中間層支持杭の鉛直支持性能に関する研究
鈴 木 直 子 西 山 高 士
渡 辺 和 博 佐 原 守
Vertical Bearing Performance of Pile on Thin Bearing Layer
Naoko Suzuki Takashi Nishiyama
Kazuhiro Watanabe Mamoru Sahara
Abstract
The vertical bearing performance of a pile on a thin bearing layer is influenced by the soft soil layer under
the bearing layer. In recent years, the diameter of a pile tip has become larger than a conventional diameter due
to the improvement of the pile construction technology. Hence, there have been an increasing number of cases
in which the thickness of the bearing layer is relatively thin compared to the diameter of the pile tip. However,
a conventional evaluation method of determining the vertical bearing performance is suggested for a pile
having a thick bearing layer. Based on this, the authors examined the vertical bearing performance of the pile
tip on the thin bearing layer analytically. Nonlinear finite element analysis was used for this study.
概 要 中間層支持杭とは,硬質層と軟弱層の互層地盤において,層厚が有限で杭先端径に対して薄い硬質層,いわ ゆる中間支持層に杭先端を支持させた杭である。その支持力や沈下という鉛直支持性能を検討する際は,支持 層下の軟弱層の影響を考慮する必要がある。近年,施工技術の向上から杭先端の大口径化は著しく,互層地盤 では中間層支持杭となるケースが増えている。しかし,鉛直支持性能に関する既往の評価式は,支持層厚が杭 先端径に対して十分厚いことを想定しており,中間層支持杭への適用性は未解明である。そこで本研究では, 杭の実大載荷試験を再現可能な非線形FEM解析を用いたパラメトリック・スタディにより,既往式の中間層支 持杭への適用性の検討と,中間層支持杭の杭先端における極限支持力および荷重~沈下関係の評価式の提案を 行った。
1. はじめに
杭先端が硬質地盤(支持層)にある杭は,支持杭と呼ば れる。支持杭は,Fig. 1に示すように支持層が深くまで連 続している,あるいは有限でも杭先端径に対して十分厚 い場合には完全支持杭,支持層厚が有限で杭先端径に対 して薄い場合には中間層支持杭(地層の中間にある支持 層に支持させた杭)に分類される。中間層支持杭は,支持 層下の軟弱層の影響が懸念される杭とも言える。 杭先端の支持力や沈下という鉛直支持性能に関しては 既に多くの研究がある。建築学会の建築基礎構造設計指 針(2001) (以下,基礎指針)においても,実大杭の載荷試 験に基づき完全支持杭の杭先端の極限支持力や荷重~沈 下関係の評価式が示されている。 一方,近年は建物の高層化による荷重増加への対応と 施工技術の向上から杭先端の大口径化が著しく,場所打 ち杭では5mを超える拡底杭も開発されている。そのため, 大阪地区に代表されるような硬質層と軟弱層の互層地盤 では中間層支持杭となるケースが増加している。しかし, 基礎指針など既往の鉛直支持性能の評価式は完全支持杭 を対象としており,中間層支持杭への適用性は未解明で ある。また,解明のための実大杭の載荷試験によるケー ススタディは,コストの問題や実地盤が完全な成層では ないことから容易ではない。そこで本研究では,実大杭 の載荷試験結果を再現可能な非線形FEM解析を用いて, 中間層支持杭の杭先端支持力および荷重~沈下関係を検 討した。検討対象とする沈下の種類は,既往の評価式に 倣い即時沈下とした。 Fig. 1 支持杭の概念図 Conceptual Chart of Bearing Piles大 口 径 杭 硬質層 (支持層) 硬質層 (中間支持層) 硬質層 軟弱層 軟弱層 軟弱層 完全支持杭 中間層支持杭 大 口 径 杭 完全支持杭 従 来 の 杭
2.
FEM
中間層支持 FEM解析によ の評価式を説 建築基礎の大 コンクリート 2.1 解析モ 本研究で採 の実大載荷試 動を再現可能 トは汎用FEM 解析モデル し,軸対称モ 土地盤とし, した。地盤は 形特性として ん断ひずみの 均曲線を与え されている。 G/G0~γ関係 を対象として 帰式である。 ひずみ毎のG 後述の解析値 付記した。上 下限曲線は平 均曲線は砂の に近い。せん 回帰式により 値積分法には 地盤の初期 より推定した Vs = 91.0 G = ・V E =2(1+ ここに, N :N値 Vs :S波 G :地 ρ :単 g :重 ν :微 E :地 N値からVs る7)。N値とV 式もあるが, れの関係式を 条件の簡略化Mの杭先端支
持杭の支持力と より完全支持杭 説明可能である 大口径杭として ト杭に関する評 モデル 採用するモデル 試験に関して極 能な手法である M解析ソフトS ルをFig. 2に示す モデルを用いた それぞれN値 は非線形ソリッ てFig. 3に示す の関係式(G/G0 えた。Fig. 3は基 いずれの関係 係に対し,せん て,土質ごとに 各土質の平均 G/G0の平均値に 値の吟味を踏ま 上限曲線は試験 平均値-標準偏 の上限曲線,砂 ん断ひずみが1 り外挿した。大 は選択低減積分 期変形係数は想 た。 ・N0.337 Vs2/g )G 値 波速度(m/s) 地盤のせん断剛 単位体積重量(k 重力加速度(m/s 微小ひずみレベ 地盤の変形係数 sを算定する(1 sとの関係式に 本解析で対象 を用いてもVsに 化のために土質持力評価への
と沈下を検討す 杭に関する従 るかを検討した て最も多く用い 評価式とした。 ル化手法は,場 極限支持力に至 る例えば1),2),3)。採 oilPlusである4 す。地盤と荷重 た。地盤は砂, 値=10,20,30,50,7 ッド要素でモデ す地盤のせん断 ~γ曲線)のう 基礎指針5)および 係式も振動三 ん断ひずみが10 に最小二乗近似 均曲線は,試験 に基づいている まえて,上限曲 験データの平均 偏差に基づいて 砂礫の平均曲線 0-2より大きい 大変形にも対応 分を用いた。 想定N値からV 剛性(kN/m2) kN/m3) s2) ベルにおけるポ 数(kN/m2) )式は,全土質 には土質や堆積 象とするN値の には大差はない 質によらず同じの適用性
する前に,非線 従来の極限支持 た。検討対象は いられる場所打 場所打ち節付き 至るまでの沈下 採用した解析ソ 4)。 重の対称性を考 砂礫,および 75,100,150を想 デル化した。非 断剛性低下率と うち,各土質の び参考文献6)に 三軸試験等で得 0-6から10-2の範 似で求められた 験データにおけ る。砂について 曲線と下限曲線 均値+標準偏差 ている。粘土の 線は砂の下限曲 い範囲のG/G0は 応できるよう, sを介して次式 (1) (2) (3) ポアソン比 質を対象として 積年代を区別し の範囲では,い いことから,解 じ式を用いた。 線形 持力 は, 打ち き杭 下挙 ソフ 考慮 び粘 想定 非線 とせ の平 に示 得た 範囲 た回 ける ては 線も 差, の平 曲線 は, 数 式に てい した いず 解析 Fig. 2に 一 8)9) と 本 盤 質 N 2 3 5 7 1 1 Vs ν' E0 ν せん断剛性 低 下 率 (G /G ) には,粘土地盤 軸圧縮強さqu )。この換算式 quの関係図に 解析における 盤の変形係数Eを 質の特性は G/G Fig FEM Fig Rela Re N値 qu (kN/m2 ) V 10 500 20 1000 30 1500 50 2500 75 3750 100 5000 150 7500 s:N値から換算し :N値からE0を算 0:微小ひずみレベ :沈下計算に用い 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.E-06 1 せん断剛性 低 下 率 (G /G0 ) 盤の物性評価を も併記した。換 式で表される直 おいて,概ねq N値の想定は, を設定するため G0~ 曲線での g. 2 FEM解析 M Analysis Mo g. 3 地盤のせん せん断ひず ationship betwe eduction Ratio Vs (m/s) ν' ρ ( 198 0.49 250 0.49 286 0.49 340 0.49 390 0.49 430 0.49 492 0.49 したS波速度、qu: 出する際のポアソ ベルにおける地盤の いるポアソン比 1.E-05 1.E-04 せん断 粘土(平均) 砂(平均) 砂礫(平均) 砂(下限) 砂(上限) を考慮してN値 換算式にはqu= 直線は,実測値 quの中央値を示 ,あくまでもV めの条件設定 のみ表現され 析モデル(完全支odel for Beari
ん断剛性低下 ずみの関係5),6)
ween Shear Stif and Shear St (kN/m3) E0 (kN/m 18 210, 18 330, 18 450, 18 630, 18 830, 18 1,010, 18 1,340, N値から換算した ソン比、ρ:土の単 の変形係数、 4 1.E-03 1 断ひずみ (γ) 値から換算した =50Nを用いた 値に基づくN値 示す9)。なお, Vsに基づく地 であり,各土 る。また,Vs 支持杭) ing Pile 率と ffness train m2) ν ,000 ,000 ,000 ,000 ,000 ,000 ,000 一軸圧縮強度、 単位体積重量、 砂質土 =0.3 粘性土 =0.3, 0.45 .E-02 1.E-01 た た 値 地 土 s
から求まるE,すなわちPS検層のEは,測定する時の地盤 条件や拘束圧が明確であり,その値の信頼性が高いこと から,基礎指針においても沈下計算に用いるには土質に よらず合理的とされている。しかし,一般にPS検層は地 震応答解析が必要な超高層建物の設計でのみ実施される ため,全土質についてN値を指標とすることは実施設計 においても有用である。 荷重面の直径は1mとした。これは,検討対象とする基 礎指針の杭先端支持力の評価式が,杭径1m程度の実大杭 の載荷試験結果に基づくことによる。杭先端を模した荷 重面は,実杭の杭先端の根入れ長を考慮し,杭径と同じ 長さだけ地盤上面よりも下方とした。荷重面の不同沈下 を避けるため,載荷面には剛板を設けた。モデル化領域 は,地中応力の伝播範囲を考慮して載荷面から水平およ び鉛直方向に,それぞれ載荷面直径の5倍を確保した。 2. 2 完全支持杭の杭先端支持力評価への適用性 Fig. 4は,杭先端が砂地盤にある場所打ちコンクリート 杭が完全支持杭である時の,杭先端N値と支持力度の関 係である。基礎指針に示されている図10)に,本解析で得 た値を追記した。基礎指針に従い,極限支持力は荷重~ 沈下関係において荷重面の沈下が載荷面直径の10%に達 する時の荷重とした。解析で得た曲線は,概ね実測値の 上限と下限に位置している。砂のG/G0~ 曲線の上限と 下限の幅,さらに,実地盤では砂地盤といえども粘土混 じりであることが多いことを考えると,解析は極限支持 力の発現機構を再現していると言える。砂礫の曲線が砂 よりも上に位置する理由は,G/G0~ 曲線において極限 支持力が発揮される際の杭近傍地盤のせん断ひずみ(10 の-1乗のオーダー)では,砂礫のG/G0が砂よりも若干大き いことによる。ただし,せん断ひずみが10-2を超える大 変形領域のG/G0は回帰式の外挿によって求めており,そ の精度を考慮すると,両者は,ほぼ同等の極限支持力と 考えられる。 Fig. 5は,杭先端が粘土地盤にある場所打ちコンクリー ト杭が完全支持杭である時の,杭先端のquと支持力度の Fig. 3 地盤のせん断剛性低下率と せん断ひずみの関係6),7) Relationship between Shear Stiffness
Reduction Ratio and Shear Strain
Fig. 5 完全支持杭の一軸圧縮強度quと極限先端支持力度qpの関係(場所打ち杭,粘土地盤)
Relationship between Uniaxial Compressive Strength and Ultimate Bearing Capacity on Pile Tip of Bearing Pile (Cast-In-Place Pile, Clay)
Fig. 4 完全支持杭の杭先端N値と極限先端支持力度の関係(場所打ち杭,砂地盤)10)に加筆
Relationship between N-Value and Ultimate Bearing Capacity on Pile Tip of Bearing Pile (Cast-In-Place Pile, Sand) 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 極 限先端 支持力 度 qp (k N /m 2) 先端平均N値 基礎指針文献No.6.3.15(細砂) 基礎指針文献No.6.3.15(細砂以外) 基礎指針文献No.6.3.16(細砂) 基礎指針文献No.6.3.16(細砂以外) 基礎指針文献No.6.3.16(細砂・深礎) 基礎指針文献No.6.3.16(細砂以外・深礎) 基礎指針文献No.6.3.17(細砂) 基礎指針文献No.6.3.18(細砂以外) 基礎指針文献No.6.3.19(細砂) qp=100N (N値≦75) FEM (G/G0~γ・砂) の解析値 FEM (G/G0~γ・粘土(砂上限相当)) の解析値 FEM (G/G0~γ・砂礫(砂下限相当)) の解析値 基礎指針ではN値>100の実測値は全てN値=100としてプロットされている 基 礎 指 針 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 極限先 端支持力度 qp (k N /m 2) 杭先端qu(kN/m2) qp=3qu (基礎指針、上限7500kN/m2) FEM (G/G0~γ・砂) の解析値 FEM (G/G0~γ・粘土(砂上限相当)) の解析値 FEM (G/G0~γ・砂礫(砂下限相当)) の解析値
関係である。 針の評価式は 地盤の杭先端 地盤の非線 は基礎構造の 題への適用性 杭の極限支持 であり,両者 法で極限支持 ~沈下関係を 下の問題を1 杭の鉛直性能
3. 中間層
前章では, 支持力を評価 は,前章の解 その杭先端の 低下するか, 検討した。 3.1 解析モ 解析モデル である。杭先 線形特性は砂 軟弱層はN値 形特性は各N 層の層厚は杭 端から軟弱層 た。地盤を弾 面に円形の等 Fig. 7となり 力は荷重の10 杭先端支持力 基礎指針では を用いること 杭先端支持力 れる。したがっ 3.2 解析結 解析で得た 杭の極限支持 をFig. 8(a)~( 硬質層のN値 合,N値や土 の低下は5%程 同等と見なせ 軟弱層の影響 の土質が極限 値が同じであ Fig. 3の地盤の 地盤の非線形 はよく対応して 端極限支持力も 線形特性にG/G の沈下問題での 性には未解明な 持力は杭の荷重 者の関連性は高 持力が発揮され を再現可能であ 1つの解析モデ 能評価において層支持杭の杭
非線形FEM解 価可能であるこ 解析手法を用い の極限支持力が さらに,杭先 モデル ルをFig. 6に示す 先端支持層とな 砂,砂礫,およ 値が5,10,20, N値に対して砂 杭径Dと同じ厚 層までの距離) 弾性体としたと 等分布荷重が作 11),荷重面か 0%以下と沈下 力の算定に用い は杭先端から上 ととしており, 力への影響は, って,支持層厚 結果 た中間支持杭の 持力に対する中 (c)に示す。軟弱 値に対する軟弱 土質によらず支 程度と小さく, せる。このこと 響に留意した設 限支持力の低下 あれば粘土より のG/G0~曲線 形特性が粘土の ており,本解析 も評価できる。 G0~ 関係を の実績は多いが な部分もあった 重~沈下関係か 高い。土質に関 れる大変形時ま あること,さら デルで検討可能 て有用である。杭先端支持力
解析で完全支持 ことを確認した いて,中間層支 が完全支持杭に 先端の荷重~沈 す。モデル化手 なる硬質層はN び粘土の3ケー 30,50,75の 砂と粘土の2ケー 厚さ(1D)とした は,次の考え方 とき,半無限の 作用すると地 ら載荷径の2倍 下に及ぼす影響 いるN値や一軸 上に1D,下に1D 下に1Dの範囲 この平均N値 厚は1Dと2Dの2 の極限支持力低 中間支持杭の極 弱層のN値が3 弱層のN値の比 支持層厚が2Dあ 極限支持力度 は逆に,αが0 設計が必要とも 下に与える影響 りも砂の方が大 線おいて,同じ の解析値と基礎 析手法により粘 を用いたFEM解 が,杭の支持力 た。しかし,元来 から評価される 関係なく本解析 までの杭先端荷 らに,支持力と 能であることは力と沈下挙動
持杭の杭先端極 た。続いて本章 支持杭に関して に比べてどの程 沈下関係につい 手法は2章と同 N値=100とし, ースとした。下 の5ケース,非 ースとした。軟 た。支持層厚(杭 方に基づき設定 の一様地盤の地 地中応力の分布 倍離れると地中 響は小さい。ま 軸圧縮強さquは Dの範囲の平均 囲にある軟弱層 値と平均quに含 2ケースとした 低下率(完全支 極限支持力の比 0以上,すなわ αが0.3以上の あると極限支持 度は完全支持杭 0.3以下の場合 も言える。軟弱 響は,軟弱層の 大きい。これは じひずみレベル 礎指 粘土 解析 力問 来, る値 析手 荷重 と沈 は, 極限 章で て, 程度 いて 同様 非 下部 非線 軟弱 杭先 定し 地表 布は 中応 た, は, 均値 層の 含ま た。 支持 比) わち の場 持力 杭と は, 弱層 のN は, ルで F N 5 10 20 30 50 75 100 Vs ρ: 地盤 Fig. 6 F FEM Analysis N Vs (m/s) ν 157 0.4 0 198 0.4 0 250 0.4 0 286 0.4 0 340 0.4 5 390 0.4 0 430 0.4 :S波速度、ν’ 土の単位体積 盤の変形係数、 -2D 0 D 2D 3D Fig. 7 円形 Distributi Uniform FEM解析モデル Model for Be ' ρ (kN/m3) 49 18 49 18 49 18 49 18 49 18 49 18 49 18 ’:N値からE0を 積重量、E0:微小 、ν:沈下計算 -D D D σz/p = 0 0 0 0 0 形等分布荷重に (一様な弾性半 on of Vertical Load (Semi-I Elastic G ル(中間層支持 earing Pile on E0 (kN/m2) 150,000 210,000 330,000 450,000 630,000 830,000 1,010,000 を算出する際の 小ひずみレベル に用いるポア D D p = 0.1 0.2 0.3 0.5 0.7 0.9 による鉛直応力 半無限地盤)11) l Stress under Infinite and Un Ground) 持杭) Thin Layer ν のポアソン比、 ルにおける ソン比 砂質土 =0.3 粘性土 =0.3,0.45 2D 力の分布 Circular niformあれば,粘土の剛性低下量は砂よりも小さいことによる。 Fig. 8(b)の硬質層が砂礫の場合,軟弱層のN値が50以上の 粘土では極限支持力の低下率が1.0以上,すなわち中間層 支持杭の極限支持力が完全支持杭よりも上回っている。 これは,極限支持力が発揮される時の杭近傍地盤のひず みレベル(10の-1乗オーダー)では粘土のG/G0は砂礫より も大きいため,粘土は軟弱層という設定ではあるが結果 的に硬質層よりも剛性が大きくなったことによる。軟弱 層が粘土のケースについてポアソン比を0.3と0.45の2種 類で検討したところ,軟弱層のポアソン比が極限支持力 の低下に与える影響は無視できるほど小さい。 Fig. 9は,軟弱層の層厚が極限支持力の低下率に与える 影響を検討した結果である。解析モデルはFig. 6を元に, 硬質層はN値=100の砂,軟弱層はN値=10の砂と粘土の2 種類とし,支持層厚(荷重面から軟弱層までの距離)を1D に固定した状態で軟弱層の厚さを1D, 2D,4Dと変化させ た。極限支持力の低下率は,軟弱層厚が2D以上で一定値 に収束している。Fig. 7の一様地盤における地中応力分布 では,荷重面から載荷径の2倍離れた深さの地中応力は荷 重の10%以下と沈下に及ぼす影響は小さいが,互層地盤 も同様の傾向と言える。 3.3 中間層支持杭の杭先端荷重~沈下関係 解析で得た中間支持杭の荷重~沈下曲線の一例をFig. 10に示す。Fig. 8で極限支持力低下が最も大きいケースで ある。荷重と沈下は,それぞれ極限支持力と杭径で正規 化している。Fig. 10の解析値をみると,極限支持力が支 持層下の軟弱層の影響で低下しても,正規化した荷重~ 沈下曲線は軟弱層のN値によらず完全支持杭とほぼ同一 と見なせる。つまり,即時沈下に限れば,極限支持力を Fig. 8に基づき低下させるならば,完全支持杭を対象とし た正規化した荷重~沈下曲線を軟弱層の影響を考慮した 中間層支持杭の沈下評価に用いることが可能であると考 えられる。 Fig. 10には基礎指針,日本建設業協会(BCS)の提案式 12),および既往の大口径杭の載荷試験結果13)も追記した。 解析で得た曲線は,基礎指針やBCSの提案式よりも大 口径杭の載荷試験の曲線に近い結果となった。ただし, Fig. 8 杭先端極限支持力の低下率(軟弱層の層厚1D) Reduction Ratio of Ultimate Bearing Capacity on Pile Tip
Fig. 9 軟弱層の層厚と杭先端極限支持力の低下率との関係
Relationship between Thick of Soft Layer and Reduction Ratio of Ultimate Bearing Capacity on Pile Tip
軟弱層 硬質層 硬質層 軟弱層 硬質層 硬質層 1D 2D 1D 1D 軟弱層 硬質層 1D 4D 硬質層のみ (軟弱層=0D) 2D 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 0 10 20 30 40 50 60 70 極限支持 力の低下率 軟弱層のN値 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 0 10 20 30 40 50 60 70 極限 支持力の低 下率 軟弱層のN値 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 0 10 20 30 40 50 60 70 極限支持力 の低下率 軟弱層のN値 距離2D 距離1D 距離2D 距離1D 距離2D 距離1D (a)硬質層:砂・N値=100 (b)硬質層:砂礫・N値=100 (c) 硬質層:粘土・N値=100, ν=0.45 軟弱層(砂) 距離1D 層厚1D ν0.3 軟弱層(砂) 距離2D 層厚1D ν0.3 軟弱層(粘土) 距離1D 層厚1D ν0.3 軟弱層(粘土) 距離2D 層厚1D ν0.3 軟弱層(粘土) 距離1D 層厚1D ν0.45 軟弱層(粘土) 距離2D 層厚1D ν0.45 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 1 2 3 4 極 限支持 力の低 下率 軟弱層の層厚(杭径Dに対する倍率) 軟弱層N=10 粘土 ν=0.45 軟弱層N=10 砂 ν=0.3 硬質層 N=100 砂 ν=0.3
いずれの提案式も載荷試験に基づいており,地盤物性の ばらつきや施工による地盤の緩みの影響を考慮すると, 一概にどの曲線が推奨されるかの判断は難しい。しかし, 群杭効果や軟弱層の圧密沈下を考慮する必要が無い場合 は,沈下を過大に評価し過ぎないよう,中間層支持杭の 荷重~沈下関係として大口径杭の載荷試験の曲線を用い ても良いものと考えられる。
4. まとめ
中間層支持杭の鉛直支持性能のうち,支持力と即時沈 下について非線形FEM解析を用いて検討し,以下の知見 を得た。 1) 地盤の非線形特性にG/G0~曲線を与えた非線形 FEM解析により,基礎指針の場所打ちコンクリー ト杭に関する杭先端極限支持力の評価式を説明で きる。 2) 中間層支持杭において,支持層直下の軟弱層の土 質が極限支持力の低下に与える影響は,同じN値 の軟弱層では粘土よりも砂の方が大きい。 3) 中間層支持杭の杭先端の鉛直支持性能は,支持層 直下の軟弱層のN値が支持層の0.3倍以上あり,か つ,支持層厚が杭径の2倍以上あれば,完全支持杭 と同等と見なせる。 4) 極限支持力度と杭径で正規化した中間層支持杭の 杭先端荷重~沈下関係は,支持層直下の軟弱層の 影響を考慮した極限支持力を用いれば,軟弱層の N値によらず完全支持杭とほぼ同一の曲線で評価 できる可能性がある。 中間層支持杭を利用するケースは,今後も増加すると 考えられる。実際の互層地盤は解析で想定した地層構成 よりも複雑であり,支持層直下の軟弱層が粘土の場合は, 別途,圧密沈下の検討も必要となるが,本研究のような 中間層支持杭の鉛直支持性能に関する検討は過去に見受 けられない。本研究で得た知見を中間層支持杭の安全性 向上に役立てるとともに,中間層支持杭を有する建物に おける杭軸力や沈下の計測により,さらなる評価手法の 高度化に努める所存である。 参考文献 1) 鈴木直子,他:場所打ち節付き杭の鉛直交番載荷試 験および引抜き試験(その1~その5),日本建築学会 学術講演梗概集,B-1,pp.567-576,2008.7 2) 鈴木直子,他:超高層建物を支持する節付き場所打 ち杭の鉛直載荷試験と常時および地震時沈下挙動, 日本建築学会技術報告集,第15巻,第30号,pp. 399-404, 2009.6 3) 鈴木直子,他: 拡底杭・節付き杭の鉛直荷重~変位 の関係と抵抗力の評価,日本建築学会構造系論文集, 第75 巻,第656 号,pp.1847-1856,2010.10 4) 伊藤忠テクノサイエンス 5) 日本建築学会:基礎構造設計指針,pp.142,2001 6) 今津雅紀,他:砂礫材料の動的変形特性,第21 回土 質工学研究発表会pp.509-512,19867) Imai.T., P and S wave velocities of the ground in Japan, Proc. 9th ICSMFE, Tokyo, Vol.2, 1977
8) 地盤工学会編:地盤調査の方法と解説,二分冊の1, pp.308-309,2013 9) 地盤工学会編:新編 基礎の設計計算演習,pp.20, 2000 10) 日本建築学会:建築基礎構造設計指針,pp.209,2001 11) 松岡元:土質力学,森北出版,pp.83-85,1999 12) 持田悟,他:場所打ちコンクリート杭の支持力性能 ( そ の1) , 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 , pp.725-726,2000.7 13) 杉村義広,他:大口径場所打ちコンクリート杭の先 端載荷試験とシミュレーション解析,日本建築学会 構造系論文集第560 号,pp.115-123,2002.10 Fig. 10 杭先端における正規化した荷重~沈下曲線
Normalized Curve between Load and Settlement
N=5 N=10 N=20 N=30 N=50 N=75 N=100の一様地盤(完全支持杭) 中間層支持杭 (Nは軟弱層のN値) 基礎指針 大口径杭の載荷試験:杭径1.5m 13) 大口径杭の載荷試験:杭径2.5m13) BCS 砂礫12) BCS 砂12) ‐0.10 ‐0.08 ‐0.06 ‐0.04 ‐0.02 0.00 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 S/ D P/Pu 硬質層 :N値=100の砂 軟弱層 :砂 杭先端から軟弱層までの距離 (支持層厚):1D 軟弱層厚 :1D P / Pu 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 S / D 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10