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優初蝉華、鱗韓1骨)
親水性コロイドの特性につい.て
東京女子医大 中央検査室臨床化学部,生化学教室,綜合研究室宮川 啓・松村義寛・佐藤弘一
ミヤ カワ ケイ マツ ムラ ヨシ ヒロ サ トウ コウ イチ (受付昭和32年12月11日) 親水性コロイドはコnイド粒子と水分子の間に 強い親和性があるもので,電解質に対して非常に 安定であることが特色となっているが,蛋白質, 多糖類はこれに属する。生化学ならびに臨床化学 においてしばしば研究の対象となる蛋白質,粘液 質,唾液,関節液,浸出液等,あるいは輸液材料 等はいつれも親水性コロイド溶液として代表的な ものと見徹されている。これらのものの生体内に おける行動は重要な意義を有している。 吾々はまつ親永性のコnイドの代表的なものを 取上げ,その特質について調べ生体内の複雑な組 成の親水性コmイド研究の足がかりを得ようと思 った。 (1) リグニンスルボン酸 スルホン酸基を有する親水性コロイドとしてサ ルファイトパルプ丁丁中のワグニンスルホン酸を えらんだ。リグニンスルホン酸はアルコールによ る沈澱と透析を繰返して精製した。これに対する 逆性石鹸の作用をしらべたユ)がその結果を表1に 示す。 この沈澱反応の特色は抗原抗体反応の如く逆性 石鹸とリグニンスルホン酸の相対濃度がある一定 の所でのみ完全に沈澱し,逆性石鹸がそれより濃 くても薄くても沈澱を生じないことである。中性 酸性域に於ける相対濃度関係は一定であるが,ア ルカリ側では逆性石鹸は中性,酸性よりも多量な ければ完全に沈澱しない。これらの沈澱は加熱に よって消:失しない。更にpH 6.2に於て種々なる 塩類による沈澱生成に及ぼす影響をしらべた(表 2 )o 表1逆性石鹸によるりグニンスルホン酸の沈澱 逆性石鹸:Dimethyllaurylbenzyloxy− ethylammonlum chloride リグニンスフレホン酸 0.409/L 一,+,粁,惜は濁り度を肉眼的に判定した度合を示 す。逆性石鹸
m molA o O. 272 0. 544 0. 816 1. 088 1. 366 2. 72e 5. 440 10. 880 P正工 6.4 i 2.o 1 7.s i g.4 十 一H一 口 沈 羽十 一H一 一IH 十 十ト ーH一 什 沈 絹・ q日一 粁 粁 一]一]一1一 焼 目 升 目・i− H−!一 一日一 1升 沈 惜 表2沈澱些成に及ぼす塩類の影響1塩類i−
1濃度
1麗一
石鹸 :mmol∠;.i
FKCI 1 CaCl,1 AICI, )Th(NO,)4
5×10 1 10−1 2,3×10−2 1・ [9・272 10.544 10・816 1ユ・ρ88 {1.366 1 険72・ 十 什 升 完 柑
H
十 +撃 沈 完 八 難 H一 斗十 沈 完 冊 1十 沈 沈 完 冊 十、 十 三 完 軒 K,SO.i 10−i 十 十 卦卜 完 完 完:完全沈澱,沈:大部分沈澱,什,粁,+は 濁り度,一は透明 陽イオンは完全沈澱域より小さい濃度の所で沈澱Kei MIYAKAWA (Central Clinical Laboratory),Yoshihiro MATSVMURA (Department of Bioch−
emistry) & Koichi SATO (Central Medical Research Laboratory, Tokyo Women’s Medical College) :
C.haracteristic Behaviors of Hydrophilic Co]loids.
i6 量を増加させ,陰イオンは完全沈澱域より高い濃 度の所で増加させる。Schulze−Hardyの法則に 従うことが認められた。これらの揚合,中性塩に よって沈澱は一層増加するが,沈澱が再び溶かさ れることは全然起らなかった。このリグニンスル ホン酸の性質を利用して,逆性石鹸によってパル プ廃液中のリグニンスルホン酸を除去して,その まま糖の比色定量を行うことが提案された1)。こ の型に属するものには寒天5)とべントナイ・トがあ る。.律の二者では逆性石鹸の作用によりゼリー化 の性質は失われる。、 (2)ベントナイト 蛋白質,多糖類の親水性 コPイドによく似ていて,精製が比較的容易であ り均一なコロイドを得ることが出来るので1ベン トナイトを使用して,塩類,アミン類の影響をし らべた。ベントナイトは蛋白質とよく似ていて NaC11/3飽和,(NH:の2SO{%飽和において初 めて塩析を起す。次に乾燥量0.07269/dlのベン トナイト水溶液を使用し,これの5mjを種々なる 濃度の試薬.5 mlを加えて,その際沈澱の生ずる 試薬の最小濃度を求めた(表3)。 表3沈澱生成に要する塩類の最小濃度 表5沈澱生成に対する逆性石鹸の濃度 逆性石鹸濃度 11ユ。㌍ O. 2 0. Ol O. 005 0. OOI O. OOO5 0. OOOI . O. OOOO5
洗澱の 度合
塩 類 軒 一f ± 最 ’小 濃 度 CaCIL, zncl.. BaC12 AICI, NdC13 Th(NO34) O. Ol O. Ol O. Ol O. OOOs O. OOOs O. OOOO5 molfl つぎにアミン同族列による表面活性度の沈澱に及 ぼす効果をしらべた。実験条件は上と同じであって・輝生津料する三鷹嘩表4に示す・
表4洗澱生成に要するアミy.最小濃度 ア ソ 最 小 濃 度エチルアミ.ソ
n一プPピルアミン
n一ア ミ ルア ミ ン O. 5 O.1 O. 05 mo工/1 これはアルキル鎖が延びて表面活性になればなる 程,小濃度で沈澱を起させるようになる。つぎ に逆性石鹸(Dimethylbenzyloxyethylammoni・ um chloride)について同様な条件にてしらべた 結果を表5に示す,2, これはベントナイトの表面の置換性の金属イオン Na, K, Ca等と逆性石鹸イオンとが置換:しそのた めに親水性が減じて疎水性となり,その上電荷が 変化し凝議を起したものと見ることが出来る。 (3) 一COOH基を有ナるもの5)この代表的 なものとして,アルギン酸を4)5)使用した。中性, アルカリ性,弱酸性に於て逆性石鹸により明らか に沈澱を生ずる。この場合逆性石鹸としてセチル トリメチルアンモニウムブPtマイドを使用した。 一定のアルギン酸量に対してほぼ一定の石鹸の濃 度の対応する所で沈澱が完全におこる。アルギン 酸の単位骨諮であるウロン酸一分子に対し逆性石 鹸一分子の割で結合する。これと類似の現象とし てアラビアゴムおよび等電点以上のpHの所にあ る蛋白質1)は同じ性質を有し,生成した沈澱は中 性塩の添加により消えるが,加熱により沈澱は消 失しない。この事は多量の中性塩による拮抗的置 換が老えられる。換言するとスルホン酸基を有す るものは逆性石鹸と強く結合しているが一COOH 基を有するものは弱く結合する。同様のことはイ オン交換樹脂についても見られることである。.加 熱により沈澱が消えないということは物理的の吸 着でなく,化学的反応によって結合していること を示すものである。 (4) 一〇H基を有ナるもの デキストラン,グリコゲン5),可溶性澱彩}5),ポ リビニルアルコール等がこれに属するがデキスト ラン,グリコゲン,可溶性澱粉は旧く同じ性質を有 し,ポリビニルアルコールは少しく性質を異にし ている。いずれの場合もアルカリ性において,初 めて逆性石鹸と反応する。デキストランの錫合沈 澱が生ずるのでなくて,コアセルベートが生ずる (表6)。なおデキストラン,グリコゲン,可溶性澱 粉,アルギン酸,塞天,アラビアゴムは今まで適当 な定量法がなかったが,我々はアンスロン試薬に 一 92 一一よる比色定量を行つ℃,精密な沈澱条件を知るこ とが出来た6ヤ。 表6デキス}ランに対する逆1陸石鹸の作用 デキス}ラン(3. 55 mg) 逆性石鹸(セチル}リメチノレァンモニウム ブm ・e・・rド)
NaOH濃 度
1 O. 04N 11 O. 093N li O. 2N
O. 4N
購蟄翌一…中のデ…ラ潰酬
ill’g f 20 30 40 50 60 70 80 90 100 9. 1 29. 1 36. 7 37. 4 35. 6 23. 6 13. 5 5.0 4.6 4. 0 64. 9 72. 9 76. 4 82. 0 83. 4 86. 1 88. 3 89. 4 88. 8 88. 2 29. 1 43. 5 57. 4 63. 6 62. 6 18. 9 30. 8 32. 4 26.’U 7.7 アルカリの強い所でも,うすすぎる所でも逆性石 鹸によるコアセルベートは起りにくく,その中間 に鞭て起ると共に逆性石鹸の濃度によって前述と 同様に多過ぎても,少な過ぎても,コアセルベー トは起らない。このコアセルベートは中性塩例え ばKCIの添加によって消:失する。加熱するだけで も,コアセルベートは消失する。可溶性澱粉,グ リコゲンではコアセルベーションは起らず,沈澱 を生ずるが,これらは中性塩で消失し,掴熱でも 消失する。従って,この場合の逆性石鹸との反応 はきわめて弱い結合力しかなく,その性質は吸着 に近いものである。ポリビニルアルコ・t一一ルは非常 に濃いNaOH(1 N)で逆性石鹸により混濁を生 じ,2,5:N.で明腺な沈澱を生ずるが中性塩により その沈澱は消:失し,加熱では消:失しない。これは ポリビニルアルコールの一〇H基の強アルカリ性 溶液中での解離と解釈される。従ってポリビニル アルコf・一一一ルは,行動的にはむしろ一COOH基をも つグル”)一.に属させる方がよいと思われ.る。 (5)ポリビニルビロリドン このものはpH の全域について,逆性石鹸により沈澱も混濁も生 じない。この事は三塩化酢酸により沈澱すること より当然予想されることである。ポリビニルピロ リドンはコンゴ赤,メチレン青,種々なる毒素, ビタミン等と結合することが知.られているが,こ の事実と合せ老えて,ポリビニルピロリドンが逆 性石鹸によって沈澱を生じないことは興味深いこ とであってこのもの.の血清,組織洗瀞作用(R. Schubert5))と関係がある様に思われる。ポリビ ニルピロリドンの他に,正の電荷をもつた親水性 コロイド例えばキトーザン,ボリビニルピリジニ ウムブロマイド等は同様に逆性石鹸によって酸 性,中性,アルカリ性で沈澱が見られないと推定 される。 親水性コロイドについて以上の知見7)を得たの で速報として此処に報告する。術詳細な膠質化学 的考察はドイツ膠質学雑誌 (Kolloid−Z) に発表 する予定である。 文 献 1)佐藤弘一,松村義寛,宮川啓:目塞化学会第十年 会講演会,1957年4月Svensk PapPerstidning (印捌中) 2)佐藤弘一=日本化学会膠質学討論会,1946年10月 3)佐藤弘網;科学,15,403(1943)4) Scott, J.E.: Chemistry and lndustry, 168,
(1954)
Jones, A.S.:: Biochim. Biophys. Acta, 10,
607, (1953)
5)例えば Schubert, R. et al.;Klih. Med.149.1
(1952) 6)宮川啓,松村義寛,佐藤弘一:東京女医学会第23 回総会,1957年10月,東京女医誌,27付 1. 7)佐藤弘一,松村義寛,宮川啓:日本化学会膠質化 ’学討論会,1957年10月 L一.T@9t?t 一一