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[巻頭言]リスクコミュニケーションについて

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Academic year: 2021

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(1)5 7. ■巻. 頭. 言■. リスクコミュニケーションについて 宮城県保健環境センター 所長. 私はこれまで主に食品関係の分野で仕事をして きました。食品分野では,近年,食の安全・安心, そしてリスクコミュニケーションがキーワードと なっております。しかし,このリスクコミュニ ケーション,これまで日本には馴染んでいないこ ともあり,なかなか手ごわいもののようです。環 境分野においても,大きなテーマではないかと 思っております。 2001年9月,牛海綿状脳症 (BSE)が我が国で確 認され,国民に大きな衝撃を与えました。このよ うな事態に対し,国は欧州各国よりも厳しい種々 の対策を実施することにより,国民の不安を取り 除き風評被害等の影響を極力最小限にとどめまし た。又これを契機に,国の食の安全への取り組み については,食品安全基本法が制定され,リスク 分析手法の導入を明確に行いました。 「リスク評 価は食品安全委員会で,リスク管理は厚生労働省 と農林水産省で,そして国民とのリスクコミュニ ケーション」という基本的な枠組みができました。 昨年以来,BSE について,国内での全頭検査見 直しの論議,米国産牛肉の輸入問題が起こってお ります。昨年10月,厚生労働省と農林水産省は, 国内での全頭検査見直しについて,全国数カ所で リスクコミュニケーションを実施した後,検査対 象となる牛の月齢見直しを柱とする食品健康影響 評価を食品安全委員会に諮問しようとしました。 しかし,国会等から国民の理解が不十分と言うこ とから反対を受け,全都道府県において,リスク コミュニケーションを開催することを前提に食品 安全委員会に諮問を行いました。しかしながら, これらの経過の中で各都道府県は,国民とのリス クコミュニケーションが十分行われていない等の 現状から全頭検査の継続を表明し,国も全頭検査. Vol. 30. No. 2(2005). 大. 江. 浩. を望む自治体には3年間費用を全額補助する方針 を固め現在に至っております。新たな枠組みでの 最初の大きな事例で,リスク分析の流れと現実の 動きにねじれが起きています。また牛の生産体制 や検査体制等,日本の体制とは違う米国からの牛 肉輸入,これも難しいリスクコミュニケーション が控えているように思います。 双方向のリスクコミュニケーション,科学的知 見に基づくリスクコミュニケーション,そして国 民の理解と納得に結びつくリスクコミュニケー ションが求められていますが,現在,我が国では 科学的知見を基にしたリスクコミュニケーション において風評被害等様々な問題を起こしている事 例が見られます。我が国においては,これまで情 報公開が余り進んでいなかった事もあり,行政や 事業者等と消費者や地域住民等とのリスクコミュ ニケーションがお互いの誤解や不信感により対立 的になりやすく,またお互い具体的な経験も少な いことから理解不足を生じているようです。今 後,個人では解決できないリスクの増加が予想さ れる事から,良い形でリスクコミュニケーション を図ることの重要性は益々大きくなっていくもの と思われます。 環境や健康に対するリスクコミュニケーション には,緊急時に対応するものと継続的に啓発の必 要なものがありますが,継続的に啓発の必要なも のについては,地球温暖化への対応等日頃から情 報を共有し,お互いの理解を深めていく努力が求 められており,その科学的情報の共有が緊急時の リスクコミュニケーションの大きな力になるもの と思われます。 我々が寄与できることも大きいのではないかと 思っています。. ─1.

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