原
田 昭HaradaAkira
筑 波 大 学
UniversityofTsukuba
図1
.
VIDEO
PLUS
+の操 作 面● イ
ンタフェー
スの商
品化
私
の住
んでいる とこ ろは筑 波研 究学 園都 市
で、こ の
地域
で はACCS
という都 市
ケー
ブ ル テ レ ビが利 用
されてお り
、
私
の ところ でも衛
星放
送
を含
み24
チャ ンネ
ル の番組
の中
か ら選択
して番
組
を見
ることが 出来
る。都市
ケー
ブルコ ンバー
タはNEC 、
ビデ オ デッ キは日
立、
テ レビ はソニー。
これ が私
の テ レ ビ環境
であ
る。多分
どこの 家庭
で も そう
であ
るよう
に録 画
予約
は暗
黙のう
ちに娘
の仕
事
であ
っ たのだが
、
私
の研 究 室
の 研究
テー
マ に ビ デ オコ ン トロー
ラ のイ
ンタフェー
スのデ ザ インを取 り
上げ
たこと もあっ て、
筑 波
で はとう
とう
こ の面倒 な操作 を自分
でや ら な け れ ば な ら ない羽 目
にな
っ てしま
っ た。
1992
年
になっ て、
「
あ
な たの ビデ オ が簡単予約
に早変 わ
り」
という 「
翻
予約
の大
事
件
11
の ふれこみ で 日本
ビク ター
か ら ビデ オ プラスが発売 さ
れた。
私
は早速 使
っ てみ た。そ し
てビ デ オ プラ スの操 作手 順
を ひ とつ ひと
つ記 録
をと
りな が ら踏
んでゆ くう
ち に、こ の
手
の ひらに のる小 さな製 品
が人
と機械
のあ りか
たにつ い て以 下の よう
な多
く
のス トー
リー
を語
っ てい る こ とを
理解
した。
○ ビデ オプ ラス は
録画 予約 操作 が確 か
に驚 く
ほど簡
単
に でき
る。
(
G
コー
ド入力
、
録 画
回数
入力
、
ビデ オの近 く
におく
、
の3
手順
の み)
つま り
、 人の通常 能力
に適 応
した
インタフェー
スを実
現 している。 こ の よう
に思え
るのは今
迄のシス テムの録画 予
約操 作
がい か に面倒
であ
っ たか を示
している。
○ビデ オ プラ スは
機 能 を録
画予 約
だけ
に限定
した とこ ろに わ か りやす
さがあ
る。
この こと は ま さに機 能 を少 な くす
ることが いかにわか りや す くす る か を証 明
し てい る。
○ビデ オ プラ ス は
従 来
の リモ コ ンの よう
に ビ デオ
デッキ に付
属
したも
のでな く
、
ほとんど
の ビ デ オ デッキ がコ ン トm一
ル出 来 る よう
に オー
プン な システムであ
る。 オー
プンなことがいか に気 分
をやわらげ
てくれ
るかを表
してい る よう
に思え
る。
○ビデ オ プラスは
予約 す
る た めの機 械
であ
っ て、
見
るた めの機 械
ではな
い という
ことを認 識 す
れば
極
めて優
れ た予約
コ ン ト ロー
ラ で あ る。以上
のよう
に ビ デ オプ
ラスの良
い点
の反
面、
次
の よう
な問題
点
があ
る。
・
ビ デ オプ
ラスは予約
コ ン トロー
ラ であ
るから、
記録
したり
、
見
たりす
る た めには、
どう
しても
この外
に記 録 状 態 を
設定
す
る ビ デ オコ ン トロー
ラと
、
見
る とき
のチャ ン ネル選択
をす
る都 市
ケー
ブル コ ン トロー
ラ(
また
は ホー
ム テ レビコ ン トロー
ラ)
の2
つを
使
う
必要
が あ る。 つ ま り、
従 来
より
一
つコ ン ト ロー
ラが増
えて しま う
。
・
ビ デ オプ
ラスは録
画予 約操 作
を簡単
に したも
の であ
っ て、
初 期
の事前準 備
のプ リセット操作 を簡
単
に したも
の では ない。(
特
に、
都市
ケー
ブル テ レ ビコ ン バー
タ、
衛 星放 送 内蔵
型 ビデ オ デッキ、
テ レビの3
台
を接 続
し ている とき
に プ リセ ッ ト手
順 が混乱 す
る)
ビデ オ プ ラスは
都 市
ケー
ブルテレビの ユー
ザ
にと
っ て録 画
対 象
は24
膏ン初
のうち
1
エチャン初 しかでき
ない という
不満
が残
る。(
現
在
で は新 聞紙上
のG
コー
ド
が10
廾ンネ1吩
しか付 け
られ ていな
い こと
に よ る)
・
ビデオ プラ スは都 市
ケー
ブル を利
用 している場 合
の裏番組
録 画
で は、
都 市
ケー
ブルコ ン バー
タ の セ ッテ ィ ング を 解 除 し、
内蔵
型ビデ オ手
順 に添
っ た プ リセ ット操 作 を
その都
度行
な わ な け れ ば な ら ない。まと
め て み ると
、
ユー
ザの潜在 的 な
ニー
ズを
拾い上 げて、
問題
の解 決策
と して のイ
ンタフェー
スを独 立 し た商 品
とし た点
は優
れた観 煮
であ
ろう
。 い わ ば情 報
をデザ
インす
ること に よ る「
インタフェー
ス・
プロ ダク ト」
と しての自
立性
を証 明
した と いっ てい いであ
ろう
。 これ か ら この種
の商 品
の誕生 を
予感
させ てい る。徹
底
的 に簡単
でやさ し
い録 画
予 約のデ ザ イン を実現
し た こ と は高 く評 価 さ
れ るべき
で あ る。 しか し同 時
に デザ イ
ンは人
々がど
の よう
な シ チュ エー
ショ ン で道 具 を
使
っ ているのか と いう
ことを丹念
に さぐ
ること
の重
要性
をも気 が
つか
せ てく
れて いる。
ま た多機
能
ば かり
ではな く既存
の道具
のは らむ問 題 点
を一
つだけ解 決す
ること に よ っ て きめの細
かな新
しいデザ
インが 生ま
れ 出 るのだ という
ことも訴 え
て い る。
私
は今
回録 画
予約
の操作
を通
じて、
新
しい製 品
に よっ て「
出 来 ること」
と私
が使
っ て み て「
出 来
たこ と」
との間
にい ささ か ギャ ッ プ はあ
った が
、
新鮮
な道具
の素 質
を感 じ
たの であ
る。
ただ少
々残念
なのは、
ビデオ ブ ラスを使
っ て録 画予約
を行 う
状況
で のわく
わくす
る よう
な魅 力
が感
じ られな
い点
であ
る。
操図
2
.
従 来か ら の インタ フェー
ス作 す
る こと自体
の面 白 さ
を生 み出
してはいない点
で あ る。しか しこれ 以
来
、
これ に代 わ
る録画予 約
のイ
ン タ フェー
ス は出現
してはいない の であ
る。(
原
田昭
:インタフェー
スの商品
化
、
「
インダス トリ アル・
デザ イ
ンNo
、
151
」 日本
インダス ト リ ア ル デザ
イ ナー
協 会
、
1990
*
1
)
●
インタフェー
スデ ザ イ ン は関
係
のデ
ザ イ ン で あ る。
前 述
した
ビデ オプ
ラスが 「
操作 が 簡単 」
と思
え るのは、
テ レ ビ番 組
の入力 を録画
モー
ドにす
る操 作
と、
チャ ンネル番
号
の 入力
、
年
月 日
と時 間
を 入 れ る操作
、
録 画
モー
ドの解 除操作
の4
つを
一
つの操 作
に し たイ
ン タ フェー
ス になっ て い る と ころ に あ る。 しか し よ く考
え
ると
、
指定
番 組 を
コー
ド番号 化す
るとこ ろ に操 作 を単 純化 す
るた めの作業
が別
の とこ ろ で行
わ れているの で あ る。
インタフェ
ー
ス・
デ ザ インは、対
象物
と
してと
らえ
るべき
で はな
い。
イ
ンタフェー
ス・
デザ
インは、
従 来
の よう
な対
象
物
の デザ
イン ではな く
、
人 間
と機 械
の問
に か か わり合 う
体
験 的 状
況
、
かつま
た 人 間と人間
の体 験的状 況 を生
み出す関係
のデ ザ イ ン であ
る。インタフェ
ー
ス(
境 界 面)
は事象
と事 象
の境
に存 在す
る 面の こ とであ り
、
人間
と機 械
の間
に存
在 す
る 面 をと
らえ
れば、
マ ン・
マ シ ン・
イ
ン タ フェー
ス であ り
、
使 う人
とマ シン との問の 面 と考 え
れば
ユー
ザ・
イン タフェー
スという事
にな
る。ま
た人
間
と環境
との間
には人 間環 境
インタフェー
スが存在
する。
す な わ ち
、
インタフェー
スと
いう言 葉
の前
に来
る文
豫 物
の境
界
の面 を意味 し
て いる。言
い換
え れ ば、
イン タフェー
スデ ザ イ ンを
規定
す
るのは、
デザ
インす
る文橡 物
によるの ではな く
、
そ
の女橡 物
と入 間
との関
わり方
の方 法
によっ て規
定
される の であ
る。
い っ て み れば
、
この 関 わり方
の方 法論 が
イン タ フェー
ス・
デザ イン の中枢
と な る もの である。
人 間
との関
わり
をデザ
インす
る という点
で は、
従
来の イ ンダ ス トリア ル デザ
イ ン でも同
じ では な かっ た か とい うこと を言う
人
がい る。し
かし
、
インダス トリアルデ ザ インはなん と言
っ ても対象
と なる物 的存在
のあ り方
に焦点
が当
てら れてお り、
イン タフェー
スのデ ザ インで は その物
的存在
とそ れ を使
用す
る主体
と なる人間
との関
わり方 そ
のもの に焦 点
が当
て られてい るので あ る 点で異
なっ ている と言
え よう
。同
じ対
象物
であ
っ ても
、
そ れを使用 す
る 人によっ て関わ り方 が 異 なっ て くる という
ことに焦
点 が当
て ら れ なけ
れば ならないの であ る。
この よう
な観 点
か ら かつ て私
た ちが デ ザ イン提 案
した のが「
カ ス タマ イ ズ ド・
コ ン トロー
ラ」
であ
る。 こ の コ ン トロー
ラは自
分の操 作
に とっ て必 要
な だけ
のボ タンをコ ン トロー
ラ面 に あ らかじめプリ セ ッ トしてお くとい
う
ア イデ ア のも
の であ
る。(
AkiraHarada
;The
Use
of
Merlnl
lmage
in
The
DeSlgri
kocess
,
Proceedng
of’
911ntcrmatbnal
Symposi
onNext
G
¢【eratbn Interface,
lnstitu
[efor
Perg
)nalizedlnfor−
matbnEnvircnment
,
1991
,
Tokyo
*2
)
● 感性 的
な 世界
からの アプ
ロー
チ日本 文 化 に おいて は
、
あ
まり
にも 目 的 的で論
理 的 あ るい は合
理的
な 生 き方
に対
しては む しろ批 判 的 な傾向
が ある。
む しろ無
目 的 的で、
非論
理的
で、
感 性 的
な 生 き方
が善
しと さ れ る 傾向
があ
る の であ る。 しか し ま た「
暗
黙の了解
」の よう
な傾 向
が「
曖
昧
であ
る」 という
よう
に外 国
の方
に受
け取
られ やす
い。
一
方
、
私
た ちの 日常
的 な 生 活 とい う もの を考え
るとき
、
花
の か すかな香 り
とか、
雨
の に おいだ とか、
夏であ れば
、
夏草
の香
り
だ とか、
食 器 で あ れば、
漆の しっ とり
とし た暖
か さであ
る と か、
ク リス タ ルガラ ス の柔
ら か さであ ると
か、
ドアなど
の真
鍮
の把 手
の温
も りだ とか、、、
いわば、
目 的 に向
かっ て行 進 す
る 西洋
的 な 美 学 に対 して、
む しろ無
目的
でかつ非論
理的
で感 性
的 な境 地
を愛す
る美 学
こそ東洋
的 な 美 学であ る と同 時 に 日本の国 民の 根 底 に潜ん でい るも
のなの であ
るe私
た ちの生活
の周
りに は こ の よう
な感性 的
世界
を大
切にす る 態 度 が 広 がっ て い るので ある。
ハ イテク時代
の道
具の考
え方
に もこのよ う な 感 性の世 界 の導
入 が 必 要 なのではない だ ろう
か。
● 感
性 を持っ た 道 具具
体 的
に、
こ の「
感 性
的 な」 道具
の デザ インと
は どう
いう も
のなのだ ろ うか。
こ こ で「
知
性 的 な」 道
具 といえ ば、
人工知能
を埋
め込
んだコ ンピ
ュー
タ やロボッ トを想像 す
るだ
ろう
.
しか し 同 時にそこに足 り ないも
のはやはり「
感 性的
な」 何
か なの で はないか。私
た ちの暮
ら しには、
知
識情 報
の処
理 だけ
では成 り
立 た ず、
どう
しても感 性 的
な処
理 力泌 要
なの であ る。
「
人に優 しい」
道
具
の デザ インを言
い換 え
ると
、
「
感 性 を持
っ た」 道 具
のデ ザ インとい うこ とに なる の で はないか。
私
たち
の行動
は、
論
理 的 な もの であ ると
同時
にき
わめて感 性
的 なも
の なの であ
る。
しか し道具
と人 間
との関 わ り方
をデザ イ ンす
る という
最 近 は や りの「
インタフェー
ス のデザ
イン」 も論
理 的 なス トー
リー
をデザ
インす
乱 と はで きるよ うに なっ た が、
感性
的 な対 応
のでき
るイ
ン タフェー
ス の設 計
にな る と ま だ ま だ という
とこ ろ では な かろう
か。
●論 理 的支 援
でな く感
性
的支
援
の必 要
人 間
の論
理的行動 を支 援 す
る シ ス テ ム で最近 面 白
い記
事
を読
んだ。
EuroParka
)rvlikLarrming
は「
Fo
嚠一
me−
notjと
いう
興味深
い モ デ ルを
開発 し
てい る。
*2
) 利 用 者
のODA
(Pcrst
}nalDigitel
AssiStaTmt)と
呼
ば れ る赤外 線 入出
力
装
置
は、
出会
う
人、
場 所
、
時
間
な どのエ ピソー
ドを自動 的
に記録
していく
。
後
で その記 録
を検 索
して見
る ことによっ て 人間
の記 憶
の支援
を行 う
という
モデル で
あ
る。 こ のモデ ル の良 さ
は、
人
間 が そ の都
度
自
ら記 録す
る 必 要 が ないことであ
る。
(
MkLa
ing
&MileeHyn
、
村越 真訳
「人 間の記 憶 を
支援 す
る密 着 型
コ ンピュー
ティング「
認 知 科
学 」
VoL2,
No
.
1
,
日本認 知 科学 会
、
1995*
3
)
人 間の
行動
が論
理的 支 援
だ けでなく
、
感 性 的支援
の双方
に よっ て支
えら れ てい る とす る な ら、
私
は感性 的支援
のための イ ン タフェー
スをデザイ ンしたい のであ
る。「
感 性 を持
っ た」
道具
の デザ インという
テー
マ は、
日本
でも
私の研究室
で は じめた ば かり
であ
るが、
人間
の行動
は、
知
〔
知
性 )
、
情 (
感情 )
、
意(
意 志)
という
情報
処
理 に よっ て支
えら
れ る と言
われ ている。 しか しこの中
で、
情
の世
界 につ いて の研
究
はまだ未
踏の領 域であ
る。
情
の領域
につ いては、
まだ はっき
り し た 学 問の成
立 を見
ていない の で、
確
たる話 をす
ること
が でき
ない が、
喜
、
怒、
哀、
楽
のよう
な「
感情
」
と、
味覚
、
視 覚
、
触
覚、
聴覚
、
嗅 覚
とい っ た「
感覚 」
と美 しさ
、
寂
し さ、
暖
か さ(
心の)
、
優 し さ、
ユー
モ ァが わ かる の よう
な「
感性 」
とは区
別 され た 言葉
であ
る。 いず
れ に しても感 性 的支援
という
こと
が我
々の生活 を豊
か に す る た めに、
こ れ か ら求
め られ るのは間違
いない と思 わ れる。
●感 性
工学
と インタフェー
ス自然
科
学
に対
して、
最 初 に 人間 科 学
の提 唱
を行
っ たのは、カ
ー
ネ
ギー
メロ ン大 学
のHerertA.
Simcn
”
lhe
Sciemeofthe
Artifi
−
ciar 職 e
MIT
Pre
$1982*
4
)
であ
る。 サ イ モンは
「自然 科 学
は、
事 物
がい か な る 状態
で存 在
してい る か に関
わり を持
つ。。。。
しか し他 方
デザ インは、
いかに事 物
が存在 す
べき
か に 関 わり
を持
つ」 と言っ ている。 ま さに人間
存
在
の主体 的 な認
識
の上
に にこそデザ イン は存 在
しう
るの であ る。ま
た、
鈴 木邁
は 日本 学 術会議
で の「
既存
工学
体 系
へ の感 性
工学 導入
の提 言」
の中
で次
の よう
に述べ てい る。「
自然 科学
を基礎
とし てその領 域 を広 げ
た工学
体系
は、定量化 や数 量化
の困 難
な人
間体
系
を内包す
ること を意識
的に避 け
てき
た よう
に思う
。 しか し なが ら、
人 工 物こそ は 人間
が これ を使用
し、
操 作 し
、
ま
た人 間
の行 動
をサ ポー
トす
る ため につ く りだす
もの であ
る か ら、
人 間の体 系
を捨 象
して論 ず る事
に こそ無
里が あ る。 こ の よう
な 人間
の感 性領 域
を物 性
量 と感 覚量
の関係 式 と して何
ら かの手段
で と らえ
、
な お、
人 問
の心
的 領 域 に 生 じ る感 晴
生起
と感 性
量 を
関係
式
とし
て把握
し よう
とす
る のが感 性
工学
領 域であり
、
こ の感 性
工学
を従 来
の工学
体系
に組
み 入 れ よう
とす
る動
き
が広
まっ てき
ている。一
方
で現在
の 工学 体系
は16
世紀
以来
の進 歩発展 を
な し とげ
てき
た。実 験 的手段
によ り再現
可能
な学
問 と して確
立 して きた体 系
であ
る。こ
れにく
らべ、
人 間の思考 態様
や感性
の領
域は人そ
れ ぞ れ に異
なっ た過程
で進
行
し、
そ
のプロ セ スや 結 果 に は定量 的
正確
が乏
しい モ ノと
いわ れて きた。
その 結 果、
この定量 性
に乏
しく定 性的
な 領 域 を 工学体系
に取 り
込 むこと は避 け
られてき
た の であ
る。
その結果 と
して、
人間
と人 工物
の問
の不協 和
を導 き
だ してき
たの であ
る。 工学
の目的
が 人類
の 生活
の豊
か さや、
向
上
にあ
る とす
る な ら ば、
人 間
との接触 面
であ
る所
の感性 領域 を
避 け
るべき
ではな く
、
む
しろ積極
的
に解
明
し、
その体 系化
を は か り、
人 工物
のシス テ ム の中
に取 り込 む
べきな
の であ
る。
」
(
鈴 木邁
:既存
工学体 系
へ の感 性 工学 導
入の提 言 」
日本 学術 会
議
シ ンポ ジ ウム、
日本 学術 会議
1994
*
5
)
● 関 係
はコミ
ュ ニケ
ー
ションに よっ て 生 ま れ る人
間
と機械
とのか か わり合
い は、
コミュ ニケー
ショ ンに よっ て決 ま
る。
ビ デ オプ
ラスの例
で は、
「
G
コー
ド入力
、
録 画 回数
入力
、
ビデオの近 く
に置 く
」
の3
手
順 に操 作
を簡
略 化 出来
た と ころ に新
た な操
作
上 でのか か わり合
い を生
み出
した
わけ
であ
る が、
基 本的 なかか
わり合
い方
は そ れ ほ ど変
わっ てはいな
い。
「
ボ タンを指
定 通
りに押 す」
という人 間
の意志
の コ ミュ ニケー
ショ ン の方法
は行 為
は従 来
の リモ コ ンでの関
わ り方
とそ
れ ほ ど変
わ ら ない の で あ る。私
は人 間
と機械 と
のコミュ ニ ケー
ションを根 本
から変 えた
イ ンタフェー
ス を 目指
している。それ
は、
コミュ ニ ケー
ション の方 法
を論理 的 な
メッ セー
ジ の や り と りでは なく
、
感性 的 な信 号
のやりと
りに よ るコ ミュ ニ ケー
ショ ン の方 法
に チャレンジ した い の であ
る。最 近 で は グラ フィ ッ ク
・
ユー
ザ
・
インタフ ェー
ス(
GUI
)
と いう言 葉
が使
わ れ ることが
多
く
なっ てき
た が、
モニ ター
上に言
語
の代
わり
に ア イコ ンな どの視覚 的 記号
によっ てコミュ ニ ケー
ショ ンを支 え
よう
とす
るも
の で あ る。 ● ノン バー
バ ル・
コミ
ュ ニ ケー
ショ ン は感性 情報
によ
っ て支 援
さ れるしか し
、
このような言 語以外
の対 人コ ミュ ニ ケ〒
シ ョ ン(
ノ ン バー
バ ル・
コ ミュ ニ ケー
ショ ン)
には ビ ジュ アル言 語
以外
にも数
多
く存
在 す
る。 マ ジョ リー ・
F
・
バー
ガス(
石 丸 正訳
:非言
語
コ ミュ ニ ケー
ショ ン、
新 潮社
、
1987
年
*
6
)
に よ れ ばレイ・
L
・
バー
ドウ イステルを引 用
して「
次
の9
種 類
の言葉 な
らざ
る言
葉 が 入間
のあ
ら ゆ るコ ミュ ニ ケー
シ ョ ンに大 き
な寄 与
をし てい る とい っ ている。(
1
) 人体 的特徴
、
(
2
) 身振 りな
どの動作
(
3
)
アイコ ンタ ク トと 目つ き(
4
)音 声
上の特徴 (
5 )
沈
黙(
6
)
身
体
接触 (
7
)対 人的空 間 (
8
)
文化
的時 間
と 生理 的 時
間(
9
)色彩
な どであ
る。こ の
な かで も身振 り
は対 入
コ ミュ ニ ケー
シ ョンに おい て重 要
な ウエ イ トを有 す
ると
い わ れ る。対
入コミュ ニケー
シ ョ ン で は この9
種
類
と さ れてい るが
、
対
人以外
の ノ ンバー
バ ル・
コ ミュ ニケ
ー
シ ョ ンは無
限 に存
在 す
る のであ
る。人 間
のさま ざま
な行
為
は、
人間
のお かれ
ている状 況
によっ て異
な る。 その環 境
を規定
している時
間、
場所
、
匂
い、
風
温度湿 度
、
明
るさ
、
音響
、
日照、
季 節
、
色彩 構成
、
重量
、
寸法
、
動 き
、、
、 、 こ れら
は、
言 語 的
表
現以
外
のあ
ら ゆ る感 覚
器官
か ら入力
さ れてく
る。
こ のよ
うな
ノ ンバー
バル・
コミュ ニ ケー
ショ ンを規
定
す る情
報信 号
をコ ンピュー
タ に自動 入力 す
ること
に よっ て従 来
より豊
かなコ ミュ ニ ケ
ー
ショ ンができ
る に違
い ない。 こ のよう
な わ れ われが
日常 的
に肌 身
で感 じ
てい る環境 晴報
を感性 情報
と呼
び、
感性
i
青報
をど の よう
にコ ン ピュー
タ に取 り込
む か という方 法
に つ い て論
を進
め よ う。 ●セ ンサー
か らの自
動
入 力わ れ わ れ 人
間
は、
身体
的 接触
に敏
感であ る。
キー
ボー
ドは、
直
接 手
が触
れ なく
ても
、
例
え ば棒
の先
であ
っ て もキー
が押
され れ ば 入力
を開始 す
る が、
人間
の場
合には、
棒の先で触
られ ると不快 感
を持
つ であ
ろう
。触
る という
行動
は ノン バー
バルコ ミュ ニ ケー
ショ ン でも基 本 的
な ものなの であ
る。図
は、
接 近 し た も のに対
して アー
ムを延
ば し、
ハ ン ドを広 げ
てその女橡 物
をく
わ えて、
触
っ た対 象物
が手
であ
るか違
うか を認 知 し、
そ うで あ れ ば「
手
かも
しれ ない」
と音 声
で表示 す
る単
純
な インタフ ェー
ス であ
る。
フ ォ トセ ン サー
で指
の接 近
を感 知 す
る。 ま た、
フ ィン ガー
の内側
に}
跛
セ ンサー
と静 電誘 導
センサー
が 装着
されており
、
人肌
の持
つ情 報
を 入力
している。そ
の情 報
は赤外線
でサ イ エ ン ス リンクへ送 信 さ
れ、
コ ンピュー
タ に送
ら れ、 ハ イパー
カー
ド の スク リ プト に より
プロ グ ラ ムさ れ た動 作
出力信 号
に変
え ら れ、
赤 外線
によっ て送信
さ れる。
その信 号
により音 声
デー
タが出力
さ れ るという仕組
であ る。
● デ ザ イン の課 題現代
の 工業製 品
は、
必 ず
し も現代
という時代
におい て完 成
し た 人 工 物 とは なっ てはいない。
そ れは次
の よう
な課 題
を抱
えて い る か ら であ
る。(
1
)見 え
な くなっ た機
能。
〔
2
>
学
習の必要
な機
械。
(
3
)
未完 成
な イン タフ ェー
ス に よ るヘ ル プ。(
4
)複雑
な操 作
。(
5
)環 境
へ の不 適 応
。(6 )
人 間の持
つ曖昧
さへ の未対
応。(
7
)
人 間の感 性へ の訴求
力の不在
。
こ れ らの「
魂
を失
っ た」、
「
見
えな
い回路 」
と「
多機 能化 」
な ら び に「
閉
じ られ た操
作系 」
のもた ら した 入 間と機械
の疎 外
関 係は 極 度 に大 き
なも
の と なっ てき
ている。 こ の項
目の殆
ど は、
感
性的 支援
によっ て大
いに改 善
され るであろう と考
え られ る。
今
や、
道
具 などの人工物
の デザインをす
る上で、
「
我
々 はな にをつく
るべ きなのか」
とい う問いか けに対 して、
「
我々は ど の様
な 関 係 をつ くるべき
なの か」
という
問いかけ
に変
えて行
か なけ
れば ならない。 ま さにそのた めに新 た な イン タフェー
ス の デ ザ イン の方法
論 を 必要
と してい る のだ。
図3,
フ ィ ンガー
ではさみ、
人肌を感 知して 「人の手 か も しれ ない」と しゃ べ るロボ ティクス・
インタフェー
ス・
モデル デ ザ イ ン学研究特集 号 SPECIALISSUE
OF
JSSD Vo [
.
3 No.
2 199573デ
ザ イ
ンは、
は じめ物
質 的
な もの の生産
の過程
で、
その人工物
の外形 的 な造 形が 重要 視
されてき
た。 その後
、
情報
生産
の時
代
に入 り
、
デ ザ イン は情 報
という
目に見 え
ない形 を動 的 な グラ フ ィックス とし
てビ ジュ アル化
す
る領
域 を も取 り込
ん でき
た。
こ のよう
に して、
デザ インという分
野の領域
は少
しつつ拡 張 し つ つあ
る といえ
るだ
ろう
。
しか し な が ら、
ビ ジュ ア ル化
はす
るけ
れ ど実体感
のない道具
も増
えてき
てい る のも事
実であ る。
現代
の多
くの情 報 機器
に「
魂が な
い」
と感
じ られ るのは、
こ の実
体
的
な世界
と仮 想 的
な世 界
とのか か わり合
いが薄
い ため で はなか と
思 わ れ る。 TV で世 界
一
周
の旅 を
し た か ら世界 旅行
を しなく
ても
い いと
考
え
るの と同
じ理屈
であ
る。
人
間
が人
工物 と初
めてふ れ あう
局面
は視覚
であ
っ た り触
覚
であ
った り
、
聴
覚
、
味覚
、
嗅覚
といっ た5
感であ る。 しか し、
人
工物
の ソフト面
で は主
と して理解
や推論
といっ た 論 理 的 側 面 が主
に働
いてお り、
これに よっ てユー
ザ と して の人 間 は、
最 初
の印象 と
異 なっ た機械
のロジッ ク に 出 くわ しう
ろ たえるという
こ とが繰 り返 さ
れている。我
々は感 性的
な世
界 との関 わ りに 向 け て の支
援
のあ り方
を探
らな
け れば
な ら ないの であ
る。
「
魂
を持
った
」
そ して「
感 醴
か な」
インタフェー
スを有
す る新
た な道具
こそ
これ から求
め ら れている ものなの であ
る。
図4
.
感 性情 報 リアクティブ・
インタフェー
ス の システム構 成●
こ れ か らの工業製 品
は ロボ
ッ トに な るこ
れか ら
の人
工物
は、
つぎ
のような条 件 を
持
っ た もの になろう と想 像 さ れ
る。(
1
)
人間
の隋
に訴
え かけ
る働 き を持
つ。
(
2
)
人 工物
の形 態
は作業 環 境
の動的
変化
に対 す
る適応
と して可変
なも
のに な る。
(
3
)
ユー
ザのエー
ジェ ン ト(
代 行
)
とし て の機 能
が 反復
的では なく
、
選 択 的
に行
わ れる。(
4
)
タ スク達 成
のた めの移 動機 能 を も
つ よう
に な る。(
5
) 予期
せぬ外 乱
に たいす
る作業
の自動 嬲
卸機
構
を有 す
る よう
にな
る。
(6 )
作
業
のユー
ザ に よ る再
プログラ ミ ングを自
立 的 に 選 択実行 す
る こ とが 可能 と な る。以
上の よう
に あ らた な 人 工 物の条件
を考
えてみ る と、
これ は ま さに「
新
た なロボッ トの ような
イ ン タフェー
ス」
の定義
であ る ことがわか る。
つ ま り、
これ か らのすべて の人工物
は新
た な ロボテ ィッ ク ス・
イン タ フェー
ス の概念
を併
せ持
つ よう
に な るc●
ロボティクス・
インタフェー
ス の概念
こ こでい うロボティク ス
・
イ ン タフ ェー
ス と は、 ロ ボッ ト時
代のロボット と人間
のた めのイン タ フェー
スという
こ とで はな いo当
たり前
の ことであ
るが
、
ロ ボッ トと しての人 工物
は 人間
の た め につ く ら れ る もの であ
る。 つま り
一
般
の人
々が使 う
の であ
っ て、
デザイナー
や 設計
技
術者
のよ う な.
専門家
だけが 使 う も
の で はない。 さ らに言
え ば、
使
い方 を 「
つくりだす」
のはユー
ザ なの であっ てロボテ ィク ス・
イン タフェー
ス とば、
人
工物
の行動
の仕方 を 「
つ く りあ げ る」
た めの シナ リ オな
の であ
る。
そ のシ ナ リ オの行動属 性
は次
の よう
なも
の に な る。(
1
) 人
工物
の は た らき を
可視 化
す る。(
2
) 人
工物
の外形
は運 動
体
と
な る。
(
3
)
可変 (
移動 )機
構
を
持
っ てい る。(
4
)
ユー
ザ
によ るマニ ピュ レー
ティング。(
5
) 感性 的 イ
ン タラ ク ショ ンを持
つ。(
6
) 群 行 動
。
(
7
)
ペ ッ ト的 行動
。(
反 応 す
る、
なつく
、
か わいがる) (
8
)
ユー
ザに よ る簡易
な ヴィジュ ア ル・
プ ログラ ミング。(
9
)状 況 認知
。
(
環 境
か ら人 工物
へ どの よう
な情 報
を返
してく
るのか)
(
ユ0
) 入力
デバイ
スの多様化 (
1
1
)
センサ と行動
の直列
的制
御
こ こ でいっロボテ ィ クス
・
イ
ンタフェー
スの概念
は1994
年
の デザ イン学会
に て口頭
発表
し た内容
であ
るが、
(
原
田 昭 ほ か: ロボティクス・
イン タフェー
スの基 礎概 念
、
「
デ ザ イン学 研究
第41
回研 究発 表 大 会
概 要集 」
日本
デザ イン学 会
、
1994
*7
) 「
ロ ボティクス」
という言葉 が 少
々な じ ま ない た め もあ
っ て、
い ろいろ考
えあ ぐね た結
果、
リアクテ ィブ という言 葉
に変
更 した ほう
が よい よう
に 思う
。 ロ ボテ ィ クスという言 葉
は「
命
令
を書
き込 む」
という印 象
を持
たれ る か らであ
る。そ
こ で、
「反
応す
る」
という
リ ア クテ ィブ という言 葉 を採
用す
るので あ る。
現 状のインタフェー
ス・
デザ
イン の 問題点
は、
デ ィス プレ イ 画 面の内部世界
の シ ミュ レー
シ ョ ンに限定 され
てお り、
実
体
感
に乏 しい点にあ る。 そこ で、
私たち
は デ ィ スプレイ画 面内 部
か ら抜
け 出 してコ ンピュー
タ システムの外 部
に存在
し、
感性
を もっ た道具
の は たら き を シミュ レー
トし、
かつ バー
チ ャル でなく実
体 的 な インタフェー
ス を「
リ ア クテ ィブ・
インタ フェー
ス」
と名付
け たい。
●
リアク ティブ
・
インタフェー
ス反 応 するイン タフ ェ
ー
ス というの は、
人間
や環境
に対
して反 応す
る の であ る。
個 人 用の ア シス タ ン トがい て必要
な情 報
を覚
え
て いて くれて聞 け
ばす ぐ答
えて くれ るのはす
てき
なことであ
る。
し かし、
本 当
のところは、
聞 か な くて も答
えてく
れるアシ ス タ ン トの方 がい い。
そろそろ会議
です
よとか、今 日
の ランチは