(東女医大誌第54巻 第6
号)
頁 507-513 昭和59年6月j出血性消化性潰蕩に対する内視鏡的止血法の検討
東京女子医科大学 第二外科学教室〔主任:織畑秀夫教授〉 松村総合病院外科 サイトウ マサミツ ヨネヤマ コウゾウ アンドウ タ カ シ斎 藤 正 光 ・ 米 山 公 造 ・ 安 藤 隆 史
松村総合病院外科 エン ドウ ケン シチ ロウ遠 藤 健 七 郎
( 受 付 昭 和59年4月 3日〉Endoscopic Hemostasis of Bleeding Peptic U1cers
Masamitsu SAITO
,
M.D.,
Kozo YONEYAMA and Takashi ANDO Department of Surgery, (director: Prof. Hideo ORIHATA, M.D.) Tokyo Women's Medical College Kenshichiro ENDO,
M.D. Department of Surgery, Matsumura General Hospital 29 Peptic u1cers are the most frequent causes of the upper gastrointestinal hemorrhages in many Japanese institutes. In this study, early ditection and hemostasis by endoscopy have been discussed clinically about its usefulness.Between January, 1979 and December, 1983 at Matsumura General Hospital, we have experienced 58 cases of bleeding peptic u1cers. Endoscopic hemostasis
,
such as electrocoagulation and local ap -plication of absolute ethanol, have been employed in 23 cases of above 58. More than half of them could have been treated without surgical operation. So we have been able to reduce emergency operation in this series. However higher ratio of exposed blood vessels was shown in thse 23 cases, we have effective hemostasis 70% in electrocoagulation group and 81.3% in ethanol application group.I
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should be made e妊Ortsto decrease the amount of blood transfusion in future cases. はじめに 急性上部消化管出血の内最も頻度の高い消化性 潰虜の治療に際しては,出血の程度判定,出血源 (原因疾患も含め〉の探索,併存する疾患の検索等 が迅速に行なわれなければならない.すでに著者 らは東京女子医科大学外科において1969年から9 年間の出血性消化性潰虜例をretrospectiveに検 討し,内視鏡的所見1)や,手術適応の面2)3)から 報 告 し た が , 本 症 の 内 視 鏡 的 止 血 法 に つ い て prospectiveに 検 討 す る 機 会 を 得 た の で 報 告 す る 検索対象および方法 1979年1月から1983年12月の間に松村総合病院 外科において58例の出血性消化性潰蕩を扱った. この期間における急性上部消化管出血例の内訳 は,消化性潰蕩58例(78.4%),胃炎6例,食道静 脈癌4例,胃癌3例,噴門部静脈癌2例,食道炎 I例の計74例であった. 内視鏡検査時期, X線検査時期,手術時期を, 発症より48時間以内を早期, 3 - 7日を中期 8 日以降を晩期とし,入院後24時間以内に施行した 場合を緊急と定義しため. 本症の全身管理の指標2)として輸血所要量 (ml/ -507日),ショッグ指数(脈拍数/最高血圧,以下
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と 略す4)),血液指数(白血球数/血色素量X103,以下B
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と略す2))等を用いた. 内視鏡的止血法としては高周波電流による凝固 法(以下電気凝閤法と記す〉および純エタノーノレ 局注止血法6)(以下純エタノール局注法と記す〉を 用い,更にc
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(静注〉の併用例の効果に ついても検討した. 成 績 1. 出血性消化性潰蕩の臨床像(表1
,2)
胃潰蕩と十二指腸潰蕩に分けてみると(胃十二 指腸併存潰蕩は出血源となった方に分類した),い ずれも男性に多く,年齢分布では胃潰虜は50-70 歳代に多く分布し〔平均年齢60.9歳),十二指腸潰 虜 は50歳未満と70歳以上に比較的均等に分布し (平均年齢55.1歳), 60歳以上の高齢者の占める割 合は胃潰蕩で57.9%,十二指腸で40.0%で,全体 で51.7%であった. 出血状況をみると,胃潰療では余り特徴なく, 十二指腸潰虜では下血が多い傾向を示した.出血 回数は双方共に1聞の症例が殆どを占めていた. また潰虜の個数は双方共に単発例が多く,潰蕩の 深さは胃潰蕩ではUl.II-1Vが王子均的に見られた のに対し,十二指腸潰虜ではul・IIとIIIがやや多 い傾向を示した. 表l 出血性消化性潰蕩の臨床像cl) 胃潰蕩 十三指腸潰蕩 性 男 性 32 13 女 性 6 7 20-29歳。
3 30-39 2 3 40-49 4 2 年 齢 50-59 10 4 60-69 13 1 70-79 5 5 80- 4 2 吐 血 13 2 出血状況 吐下血 15 6 下 血 10 12 1回 35 17 出血回数 2回 3 2 3回孟。
l 表2 出 血 性 消 化 性 潰 蕩 の 臨 床 像(2) 胃 潰 湯 十二指腸潰蕩 I偲 23例 10例 潰蕩個数の 2個 12 9 3個孟 3 1 UI.II 20個(6)。 12個(1)。 潰蕩深のさ UI.III 15 (6) 11 (5) UI.IV 21 (13) 8 (3) (56病変〉 (31病変〉 I型*6個(1)。 活動期*20個(9)。 II型 38 (18) 中間期 9 (0) 潰蕩の病型車 III橋 7 (2) (29病変〕 IV型 1 ( 0 ) Es型 4 (4) (56病変〕 潰療底の血管露出 25/38(65.8%) 9/20(45.0%) ショック合併率 11/38(28.9%) 2/20(10.0%) 。 血管露出例 場竹本忠良:消化管出血と緊急内視鏡検査(医学書院.1977) 出血性胃潰虜の内視鏡的病型分類1)7)(表 3)か らみると, II型のものが過半数を占め,血管露出 例も多く占め,また十二指腸潰蕩の病期分類8)で は活動期のものが多くを占めていた.潰蕩底の露 出血管の存在は胃潰虜で65.8%,十二指腸潰療で 45.0%,全体で56.6%に認められ,ショック合併 率は各々28.9%,10.0%,全体で22.4%を示した. 2. 内視鏡検査・X線検査(表4) 内視鏡検査は早期が31例と過半数を占めたのに 対し, X線検査は晩期が15例と過半数を占め,対 照的であった.緊急内視鏡検査は27例48.2%に実 施された.なお内視鏡検査例中のX線検査施行率 は25例44.6%に止まった. 3. 内視鏡的止血法の検討 1978年以来の出血性消化性潰療の治療方針叫こ 則り,今回の症例を当てはめてみると(図 1),23 例に内視鏡的止血法を行ない(以下止血例と記 す),その過半数を保存療法にもっていけたことに なる.これらの症例の平均年齢は71.1
歳と高齢で, 手術にもっていった症例の平均年齢56.5歳に比し 有意差を認めた (p<0.05).一方内視鏡的止血法 を不要とした3
5
例の内〈以下非止血例と記す),手 術に耐え得るものはできる限り適応とし,過半数 が手術例となった(手術例,非手術例間に年齢差 -508表3 出 血 性 胃 潰 湯 の 内 視 鏡 的 病 型 分 類7) 内 視 鏡 所 見 病 型 平分塚類の 成 間 好発部位 深さ 特 徴 幽門澗角 急辺性縁多の発発性赤点潰浮在湯腫を(欠時にく対,称幽性門洞)形全体状不に正出血, CNS損傷 I 部 UI-II 性ビラン アルコーノレ飲使用ステロイド 用 等 角(中部・体下部〉 UI-II uは円1c形あerまを楕り示円なす形いもで時のにpuも多nあc発hるe,d,露o辺u出t縁血所の管見発,〔+赤tr〕e浮nc腫h I ストレス II 以上
+
ス テ ロ イ ド 使 用 等 II 角部 萎辺粘円膜縮形縁移不隆集行帯正に接して存在 III (〔高左齢胃者動〕脈領域〉 III 体部 深い 起中,像形発あ赤り,あ露り 出血管(+) I+
V IV 体部 深い 急潰潰蕩性蕩 不正形の大きな潰痕 底辺縁凹凸か粗ら槌にじみ出る出血 糖高重(高血症尿齢圧病肝者疾〉心尿患筋毒等梗症に塞, 合併 Es 体上部 UJ-II 小さい粘膜欠損部に,露出血管がみられる 動動脈脈療硬化? 奇 形 ? 表4 内視鏡・X線 検 査 と 時 期 表5 内視鏡的止血法施行例(1) (23例 ー 延 べ26例〉 内視鏡検査 X線検査 早期検査 31例(55.3%) 5例(17.8%) 早期止血例 止中血期例 晩止血期例 中期検査 16 (28.6 ) 8 (28.6 ) 早期手術 1c 1)* 1 晩期検査 9 (16.1 ) 15 (53.6 ) 中期手術 1 total 56 28 晩期手術 5( 5) f (94.1%) 2 緊急検査 27 (48.2%) 4 (14.3%) 非 手 術 7( 7) 5 1 13 total 17(15) 6 3 26 はみられず). *緊急内視鏡的止血法施行例 31 total 次に止血例について時期別治療をみると(表5
),早期止血例は延べ17
例で,本法後に中期以降 の手術ならびに保存的療法にもって行けたものは 94.1%であった.また緊急内視鏡的止血法は早期 止血例の88.2%に施行された. 電気凝固法や純エタノーノレ局注法の止血効果を 検討すると(表6
,) これら止血例と非止血例とで は 潰 蕩 底 の 血 管 露 出 率 に 有 意 差 を 認 め た (p< 0.05)が,継続的止血率は止血例と非止血例との 輸血所要量/日自
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〉経時的変化 35例 (55.5才) 図 1 出 血 性 消 化 性 潰 蕩 の 治 療 方 針 と 症 例j数(1979.1-1983. 12 松村総合病院外科〉表6 内視鏡的止血法施行例(2) 血管露出例 継続的止血例 〔有効例) '/ヨック改善例 cimetidine併用(+) 5 4//461 J }9/10(900%Y 3/6)6/附 O即 日 電 気 凝 固 法 1/3(33.3%)“・ (ー〕 3/4 純局エタ注ノ 法ノレ (+)
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8/16(50.0)“ 3/6 (50.0)"・ (-) 1/3 観内 視察鏡の 的み (+)1
2
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問 削 )・ 3/5)8/仰 5.0)" 5/5(100.0)"・ (ー〕 5 /27 (cimdMIne併用例全体継続的止血例 問 4(54.2%)…
。
非併用例全体 1/ 9/34(26.5%).... 'pく0.05・
各々相互間に有意差なし 聞に有意差を認めず,またショック改善率にも有 意差を認めなかった.一時的止血と継続的止血を 合わせると,電気凝固法で70.0%,純エタノール 局注法で81.3%の有効率を得た (両止血法の有効 率に有意差なし).次にc
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の併用の有無 から止血効果をみたが,非使用例との聞に有意差 は認められなかった.なお非使用例にはSo
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等を使用した. また胃潰蕩については,潰蕩の深さや内視鏡的 病型と止血有効率との聞に特徴的な関係は認めら れなかった. 止血例と非止血例との輸血所要量を検討した が,両者に有意差を認めえなかった.また死亡率 については,内視鏡的止血で26.1%,非止血例で 5.7%と両者に有意差を認めた (p<0.05)が,手 術例では10.5%,非手術例では20.0%と両者に有 意差を認めなかった.4
.
症例 症例1: 81歳,男性. 高血圧・慢性気管支炎合併,下血を主訴に入院. 入院時SI1.2, BI1. 36で緊急内視鏡検査を施行 し,噴門直下体上部後壁の小潰蕩底部の露出血管 からの出血で,E
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と考えられ (写真1
),電気凝固法にて継続的止血を得た.輸 血所要量300ml/日で,翌日にはSI0.82, B1 1.13 と改善された.本例は32日後の内視鏡検査にて廠 痕治療したことが確認された. 症例2: 75歳,女性. 高血圧・気管支拡張症 ・期外収縮合併,脳虚血 写真l 内視鏡所見 (症例1) 写真2 内視鏡的止血法 〔症例2) 発作にて発症し, コーヒー残漬物を日区吐し,救急 入院.入院後下血を認める (SI1.0
, BI 1.0
4
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発 症後2日目に内視鏡検査を行ない胃角部小奪に II型の潰蕩と露出血管を認め,純エタノール局注 法にて一時的止血を得た(写真2).輸血所要量800 ml/日にて SI0.66, BI 0.53と改善され,手術適応 とした.切除標本 (写真 3)と組織標本 (写真4) からUl.1Vの大きな潰蕩の底部中央に露出血管 -510麗 竃 欝 盟 国
写真3 切除標本 〔症例2) 写真4 病理組織標本 (症例2) がみられた 症例3: 89歳,男性. 高血圧合併,吐血・脳虚血発作・低血圧にて近 医に搬送され,再度の吐血にて当科紹介される. S11.26, BI2.34で輸血施行後緊急内視鏡検査を 行ない,噴門部 体上部を中心とする III型の巨 大潰蕩から出血を認め,純エタノール局注法を施 行した(写真5).潰癌底中央の露出血管周囲に注 入するも,組織が硬く,針の刺入は容易ではなく, エタノール使用量は約50mlに及び,止血を得たが (胃内に漏出したエタノールは吸引排除したが), その後1-2
時間後に顔面紅潮を呈した.輸血所 33 写真5 内視鏡所見 (症例3) 要量533ml/日でS10.59, BI 1.44と改善され, 26 日後の内視鏡検査で潰蕩のわずかの縮小を認め た 考 察 前 述 の 東 京 女 子 医 科 大 学 外 科 で のretrospec -tivestudy1)2)で は , 内 視 鏡 検 査 で は88/111例 (79.3%)に 施 行 さ れ (早 期 は17.0%, 中 期 は 38.6%,晩期は44.4%),緊急内視鏡検査は全体で 27.3%であったが,今回の内視鏡検査は56/58例 (96.6%)に 施 行 さ れ (早 期 は55.3%, 中 期 は 28.6%,晩期は16.1%),緊急内視鏡検査は全体で 48.2%で,前回に比して内視鏡検査施行率の上昇 を認めた (p<0.05).それは更にX線検査施行率 をみても判る.すなわち前回の場合,内視鏡検査 例中76.1%にX線検査がなされたが川,今回のそ れは48.3%と低下しており (p<0.05), これは通 常検査でのX
線検査→内視鏡検査の手順よりも内 視鏡検査を第一選択とする時代の反映でもあると 考えられる.ちなみに前回の使用内視鏡機種をみ ると,側視鏡:直視鏡は1.4
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であったのに対 し,今回のそれは1: 2.1と,いわゆるpanendos -copeの使用頻度が逆転していることでも理解で きょう.このpanendoscopeの出現が緊急内視鏡 検査の進歩に大きく貢献してきたものと考えられ る.しかし,胃体上部の出血病変等では必ずしも 直視鏡が有利とはいえず.側視鏡による観察や処 置は容易であり,竹本ら7)の指摘のごとく,一方だ けに固執せず双方の利点を生かして行くべきであ る. きて,治療法をみると,前回の報告2)では早期,-511-表7 内 視 鏡 的 止 血 法 の 分 類 ( 竹 本 〉 1.薬物撒布法・噴霧法 アルギン駿Na 陶山ら19陪1) 血液凝固因子
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CLinscheerら1980.蜂巣1980) 2.薬物局注法 高張Na.エビネフリγ液 〔平尾ら1980) 純エタノーノレ (浅木ら1980) 3.クリップ法 直視下クリップ止血法 (林ら1971) 4.電気凝固法 高周波電流 〔平塚1971.Papp1974) 5. Laser凝固法 argon.ion laser FrUhmorgenら1975) Nd.YAG laser CKiefhaberら1977) 表8 内 視 鏡 的 止 血 法 の 特 徴 電気凝固法 ①プローベの接触だけで止血 できる〔操作性が良い〉 ②プローベ先端に凝閲壊死組 織が付着し,それが剥れて 再 出 血 さ せ る 場 合 が あ る (注水の併用,双極凝固子の 使用等にて改善〉 ③前準備に注意を払う必要が ある(漏電のチェック等〉 純エタノール局注法 ①刺入針付カテーテノレとエタ ノールだけの準備でよい ②組織が硬いと針の刺入が不 良のことあり ③エタノーノレの過量による酪 町例もある ④局注後の修復過程において 組織反応が強い 中期,晩期手術および非手術の症例の頻度は各々1
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9b,2
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で , 今 回 の 場 合 は各々3
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,31.0
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で,両者聞 に有意差を認めた(
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今回の場合,早期 手術の激減が示され,また緊急手術率も前回早期 手術の92
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3
9b,中期手術の2
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と高率であった ものが,今回は緊急手術が皆無であった.このこ とは,前にも述べたように,両者聞の時代的背景 の変化を物語るもので, この間の内視鏡検査の進 歩,全身管理の進歩によるものと考えられる.著 者らが既に2)l'緊急内視鏡検査における内視鏡的 止血が確実に行ない得るようになれば,早期手術 (手緊急手術〉例を減少せしめ,合併症のチェック とその対策を講じつつ,中期以降の手術にもって 行ける可能性がある.
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と結論したことが今回の検 討で現実のものになりつつあり,緊急内視鏡検査 は治療手段として内視鏡的止血法を包括するもの となったわけである. 内視鏡的止血法には表7のごとく多くの方法が 考案され,多くの施設で実施されているが9)10) 最 近ではl
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法9)も注目されて きている.しかし,止血有効率や経済的問題でま だ第一線での使用,普及には時聞を要するところ といえよう.これら多くの止血法は,対象となる 症例の出血の程度や止血効果の判定等に統一され た基準がないために,それらの有効性を簡単には 比較できないが,大体70
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の止血有効率が報 告されている10) 著者らは以前より平塚の開発した高周波電流に よる凝固法的を行なっていたが,その後純エタ ノール局注法的が開発され,器具の準備に時間的 余裕があれば前者を,そうでなければ後者をb
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で行なうようにしている.両者には表8
のご とき特徴があり,一方で止血不良な場合には他方 を併用することも必要であろう.表示しなかった が,双方共に人工的潰虜を形成するので,その後 の抗潰蕩療法は不可欠である. また近年, ヒスタミンH
2受容体措抗剤の一つ であるc
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は出血性消化性潰蕩に有効で あるとの報告が多くみられる11)-川が,今回の著者 らの症例では有意差を認めえなかった.鎌田ら凶,B
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ら15)はc
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に直接的止血効果は考 えられず,露出血管を伴う症例では限界があって, 内視鏡的止血法や手術を考えるべきであると述 べ,単独投与よりも併用すべきものと考えられる. 最近t
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製剤が市販されるようになり, 内視鏡直視下に噴霧して止血効果をあげている報 告16)17)もみられ, これに電気凝固法や純エタノー ル局注法を併用することで容易に止血を得た症例 を若干経験したので,今後検討したいと考えてい る. おわりに1
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年1
月から1
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3
年12
月の聞に松村総合病院 外科において扱った58
例の出血性消化性潰蕩につ いて内視鏡的止血法(電気凝固法,純エタノール 局注法〉を23
例に施行し,早期手術例を減少せし め,緊急手術を回避しうるようになった.潰虜底 に露出血管を認める症例の止血成績を,内視鏡的 止血法を不要とした症例のそれに近づけることがで き た . 内 視 鏡 的 止 血 法 に よ り 輸 血 所 要 量 を 減 少 さ せ た り , 死 亡 率 を 低 下 さ せ た り は で き ず , 今 後 改 善 す べ き 問 題 と 考 え ら れ た . 摘 筆 に 当 り , ご 校 聞 を 賜 っ た 織 畑 秀 夫 教 授 に 深 謝 す る と 共 に , 当 院 内 科 の 諸 先 生 方 の 御 協 力 に 感 謝 い た し ます. な お 本 稿 の 要 旨 は 第51回 常 磐 医 学 会 に お い て 報 告 した 文 献 1)斎藤正光・他:出血性消化性潰蕩の内視鏡的検討. Progress of Digestive Endoscopy 13 56-58 (1978) 2)斎藤正光・他:出血性消化性演蕩の手術適応.外 科 41493-497 (1979) 3)斎藤正光・他・急性上部消化管出血と早期の予後 に関する検討.東女医大誌 47442-445 (1977) 4) 田中範明・他外傷患者の出血量とその臨床的判 定法.外科治療 32 422-426 (1975) 5)平塚秀雄 出血胃潰蕩の内視鏡診断と治療.Gas -troenterological Endoscopy 13 107 -110 (1971) 6)浅 木 茂 ・ 他 : 上 部 消 化 管 出 血 に 対 す る 純 エ タ ノール局注止血法ーその適応、の判断基準につい て.Gastroenterological Endoscopy 24 1314 (1982) 35 7)竹本忠良・他-消化管出血と緊急内視鏡検査.医 学 書 院 東 京 11-12p(1977) 8)丸山正隆・他:十二指腸内視鏡検査(1).中外医 薬 29509-516 (1976) 9)竹本忠良・並木正義・LaserEndoscopy.医学図 書 出 版 東 京 92-97p(1981) 10)城所仇・藤田力也:消化管出血の非観血的治療. 1-108p, メディカノレトりビューン,東京, 1983 11)長 町 幸 雄 ・ 他 . 上 部 消 化 管 出 血 に 対 す るCime -tidineの止血効果.診療と新薬 17 1465-1475 (1980) 12)田宮洋一・他:慢性消化性潰蕩およびストレス潰 蕩からの出血に対するシメチジンの効果.診療と 新 薬 17 1476-1480 (1980) 13)杉町圭蔵・他:上部消化管出血に対するCimetidine の効果.臨床と研究 57 1944-1950(1980) 14)鎌田武信・他:急性上部消化管出血に対するシメ チジンの効果.綜合臨床 29 1901-1907 (1980) 15) Bivins