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扁桃腺摘出後出血例

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扁桃腺摘出後出{肛例

東京女子馨學專門學校耳鼻咽喉科教室(主任 石原亮教授)

窪 敦 子

繕 言 口蓋扁桃腺の手術問題は專門家により其態度を異にし,今両内科方面ICは手徳反鍬 読を堅持する人あるも,耳鼻咽喉科專門葦間に於ては,病理組織璽的槍索の進歩及幾 多の臨床経瞼の集積は之が適癒症の範團を櫨解し障り,.現今は 1.口蓋扁桃腺肥大 症・2・習慣律「アンギーナ」の中間期・3・慢性口蓋扁桃腺炎・4・扁株腺角化症, ・5.口蓋励兆腺に限局せる結核,腫瘍,徽毒,其他,6.口蓋扁桃腺周園膿瘍,7.「ヂ フテリー」菌保有昏昏事績排菌者,8.口蓋扁桃腺感染に因る一般全身病 之例,急 性,慢性腎臓炎及關飾「ロイマチスムス」『,心内膜炎,下鞘炎,骨髄:炎:,膿毒症,敗血 症,頑固なる微熱,頸部淋巴腺腫大の際等には扁桃腺摘禺手術を行ふ。但し出血性素 因ある疾病,月経時,糖尿病,動脈硬化症,高血瞳,全身衰弱甚しきもの等は禁忌と す。 「而して口蓋扁桃腺手術に於ても他の如何なる外科的手術に於ても見る如く稀に不測 の合併症を見るは止むを得ざる事なり。最も多きは後串血にして高度なる場合は時と 』して生命をも脅かす事あり,又稀有なれども後出血より更に重篤合併症を誘獲する事 ありて,臨床家の最嫌悪する所なり。 余は,扁桃腺周回膿瘍患者に:先づ其切開排膿を加へ,後全身歌態族復を侯ちて行ひ :たる爾側口蓋扁桃腺摘出術後,頑固なる後出血に遭遇し,輸血により止thtし得たる例 を報告す。 症 例 患者 田中某氏 29厳女 職業tt警師

初診 昭和14年9月20日

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26 窪=編桃腺摘寓後出血例 主訴 稜熱,咽頭痛,、嚥下痛並に言語障碍を訴へ,扁桃腺摘出を希望來院す。 家族歴 特記すべき事なし。 匪往症 6』年前右側扁桃腺嗣團膿瘍にて當科に入院し膿瘍切開を受け1週問にて治 癒退院せり。特別出1野生素因の如きものを認めす。 現病歴 9月8日風邪感を以て爽病,9月12日咽頭痛と共に扁桃腺に白色苔附着 せるを以てGerison注射を行ひたるに,2−3日目に上肢屈側より腕關節にかけて 赤色獲疹を生じ,同時に逸球師痛あるためGerison中毒を疑ひ注射を中止せりと, 一時輕映せるも4−5日來再び爽熱し某慰より.扁桃腺周園膿瘍と診定され,膿瘍時扁 桃腺摘出術を希望し入院せり。 現症 一般所見,黙許中等度,衰弱可成著明。艦温37.6。C,脈搏110,整,緊張 良σ呼吸撒20,.呼吸.困難なし。顔色蒼白,言語不四苦陶伏。皮膚には特別稜疹,.疲 痕,色素沈着,出血黙叉は落屑等を認めす。 局所k見,「右側顎下,側頸部淋巴腺及其周園の腫脹著明にして歴痛あるも,波動を 謹明せす。頸部腫脹のため願部を前方に突出す。下野緊急著明にて咽頭深部を窺ふ事 困難なり。舌は厚き白色苔にて被覆され・男憎子舌に非す。右側扁桃腺周園は門門に 呼野腫脹し,更に右側軟口蓋全般に亘り,大臼薗歯諏に及び,懸塞垂は左方に膣排せ らる。口蓋扁桃腺は右側は浮腫歌に腫脹し正中を越して左方へ移動され,左側扁桃腺 は埋没性にして前口蓋弓に被覆され一部分を見得るのみなるも何れも義膜を見す。右 側扁桃腺周回試験穿刺により汚繊膿汁を誰明せり。 鼻腔は右側下甲介獲赤腫脹し粘液性鼻漏中等度にあ)1,左側には著攣なし。 膿瘍切開を施行し約5e.e.排膿せり。膿汁申には蓮鎖1灰球菌を純培養歌に認め,血液 塞天培養により溶血性を誰明せり。 血液検査:血色素量 87%(n・Sahli) 赤」血球数 458萬 白血王求婁気 15400 白血球百分率 中性嗜好白血球 70。0%

騰錨::9劣}脇

分葉核亜型25⑩%

三型17.5%1、50.5%. 一第 10 巷246一

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窪−扁桃腺摘出後tli血例 27 N型 8.0%ノ 淋巴球 17.0% 輩核細胞 11.0% 「エオジン・嗜好性白血球 2iO% 前議性嗜好白血球 0 即ち白1血球増多症並に中性嗜好白th1球の核の左方推移を認む。 赤皿L球沈降速度(1〕・Westergren)は室温にて30分34.5 mm, ユ時朋72 mm,.

2時聞120mmにして中等慣は66 mmなり。

尿所見,蛋白弱陽性,其他異常なし。 経過並IC治療切開後」稔性膿汁の排出多量にして創腔内に挿入せる小沃度「ホルム ガーゼ」は流出さるN如き歌態なり。切開後も自魔症の輕快著明ならす衰弱可成強度 なるため5%葡萄糖「リンゲル」,viton,張心剤等の注射と共に,:炎症強度なるため Gerison 4 cnの筋肉内注射を試みたり,注射後疹心あるも座主,關節痛を來さす。 9月21日.(入院翌日),排膿多量,千倍Rivanol溶液にて膿瘍腔を洗1條す。疹痛 多少輕評せるも頸部腫脹術中等度。耳痛を訴ふるも他藩的攣化なし。鼻閉塞著明。前 日同様注射施行。 9月22日,頸部淋巴腺腫脹著明に減少し輕度の歴痛を残す,瞑部の前方突出は止、 み正常位にかへれり。牙關緊急は樹中等度,排膿及咽頭の震赤腫脹中等度,言語も明 瞭となり初む。注射同前。 9月23日,排膿減少し切開創を開く違約5 c.e・の画幅排出あり・睡眠並に食慾良好 となり・腫脹,疹痛輕庚。Gerison 2・5 e・c・注射。 9月24日,自白症消失,氣分良好となり排膿著明に減少し血性膿汁少量のみ。 9月25日,雫熱となり排膿なし。 9月26日,一般歌態甚しく可良となりたるを以て爾側低回扁桃腺摘出術施行。 手術前止血の目的にてFibrogen 3・c.c.内服, ChlorcalciutnにVitonを加へたる静 脈注射を行ふ。Adrenalin IJ00.5%Novocainに由る局所麻酢下に手術を施行。 手術時所見 右側膿瘍切開側は剥離梢々困難にして殊に後面に於て多少癒着を認め たるも膿汁を誰明せす。左側も剥離困難にして且甚だしき痙痛を訴へ實質性出血多量 なiL)。Pアrozon及びAdrenalinを含ませたる雀線子にて塵迫し充分[L血せる後病窒に 蹄へせり。 術後1時間にして左側手術創面より後出血㌃始まる,創面を検するに右側は清浮にし

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28 窪睾澗桃腺摘出後出血例 て1血液凝塊なく出血.黒占を認めす。左側は大なる凝血附燈し容易に脱落し全面的實質性 出血あり。後下部に少量の扁桃腺組織の淺留を認むるも之は出並しに關係せす。大量に は非ざるも持績し,凡ゆる止血剤を総動員しての注射,出伯螂位の止拍㌃剤塗布塵抵, 或は爾酸銀腐蝕も奏効せす,一一.一部止lflLすれば他の部より,之が止rfitすれば更に他の部 より出Jfiしして3約6時間の後∋1巧じて完全に止lilLし得たり。 9月27日(手術翌日)完全に止通しし居たるも廻診に際し藥液を塗布せるに再び出 血し初め約1時聞にて止ifiLせり。懸鞭乖は俘回状1に腫脹し咽頭異物感を訴ふ。最:高艦 温37.4℃,一般状態可良となる。 9月28日 漸次元三恢復,手術創面清浮,右側被苔は厚きも左側は非薄にして一 部組織を三三露出せる部あり。 9月29日.(術後4日目)昨夜牛より出通t初まり小指頭大凝拍L塊を喀出す・其都度 拙血L部位の硝酸銀腐蝕により比較的容易に止diLし得たり。 9月30日 繊1血.省反復持綾し,1同量は少きも甚だ頑固にして全艦量は可成の量 に達せん。瀕色蒼白となり顔貌憔埣し憂色を浮ぶ。此日偶々足蹴に落屑を來せるを獲 .見,更に槍するに手掌にも之を認む。丁丁,四肢,顔面には認めす,夕刻より止lftL す。 10月1日 同数は減少せるも術出血持回す。於妓,足踪,手掌の落屑より四病當 :初の咽頭痛,Gerison中毒と思ひたりとの赤色三三,關節痛は凡て狸紅熱の症状なり しならんと想到するに及び其止山L困難なる所以を察知し楡ICLを行ふ事とし,患者と同 型なるA型血液100 c・c・を輸拍しせり。楡頃L後直ちに出JfiLは拭ひたる如く去り,全身状 態恢復し,食慾叉旺盛となれり。 10月2日,再度100 c.c.輸拍L,手術創清浄1にして厚き苔を被り,全く出血なじ。 其後全身歌態の恢復は口に見えて著明となり,手熱に復し,二分雫常に婦す。 1⑪月8−9日,風邪二三にて最高38.4℃三熱せるも特殊所見なし。 10月io日,二三,自毘症なし。 10月11日目術後16日回)創面全治し,落屑も殆ど認めざるに至り欣然と.して退 続録宅せり。其後聞もなく杢く常態に復し診療に從事せりと。 一第 10 巷248 _

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窪一==扁桃腺摘出後出血例 29 暦 日 20π 2ノ 22

23 24

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26

27

28 .29 30 ノン盆

2

3 病 日 1 2 3

4

5

6 7 8 3 /0 ノ2 ノ3 ノ4 膿r 両側扁 輸血 1 終 ト需δ童 輸血δOCC F 1 日出 終日出血 中○出・ 撃bG 桃術 」雛行血 一血 ↓ 1 ↓ 血 、 1601350 1 ! 慧1 工 霧. 工 暖. 考 按 本例に於て次の諸黒占に就て考按を加へんとす。 1.狸紅熱の際の扁桃腺周團膿瘍に就て 本例を其全経過より観察するに,焚病當初咽頭痛及扁桃腺の白色苔を認め,G6rtsone 注射後2−3日にして其中毒かξ思惟されたる赤色嚢疹及腕關節痛を來しダ之等症状 は一旦輕快せる後,咽頭痛再畿し,護病皇週聞後に扁桃腺周園膿瘍と診定され當科に 紹介されしものにして,初診時は扁桃腺周園膿瘍所見を呈せり。之を一旦切開排膿後 扁桃腺摘出術を行ひたるに頑固なる後出血を來し,其経過中に手掌,足踪に落屑を認 めたる例にして,初診時既に狸紅熱を思はす他畳的所見なく・血液像に於ても「Eosino一・一 philieを認めざりしと錐も,現病歴及入院後の経過を綜合考察する時狸紅熱の不全型. とするを安當なりと思惟するものなり。 耳鼻咽喉科全書記載の箕田i教授のの狸紅熱の項によるに,「狸紅熱の病原たる特殊性・’ 歌の溶血性蓮鎖歌球菌は局所傳染として絡始する場合と,’一’一・:方には全身傳染,所謂菌’ 敗血症を來す場合と存する事考察され,臨床的観察,解剖的所見及函槍出局所乃至組、 織等の關係より,輕症者に於ては溶連菌は咽頭局所の傳染,從つて器質的侵害は主と して咽頭部に止り,高熱其他の一般症1伏は其吸牧毒による反鷹症歌たりと信寅,’重症. 型患者に於ては無論,中等症患者に於ても獲病既に激日以上に及ぶものに於ては溶蓮

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3Q 窪=橘桃腺摘禺後出血例 菌は既に咽頭部より血中に入り,從って菌敗血症を毒敗血症に兼ねるに至るものと考 ’察し得」と。蔀ち狸紅熱「アンギーナ」と繕せらるX狸紅熱特有の咽頭所見は殆ど 100%(1。)に獲馴し,箕田斜脚は,狸紅熱は特異なる稜疹よりも寧ろ初期より早く咽頭 所見の現はるNを以て特異とすと云はれたり。狸紅熱「アンギーナ」は軟口蓋部粘膜 紅特有の獲赤(Kirschrot)腫脹及扁桃腺腫脹を鎖し,或は「ヂフテリー」様i義膜を附 .着して S char]achdiphtheroid となり,更に重篤なるものは可成急速なる扁桃腺の壊 二割性病攣を惹起する事あり。 而して多くは濡桃腺炎の輕重に一致して種々なる程度の頸部淋巴腺炎を剥し,更に 頸部蜂案織炎,咽後膿瘍,Ludwig氏「アンギーナ」,中側炎断乳囁突起炎,腎臓炎等 種々の合併症を均す事あり。如斯,顎下,側頸部,咽後年の聖断淋巴腺の化膿を來す 事あるは既に認められたる事實にして,扁桃腺周園に化膿を回す事あるは思考され得 る所なるも,余の渉猟せる文職の範園に鞭ては狸紅熱に扁桃腺周團膿瘍を合併せる例 を見外唯,小牧氏の扁桃腺義膜中より桿菌を誰明せる例に「ヂフテリア」皿L清注射 ・後扁桃腺周園膿瘍を形成し,其切開後端紅熱獲疹を生じたる例を見るのみなり。 半獣は6年前に今同と同側扁挑腺周園膿瘍を経過せる事あり,偶々狸紅熱「アンギ ・一i」より二次的に化膿.を回せるものと推察され,初診時所見は定型的右側扁桃腺周 魍膿瘍にして,周團淋巴腺化膿が咽頭に膨隆ぜる如きものには非ざりき。 鉦 扁桃腺手術の合併症殊に後tEl iiTしに就て し 口蓋扁桃腺全摘出手術後は翌日より創面は白苔に被覆され,1週聞後には概ね白苔 脱落し疲痕形成を螢み10−14日にて全く治癒に至るを常とするもs・時として合併症 を見る事あり。其内臨床家の遭遇し易く且不快なるは後出血なり。後出血に原因する. 申耳炎は往々見らる。越年に於ては全身麻酔の下に扁摘を行ふ結果危瞼なる肺合併症・ 多しと聞くも鯛網に於ては局所麻酔下に行ふを以て後畠血以外の合併症は甚だ稀有に ・して,同職によると,鼻咽頭町鳶織炎及丹毒,扁桃腺周園膿瘍,敗』血症,Ludwig氏 :「アンギーナ」,胸腔内膿瘍下垂,咽頭氣腫,憂節「・イマチスムス」,多畿性筋炎,心 内膜炎,冠膵炎,湖膿瘍,流行醐箇炎,稟粒結核,狸紅熱(創傷狸紅熱)等の報告 あり。鼓には主として後出」血上に就て述ぶ。 扁桃腺手術に際しての出血に,手術中出血と後出血とあり。後出血を更に術後緻時 論或は1−2日後に起る後出血と,術後甚だ邊く來る逞出」血とに分ち,其危理趣は手 術申よ砂も術後,更に其遽き程多しとさる。 出血の程度も種々にして,軍に藥液塗布或は出血部位墜迫により止血するものよ 一第10巻250「一

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窪=出塁腺摘出後出血例 31 ・;),外頸雌馬結紮の馬韓なきもの,或は遂に死に到れる報告もあり。 後出血の頻度は報告者により種々にしてMygind(5)は8.0%, Erdelyie(5)は0.4%に して,如斯可成の大差を示せる所以は手術k式事術者の手腕の差異及後出拍しと算する 鰻度の一定せざるによる所も又大なるものならん。 出j血の原因として考へらるxは (1)局所解剖的異常。帥ち内頸,外頸動脈,舌動脈及之等の分枝の解剖的異常あり て,手術時之等の損傷による動脈性出血を見る事あり,之は時に致死報告あり。 ② 組織残留或は創面及其附近の副損傷による黒血。之は術者の手腕によるは勿論 なるも其他扁桃腺自身の局所解剖的及組織的状態図急性炎:症期,或は反復せる炎症に よる強度の癒.着により起り易き事あり。 書し乍ら扁桃腺切除の際は後出血少きを以て組織淺留は必ずしも後出血の原因なり と云ふを得す,殊に扁桃腺切除の適慮は多くは小脳に限られ軍なる扁桃腺肥大にして 通常夫以上の塗笠又は癒着なぎため副損傷を起す事なく,而も小厚め血L管は郷力性強 きため特殊の出血性素因を除外して施行せば後出血工を起ず事稀な1)。. 副損傷による出血は勿論周園組織及血.管め損傷によるものなり。 .(3)局所の急性炎症の存在。之に就ては後壁す。 (4)・全身疾患及衰弱ぱ考慮すべきは勿論にしセ,殊に血友病,其他の出血性素因あ る者は絶量的禁忌なるぼ周知D事實なり。其他動脈硬化症;月経時,獲熱時等は危瞼 なるため遜くべきなり。 :肛 急性炎症時の扁桃腺手術に就て 』急性炎:症時手術の可否に就ては種々議論せらるN所にしで,從來は急性炎症時の手 ・術は出血多量たして疹痛も激甚なるべく,且創面よりの感染による合併症め危瞼を黙 想して之を避けたるも,近津AbSzes$tonsillektomie推奨せらる。扁桃腺周囲膿瘍時 摘出術は,昭和3年に尾塘越氏(s)が大正14年5月以來の経験例49例の細結,果の報 告あり1,以來漸次適薬症として認められ,近來笹木教授(39例),山川教授(12)(15例) 向笠氏(6)(61.例),其他多数の臨床家の推奨を見,一般にも施行さるしに至り,當教 室に於ては激年來症例によりては之を行ひつXあり。 膿瘍時扁摘の手術操作は周團組織よりの剥離絞断却って容易なり。且術後の疹痛は 術前の苦痛に比し甚だ輕度にして殆ど痙痛を感ぜす,患者は却って苦痛の去れるを喜 こぶ。山川教授は,膿瘍時扁摘の魅力は實に此術後ゐ良経過にありと云はれたり。 通常扁桃腺炎症は反復獲來するを特長とし,自畳的苦痛激甚なる周園膿瘍も切開排

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32 窪革扁挑腺摘出後Lf{血例 重し一度治癒すれば多くは手術を厭ぴ,度k反復するもの多し。而も周園膿瘍は同数’ を重ぬるに從ひ炎症程度は強くなり,合併症を起し易きを以て,危陰を件はざるもの とぜば,膿瘍時扁摘塗施行せば膿瘍腔は露出さる&瀧め治癒経過を短縮し,而も再登 を來す事なく・一石二鳥の効あり,殊に術後苦痛の一頓に輕]vs.るに於てをや。 三って余の例を考ふるに,解剖的異常,創面或は附近の副損傷を認めす,出血側後 下隅角部に小組半片残留を認めたる.も之は本早め踊しに關肥せす,出血面は主として 左側の手術創野上極より前面斜脚下:方隅角よりの脚質性出血なりき。其他特殊の出rkt 性素因を認めす,血塵充進,月経,有熱時等の出拍L原因なし。而して,患者は轡師に して自ら進みで膿瘍時扁摘を希望入院せるものにして,直ちに之を行はんとせるも獲 病後の経過(13日目)相野長く蓑躬著明なるため愼重を期し,一旦切開排膿後1週間 にて髄力恢復を挨ちて之を決行せるものなり。即ち扁桃腺其物の炎症々状は全く浩退 せるには非ざるも既に排膿なく町歩腫脹も;著しく滅退せ’る治癒期にして,解熱し,一 般欺態も著しく恢復せる時なり。カ>xる時期を侯ち,術前充分止血方法を講じたる後 手術を施行せるにも不拘後出血を写せるは,翠に扁桃腺自身の炎性症歌にようのみな らす何等かの平身的素因の關明せるを思はしむ。 本例は狸紅熱の経過中なるを全く識らすして扁桃腺摘出術を行ひたるものにして, 所謂箕田敏授の局所階下としての狸紅熱性病攣を閉したる扁桃腺に手術的操作を加へ たるなり,.即ち炎症濡退期とは錐も獲病$週間目にして,狸紅熱は来だ全治せす,其 血管壁は正常に復せす易出tht性なりしと思惟す。 術後1時間にして起りたる後華甲は約6時間にて止血し,其後は2日闇止血状態な りしものが3日目より再度出血エし始め甚だ頑固なりき。之は成書ωに記載されたる如 く,狸紅熱に合併せる急性乳早撃起炎手術創面は肉芽形成悪く治癒機三遷沸すと云ふ :事と同意義にじて,本例に於て肉芽形成悪かりし創面に食事,談笑,治療的操作等の 刺戟伽はり,創面の安静を保ち難く歩々易出血性となり止血し難かりしものと思惟 す。 W 止血方法に就て :先づ出血.甲防法を講ずる事肝要なり。其爲には既往症に注意し,串替刃素因φるも のは手術を邉iけ,出皿L豫防の冒的に術前止」血剤を下道す。當教室に於ては,通常術前 1時聞位に:Fibrogen或は、Throm;bogen液を内服せしめ・出血しの恐れあるものには 豫め血沈,血液凝固時聞等を測定し,vitamin C剤を加へたる「クロールカルシユー ム」の静脈内注射,更に臓器製齊1止皿L剤の皮下注射を行ひたる後手術を開始す。如斯 一一第 10 巻252’一

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窪=転退腺摘出後止血例 33一

注意して行へば後出血を零す事殆どなし。後出血の止血方法は大膿2大別して』(1)止 一血剤使用による全身的塵置と,(2)局所的塵置とす。

(1)止血剤使用によるものは實質性出血或は翻脈性小出1血に慮零せらる。止血剤は 種々あり通常使用さるsものに臓器製剤たる Thro皿bogen, Fibrogen, Throgestin, MedUlan, Coagtilen, Lienalin, Clatiden, Anaptin等の他にCalcium剤, Vitamin C 或は:P剤,高張食尽水等あり,内服,皮下或は静脈内注射とす。 樹輸血は出血.に際し必要不可鉄の療法にして,補血及止血の意昧に於て重要なり。 :林氏(L])は扁桃腺摘毘後の毛細管性或は軽質性出血に限り第一書置としての輸血を行ふ べ:しと彊言要せり。 本町も種々なる止血法を講じて明解かりしに輸血100帆同にて安全に止血し得た り。 (2)局所的虚置としては,a.止血劃の含噺法,「ミルラチンキ:」溶液, PyiOzon, 騰水勢の含煕b・塗布法・C・r・ii「i−Ad・enali・・.・’Pyr・…等ρ局所塗布冷帯醗 溶液:による腐蝕,c.止血部位墜迫法,養綿子,手指又は扁桃腺止血器による出血部 位墜迫法,以上は輕度の出thLICのみ効あり。 d,「タンポン」法,滅菌綿球を其声門は 撃墜を浸み込ませて手術創腔内に挿入しおく方法なり,創面古き時は療贋書縮のため 明輝くな})「タンポ㌃を掌るs事不能となる。e。前後口蓋弓縫合法,「タンポン」 法に併用する事あり。f,局所血管結紮法,出血しつNある血管又は出血鮎明瞭なる 時は本法を行ふが最も正確且つ理想1的なるも,手術野が口腔内にて深部iCあり,且つ 術後時聞を経過せる場合叉は創面組織の脆弱なる聖徳は其操作決して容易ならす。g. 出血局所注射・法,Adrenalin加Novoclain或は生理的食朧水を出.血部位に注射する方 法にして,出血部位の組織叉は血管を墜早して止血せしむる方法なり。余は最近,術 後1週間目に來れる頑固なる後出血例に前者を慮用し忽ち止血せしめ得たり。h.外 頸動脈結紮法は最後の方法なり。 結 論 本症例は29裁女子,右側扁桃腺周囲膿瘍のため膿瘍時扁桃腺摘出術を希望して入 院せるものなるも,衰弱著明なりしため輩なる膿瘍切開による排膿に止め艦力恢復を 撃ちて爾側口蓋扁桃腺全摘出術を施行し,繕物左側よりの頑固なる後出血に悩まされ たる例にして,経過中に落屑を嚢見し,本例に於ける扁桃腺周園膿瘍は狸紅熱に合併 し來れるに氣付き,頑固なる後出血の原因は狸紅熱性病憂にあるを推知し,輸血によ

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34 2 =lts,桃腺摘田後串血例 り完全に止血し得たり’e 終りに臨み御懇篤なる御指導及御校閲を賜はVたる恩師石原教授並に佐藤助教授に深甚 の謝意を捧ぐ。 主 要 交 獣 1) 2) 3) 4) 5) 6」 7) s) 9) 10) 11)

1)enker u. KZahler: Handb”mch d. H一 N一. O. h’eilk. Bd. VI. 1928.

林成夫:治療及塵方・12巻.1號.412頁.

芙紹龍:耳鼻咽喉i科.1巷.10號・1250頁.昭和3年.

1〈Latz : Hrmdbfich d. spez. Chirifrgie d. Ohr. u. d・ obcr. Luftwege, Bd. II. S. 1042.

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一第10雀25窪一

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