• 検索結果がありません。

行動実験が女子大学生における痩身プレッシャーに与える影響の実験的検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "行動実験が女子大学生における痩身プレッシャーに与える影響の実験的検討"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-39 198

-行動実験が女子大学生における痩身プレッシャーに与える影響の実験的検討

○高階 光梨1)、岡崎 友紀2)、武部 匡也3)、栗林 千聡1,4)、佐藤 寛2) 1 )関西学院大学文学研究科、 2 )関西学院大学文学部、 3 )立正大学心理学部、 4 )日本学術振興会 問題 近年, 多くの研究により摂食障害や摂食障害患者に 類似した行動(食行動異常)を呈する者の増加が指摘 されている(山蔦, 2010)。このような者の増加を考 慮すると,非摂食障害群を対象にした予防的介入も重 要ある。 予防的介入法として, Stice(2001)が作成した食行 動異常の二過程モデルに基づく摂食障害の予防プログ ラ ム が 開 発 さ れ て い る。 こ の モ デ ル は 痩 身 プ レ ッ シャー, 痩身理想の内面化, 自己像不満, ダイエット 行動, 否定的感情が関係を有して食行動異常に影響を 及ぼすことを示している。日本のサンプルにおいても 二過程モデルの検討が行われ, 同様のモデルが支持さ れた(Kuribayashi & Sato, 2017)。Kuribayashi & Sato (2017) の研究から, 日本のサンプルでは痩身プ レッシャーが特に摂食障害の症状に影響していること が示されたことから, 本邦では痩身プレッシャーに焦 点をあてた予防がより効果的であると予測された。 痩身プレッシャーとは周囲から痩身を求められてい ると感じるため生じるプレッシャーである。周囲から 完全を求められていると感じる社会規定的完全主義と 痩身プレッシャーは, 周囲からの期待や要求に対して 敏感になり社会的な圧力を知覚する点が類似している と考えられる。そこで, 本研究の目的は, 本邦の女子 大学生に痩身プレッシャーに関連する完全主義に効果 があるとされる行動実験を用いたプログラムを行い, その効果を検証することであった。 方法 研究参加者 関西圏の大学に在籍する女子大学生413名が質問紙 へ回答し, 実験参加に同意したものは95名, その中で 参加基準を満たした参加者は37名, 最終的な実験参加 者は10名(平均年齢19.40歳,SD =0.84歳)であった。 行動実験は参加者の不合理な信念の妥当性を検討する という性質をもつため, 健康的,または痩せ型の体型 であるにも関わらず不合理な痩身プレッシャーを抱え る者(BMI値が25未満の者, かつPSPSが調査回答者全 体の平均値を上回る)に参加者を限定した。調査回答 者 全 体(n =413) のBMIの 平 均 は19.59kg/m2(SD =1.80), PSPSの平均値は15.94SD =7.44)であった。 手続き 参加者は実験群か対照群に無作為に割り付けられ た。両群ともpreとpostの 2 回, 質問紙による効果測 定を行った。また, 両群とも時期をずらしてプログラ ムの実施を行った。プログラムは 1 回約45分のワーク を 1 週間の間隔をあけて 2 回行い, その間ホーム ワークを課した。プログラムは 2 〜 4 名のグループで 実施した。 1 回目の介入では, 家族, 友達, 恋人, メ ディアから痩身プレッシャーを感じている女子大学生 A 子の事例を用いて, A子が自分と他人の 2 パターン の場合の痩せるべきであると感じる程度を 0 〜100の スケールで評価させた。また, その理由もワーク シートに記入させ, その後, ディスカッションを 行った。 2 回目の介入では 1 回目の介入に加えて, ホームワークの内容についても議論とフィードバック が行われた。ホームワークでは,グループワークで用 いたものと同じ事例を実験参加者の母親, 友達, 恋人 に紹介させ, 評価を評価させた。彼らの評価につい て, 実験参加者にはグループワーク内で予測をさせ た。 調査材料

( 1 )Eating Disorder Diagnostic Scale (EDDS) DSM-5 version日本語版

DSM-5への診断基準の変更に伴い, 23項目版を使用し た (Kuribayashi et al., 2018)。

( 2 )Perceived Sociocultural Pressure Scale (PSPS) 日本語版

友人, 家族, 交際相手, メディアから感じる痩身プ レッシャーを測定する尺度 (Stice & Bearman, 2001; Stice & Whitenton, 2002) の日本語版を使用した (Takebe et al., 2018)。本研究では 8 項目で構成さ

れたものを使用し, 5件法で回答を求めた。

( 3 )Multidimensional Perfectionism Cognition Inventory (MPCI) 日本語版

完全主義の認知の生起頻度を測定する尺度である (小堀・丹野, 2004)。15項目で構成されており, 4 件

法で回答を求めた。

( 4 )Multidimensional Perfectionism Scale (MPS) 日本語版 自己志向的完全主義, 他者志向的完全主義, 社会規定 的完全主義の 3 次元を測定するための45項目からなる 尺度の日本語版である (大谷・桜井, 1995)。本研究 では, 社会規定的完全主義に関する15項目を使用 し, 7 件法で回答を求めた。 倫理的配慮 質問紙配布にあたり, 匿名性が保証されること, 質

(2)

日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-39 199 -問紙に回答しなくとも不利益を被ることはないこと, 回答は任意であることを口頭およびフェイスシートに 記載し, 説明した。実験開始前にはワークの目的, 参 加・不参加の判断, ワークの進め方, 参加上の不利益 について, 個人情報の保護, 参加者の権利を再度説明 した上で, 参加同意書への署名を得た。本研究は筆頭 演者の所属先の大学内研究倫理委員会の承諾を得て実 施した。 結果 介入の前後で実験群の痩身プレッシャー(PSPS) は 10%水準で有意に低減した(Z =-1.75, p =.08)。 一 方, 対 照 群 で は 有 意 な 変 化 は 見 ら れ な か っ た(Z =-0.37, p =.72, n.s. )。また, A 子評価 (自分) も 介入後,5%水準で有意に減少した (Z = -2.03, p = .04)。EDDS (実験群: Z = -0.36, p = .72,n.s. ,対照 群: Z = -0.14, p = .89,n.s. ), 自己志向的完全主義 (MPCI) (実験群: Z = -0.95, p = .34,n.s .,対照群: Z = -0.68, p = .50n.s. ), 社会規定的完全主義 (MPS)(実験群:Z = -0.14, p = .89,n.s. , 対照群: Z = -0.67, p = .50,n.s. ), A子評価 (他人) (Z = -1.60, p = .11,n.s. )は介入の前後で両群共に有意 な差は認められなかった。また, 自己志向的完全主義 の下位因子も介入前後で実験群と対照群で有意な差は 認 め ら れ な か っ た。 こ れ ら の 統 計 量 に つ い て は, Table 1に示す。 考察 本 研 究 で は, 日 本 の 女 子 大 学 生 に 痩 身 プ レ ッ シャーに関連する完全主義に焦点を当てた行動実験を 用いたプログラムを行い, その効果の検討を行った。 その結果, 自身の完全主義への気づきに焦点を当てた 行動実験は, 痩身プレッシャーを低減させることが示 された。これは完全主義に焦点を当てた行動実験が痩 身プレッシャーへの影響があることが示唆された点 で, 完全主義が摂食障害と関連があるとした先行研究 の知見を一歩前進させたと考えられる(Wilkack et al., 2008)。一方で, 本介入でターゲットとしていた 完全主義の低減は見られなかった。この結果は行動実 験が完全主義的認知の変容に効果があることを示した Handley et al. (2015) の結果と異なるものであっ た。この要因として, 実施したプログラムが短かった ことやサンプル数が限られていたことなどが考えられ る。今後の課題として, 実施時間の延長, サンプル数 の増加, 実験実施後に追跡調査を実施するなど検証を 重ねる必要性がある。 本研究の結果から, 行動実験が痩身プレッシャーを 低減させることが明らかになったとともに, 将来的に 従来の摂食障害予防プログラムに行動実験を組み込む ことで, 本邦の女子大学生に合わせた効果的なプログ ラムの開発が期待される。

参照

関連したドキュメント

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

私たちの行動には 5W1H

tiSOneと共にcOrtisODeを検出したことは,恰も 血漿中に少なくともこの場合COTtisOIleの即行

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない こと。動物実験(ウサギ)で催奇形性及び胚・胎児死亡 が報告されている 1) 。また、動物実験(ウサギ

(2)特定死因を除去した場合の平均余命の延び

と言っても、事例ごとに意味がかなり異なるのは、子どもの性格が異なることと同じである。その

に至ったことである︒

最急降下法は単純なアルゴリズムでしたが、いろいろと面白かったです。NN