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技術論文 車両周辺環境の変化に対応した危険感ポテンシャルと 車両運動性能を考慮した自律走行のための制御目標生成* 金子 哲也 1 杉山 哲 2) 栗谷川 幸代 3 籾山 冨士男 4) 景山 一郎 5) Real-time Generation of Control Target i

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(1)

車両周辺環境の変化に対応した危険感ポテンシャルと

車両運動性能を考慮した自律走行のための制御目標生成

*

金子 哲也1) 杉山 哲2) 栗谷川 幸代3 籾山 冨士男4) 景山 一郎5)

Real-time Generation of Control Target in Risk Feeling Potential Corresponding to Change

of Vehicle Situation and Vehicle Dynamics

Tetsuya Kaneko Satoshi Sugiyama Yukiyo Kuriyagawa Fujio Momiyama Ichiro Kageyama

We constructed a control target generation algorithm for an autonomous vehicle considering a risk potential driver model corresponding to change of the vehicle situation and vehicle dynamics model that we devised on the basis of the driving operation of a human being. We confirmed the validity of the control target generation algorithm during obstacle avoidance in a simulation using a vehicle dynamics model with multiple degrees of freedom.

KEY WORDS: electronics and control, autonomous driving system, driver model, platooning, risk potential model (E1)

1. は じ め に

情報通信技術による高度化により,交通物流の諸問題解決と 効率化を目的とした ITS(Intelligent Transport System)計 画のもと,様々な研究が国内外で長年に渡り続けられてきてい る.自動運転技術は道路交通の安全性の向上,運転者の運転負 荷の軽減,交通物流効率などを飛躍的に向上させる技術として 期待されている.またその研究開発によって得られたテクノロ ジは量産車のアクティブセーフティ技術などに転用されてい る.近年では,環境問題への社会の注目度が高くなり,CO2排 出量削減や省エネルギー技術が注目されている.新エネルギー 産業技術総合開発機構では「エネルギーITS 推進事業」による 自動運転・隊列走行に関する研究開発プロジェクトが実施され ている(1).ここでは大型貨物自動車を自動運転・隊列走行(図 1)で行うことで,省エネルギーかつ高効率な幹線物流を実現 する次世代輸送システムの研究開発が進行中である(2) 本研究では,自律走行車両のステアリング制御に着目し, 我々はこれまで制御目標となる目標走行軌跡や車両状態量の 生成について,レーンチェンジや障害物回避時の人間の運転動 作を基本とした危険感ポテンシャルドライバモデルと車両運 動性能を考慮した車両モデルを用いた制御目標生成アルゴリ ズムの提案を行ってきた(3) 本稿では,提案したアルゴリズムの妥当性検証の1つとして, 熟練ドライバによる実車走行実験データと同様の走行環境か ら生成された制御目標との比較検証を行い,提案したモデルに よって人間の運転行動の再現性を確認した.更に提案されたア ルゴリズムにより生成された制御目標を用いた操舵制御によ る車両の誘導制御の実現性の確認をするため,多自由度の運動 力学シミュレーションを行った結果について述べる. 2. 制御目標生成アルゴリズム 自律走行車両の操舵制御を行う場合の構成要素の略図を図 2に示す.本研究では障害物回避時,車線変更時における操舵 制御の目標となる車両状態量や走行軌跡の生成アルゴリズム を開発について取り組んだ.本アルゴリズムは以下の段階を経 て操舵制御系に制御目標を受け渡す. *2012 年 10 月 12 日受理.2012 年 10 月 5 日自動車技術会秋 季学術講演会において発表.

1)・2)大阪産業大学(574-8530 大阪府大東市中垣内3-1-1), Fig.1 Experimental vehicle for Energy-saving ITS えないように自動的に最大化されている.一方,オブザーバ なしでは推定EGR 弁通過流量が修正されないため過渡で失火 が発生してしまう.900~1200 秒での EGR 率が 600~900 秒に 比べて低い理由は,大きなスロットル弁開度(図8 の 900~ 1200 秒)に対して EGR 弁開度も大きくするとスロットル弁急 閉時での失火の危険が大きいためである. 6.ま と め 本論文では,流量制約による高EGR制御設計法を提案した. その特長は以下である.  あらゆるスロットル変化に対して過渡でも失火しない 最大 EGR 率に自動的に制御可能である.つまり,失火 の危険が無い限りEGR 率を目標値に追従させる.  過渡を含めた全運転領域に対して,運転領域で分割する ことなく,単一の制御器を設計すればよい.  EGR 弁開度についての非線形予測制御問題を,大域的最 適化が可能であり,かつ演算が容易な時不変の二次計画 問題に帰着した. 今後の課題は,さらなる演算負荷の低減,実エンジンでの 制御性能検証,過給器および内部EGR を含めたエアパス系に 対する予測制御器の設計である. 謝 辞 本技術の開発にあたり御協力頂いた富士通テン(株)石淵 雅顕氏に感謝の意を表します. 参 考 文 献

(1) D. Q. Mayne and J. B. Rawlings and C. V. Rao and P. O. M. Scokaert: Constrained model predictive control: Stability and optimality, Automatica, vol. 36, p. 789-814(2000)

predictive control technology, Control Engineering Practice, vol. 11, p.733-764(2003).

(3) Jan Marian Maciejowski: Predictive Control with Constraints, Prentice Hall, 2002, 331p.

(4) M. Diehl, H.G.Bock, J.P.Schl¨oder, R.Findeisen, Z.Nagy, and F.Allg¨ower: Real-time optimization and Nonlinear Model Predictive Control of Processes governed by differential-algebraic equations, Journal of Process Control, vol. 12, p.577-585(2002) (5) T. Ohtsuka, A Continuation/GMRES Method for Fast Computation of Nonlinear Receding Horizon Control, Automatica, vol. 40, no.4, p.563-574(2004)

(6) V.M.Zavala and L.T.Biegler, The advanced-step NMPC Controller: Optimality, stability and robustness, Automatica, vol. 45, p.86-93(2009)

(7) A. Bemporad and M. Morari and V. Dua and E. N. Pistikopoulos: The explicit linear quadratic regulator for constrained systems, Automatica, vol. 38, no. 1, p.3-20(2002)

(8) H.J. Ferreau: An online active set strategy for fast solution of parametric quadratic programs with applications to predictive engine control, Master’s Thesis, University of Heidelberg (2006)

(9) Luigi del Re and Frank Allg¨ower and Luigi Glielmo and Carlos Guardiola and Ilya Kolmanovsky: Automotive Model Predictive Control, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg, 2010, 284p.

(10) Peter Ortner and Luigi del Re: Predictive Control of a Diesel Engine Air Path, IEEE Transactions on Control Systems Technology, vol.15, no.3, p.449-456(2007)

(11) H.J.Ferreau, P.Ortner, P.Langthaler, L. del Re, and M. Diehl: Predictive control of a real-world Diesel engine using an extended online active set strategy, Annual Reviews in Control, vol.31, p. 293-301(2007)

(12) S.Garcia-Nieto, M.Martinez, X.Blasco, and J.Sanchis, Nonlinear predictive control based on local model networks for air management in diesel engines, Control Engineering Practice, vol.16, p.1399-1413(2008)

(13) C.F.Taylor: The Internal-Combustion Engine in Theory and Practice(2nd ed.), MIT Press, Cambridge. Revised, 1985, 584p. (14) H.W.Liepmann and A.Roshko: Elements of Gasdynamics, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1957, 443p.

(15) T. Jimbo and Y. Hayakawa: Torque Control for Automotive Engines with Variable Valves via Air and Burned Gas Flow-based Design, SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration, vol.4, no.4, p.275-282(2011)

(16) T. Jimbo and Y. Hayakawa: Model Predictive Control for Automotive Engine Torque considering Internal Exhaust Gas Recirculation, Proc. of the 18th World Congress The International Federation of Automatic Control, Milano, Italy,

0 10 20 30 cy l re f [ % ] 0 200 400 600 800 1000 1200 -15 -10-5 0 5 10 15 time [sec] er r of M eg r [% ] 0 200 400 600 800 1000 1200 5 10 15 20 25 cy l [ % ] w/o obsv 0 200 400 600 800 1000 1200 5 10 15 20 25 time [sec] cy l [ % ] with obsv

Fig.11 Variations of referece and model error

Fig.12 Result of variations

upper bound 25% upper bound 25% reference reference x: misfire x x x x

(2)

線区分の危険感RCが隣車線に移行するためyD= -D/2~-2/3D ま で以下(3)式に示すレーンチェンジ開始からの走行距離x に対 するシグモイド関数により変化させ,緩やかな車線変更を表現 する.  /2  2 1 tra D a L x D D y e       (3) ここでLtraは車線区分の危険感移行距離,aはレーンチェンジ 判断開始から車線区分の危険感が右側壁に一致するまでの距 離に関する関数として車速や障害物と相対速度,相対距離によ り変化量が定められる. 障害物や他車両より受ける危険感について,図4に後述する 実車走行実験における停止(または先行)車両を例に示す.こ こでは,対象物に対して前端と後端を基準として前後,左右方 向の危険感を道路側壁や車線区分同様に指数関数により定義 する.ここで,同レベルの危険ポテンシャル値を示す前後,左 右位置を楕円公式の半径として定式化することによって,等高 線状に危険ポテンシャルをマップ状に補完する. 図5 に側壁,車線区分線,他車両からの危険感を合成した例 を示す.危険感ポテンシャル式の指数関数の定数を変化させる ことによって,障害物との距離や相対速度の変化による危険感 変化を表現することが可能であり,車両周辺環境に動的に対応 可能な危険感配置が行うことができる.そして,生成された危 険感ポテンシャルの極小値を仮想的な目標とする. 図 6 に示す前方注視二次予測モデルによる自車予測位置にお ける,前述の危険感ポテンシャルの左右偏差ε をフィードバッ クし,操舵を決定することにより目標偏差に対して,操舵ゲイ ンに非線形要素を考慮することとなる.その操舵角を車両運動 モデルの運動方程式に入力することにより車両軌跡や車両状 態量を制御目標として算出する. ここで予見時間 Tp秒後の車両横方向の二次予測モデルの注 視点Ypは以下の式で表す.

2 0 1 2 pi pi pi Y  Y V   Tr  V T (4) また,前方注視モデルでは通常注視点を1点で捉え,その偏 差を操舵に反映させる.しかしドライバは 1 点を注視してでは なく,ある注視点中央の前後状況も含めて目標コースを決め, 操縦動作を行っているものと考えられる.そこで,本モデルで は注視時間を複数設定した多点注視モデルを採用した(6)(7).こ こで,前方注視ドライバモデルを考える際,速度と前方注視時 間の関係を考慮する必要があるが,本検討では基礎検討として, 基本となる注視時間を1.0sec 一定として前後 0.1sec 毎に 5 点の 計 11 点を注視点とし,標準偏差で重み付けを行った. 各予見時間に対する注視距離xp1~11を標準偏差σ とする正規 分布関数により以下のように重みづけする.

2 6 2 1 ( ) exp 2 2 pi p i x x w x            ( i =1~11 ) (5) これにより,重み付けを考慮した危険感ポテンシャル偏差の平 均εaveは以下に示す. 11 1 1 ( ) 11 ave i i i w x    

(6) よって多点注視モデルにより算出される舵角は以下となる. s ave K dt 

  (7) 2.2. 大型車両運動力学モデル 本検討での制御対象は大型車両であり,その車体規模から固 有の運動特性を有する.そのため前節で述べた制御目標となる 走行軌跡や車両状態量生成にあたって,その運動特性を十分に 考慮する必要がある.図 7 に本アルゴリズムに内挿された車両 運動モデル図を示し,運動方程式を以下に表す.

Fig.5 Risk potential field map

Fig.6 Driver model with multiple preview point

Fig.7 Vehicle dynamics model for 3axles heavy vehicle ① 側壁,走行車線,障害物など自車両周辺環境情報を取得 する. ② 自車両周辺環境情報,自車両運動状態により危険感ポテ ンシャルマップを生成する. ③ 危険感ポテンシャルマップ上を前方注視ドライバモデル と車両運動力学モデルを用いて瞬時にシミュレートする. ④ 前述によって得られた走行軌跡,操舵角,車両状態量を 制御目標として操舵制御系に情報を伝達する. 以降、本研究の対象になる上記②における危険感ポテンシャ ルドライバモデルの構築、③におけるドライバモデルと車両運 動力学モデルの詳細について説明する. 2.1. 危険感ポテンシャルドライバモデル ドライバが車両周辺環境から感受する危険感覚を制御目標 生成アルゴリズムに反映させる.これはドライバが視野内の壁 や車線,他車両等の周辺環境から受ける危険感覚を基に,これ が最も低いと感じる位置を目標コースとして仮定し,ドライバ はトレースするように走行しているものという考え方に基づ いたモデルである.この考えはこれまで瞬時心拍の上昇などの 生体計測や主観評価により説明し構築されたモデルである(4)(5) 本稿では図3に示すように,前方に停止または走行している 車両を回避,追い越す条件を例にモデルの検討する.図3 では まず,左右の側壁からの危険ポテンシャル値RLRRを以下(1) 式に示す.また2車線の車線区分線による車線維持走行のため の危険感としてRCを以下(2)式に定義する. 1 ( /2 )p L D y L L R C e   , 1 ( 3/2 p) R D y R R R C e    (1) 1 ( D p) C y y C C R C e   (2) ここでは後述するドライバモデルの注視点 ypにおける危険 感を指数関数で記述する.ここで,CL ,CLCCは左右側壁お よび車線区分線からの危険ポテンシャル関数のゲインを表し, τL,τR,τCは指数関数の立ち上がりに関する定数である.ま たD は各車線の幅を示す.ここでyDは図 3 に示すように①車 線維持モードから②レーンチェンジモードへの判断に従い,車 Fig.2 Block diagram of steering control for autonomous vehicle

Fig.3 Schematic of risk potential from sidewall and lane line

(3)

線区分の危険感RCが隣車線に移行するためyD= -D/2~-2/3D ま で以下(3)式に示すレーンチェンジ開始からの走行距離x に対 するシグモイド関数により変化させ,緩やかな車線変更を表現 する.  /2  2 1 tra D a L x D D y e       (3) ここでLtraは車線区分の危険感移行距離,aはレーンチェンジ 判断開始から車線区分の危険感が右側壁に一致するまでの距 離に関する関数として車速や障害物と相対速度,相対距離によ り変化量が定められる. 障害物や他車両より受ける危険感について,図4に後述する 実車走行実験における停止(または先行)車両を例に示す.こ こでは,対象物に対して前端と後端を基準として前後,左右方 向の危険感を道路側壁や車線区分同様に指数関数により定義 する.ここで,同レベルの危険ポテンシャル値を示す前後,左 右位置を楕円公式の半径として定式化することによって,等高 線状に危険ポテンシャルをマップ状に補完する. 図5 に側壁,車線区分線,他車両からの危険感を合成した例 を示す.危険感ポテンシャル式の指数関数の定数を変化させる ことによって,障害物との距離や相対速度の変化による危険感 変化を表現することが可能であり,車両周辺環境に動的に対応 可能な危険感配置が行うことができる.そして,生成された危 険感ポテンシャルの極小値を仮想的な目標とする. 図 6 に示す前方注視二次予測モデルによる自車予測位置にお ける,前述の危険感ポテンシャルの左右偏差ε をフィードバッ クし,操舵を決定することにより目標偏差に対して,操舵ゲイ ンに非線形要素を考慮することとなる.その操舵角を車両運動 モデルの運動方程式に入力することにより車両軌跡や車両状 態量を制御目標として算出する. ここで予見時間 Tp秒後の車両横方向の二次予測モデルの注 視点Ypは以下の式で表す.

2 0 1 2 pi pi pi Y  Y V   Tr

 V T 2 pi pi pi Y Y V T r

V T Ypi Y V Tpi r

V Tpi Ypi Y V    Tpi r 

V Tpi Y Y V   T rV T Y Y V T r V T Y  Y V  Tr  V T Y Y V T r

V T Y  Y V  Tr

 V T Ypi Y V Tpi r

V Tpi Ypipi Y V  Tpipir  V Tpipi Ypipi Y V Tpipi r

V Tpipi Ypipi Y V  Tpipir

 V Tpipi Ypi Y V Tpi r

V Tpi Y Y V   T rV T Y  Y V  Tr  V T Y Y V   T rV T Ypi Y V Tpi r V Tpi Ypipi Y V   Tpipi rV Tpipi Ypipi Y V  Tpipir  V Tpipi Ypipi Y V   Tpipi rV Tpipi Ypi Y V Tpi r V Tpi (4) また,前方注視モデルでは通常注視点を1点で捉え,その偏 差を操舵に反映させる.しかしドライバは 1 点を注視してでは なく,ある注視点中央の前後状況も含めて目標コースを決め, 操縦動作を行っているものと考えられる.そこで,本モデルで は注視時間を複数設定した多点注視モデルを採用した(6)(7).こ こで,前方注視ドライバモデルを考える際,速度と前方注視時 間の関係を考慮する必要があるが,本検討では基礎検討として, 基本となる注視時間を1.0sec 一定として前後 0.1sec 毎に 5 点の 計 11 点を注視点とし,標準偏差で重み付けを行った. 各予見時間に対する注視距離xp1~11を標準偏差σ とする正規 分布関数により以下のように重みづけする.

2 6 2 1 ( ) exp 2 2 pi p i x x w x            ( i =1~11 ) (5) これにより,重み付けを考慮した危険感ポテンシャル偏差の平 均εaveは以下に示す. 11 1 1 ( ) 11 ave i i i w x    

(6) よって多点注視モデルにより算出される舵角は以下となる. s ave K dt 

  (7) 2.2. 大型車両運動力学モデル 本検討での制御対象は大型車両であり,その車体規模から固 有の運動特性を有する.そのため前節で述べた制御目標となる 走行軌跡や車両状態量生成にあたって,その運動特性を十分に 考慮する必要がある.図 7 に本アルゴリズムに内挿された車両 運動モデル図を示し,運動方程式を以下に表す.

Fig.5 Risk potential field map

Fig.6 Driver model with multiple preview point

Fig.7 Vehicle dynamics model for 3axles heavy vehicle ① 側壁,走行車線,障害物など自車両周辺環境情報を取得 する. ② 自車両周辺環境情報,自車両運動状態により危険感ポテ ンシャルマップを生成する. ③ 危険感ポテンシャルマップ上を前方注視ドライバモデル と車両運動力学モデルを用いて瞬時にシミュレートする. ④ 前述によって得られた走行軌跡,操舵角,車両状態量を 制御目標として操舵制御系に情報を伝達する. 以降、本研究の対象になる上記②における危険感ポテンシャ ルドライバモデルの構築、③におけるドライバモデルと車両運 動力学モデルの詳細について説明する. 2.1. 危険感ポテンシャルドライバモデル ドライバが車両周辺環境から感受する危険感覚を制御目標 生成アルゴリズムに反映させる.これはドライバが視野内の壁 や車線,他車両等の周辺環境から受ける危険感覚を基に,これ が最も低いと感じる位置を目標コースとして仮定し,ドライバ はトレースするように走行しているものという考え方に基づ いたモデルである.この考えはこれまで瞬時心拍の上昇などの 生体計測や主観評価により説明し構築されたモデルである(4)(5) 本稿では図3に示すように,前方に停止または走行している 車両を回避,追い越す条件を例にモデルの検討する.図3 では まず,左右の側壁からの危険ポテンシャル値RLRRを以下(1) 式に示す.また2車線の車線区分線による車線維持走行のため の危険感としてRCを以下(2)式に定義する. 1 ( /2 )p L D y L L R C e   , 1 ( 3/2 p) R D y R R R C e    (1) 1 ( D p) C y y C C R C e   (2) ここでは後述するドライバモデルの注視点 ypにおける危険 感を指数関数で記述する.ここで,CL ,CLCCは左右側壁お よび車線区分線からの危険ポテンシャル関数のゲインを表し, τL,τR,τCは指数関数の立ち上がりに関する定数である.ま たD は各車線の幅を示す.ここでyDは図 3 に示すように①車 線維持モードから②レーンチェンジモードへの判断に従い,車 Fig.2 Block diagram of steering control for autonomous vehicle

Fig.3 Schematic of risk potential from sidewall and lane line

(4)

ここでは実験結果を先行車両とドライバの操縦する後続車 両との関係を接近評価指標として代表的な衝突余裕時間(以下 TTC: Time-To-Collision)によって整理すると共に,それぞれの 走行条件で横方向の走行位置に若干ばらつきがあるため,レー ンチェンジの乗り移り幅を標準化した.また,図8 において先 行車両への衝突位置TTC=0sec までと並走してから基のレーン に移行するまでを以下の式により分けて表した. 2 1 ( ) ( ) ( )in ( ) in L t TTC t v t v t   2 1 ( ) ( ) ( )out ( ) out L t TTC t v t v t   (13) ここで,Lin(t),Lout(t)は車両の接近,並走後の相対距離, v1(t) ,v2(t)は走行速度,yin(t),yout(t)は車両の接近,並走後の横偏 差を示す.図9 に(1)停止車両回避実験の結果,図 10 に(2)走行 車両追い越し条件の結果を示す. この結果より,走行速度の変化に対して,TTC で規定された 横位置は高い近似性が見られる.また,停止車両回避条件と走 行車両追い越し条件では接近のタイミングは同程度に近似で きるが,追い越し後は走行車両追い越し条件の方がより車間時 間に余裕を持って元の左車線へ戻っていることがわかった. 以上の結果より本走行条件での走行軌跡は対象物との距離 と相対速度によって規定できることから,ここでは各走行条件 のデータを多項式近似により規範となる走行軌跡を設定した. ここでは6次式に最小二乗法で近似を行った. 次に上記の関数近似により規定した標準化走行軌跡を各走 行条件により展開した走行軌跡と同走行条件下において,提案 したアルゴリズムによって生成される目標走行軌跡との偏差 が少なくなるように危険ポテンシャルモデルのパラメータを 調整した.ここでは本アルゴリズムで再現可能かを確認するた め,パラメータの調整は試行錯誤によって調整した.主な調整 パラメータは,レーンチェンジ開始位置,各危険感ポテンシャ ルの指数関数における立ち上がりの定数値τ,車線区分の危険 感移行を表す(3)式の定数を調整した.その結果の例として(1) 停止車両を回避する実験条件における各速度条件で構築され た危険感ポテンシャルマップを図11 に示す.相対速度の上昇 と共に車両からの危険感が追従車両側に迫っていることが明 確に表されている.この結果より,危険ポテンシャルモデル式 の指数関数の定数部分のパラメータを先行車両の速度,自車速 度,相対速度の関係式で推定が行える可能性を示した. 4.自動操舵走行シミュレーション ここでは,第3 章において述べた熟練ドライバの走行データ の標準化により推定した危険感ポテンシャルモデルのパラメ ータを基にし,アルゴリズムにより生成された制御目標を用い た操舵制御による車両の誘導制御の実現性の確認をするため, 多自由度の運動力学シミュレーションを行った結果について 述べる.

Fig.11

Appropriate adjustment

risk potential map

Fig.12 Simulation results in experimental condition (1) (V1=80km/h, V2=0km/h)

Fig.13 Simulation results in experimental condition (2) (V1=70km/h, V2=40km/h) <車両の横すべり運動>

f r1 r2 mv r

  Y YY mv r

Y Y Y mv r

Y Y Y mv rY Y Y mv r Y Y Y mv r   Y YY mv r

Y Y Y mv r

  Y YY mv r

Yf Yr Yr mv r   Yff YrrYrr mv r Yf Yr Yr mv rY Y Y mv r   Y YY mv rY Y Y mv r Y Y Y (8) <車両のヨーイング運動> 1 1 2 2 f f r r r r Ir Y lf fY lr rY lr r Ir Y lf f Y lr r Y lr r Ir Y lf f Y lr r Y lr r Ir Y lY lY l Ir Y lf f Y lr r Y lr r Ir Y lf ff fY lr rr rY lr rr r Ir Y lf f Y lr r Y lr r (9) ここで各車軸におけるタイヤ横力YfYr1Yr2は以下に示す

/

f f f f f YK  K l r v (10)

1 1 1 1 1 / r r r r r YK

K

l r v (11)

2 1 1 1 2 / r r r r r YK

K

l r v (12) ここで,記号と主な計算諸元を表1 に示す(8). 3. 走行実験によるアルゴリズムのパラメータ推定と構造確認 ここでは熟練ドライバによる実車走行実験を行い,計測され たデータを基に各走行条件における回避行動を行う操舵開始 タイミングや車両走行軌跡,他の状態量等変化のパターンから 本アルゴリズムの周辺環境から受ける危険感のパラメータ調 整を行い提案のアルゴリズムの妥当性を確認した. 3.1 走行実験条件 実験車両は図1に示す大型貨物車両25t クラスをベースとし た車両を使用した.以下に記述する条件において寸法等が同一 の車両2 台使用している.表1の計算諸元は本車両の同定結果 から得られた. 車両には操舵角計,レートジャイロ,車両左前方と左後方に 車線認識用カメラ,車速センサを搭載している.ここでは車両 軌跡計測のためDGPS を用いた.以下に行った2つの走行実験 条件について図8 に記述する. (1)停止車両ダブルレーンチェンジ回避条件 図8 において,車線幅 3.75mの 2 車線の直線区間片側のある 位置に操縦車両と同様の大型車両1台を停止させ(V2=0km/h), ドライバの操縦する車両でレーンチェンジによって回避し,そ の後もとの車線に戻るダブルレーンチェンジを行った.走行速 度は次の4 条件とも一定速とし,V1=50km/h,60km/h,70km/h, 80km/h で走行した. (2)走行車両ダブルレーンチェンジ追い越し条件 図 8 に示す条件において.左側車線を先行車両の車速 V2=40km/h 一定で走行させ,後続車両がこれをレーンチェンジ によって追い抜き,また再びもとのレーンに戻るダブルレーン チェンジの走行実験を行った.後続車両の車速は 3 条件の V1=60km/h,70km/h,80km/h とした. 各条件において,任意で十分安全な車間距離で停止車両を回 避,または先行車両を追い抜くようにドライバに教示した. こではすべての条件において,本プロジェクト専属の運転経験 豊富な熟練ドライバ1名により操縦を行った. 3.2 走行パターンの検証と危険感モデルの構造確認

Table.1 Specifications of vehicle dynamics model

Fig.8 Experimental condition

Fig.9 Standardized trajectory in Experiment (1)

(5)

ここでは実験結果を先行車両とドライバの操縦する後続車 両との関係を接近評価指標として代表的な衝突余裕時間(以下 TTC: Time-To-Collision)によって整理すると共に,それぞれの 走行条件で横方向の走行位置に若干ばらつきがあるため,レー ンチェンジの乗り移り幅を標準化した.また,図8 において先 行車両への衝突位置TTC=0sec までと並走してから基のレーン に移行するまでを以下の式により分けて表した. 2 1 ( ) ( ) ( )in ( ) in L t TTC t v t v t   2 1 ( ) ( ) ( )out ( ) out L t TTC t v t v t   (13) ここで,Lin(t),Lout(t)は車両の接近,並走後の相対距離, v1(t) ,v2(t)は走行速度,yin(t),yout(t)は車両の接近,並走後の横偏 差を示す.図9 に(1)停止車両回避実験の結果,図 10 に(2)走行 車両追い越し条件の結果を示す. この結果より,走行速度の変化に対して,TTC で規定された 横位置は高い近似性が見られる.また,停止車両回避条件と走 行車両追い越し条件では接近のタイミングは同程度に近似で きるが,追い越し後は走行車両追い越し条件の方がより車間時 間に余裕を持って元の左車線へ戻っていることがわかった. 以上の結果より本走行条件での走行軌跡は対象物との距離 と相対速度によって規定できることから,ここでは各走行条件 のデータを多項式近似により規範となる走行軌跡を設定した. ここでは6次式に最小二乗法で近似を行った. 次に上記の関数近似により規定した標準化走行軌跡を各走 行条件により展開した走行軌跡と同走行条件下において,提案 したアルゴリズムによって生成される目標走行軌跡との偏差 が少なくなるように危険ポテンシャルモデルのパラメータを 調整した.ここでは本アルゴリズムで再現可能かを確認するた め,パラメータの調整は試行錯誤によって調整した.主な調整 パラメータは,レーンチェンジ開始位置,各危険感ポテンシャ ルの指数関数における立ち上がりの定数値τ,車線区分の危険 感移行を表す(3)式の定数を調整した.その結果の例として(1) 停止車両を回避する実験条件における各速度条件で構築され た危険感ポテンシャルマップを図11 に示す.相対速度の上昇 と共に車両からの危険感が追従車両側に迫っていることが明 確に表されている.この結果より,危険ポテンシャルモデル式 の指数関数の定数部分のパラメータを先行車両の速度,自車速 度,相対速度の関係式で推定が行える可能性を示した. 4.自動操舵走行シミュレーション ここでは,第3 章において述べた熟練ドライバの走行データ の標準化により推定した危険感ポテンシャルモデルのパラメ ータを基にし,アルゴリズムにより生成された制御目標を用い た操舵制御による車両の誘導制御の実現性の確認をするため, 多自由度の運動力学シミュレーションを行った結果について 述べる.

Fig.11

Appropriate adjustment

risk potential map

Fig.12 Simulation results in experimental condition (1) (V1=80km/h, V2=0km/h)

Fig.13 Simulation results in experimental condition (2) (V1=70km/h, V2=40km/h) <車両の横すべり運動>

f r1 r2 mv r   Y YY (8) <車両のヨーイング運動> 1 1 2 2 f f r r r r Ir Y lY lY l (9) ここで各車軸におけるタイヤ横力YfYr1Yr2は以下に示す

/

f f f f f YK  K l r v (10)

1 1 1 1 1 / r r r r r YK

K

l r v (11)

2 1 1 1 2 / r r r r r YK

K

l r v (12) ここで,記号と主な計算諸元を表1 に示す(8). 3. 走行実験によるアルゴリズムのパラメータ推定と構造確認 ここでは熟練ドライバによる実車走行実験を行い,計測され たデータを基に各走行条件における回避行動を行う操舵開始 タイミングや車両走行軌跡,他の状態量等変化のパターンから 本アルゴリズムの周辺環境から受ける危険感のパラメータ調 整を行い提案のアルゴリズムの妥当性を確認した. 3.1 走行実験条件 実験車両は図1に示す大型貨物車両25t クラスをベースとし た車両を使用した.以下に記述する条件において寸法等が同一 の車両2 台使用している.表1の計算諸元は本車両の同定結果 から得られた. 車両には操舵角計,レートジャイロ,車両左前方と左後方に 車線認識用カメラ,車速センサを搭載している.ここでは車両 軌跡計測のためDGPS を用いた.以下に行った2つの走行実験 条件について図8 に記述する. (1)停止車両ダブルレーンチェンジ回避条件 図8 において,車線幅 3.75mの 2 車線の直線区間片側のある 位置に操縦車両と同様の大型車両1台を停止させ(V2=0km/h), ドライバの操縦する車両でレーンチェンジによって回避し,そ の後もとの車線に戻るダブルレーンチェンジを行った.走行速 度は次の4 条件とも一定速とし,V1=50km/h,60km/h,70km/h, 80km/h で走行した. (2)走行車両ダブルレーンチェンジ追い越し条件 図 8 に示す条件において.左側車線を先行車両の車速 V2=40km/h 一定で走行させ,後続車両がこれをレーンチェンジ によって追い抜き,また再びもとのレーンに戻るダブルレーン チェンジの走行実験を行った.後続車両の車速は 3 条件の V1=60km/h,70km/h,80km/h とした. 各条件において,任意で十分安全な車間距離で停止車両を回 避,または先行車両を追い抜くようにドライバに教示した. こではすべての条件において,本プロジェクト専属の運転経験 豊富な熟練ドライバ1名により操縦を行った. 3.2 走行パターンの検証と危険感モデルの構造確認

Table.1 Specifications of vehicle dynamics model

Fig.8 Experimental condition

Fig.9 Standardized trajectory in Experiment (1)

(6)

ACC を活用した高速道路サグ部の交通流円滑化

日高 健1) 北岡 広宣2) 北浜 謙一3) 志田 充央4) 藤本 浩5)

金須 則之6) 小池 弘之7) 江口 純司8) 加世山 秀樹9) 加藤 哲也10)

Smooth Traffic Flow Using ACC in Sag Section of Expressway

Ken Hidaka Hironobu Kitaoka Kenichi Kitahama Mitsuhisa Shida Hiroshi Fujimoto

Noriyuki Kisu Hiroyuki Koike Junji Eguchi Hideki Kaseyama Tetsuya Kato

In this study, two different approaches are performed in order to evaluate the potential of Adaptive Cruise Control (ACC) for realizing smooth traffic flow. First, we clarify the relationship between the characteristics of ACC and traffic flow using car-following simulation. The results show that the vehicle which has large feedback gain of relative velocity is more effective than the others. Second, we estimate the effectiveness of ACC for reducing the traffic congestion by using measured data of "Yamato sag"(in Tomei Expressway, Kanagawa Pref.). Simulation results indicate that ACC has the potential to reduce the congestion by up to 50%.

KEY WORDS: Social System, Traffic Stream, Adaptive Cruise Control, Simulation (F1)

1.緒 言

ACC(Adaptive Cruise Control)を活用した高速道路の交 通流円滑化システムの実用化を目指し,2009 年にカーメーカ ーが連携して「スマート交通流制御研究会」を立ち上げた. 本研究会では,ETC の普及によって料金所の渋滞が大きく減少 した今,日本の高速道路の渋滞の半数以上を占めているサグ/ トンネル部における渋滞削減をターゲットに活動している. サグ部における渋滞は,運転者が上り坂だと認知できずに 起こる速度低下に起因する.また,トンネル部における渋滞 は,運転者の視界が暗くなる,圧迫感を感じるなどの視環境 の変化によって起こる速度低下に起因する.さらに,渋滞直 前の状況下では,各車両の間隔が極めて短いため,速度低下 が後方へ増幅伝播されやすい.このような原因で起こる渋滞 に対しては,速度と車間距離を自動で制御可能である ACC を 搭載した車両の活用により,速度低下が起きても増幅伝播を 断ち切る可能性があることから,交通流円滑化に対する ACC *2012年10 月 11 日受理.2012 年 10 月 3 日自動車技術会秋季学 術講演会において発表. 1)・2)(株)豊田中央研究所(480-1192 長久手市横道 41-1) 3)・4)トヨタ自動車(株)(470-1193 裾野市御宿 1200) 5)・6)日産自動車 (株)(243-0123 厚木市森の里青山 1-1) 7)・8)(株)本田技術研究所(321-3393 芳賀郡芳賀町下高根沢 4630) 9)本田技研工業(株)(107-8556 港区南青山 2-1-1) の活用が業界/国から期待されている. ACC を活用した交通流円滑化の効果を評価した研究事例と して,鈴木らは車線閉塞を伴う実際の高速道路上における ACC の導入効果を評価している(1).この研究では,より現実に近 い効果を把握するために ACC のタイプを 4 種類仮定している ものの,車間時間設定を単純に 1s,2s と仮定するなど実際の ACC を必ずしも模擬できていない. 本研究では,2 つの観点から ACC の交通流円滑化の可能性を 評価する.1 つ目は,車群走行実験の結果から得られた ACC の特性と交通流への影響の関係を追従シミュレーションによ って明らかにする.2 つ目は,大和サグの実測データを用いて ACC の渋滞削減効果を見積る.最後に,これらの分析/評価結 果を通じて得られる ACC の交通流円滑化の可能性についてま とめる. 2.追従シミュレーションによる ACC の特性と交通流への影響 2.1. 基礎実験 市販 ACC の挙動把握とシミュレーションモデルの構築のた めのデータ収集を目的に車群走行実験を行った.実験は新東 名高速道路の未供用区間(遠州森町 PA~浜松浜北 IC)の約 7.4km を用いて行った.実験に使用した車両は 8 台でいずれも ACC を搭載している. 実験は,人の運転する車両や ACC 車両で構成される車群に 対して,定常状態を撹乱する入力(トリガ)を意図的に加え, 車両挙動を計測するものである.トリガ前の速度は 100km/h

4.1. シミュレーション条件 シミュレーション解析には大型車両運動シミュレーション ソフトTruckSim の多自由度運動モデルを用いた.このシミュ レーションにおいて使用する車両運動モデルについては,実験 車両走行時の計測データと諸元を基に運動モデルのパラメー タ同定を行ったものを使用する.しかしながら実車,制御目標 生成における力学モデル,多自由度のシミュレーションモデル 間にはモデル誤差が存在する. ここで,制御目標に対する操舵制御系について以下の式に表 す. 1 1 ( ) ( ) 2

FF KPID s TPID TPID s Yf Yt

         (14) ここでδFFは目標軌道生成時に算出されるフィードフォワー ド舵角とし,Ytを生成された目標軌道位置,Yfを車両前輪位置 として,その偏差をフィードバック情報として PID 制御則によ り操舵角を決定した.KPIDはフィードバックゲイン,TPIDPID 制御における予見時間とする. ここでの自動操舵走行シミュレーションにおいては,環境認 識,車々間通信等から,対象物の全長,全幅,道幅,対象物と の相対速度,車間距離が取得可能であるという前提条件の基に シミュレーションを行った. 4.2. シミュレーション結果 図12 にシミュレーション結果の例として,停止車両を車速 V1=80km/h の後続車両がダブルレーンチェンジで回避する条件 での結果を示す.また(2)走行車両追い越し条件における追従車 両の走行速度V1=70km/h についても同様の結果を図 13 に示す. ここでは制御目標アルゴリズムにより算出された値,それを操 舵制御により追従させたシミュレーション結果を示すと共に, 3章で述べた同様の走行条件での計測データとの比較を示す. 状態量は操舵角,走行軌跡,ヨー角を示す.また,(1)停止車両 回避条件におけるシミュレーション結果から出力される車両 挙動の様子を図14 に示す.この結果より各走行条件において 制御目標と走行実験データが良く近似しており,また操舵制御 を適用した多自由度の運動力学シミュレーションモデルが制 御目標を精度よく追従できていることが確認できる. 5.結 論 人間の運転行動および車両運動特性を考慮した制御目標を 生成するアルゴリズムを構築した. 本稿では,熟練ドライバによる手動運転データを用い,提案 してきたアルゴリズムによる制御目標と比較検討を行った.ま たそれが操舵制御に対して有効であるかシミュレーションに よる検討を行い,以下の結論を得た. (1) 側壁,車線区分,他車両等の障害物から感受する危険感 を定式化しドライバモデルに内装した. (2) 熟練ドライバの手動走行実験データと本アルゴリズムに よる制御目標との比較検証により,熟練ドライバの運転 行動を精度よく再現可能である事を確認した. (3) シミュレーション結果より,本アルゴリズムによる制御 目標を多自由度の車両運動モデルが簡易的なフィードバ ック制御則により精度よく追従可能であり,提案したア ルゴリズムの妥当性を確認した. 謝 辞 本成果は,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機 構(NEDO)の委託業務「エネルギーITS 推進事業/協調走行 (自動運転)に向けた研究開発」の結果得られたものであり, 関係者に謝意を表す. 参 考 文 献 (1) (独)新エネルギー・産業技術開発機構:「エネルギーITS 推進事業」基本計画,p1-5(2008) (2) 山崎穂高ほか:隊列走行による交通流改善と走行抵抗・燃 費低減効果,自動車技術,Vol. 64, No.3,p.61-66 (2009) (3) 金子哲也ほか:自律走行車両のためのドライバモデルおよ び車両モデルを考慮した制御目標のリアルタイム生成,自 動車技術会論文集 Vol.42, No.6, p1303-1308, (2011) (4) 景山一郎:前方視野の危険感を用いたドライバモデルにつ いて,自動車技術会論文集Vol.24,No.2,p.81-87 (1993) (5) I.Kageyama, Y.Nozaki "Control Algorithm for Autonomous

Vehicle with Risk Level", ITS World Congress, p.1284-1288, (1995)

(6) 片山硬ほか:二輪車ライダの操縦動作シミュレーションモ デル,自動車技術会論文集,Vol.28,No.3,p. 137-142 (1997) (7) Stuart Rowell et al. :Parameter Study of Motorcycle Riding by

Model Predictive Control, AVEC '08, (2008)

(8) 金子哲也ほか:大型車両の操舵制御ための運動力学モデル の構築とパラメータ同定手法,自動車技術会論文集,Vol.41, No.6,p. 1231-1236 (2010)

参照

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