変 形 性 膝 関節 症に対する楔 状 足 底 板の効 果.
その静 力 学 的機 序の 検 討一.
臨 床 整 形 外 科14
:677
−
682
,
1979
,
12) 佐 本 敏 秋,
渡辺好 博・
他:変 形 性 膝 関節 症に対する足 底 装具の使 用 経 験
.
整 形・
災 害 外 科 23(12>ll538−
1542,
1980.
13
)古 賀 良 生:変形性 膝関節症の保 存的 治療.
整 形・
災 害 外 科34
;1533
−
1538
,
1991
.
14
) 中 嶋 耕 平,
平 岡 久忠 :変 形 性 膝 関 節 症に対 する装 具 療 法.
総 合リハ
29
(3
),233
−
238
,
2001
.
15)
Crenshaw
SJ
,
Pello
FE
.
et α1
.
:Effects
oftaterat
.
wedged
insoles
〔}nkinetics
at theknee
.
Clin
Orthop
375:185−
192,
2000
.
⊥6)
Kerrigan
DC
,
Le
上asJL,
et al.
:Effectiveness
of alaterat
−
wedge
lnsole
onknee
varus torquein
patients wTthknee
〔}steoarthritis
.
Arch
Phys
Med
Rehabil
83(7):889−
893,
2002
.
17) 竹 内一
喜,
武 部 恭一
1変 形 性 膝関節 症に お け る 下肢 筋の筋電図 学的研究
,
日 関外 誌4
:455
−
471
,
1987
.
18
) 入 谷 誠 山 嵜 勉・
他:足 部の内,
外反 が 下肢アラ イ メン ト に 及 ぼす 影響
.
理 学療 法学16
〔5
):323
−
330
,
1989
.
19)田 中 繁:床 反 力デー
タの収 集・
処 理方 法.
歩 行 分析デー
タ活用マニ ュ ア ル.
窪田俊夫・
山崎 信 寿 (編 ),
て らぺ い あ,
1994,
pp31−
43.