HEVの車両全体シミュレーションによるシステム最適化
MathWorks Japan
アプリケーションエンジニアリング部 アプリケーションエンジニア
Engine Mode
SHEV Mode
EV Mode
システム設計の段階の課題
コスト削減
燃費向上
小型軽量化
部品構成・点数削減 バッテリーの小型化 コンパクトな車体設計 軽い材料の使用 部品構成・点数削減 ユニット原価削減 試作回数の削減 開発の不具合を最小化 (手戻り防止) バッテリー容量の向上 エネルギー回生 エネルギーマネジメントの 最適化 アイドルストップ 最初からシステム全体の 把握が大事。 早い段階での検証が必要。 システム全体への影響、 他の性能とのトレードオフ、 どこまで最適化できる?複雑なハイブリッドシステムだからこそ、
机上で
1Dシミュレーション
による検討・検証が重要
システム全体への影響は? 走行性能・安全性能… どこまでの小型化が最適?物事の
「本質」
を的確にとらえ、
「機能」
を
見通しのよい
形式で
シンプル
に表現すること
1D シミュレーションとは?
単純に空間的な1次元の意味ではなく・・・
例えば、物理系の場合、 システム設計に必要な物理的な振る舞いを抽出・再現 (抽象化) 車両 トランスミッション 制御器 エンジン 走行パターン 機械・電気・熱・流体などの複合領域の現象を表現しやすい 一般的に 3D に比べてシミュレーション負荷が小さい 詳細な形状・配置 (3D) 決定前の機能・性能検討が一つの使い所本日のキーポイント
車両全体モデルの構築
(ハードの仕様・諸元検討) 走行モード制御ロジックの開発モデルを活用した
燃費向上の検討
1. 車両全体1Dモデリング
2. 走行モード制御ロジック開発への応用
3. 燃費最適化への応用
システムの挙動は?
モデリングツール
パフォーマンスは?
⇒システムレベルのモデルを構築
マルチドメインの物理対象をモデリングするには、
Simscape™
が便利
Simscape
は、
システムの構造を
直観的
に
表現できる
Simulink
®
Simscape
𝐹
𝑆𝑝𝑟𝑖𝑛𝑔= 𝑘
𝑆𝑝𝑟𝑖𝑛𝑔*(𝑧
𝐶𝑎𝑟)
𝐹
𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘= 𝑏
𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘*(
𝑑𝑧𝐶𝑎𝑟 𝑑𝑡)
𝑑
2𝑧
𝐶𝑎𝑟𝑑𝑡
2=
−𝐹
𝑆𝑝𝑟𝑖𝑛𝑔− 𝐹
𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘𝑚
𝐶𝑎𝑟𝐹
𝑆𝑝𝑟𝑖𝑛𝑔= 𝑘
𝑆𝑝𝑟𝑖𝑛𝑔*(𝑧
𝐶𝑎𝑟− 𝑧
Wℎ𝑙)
𝐹
𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘= 𝑏
𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘*(
𝑑𝑧𝐶𝑎𝑟 𝑑𝑡−
𝑑𝑧𝑊ℎ𝑙 𝑑𝑡)
𝑑
2𝑧
𝐶𝑎𝑟𝑑𝑡
2=
−𝐹
𝑆𝑝𝑟𝑖𝑛𝑔− 𝐹
𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘𝑚
𝐶𝑎𝑟𝐹
𝑇𝑖𝑟𝑒= 𝑘
𝑇𝑖𝑟𝑒*(𝑧
𝑊ℎ𝑙) + 𝑏
𝑇𝑖𝑟𝑒*(
𝑑𝑧𝐶𝑎𝑟 𝑑𝑡)
𝑑
2𝑧
𝑊ℎ𝑙𝑑𝑡
2=
𝐹
𝑆𝑝𝑟𝑖𝑛𝑔+ 𝐹
𝑆ℎ𝑜𝑐𝑘− 𝐹
𝑇𝑖𝑟𝑒𝑚
Simscape
は、
システムの変更や拡張を
柔軟
に対応できる
Simulink
Simscape
モデリングツール
電気システムプラントモデル
用途/目的別に詳細度の異なるライブラリ開発
バッテリー (抽象) • SimPowerSystems • 内部抵抗を含んだ 充電依存ソース バッテリー(詳細) • Simscape • 熱とSOC依存性を含 んだRC等価回路電気システムプラントモデル
用途/目的別に詳細度の異なるライブラリ開発
モータ/インバーター(抽象) • SimElectronics • サーボモータブロック • 最大トルク/速度曲線 効率マップ モータ/インバーター(詳細) • SimPowerSystems • PMSM ブロック(3 相) • IGBTブリッジ(スイッチ ングダイナミックス) [3]抽象モデルと詳細モデルのシミュレーション結果比較
-500 0 500 1000 1500 Chirp ro tor_ vel ocit y_r pm 0 200 400 600 < V olta ge > 0 50 100 150 200 < C urr ent > 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 -200 0 200 400 600 < e lec trom ag neti c_t orqu e>Measured vs. Simulated Responses
Amp litud e 電圧 電流 ローター速度 電磁トルク ― 抽象モデル ― 詳細モデル 機械系では 電気系の詳細度を変えても ほぼ同じ結果 電気系では 高詳細度モデルでPWM動作 による高調波が可視化 計算時間 モデル詳細度
可視化したい現象に基づき詳細度を選択
今回、燃費最適化のため、 繰り返しシミュレーションが 必要なので、実行速度の 速い抽象モデルを使用。プラント(制御対象)
精度
パラメータ
計算速度
抽象モデル
定常特性
少
速
詳細モデル
過渡特性
多
遅
熱システムプラントモデル
クーリングシステム • Simscape 熱流体 ライブラリ • モーター、ジェネレー ター、バッテリー • 熱伝導と熱伝達エンジンモデル
• Model Based Calibration Toolbox • 高精度なエンジン統計モデル
車両モデル
パワートレイン • Simscape Driveline • 車両進行方向の車両ダイナミ クス • タイヤ(マジックフォーミュラ) • 摩擦ブレーキ • デファレンシャルギア/ ギア • ドグクラッチ物理ドメインごとに異なる計算周期を設定
• マルチレートシステムのシミュレーション • 計算の効率化 • リアルタイムハードウェア(マルチコア) で使用可能 10 ms 100 ms 1 ms1. 車両全体1Dモデリング
2. 走行モード制御ロジック開発への応用
3. 燃費最適化への応用
ドライブサイクルとドライバーモデル
ドライブサイクル
– 複数都市/クルーズサイクル – US06 , FTP75 ドライバーモデル
– アクセル/ブレーキペダル: 参照値追従のPI制御 – Stateflow®で制御状態を 直観的に表現 (停止、加速、減速)マルチモード制御
Mode Control Engine EV 遷移条件 SHEVマルチモード制御例
Mode Control
Off
Engine Drive
(Power Split w/ Motor)
Eng=1 Eng=1 Engine Control Start SHEV (Speed Control) Engine SHEV EV Off Speed Match
(Close Clutch = Speeds Matched)
Eng=1 Generator Control Start SHEV (Torque Control) Wait for Clutch Clutch=1
1. 車両全体1Dモデリング
2. 走行モード制御ロジック開発への応用
3. 燃費最適化への応用
マルチモード制御の最適化
モード間の境界は、
エネルギー消費量に
大きな影響を与える
最適化を行うための必要条件
ドライブサイクル
– 0-60 と US06の組み合わせ モデル
– プラント、ドライバー、コントロール – 入力変数、目的出力 最適化アルゴリズム
– 遺伝的アルゴリズム最適化問題の定義
プラントの内部制約を満たしつつ、燃費を最適化
0 20 40 60 80 100 120 140 160 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 Vehicle Speed [kph] R e q ue s te d Tra c ti v e F orc e [ N ] EV SHEV遺伝的アルゴリズムとは?
進化生物学
の概念を使用
目的関数に対してテストされている
候補ソリューションの初期世代から
開始
その後の世代は、
選択
、
交叉
と
突
然変異
を経て初期世代から進化
長所 大域的に解を探すことが得意
短所 計算負荷が高い
最適化プロセスの高速化
Parallel Computing Toolbox™
複数シミュレーションの並列実行
– 複数のコア/プロセッサで 複数のシミュレーションを並列実行 – トータルのシミュレーション実行時間の 大幅な短縮 – MATLAB Distributed Computing Serverによる コンピュータクラスタを 用いた並列処理 … Computer Cluster Workers … … シミュレーションの並列実行による テストプロセスの高速化 Desktop System Workers … … Simulation 1 Simulation 2for
parfor
HEV Model初期世代の生成
-1 0 1 0 20 40 0 5 10 2 4 6 8 10 20 30 40 -1 0 1 0 20 40 0 5 10 2 4 6 8 10 20 30 40 1.00 0.01 -0.02 -0.00 0.03 0.01 1.00 -0.00 -0.02 -0.00 -0.02 -0.00 1.00 0.01 0.05 -0.00 -0.02 0.01 1.00 -0.00 0.03 -0.00 0.05 -0.00 1.00世代の進化
20 40 60 80 100 120 140 160 180 20 25 30 35 Population [-] M P G eUS06モードでの燃費最適化
0 5 10 15 20 25 30 31 32 33 34 M P G e 0 5 10 15 20 25 0 10 20 30 40 0 5 10 15 20 25 0 2 4 6 8 0 5 10 15 20 25 0 0.5 1 1.5 2 0 5 10 15 20 25 0 5 10 15 Generation 0 5 10 15 20 25 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 GenerationHEV 並列計算のスケーリング
ノートPC/デスクトップ – 簡単 – 計算規模に制限あり 40 コアのインテルシステム – 簡単、高速 – 高価 Amazon EC2 – 高速、オンデマンド – 低価格 – 適用フェースが早い http://www.mathworks.com/discovery/matlab-ec2.html最適化結果
燃費は13.14km/L
から
14.37km/Lを改善 (+9.4%)
計算時間は27日から0.5日に
0 50 100 150 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 Vehicle Speed [kph] R e q u e s te d T ra c ti v e F o rc e [ N ] EV SHEVEngine / Power Split
Nominal Optimized 0 50 100 150 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 Vehicle Speed [kph] R e q u e s te d T ra c ti v e F o rc e [ N ] EV SHEV Engine / Power Split
まとめ
物理モデリングツールによる 車両全体モデルの直観的な構築 モデルを活用した 走行モード制御ロジックの開発 車両全体シミュレーションによる 燃費の最適化 Simscape Simscape PowerSystems Simscape Electronics Simscape Driveline StateflowGlobal Optimization Toolbox Parallel Computing Toolbox
その他の適用事例
パワーショベル
冷却/空調サイクル
パワーウィンドウ
デュアル・クラッチ・
トランスミッション
もう少し深く知りたい方に向けの情報
製品名 物理モデリング 領域 概要説明 ショートムービー 基本操作 チュートリアル ブロック リスト 機能紹介 Webページ Simscape™ マルチドメインの基本環境 Simscape Power Systems™(旧 SimPowerSystems™) パワエレ/電力系統 Simscape Electronics™ (旧 SimElectronics®) メカトロ/電子回路 Simscape Fluids™ (旧 SimHydraulics®) 油圧回路 (1D) Simscape Multibody™ (旧 SimMechanics™) メカ (3D) Simscape Driveline™ (旧 SimDriveline™) 動力伝達装置 (1D) マス・バネ・ダンパ 誘導モータ駆動装置 DCモータ駆動装置 油圧駆動機構 単振り子 車両 2:16 2:26 2:03 1:49 1:50 1:57
トレーニング・コンサルティング サービス
トレーニング サービス
定期 トレーニング; 東京、名古屋、大阪にて定期開催 基礎コース(11)、応用コース(11)、 専門コース(4)を ご提供 オンサイト トレーニング; お客様サイトにて開催 ご要望に応じて3つのレベルで カリキュラムのカスタマイズが可能 コンサルティング サービス
カスタム“Jumpstart”; 顧客モデルをベースにした 短期集中型ツール導入サポート Advisory Service; 顧客Project に合わせた中長期 アドバイザリサービス投資
効果
投資対効果の最大化技術トレーニングサービスについて
習熟度合わせてコースを選択いただくことで
無理なくスキルアップを図れます
(e.g. 制御システムエンジニア向けトレーニング)
Programming Xilinx Zynq SoCs with MATLAB and Simulink Simulink モデルの管理 Embedded Coder による量産向けコード生成 MATLAB/Simulink によるモデルベース開発 MATLAB と Simulink による制御設計 Simscape によるマルチドメインシステムの物理モデリング SimPowerSystems による電力系統の物理モデリング Simulink モデルの検証と妥当性確認 MATLAB 基礎 Simulink 基礎 Stateflow 基礎 リアルタイム コードの生成およびテストの基礎
専
門
応
用
基
礎
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