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ビジネス教育とOR

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Academic year: 2021

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ビジネス教育と rOR

早稲田大学阿保栄司 最近とみにビジネス教育に対する社会的要請が 強まっている.ビジネス教育には,いくつかの方 法があるが,近年話題になっているのが,社外教 育としてのビジネス・スクールである. ビジネス・スクールは,フじ来,企業の上級幹部 養成を目的とし,企業経営に当って,意思決定能 力の酒養を中心課題とするものである. 現在のように,企業経営が動態的な環境条件下 に置かれている場合には,企業経営者として,そ の動態的な環境条件をし、かに判断するかの判断能 力を問われると同時に,発生してくる問題をし、か に解決するか,問題解決能力もまた問われるもの と思われる.したがって, ビジネス・スクールに おいては,これらの能力を酒養するためのカリキ ュラム編成が望まれるわけである. 早稲田大学システム科学研究所においても,か ねてから l 年制専門教育課程を開設しているが, 創設満 10周年を期して,本年 4 月より,その名称 を従来のピジネス・システム分析・設計コースか ら,早稲田ビジネス・スクールと改め,内容も充 実することとなった. そこで,ここではピジネス教育において,オベ レーションズ・リサーチはどのような位置づけが なされており,どのような役割が期待されている かについて,ビジネス・スクールのカリキュラム の一例を通して,触れてみたいと思うのである. いちがし、に, ビジネス・スクールといっても, いくつかのタイプがあるといわれている.たとえ ば,慶応のそれは,ハーバード・ビジネス・スク ールのケース・スタディ方式を採用し,早稲田の 104 (2) それはシステム思考型のカリキュラムを採用して いるがごときである.このようなわが国における 身近な例はさておいて,世界的に眺めると,現在 のビジネス・スクールには大体,大別して 3 つ のタイプがあるといわれている. その第 1 は,これは最も一般的なタイプに属す るのであるが,いわゆる,経営のジェネラル・マ ネジャーを養成することを目的とするものであ る.これに属するものは最も多く,良く知られて いるものとして,ハーパード大学とか,エール大 学とか,ヨーロッパにも開設されている多くのも のがある. 第 2 は,いわゆる,経営のスペシャリスト,俗 にいうテクノクラートの養成を狙っている型であ る.これに属するものとしては,スタンフォード 大学とかMIT がある. 第 3 は,プログラム・フォー・エグゼクティプ ・デベロップメントと称しているもので,いわゆ る経営の上級幹部養成を目的とするものである. これに属するものとしては,カーネギー・メロン 大学とか IMEDE 等がある. このような 3 つの型をあげることができると思 うのであるが,付言すると,最近ビジネス・スク ールに対して,ある種の批判が起こっているとい う事実である. それは,学部を卒業した者がすぐに企業経験を オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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もたずに,ピジネス・スクールに入ってくる者が 多くなったがために教育効果が上がらない.ま た,主として会計知識を身につけて,アカウンタ ントになろうとする者, (これには女子学生が多い といわれているが, )が増えてきて,本来のビジネ ス・スクールの機能が損われているとの批判があ る. このような批判に対して,企業からの派遣学生 を対象とした年制のビジネス・スクールが一 部開設されるようになり,評価を得ているものが あるといわれている.ペンシルヴァニア大学とか パデュ一大学等がその例である. これらのタイプの異なった種々のピジネス・ス クールにおいて, OR 教育の果たす役割は多少異 なることが考えられる. 早稲田大学システム科学研究所はその前身であ る生産研究所時代に, OR のわが国への導入に当 って,一翼を担った経験もあり,その主催するビ ジネス・スクールのカリキュラムにおいても,多 少 OR に偏向している傾きもないことはないが, そのカリキュラムを一例として, OR の位置づけ を中心とし,ビジネス教育における OR の役割を 考えてみたい. そのカリキュラム編成の基礎となっている考え 方に,おおよそ 4 つのポイントがある. その l は,経営問題に対するシステム思考の函 養である.つまり,問題解決における論理的思考 方法を身につけることである. その 2 は,企業を取り巻く動態的環境の適確な 認識とそれに対する対応である. その 3 は,経営を構成する諸機能に関する専門 知識の付与である. その 4 は,上述の論理的思考法,現状認識,専 門的知識を組み合わせて,整合性のある正しい分 析を進め,現実問題を解決する能力を育成する具 体的手段としての修了研究である. 1983 年 3 月号 これら 4 つのポイントと OR との関連をみてみ ることにし Tこ\". 第 l のポイントであるが,システムズ・アプロ ーチにおいても, OR に由来するモデ、ル化技法や モデノレより解の導き方等,参考とすべきものが多 いように思う. 第 2 のポイントであるが,定量的ならびに定性 的一両面にわたる予測技法等が,この分野でよく 使われるものである. 第 3 のポイントにおいては,多くの OR 技法を 応用したものがあり,そのすべてを例示すること は困難である 1 , 2 をそのサンフ。ルとしてあげ るならば,財務のシミュレーションだとか,財務 諸表の計量分析だとか,マーケティングにおける 各種の OR モデルだとか,オペレーション・マネ ジメントの定量モデ、ルだとか,物流システム・シ ミュレーションや流通センター立地問題・配送問 題等そのタイトルをあげるだけでも,多数のもの があり,いわゆる経営科学の全般にわたって関連 がある. もちろん,経営問題は第 3 のポイントで例示し たような構造的な問題のみでなく,より重要なの は非構造的な問題なのかもしれない.これに対し ては,各専門領域における専門知識とより深い洞 察力にもとづくシステム思考が肝要であると考え ているのである. そして,第 4 のポイントであるがつのテー マに沿って,解決策をまとめ,その実施をも含め て,総合的な問題解決能力を養うことは OR の目 ざす目的にも沿うものであろう. 以上みてきたとおり, OR 思考が, ビジネス教 育,特にビジネス・スクールのカリキュラムと大 きな関連があり,その果たすべき役割は少なくな い.ビジネス教育における OR の重要性を再認識 する次第である. (3)

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