Title
過飽和溶液中における電気化学反応を利用した成膜法の開
発( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
梶田, 勉
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第019号
Issue Date
1995-03-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1740
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学位の種類 学位記番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委員 梶 田 勉(愛知県) 博 士(工学) 甲第19 号 平成 7 年 3 月 24 日 物質工学専攻 過飽和溶液中における電気化学反応を利用した成膜法の開発 (主査)教 授 高 橋 康 隆 (副査)教 授 箕 浦 秀 樹 教 授 塗 師 幸 夫 助教授 大 矢 豊 論文内容の要旨 本研究は,難溶性化合物の被膜を得るための電解析出法を開発することを目的として行 われたたもので,その考えの基本は,難溶性化合物の過飽和水溶液を調製して,その中に おける電気化学反応により生ずる基板表面近傍の溶解度低下を成膜に利用しようというも のである。実験の括果,いくつかの化合物被膜の形成に成功している。本論文はその結果 をまとめたものであり,7辛からなる。 第1草では,序論として本研究の学術的背景について述べている。続いて第2章では, シュウ酸カルシウム被膜の形成を典型例として新しい形成方法を詳細に検討した結果をま とめている。ここでは,間接的なシュウ酸源としてシュウ酸ジメチルエステルを用い,ま たカルシウム諒として硝酸カルシウムあるいは酢酸カルシウムを含有した水溶液中でゆっ くり進行するエステルの加水分解反応により徐々にシュウ酸を発生させてシュウ酸カルシ ウムの濃度の減少を抑制し,その溶液中でステンレス鋼基板をカソ}ド分極することによ り,低電流密度で密着性がよいシュウ酸カルシウム被膜を形成することを認めている。そ の被膜の形成機構を詳細に検討し,次のことを明らかにしている。 被膜の形成にはその被膜成分の供給が必要であり,結果として過飽和状態が柾持される。 溶液の温度,p且あるいは試薬濃度を調整することによって被膜の形成速度,ひいては被膜 の性質を変えることができる。溶液中における均一沈殿反応により生成される微粒子が電 気泳動電着されたり,電棲反応による被膜成分の生成に基づいて被膜が形成されるのでは なく,カソード分極により水素発生反応が起こり,それによって生ずるシュウ酸カルシウ ムの溶解度の減少により被膜成分が析出する。 第3章では同様の手法と考えに基づき,半導体薄膜として重要な硫化カドミウム被膜の 形成を試み,間接的なイオウ源としてチオアセトアミドあるいはチオセミカルバジドを, またカドミウム諒として種々のカドミウム塩を用いることにより,良質被膜が形成される ことを認めている。膜析出条件と得られた被膜の性質との関係を詳細に検討し,この系は
-51-低電流密度で被膜の形成が可能であるという特赦があることを明らかにしている。 弟3草では・同様の手法と考え方に基づき,半導体薄膜として重要な硫化カドミウム被 膜の形成を試み,得られた被膜の評価を行っている。間接的なイオウ源としてチオアセト アミドあるいはチオセミカルバジドを,またカドミウム涼として各種のカドミウム塩を用 いることにより,良質被膜が形成されることを改めている。 第4辛では・被膜物質前駆休阿の反応により被膜成分を生成する方法に基づいて被膜を 形成させる試みについて検討している。過マンガン酸カリウムと硫酸コバルトを含有する 水溶液を用いると・それらのイオン問の酸化義元反応によりその反応生成物である削ヒマ ンガンと針ヒコバルトの過飽和状態が灘持され,この溶液中でステンレス鋼基板をカソー ト分極することにより基板上にコバルトとマンガンの複合酸化物被膜を形成させることを 認めている。 第5草では・溶液中の反応の平衡を移動させて遇飽和溶液を調製する方法による被膜の 形成について検討している。その典型例として,トリポリリン酸ナトリウムと硝酸カルシ ウムを含有する水溶液からトリポリリン酸カルシウムの被膜が形成できることを寵めてい
る。この系では。轟液の温度上鼻及びトリポリリン酸のビロリン酸やオルトリン酸への加
水分解により川上昇が起こら・.トリポリリ.ン酸カルシウムの過飽和状態が推持できること
を巧妙に利用し七いる。 第6革においては・前章までに得られた知見を基に,特に低電琉密度で被膜形成ができる療徴を利用して・シュウ輔及びトリポリリン酸銀被膜の形成について検討し,銀イオ
ンの義元を起こすことなしに・良質な被膜が得られることを見い出している。また,これ らの被膜でコーティングされた銀電掛ま・当初の予想通り,それぞれシュウ酸イオンやト リポリリン酸イオンに対してイオン選択電極として機能し,利用できることを諦乾してい る。 弟7草ではこれらの結果をまとめている。 (以上) 論文審査の結果の要旨 本研究は・難溶性化合物の被膜を得るための電解析出法を開発することを目的としたも ので・その考えの基本は・難溶性化合物の週飽和水溶液を調製して,その中における電気 化学反応により生ずる基板表面近傍の溶解度低下を威厳に利用しようというものである。 実故の結果・いくつかの化合物被膜の形成に成功しており,本論文はその結果をまとめた ものである。 先ず第1草では序論として本研究の学術的背景について述べ,削、て第2章ではシュウ 酸カルシウム被膜の形成を典型例として新しい被膜形成方法について詳細に検討した結果 を■まとめている。ここでは・間接的なシュウ酸源としてシュウ酸ジメチルエステルを,ま たカルシウム源として硝酸カルシウムあるい`ま酢酸カルシウムを含有した水溶液中でゆっ-52-くり進行する加水分解反応により徐々にシュウ酸を発生させてシュラ▼酸カルシウムの濃度 の減少を抑制し,その溶液中でステンレス綱基板をカソード分権することにより,低電流 密度で密着性がよいシュウ酸カルシウム被膜を形成することを認めている。その被膜の形 成機構を詳削こ検討し,次のことを明らかにした。 被膜の形成にはその被膜成分の連続した供給が必要であり,結果として過飽和状態が維