生活単元学習学習指導案 県立呉特別支援学校江能分級 指導者 西田 正明(T1) 川手 典子(T2) 1 日時,場所 平成23年2月3日(木)13:20~14:05 小学部○年○組教室 小学部○年○組教室 2 学部,学年,学級 小学部第○学年○組(単一障害学級Ⅰ類型) 小学部第○学年○組(重複障害学級Ⅱ類型) 3 単元名 粘土でランプを作ろう 4 単元設定の理由 (1) 児童観 小学部は,○年生1名(A児)が在籍する単一障害学級と,○年生1名(B児),○年生1名(C 児)の計2名が在籍する重複障害学級の2クラスからなり,本単元は2クラス合同で学習している。 A児は今年度4月に地域の小学校から転校してきた。転校当時からB児やC児とどうコミュニケー ションを取っていいのか分からず,それぞれが嫌な思いをする言葉を発するなどしながら過ごすこと が多かった。その分周りとの衝突を繰り返し,指導者・児童を交えて時間をかけて話をしながら,一 つずつ解決していった。そのような中で,A児は友だちの様子をとてもよく見ていて,徐々に2人と どう関わっていけばいいのか分かってきた。そのころから,少しずつではあるが小学部での生活にゆ とりができ始めてきた。例えば分級祭でのステージ練習において「Cちゃんは~のようにしたらいい んじゃないん。」と友だちのことを考えながら,発言する場面も見られてきた。A児は好奇心旺盛で 活動量,発語量など非常に多い。もの作りは大好きで,絵を描いたり,段ボールで盾や剣を作って遊 んだりもしている。待ちきれずにすぐにやりたいと思うことも多く,こちらから見ると自分勝手にす すめてしまうこともよくあるが,作り方を見せると大体は理解している。 B児は視覚障害があるが,音や手足に当たる物の感触などで,教室内の物はかなり把握しており, 指導者の声を聞き分けて一人で移動する。近頃では,ある程度予測をたてて自分で動くことも多くな った。昨年から比べると,語彙数が増え,聞いた言葉をすぐにまねて人とのやり取りを楽しんでおり, 言葉の理解度も増してきているので,コミュニケーションの幅が広がってきている。年度初めは「C ちゃん,~。」という話が多かったが,近頃では自分の行きたいところ(やりたいこと)を言って自 分で移動していくことも多くなった。A児の大きな声に刺激を受け,負けじと声を出して存在をアピ ールしているように感じられる。 C児は,医療的ケアの必要な児童である。重度の運動障害があり,体調や気候により呼吸状態が悪 くなりやすい。入学当初は,学校の生活リズムや集団生活の様々な刺激など,環境の変化に慣れるこ とからスタートした。今では,にぎやかな小学部の中でも臆することなく周りの様子をじっと見つめ たり,大きな声を出したりして自己表現している。A児からの突然の関わりに怒ってみたり,戸惑っ てみたりと,友だちとの関係でいろいろな表情を見せるようにもなってきた。これまで触れられるこ と,触れることが苦手だったC児は,リラックス体操を積み重ねたり,様々な素材を触れたりする経 験を通して少しずつではあるが,抵抗が少なくなってきた。 このように3人とも,周りの人との人間関係の中で成長している部分が大きい。 (2) 単元観 「粘土でランプを作ろう」では,陶芸用の粘土を使ってランプの面を制作していく。粘土は押した り,たたいたり,つまんだり,握ったり,引っかいたりと素材に触れていくことで様々に形作ること ができる。また床に落としてみても,形の変化を感じられるものである。ある程度乾かしたり,焼き 締めたりしていくことで,作品の形を視覚のみではなく手で触って確かめることもできる。出来上が りに明かりを灯すと,光を感じることもできる。それぞれの児童が活動しやすいように粘土の柔らか さが調整できることも,粘土という素材のもつ特徴である。 A児は,もの作りが大好きである。粘土は特に好きなようで,よく「粘土をしたい。」と言ってい る。A児は作品を作りながら「~しよう。」「これは~なんだ。」というようにイメージをふくらませ ながら工夫していく。粘土であるがゆえ,変化が付けやすい。また,今回粘土板を渡すので,ダイナ ミックに作品を作っていけると思われる。 B児はこれまでの活動で,粘土や団子の生地を両手で挟んでこすりながら棒状にすることを楽しん 【特別支援学校:知的障害】
できた。また,たたくこともやってきていた。今回この活動に加えて,指を滑らせたり,引っかけた りしながら新たな活動に広げていきたい。また,できた作品から素材を触って形を確かめさせたり, 光を感じさせたりしたい。 C児は粘土板を手で触ったり,たたいたり,引っかいたりしながら素材に触れる,形を作っていく ことができる。また,これまでも紙粘土や団子の生地を握る活動をしてきているので,今回も粘土を 握って感触を確かめ,握ってできたものをくっつけて作品作りにつなげたい。それらの活動を通して, 手指の運動や粘土の冷たさに驚くなど感覚を刺激していきたい。 (3) 指導観 この単元において,粘土に跡を付けていったり,筆を持って釉薬を塗っていったりするときなど, 自らの手を動かし感触を確かめながら制作していくことを大切にしたい。その際,跡のつけ具合や釉 薬の塗り様など,量にはこだわらないことに留意したい。また,手や指の力や可動範囲,やり方(例 えば跡のつけ方)など個々の活動の状況の違いがあるので,作品の出来具合について,機会を捉えて お互いで確認し合う場面も大切にしていく。そのことをお互いに知り合う・認め合う場面の一つにつ なげたい。児童が伝える場面,児童と指導者が一緒に伝える場面を作りながら,それぞれが自分の作 品について発表し合う機会をつくっていく。児童の実態に応じて,絵カードを使ったり,指導者の指 示を分かりやすくしたり,指導者の声かけや介助で一緒に活動しやすくしたりして,児童の活動しや すい環境づくりにも心掛けたい。 5 単元の目標 ・粘土板をたたく,押す,引っかく,つまむなど,感触を確かめながら作る。 ・粘土を使って作る,乾かす,焼く(素焼き・本焼き)など,それぞれの工程における素材の変化 を感じる。 ・作品の出来具合を確認したり,発表し合ったりすることなどを通して,お互いに関心をもつ。 6 指導計画(全 6 時間) 第1次 粘土を触ってみよう 2時間 第2次 ランプの面を作ろう 2時間 (本時1/2) 第3次 色付けをしよう 1時間 第4次 出来上がったランプを使ってみよう 1時間 ※ 第3次については素焼き後,第4次については本焼き後に行う。 7 本時の目標 児童 児童の実態 目 標 A ・PVT-R 絵画語い発達検査,鈴木ビネー知能検査法によるア セスメントを行った。得意なことと苦手なことがはっきりし ていて,図形的なことは得意である。 ・絵の説明については,その中に描かれているものを探して 答えるのは得意であるが,絵についての説明を求められると 文章にして話をするのは難しい。 ・絵カードを使い見通しをもち ながら行動する。 ・道具や材料を配る役割を果た す。 ・作りたい型を考えながら,手 や道具を使って粘土板に模様を 付ける。 B ・広 D-K 式視覚障害児用発達診断検査によるアセスメントを 行った。視覚障害のため手指運動や移動に落ち込みがある が,社会性や理解に関して昨年度に比べ伸びが見られる。 ・言葉の理解・表現については,現在は聞き覚えの段階であ り,徐々に語彙が増えてきている。 ・手指運動に重点をおいた学習内容や生活経験が必要であ る。 ・簡単な指示を理解して動く。 ・素材の感触を楽しむ。 ・指先や掌を使って,粘土板を たたいたり,引っかいたりする。 ・掌に粘土を挟んで棒状の物を 作る。 C ・JSI-R,MEPA-Ⅱによるアセスメントを行った。行動の特性 については,感覚刺激の受け取り方に偏りはない。運動感覚 分野では,手指の拘縮や低緊張があり,つかむ,握るという 動きが難しい。 ・コミュニケーションに関わっては,目を合わせて話しかけ ると,じっと見つめて話を聞いており,目の動きや手足の動 き,声などで自己表現している。 ・指導者の声かけと介助に合わ せて力を入れて滑らしたり,押 したり,握ったりする。 ・粘土を握ったり,放したりし て手指を動かし,いろいろな形 のものを作る。 ・素材の感触を楽しむ。
8 準備物 粘土,どべ,粘土板,書見台,布,滑り止めシート,新聞紙,切り糸,粘土板をのせる型, 丸棒等の道具,絵カード,エプロン,手洗い用洗面器,バケツ,タオル,ぞうきんなど 9 学習過程 (別紙) 10 教室配置図(小学部教室) 11 評価(授業評価)の観点,評価表 観点 観察者の評価 指導者自己評価 良い←→悪い 気付き 良い←→悪い 児 童 へ の 声 か け は 適 切だったか。 4・3・2・1 4・3・2・1 内 容 の 分 量 は 適 切 だ ったか。 4・3・2・1 4・3・2・1 本 時 の 目 標 は 達 成 さ れたか。 4・3・2・1 4・3・2・1 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 配 慮 や 工 夫 は さ れ ていたか。 4・3・2・1 4・3・2・1 ベッド 畳 A 児 B 児 C 児 T1 机 ロッカー ロッカー 流し 流し T 2 机
<別紙> 9 学習過程
学習活動
指導上の留意点
(□課題,〇支援,☆評価)
A
B
C
全体
T1
T
1・T2
T2
T1
1.はじめの挨拶をする。 (1分) ☆大きな声で挨拶できたか。 ☆声を出して挨拶できたか。 指導者と一緒に挨拶をする。 ☆指導者の顔を見ることがで きたか。 ○これから学習が始まることを伝える。 2.本時の学習内容を知 る。 (8分) 絵カードを見ながら話を聞く。 ○絵カードを使い作業の手順 を知らせる。 ☆指導者に注目して話を聞く ことができたか。 ☆説明を最後まで聞いてから 行動に移ったか。 ○粘土板を触れさせながら提 示する。 ☆粘土板の模様や凹凸を感じ ながら触ることができたか。 ○粘土板を触れさせながら提 示する。 ☆粘土板の模様や凹凸を感じ ながら嫌がらずに触ること ができたか。 ○本時の学習内容について絵カードを提 示しながら説明し,材料に触わらせて確 認させる。 ○見本を見せて出来上がりの見通しをも たせる。 ○見本は今日実際に触る粘土と違って,乾 燥していて固いことを伝える。 3.準備をする。 (5分) エプロンに着替える。 ☆絵カードを見て,自分から行 動できたか。 エプロンを着る。 ○エプロンを首にかけて腕を 通す。 エプロンを着る。 ○エプロンに着替え活動する ことを伝え,意欲を高める。 ○カードを確認させる。 ○B児,C児の着替えを手伝う。 見本に触れながら話を聞く。 挨拶をする。 「はじめます。」と号令を かける。4.ランプの壁作りをす る。 ①道具や材料を配る。 (3分) ②制作する。 ・粘土板に模様を付ける。 ・部品を作る。部品を貼り 付ける。 ・粘土板を型にのせる。 (15分) ○みんなに材料や道具を配る ように指示する。 ☆友だちの分も「どうぞ」とい いながら配ることができた か。 ○粘土板を型にのせるときは, 指導者と一緒に布を持って のせていく。やり方が分かれ ば二つ目からは自分でのせ てみる。 ☆絵カードを確認しながら行 動できたか。 ☆出来上がったときや,次の活 動に入るとき,また,粘土が ほしいときなど,T1に聞く ことができたか。 ☆作品づくりに集中すること ができたか。 ○「どうぞ」に対して「ありが とう」と言うように促す。 ☆A児にお礼が言えたか。 ○T2はB児に向かい合わせ で指導する。 ○間違って食べないように注 意する。 ○部品を貼るときは,手を添え て一緒に行う。 ○粘土板を型にのせるのは指 導者の方で行い,のせた後の 形の変化を一緒に触って感 じさせる。 ☆指先に力を入れて模様を付 けているか。 ☆素材の触感を感じながら作 っていったか。 ○「どうぞ」に対して指導者と 一緒に「ありがとう」と伝え るように促す。 ☆A児を見ることができたか。 ○姿勢や腕の向きに注意し,声 かけをしながら一緒に模様 をつける。 ○掌に収まるぐらいの粘土を 手に持たせ,「ぎゅっと握っ て」「手を開いて」など声を かけ,動きを促す。 ○部品を貼るときは,手を添え て一緒に行う。 ○粘土板を型にのせるのは指 導者の方で行い,のせた後の 形の変化を見せたり,一緒に 触って感じさせたりする。 ☆自分から素材に手を伸ばし たり,触ったり,力を入れた か。 ☆粘土を触ったときの「冷た い」感覚を表現できたか。 ○A児に材料や道具を配るように指示す る。(板→布→粘土の順に配る。) ○自分からの動きをしっかり評価する。 ○ランプの面作りを始めるように指示す る。 ○B児の支援をしつつA児に指示を出す。 ○部品作りについては,児童の様子を見な がらタイミングを考える。(模様を付け るのみで終わってもいい。) ○部品を貼るときには,どべを塗ってから 貼ることを伝える。 ○出来上がった作品は後ろの机に持って いくことを伝える。 ○活動の途中で,それぞれのすすみ具合を お互いに伝える機会を設ける。 配られたらお礼を伝える。 粘土板を触る,たたく,押す,引っかく,つまむなどし て模様をつける。 み ん な に 板 と 粘 土 板 を 配 る。 指導者と一緒に粘土板を 触る。手を動かしてみる。 粘 土 を 持 っ て 部 品 を 作 る。 作りたいものを思い浮か べながら部品を作る。 粘 土 を 握 っ て 部 品 を 作 る。
5.手洗い・着替えをする。 (5分) ☆順番を守って手洗いができ たか。 ☆絵カードを確認しながら行 動できたか。 ○声かけで流しに誘導し,手 洗いすることを伝える。 ○エプロンを脱ぐように声か けをする。 ☆声がけに合わせて行動する ことができたか。 ○洗面器で手を洗う。 ☆嫌がらずに水に手を浸ける ことができたか。 ○カードを確認させる。 ○B児,C児の着替え手洗いを手伝う。 6.本時の学習のまとめを する。 (5分) 7.次回の学習について説 明する。 (2分) ☆自分の作品の説明ができた か。 ☆友だちの作品の良いところ を見つけることができたか。 ○友だちの作品の様子を知ら せる。 ☆集中して話を聞くことがで きたか。 ○みんなの作品を見せる。 ☆作品を見ることができたか。 ☆友だちの話を良く聞いてい るか。 ○児童と一緒に形の面白さや良さを探し 気付かせる。 ○本時の学習の評価をする。 ○次回は粘土板(面)に穴を開けることを 知らせる。 8.おわりの挨拶をする。 (1分) ☆大きな声で挨拶できたか。 ☆挨拶によりけじめを付ける ことができたか。 ○「これで」と文頭を言い,次 の言葉を促す。 ☆声を出して挨拶ができたか。 指導者と一緒に挨拶をする。 ☆指導者の顔を見ることがで きたか。 ○これで学習が終わることを知らせる。 手を洗い,エプロンを脱ぐ。 挨拶をする。 出来上がった作品を見せ合い,自分ががんばったところを発表し,友だちの発表を聞く。 次回の授業の内容について知る。 「おわります。」と号令を かける。