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Evolution of Myocardial Infarction Elucidated by Serial CPK Technique and Effects of Coronary Artery Reperfusion
Takashi HONDA
Department of Cardiology (Director: Prof. Koshichiro HIROSAWA)
Tokyo Women's Medical College
The serial CPK technique developed by Shell was applied on 51 patients with acute myocardial infarction (AMI) who received intracoronary thrombolysis therapy (ICT) and 31
patients without ICT. Both groups were Killip class 1 and 2. From the accumulation curve of
released CPK, total released CPK (CPKr, mlU/ml), mean CPK accumulation velocity of the
initial stage (Vi, mlU/ml.hr), peak serum CPK activity (CpE, mlU/ml)and its time after AMI
onset (TpE, hr), total CPK releasing time (Tr, hr) and CPKr/Vi were calculated in each patient.
Vi was supposed to be related indirectly to the initial myocardial damage, and CPKr/Vi was
thought to reflect the amount of infarction extension, thus the latter was termed the ratio of infarct size extension (Re).
Patients were divided into four groups by the first coronary angiogram (CAG) after onset of
AMI and the results of ICT. Cases with ICT whose infarct related coronary artery (IRCA) was
incomplete obstraction before ICT were classified as the spontaneous recanalization group (n = 14), those whose complete obstracted IRCA was successfully reperfused with ICT as the
recanal-ization group (n=22), those whose IRCA was not reperfused with ICT as the non-recanalrecanal-ization group (n=15) and those who had received neither emergency CAG nor ICT as the control group
(n=31).
CPKr, Vi, CpE were well correlated with each other,,and also Tr, TpE, Re revealed the same good correlation (p<O.01). However, between the former three and the latter three variables,
there were no significant relationships. In the spontaneous recanalization and the recanalization
group, Vi showed larger values, but Tr, TpE and Re showed smaller values compared with the
non-recanalization and the control group.
51 cases were divided into two groups according to the extent of occlusion of IRCA
immedi-ately after ICT: 27 cases of more than 99% coronary stenosis and 24 cases of less than 90%. In the latter cases, Vi was significantly larger but TpE, Tr and Re were significantly less than in the
former cases. As to CPKt and CpE, there was no significant difference between the two groups.
The same serial CPK technique used on human AMI was applied on 16 closed-chest dogs.
The left anterior descending artery was occluded for O.5 to 24 hours by 2F balloon catheter through the carotid, and then the occlusion was released. Myocardial necrosis did not appear
hours occlusion. Vi of dogs after occlusion for 3 and 5 hours was more, but Tr, Re and CPKr were less than in dogs after 24 hours occlusion.
These findings indicate that early IRCA recanalization causes the shortened process of
evolution of myocardial infarction and is useful for the limitation of infarct size,
はじめに
近年CCUの進歩により,急性心筋梗塞症
(AMI)の急性期死亡率は15%前後まで減少した。しかし,今日なおCCUにおけるAMIの急性期死
因の大部分は重症ポンプ失調によるものであり, その病態および予後を規定する最大の要因は心筋 壊死巣の大きさである.したがって梗塞発症直後 の梗塞周辺部の虚血心筋を保護し,壊死巣を最小 限にくいとめることはポンプ失調への進展阻止の 上で極めて重要である.従来から壊死巣を縮小す るための動物実験あるいは臨床的試みが種々なさ れ,その有用性が追究されている1). 心筋梗塞発症後早期の冠状動脈造影(CAG)や 病理所見から梗塞部灌流冠動脈(infarct related coronary artery, IRCA)に高率に!血栓の存在することが知られている2).しかしながら,AMIの 発生機序に関してはいまだ不明の部分が多く,冠 動脈内血栓がAMIの原因か結果については議論 の分かれるところである.最近,この冠動脈内血 栓形成がAMI発症の第一義的役割を果たすとい う説に対して有力な反論もある3).いずれにして もAMI発症後早期にこの冠動脈内血栓を溶解さ せて冠血流を再開させることにより,危機にさら されている梗塞周辺部の虚血心筋の壊死を阻止 し,その結果梗塞巣の拡大防止,壊死巣の縮小を もたらし,心機能を改善することができるのでは ないかという考えのもとに,冠状動脈内血栓溶解
療法(intracoronary thrombolysis, ICT)が行わ
れるようになってきた.しかし,心筋梗塞症の発 症とその後の壊死巣成立過程の本態はいまだ明ら かにされていないため,ICTによる壊死巣の拡大 防止の効果を判定する根拠にも確かなものがな い.われわれは既に,心筋梗塞発症後の血中CPK 活性の経時的変化の解析から壊死巣の成立過程に ついて報告してきた4).すなわち,壊死巣の大小に 拘らず,心筋から血中へのCPK流出が早いもの と遅いものがあること,慢性期に施行したCAG
でIRCAにほぼ完全な閉塞がある例ではCPK流
出が遅く,梗塞発症後胸痛持続時間が長く,梗塞 発症時に現出した壊死巣がその後に増大したと考 えられたなどである.そこで今回,心筋梗塞発症後早期にICTを施行した症例の血中CPK活性
の経時的変化を解析し,壊死巣の成立過程と再灌 流の影響およびICTの臨床的意義について検討 したので報告する. 対 象昭和57年7月から昭和62年4月までに当院
CCUに入院したAMI 454・例のうち,発症後6時 間以内に入院し,Killip 1または2型で, IcTを施 行し,発症後7日以内に明らかな早喰塞がなく, CPK流出速度曲線を描くことができた51例を対 象とした.なお同期間に入院し,Killip 1または2 型で,ICT未施行の31例を対照群とした.心筋梗 塞症は,30分以上する胸痛,心電図変化(30分以上続くST上昇または下降,明らかなR波の減
高,新たな異常Q波の出現),心筋逸脱酵素の上昇(CPKおよびGOTが正常値の2倍以上)によっ
て診断した.心電図およびCAGからIRCAを決
定した.ICT施行時にIRCAが既に開通していた が血栓溶解薬を投与した例を既開通群(14例, 17.1%),ICT後に再開通した例を再開通群(22 例,26.8%),再開通しなかった例を非開通群(15 例,18.3%)とした.IRCAの狭窄度が99%で,著 しい造影遅延をともない,しかもその末梢まで造 影されないときは非開通群に含めた.82例の平均 年齢(m±SD)は56,2±8.2歳,男性74例,女性8 例であった.前壁梗塞52例,下壁梗塞30例であり, IRCAは左前下行枝52例,右冠動脈23例,左回旋枝 7例であった.非貫壁性梗塞が8例,梗塞の既往 が7例あった.Killip 1型71例,2型11例で,心室 細動(5例)および完全房室ブロック(3例)の 出現を除いて重症合併症はなかった.発症から 一1597一CCU入院までの平均時間は3.2±2.1時間であっ た.発症からCAG開始までの時間は既開通群が 3,92±1,14時間と最も短く,再開通商,非開通群 の順で長くなったが3群間で差は認められなかっ た. 方 法 患者および家族の了承を得て後,可及的速やか に患者を心臓カテーテル室に搬送し,ICTを開始 した.heparin 5,000単位を静注した後Judkins法
によりCAGを施行した. Nitroglycerin O.3mg を舌下または0.2∼0.5mgをIRCA内に注入し, 冠スパズムの関与を除外した.血栓溶解薬は主と
してurokinase(UK)を使用したが,13例には
tissue−type plasminogen activator(t−PA)を使
用した.投与方法はUK 24万単位を生理食塩水ま たは5%ブドウ糖液20mlで溶解したものを10分
間かけてIRCA内にゆっくり注入し,その後
CAGを行った.再開通が得られない場合はさらに 同法を繰り返し,最高120万単位まで使用した. t−PAはAK・124(旭化成工業および興和株式会社 製)11例,GMK−527(三菱化成工業および協和醗 酵株式会社製)1例,TD−2061(第一製薬および東 洋紡積株式会社製)1例のいずれかを30∼60分間 で点滴静注し,非開通例または再開通が不十分な例では引続きIRCA内にUKを最高96万単位ま
で注.豪した.慢性期のCAGは心筋梗塞発症後3∼9週目,
平均28.6±6.8日に行った.75%以上の器質的狭窄 のある主要冠動脈枝を病変血管とした. CPK流出速度曲線は著者らが既に報告したご とく5),心筋梗塞発症後24時間までは3時間毎に, その後3日目までは6時間毎に,以後12時間毎に採血して,Rosalki変法によりCPK活性を測定
し,その経時的変化(E(t))を求めた.次いで, Shellら6)7)の方法に準じてCPK流出速度(f(t), mIU/ml・hr)および血清1ml中に流出したCPK 総量(CPKr, mIU/m1)を電算機を用いて算出し, XYプロッタで描出した(図1).さらに,図2に示すように,cumulative activity of released
CPKの曲線からCPKrの5%から90%までが流
出するのに要した時間をCPK:流出持続時間
(Tr), CPKrの5%から50%を結ぶ線の傾斜を初 3.0 2.0 1.0 〆Cpfω : 〆CpE(t) i l…E(t)lCPK「1
…fω … … 6.0 3.0 4.0 2.0. ←CPKr 2.0 1.0 0 6.0 4.0 ・←CPKr 2.0 0 0 0H潤Eω50HR 100HR 150HR O唱・t・㌔・・留HR 100HR 150”R
図1 CPK流出の経時的変化 CPK流出の早い例(左側,冠動脈内血栓溶解療法による再開通例)と遅い例(右側, 非開通例).E(t):血中CPK活性, f(t):CPK流出速度曲線, CPKr l CPK総流 出:量/ml, CPK accumulation curve, CpE(t):血中CPK活性の最高値, TpE(t): 血中CPK活性の最高値到達時間, Cpf(t):CPK流出速度最高値, Tpf(t):CPK流 出速度最高値到達時間。CPKr 12 8 4 0 lU/ml
ム
ユ
a:CPKr b:90%CPKr c :50%CPKr d: 5%CPKr e:Tr (c一【D/f=Vi 50 100 150 L∴l i hrs 」曳→1図2 Cumulative activity of released CPK
左側二CPK accumulation curveを重ね合わせたもの. CPK流出の早い例ではCPKr が大である傾向を示す.右側:CPK:rの5,50,90%の点からCPK流出持続時間(Tr)
と初期CPK:平均流出速度(Vi)を求める方法.(文献4)
期CPK平均流出速度(mean CPK accumulation velocity of the initial stage, Vi)とした. Viは
初めに現出した壊死巣を,Trはその後の壊死巣の 増大過程を間接的に反映するものであり,CPKr/
Viは最終的に壊死巣が拡大に傾いたか否かを判
断させるものと見なすことができると考え,これ
をratio of infarct size extension(Re)とした.
E(t)曲線から,血中CPK活性の最高値(CpE) と最高値時間(TpE)を求めた.そしてICT例に おけるこれらの血中CPK活性の経時的変化の解 析から求めた諸変数を検討した. 測定値は平均±標準偏差で表示し,統計学的検 定はt一検定で行い,p<0.05の場合を有意差ありと した. 結 果
1.ICTの成績
ICTを施行した5!例の治療成績を表1に示す.初回CAG℃IRCAが完全閉塞であった例は37例
(72.5%)あり,そのうち22例(59。5%)で血栓溶 解薬により再開通が得られたが,15例(40.5%) は不変であった.ICT終了時におけるIRCAの冠 動脈狭窄度は再開通庭では99%9例,90%11例, 75%2例,既開通群では99%3例,90%9例,75% 表1 冠動脈内血栓溶解療法の成績 完全閉塞 37例 (72.5%) (40.5%) ニトログリセリン投与 後の冠動脈狭窄度雀請籍例{ii欝lill
血栓溶解療法終了直 後の冠動脈狭窄度 再開ソ{難懲
非・通群・5例ル1綴91釜1
(造影遅延著明) (27.5%) 99% { 90% 75% 25% 3イ列(21%) 9イ列(64%) 1例(7%) 1例(7%) 1例,25%1例であった. 2.CPK流出速度曲線の解析結果(図3∼6) 1)CPKr:全対象82例のCPKrの平均は3,164 ±1,663mlU/mlで,327∼7,856mlU/mlと幅広 く分布していた.既開通群のCPKr(2,529±1,663 mlU/m1)は最も小さく,再開通群(3,867±1,748 mlU/m1)との問に有意差(pく0.05)がみられた. 2)Vi:再開通群のViは,293.9±180.4mlU/ ml・hrと4群の中で最:も高値であったが既開通群 (217.2±167.9mIU/ml・hr)とは差がなく,対照群CPKr
田/mI 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0 P<0.05一
■ . ∴ ● : f } 奮 ●Ill
● 馨 : 榊 : 言 ● 甚園
● Vi mlU/ml・h「 1000 800 600 400 200 0 … ● 二 3 ÷ P<0.01一
● ∴ ●l11
●● ● 31薗
●● ● 既開通群再開通群非開通群対照群 既開通一再開通群非開通群対照群 (n=14) (n=22) (n=15) (n=31) (n=14) (nニ22) (n=15) (nニ31} 2529 3867 3190 3064 21τ2 293.9 186,9 160.4 ±1663 ±1748 ±157ア ±1567 ±167.9 ±180,4 ±130.1 ±100.9 図3 冠動脈内血栓溶解療法の効果によるCPKr, Viの対比CpE
mlu/m1 10.0 8.0 6,0 4.0 2.0 0 P<0.05 P<0.01一「一一一「
●1幽ll
●TpE
hr 50 40 30 20 10 0 P<α01一
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㍗望 き享1
… 既開通群再開通性非開通群対照群 既開通群再開通群非開通群対照群 (n=14) (n=22) {n=15} (nニ31) (n=14) (n=22) (nζ15) (n匹31) 1719 2693 1961 1670 13.4 15.8 19.5 20.9 ±1151 ±1340 ±1046 ± 81フ ±4.0 ±6.4 ±5.2 ±5.9 図4 冠動脈内血栓溶解療法の効果によるCpE, TpEの対比 (160.4±100.9mIU/ml・hr)と有意差(p<0.01) があった. 3)CpE, TpE:CpEを4群で比較すると再開通 群が2,693±1,340mIU/mlと最も高値で,既開通 群(1,719±1,151mIU/m1),対照群(1,670±817 mIU/ml)との間に有意差がみられた,一方, TpE は既開通群が13.4±4.0時間と最も短く,非開通群 (19.5±:5.2時間)および対照群(20,9±5.9時間) との間に有意差(p<0,01)がみられた.また,再 開通群と対照群の問にも有意差(p<0.01)があっ たが,再開二丁と非開通群との間に差はみられな かった.4)Tr:TrはTpEと同様の結果であり,既開
通群(13.2±3.2時間)で最も短く,非開通群およ び対照群との間に有意差(p〈0.01)を認めた. 5)Re:壊死巣の拡大の有無を知る指標である Reは既開通群(13.0±3.4)および再開通群 (15.4±6.1)が非開通群(19.6±5.8),対照群Tr hr 50 40 30 20 10 0 P<aO1 P<0.01
一一
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揃 ● ● Re 50 40 30 20 10 0 P<0.田一一一
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既開通群再開通群非開通群対照群 既開通群再開山群非開通群対照群 (n=13) (n=22) (n=15) (n=31} (n=14) (n=22) (n=15) (n=31) 13.2 16.7 19.1 20.8 13.0 15.4 19.6 20.8 ±39 ±7.8 ±4β ±5.5 ±3.4 ±6.1 ±5.8 ±6.6 図5 冠動脈内血栓溶解療法の効果によるTr, Reの対比 CPKr lU/m1 10.0 8,0 6,0 4.0 2,0 o CPKr vs Vi 贈 ○ ・ r=0.87(P〈0.01} y=9.06x+1114 調 Tr hr 50 40 30 20 10 0TrvsRe
。1’ コロぷ くロつの 32@ y=a92其十1.72 CPKr lU/mI 10,0 8、0 6、0 4.0 2.0 200 400 600 800 1000 V},mlU/m卜hr CPKr vs Tr lu/ml 10,0 10 20 30 40 50hr 丁r 8.O 6.0 4.o 2.0 10 20 30 40 50 Re CPKr vs Re 10 20 30 40 50 Re o既開通群(n=141●再開通群頓=22}*非開通群(n=15) 園6 冠動脈内血栓溶解療法の効果によるCPK:諸変 数相互の関係 (20.8±6.6)に比し有意に低値であった.6)ICT施行群のCPKrとViの間にはr=
0.87(p<0.01)の正相関がみられた(図6−a). そして既開通群および再開通群ではViに対して CPKrの小さい例が,非開通群や一部の再開通群ではViに対しCPKrの大きい例が多かった.
CPKrとCpE, ViとCpEの間にもr=0.95,0.94 と良好な正相関がみられ,またTrとRe, TrとTpE, TpEとReの問にもそれぞれpG.86,
0,84,0.97と良好な正相関があった(図6−b).し かし,CPKrとTr, CPKrとReの間には一定の 関係はなかった(図6−c,d). 3.冠動脈狭窄度とCPK流出に関する指標と の関係 ICTを施行した51例について, ICT終了時の IRCAの狭窄度が99∼100%の27例と90%以下の 24例についてCPK流出に関する諸指標を比較検 討した(図7).CPKr, CpEには有意差がなかっ たが,Viは狭窄度90%以下の群で有意に大であっ た.また,狭窄度90%以下の群のTpE, Tr, Reも, それぞれ13.1±4.3時間,14.3±6.9時間,13.0± 3.8時間と99%以上の群に比べて有意に小であっ た. 小括 心筋梗塞発症後10時間以内に施行したCAGで は,IRCAが完全閉塞であった例は73%で,そのう ち60%の例にICTによって再開通を見た.再開通 群と既開通群におけるCPK流出速度曲線f(t)の 特徴は,急峻な立ち上がりと速やかな下降を示し, 一1601一CPKr lU/m1 10 8 6 4 2 0
{
㍗ 鱒 A 3145 ±1680 ■ 品 。針
1鮎
Vi mlO/ml。hr 1000 800 600 400 200階
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TpE hr 50 40 30 20 10 0響
…蒙}ll
Tr hr 50 40 30 20 10 0轡
の : Re 50 40 30鞠::
0 A B A B A B 195.3 293.2 19.0 13.1 18.3 143 ±141.8 :2:181.2 :2=5.8 =ヒ4.3 ±5.4 =ヒ6.9 ●再開通群(岡=221,*非開通群(n=15} :血栓溶解療法直後の梗塞部灌流冠動脈枝の狭窄度99%以上(n=271 :血栓溶解療法直後の梗塞部灌流冠動脈枝の狭窄度90%以下(n=241 0嬰
: 寧量{ll
A B 望8、望聖8 図7 冠動脈内血栓溶解療法直後の梗塞部灌流冠動脈枝の狭窄度によるCPK諸変数の対比 したがってVi(初期CPK平均流出速度)は大き く,TpE(CPK最高値までの時間)は小さく, Tr (CPK流出持続時間)も小であった.すなわち心筋 梗塞発症後にIRCAの血流が保たれている例で は壊死巣の成立過程が短時間で終了したと考えら れ,このことを実証するために以下の実験を行っ た. 冠動脈血流遮断と再認流実験 1.実験方法 体重10∼20kgの雑種犬19頭を用いた.それらを 冠動脈血流遮断時間によって0時間(3頭),0。5 時間(4頭),1時間(3頭),3時間(3頭),5 時間(3頭)および24時間(3頭)の6群に分け て血中CPK活性の経時的変化を解析した(実験途中で死亡した8頭を除く).Pentobarbital
sodi㎜25mg/kgで麻酔し,その後麻酔の深さ1こ より適宜追加静注した.人工呼吸器(Benet MA・ 1またはAika−R60)を装着後,右頚動脈を鈍的に 剥離露出し,8Fの冠動脈造影用カテーテル(USCI 社製)を挿入した.X線透視下に左前下行枝を造 影した後(図8−A),そのカテーテルを通して2F Fogarty balloon catheter(American Edwards 社製)を左前下行枝の近位部(第1対角枝分岐直 後)に留置し(図8−B),balloonを三nnateするこ とによって冠動脈血流を遮断した(図8−C).一定蕪
’藩繭編漕 ..難鎌
図8 犬における冠動脈閉塞および再灌流実験 A;左冠動脈の対照造影.LAD;左前下行枝, LCX; 左回旋枝,B;LADに2F Fogarty Catheterを挿入. C;balloonをi㎡【ateし,冠動脈血流を遮断した. D; 7日目の左冠動脈造影.対照時と同様,正常冠動脈像 である.9
‘/{_ 。・時問後にballoonをd韻ateした後, balloonカ テーテルを抜去した.血中CPK活性は頚静脈に6 Fカテーテルを留置し,balloonによる閉塞直後 から,24時間までは3時間毎,48時間までは6時 間毎,4日目までは8∼12時間毎に測定し,ヒト と同様の方法で,CPK流出曲線を描き,諸変数を 求めた.心電図は標準12誘導を記録した,実験開 始から7日目に再度同様の方法で麻酔し,人工呼 吸器を装着した後,心電図記録と左前下行枝の造 影(図8−D)を行った.その後屠殺し,心臓を摘 出してホルマリン固定後に両心室水平横断の輪切 り切片を作製,染色(マッソン変法)後,光顕的 表2 冠動脈遮断後再灌流実験の心電図,CPK整変数および病理組織学的所見一覧 心 電 図 所 見 病理組織学的所見 冠動脈血流 遮断時間 @(時間) ST上昇 i02mV以上) Q波形成 ト灌流後 7日目 R波減高 ト灌流後 7日目 CPKr 高撃t/ml Vi 高撃t/m1・hr Tr ? Re 壊 死 肉芽化 出 血 貫壁性 #1 0.5 一 129 9.6 37.0 13.4 } 一 一 一 #2 0.5 十 一 十 229 21.0 18.3 10.9 一 一 一 一 #3 0.5 十 514 138.6 4.7 3.7 一 一 一 #4 0.5 十 696 34.8 19.6 20.0 一 一 ㎜ 一 #5 1.0 十 十 一 十 十 2516 458.9 17.2 5.5 十 十 一 一 #6 LO 十 十 一 1274 137.5 18.6 9.3 十 十 十 一 #7 LO 一 一 十 1940 115.4 14.4 16.8 十 十 一 #8 3.0 十 十 十 十 十 11338 2096.7 5.5 5.4 十 十 十 十 #9 3.0 十 十 十 十 十 7743 823.2 9.7 9.4 十 十 } 十 #10 3.0 十 十 十 2342 249.0 19.1 9.4 十 十 一 一 #11 5.0 十 十 一 十 十 7215 616.5 19.1 11.7 十 十 一 十 i一部) #12 5.0 十 十 十 十 十 7797 711.3 11.1 11.0 十 十 一 十 #13 5.0 十 十 十 十 十 9010 1085.9 8.6 8.3 十 十 一 十 #14 24.0 十 十 一 十 一 12714 422.7 24.9 30.1 十 十 一 一 #15 24.0 十 十 十 十 十 14164 351.8 27.4 40.3 十 十 一 十 #16 24.0 十 十 十 十 十 2958 160.0 132 18.5 十 十 十 十 CPKr (IU/mD 14 12 10 8 6 4 2 0 ドくロ 一「一『一 「 3十 ● ● :十’ ● :十 ● ● ●
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m±SD 392 1910 714τ 8007 9945 m±SO 5了.0 237.3 1056.3 804.6 311,5 ± ± ± ± ± 十 十 十 十 十 260 622 4528 916 6094 59.3 192,2 945.6 2482 135.9 冠動脈血流遮断時間 冠動脈血流遮断時間 図9 冠動脈血流遮断時間別によるCPKr, Viの対比 一1603一に観察した.なお冠動脈1血流遮断0時聞の3頭は, 対照として頚動脈の剥離結紮のみを行い,経時的 にCPK:活性を測定した. 2.実験結果(表2) 1)心電図所見 #1および#7の2頭を除く全例にballoonを
inHate後に心電図上0.2mV以上のST上昇を認
めた.異常Q波は,再灌流後9頭(56%)に,7 日目には6頭(38%)にみられ,R波の1/2以上の減高は再灌流後および7日目に,ともに11頭
(69%)に認められた. 2)CPK流出速度曲線の解析(図9∼12) (1)CPKr:図9に示すごとく,3,5,24時間血流遮断した後に再灌流した群のCPKrの平均
はそれぞれ7,141±4,528,8,007±916,9,945± 6,0941nIU/mlと軽度増大傾向を示したが有意差 はなかった.一方,1時間の血流遮断ではCPKr は1,910±622mIU/ml,0.5時間の血流遮断では 392±260mIU/mlとわずかな上昇を認めたにす ぎなかった.頚動脈を結紮したのみの対照群3頭 では心筋壊死の発生はなかったが,血中CPK活 性の最高値とその到達時間はそれぞれ604mlU/ CpE (lu/ml) 10 8 6 4 2 0 ドくロ o;1・
・十…り
TpE (hr) 40 30 20 10 0.5 m±SD 258 0 くロ一一
一
P<0,05一
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Tr (hr) 50 40 30 20 10 0 1.0 3.0 5.0 24.0「1r O.5 1.0 3.0 5.0 24.Ohr 1298 4221 4359 3817 m±SD 15.3 11.3 8.0 10.5 25.3 十 十 十 十 十 十 十 十 十 731 2926 517 1402 10.3 4,6 1,8 1.5 5.7 冠動脈血流遮断時間 冠動脈血流遮断時間 図10冠動脈血流遮断時間別によるCpE, TpEの対比ト;1;+:1
● Re 50 40 30 20 10 0 P<0.05 P<0.05「一一
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0.5 1,0 3.0 5.0 24,0hr O.5 1.0 3.0 5.0 24.Ohr m±SD 19.9 16コ 11.4 12.9 21.8 m±SD 12.0 10.5 8.1 10.3 29,6 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 13.2 2.1 7.0 5.5 ア.6 6.7 5.8 2.3 1.8 10.9冠動脈血流遮断時間 冠動脈血流遮断時間
図11 冠動脈血流遮断時間別によるTr, Reの対比CPKr lu/m1 14.0 12.0 で0.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0 CPKr vs Vi CPKr lU/m1 14.0 12.0 10、0 8.0 6.0 4.0 2.0 0 Tr hr 50 40 30 20 10 0
TrvsRe
率 e監 ● r=0,56(P〈0.05) 。ゼ y=049x+10・0 △ 500 1000 1500 2000 2500 Vi, mlU/ml・hr CPKr vs Tr l{}ラ鷺1 10 20 30 40 50hr τr 14.0 12.0 10.0 8.0 6.0 4,0 2.0 0 10 20 30 40 50 Re CPKr vs Re 率 * r=048(P<0.05) y=240x十1808 10 20 30 40 50 Re 冠動脈血流遮断時間 005時間 ●1時間 △3時間 ▲5時間 *24時間 図12 冠動脈血流遮断時間別によるCPK諸変数相互 の関係 ml;35。0時間,129mlU/ml;3.1時間,117mIU/ ml;20.1時間とまちまちの値を示し,また血中CPK活性の値も変動が大きく,CPK流出速度曲
線を描くことはできなかった.これらの例のCPK 流出は実験中の一連の操作に伴う骨格筋由来のも のと考えられた. (2)Vi:5時間の血流遮断後再灌国乱のViは 805±248mIU/ml・hrと1,24時間群に比し有意 に大であった.3時間群のViも平均1,056±946 mIU/ml・hrと高値であったが,ぼらつきが大で あり,有意差はなかった. (3)CpE, TpE(図10):CpEはCPKrと同様の 傾向を示したが,24時間血流遮断群では3,5時間 遮断群より低値であった.1,3,5時間遮断群の TpEはそれぞれ11.3±4.6,8.0±1.8,10.5±1.5 時間と24時間遮断群の25.3±5.7時間に比べ有意 に短時間であった.また,これらのTpEはヒトの 既開通群および再開通群より小であったが,24時 間遮断群ではヒトの非開通群よりも大であった. (4)Tr(図11):3時間遮断群のTrが最も短 く,24時間遮断群で長い傾向があった.なお,24 時間遮断群のTrがTpEより短い理由として,24時間遮断群ではCPKrの5%が流出するまでの
時間が7.7,7.2,4.2時間と他の群に比べ有意に大 であったためと考えられた.(5)Re:1,3,5時間遮断群ではそれぞれ
10.5,8.1,10.3時間と24時間遮断群の29.6に比し 有意に小であった. (6)CPKrとViの関係(図12)ではr=0.64と 有意の正相関があったが,ヒトの場合よりも粗の 相関関係であった.そして24時間遮断の3頭中2 頭で明らかにViに対してCPKrが大であった. TrとReの関係, CPKrとReの関係はr=0.56, 0.48の正相関がみられたが,CPKrとTrの間に は一定の関係はなかった. 3)組織学的所見 光顕的観察による梗塞巣の部分を図13に灰色で 表した.0.5時間の血流遮断群では,心筋壊死の所 見は全く認められなかったが,1時間以上遮断し た群では全例に心筋の壊死と肉芽化が認められ, 3頭では壊死巣の一部に出血が見られた,奪た, 1時間遮断群では梗塞巣は左室前壁の心内膜から 中層に限局していたが,3時間以上の例では#10, #14を除く全例に貫壁性に認められ,心電図でのQ 波の出現と一致していた. 小括 0.5時間の冠動脈1血流遮断後再灌流では心筋壊 死は生じないこと,1時間以上の血流遮断では心 内膜∼中層に限局した壊死を生じ,3時間以上の 血流遮断で面壁性に壊死が形成さ’黷ス.CPK流出
速度曲線から得られた諸変数と冠動脈」血流遮断時 間との関係から,3および5時間血流遮断群では 24時間遮断群に比し,Viは大であったが, Tr, Re, CPKrは小さく,壊死巣の拡大を抑制できたと考 えられた. 考 察 1.心筋梗塞症における梗塞巣の大きさの評価 について AMIにおいては,梗塞巣の大きさがその心機 一1605一A
D
B σげヴ。
Ei 熱 、 9 σC
醐 。 o》
図13 左前下行枝血流遮断後込灌流実験における心筋壊死巣の部位とその範囲 灰色の部分が壊死巣を示す. 血流遮断時間はA;30分,B;1時間, C;3時間, D;5時間, E;24時間である. 能,予後を規定する最大の要因であることは広く 知られている8)∼14>.動物実験では,冠動脈閉塞後一 定時間経過すれぽ病理組織学的方法によって壊死 巣の大きさを正確に知ることができる,しかし, 臨床的には梗塞巣の大きさを正確に評価すること はできない.今日,梗塞巣の大きさを推定する手 段として,心電図,心エコー図,左室造影,核医 学検査,心筋逸脱酵素などが利用されている.こ れらのうち,壊死巣の大ぎさを測る他の方法と同 様に種々の不備な点は指摘されているが,壊死巣 の大きさとその進展過程を最もよく反映するのがShellらによって提唱されたCPK流出動態の成
績6)7)である.Shellらは犬の左前下行枝を結紮し て心筋梗塞を作製し,心筋組織内のCPKの減少 量から求めた梗塞心筋量と,この間に血中に流出 したCPK総流出量から計算して求めた梗塞量の 間にr=0.96の高い相関関係があることを示し た6).臨床的には,Bleifeldら8)は15例の心筋梗塞剖検例を用いてShe11らと同様の方法でCPK総流
出量から梗塞:量を求め,病理組織学的検索から求 めた梗塞量と比較し,r=0.93の相関関係があるこ とを報告し,またHackelら15>は多施設共同研究 による剖検25例の検討でr=0.86の良好な相関関 係があることを報告している.一方,Roeら16), Swainらi7)の研究では,小∼中位の梗塞量では両 者の問に非常によい相関関係があるが,大きな梗 塞量ではCPK総流出量から求めた梗塞量が過小 評価されると述べている.Cairnsら18)も犬の実験 で同様のことを述べており,大きな梗塞では壊死 巣の中心部分からのCPKの流出が悪く,血中へ 出現するまでに不活化されてしまうため,この血が梗塞巣の大きさを測定する上で問題であること を指摘している.しかし,再灌流下においても, CPK流出量から求めた壊死量は,組織学的に求め た壊死量に比べて過大評価されるにもかかわらず 両者の間にはなお良好な:相関関係がみられること から,適当な補正を行うことによってCPK流出 量による壊死馬の大きさを評価してよいとする考 えもある19)20)。CPK流出量から求めた壊死量に よってICTの有効性を論じるときには検討を要 する問題である.
2.ICT施行例におけるCPK流出に関する諸
変数の検討今回対象としたAMIのCPK流出:量からみた
壊死巣の大きさは,小さいものから大きなものま で幅広く分布しており,偏りはなかった.著者ら は,すでに,CPK流出速度曲線と梗塞発症後3∼6週に行ったCAG所見の検討から, IRCAの
閉塞の有無が,壊死巣の成立過程の長短と関係す ること,すなわち,心筋梗塞発症に続いてIRCA にいかな:る閉塞が惹起されるか,または閉塞が起 こらないかが梗塞巣の拡大を左右するのではない かと推測した成績を報告している4).今回は,梗塞 発症後早期にCAGとICTを行った例を対象に, CPK流出速度曲線から得られた諸変数を解析し, 壊死巣の成立過程と再灌流の影響を検討した.CPK総流出量(CPKr)の決定にはViとTrの両
者が関与していることはすでに述べた21).そして このTrの間に壊死巣が完成し,その拡大も制限 もこの間に起こる現象であるとすると,Viは心筋 梗塞発症時に規定された壊死巣の大きさを,Trは その後に追加された壊死巣の有無を間接的に反映 するものとみなすことができる.今回の成績では, Trは既開通群および再開通群が非開通群に比べて低値を示し,またICT直後のIRCAの狭窄度
が90%以下の群では99%以上の群より短かった. このことは,梗塞発症早期からIRCAの血流が十 分保たれていれぽ壊死巣の成立過程は短時間で終 了すると言うことができる.ところで,再開通し たにもかかわらずTrが20時間以上を示した例が 7例見られた.そのうち4例はICT直後の狭窄度が99%,1例は90%であったが慢性期のCAGで
完全閉塞となっていた.したがってICTによる IRCAの血流再開が得られても99%以上の狭窄が 残存する例では,さらに血流状態を改善させる何 らかの方法(例えば経皮的冠動脈拡張術,PTCA など)や再閉塞の予防手段を構じなけれぽ壊死巣 の拡大を抑制できないのではないかと思われる. いまだわれわれは,AMI例でICTに引き続いて PTCAを施行した経験が乏しいので,この点に関 しては推測の域を出ないが今後検討すべき問題と 思われる. ICT施行例のViの評価に関しては,先に述べたように再映流に伴うSERの変化が問題とな
る.Jarmakaniら22)は犬の実験で,24時間冠動脈血流を遮断した群と1,3時間遮断した群では
CPK流出量から求めた梗塞量には有意の差がな かったが,組織学的に求めた梗塞量の比較では後 者が有意に小であった.また,CPK流出量と組織 学的な方法で求めた梗塞量の間に良い相関関係が あるが,前者がより大であったと報告している. その理由として再海流によって心筋壊死組織から のCPK流出が増強されること,可逆的な虚血部 心筋からのCPK流出をあげている,われわれの 犬の実験でも,図9に示したように3および5時 間の冠動脈血流遮断後に再灌流した群のViは24 時間閉塞群に比べて約3倍も高値を示した.急激 な冠血流の再開によって壊死心筋からのCPK流 出が起こっている可能性が示唆された.ヒトの心 筋梗塞症でもこのような現象が起こるのであろう か。ICT直後のIRCAの狭窄度が90%以下の群の Viは,99%以上の群より有意に大であった(図 7).しかし,Viは再開通群〉既開通群〉非開通 群〉対照群の順であり,またCPKrと同様に,い ずれの群においても小から大まで幅広い分布を示 していた.もしIRCAの再灌流によって壊死部のCPKがwashoutされてViをより大にするのな
ら,既開通群のViは再開感奮と同じかまたはよ り大きな値を示してもよいと考えられる.IRCA の再正流の有無や血流の程度がViと無関係であ るとは思われないが,ヒトの場合には動物実験ほ どその影響は大きなものではないと考えられる. 現在のところSERが再灌流によって変化するか 一1607一どうかは不明であり20>,今後の検討が必要である. Schwarzら23)はCPk流出量から壊死巣の大ぎ さを求め,ICTによって,梗塞発症後4時間以内 に再開通の得られた群では非開通群や発症4時間 以後に再開通した群よりも壊死巣が有意に小で あった(p〈0.05∼0.01)と報告している.われわ れの例では,梗塞発症後平均3.92時間目に既に
IRCAの冠血流が得られていた既開通群のCPKr
が最も低値であり,再開通群と非開通群のCPKr に差がみられな:かった.再開通群の血流再開が発 症後平均4.55時間以降であったためと考えられ る.臨床的には,少なくとも梗塞発症から4時間 以内に十分な冠動脈の再開通を得ることが壊死巣 拡大の抑制には必要であると思われる. また,再開通群や既開通群では梗塞発症から CPK最高値までの時間が非開通群に比べて有意 に短いことはよく知られている23>∼26).われわれの 成績も,TpEは既開通群13.4時間,再開通群15.8 時間と非開通群の19.5時間に比べて有意に短い値 であった.この現象はIRCAに再開通が得られた か否かの非観血的な指標として利用されてい る27).再垂流によるwashout現象と考えられてい るが,このような例ではCPKの消失も非開通群 に比べて速い.逆に,心筋梗塞発症後のIRCAの閉塞が持続すれぽCPK最高値までの時間は長
く,CPKの消失速度も遅い.これは再開鶏群およ び既開通群の壊死巣成立過程が短時間で終了した ことを表しているのであり,TpEやTrはICTの 有効性の評価に使用できる指標と考えられる, 3.冠動脈内血栓溶解療法(ICT)の臨床的意義 ヒトの心筋梗塞症で,冠状動脈の閉塞後何時間 以内に再灌流すれぽ心筋の壊死を防止することが できるかはいまだ不明である.Reimerらの犬を 使った実験では,40分間冠動脈血流を遮断すると 心内膜側に壊死を生じ,6∼24時間の」血流遮断で 貫属性の壊死となる.そのため,冠動脈血流遮断 後3時間以内に再灌流すれぽ虚血部心筋を壊死か ら救うことが可能であるが,6時間での再曲流で は殆ど救助することはできないと報告してい る28).われわれの実験でも,3時間以上冠動脈血流 を遮断すると貫壁性の壊死を生じた.しかし,3 ∼5時間血流遮断後に再灌流した例のTrおよび Reは低値を示し,壊死巣の拡大を抑制できたと考 えられた.ヒトの場合には,心筋梗塞発症前にすでにIRCAには動脈硬化性病変が高度に進展し
ていることが多く,そのために側副血行を有して いることもあり,再開通までの時間を厳密に規定 することはできないがダ今回のわれわれの成績か らは,梗塞発症後4時間以内にIRCAの再開通が 得られれぽ壊死巣の拡大を抑制できると考えられ た. ICTの心機能に及ぼす効果の評価としては,現 在左室駆出率(左室造影法やラジオアイソトープ による心プール法など)が利用されている.再開 通群では,心機能の改善は血流再開直後には見ら れないが,10∼14日以後には認められたのに対し, 非開通群では不変ないし悪化したとする報告があ る24)26)29)∼35).一方,再開通に成功しても不成功群 や対照群に比べて心機能に差が認められない,改善はわずかにすぎないとする報告もみら
れ25)36ト38),ICTの心機能に及ぼす有効性について はいまだ結論が得られていない.ICTの適応症 例・使用薬剤・投与方法の選択,ICT開始までの 時間,心機能の評価法などは今後さらに検討を要 する重要課題であるが,壊死巣が拡大したか否か の直接的根拠となる指標の検討が待たれる. 総 括 Killip 1,2型で,冠動脈内血栓溶解療法(ICT) を施行した51例および未施行(対照群)31例の急 性心筋梗塞症患者を対象に血中CPK活性の経時 的変化を解析し,壊死巣の成立過程と再定流の影 響およびICTの臨床的意義について検討した. 1.梗塞部軸流冠動脈(IRCA)が梗塞発症後の 初回冠動脈造影(CAG)時にすでに不完全閉塞で あった例(既開通群)は14例(27.5%)であった.2.梗塞発症後の初回CAGで完全閉塞であっ
た例が37例(72.5%)見られ,ICTによって再開 通した例(再開通商)は22例(59.5%),再開通し なかった例(非開通群)が15例(40.5%)であっ た. 3.対象82例のCPKr, Vi, CpEの間には良い相 関があり,また,Tr, TpE, Reの間にも良い相関関係があったが,前者と後者の間には有意の相関 はなかった. 4.既開通群および再開通航では非開通群およ び対照群に比べてViが大であったが, Tr, TpE, Reは小であった. 5.ICT終了直後のCAGで, IRCAの狭窄度が 99%以上の27例と90%以下の24例の比較では,後 者のViは大であり,TpE, Tr, Reは小であった がCPKr, CpEには有意の差はなかった. 6.19頭の犬において,頚動脈から挿入したbal− loon catheterによる冠動脈血流遮断とそれに続 く再山流を行い,心筋壊死巣の成立過程をヒトと 同様にCPK流出曲線によって検討した。閉塞時 間が0.5時間では壊死が発生せず,1時間では心内 膜∼中層に,3時聞以上では船側性に壊死巣が形 成された.3および5時間血流遮断例では24時間 遮断例に比べ,Viは大であったがTr, Reは小さ くCPKrも小であった. 7.以上の結果から梗塞発症早期にIRCAの開 存または再開通した例では,壊死巣成立過程が短 く,梗塞巣の拡大をある程度抑制することができ ると考えられる. 稿を終わるにあたり,御指導,御校閲を賜りました 広沢弘七郎教授および直接御指導いただきました金 子昇博士に深甚なる謝意を捧げるとともに,御協力頂 きました本学第一病理学教室武石詞教授,国立循環器 病センター平盛勝彦内科部長・住吉徹哉先生,ならび に本学循環器内科回教室員,心研研究部および第1病 理学教室員の皆様に心から感謝致します. 本論文の要旨の一部は,第25回日本脈管学会総会 (1984年,東京)で発表した. 文 献
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